文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「これからの食卓、これからの畑」を企業理念とし、より多くの人が、よい食生活を楽しめるサービスを提供すること、よい食を作る人が、報われ、誇りを持てる仕組みを構築すること、食べる人と作る人とを繋ぐ方法をつねに進化させ、持続可能な社会の実現すること、食における社会課題をビジネスの手法で解決することを通じて、食のこれからをつくり、広げていくことを理念として掲げております。
このような企業理念に基づき、当社グループの社会的価値を高めるとともに、BtoCサブスク事業を中心としての事業成長および収益力強化、また非連続の事業成長に向けた事業領域の拡大を通じ、企業価値・株主価値の増大を図ってまいります。
当社グループは、独自の栽培、生産基準に基づいた環境負荷の少ない高付加価値の食品・日用品に特化したBtoCサブスク事業を主要事業として展開しております。
BtoCサブスク事業が所属する国内食品宅配市場を取り巻く環境は、多くの食品宅配プレーヤーの新規参入による購入経路の多様化や、配達員等の人手不足を背景とした物流コストの上昇等により年々大きく変容しております。一方、EC(電子商取引)を通じた消費行動の高まりや新型コロナウイルス感染症拡大に端を発した宅配需要の拡大とその後の定着の影響により、食品宅配市場の規模は年々拡大傾向で推移しております。また、当社が宅配する安心・安全な高付加価値食品に対する市場についても、気候変動や地球環境に対する意識の高まりや社会課題へ配慮したライフスタイルの浸透により、さらなる市場の拡大が見込まれます。
国内食品宅配市場においては、ネットスーパーや各地域の生活協同組合の宅配事業、冷凍弁当などの宅配サービス事業などが事業領域の近しい業態と捉えております。その中で、当社グループは高付加価値食品・日用品の宅配に特化することで取扱い商品の差別化を図っており、また消費者もその違いを理解し、サービスを使い分けていただいていると理解しております。加えてECを通じた食品宅配市場は拡大傾向で推移しているものの、まだ食品小売市場全体に占める比率は小さく、一層の市場拡大を加速させていくことが今後において重要と考えております。そのため、他業態との関係についても競合という位置付けではなく、ともに食品宅配市場を拡大させていく関係であると捉えております。
また、消費者の動向において、共働き世帯の増加による時短ニーズや健康意識の高まり、社会的に意義のある消費に関心が集まるなど、ライフスタイル・価値観の多様化が加速度的に拡大しております。さらに、少子高齢化の進展や官から民への業務のアウトソーシングの加速化など、社会構造も大きく変化し続けています。そのため、お客様それぞれに異なる社会課題に対して、潜在的ニーズをいち早く捉え、ニーズに即した商品・サービスを迅速に展開することが求められています。
今後、当社サービスでしか出会うことの出来ない独自性のある商品・サービスや体験など、新しい価値提案をより強化していく必要があると捉えております。
上記の経営環境を踏まえ、当社グループは、主要事業であるBtoCサブスク事業の事業成長および収益力強化を最優先課題として取り組むことに加え、シダックス株式会社と一緒になったことにより事業規模が大きく拡大したBtoBサブスク事業や非連続の事業成長に向けた他社との事業提携の強化、海外での食品宅配や店舗・卸事業など事業領域の拡大を着実かつスピーディーに実行してまいります。
なお、2024年1月からシダックス株式会社を連結子会社化したことに伴い、事業セグメントの見直しを行っております。今後は、「BtoCサブスク事業」「BtoBサブスク事業」「社会サービス事業」「車両運行サービス事業」「その他事業」の5つのセグメントで開示してまいります。
当社グループとしては、主力事業であるBtoCサブスク事業を取り巻く市場環境が年々大きく変容する中、市場における競争優位の確立を最優先課題として、「顧客基盤の拡大」や「商品の付加価値向上」等の施策を着実かつスピーディーに実行してまいります。
BtoCサブスク事業の事業成長については、国内ではOisix、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやの3ブランド、米国ではPurple Carrotの計4つのブランドをポートフォリオ化し、それぞれの顧客に対してニーズを満たしたサービスを磨き上げ、定期会員数および購買単価・頻度の向上により事業成長を目指します。そのため、各ブランドの事業フェーズに沿った事業戦略の実行に加え、長年のサブスクリプションサービスの提供により蓄積したマーケティングノウハウの共有や経営指標管理を徹底してまいります。
また、商品の付加価値向上については、独自の栽培、生産基準に基づきながら幅広い商品を取り揃えるとともに、顧客ニーズに沿った新たな商品開発にも注力し、調味料を含めた食材とレシピが届くミールキット「Kit Oisix」などのオリジナル商品を拡充しております。
商品調達については、全国の生産者やメーカーとの直接取引による効率的な仕入れを中心に、グループ会社である株式会社アグリゲートや株式会社豊洲漁商産直市場、出資先である株式会社北三陸ファクトリーなどの調達力や商品提案力も活用することで付加価値の高い商品ラインナップをさらに広げます。
商品開発については、ご自宅でも上質な食卓を実現したいというニーズを捉え、外食や料理家の味をご自宅で再現できる商品の開発を強化しており、DEAN&DELUCAを運営するグループ会社株式会社ウェルカムなどのノウハウも得ながら付加価値向上のためにグループでの連携を強化してまいります。
(BtoCサブスク事業の収益力強化)
収益力強化については、削減余地の大きい商品原価及び物流費の低減に向けた施策を実行してまいります。商品原価については、製造・加工過程の内製化や自社製造商品の製造数増加による効率化、従来は非可食部として扱われていた食材の有効活用等の施策を推進することにより低減を図ってまいります。
物流費については、Oisixブランドにおいて2022年1月に移転をしたORD海老名ステーションに加え、2024年1月に竣工したORD厚木冷凍ステーションの稼働により、冷蔵・冷凍双方の物流拠点において、集品や梱包にかかる工程の自動化などを推進し、業務効率化を通じた費用削減を進めてまいります。また、中長期的には各ブランドで運用している物流業務の最適化を図ってまいります。
国内において蓄積したBtoCサブスク事業のノウハウを展開し、米国や香港において、海外における食品宅配によるサブスクリプションサービスの定着・成長を図っております。
