文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「Bridging Beyond Borders -垣根を越えて、世界をつなぐ-」をミッションとしております。各ローカルのヒト、モノ、コトにユニークな可能性を見いだし、カルチャーやビジネスの垣根を越えて、グローバルに経営を行っております。
昨今のスマートフォンの爆発的な普及と電子決済などのサービスの普及により、今やスマートフォンは生活に必要不可欠な存在になっています。使用頻度の増加とデータ通信量の増大に伴い、現代生活における充電ニーズは大きくなり、充電に関する問題は大きなテーマとなっていると考えております。5Gがもたらすイノベーションは、生活をより便利に変えていく一方、スマートフォン端末の消費電力の増加速度が内蔵バッテリーの性能向上速度を上回る状況に拍車がかかっております。この中長期的な社会課題を解決するうえで、また、ESGの観点からも社会全体で利用をシェアする、分かち合うスマートフォン補完充電のインフラ整備が不可欠です。そのために当社グループは、ChargeSPOT事業を主力事業として注力しております。
2024年度からは、「ChargeSPOT」で培った設置場所とユーザーとの関係性を活かした、プラットフォーム事業の展開を進めております。現在は、バッテリースタンドのサイネージ画面を活用したマーケティングソリューションや、シェアリングエコノミーのプラットフォームの運営、ベビーケアルームの運営など、新たな事業にも力を入れています。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、ChargeSPOT事業において、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、月間レンタル回数、月間アクティブユーザー数及びバッテリースタンド設置台数を重要指標として経営を行っております。
月間レンタル回数は、対象月に「ChargeSPOT」からモバイルバッテリーがレンタルされた回数を集計したものです。当該指標は、レンタル収益の源泉として経営の進捗を測るものとして利用しております。
月間アクティブユーザー数は、月に一回以上「ChargeSPOT」を利用したユニークユーザー数を集計したものです。当該指標は、月間レンタル回数の基礎となるものとして、サービスの普及度合や消費者の利用動向、キャンペーン等の施策の効果を測るために利用しております。
バッテリースタンド設置台数は、計数時点で設置されているバッテリースタンドの台数を集計したものです。当該指標は、月間アクティブユーザー数の基礎となるものとして、事業拡大の進捗を測るために利用しております。バッテリースタンドの設置数は当社の所有するサイネージ画面の数に繋がるため、メディア事業を発展させる上でも重要な指標だと捉えています。
(3)経営戦略
当社グループは国内外を問わず、ヒト、モノ、コトにユニークな可能性を見いだし、カルチャーやビジネスの垣根を越えて橋掛けしていくことを機会と捉え、社会的価値と経済的価値の両立・創造を実現し、日本と世界の発展に寄与してまいります。
新たな垣根の橋掛けとその価値創造をグローバルに模索していく一方、ロケーションベースの各国のリアルなタッチポイントを保有するChargeSPOT事業を第1の主力事業としております。インバウンド/アウトバウンドの増加を契機として、アジアをはじめとした世界中のお客様に日本品質のサービス体験を提供しグローバルでの知名度の向上を目指します。
国内のChargeSPOT事業は、長期にわたって安定した利益を獲得し続けられる状況になっています。当社のChargeSPOT事業の特徴は、バッテリースタンド・バッテリーというリアルなモノと、アプリケーションというデジタルなモノの双方を有していることです。「ChargeSPOT」は日本全国47都道府県とグローバルの7エリアに存在するユーザーとのリアルなタッチポイントです。引き続き国内での設置数とユーザー数を拡大しながら海外での展開にも注力し、グローバルにタッチポイントを増加させていきます。
タッチポイントの増加は、マーケティングソリューションを始めとしたプラットフォーム事業の拡大に繋がります。ChargeSPOT事業とそのネットワークとのシナジーを最大化することを目指し、持続的な成長及び将来利益の最大化に努めてまいります。
当社グループの中心事業であるChargeSPOT事業は国内のみならず、グローバルで価値を発揮できるものです。当社グループの事業や事業領域には次のような特徴があり、これらを総合的に勘案したうえで中長期的な経営戦略を立案しております。
① ChargeSPOT事業の魅力
ChargeSPOT事業の魅力は4つあり、第一に短い投資回収期間、第二に大口顧客に対する低い依存度、第三にバッテリースタンド設置台数及び設置密度とレンタル稼働率の相関関係、第四に有望な市場ポテンシャルであります。
a.短い投資回収期間
ChargeSPOT事業で使用するモバイルバッテリーの2024年12月末の投資回収期間※1は約19日となっており、短期間で投資が回収されるビジネスモデルとなっております。2022年年末時点では約29日、2023年末時点では約25日の投資回収期間であり、サービスが拡大すると共に短縮化が進んでいると言えます。
また、バッテリースタンドへの投資はリース契約を基本とすることによりキャッシュ・フローに余裕を持たせた事業展開を行っております。
※1 投資回収期間=モバイルバッテリーの仕入単価÷(1レンタル当たりの平均収益×レンタル稼働率)
b.大口顧客に対する低い依存度
ChargeSPOT事業の主力であるモバイルバッテリーのシェアリングサービスの収益は、ユーザーからの少額課金の積み上げにより構成されており、特定の大口顧客に依存するリスクが相対的に低いビジネスモデルとなっております。また、47都道府県の様々なエリア、多業種に設置されており、特定のエリア及び業種への依存度も低く構成されています。
c.バッテリースタンドの適切な設置とレンタル稼働率の相関関係
当社グループの実績によると、バッテリースタンドを視認性が高くユーザー利用が見込める場所で適切に増加させることができれば、モバイルバッテリーのレンタル稼働率が上昇することが確認されております。これは、設置効率に関する実績データが蓄積され、効果的な設置戦略が推進されること、市中でバッテリースタンドを見かける頻度が増すことで広告効果が高まり「どこでも借りられて、どこでも返せる」という利便性や返却に関する安心感が訴求されることが大きく関係していると分析しております。2024年12月末のバッテリースタンド設置台数は国内47,330台で、「どこでも借りられて、どこでも返せる」の実現に近づいております。
d.有望な市場ポテンシャル
当社グループでは、現在主力である国内市場におけるターゲットSOM(Serviceable Obtainable Market)を設定し、利用者拡大のためのアプローチを検討しております。
具体的には、それぞれ以下の考え方により、事業拡大を図っております。
当社グループが国内事業のターゲットとして設定するSAMは、スマートフォンのユーザー数9,658万人※1のうち、外出時間中に1回以上充電を行うであろうユーザーの割合※2を乗じることで算出される規模に設定しております。
SAM =スマートフォンユーザー数×外出時間中に1回以上充電を行うであろうユーザーの割合
次に販売ターゲットとなるSOMについては、SAMのうち、「ChargeSPOT」の潜在的利用者(利用に関心があるユーザーの割合※3を乗じることで算出される規模に設定しております。
SOM =SAM×モバイルバッテリーのシェアリングサービスの潜在的利用者の割合
当社グループでは、「ChargeSPOT」の設置台数の拡充によりSOMの拡大を図っております。
※1 日本の総人口(参照情報:総務省統計局「人口推計」- 2023年(令和5年)3月報 - 2022年(令和4年)10月1日現在(確定値))に2022年におけるスマートフォン保有者割合(参照情報:総務省「令和4年通信利用動向調査(個人)」)を乗じて、当社が算出した推計値
※2 電通株式会社「モバイルバッテリーに関する調査・マイバッテリー所有者編」(2023年4月実施調査-日本)
※3 電通株式会社「モバイルバッテリーに関する調査・マイバッテリー所有者編」(2023年4月実施調査-日本) およびNHK国民生活時間調査報告書「家にいる時間」「外出時間」調査を基に当社が算出した推計値
<ターゲットとする市場>
② 海外展開
当社グループは、海外では、台湾、中国本土、香港、タイ、シンガポール及びマカオでChargeSPOT事業を展開しており、中国本土の一部、タイ、シンガポール及びマカオにおいては、フランチャイズ契約に基づき他事業者と協働で展開しております。
2024年10月にはイギリス子会社を設立し、今後の欧州展開の起点としてまいります。
当社の社名である「INFORICH」は、「情報(INFORMATION)」に「豊か(RICH)」であるという2単語からなる造語です。各国の文化、商慣習、技術等に精通し得るグローバルな企業グループとして、情報連携が我々の目指す垣根を越えた橋掛けの実現において生命線であると捉えております。
上記を踏まえた中長期的な経営戦略は、以下のとおりであります。
① ChargeSPOT事業の拡大・強化
a.規律をもった設置台数の拡大
ChargeSPOT事業におけるバッテリースタンドの設置台数については、海外のみならず国内においてもまだ多くの設置ポテンシャルがあると考えております。人流の多いエリアや駅からの距離などの設置基準を設け、各業種のプライムロケーションへの新規・追加設置、政令指定都市を中心としたエリアドミナント戦略を中心に拡大してまいります。
また、バッテリースタンドにおいては、従来のモデルのみならず他社とのコラボレーションやデッドスペースに合わせた新モデルの開発など、用途に合わせた多種多様な展開を推進し、リアルなタッチポイントをグローバルに獲得してまいります。
b. 海外展開と連携強化
当社グループは、海外では、香港、中国本土、台湾、タイ、シンガポール及びマカオでChargeSPOT事業を展開しており、中国本土の一部、タイ、シンガポール及びマカオにおいては、フランチャイズ契約に基づき他事業者と協働で展開しております。
今後も、スマートフォン普及率や電子決済普及率が高く、公共交通機関を有する大都市圏を持つ国をターゲットとし、展開エリアを拡大してまいります。当社グループでは、現地のプラチナロケーションにネットワークを有する企業とフランチャイズ契約を締結することで、リスクを低減しながらもスピード感を持ってフランチャイズ展開を行ってきました。今後も各国でのフランチャイズ展開を推進してまいります。加えて、早期に市場を開拓するべきところに対してはジョイントベンチャー設立、M&Aの実施、現地法人立ち上げなどの直接投資を行うことで、グローバルでの当社グループの競争力を強固にするものと考えております。
また、事業基盤を強固にすべく、連携強化を目的としたさらなる経営体制の強化も行っていく予定です。
c.サービスの進化
「ChargeSPOT」ユーザーの利用の習慣化に向けた更なるUX向上施策を実施してまいります。2023年12月期においては、「バッテリー故障診断ナビ」機能をリリースし、ユーザー自身でレンタル中に発生した問題の解決法を調べたり、返金申請を行なったりできるようにするなど、利便性の向上を図ってまいりました。今後もユーザーの皆さまにとってより使いやすいサービスになるよう、改善を続けてまいります。
加えて、新たな技術を有する企業とのコラボレーションや「ChargeSPOT」のプラットフォームとネットワークを活かした他のシェアリングサービスとの連携を進めてまいります。
サイネージビジネスにおいては、市場規模の拡大を追い風としながら販路の拡大及び供給システムの開発を進めてまいります。
② プラットフォーム事業の展開
当社グループは、「ChargeSPOT」で獲得した設置先及びユーザーとのリアルなタッチポイントを活用した、プラットフォーム事業の展開を進めております。中でも、バッテリースタンドをマーケティングソリューションとして活用する事業の強化に取り組んでおります。企業向けの広告枠販売や個人向けの「CheerSPOT」など、培ってきたタッチポイントをリテールメディアとして活用する取り組みを一層拡大し、中長期的な成長につなげてまいります。
ベビーケアルーム「mamaro」についても、今までの「ChargeSPOT」の運営で培った設置先との関係性を活かして販路を拡大してまいります。
(4)経営環境
当社グループの事業が属する経営環境には次のような特徴があります。
① 市場分析
ChargeSPOT事業が対象とするモバイルバッテリのーシェアリングサービスの市場規模について、同サービス世界最大のマーケットである中国では、2023年12月末現在約517万台(出所:Fastdata,「2023 China Shared Power Bank Industry Trend Report」)のバッテリースタンドが稼動しており、年間約2.8億人がモバイルバッテリーのシェアリングサービスを使用しています。中国と日本では、市場、技術及び文化等の相違はあるものの、中国での市場規模の推移は今後の日本におけるモバイルバッテリーのシェアリングサービスの普及を予想する上で、一指標になるものです。
