2022年4月期は、「電子化・オンライン化による経営体質の強化」をスローガンに掲げております。
新型コロナウイルス感染症の流行により急速に浸透した「新しい生活様式」が、人々の生活に大きな変化をもたらし、企業経営においてもニューノーマルな時代に合わせた労働環境の整備が求められるとともに、事業継続性の高い経営への取り組みが一層求められるようになりました。
こうした背景から2022年4月期につきましては、業務の「電子化・オンライン化」を推進し、新しい時代に対応した仕組みを作り、有効に活用していくことで「経営体質の強化」を図っていくなど、更なる当社グループの発展に努めてまいります。
以上、今後の厳しい外部環境に柔軟に対応しつつ、目標達成のため一丸となって邁進する所存であります。
なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当社グループの経営成績及び財政状態は、今後起こりうる様々な要因により影響を受ける可能性があります。以下に、当社グループの事業展開上のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、予防及び対処について万全を期す所存であります。なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したもので、将来に亘るリスク全てを網羅したものではありません。
(1)法的規制等のリスク
当社グループは、建設業法、宅地建物取引業法、貸金業法等の許認可を受けて事業展開をしており、適正な業務の執行に万全を期しております。これら業法の改正がなされた場合、或いは、その対応如何によっては行政指導を受けることもあり、当社グループの経営成績、財政状態、事業計画等に影響を与える可能性があります。
(2)市場のリスク
当社グループの建設事業は、雇用状況・地価の変動・金利の動向・住宅税制等の影響を強く受ける事業であります。そのため、このような外的環境の動きによっては、当社グループの受注状況が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)受注キャンセルのリスク
当社は、顧客との建物建築請負契約の締結をもって受注計上しておりますが、受注から工事着工までに期間を要するため、金融機関の融資姿勢、土地担保評価や金利動向等の情勢の変化により、受注取消が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)売上高及び利益の季節変動に関するリスク
当社グループは、事業の性質上、売上高の季節的変動があり、上半期に比較して下半期の売上の割合が高くなる傾向にあります。これに伴い利益も同様の傾向となります。
(5)売上原価の変動リスク
当社グループにおいて、工事請負契約締結後に、原材料、資材価格、及び労務費の高騰により完成工事原価は増加します。これらの増加分を請負代金に反映することが困難な場合には、完成工事総利益は減少する可能性があります。また、当社グループはサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)を採用していることから、管理物件の入居率の低下により入居者様からの家賃収入が減少した場合には、兼業事業売上原価率は上昇します。これら売上原価の変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)個人情報等の漏洩等のリスク
当社グループは、事業活動において土地所有者様、施主様、入居者様等、多数の顧客の個人情報をお預かりしております。これら情報の取り扱いについては、当社グループ社員等に個人情報保護委員会を通じて必要な教育、研修を施し、情報管理の徹底に努めておりますが、万一、情報の漏洩が発生した場合には、当社グループの社会的信用等に影響を与えることとなり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)自然災害に関するリスク
当社グループは、大規模地震、台風等の自然災害が発生した場合、被災地によって本社、事業所、建設現場等に係る設備等を回復させるために多額の費用が発生する可能性があります。また、施主様、入居者様に対して被災活動を行うことも考えられ多額の費用が発生する可能性があります。被災状況によっては、受注活動の停滞、売上高の減少、建築資材等の高騰、現場作業の中断等を余儀なくされることが考えられ、当社グループの営業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するリスク
当社グループは現在、当社が策定した「感染症等対策対応マニュアル」に基づき「感染症等対策本部」を設置し、従業員や家族、お客様、お取引先様等の感染予防、感染拡大防止に努めております。
そのため、従業員につきましては、フレックスタイム制や時差出勤制度等の活用を推奨する等、感染リスク軽減策を講じた就労状況下での事業活動を行っております。
営業活動につきましては、受注活動や建設工事に限定的な制約がなされており、今後、新型コロナウイルス感染症の収束状況によっては制約が大きくなることが想定され、その場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
財政状態につきましては、当社グループの現金預金は適正な水準で維持されており、当面は事業活動に大きな影響はないと考えております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益は減少が続き、雇用情勢に弱い動きがみられるなど厳しい状況で推移したなかで、設備投資や企業の生産など一部に持ち直しの動きもみられました。景気の先行きについては、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが続くことが期待されるものの、国内外における新型コロナウイルス感染症の動向を注視する必要があるなど、依然として不透明な状況が続いております。