国内BtoBサブスク事業においては、既存の保育園給食向けの食材卸事業のさらなる拡大に加え、2024年1月から連結子会社化したシダックス株式会社の事業ポートフォリオを活用することで、保育園以外の施設への食材提供や高付加価値サービスの開発を強化してまいります。
さらに、自治体サービスの受託や車両運行管理など、シダックス株式会社の事業を通じた社会課題の解決にも取り組んでまいります。
当社グループが認識している優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりです。
(お客さまの“食”ニーズに対する価値提案強化)
共働き世帯の増加による時短ニーズや、健康意識の高まり、社会的に意義のある消費志向の高まりなど、ライフスタイル・価値観の多様化が加速度的に拡大しており、消費者それぞれに異なる食の社会課題に対し、潜在的ニーズをいち早く捉え、ニーズに即した商品・サービスを迅速に展開することが求められております。
今後、当社サービスでしか出会うことの出来ない独自性のある商品や体験など、食に関する新しい価値提案をより強化していく必要があると捉えております。
(持続可能な食の未来を実現するための取組み強化)
世界的な温室効果ガスの排出量増加、気候変動に起因する作物の生産効率低下、食品廃棄量の増加など、食に関する様々な社会課題が顕在化している状況を踏まえ、当社は、持続可能な未来の食の実現に向け、フードテックなどの技術活用など、課題解決に繋がる取組みを一層推進していく必要があると考えております。
BtoCサブスク事業で展開しているサービスでは、日々変化する畑の収穫状況と、お客さまごとに異なる商品ニーズを、独自のデータ解析によりマッチングさせたオリジナルのサブスクリプションボックスを提案しております。これは、畑と食卓双方のフードロス削減に繋がっており、今後さらなるデータ精度の向上を目指してまいります。
生産面においても、子会社であるFuture Food Fun株式会社及び各投資事業有限責任組合を通じて独自のアグリテック(農業技術)ノウハウを持つスタートアップ企業に出資しており、当社の取引生産者を含む国内農業の経営・生産効率を高める取組みを行っております。また、当社が販売しているミールキット「Kit Oisix」では、使用するカット野菜に規格外の農産物を活用している点や、必要量の食材がセットされていることから食卓での廃棄量が少ない点など、畑と食卓の双方のフードロスを低減できる仕組みとなっております。
さらなるビジネスモデルの改善や、フードテックの活用により、持続可能な食の未来の実現に繋がる取組みを強化してまいります。
当社グループが上記の経営戦略の達成を判断するため重視している経営指標は、売上高、営業利益及びEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)とそれぞれの成長率であります。また、収益性に関する指標として売上高営業利益率、顧客基盤の拡大に関する指標としてBtoCサブスク事業における定期購入顧客数等を重視しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念の下で、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決することで、持続可能な社会の実現を目指しています。BtoCサブスク事業である「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」をはじめ、子会社の「とくし丸」「Purple Carrot」など、いずれのブランドも、事業を通じ、食の社会課題を解決することを成長の糧としています。当連結会計年度は、「社会課題解決型企業」を目指し、事業展開を行ってきているシダックス株式会社が連結子会社となりました。
当社グループの主要事業であるBtoCサブスク事業のビジネスモデルは、生産者とお客さまを直接つなぐ役割を担っており、サプライチェーン全体を持続可能にする「サステナブルリテール」の関係を築いています。サステナブルな仕組みが成り立つ背景として、蓄積されたお客さまの嗜好情報と天候によって左右される作物の生育状況とを、独自のアルゴリズムでマッチングさせるサブスクリプションボックスを確立している点があります。その結果、畑の生育状況を反映した商品ラインナップを提案しながら、お客さまにとっては好みの商品を継続的に購入できる仕組みとなり、生産された作物の有効活用とお客さまに満足いただけるサービスとを両立しています。
当社グループは、社会課題を解くことへの責任感と、自分たちだったら課題を解けるかもしれないという可能性を同時に感じています。事業をさらに広げることを通じて、よりよい社会、持続可能な社会をつくり、食のこれからをつくり、ひろげていきます。
そのようななか、当社グループを取巻く現在の事業環境やシダックス株式会社を連結子会社化したこと等を考慮したうえで、以下の3つの領域を重要なサステナビリティ項目と定め、社会価値と経済価値を創出し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
1_環境・気候変動への対応
2_人的資本の強化に向けた社内環境整備・人材育成
3_コミュニティ創出への対応
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び個々の取組につきましては、当社のサステナビリティページ(https://www.oisixradaichi.co.jp/sustainability/)をご参照ください。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長髙島宏平がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任者として取締役会及び経営会議においてサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有する体制を取っております。
当社グループのサステナビリティに関するリスク管理については、リスク管理委員会を中心に実施しております。リスク管理委員会は社長直轄の組織で委員長と各部署を代表する委員と事務局で構成されています。リスク管理委員会では毎月会議を実施し、リスク事例の共有、部署横断的なリスク対応についての議論、各委員の活動報告を行っています。四半期に1回リスク管理委員会から執行役員会に定例報告をおこない、各リスク案件について議論し、承認を受けています。