「ChargeSPOT」はモノを所有するのではなく貸し借りすることで使用する、シェアリングエコノミーを前提としたサービスです。昨今の環境意識の高まりなどを受けて、シェアリングエコノミーを積極的に活用するユーザーが一定数存在しています。一般社団法人シェアリングエコノミー協会と株式会社情報通信総合研究所が共同で発表した「シェアリングエコノミー関連調査2024年度調査結果 2025年1月公表」においては、2024年度のシェアリングエコノミーの市場規模は3兆1,050億円※で、2022年度比で18.7%増加しています。今後もシェアリングエコノミー市場は拡大していくものと想定されます。
また、株式会社CARTA HOLDINGSが株式会社デジタルインファクトと共同で実施した「リテールメディア広告市場調査 2025年1月23日公表」によれば、2024年の国内のリテールメディア広告の市場規模は、前年度比125%増の4,692億円に成長しました。そのうち147億円は店舗のデジタルサイネージを活用したものと推計されています。2028年の予測では、リテールメディア広告市場は2024年比約2.3倍の1兆845億円規模、そのうちデジタルサイネージは350億円規模に拡大すると予測されております。
当社の新サービスである「CheerSPOT(チアスポット)」については、「オタク」の活性化も普及につながると考えられます。矢野経済研究所の「オタク」市場に関する調査によると、2023年の「オタク」市場全体の市場規模は約8,176億円に上ると見込まれ、年々成長しています。ファンがアイドルなどへの「応援」のメッセージを広告面などに掲載する応援方法に関する市場も国内約300億円規模だと推定されています。※ 市場規模は資産・サービス提供者と利用者の間の取引金額定義
② 競争優位性
当社グループは、競合他社に先駆けてモバイルバッテリーのシェアリングサービスを日本に導入しており、「ChargeSPOT」の国内マーケットシェアは、バッテリースタンドの設置台数ベースで約8割※1と業界トップのシェアを有しております。一般的には、設置台数のシェアの多さがユーザーの利便性につながり、ひいては設置先が採択する要因となります。これは、ニューヨーク大学 Stern School of BusinessのScott Galloway教授が提唱する「Unregulated Monopoly」※2に該当し、競合他社との競争優位性を獲得している状況にあると考えております。
多くのバッテリースタンドを設置していることは、レンタル稼働予測の精度の向上にも繋がっております。当社グループでは、周辺の人流や駅からの距離、営業時間、業種などの様々な情報を組み合わせた、設置プロトコルを設定しております。レンタル数は常時モニタリングできるようになっており、一定期間が経っても設置前の予測数値から乖離がある場合には設置先に社員が訪問し、店内での設置場所の移動や販促物の掲示などを行っています。データをもとにした設置とデータを参考にした細かな設置後ケアができていることは、当社の競争優位性であるとともに、今後もデータ量が増えていくことでより精緻な分析が可能になっていくものと考えております。
また、当社グループは、自社で製品開発を行うことで市場のニーズをタイムリーに製品へ反映できる体制を構築しております。今までも、新型コロナウイルス感染症の流行が始まったことを機にバッテリーにSIAA(抗菌製品技術協議会)基準に適合した抗ウイルス・抗菌処理を行うなど、その時々の課題に応じた対応を行ってまいりました。また、カスタマーサポートセンターにいただいた情報は社内の開発チームに連携し、アプリケーションやハードウェアの改善を行っています。
※1 2024年12月末時点の当社グループの設置台数と競合他社が公表している台数を基に当社で算出
※2 高い市場占有率が参入障壁として機能している状態
マーケティングソリューションにおいても、「ChargeSPOT」に付帯したサイネージ画面を活用していることから、国内では全都道府県、グローバルではフランチャイズ展開エリアを含めて6エリアでの広告放映が可能です。設置場所も多業種で、且つすべて人流が多い好立地であることが競争優位性につながっています。ユーザーは「ChargeSPOT」をレンタルする際と返却する際に必ずバッテリースタンドに立ち寄るため、リアルなタッチポイントがある点もメディアとしての価値の向上につながっています。サイネージ画面を活用して地域の魅力を発信することで、街の中の回遊性を生み出す地域活性化にも利用されています。ユーザーはアプリケーション上で設置場所を確認することから、アプリケーション上のバナーや各設置先の紹介も多くの人が目にする広告として活用できます。
「CheerSPOT」でも、放映可能面が他の応援広告商材よりも多いことが、今後のサービスの成長に繋がり得る優位性であると考えております。自宅の付近やライブ会場の近くなどの様々な場所に出稿できるため、そのエリア一帯をファンの「応援」で飾るなど、ファンダム内でのコミュニケーションにも繋がります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「ChargeSPOT」は国内初のモバイルバッテリーのシェアリングサービスであり、当社グループはそのマーケットリーダーとして市場開拓を進めてまいりました。スマートフォンをはじめとする小型電子機器は、ビジネス利用や普段の生活での決済等、私たちの日々の生活に欠かせないインフラになっています。バッテリーの充電切れを防止し、利便性の高い日常生活をサポートするために事業を展開しております。また、一層進んだデジタル社会を実現するため、当社グループはChargeSPOT事業に限らず、「ChargeSPOT」のバッテリースタンドのサイネージを活用した広告枠の販売や、設置場所の属性に共通点が多いベビーケアルームの「mamaro」など、新たなサービスラインナップを追加し、ChargeSPOT事業を土台とした新たな展開を加速しております。
一方で、疫病の流行や災害発生、悪天候の継続などによる人流の減少、国際情勢の変化などによる景気の悪化など、当社グループの業績に影響を及ぼしうるリスクは引き続き注視し続ける必要があると認識し、不測の事態にも対応できるよう、経営基盤と財政基盤の強化に取り組んでおります。
これからも、「Bridging Beyond Borders -垣根を越えて、世界をつなぐ-」というミッションステートメントの通り、海外発のビジネスモデルを日本に、そして、日本の技術力を海外に展開していくことで、様々な国や文化の垣根を越え、より多くの方々に当社グループのサービスをご利用いただけるよう邁進してまいります。
① さらなる設置の拡大
当社の事業の中心であるChargeSPOT事業の成長には、設置台数の増加が重要です。当社は今までに全国各地のプライムロケーションへの設置を進めてきたことで、昨今ではバッテリースタンド自体が当社の広告塔となっており、国内では毎月20万人ほどの新規ユーザーを獲得しております。
これまでも、エリア別・業種業態別のバッテリー稼働率を継続的に分析し、設置を行ってきました。国内では乗降客数が多い駅の周辺を中心とした設置を進めた結果、首都圏での設置が大幅に増加しております。今後は関西を中心とした首都圏以外の乗降客数が多い駅周辺の設置密度を高めると共に、観光地エリアへの設置も推進し、インバウンド客を含めた観光客のモバイルバッテリー利用ニーズを満たしてまいります。
加えて、屋外型の自動販売機モデルの展開を開始したことで、今までは設置ができなかった公園や屋外のテーマパーク、人流の多い通りなどへの設置が可能になりました。ユーザーにとっても、店内に入ってレンタルするよりも、レンタルすることへの障壁が低くなると考えられます。自動販売機モデルの設置を加速させることで、バッテリースタンドの増加を図るとともに、レンタル数の増加につなげていきます。
また、海外での展開エリアに対しても、国内で設定している設置プロトコルを共有することで、グローバル全体での効率的な設置を推進してまいります。バッテリースタンドの増加は、サイネージ面の増加でもあります。法人向けの広告枠販売と「CheerSPOT」の利用者獲得を行う上でも重要な要素であると認識しております。
ベビーケアルーム「mamaro」についても、当社がChargeSPOTの運営によって培ってきた設置先との関係性をもとに新たな場所への設置を拡大してまいります。
② 認知の向上・ユーザー数の拡大
認知の向上とそれに伴うユーザー数の拡大も事業の成長ドライバーの1つです。
設置台数の増加に伴い「ChargeSPOT」のユーザー数は順調に成長を続けていますが、当社では潜在的なユーザー数ははるかに大きく、ユーザー数の持続的な拡大には一層の認知率の向上も重要であると認識しております。バッテリースタンド自体の設置のみならず、デジタルマーケティングなどを通じた露出の増加や、キャンペーンの実施などが必要であると認識しております。キャンペーンについては設置先やペイメントサービスと連携したものや、新生活や行楽シーズンに合わせた自社キャンペーンなどを積極的に行ってまいります。
また、ファンが個人でアーティストへの応援を発信できる新たなプラットフォーム「CheerSPOT」においても、アーティスト数の増加に取り組むだけではなく、サービス自体の認知の向上に取り組んでまいります。
③ 利便性の向上
ChargeSPOT事業におけるサービス自体の利便性を高めることも、ユーザー数の拡大のために重要であると認識しております。今後も、アプリのUI・UXの改善やFAQの拡充など、ユーザーにとってより使いやすいサービスを目指して活動を続けてまいります。料金設定においても、ユーザーの声を可能な限り反映してまいります。多くの方にとって使いやすい最低料金の設定を目指すとともに、ヘビーユーザーにとって有益な「ChargeSPOT Pass」といったプランを設定するなど、「いつでも借りられて、どこでも返せる」を心理的にも実現していきます。
また、当社の国内バッテリースタンド設置台数は4.7万台を超え、ユニークなネットワークとしての価値を有しています。このネットワークを活かした当社サービスの提供価値を広める試みとして、バッテリースタンドのサイネージを活用した法人向けの広告販売や新サービスの「CheerSPOT」の展開を行っております。ほかにも、シェアリングエコノミーのプラットフォームとして、他のシェアリングエコノミーサービスを同一アプリ内で利用できる「ShareSPOT」の拡充やベビーケアルームの「mamaro」の展開を進めております。今後も、ユーザーからニーズの高い機能やサービスラインナップの拡充に取り組んでまいります。
④ 海外展開
当社グループでは、モバイルバッテリーのシェアリングサービスを日本のみならず世界で展開しております。中国本土と香港、台湾ではグループ子会社によるサービス展開を、タイ、シンガポール、マカオではフランチャイズで、オーストラリアでは子会社を通じてEzychargeブランドでサービスを展開しております。当社のシェアリングサービスにおける効率的な運営とその事業ノウハウを求めるニーズは多く、有望な市場も複数存在するため、今後も新規エリアでの展開を、適切なタイミングと進出方法で進めてまいります。現在は、2024年10月に設立したイギリス子会社を中心に、イタリアでの展開の準備を行っております。また、すでに展開を行っている香港、台湾やオーストラリアにおいての設置台数の増加の余地は大きく、積極的な設置を進めております。
⑤ 経営基盤の強化
企業価値を高め、株主の皆様をはじめとするステークホルダーに信頼され、支持される企業となるために、また、グローバル展開を進めるためには、コーポレート・ガバナンスへの積極的な取り組みが不可欠であると考えております。
そのため、内部統制システムの強化、マネジメントの強化、人材育成、損益管理の徹底など、持続的な成長を支える経営基盤を引き続き強化してまいります。また、子会社との連携を強化し、グローバルカンパニーとして相応しい経営体制の実現を目指してまいります。
⑥ 財政基盤の強化
当社グループは、2023年度第2四半期に黒字化を達成し、以後継続的に利益が増加しております。2024年度には複数件のM&Aを実施したことからのれん償却費が発生し、また、M&Aの投資額によってフリーキャッシュフローは一時的に低下していますが、今後もサービスが継続して成長することで手元資金は増加していく見込みです。
中長期的な成長のためには国内外の設置拡大や新エリアでの展開の開始、広告事業の拡大のための投資が必要不可欠であると認識しております。今後も、適切な成長のための投資を実施するとともに、財政基盤の強化を目指して活動をしてまいります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループはシェアリングエコノミーサービスである「ChargeSPOT」を運営する中で、環境に配慮した経営を実施してまいりました。2022年には当社が優先的に取り組むべき重要課題として6つのマテリアリティを策定し、サステナビリティの取り組みをグループ全体として推進しています。
① ガバナンス及びリスク管理
当社は、四半期ごとに開催されるコンプライアンス・リスク管理委員会において、気候変動による災害の発生や人材確保などの人的資本に関わる項目など、長期的な目線でリスクの洗い出しと対応策の検討を行っております。
また、人的資本については役員を中心とした検討会を実施し、当社グループの目指すべきところを位置付けています。
当社は、健全かつ適切な経営及び業務執行を図るには、コンプライアンス及びリスク管理の徹底が必要不可欠と考えております。
当社は、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、企業活動の遵法性、公平性、健全性を確保するため、また社会規範、企業倫理に反する行為を防止、是正、また全役職員に倫理意識を浸透させ、健全な企業風土を醸成する活動の推進をしております。