建設業界におきましては、住宅ローン金利の水準が低い状態で推移したものの、新設住宅着工戸数は81万7千戸(前期比6.5%減)となり弱含みで推移しました。また、新設貸家着工戸数は30万6千戸(前期比7.2%減)となり前期を下回る結果となりました。
このような状況のなか、当社グループの連結業績は、売上高につきましては3,098億9百万円(前期比4.2%減)となり前期を下回りました。利益面につきましては、営業利益155億6千2百万円(前期比21.4%増)、経常利益164億9千9百万円(前期比24.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100億8千万円(前期比17.1%増)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
① 建設事業
建設事業におきましては、前連結会計年度及び当連結会計年度上半期の受注高が伸び悩んだことにより、完成工事高は前期と比較して減少しております。利益面におきましては、原価管理徹底の取組みなどにより、完成工事総利益率は改善しました。ナスラック㈱につきましては、水周り製品を中心とした外販売上高が前期と比較して増加しております。この結果、建設事業における売上高は1,194億6千9百万円(前期比15.9%減)、営業利益は112億1千2百万円(前期比0.9%増)となりました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により、緊急事態宣言の発出時には営業活動の自粛や縮小を行ったものの、効率的な営業活動を推進したことなどから、当連結会計年度の当社単体における総受注高につきましては、1,274億3千9百万円(前期比3.8%増)となりました。
② 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により仲介料収入が伸び悩んだものの、管理物件数の増加に伴うサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)による入居者様からの家賃収入及び管理料収入等の増加により、売上高は前期を上回ることができました。当社では、「オンライン仲介」の導入や、駅前などの集客が見込める場所への仲介専門店の出店・移設を行うなど、入居者募集活動の充実を図ってまいりました。また、これらの施策のほか管理事業拡大のために物件仕入及び管理受託の促進に努める一方で、「ホームメイトFC店」や「ホームメイト倶楽部(ネット会員)」を積極的に開拓し、全国不動産会社情報ネットワークを構築することで、仲介競争力の強化を図ることができました。それらの効果により、賃貸建物の当連結会計年度末の入居率は98.9%となり、高い入居率を維持しております。この結果、不動産賃貸事業における売上高は1,879億8千8百万円(前期比5.2%増)、営業利益は115億8千9百万円(前期比15.2%増)となりました。
③ その他
総合広告代理店業、旅行代理店業及びゴルフ場・ホテル施設の運営に関する事業で構成されるその他の事業における売上高は23億5千2百万円(前期比11.2%減)、営業損失は1億8千6百万円(前期は4千万円の営業利益)となりました。
当連結会計年度末の資産の部につきましては、1,944億2千4百万円(前期比2.4%増)となり、44億9千7百万円の増加となりました。資産の部が増加した主な要因は、現金預金が85億3百万円増加したことであります。
負債の部につきましては、889億7百万円(前期比3.3%減)となり、30億2千万円の減少となりました。負債の部が減少した主な要因は、支払手形・工事未払金等が61億1百万円減少したこと及び未成工事受入金が20億7百万円減少したことであります。
純資産の部につきましては、1,055億1千7百万円(前期比7.7%増)となり、75億1千7百万円の増加となりました。純資産の部が増加した主な要因は、利益剰余金が1,007億4千8百万円(前期比7.6%増)となり71億2千2百万円増加したことであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「現金及び現金同等物の期首残高」959億9千2百万円から、営業活動により123億2千8百万円の収入、投資活動により8億4千7百万円の支出、財務活動により29億8千万円の支出があったことから、「現金及び現金同等物の期末残高」は、期首残高より85億円増加して、1,044億9千3百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に「税金等調整前当期純利益」152億7千4百万円、「減価償却費」24億7千9百万円によるものであり、123億2千8百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に「有形固定資産の取得による支出」9億4千万円、「無形固定資産の取得による支出」6億8千4百万円によるものであり、8億4千7百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に「配当金の支払額」の支出によるものであり、29億8千万円の支出となりました。
(注) 前連結会計年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当連結会計年度受注工事高にその増減を含めております。したがって、当連結会計年度完成工事高には請負金額の変更に係る増減額が含まれております。
また、各連結会計年度において既受注分の見直しを行い、前連結会計年度10,823百万円、当連結会計年度14,107百万円を当該受注分よりそれぞれ控除しております。
(注)1 当社グループでは、建設事業以外は受注生産を行っておりません。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 建設事業における売上実績には、工事進行基準による売上高(完成した工事を含む)が、前連結会計年度には136,319百万円、当連結会計年度には113,613百万円が、それぞれ含まれております。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりとなります。