当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組んでまいります。
(2)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通じて識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下の3項目であります。また、その他の項目につきましては、3 事業等のリスク において記載します。
1_環境・気候変動への対応
2_人的資本の強化に向けた社内環境整備・人材育成
3_コミュニティ創出への対応
1_環境・気候変動への対応
(1)基本方針と取り組み事例
当社は、以下「気候変動シナリオ分析の概要」に記載のとおり、気候変動シナリオの分析を行い、気候変動に関するリスクと機会による影響を把握して、その結果を事業運営の中に取り込むことにより、特に食の社会課題解決を通じた事業成長の実現を目指しています。
(気候変動シナリオ分析の概要)
当社は、気候変動の異なるシナリオ下でのリスクと機会を特定するため、TCFDの提言を踏まえ、シナリオ分析を実施しました。
2100年に産業革命前から1.5℃気温が上昇するシナリオ(1.5℃シナリオ)と、4℃上昇するシナリオ(4℃シナリオ)における2030年時点での気候変動による影響リスク・機会それぞれに関して検討しています。そのためにまず、各部署の代表者と具体的なリスクと機会を洗い出し、当社およびバリューチェーン全体への影響を踏まえ、より影響の大きいものを抽出しました。抽出したリスクと機会に対して、定性・定量的な方法で評価を実施し、財務的な影響度を確認しております。
①気候変動への対応:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
・シナリオ分析による影響度評価(財務影響評価)
前提としている主なシナリオ
a. 抽出されたリスクと2030年時点での影響
財務影響度の金額イメージ(大:20億円以上、中:1~20億円、小:1億円未満)
(移行リスク)
(物理リスク)
※影響度は、当連結会計年度末現在において取得可能な情報をもとに算定しうる範囲で記載
※定量評価は、2030年時点まで2024年3月期と同様の事業規模拡大が続いていることを前提に評価
b. シナリオ分析を踏まえたリスクへの対応と、対応から生まれる機会
上記、シナリオ分析に記載したリスクへの対応とそこから生まれる機会において、特に「フードロス削減」と「プラスチック削減」に関連した社会課題解決の取り組みとして具体的に以下のようなことに取り組んでいます。
◆フードロス削減
1.川上:生産地や製造元で発生するフードロスの削減
※フードロスの購入単価818円/Kg(参照:京都市平成29年度調査(http://www.sukkiri-kyoto.com/data))
(ⅰ)ふぞろいRadish
「自然の恵みを次世代につなぐ」ことの地続きの活動として、従来の小売流通の概念にとらわれない多彩な規格外食材を展開する、フードロス削減と生産者支援目指した取り組み。
(ⅱ)Upcycle by Oisix
これまで捨てられていたものに付加価値をつけ、新しい商品にアップグレードさせることをコンセプトに開発・販売するフードロス解決型ブランド。
2.川中:流通過程で発生するフードロスの削減
(ⅰ)需給マッチング
蓄積されたお客さまの嗜好情報と天候によって左右される作物の生育状況とを、独自のアルゴリズムでマッチングさせることで、流通過程でのフードロスは約0.2%と食品小売業において低い水準。また、需要予測システムにはAIを導入し、お客さまの行動、購買データ、レシピデータ、販促データなどを学習することで、最適値での発注が可能になることで、「欠品率」「在庫回転率」を改善。
(ⅱ)オペレーション改善(フードレスキューセンター)
規格に準じた青果のほか、ふぞろい食材の加工も柔軟に対応し、ミールキット原料・加工品として活用できるため、青果の積極的な仕入れや、豊作時に食材を大量に仕入れて加工原料に活用すること等が可能。
3.川下:家庭でのフードロスの削減
ミールキット「Kit Oisix」
調理に必要な食材を必要な分だけ集めてお届けすることで食品廃棄量を1/3に削減。
◆商品資材のプラスチック削減
商品パッケージや包装方法の見直しにより、プラスチック使用料を約半分に削減(2022年3月期比)
1. リサイクル資材、環境対応型資材への切り替え促進
Oisixでは、お客様にお届けする際に使用している段ボールについて、リサイクル用紙使用率100%を実現しております。また、Kit Oisixの外袋にバイオマス素材を配合することで、石油由来プラスチックの削減に取り組んでいます。
2. 不要なプラスチック素材の削減
Oisixでは、内容量によって高さの調整できる新型段ボールを導入することで、商品の上部にあったプラスチック緩衝材の削減を図っています。また、Oisixに加えて、らでぃっしゅぼーやでもプラスチック包装の最適化(薄肉化、簡易包装)による使用料の削減に継続して取り組んでいます。
(2)指標及び目標
当社グループは、脱炭素社会実現への貢献と、そこへの移行に伴うリスク・機会への対応として、2020年にグリーンシフト施策を定めています。そのようななか、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの達成目標として2026年3月を掲げておりましたが、2024年1月にシダックス社及びその子会社等を連結子会社化したことにより、事業領域が大きく広がり、これまで掲げていた目標や取組みについての見直しが必要な状況となっております。
その状況を踏まえて、改めてグループ全体としての取り組むべき施策を新たに整理した上で、コミュニケーションを取ってまいります。
◆温室効果ガス排出量推移
排出量:CO2排出総量[t-CO2e]
原単位:CO2排出総量原単位(売上高あたり)[t-CO2e/百万円]
(※1):事業業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス等)
(※2):他社から供給された電気・熱・上記の使用に伴う間接排出
(※3):スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
※算定方法:排出量の算定はGHGプロトコルに基づく
※GHG算定における組織境界(バウンダリ)は、算定期初における財務支配力基準を採用し、オイシックス・ラ・大地株式会社単体に加え、子会社3社(Three Limes,Inc.・株式会社フルーツバスケット・株式会社とくし丸)を算定範囲として設定。