コンプライアンス・リスク管理委員会は、取締役兼執行役員CFOを委員長とし、委員は、代表取締役社長兼執行役員CEO、その他委員長が指名する者により構成されており、原則として四半期に1回開催しております。また、監査役は、自らの判断により本委員会に出席し意見を述べることができます。
② 戦略
当社が優先的に取り組むべき課題として、自社社員、設置先企業、株主などのステークホルダーの皆様のご意見を伺った上で、ESGに関わるガイドラインなどを参考にしながらマテリアリティ(本業を通じて解決するべき最も重要な課題)を特定しました。
(2)気候変動
当社グループは、気候変動への対応を重要な経営課題の1つとしてとらえており、「シェアリング文化の普及」に取り組むことで、「便利さ」と「サステナブル」が両立することを広め、サステナブルな行動に対して人々が感じるハードルを「Bridge」することを目指しています。
① ガバナンス及びリスク管理
気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティに関する考え方に組み込まれています。詳細については、(1)サステナビリティに関する考え方の、①ガバナンス、②リスク管理をご参照ください。
② 戦略
a.「ChargeSPOT」によるCO2削減効果
当社グループの主要事業である「ChargeSPOT」は、ひとりひとりがモバイルバッテリーを購入して使用する際に比べて42%のCO2排出量を削減することが可能です。
※ 森林1haの年間吸収量を8,800 kg-CO2と想定して算出(出典:林野庁)
※ 日本・中国・香港・台湾の直営エリアの2024年12月時点実績を元に算定
※ アスエネ株式会社による算定
b.適切なモバイルバッテリー及びバッテリースタンドの処理
モバイルバッテリーに使用しているリチウムイオン電池は、一般ゴミで処理をすることができません。一般ゴミとして不法に処理された際のゴミ収集車の火災や、ゴミ処理場の火災も問題になっています。そのため当社グループでは、自社で出た廃棄バッテリーの適切な処理を進めるとともに、モバイルバッテリーの購買・所有から「ChargeSPOT」の利用に行動を変容させたユーザーに対しての啓蒙活動も実施しております。
バッテリースタンドについても、100%のリサイクルを実施し、電子ゴミを出さないための対策を行っております。
c.CO2排出量の算出とオフセットの実施
当社グループでは、2022年度から日本法人でのCO2排出量のScope3までの算出を実施しています。2023年度からは子会社でのCO2排出量も算定対象とし、2024年度は新たに子会社化した台湾とオーストラリアの分を算定範囲に追加しました。
当社のCO2排出量の5割が設置したバッテリースタンドが使用する電力によるScope3の排出であることから、毎年の1月1日段階の設置スタンドの年間の使用電力のうち1割分のグリーン電力証書を購買することでオフセットしています。大型のバッテリースタンドにはグリーンパワーマークを表示することで、グリーン電力の普及活動にも協力しています。
今後も、バッテリースタンドの使用電力を低減するための機器の改良や、オフセットの実施、グリーン電力やカーボン・オフセットの普及活動を継続してまいります。
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カテゴリー |
2023年度 排出量(tCO2e) |
2024年度 排出量(tCO2e) |
割合 |
|
Scope1 |
|
|
0.00% |
|
Scope2 |
|
|
0.79% |
|
Scope3 |
|
|
99.21% |
|
1,購入 |
308 |
1,232 |
18.4% |
|
2,資本財 |
1,553 |
1,490 |
22.2% |
|
4,輸送(上流) |
192 |
151 |
2.26% |
|
5,事業廃棄物 |
32.4 |
4.8 |
0.07% |
|
6,従業員の出張 |
14.8 |
165 |
2.46% |
|
7,従業員の通勤 |
104 |
103 |
1.53% |
|
8,リース資産(上流) |
3,056 |
3,567 |
53.1% |
|
合計 |
|
|
100.00% |
※ 上記の排出量は、日本法人、中国、香港、オーストラリア、台湾のグループ会社の排出量を含む。オーストラリア・台湾については連結前の数値を含む、年間数値を組み入れ。
※ 2024年度よりCO2排出量の算定方法の変更を行いました。当該算定方法の変更は、過年度分も遡及適用し、2023年度は変更後のCO2排出量となっております。
※ 環境省、経産省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量の算定に関するガイドライン」に基づき算出。上記に記載のないカテゴリーは、排出源が存在しない、もしくはScope1、2に含めて算定を実施。
※ Scope2排出量に関しては、マーケット基準にて算定。
※ Scope3排出量に関しては、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.2を用いて算定。
※ Scope3の排出量は、グリーン電力証書によるオフセット後の数値。
③ 指標と目標
当社グループでは、今後もCO2排出量の算定を実施し、状況に応じた排出削減策を講じてまいります。また、Scope3についても適宜オフセットを実施することで、気候変動への対応を実施してまいります。
(3)人的資本
当社グループは、2018年4月に香港でモバイルバッテリーのシェアリングサービスを展開するCha Cha Station (Global) Holdings Limited(現 INFORICH ASIA HOLDINGS LIMITED)と業務提携が成立したことから、モバイルバッテリーのシェアリングサービスのChargeSPOT事業を開始いたしました。当初より日本と香港でサービスを運営しており、グローバルを視野に経営を行っております。今後も「ChargeSPOT」の海外展開を加速させ、また、新たなビジネスを見つけ・展開していく上では、多様な人材による視点と多彩な能力が必要です。
当社グループの会社経営の中核には「多様なものが混在する中にこそ、多くの可能性がある」という信念があります。2023年8月にはミッション・ステートメントを「Bridging Beyond Borders -垣根を越えて、世界をつなぐ-」にリニューアルし、より一層「垣根」を超える組織とサービスの開発に力を入れてまいりました。今後も、多様な人材が多様な才能を活かせる環境を整え、社員同士を「Bridge」することで、当社の持続的成長につなげていきます。
① ガバナンス及びリスク管理
人的資本に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティに関する考え方に組み込まれています。詳細については、(1)サステナビリティに関する考え方の、①ガバナンス及びリスク管理をご参照ください。
また、当社グループでは社外に法令違反行為や社内ルールに違反する行為に関する相談を受け付ける内部通報窓口を設けております。健康やメンタルヘルスについてや育児などのプライベートな相談もできる外部相談窓口とも契約することで、社員の問題解決支援を行っております。
② 戦略
a.多様な人材の確保
当社グループの2024年12月末時点での常勤の非日本国籍社員は連結で58%、女性社員比率は連結で36%であり、当社グループの社員全体での多様性は高いと言えます。日本法人の女性管理職比率についても、2023年度実績では5%と低く、2024年度中に10%まで改善することを目標としていましたが、2024年度末時点で18.8%と改善しました。
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|
日本(株式会社INFORICH) |
18.8% |
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(Trim株式会社) |
20.0% |
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広州(殷富利(广州)科技有限公司) |
35.0% |
|
香港(INFORICH ASIA HONG KONG LIMITED) |
33.3% |
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オーストラリア(EZYCHARGE AUSTRALIA PTY LTD) |
12.5% |
|
台湾(ChargeSpot Digital Service Co., Ltd.) |
36.3% |
日本法人の管理職(執行役員~担当部長)の男女割合は、執行役員、統括部長で差が大きい一方、担当部長では女性割合が30%を超えています。
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男性割合 |
女性割合 |
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執行役員 |
85.7% |
14.3% |
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統括部長 |
100.0% |
0.0% |
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担当部長 |
68.4% |
31.6% |
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Leader |
80.6% |
19.4% |
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Senior Associate |
42.9% |
57.1% |
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Associate |
47.4% |
52.6% |
当社では人事評価を半期に一回実施しておりますが、その際は男女共通の基準で実施しており、2024年度も男女ともに基準を満たした人物を昇進させています。また、入社時のミッションランクについても、男女問わずスキルに合ったランクを適用しており、女性がマネージャー職として入社するケースも増加しています。
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2024年3月 |
2024年9月 |
合計 |
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男性昇進者数 |
2名 |
6名 |
8名 |
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女性昇進者数 |
4名 |
1名 |
5名 |
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合計 |
6名 |
7名 |
13名 |
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男性割合 |
33.3% |
85.7% |
61.5% |
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女性割合 |
66.7% |
14.3% |
38.5% |
一方で、日本法人においては、男女の賃金の差異がグループ全体で最も大きく、女性の賃金が男性の賃金に対して、全労働者で60.2%、正規雇用労働者で65.3%になっています。当社では、男女同一の賃金制度を適用しており、人事評価・人事制度上の男女間の差異は設けておりません。現在生じている差異は職務、ミッションランクの違いによるものが中心です。
しかし、同一のミッションランク内でも女性の賃金のほうが低い状況にあります。このことは、当社では中途採用の社員が大半であるため、前職の給与を参考にした給与設定をしている結果だと考えられます。今後は、各社員が担当している役割を基準に、保有能力と発揮能力を加味した給与レンジを設定していく形式(制度)に変更し、前職の給与による影響を縮小してまいります。給与レンジ設定の改定により、性別による賃金の差異も改善する見込みです。
b.多様なバックグラウンド/才能を活かす環境の整備
当社グループでは、多様なバックグラウンドや才能を有する社員が活躍できるように、心理的に安全な職場環境の整備を進めています。
2023年11月に当社日本法人で実施した組織・カルチャーサーベイでは、多くの社員が「多様性の尊重と理解」「心理的安全性の担保」「個別環境の理解と尊重」についてポジティブな意見を持っていることが分かりました。2024年6月時点の調査でも引き続き高い水準を保っていますが、他社平均と比べて低いスコアの項目も出ています。引き続き、自社内でのスコアの向上を目指してまいります。
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2024年6月時点結果 |
2023年11月時点結果 |
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全体 |
他社(全体) |
男性 |
女性 |