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注)1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減を含めております。したがって、当期完成工事高には請負金額の変更に係る増減額が含まれております。
また、各期において既受注分の見直しを行い、第44期10,758百万円、第45期14,081百万円を当該受注分よりそれぞれ控除しております。
2 当期完成工事高の( )内の数値は、受取設計料を除いた場合の金額を示しております。
3 上記金額は、すべて建築請負契約高であり、消費税等は含まれておりません。
② 完成工事高及び次期繰越工事高
建物種別の完成工事高及び次期繰越工事高は、次のとおりであります。
(注)1 工事は、官公庁に対するものはなく全て民間に対するものであります。入札工事はなく全て特命工事であります。
2 第44期、第45期の完成工事総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 完成工事高には、工事進行基準による売上高(完成した工事を含む)が、第44期には136,335百万円、第45期には113,661百万円が、それぞれ含まれております。
③ 兼業事業売上高
(注)1 賃貸物件の管理料収入のうち各保証システムに係る管理手数料収入は、次のとおりであります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 完成工事高及び完成工事原価の計上
成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)により完成工事高を計上しております。工事進行基準の適用にあたり、工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度のそれぞれについて、個別の工事契約ごとに信頼性をもった見積りを行うことが前提となっております。このため、見積りにあたって仮定した個別の工事契約ごとの諸条件と異なる事象が発生した場合、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
② 固定資産の減損
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能額まで切り下げ、当該切り下げ額を減損損失として計上しております。事業計画、市場環境、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件をもとに減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を実施しておりますので、これらの前提条件に変化が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
① 売上高
建設事業におきましては、前連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、緊急事態宣言の発出時には営業活動の自粛や縮小を行ったことで受注高が伸び悩んだことから完成工事高は1,194億6千9百万円となり、前期比15.9%の減少となりました。一方、不動産賃貸事業におけるサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)は、管理物件数の増加に伴い入居者様からの家賃収入等が増加しました。新型コロナウイルス感染症の影響によりゴルフ場来場者数は減少し、その他の事業における売上高も減少しましたが、兼業事業売上高は1,903億4千万円となり、前期比5.0%の増加となりました。
② 売上総利益
建設事業では建設資材価格の上昇がみられたものの、コストダウンや経費抑制に努めたことから完成工事総利益率は改善しましたが、完成工事高減少の影響により完成工事総利益は388億1千9百万円(前期比12.2%減)となりました。一方、不動産賃貸事業ではサブリース経営代行システムによる管理物件の入居率が高位で推移したことから、兼業事業総利益は129億4千3百万円(前期比9.8%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の影響により広告宣伝活動や募集採用活動を縮小したこと、及び経費削減にも努めたことから362億円(前期比16.2%減)となりました。
④ 営業利益
上記のとおり、売上総利益が減少したものの、販売費及び一般管理費の抑制により、営業利益は155億6千2百万円(前期比21.4%増)となりました。
⑤ 経常利益
雇用調整助成金等の営業外損益9億3千6百万円が加わったことにより、経常利益は164億9千9百万円(前期比24.4%増)となりました。
⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益
新型コロナウイルス感染症の影響を受け東建多度カントリークラブ・名古屋における減損損失12億7千9百万円を計上したことで、税金等調整前当期純利益は152億7千4百万円となりました。これにより法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額の合計額は51億9千3百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は100億8千万円(前期比17.1%増)となりました。
2「事業等のリスク」をご参照下さい。
1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
当社グループにおきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにより得た資金を当社グループの運転資金、設備投資及び配当財源に充当しております。
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。