2_人的資本の強化に向けた社内環境整備・人材育成
<人材戦略の基本方針>
当社グループは、社員が自律的に挑戦的な課題解決に取り組めるようサポートを行うとともに、社内での議論が尊重され、社員一人ひとりが生き生きと働けるよう風通しがよい職場作りに努めております。
特に課題解決については、ロジカルシンキングをベースとする内製化した研修に力を注いでいます。学んだことを実践で活用できるだけでなく、受講者の中から人にも教えられるスキルを身につけた講師を担える体制としています。
<ガバナンス>
経営戦略と人材戦略の連動を図るため、取締役である小﨑宏行が執行役員を兼務し2015年より人事部門を管掌して戦略策定から実行する役割を果たしております。重要な戦略に関する事項については、取締役会においても提案や報告を行い社外取締役の意見も適宜取り入れております。
<戦略>
私たちは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念を明示し、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決することをミッションとし持続可能な社会の実現を目指しております。その実現のためには、社内の人材の成長や優秀な人材を迎え入れることが不可欠と考えます。
当社では『人が育ち、育てられ、社員が生き生きと働くことが出来る居場所(会社)を創造する!』というビジョンを掲げ、以下3つの戦略を推進して参ります。
1.社員目線での多様性や働きやすさを追求するとともに、行動規範「ORDism」の浸透や体現を通じた理念の貢献実感を得ることで働きがいを醸成する
2.中期事業ポートフォリオ戦略の実現に向けた必要な人材育成・獲得を行う
3.社員の自律的なキャリアづくり・成長機会づくりを支援して「活躍人材の創出」を行う
1.社員目線での多様性や働きやすさを追求するとともに、行動規範「ORDism」の浸透や体現を通じた理念の貢献実感を得ることで働きがいを醸成する
(経営理念の浸透・共感)
私たちは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念を浸透・共感されるよう様々な取組みをしております。インターナルコミュニケーションの1つとして代表による全社向けビデオレター配信の中で理念に触れることや、自社ブランド、そして自身の仕事の意義を深く理解するために、生産者・お客様それぞれの話を聞く機会を設け、生産現場を訪問し農作業の体験もすることで、理念や行動規範「ORDism」の浸透・共感につなげております。
理念を実現する行動規範「ORDism」は、実践したチームや個人をビデオレター内や半期に1度の社員総会内で表彰し、その体現状況のコメントを配信したり同時にその表彰に対する代表コメントも加えたりすることで浸透を図っております。
(社内環境整備)
働き方の面では、産休復帰の働き方支援などを行ってきました。アフターコロナでのハイブリットな働き方でも、社員のパフォーマンスの維持・向上に寄与する環境づくりを目指しており、グループアドレス化の推進やWEB会議ブースの導入や集中スペースの増加など改善を行なっています。今後も本社・各拠点の改善及び採用活動も考慮した本社内のスペース改革を行ない、社員一人ひとりの事情や背景も考慮しながら働きやすい職場環境づくりを推進しています。
2.中期事業ポートフォリオ戦略の実現に向けた必要な人材育成・獲得を行う
(人材育成)
人材育成の面では、個人やチームとしての成果を生み出すために効果的な育成プログラムを構築し、かつ研修で理解したことを実際に「できる」状態にするため、後続人材のOJTでの育成も併せて体系化を行っております。
2022年の物流拠点移転時に発生させたトラブルを教訓にして、全社員参加必須の講義やワークショップを毎年開催することとし、当連結会計年度には「失敗に繋がりやすい考え方や行動」についての講義受講や、自身の業務を振り返り具体的な対策を考えるワークショップを実施しました。対策をしっかりと行い、事業成長につながる様々な挑戦をしていくための育成と位置付けています。
また、主要部門後継人材育成については、部門別、取締役「成長支援会議」の開催を通して育成候補人材の状態をアセスメントし、その情報に基づきwill skill mustについてのソリューションを検討し、具体的育成プランを策定しオンジョブ・オフジョブの成長支援施策の実行管理を行っています。オフジョブの機会としては、マネジメントプログラムやロジカルシンキングプログラム、職種別のスキル独学プログラムを提供しています。
3.社員の自律的なキャリアづくり・成長機会づくりを支援して「活躍人材の創出」を行う
(自律的キャリア支援)
当社独自のセルフ・キャリアドックの仕組みを、社外取締役であり慶應義塾大学名誉教授の花田先生の指導のもと設計しています。2022年1月から段階的に導入し、2024年3月期より社員の全年代が5年に1度は受講できる体制とし自社内のキャリアコンサルタントにて実行しています。
ⅰ.キャリアセミナー実施回数と人数 (2024年3月期実績18回/114人)
ⅱ.キャリア面談実施人数 (2024年3月期実績138人)
年齢別のキャリアセミナーをワークショップ形式で開催し、その後の個別面談を行うことで、キャリア自律の意識向上を図ることで、具体的なキャリアイメージを持ち、新しいビジネスチャンスや新規サービスに従事することで全社収益により貢献することや、エンゲージメントを高めることにつなげていきます。
(エンゲージメントサーベイ)
エンゲージメントサーベイによる状態の定点観測により、偶然に依存しない仕組み化されたWILL育成による熱量高い人材の養成を目指しています。また、個人・チームのエンゲージメントの状態を定量的かつ定期的に見える化することにより、チームの組織課題を捉えて解決ができる状態をつくれるようアプローチしています。
ⅰ.エンゲージメントサーベイ結果(HRbrain社 2024年3月期 実績平均67.5)
<リスクマネジメント>
人的資本に関するリスクは、リスク管理委員会の活動を通して管理しております。
リスク管理委員会の活動については、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理をご参照ください。
<その他の指標>
当社のサステナビリティページ(https://www.oisixradaichi.co.jp/sustainability/)をご参照ください。