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多様性の尊重と理解 |
4.0 / 5.0 |
3.8 / 5.0 |
4.0 / 5.0 |
3.8 / 5.0 |
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心理的安全性の担保 |
3.8 / 5.0 |
4.1 / 5.0 |
3.6 / 5.0 |
3.7 / 5.0 |
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個別環境の理解と尊重 |
4.2 / 5.0 |
4.3 / 5.0 |
3.9 / 5.0 |
4.2 / 5.0 |
多様性の面では、多国籍のメンバーが様々な部署で働いていることが特徴です。当社グループは海外にも子会社を有するため、グループ全体での非日本国籍社員は58%と高くなっています。日本法人内でも、25%の社員が非日本国籍です。出身地も多様で、中国、台湾、香港、イギリス、韓国、アメリカなど、複数のエリアから社員が集まっています。
※ 出身地は人数が多い順に記載
また、所属する部署も多岐にわたっており、16ある部署の中で半数以上の10部署が多国籍メンバーで運営されています。
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日本(株式会社INFORICH) |
25.0% |
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(所属部署) |
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Internal Audit(内部監査) |
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Marketing |
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Business Intelligence(データ分析) |
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Overseas |
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Product |
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Engineering |
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Operational Excellence(子会社管理/知財管理) |
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Corporate Planning |
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Legal |
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HR&GA |
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c.グローバルでの連携強化
当社グループは日本国内だけではなく、中国、香港、台湾、オーストラリアにも子会社を有しています。当社グループの中長期的な企業価値の向上のためには、グループ全体での一体感を醸成し、情報共有を円滑にすることが重要だと認識しています。
現在はグループ内の各社のValueの統一を行っているほか、今後は人事評価の方法やミッションランクの統一を進める予定です。また、四半期に一回、海外子会社を含んでの全社会議を行うほか、各部署がグローバルでの連携会議を持つなどの情報共有を進めています。年に一回、フランチャイズ運営企業を含めた全拠点のCEOが集まっての対面会議も実施しております。
d.職場環境整備
当社は現在の原宿オフィスに2018年に入居し、それ以降約6年間、同地で経営を行ってまいりました。その間、社員数は国内19人から約130人と大幅に増加し、フロア内で増床はしてきたものの、オフィスの収容可能人数を大きく上回っています。コロナ禍を経て、現在でもリモートワークとオフィス出社のハイブリット型勤務体制をとっておりますが、出社時の会議室やオンライン会議への参加スペースの確保が難しいなど、オフィスの利便性が課題となっています。また、災害時にも対応できるオフィスとすることが必要です。
今後も社員数の増加が見込まれることと、座席や会議室の確保による生産性の向上を実現すること、また事業継続力の強化を目指す必要があることから、この度移転を決定いたしました。4月21日を予定している移転後は、席数は93席から197席に大幅に増加します。
現在のオフィスでも、違う部署のメンバーを含む3人以上での飲食に対してはコミュニケーションランチ・コミュニケーションディナーとして補助金を出すなど、出社時のコミュニケーションを促進するための施策を行ってまいりました。今後も社員の積極的な出社を推奨するとともに、全社員が参加する会議を自社オフィスで開催するなど、社員同士のコミュニケーションを活性化し、エンゲージメントを加速させてまいります。
社員がより働きやすく・活躍できる環境にするために、当社(日本法人)では、スキルの向上とコミュニケーション活性化の機会の提供と、ライフステージが変わっても働けるようにするためのプログラム提供を検討しております。
[スキル向上プログラム]
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コミュニケーションスキルトレーニング |
日本法人に在籍する外国籍社員に対して、日本語トレーニングを実施しています。 |
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コンプライアンストレーニング |
日本法人では、法令遵守/情報保護/ハラスメントなどについてのe-Learning・オンライン研修を実施しています。 海外子会社でも法令遵守/情報保護の研修会を実施し、社員の意識向上に取り組んでおります |
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Learning Circle |
毎月、担当部長以上のメンバーが集まり、マネジメントの経験とナレッジをシェアする場を設けています。新たな気付きやヒントを得て今後のマネジメントに活かしていくことが目的です。 |
[コミュニケーション促進プログラム]
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Global CONNECT (全社ミーティング) |
全社員が集まってのオフラインミーティングを定期的に実施し、会社の現状やプランを理解する機会にしています。四半期に1回は海外子会社の社員もオンラインで参加し、全社を「CONNECT」しております。 |
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チームビルディング |
四半期に一回、全社員でのイベントなどを通じたチームビルディングを実施しております。 |
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コミュニケーションランチ/ディナー |
他部署のメンバーを含む3名以上でランチやディナーに行った場合、飲食代金の補助を行っています。 |
[ライフサポートプログラム]
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ハイブリッドワーク |
コロナ禍から開始したハイブリッドワークは社員の柔軟な働き方を支援するため、今後も継続していきます。 |
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フルフレックスタイム制 |
既存のコアタイムをなくしたフルフレックスタイム制を導入し、社員の働き方をより柔軟にしています。 |
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Work with family |
年30日間、出身地・国でリモートワークができます。 |
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有給の病気休暇 |
通常の年次有給休暇とは別に有給の傷病休暇を設け、年次有給休暇をリフレッシュや疲労回復などの目的に利用することで、メリハリのある勤務を実現します。正社員自身と正社員の2親等以内の親族の病気・怪我に対して使用することが可能です。 |
③指標及び目標
ミッション・ステートメントである「Bridging Beyond Borders -垣根を越えて、世界をつなぐ-」を体現した組織にするため、当社グループでは女性管理職比率と、組織・カルチャーサーベイのうち「多様性の尊重と理解」「心理的安全性の担保」「個別環境の理解と尊重」のスコアを重要指標として取り組んでまいります。
女性管理職比率については、日本法人において現在18.8%であるところを2025年度中に20%、2030年度までに30%にすることを目指します。
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2024年6月時点結果 |
2025年6月目標 |
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全体 |
他社(全体) |
全体 |
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多様性の尊重と理解 |
4.0 / 5.0 |
3.8 / 5.0 |
4.2 / 5.0 |
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心理的安全性の担保 |
3.8 / 5.0 |
4.1 / 5.0 |
4.0 / 5.0 |
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個別環境の理解と尊重 |
4.2 / 5.0 |
4.3 / 5.0 |
4.3 / 5.0 |
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、顕在化の回避及び顕在化した場合の迅速な対応に努める方針であります。
具体的には、当該リスクを把握し、管理する体制・枠組みとして当社内にコンプライアンス・リスク管理委員会を設置して対応しております。詳しくは「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ 企業統治の体制の概要 f.コンプライアンス・リスク管理委員会」をご参照ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
<経営環境に関するリスク>
(1)当社グループ事業が対象とする市場について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:重)
当社グループの展開するChargeSPOT事業が属するモバイルバッテリーのシェアリングサービスの市場は年々拡大しておりますが、環境整備や新たな法的規制の導入、その他何らかの要因によってモバイルバッテリーのシェアリングサービスの市場の発展が阻害される場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。当社グループは、アプリケーションと連携した広告展開や他社との差別化を推進することで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのマーケティングソリューションの中心であるデジタルサイネージを活用した広告の市場では、広告配信手法や販売メニューが多様化し、競争が激化する傾向にあります。また、デジタルサイネージ市場の他に革新的な広告方法や広告配信技術が出現した場合、デジタルサイネージへの需要が縮小する可能性があります。当社グループは、広告効果の継続的なモニタリングを行い、新機能や新たな技術の研究開発を推進することで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合環境が激化するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループの展開するモバイルバッテリーのシェアリングサービスは規制業種ではなく、また、モバイルバッテリーやバッテリースタンドの製造はOEMが可能なため、同サービスへの参画企業の増加による競合激化リスクが存在します。
サイネージサービスにおいては、例えば銀行業におけるATMでのデジタルサイネージ等、既にさまざまな業種でデジタルディスプレイによるサイネージサービスが展開されております。これら競合となり得るサービスはこれからも増加することが想定されます。
当社グループが展開する国内ChargeSPOT事業のモバイルバッテリーのシェアリングサービスのマーケットシェアは、バッテリースタンド設置台数ベースで約8割※を占めており、収益基盤は安定していると考えております。また、サービス開始時から、カスタマーサポート体制の充実、バッテリーの偏在を解消するためのシステムの精緻化、バッテリースタンドおよびバッテリーの改善など、ユーザーの利便性と設置先さまの安心感を高めるための取り組みを進めてまいりました。バッテリースタンドの設置台数の多さとサービスレベルの高さは、当社サービスにとっての競合優位性であると言えます。
海外ChargeSPOT事業では、香港・台湾、Ezychargeでは第一位のシェアを獲得しています※。今後も、日本国内で既に設置している企業の海外店舗への設置を進めるなどの協力体制を強化するとともに、現地子会社を通じて積極的な設置を続けてまいります。中国本土は当社グループの研究開発拠点としてプロトタイプ実験などを継続して行うことで、グループ全体の製品品質の向上につなげていきます。
当社グループは、今後もバッテリースタンド設置台数及びユーザー数拡大、サービスレベルのさらなる向上に向けて種々の施策を講じていく計画ですが、競合環境の激化によりこれらの計画が想定どおり進行しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
※ 2024年12月末時点の当社グループの設置台数と競合他社が公表している台数を基に当社で算出
(3)技術革新について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:重)
近年、スマートフォンやモバイルバッテリーに関連する新しい製品やテクノロジーが次々と開発されております。ChargeSPOT事業を牽引するニーズはスマートフォンの電池性能に大きく影響されるため、将来発売されるスマートフォンの内蔵バッテリーの電池性能の向上は、当社グループの事業活動及び業績に大きな影響を与えます。当社グループが、これらの変化へ適切に対応できない場合、当社グループの業界における競争力が低下する可能性があります。当社グループにおいては、関連するテクノロジーの最先端である中国広東省広州市に研究開発拠点を設け、最新の技術革新への対応を図ることにより当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの発生によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
スマートフォンに内蔵されるリチウムイオンバッテリーは、購入後2年が経過した時点を目安に電池充電容量が80%まで低下する性質を持っています※1。一方で、スマートフォンの買い替え周期は機種の高額化などによって長期化しており、2022年時点ではおよそ4年7ヶ月になっています※2。
バッテリーの内蔵電池容量は1994年以来、年平均で約11%増加していますが、同時にディスプレイの高精細化、アプリケーションの高容量化などによってスマートフォンの消費電力量も年間平均17.9%増加しています。その結果、電池容量と消費電力の差分は28年累計で5倍の乖離が発生しています。
リチウムイオン電池の性能は負極材料の改良等による改善の可能性があるものの、現在の電池性能を大きく上回り、上記のとおり今後一層の増加が予想される消費電力を完全に賄うことができる程のイノベーションが発生する可能性は必ずしも高くないと考えております。また、リチウムイオン系の電池以外の電池技術に関しても、技術及び価格の両側面においてスマートフォンで利用可能となるまでに相当程度の長期間を要するものと考えております。
当社グループは、バッテリー技術の動向を継続的にモニタリングしており、重要な技術革新には遅滞なく打開策を策定してまいります。しかしながら、当社グループの想定していない電池分野における急速な技術革新により、重度なスマートフォン利用にもかかわらず長時間追加充電を必要としないバッテリー等、消費電力の増加を賄うことができる高性能なバッテリーを内蔵したスマートフォンが広く普及する事態となった場合には、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
※1 「移動端末用リチウムイオン電池の容量劣化特性」(NTT DoCoMo テクニカル・ジャーナル)による
※2 内閣府「2022年度版・消費動向調査」
(4)通信インフラ環境やネットワーク環境について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:軽)
当社グループが展開するChargeSPOT事業は、通信インフラ環境やサーバー等のネットワーク環境に依存しております。当社グループは、安定的なサービス提供のため、通信業者の分散化、サーバーの負荷分散及び監視強化、障害が発生した際に早急に復旧するための体制整備等を進めております。しかしながら、自然災害や事故、サイバー攻撃、サービス利用者急増に伴う負荷、その他何らかの事由によって当該環境に障害が発生し、サービスを停止せざるを得ない状況となった場合は、機会損失、顧客への損害の発生、サービスに対する信頼性の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外に事業を展開していること(政治や規制など)(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社グループは、日本国内のほか、アジアを中心に海外でも事業を展開しております。また、ChargeSPOT事業で使用するモバイルバッテリー及びバッテリースタンドの研究開発拠点及び生産委託先企業は中国にあります。当社グループは、中国以外に所在する生産委託先の開拓を進める等、同国への依存度の低下を推進しておりますが、同国の政治・経済・社会情勢の変化に伴い、事業環境の悪化や従業員の流出等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、政治的・経済的要因等により、予期できない投資規制、移転価格税制を含む税制や法的規制の変更等が当社グループが事業を展開している国等で行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害等について(顕在化の可能性:-、顕在化の時期:-、影響度:中)
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電(以下「自然災害等」という)が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、昨今の気候変動によって気象災害が頻発していることは、当社グループの所有するバッテリースタンドへの影響やレンタル数の低減に繋がる可能性のある重大なリスクだと認識しております。
また、当社グループの主要な事業拠点である日本の首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、サービスの提供等がやむを得ず一時的に停止する可能性もあり、当社グループの信頼性やブランドイメージを毀損する可能性があります。
当社グループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等、有事の際の対応策の整備を進めております。また、自然災害等の発生によって首都圏での災害後対応が難しい場合には他エリアの営業拠点に災害対策本部を設置することを想定しています。しかしながら、自然災害等の発生による影響を完全に回避できる保証はなく、物的、人的損害が甚大である場合には事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。
このように、自然災害等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)感染症について(顕在化の可能性:-、顕在化の時期:-、影響度:中)
当社グループが提供するサービスは、ヒトの移動に深く連動しております。感染症拡大に伴い政府による緊急事態宣言等が発令された場合、外出自粛や飲食店・サービス業の運営自粛により人流が抑制され、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、コンビニエンスストア等の外出制限時にも往訪頻度が高い場所へバッテリースタンドの設置を進めることで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、生産拠点である中国国内で感染症が拡大した場合は、生産委託先の工場の閉鎖、工場作業員の感染による生産性の低下などのリスクがあります。当社グループでは年間の発注計画を早期に取りまとめ、オーダー時期を早める事で納期遅延のリスク低減を図っております。また、工場の閉鎖が長期化した場合には、生産委託先工場の中国外の拠点に生産ラインを変更できるように体制を整えておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)風評被害について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:-、影響度:中)
当社グループの事業運営に関し、悪意を持った第三者が、意図的に噂や憶測、悪評を流すなどした場合は、当社グループに対する誤解、誤認、誇大解釈等が生じる可能性があります。また、当社の「ChargeSPOT」を設置している店舗や施設、その運営企業や、サイネージに広告を出稿している企業、「CheerSPOT」に参画しているアーティストやその事務所などに法令違反やコンプライアンス上の重大な問題が発生した場合、「ChargeSPOT」や当社のブランド力に悪影響が生じる可能性があります。
これらの場合、顧客マインドにマイナスの影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、倫理規程の周知やコンプライアンス研修の実施により、役職員のコンプライアンス意識の醸成を図ることで健全な企業経営を推進してまいります。また、他社との契約等の際のチェックを重視するとともに、契約後も必要に応じて取引の緊急停止などの措置を講じる方針です。また、悪意のある風評等には毅然とした姿勢で対応する方針です。
<経営戦略に関するリスク>
(9)継続的な投資と損失計上について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社グループの展開するChargeSPOT事業は、投資が先行し、事業規模の拡大につれて収益性が高まるという特性があります。
当社グループは、スピード重視の経営と積極的な投資を実施し事業規模が拡大した結果、2023年度12月期の連結業績が黒字化いたしました。しかし、中長期的な成長のためには今後も引き続き設置数増加や新たなタイプの機種の開発などへの投資を継続する必要があります。
国内では既存モデルのバッテリースタンドの設置を増やすとともに、自動販売機モデルの設置も加速させることで、屋外を含めた新たな場所の獲得を進めてまいります。海外でも、既存直営エリアでの設置数の増加を進めるとともに、イギリス子会社を拠点とした欧州への展開を加速させてまいります。既に開示している通り、2025年中にイタリアでの直営展開を開始する予定です。
投資については財政状況を見ながら決定し、今後も黒字が継続するものと考えておりますが、当該投資によっても当社グループが想定している成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)フランチャイズについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:軽)
当社グループの海外展開においては、効率的な事業運営のため、当社グループの中国の一部、タイ、シンガポール及びマカオにおけるChargeSPOT事業を、フランチャイズ契約により展開しております。フランチャイジーの選定においては、現地での事業運営に寄与する営業力や経営資金を有することを重視しており、現地でのビジネス立ち上げのスピードを早めております。しかしながら、何らかの理由で事業の立ち上げや運営に支障が生じた場合や、フランチャイズ先においてブランドイメージ等に悪影響を及ぼすような事態が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)新規事業、業務提携や企業買収等について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社グループは事業を運営していく中で継続的な成長性や収益性等を維持するため、他社との業務提携または企業買収(以下、「企業買収等」という)を行ってきました。今後も中長期的な成長を目的とした企業買収等を実施する可能性があります。
その際、当該企業買収等が想定した成果を得ることができず、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用等が発生した場合や企業買収後の内部統制が有効に機能せず、当該企業での不祥事等が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループにおいては、企業買収等を実施する前に外部専門家による綿密なデューデリジェンスや事業価値評価を実施することで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)新規事業について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社グループは、ChargeSPOT事業で築いた設置先とユーザーとのネットワークを基盤に、新たな収益機会を発掘するプラットフォーム事業の展開を進めています。2024年には、ファンが個人でアーティストやIPコンテンツ等への応援を発信できる「CheerSPOT」を新規事業として開始しており、今後も新たなサービスを開始する可能性があります。新規事業の開始に際しては市場環境や必要な許認可等の取得などの事前の精査を行ってまいりますが、その際、当該事業が想定した成果を得ることができなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