3_コミュニティ創出への対応
(1)基本方針と取組み事例
1.余暇時間創出
<商品開発>
BtoCサブスク事業の主要ブランドであるOisixでは、必要量の食材とレシピがセットになっており、主菜と副菜の2品を20分で作ることができる「Kit Oisix」シリーズを展開しております。「Kit Oisix」は、時短を実現しながら、しっかりと美味しい食事を用意することができる価値を提供するミールキット商品です。また、買い物に行く手間やメニューを考えることからも解放され、自由に使える時間の創出にも役立っています。
共働き世帯の増加やアフターコロナにおける在宅時間の減少など、生活スタイルの変化に合わせて様々な商品ラインナップを展開してきており、2023年7月に発売から10周年を迎えています。
2.労働力不足対応
<業務用ミールKit>
全国的に保育士が不足している環境において、保育施設での業務を省力化して今よりももっと子どもと向き合える環境作りをサポートすることを目指し、下処理済みで調理時間を短縮できる手づくり給食ミールキットを展開しています。
手づくり給食ミールキットは、保育施設の給食向けにOisixがノウハウを活かして開発した新しい給食のかたちです。保育施設の給食・食育に関わるスタッフの業務負荷軽減ができ、今まで以上に「食事の介助」や「食育」の時間を創出することが可能となっています。
<包括受託行政サービス>
少子高齢化、人口減に伴う財源減少やサービス運営の担い手となる人手不足が進展などの課題を抱える地方自治体から、複数の業務を包括受託することにより、業務の効率化と高度化を大規模に推進し、行政サービスのコスト削減と民間ノウハウを活用した業務の高度化の実現を目指しています。
業務を分析・集約しマルチタスク化することで人員のスリム化を図る、当社が一括管理をしたうえで一部業務を外部企業へ再委託するなどの工夫により、限られた資源の中においても、地域社会を支える持続的な行政サービス運営が実現できるようサポートしています。
3.社会インフラ構築
<とくし丸>
国内においては、高齢化の進展に伴い、買い物へのアクセスが困難となっている「買い物難民」、「フードデザート」といった社会課題が顕在化するようになってきています。
そのような中、「とくし丸」は軽トラックを活用した移動スーパーとして、消費者の方の玄関先まで伺い、対面販売により、現物を「見て・触って・感じて・選んで」もらうことで、「買い物」本来の楽しさを実感してもらっています。現在は、全国の各都道府県において、合計で約1,200台が稼働しており、各地域での買い物インフラの一部としての存在感を高めてきています。
また、各地域の地方自治体(県、市、町、区)等と「見守り協定」を締結しており、社会福祉協議会、地域包括センター、ケアマネージャー、民生委員等との連携が図りやすい立場となることで、事業を通じた「見守り」を継続することで、特に高齢化が進展する地域社会の安心・安全を支える役割も担うようになっています。
<WeSupport Family>
当社、一般社団法人RCF、ココネット株式会社が連携して運営している、ひとり親世帯を中心としたこどものいる困窮家庭に向けた食支援のプロジェクトです。食品の寄付にご協力いただけるサポート企業と、困窮家庭を支援する各団体とをマッチングし、各団体が運営するフードパントリーなどを通じて必要としている家庭に食支援を行っております。2024年3月時点で、毎月食品をお届けする支援世帯数は首都圏を中心に約2万5,000世帯、食品を寄付するサポート企業は約60社となっております。
<コミュニティバス>
路線バスの撤退などで交通空白地の課題が深刻化するなか、「住民の足」として地域の交通を支えるコミュニティバスを民間のノウハウで安定的に運行しています。
地域の交通インフラの担い手として、過疎化に伴う交通需要の縮小下においても持続可能な新しい交通インフラを提案し、その実現をサポートしています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業戦略に関するリスク
(2) 気候変動に関するリスク
(3) サプライチェーンに関するリスク
(4) 情報セキュリティに関するリスク
(5) 人材に関するリスク
(6) 法規制等に関するリスク
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進むとともに、各種政策の効果や雇用・所得環境の改善などもあり、個人消費の持ち直しの動きがみられました。しかしながら、エネルギーコストや原材料価格の高騰に伴う物価上昇や、世界規模での金融引き締めや地政学リスク等の影響による景気停滞懸念は依然として残っており、先行きは不透明な状況が続いております。
当社主力事業であるBtoCサブスク事業が所属する食品宅配業界につきましては、新型コロナウイルス感染症をきっかけとしたライフスタイルの変化による調理時間短縮ニーズ等は定着してきている一方、経済活動の正常化のなかで食品宅配に対する消費者の需要もバリュエーションの拡充やより手軽にといった形での多様化が進んでおります。
このような環境の中、当社グループにおいては、食を支えるインフラ企業として、安定的な商品供給の確保に取り組むとともに、家庭での食の在り方が大きく変化する中でお客さまの潜在的ニーズをいち早く捉え、満足していただける商品・サービスを提案してまいります。また、経営戦略の柱である「BtoCサブスク事業の成長・収益力強化」に向け、カスタマーエクスペリエンスの進化およびローコストオペレーションの取組みを実行しております。さらに、国内BtoCサブスク事業で培ったノウハウや2024年1月から子会社となったシダックス株式会社との協業の促進により、保育園などの施設へ食材提供を行う「BtoBサブスク事業」などへの事業ポートフォリオの拡張、「サステナブルリテール戦略」に基づいたフードロスの削減や温室効果ガス削減への取組みの強化を推進しております。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ79,207百万円増加し、143,709百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ67,945百万円増加し、106,307百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,261百万円増加し、37,401百万円となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高148,408百万円(前期比28.9%増)、営業利益5,125百万円(前期比53.2%増)、経常利益4,420百万円(前期比57.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,108百万円(前期比127.3%増)となりました。