<企業体制に関するリスク>
(13)内部管理体制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社グループは、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。また、業務の有効性及び効率性、報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の整備、運用が追いつかない場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)有能な人材の確保・育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループの事業においては、各業務分野において専門性を有する人材が必要であり、今後とも業容拡大に応じて継続した人材の確保が必要であると考えております。「GROW GLOBAL」を目指す上で重要な、グローバルでの知見を有する人材のほか、子会社の増加に対応するため、高度なガバナンス能力を有する人材の確保を重要事項と定め、採用に取り組んでおります。
当社グループにおいては、優秀な人材を採用するための手法を取り入れつつ採用広報を積極的に実施することで安定的な人材の確保に努めております。しかし、今後、各業務分野及び地域における人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材の獲得が困難となる場合又は在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)特定の人物に対する依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:重)
当社グループの創業者は、当社の代表取締役社長兼執行役員CEOの秋山広宣であります。同氏は、日本語の他、英語、中国語を使いこなすことができ、また、中国におけるネットワークを有していることから、当社グループの海外展開において重要な役割を担っております。さらに、当社設立以来、経営方針や経営戦略の決定等の事業運営において、重要な役割を果たしております。当社グループとしては、特定の役職員に依存しない組織的な経営体制の構築に努めておりますが、専門的な知識、技術及び経験を有する同氏に、何らかの理由によって不測の事態が生じた場合、又は、同氏が早期に退任するような事態が発生した場合には、当社グループの事業展開及び業績等に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度の関連当事者取引の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載のとおりであります。
<事業運営に関するリスク>
(16)モバイルバッテリー及びバッテリースタンドの不具合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社グループがChargeSPOT事業で使用するモバイルバッテリー及びバッテリースタンドは、市場投入後に不備が発生し、想定していた収益を生まない可能性や当該製品の回収費用等が発生する可能性があります。
当社グループでは、製造委託先の分散化を進めており、品質に問題が発生した場合の損失軽減を図っております。また、製品の検品体制を強化しており、開発段階のみならず量産段階においてもパーツごとの耐久テストを継続的に行っております。さらに、安定した品質を保つべく常時デザインの改良を行っており、新しいデザインを市場に投入する際は、小規模のテスト設置を行った上で段階的に設置拡大することでリスクの最小化を図っております。
品質管理部門においては、隔週で日本と中国間の情報共有の場を設け、製品品質に問題が無いことを確認しております。また、想定されるリスクについては、四半期に一度のコンプライアンス・リスク管理委員会で定常的な検討を行い、万が一品質に問題が発生した場合やその可能性を認識した場合は、直ちに臨時のコンプライアンス・リスク管理委員会を召集し迅速に対応することとしております。
昨今では、インターネット等で日本の安全基準を満たしていない海外製のモバイルバッテリーの流通が増えているほか、モバイルバッテリーを自動車内に放置するなどの危険な使い方が起きていることによって、バッテリーから発火する事故が発生しています。当社グループで使用しているモバイルバッテリーは、「電気用品安全法」(PSE法)に定められた「電気用品」に該当し、当該基準に適合しているものです。引き続き安全性の高いバッテリーを使用するとともに、ユーザーに対してはモバイルバッテリー全般を危険な形で使用しないように啓蒙活動を実施してまいります。
当社グループでは、上記のような対策を講じリスクの低減を図っておりますが、当該リスクの顕在化によって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)バッテリースタンドの設置先について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:重)
当社グループがChargeSPOT事業で使用するバッテリースタンドの設置先は、ユーザーにとって利便性が高い場所にあるという理由からコンビニエンスストア内の占める割合が相対的に高い状態となっております。かねてより、複数のコンビニエンスストアチェーンに導入していただいているほか、他業種への設置も進め、リスクの低減化を図っております。
しかしながら、何らかの理由で大手コンビニエンスストア等との設置契約が継続的に更新されない場合は、バッテリースタンドの設置台数が大幅に減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)ラウンダー委託会社について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:-、影響度:重)
当社日本法人では、バッテリーの偏在を解消するためのラウンダー作業を外注しております。半数ほどの作業を「スポットワーカー」のマッチングプラットフォームを経由して依頼しておりますが、プラットフォームの運営企業に予期せぬ事態が発生した場合、偏在解消作業が滞る可能性があります。
当社では、軽貨物配送サービスを展開する企業にも委託を行う、エリア内でのラウンダー担当アルバイトを採用するなどして分散を図っております。ラウンダー業務委託先を複数にすることも検討し、サービス停止時の移管先も確保しておりますが、当該事象が発生した場合、サービスの品質低下によって財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(19)主要な原材料について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社グループが委託生産しているモバイルバッテリー及びバッテリースタンドにはディスプレイや汎用モジュールなどの多くの部材が使用されております。当社グループは、仕入先の多角化を進めるとともに、一定数の在庫を確保しております。需給バランスの崩れ等により購入価格に影響がでた場合や計画通りに購入できない場合にも即時に影響が出ないように対策を行なっておりますが、長期的に購買ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(20)製造物責任について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社グループがChargeSPOT事業で使用しているモバイルバッテリー及びバッテリースタンドは、中国本土の外部工場へ生産委託を行っておりますが、製品開発は当社グループが行っており製造物責任を負っております。そのため、モバイルバッテリー及びバッテリースタンドの欠陥により第三者に発生した事故等により、当社グループの社会的信用の低下や多額の賠償義務が生じる場合があります。
当社グループは、当該外部工場に厳格な品質管理体制の構築を求めること及び賠償責任保険の付保により当該リスクの低減を図っております。また、大型のバッテリースタンドについては倒れにくい設計にしているほか、必要に応じて設置時の固定を実施し転倒による事故を防いでいます。しかしながら、当該リスクの顕在化によって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(21)情報セキュリティについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:-、影響度:軽)
当社グループは、ユーザーの個人情報、その他業務上必要な情報を保有しております。このような機密性の高い情報を適切に管理するため、当社はプライバシーマーク(JISQ15001)を取得し、個人情報保護規程等の社内規程に基づいた情報管理に関する社内ルールの周知徹底を図っております。さらに、セキュリティ対策には万全の措置を講じ、定期的にこれらの規程を見直し、改善しています。
また、情報漏洩等が発生した場合の社内対応フローを整え、従業員向けの定期的なセキュリティトレーニングを実施すると共に、社内外の専門家に相談できる体制も確立しています。加えて、サイバー攻撃を予防、検知し、対応する体制を構築し、情報セキュリティ関連の法律や規制を厳格に遵守しています。
しかし、万が一これらの情報がサイバー攻撃など多岐にわたる脅威によって漏洩した場合は、当社グループの信用やブランド価値が毀損し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<規制等に関するリスク>
(22)法的規制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:重)
当社日本法人が行うモバイルバッテリーのシェアリングサービス事業は、現時点においては許認可等を要する規制業種には該当しませんが、事業運営に当たり、消費者契約法、景品表示法、電気用品安全法など多くの法律、法令や自治体の定める条例等による法規制を受けております。
当社グループでは、法的規制の遵守を徹底しており、現時点において各種法令違反となる事由は発生しておりませんが、将来において新たな法的規制の導入や大規模な改正、規制の強化等が生じた場合には、当社日本法人の事業活動が大幅に制約されることとなり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(23)許認可について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:軽)
当社日本法人が行うモバイルバッテリーのシェアリングサービス事業は、現時点においては許認可等を要する規制業種には該当しませんが、将来において新たな法的規制の導入や大規模な改正、規制の強化等が生じた場合には、当社日本法人の事業活動が大幅に制約されることとなり、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(24)知的財産権について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社グループが提供するサービスについて、現時点で第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。今後も、国内外で弁理士・弁護士などの専門家に相談しながら知的財産権侵害を回避するための必要な措置を講じていく方針です。また、当社グループの保有する知的財産権が侵害されることがないよう、知的財産権の管理業務の一部を外部の専門家へ委託すると共に、関連部署が共同して知的財産権の保全に努めております。
しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、または第三者により当社グループの知的財産権が侵害された場合は、当該第三者から損害賠償請求を受ける、または第三者からの権利侵害により不利益を被る等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<会計税務に関するリスク>
(25)固定資産の減損について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、回収可能性が見込めなくなった固定資産については減損処理を実施する方針であります。
当社グループは、ChargeSPOT事業で使用しているモバイルバッテリー、バッテリースタンドを固定資産に計上しておりますが、当該資産から得られるキャッシュ・フローの状況等が悪化し、それらの回収可能性が著しく低下した場合には減損処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各拠点ごとに「ChargeSPOT」の稼働状況に関する実績データを集積及び解析し、稼働が見込める場所に集中投資するなど設置戦略に反映することで当該リスクの軽減を図っております。