なお、当社グループは、当第4四半期連結会計期間に連結子会社となったシダックス株式会社の傘下にあるエス・ロジックス株式会社(当社が66%の株式を保有するシダックスホールディングス株式会社が100%の株式を保有するシダックス株式会社の傘下にある事業会社。)の食品製造拠点において、棚卸資産の過大計上が判明したため、決算訂正を行いました。第27期(2024年3月期)以降の決算を訂正し、2024年3月期有価証券報告書および2025年3月期半期報告書を2025年3月31日に関東財務局へ提出するとともに、2024年3月期決算短信、2025年3月期第1四半期決算短信および2025年3月期第2四半期(中間期)決算短信の訂正開示並びに第28期(2024年4月1日~2024年12月31日)の決算短信の開示を行いました。
また、2024年1月からシダックス株式会社を連結子会社化したことに伴い、事業セグメントの見直しを行っております。今後は、「BtoCサブスク事業」「BtoBサブスク事業」「社会サービス事業」「車両運行サービス事業」「その他事業」の5つのセグメントで開示してまいります。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
BtoCサブスク事業は、売上高99,383百万円(前期比0.9%増)、セグメント利益8,765百万円(前期比27.2%増)となりました。
BtoBサブスク事業は、売上高14,976百万円(前期は1,293百万円)、セグメント利益309百万円(前期は6百万円の損失)となりました。
社会サービス事業は、売上高11,383百万円(前期比-%)、セグメント利益336百万円(前期比-%)となりました。
車両運行サービス事業は、売上高6,229百万円(前期比-%)、セグメント利益301百万円(前期比-%)となりました。
その他事業は、売上高18,027百万円(前期比8.2%増)、セグメント利益1,217百万円(前期比48.8%増)となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動による7,722百万円の増加、投資活動による10,815百万円の減少、財務活動による17,735百万円の増加等により、現金及び現金同等物(以下「資金」)は14,720百万円増加したことから、期末残高は29,440百万円となりました。
当社グループは生産活動を行っていますが、事業全体における重要性が低いため、記載を省略しております。
当社グループの主な事業は、商品を仕入れてから販売するまでの期間が極めて短期間のため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しておらず、調整額として記載しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
3.その他には、他社EC支援事業や移動スーパー事業、Webシステム開発事業等が含まれております。
4.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、主として2024年1月5日付で志太ホールディングス株式会社(現 シダックスホールディングス株式会社)、シダックス株式会社及びその子会社14社を連結子会社としたことによるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループにおいては、前述の経営戦略に基づき、①BtoCサブスク事業の事業成長及び収益力強化、②非連続な成長に向けた事業領域の拡大を行ってまいりました。
BtoCサブスク事業の事業成長については、国内主要3ブランドを中心とし、各ブランドの事業フェーズに沿った戦略の実行、また、新型コロナウイルス感染症拡大で長期にわたり続いていた行動制限が解除されたことに伴うお客さまニーズの変化に沿った商品・サービスの提供を進めました。収益力強化については、商品加工工程の内製化やKit Oisixの製造効率化などの商品原価削減、また、ECの物流センターの集約ならびに効率化などの物流費削減など収益力強化に向けた施策を複数実行しております。
非連続な成長に向けた事業ドメインの拡大については、2024年1月にシダックス株式会社を子会社化したことに伴い、BtoBサブスク事業、社会サービス事業、車両運行サービス事業を新たな事業セグメントとして追加及び変更しております。
さらに、保育園給食向けのサービスを提供するBtoBサブスク事業においては、2015年にサービスを開始した「すくすくOisix」に加え、保育園のみならず病院や高齢者施設での給食提供も手がけるシダックス株式会社との協業も進めることで事業規模の拡大を図ります。
引き続き、お客さまの家庭での食の在り方が大きく変化する中で潜在的ニーズをいち早く捉え、当社サービスでしか出会うことの出来ない独自性のある商品や食体験など、食に関する新しい価値提案をより強化してまいります。
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は143,709百万円となり、前連結会計年度末残高64,502百万円と比較して79,207百万円増加しました。
流動資産は61,278百万円となり、前連結会計年度末残高30,680百万円と比較して30,597百万円増加しました。この主な要因は、現金及び預金14,874百万円の増加、売掛金15,252百万円の増加、商品及び製品404百万円の増加、原材料及び貯蔵品777百万円の増加、未収入金1,593百万円の減少、その他流動資産827百万円の増加等によるものです。
固定資産は82,431百万円となり、前連結会計年度末残高33,821百万円と比較して48,609百万円増加しました。有形固定資産10,001百万円の増加、無形固定資産40,353百万円の増加、投資その他の資産1,744百万円の減少によるものです。無形固定資産の増加の主な要因は、志太ホールディングス株式会社(現 シダックスホールディングス株式会社)株式の取得による顧客関連資産の増加25,655百万円、のれんの増加14,035百万円であります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は106,307百万円となり、前連結会計年度末残高38,361百万円と比較して67,945百万円増加しました。
流動負債は62,875百万円となり、前連結会計年度末残高26,231百万円と比較して36,643百万円増加しました。この主な要因は、買掛金4,850百万円の増加、未払金10,024百万円の増加、未払法人税等2,393百万円の増加、短期借入金4,984百万円の増加、1年内返済予定の長期借入金2,139百万円の増加、契約負債108百万円の増加、賞与引当金1,552百万円の増加、その他流動負債2,136百万円の増加によるものです。
固定負債は43,432百万円となり、前連結会計年度末残高12,130百万円と比較して31,302百万円増加しました。主な要因は、長期借入金14,573百万円の増加、リース債務(固定)7,305百万円の増加、繰延税金負債8,889百万円の増加、その他固定負債146百万円の増加によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は37,401百万円となり、前連結会計年度末残高26,140百万円と比較して11,261百万円増加しました。この主な要因は、為替換算調整勘定256百万円の増加、非支配株主持分6,763百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益4,108百万円の計上によるものです。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、第4四半期連結会計期間にシダックス株式会社及びその子会社等を連結子会社化した影響等により、前連結会計年度と比較して28.9%増の148,408百万円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、売上拡大に伴い商品仕入が増加したこと等により、前連結会計年度と比較して44.9%増の86,555百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、給料手当や賞与引当金繰入額の計上等により、前連結会計年度と比較して8.9%増の56,726百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、シダックス株式会社の連結子会社化に伴う一連の取引による段階取得に係る差益や役員退職慰労金、減損損失の計上等により、前連結会計年度と比較して127.3%増の4,108百万円となりました。
BtoCサブスク事業では、ウェブサイトやカタログを通じてお客様より注文を受け、独自の栽培、生産基準に基づいた環境負荷の少ない高付加価値の食品(青果物・加工食品・ミールキット)や、日用品や雑貨等を宅配する事業を行っております。
主要ブランドである「Oisix」は、共働きの子育て世代を主要ターゲットとし、プレミアムな時短を実現する商品、サービスを提供しております。「大地を守る会」は、シニアの二人暮らし世帯を主要ターゲットとし、"ちゃんとした食生活"のコンセプトのもと、ターゲットニーズに沿った新サービスの開発、磨き上げに注力しております。「らでぃっしゅぼーや」は、料理などの日常生活を通じて社会貢献をしたい世帯を主要ターゲットとし、「ふぞろいRadish」などの商品に加え、新価値提供のためのサービス開発を進めております。「Purple Carrot」は、プラントベースを志向し、食生活を通じた健康な生活の実現に関心の高い消費者を主要ターゲットとし、プラントベースに沿った時短を実現する商品、サービスを提供しております。
「Oisix」、「大地を守る会」、「らでぃっしゅぼーや」は国内、「Purple Carrot」は米国で事業を展開しております。
売上高については、アフターコロナと言われる環境下において生活スタイルの多様化が進展するなか、各ブランドでは、お客様に向けたアプローチ方法やサービス提供の仕方など様々な施策を展開し、事業成長の機会を見出すことに注力しました。「Oisix」が期初の会員数の増加効果もあり増収であったことから、「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」「Purple Carrot」が減収となったものの、合計では前年同期と比べて増加しました。
セグメント利益については、「Oisix」の増収効果に加え、各事業での固定費の効率的な運用の徹底に努めたことなどにより前年同期と比べて増加しました。
これらの結果、売上高は99,383百万円(前期比0.9%増)となり、セグメント利益については、8,765百万円(前期比27.2%増)となりました。
BtoBサブスク事業では、保育園向け食材卸事業と、企業、官公庁、学校、保育園等の食堂の給食及び管理業務、病院の入院患者を対象とした給食や老人保健施設等の給食などの受託運営、並びに外食産業に利用する食材販売を行っております。
売上高については、コロナ禍で落ち込んでいたオフィスや工場、高齢者施設など既存店舗での喫食数の回復に加え、運営店舗数の着実な増加により、シダックス株式会社時の前年同期と比べて増加しました。保育園を対象にミールキットを活用した取組みも強化しており、導入園数も積み上がってきております。
シダックス株式会社を子会社化した際の無形固定資産、のれんにかかる償却費を考慮する前のセグメント利益については、原材料の高騰や労務費の上昇影響などもあり、原価率が悪化したことで、シダックス株式会社時の前年同期と比べて減少しました。
これらの結果、売上高は14,976百万円(前期は1,293百万円)となり、セグメント利益については、309百万円(前期は6百万円の損失)となりました。
社会サービス事業では、地方自治体からの幼稚園や小中学校向けの給食、放課後児童クラブ(学童保育)、児童館、図書館、道の駅等の施設管理及び運営、並びに民間企業からの各種アウトソーシングを受託しております。
売上高については、少子高齢化による人手不足やコストアップの流れを受けた行政サービスの民間への委託のニーズをとらえ、積極的な提案活動を行っております。特に成長ドライバーである学童保育においては、多様化する子育てニーズに対して様々なコンテンツの提案を行うことで、受託件数を着実に増加させるとともに、他の案件においても運営施設数を積み上げていったことにより、シダックス株式会社時の前年同期と比べて増加しました。
シダックス株式会社を子会社化した際の無形固定資産、のれんにかかる償却費を考慮する前のセグメント利益については、労務費の上昇影響などもありましたが、増収効果によりシダックス株式会社時の前年同期と比べて増加しました。