(26)のれん及び顧客関連資産の減損について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社グループは、M&Aの実施に伴い発生したのれん及び顧客関連資産を連結貸借対照表に計上しております。当該のれんは、今後の事業活動により期待される将来の超過収益力に基づき算定しており、顧客関連資産は、既存顧客との継続的な取引関係により生み出すことが期待される期待収益の現在価値として算出しております。
今後、事業環境の変化等により収益性が低下した場合に、当該のれん及び顧客関連資産について減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(27)税務上の繰越欠損金及び繰延税金資産について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:軽)
当連結会計年度末において、当社グループには税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税等が課せられておりません。今後、繰越欠損金の使用、又は期限切れによる繰越欠損金の解消により、課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税等の負担が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討し、繰延税金資産を計上しています。しかしながら、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、また、税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(28)為替の変動について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:軽)
当社グループは、日本国内のほか、アジアを中心に海外でも事業を展開しております。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建てでの取引による項目は、円換算し連結財務諸表を作成しております。円換算時の為替レートにより、これらの項目はもとの現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、外国通貨建て取引については、予測を超えた為替変動が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
本書の提出日現在、当社グループでは、為替予約等は行っておりませんが、当該リスクの変化を継続的に評価するとともに、今後は、為替予約等のリスクヘッジ取引の利用を検討してまいります。
<株主に関するリスク>
(29)配当政策について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置づけておりますが、創業して間もないことから、現状では、持続的成長と事業拡大に向けた積極的な投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考え、創業以来配当は実施しておりません。
将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して利益還元策を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
なお、内部留保資金については、更なる事業拡大のための設備投資、海外展開エリアの開拓のための投資、人材採用及び研究開発等に活用していく予定であります。
(30)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期、影響度:軽)
当社グループは、役職員及び社外協力者に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。連結会計年度末日における新株予約権による潜在株式数は811,145株であり、これは発行済株式総数及び潜在株式数の合計10,314,020株の7.9%に相当いたします。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
<その他のリスク>
(31)事業歴が浅いことについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:-、影響度:中)
当社は、2015年9月に設立され、2018年4月にChargeSPOT事業をローンチした比較的事業歴の浅い会社です。ChargeSPOT事業におけるモバイルバッテリーのシェアリングサービスは、国内初の事業であり当社グループはそのマーケットリーダーでもありますが、未だ成長過程にあると認識しており、今後も積極的な成長投資等により一定期間業績が安定しない可能性があります。
また、当社グループはIR・広報活動等を通じて積極的に経営状況を開示していく方針でありますが、過年度の経営成績は期間業績比較を行うための有効な材料とならず、今後の業績等を判断する情報としては不十分である可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社グループはChargeSPOT事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は10,526,374千円(前連結会計年度末比4,595,025千円増)となりました。これは主に、現金及び預金が4,334,640千円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は8,382,029千円(前連結会計年度末比5,559,915千円増)となりました。これは主に、バッテリースタンドの新規設置及びモバイルバッテリーの取得等に伴うリース資産が264,385千円、工具、器具及び備品が321,428千円、建設仮勘定が143,081千円増加し、また、新規連結子会社の取得により工具、器具及び備品が853,232千円、のれんが2,924,711千円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は10,663,013千円(前連結会計年度末比5,764,930千円増)となりました。これは主に、契約負債が1,190,993千円、短期借入金が3,214,787千円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は2,854,815千円(前連結会計年度末比2,080,965千円増)となりました。これは主に、長期借入金が1,545,321千円、リース債務が309,433千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は5,390,574千円(前連結会計年度末比2,309,044千円増)となりました。これは主に、欠損補塡を目的とする減資による資本金334,382千円減少、資本剰余金3,366,700千円減少、利益剰余金3,701,082千円増加、また、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が2,061,074千円、為替換算調整勘定が51,318千円増加したこと等によるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済情勢は緩やかに持ち直しの動きを見せていますが、実質賃金の増加幅はごく僅かにとどまり、消費の持ち直しは限定的なものにとどまっています。世界経済では、米国の保護主義化によって中国をはじめとした各国経済の先行きが不安視されています。各国の政治の不安定化が今後の情勢を左右する可能性もあり、注視が必要です。
ChargeSPOT事業が対象とするモバイルバッテリーのシェアリングサービスの市場規模について、同サービス世界最大のマーケットである中国では、2023年12月末現在約517万台(出所:Fastdata,「2023 China Shared Power Bank Industry Trend Report」)のバッテリースタンドが稼動しており、年間約2.8億人がモバイルバッテリーのシェアリングサービスを使用しています。中国と日本では、市場、技術及び文化等の相違はあるものの、中国での市場規模の推移は今後の日本におけるモバイルバッテリーのシェアリングサービスの普及を予想する上で、一指標になるものです。
「ChargeSPOT」はモノを所有するのではなく貸し借りすることで使用する、シェアリングエコノミーを前提としたサービスです。昨今の環境意識の高まりなどを受けて、シェアリングエコノミーを積極的に活用するユーザーが一定数存在しています。一般社団法人シェアリングエコノミー協会と株式会社情報通信総合研究所が共同で発表した「シェアリングエコノミー関連調査2024年度調査結果 2025年1月公表」においては、2024年度のシェアリングエコノミーの市場規模は3兆1,050億円(※1)で、2022年度比で18.7%増加しています。今後もシェアリングエコノミー市場は拡大していくものと想定されます。
2023年4月に行った株式会社電通の調査に基づく当社の推計では、帰宅するまでにスマートフォンの充電が切れる人は約3,950万人、さらにそのうちの1,600万人は1日の外出時間中に最低2回以上の充電を必要としています。スマートフォンに使用されているリチウムイオン電池は、約600回の充電(概ね2年程度の使用)によって充電容量が80%に低下する特性を持っています(※2)。しかし、スマートフォンの高価格化が進んだ現在、スマートフォンの買い替えサイクルは4年7ヶ月に長期化しています(2022年度版の内閣府・消費者動向調査による)。この頃には、充電容量は新品時の30%程度にまで低下してしまいます(※2)。生活をする上でスマートフォンが欠かせないものになっている現在、数年以上使用したスマートフォンを使っている人が外出中に充電したいと感じることは自然なことと言えます。昨今、バッテリーについての研究が世界各国で盛んに実施されていますが、スマートフォンの電池のみを念頭に置いた場合、現在使用されているリチウムイオン電池以上のものは少なくとも2030年までには開発され得ないと想定されます(※2)。EV自動車やドローンなどのために開発される技術のスマートフォンへの転用は、小型化と安全性という観点で大きなハードルがあり、バッテリー技術の向上がスマートフォン性能の向上に直結するとは限りません。また、旧来よりリチウムイオン電池自体の性能の向上も行われており、内蔵電池の容量は年平均で11.6%増加しています(※2)。しかし、ディスプレイの高精細化やアプリケーションの高容量化、5G対応などによって、スマートフォンの平均消費電力量は17.9%と、内蔵電池容量以上に増加しています(※2)。以上のことから、外出中の充電のニーズは非常に高く、今後も高まっていくものと想定されます。
※1 市場規模は資産・サービス提供者と利用者の間の取引金額と定義
※2 当社調べ
また、株式会社CARTA HOLDINGSが株式会社デジタルインファクトと共同で実施した「リテールメディア広告市場調査 2025年1月23日公表」によれば、2024年の国内のリテールメディア広告の市場規模は、前年度比125%増の4,692億円に成長しました。そのうち147億円は店舗のデジタルサイネージを活用したものと推計されています。2028年の予測では、リテールメディア広告市場は2024年比約2.3倍の1兆845億円規模、そのうちデジタルサイネージは350億円規模に拡大すると予測されております。
当社の新サービスである「CheerSPOT(チアスポット)」については、「オタク」の活性化も普及につながると考えられます。矢野経済研究所の「オタク」市場に関する調査によると、2023年の「オタク」市場全体の市場規模は約8,176億円に上ると見込まれ、年々成長しています。ファンがアイドルなどへの「応援」のメッセージを広告面などに掲載する応援方法に関する市場も国内約300億円規模だと推定されています。
このような状況の中、当社グループは、ChargeSPOT事業の拡大に取り組むべく、積極的な投資を進めるとともに、新たなビジネス機会の創出に取り組んでまいりました。
バッテリースタンドの設置台数は2024年12月末時点で当社グループ全体では66,472台、国内では47,330台となり、「どこでも借りられて、どこでも返せる」の実現に向けて増加させております。月間アクティブユーザー数(四半期平均)は当社グループ全体では1,537千人、国内では1,020千人になりました。月間レンタル数(四半期平均)も当社グループ全体では283万回、国内では190万回になりました。フランチャイズ展開を行っているタイ、シンガポール、マカオを含めると、設置台数は71,073台になり、サービスの裾野がグローバルに広がっています。
当社は、「ChargeSPOT」の設置を通じて、幅広い業種の店舗や施設との関係性を築いてきました。「VISION2030(中期経営計画)」では、この関係性と多数のユーザーを土台にし、新たな収益機会を獲得することをプラットフォーム事業と定義し、重点領域に設定しています。