これらの結果、売上高11,383百万円(前期比-%)となり、セグメント利益が336百万円(前期比-%)となりました。
車両運行サービス事業では、民間企業や地方自治体からの車両運行管理業務のアウトソーシングを受託しております。
売上高については、企業の役員向け車両においてWebプロモーションの強化による好調な受注の継続に加え、学校の統廃合によるスクールバス需要等、地方における移動手段ニーズの高まりを捉えた提案活動の強化による案件の獲得などにより、シダックス株式会社時の前年同期と比べて増加しました。
シダックス株式会社を子会社化した際の無形固定資産、のれんにかかる償却費を考慮する前のセグメント利益については、燃料単価の上昇などもありましたが、増収効果により、シダックス株式会社時の前年同期と比べて増加しました。
これらの結果売上高は6,229百万円、(前期比-%)となり、セグメント利益については301百万円、(前期比-%)となりました。
その他事業は、他社EC支援事業や移動スーパー事業、Webシステム開発事業等から構成されております。
食品宅配サービスの定着による他社EC支援(ISETAN DOOR等)の会員数が増加したことなどから、全体では売上高・セグメント利益は増加しました。
これらの結果、売上高は18,027百万円(前期比8.2%増)と大きく増加しております。また、セグメント利益も1,217百万円(前期比48.8%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ14,720百万円増加の29,440百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、7,722百万円(前期比45.5%増)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益6,398百万円、減価償却費2,614百万円、のれん償却額501百万円、未払金の減少額1,079百万円、未収入金の減少額1,626百万円、段階取得に係る差益の計上額3,447百万円、法人税等の支払額1,358百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、10,815百万円(前期比10.9%減)となりました。この主な要因は、連結の範囲を伴う子会社株式の取得による支出7,217百万円、有形固定資産の取得による支出1,623百万円、無形固定資産の取得による支出1,159百万円、投資有価証券の取得による支出997百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、17,735百万円(前期比114.6%増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入16,201百万円、短期借入金の純増減額による収入4,984百万円、長期借入金の返済による支出2,276百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出832百万円等によるものであります。
1) 財務政策
当社グループは現在、運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)及び当座貸越契約に基づく短期借入金により充当しております。また、設備資金については、設備投資計画に基づき、手元資金で不足が生じる場合は、長期借入金での調達を検討いたします。また、設備投資の案件が継続して発生する、あるいは大型の案件が発生する場合については、長期的な財務体質の強化を意識し、公募増資も視野に入れた資金調達を検討いたします。
2) 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入、お客様へ商品を配送するための荷造運賃発送費、新規顧客獲得を中心としたマーケティング費用等の営業費用であります。また、設備資金需要としては、物流センター等の設備の新設・増強による投資、販売管理システムの改修等のソフトウエア開発による投資等があります。
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社及び連結子会社の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1)シダックス株式会社株式に対する公開買付応募契約、取引契約及び株主間契約の締結
当社は、2023年11月10日付取締役会において、志太ホールディングス株式会社(現 シダックスホールディングス株式会社)(以下「志太HD」といいます。)がマネジメント・バイアウト(MBO)に該当する取引の一環として実施するシダックス株式会社(以下「シダックス」といいます。)の発行済普通株式(以下「シダックス株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に当社が所有するシダックス株式の全てを応募する旨の契約を締結することを決議し、同日付で締結いたしました。
加えて、当社は、同日付取締役会において、①志太HD、志太勤氏及び志太勤一氏との間で、シダックスの非公開化に向けた、本公開買付け及びその後の一連の取引に関し、取引契約を締結すること、②志太勤一氏、志太勤氏、志太正次郎氏、志太富路氏、志太みゆき氏、志太悠真氏、永木亜里紗氏、志太瑛巳里氏及びエスディーアイ株式会社との間で株主間契約を締結することを決議し、同日付で締結いたしました。
契約の概要
(2)第三者割当により発行される株式の「総数引受契約」の締結
当社は、2024年1月4日付で、志太HDと、同社が第三者割当により発行する同社普通株式の総数を引き受けることを内容とする「総数引受契約」を締結し、同1月5日付で当該株式を取得しております。
なお、志太HDは、2024年4月1日付でシダックスホールディングス株式会社に商号変更しております。
(3)金融機関とのコミットメントライン契約及びタームローン契約
当社グループは、資金の効率的な調達を行うため取引金融機関と「①当座借越契約」を締結しております。
また、志太HDの借入金に関する「②コミットメントライン」契約及び「③シンジケートローン」契約を締結しております。
当該契約に基づく当連結会計年度末における借入の未実行残高は次のとおりであります。
(注) コミットメントライン契約及びシンジケートローン契約につきましては、一定の財務制限条項が付されております。
該当事項はありません。