11月には、完全個室型ベビーケアルーム「mamaro」を提供するTrim株式会社を子会社化しました。「mamaro」は性別問わずに利用できる1畳程度のコンパクトな設計の完全個室型のベビーケアルームです。授乳やおむつ替え、離乳食の際などに利用することができ、商業施設や公共施設、駅やレジャー施設を中心に設置が進んでいます。ベビールームの中にはモニターがあり、広告を配信することも可能です。「ChargeSPOT」のサイネージに加え、「mamaro」内のモニターの活用も進めていきます。今後は、当社が今までに築いてきた設置先への展開を進めることで「mamaro」設置数の増加を目指すほか、「ChargeSPOT」を運営しているエリアをはじめとした、グローバルへの展開も検討してまいります。また、当社が築いてきた海外の協力工場との関係性をもとに製造におけるコスト削減を行うことで、売上伸長とコストカットの両面でのシナジーも見込んでおります。
かねてより進めていた「ChargeSPOT」のバッテリースタンドに付属するサイネージの活用にも引き続き取り組んでまいりました。当社が展開している「ChargeSPOT」のサイネージは日本全国の人流が多い場所に設置されていることから、台数の増加にともなって広告面としての価値も向上していくものと考えています。
12月には新たなサービスとして、「CheerSPOT」を開始しました。「CheerSPOT」は、「ChargeSPOT」のデジタルサイネージにおいて、ファンが個人でアーティストへの応援を発信できる新たなプラットフォームです。このプラットフォームの開始によって、個人が「ChargeSPOT」デジタルサイネージの広告枠を購入し、自分の好きなアーティストやタレントを「Cheer(応援)」することができるようになりました。ユーザー数の拡大を目指すべく、今後も参加アーティストの増加に取り組んでまいります。また、「ChargeSPOT」をフランチャイズ展開しているタイでのサービス提供も開始するなど、エリアの拡大も行っています。
これらの結果、売上高は大きく増加し、10,701,124千円(前連結会計年度比39.3%増)となりました。EBITDA(注)2,963,557千円(前連結会計年度比110.3%増)、営業利益は1,662,265千円(前連結会計年度比175.3%増)、経常利益は1,751,485千円(前連結会計年度比176.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,061,074千円(前連結会計年度比260.4%増)となりました。
当社グループといたしましては、今後もサービス品質のさらなる向上を念頭に置きながら、サービスの認知度向上及び利用拡大へ取り組んでまいります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、9,061,496千円と前連結会計年度末に比べ4,634,495千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、3,938,784千円(前連結会計年度は2,430,079千円の獲得)となりました。これは主に増加要因として、税金等調整前当期純利益1,586,507千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益473,519千円)、減価償却費1,210,663千円(前連結会計年度は805,522千円)、減損損失153,579千円(前連結会計年度は148,074千円)等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、4,673,415千円(前連結会計年度は959,130千円の使用)となりました。これは主に、モバイルバッテリー、バッテリースタンド等の取得による有形固定資産の取得による支出1,634,914千円(前連結会計年度は1,148,714千円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3,186,656千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、5,135,216千円(前連結会計年度は885,077千円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純増額3,214,787千円(前連結会計年度は975,500千円)、長期借入れによる収入1,811,120千円(前連結会計年度は30,000千円)、セール・アンド・リースバックによる収入1,500,723千円(前連結会計年度は1,140,645千円)、新株予約権の行使による株式の発行による収入160,714千円(前連結会計年度は109,017千円)等があった一方で、長期借入金の返済による支出196,567千円(前連結会計年度は41,100千円)、リース債務の返済による支出1,321,896千円(前連結会計年度は1,359,414千円)等があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
|
ChargeSPOT事業 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
7,681,681 |
175.0 |
10,701,124 |
139.3 |
|
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産及び負債または損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3,019,443千円増加し、10,701,124千円(前連結会計年度比39.3%増)となりました。これは主に、国内の料金改定とM&Aによる新規連結子会社の貢献によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて439,563千円増加し、2,371,841千円(同22.7%増)となりました。これは主に、バッテリースタンドの増設に伴う減価償却費の増加及びレンタル数の増加に伴う支払手数料の増加によるものであります。
その結果、売上総利益は前連結会計年度に比べて2,579,879千円増加し、8,329,283千円(同44.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて1,521,519千円増加し、6,667,017千円(同29.6%増)となりました。これは主にバッテリースタンドの増設に伴う地代家賃に含まれる設置料の増加、レンタル収益の増加に伴うロイヤリティの増加及び人員増加に伴う人件費の増加、M&Aに伴う業務委託費やのれん償却額の計上によるものであります。
その結果、営業利益は1,662,265千円(前連結会計年度は603,905千円の営業利益)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて83,897千円増加し、226,036千円(同59.0%増)となりました。これは主に、受取利息及び受取配当金の増加によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べて24,490千円増加し、136,816千円(同21.8%増)となりました。これは主に、支払利息130,458千円計上したことによります。
その結果、経常利益は1,751,485千円(前連結会計年度は633,718千円の経常利益)となりました。
(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、債務免除益14,785千円を計上しております。当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べて19,563千円増加し、179,762千円となりました。これは主に、ChargeSPOT事業で利用するモバイルバッテリーの一部について、除却予定となり将来の使用が見込まれていないことから、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失153,579千円を計上したことによります。
その結果、税金等調整前当期純利益1,586,507千円(前連結会計年度は473,519千円の税金等調整前当期純利益)となりました。
(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は、△483,576千円(前連結会計年度の法人税等合計は△96,603千円)となりました。これは主に、今後の業績見通し等を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、繰延税金資産が増加したことから、法人税等調整額△498,753千円(前連結会計年度の法人税等調整額は、△114,583千円)を計上したことによります。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,061,074千円(前連結会計年度は571,888千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
b.財政状態
主な増減内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、認知度の向上及び利用者数の拡大をすべく、積極的に設備投資及び広告宣伝活動を実施してまいりましたが、今後は設備投資を重視して実施する方針であります。当社グループの資金需要の一定割合は設備投資であり、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及び増資等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、月間レンタル数(各四半期平均)、月間アクティブユーザー(各四半期平均)及び累計設置台数を重要指標として運営を行っております。
各指標の推移は以下のとおりであります。
(グローバル)
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|
第6期 連結会計年度 (自 2020年 1月1日 至 2020年 12月31日) |
第7期 連結会計年度 (自 2021年 1月1日 至 2021年 12月31日) |
第8期 連結会計年度 (自 2022年 1月1日 至 2022年 12月31日) |
第9期 連結会計年度 (自 2023年 1月1日 至 2023年 12月31日) |
第10期 連結会計年度 (自 2024年 1月1日 至 2024年 12月31日) |
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月間レンタル数 (万回) |
51 |
91 |
142 |
208 |
287 |
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月間アクティブユーザー (千人) |
37 |
49 |
75 |
113 |
154 |
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累計設置台数 (万台) |
3.2 |
3.7 |
4.6 |
5.1 |
6.9 |
(国内)
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第6期 連結会計年度 (自 2020年 1月1日 至 2020年 12月31日) |
第7期 連結会計年度 (自 2021年 1月1日 至 2021年 12月31日) |
第8期 連結会計年度 (自 2022年 1月1日 至 2022年 12月31日) |
第9期 連結会計年度 (自 2023年 1月1日 至 2023年 12月31日) |
第10期 連結会計年度 (自 2024年 1月1日 至 2024年 12月31日) |
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月間レンタル数 (万回) |
12 |
53 |
104 |
156 |
191 |
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月間アクティブユーザー (万人) |
7 |
27 |
55 |
81 |
102 |
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累計設置台数 (万台) |
2.5 |
3.0 |
3.8 |
4.2 |
4.7 |
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※ 月間アクティブユーザー:1ヶ月に1回以上利用のあるユーザー(FY2020 1Q,2Qは中国分のデータを含まない)
※ 月間アクティブユーザー・ダウンロード数には別ブランドのオーストラリア「Ezycharge」は含まない
当社は、2024年3月21日開催の取締役会において、Ezycharge Australasia Pty Ltdの株式を取得し、同社及びその子会社を当社の子会社とすることを決議いたしました。2024年4月2日付で株式譲受契約を締結し、2024年4月30日に当該株式を取得いたしました。
また、2024年9月19日開催の取締役会において、ChargeSpot Digital Service Co., Ltd.の全株式を取得し、同社を子会社とすることを決議いたしました。2024年9月19日付で株式譲受契約を締結し、2024年9月30日に当該株式を取得いたしました。
さらに、2024年10月31日開催の取締役会において、Trim株式会社の発行済株式の73.06%を取得し、それに基づき同社を子会社とすることを決議いたしました。2024年10月31日付で株式譲受契約を締結し、2024年11月8日に当該株式を取得いたしました。機動的な経営判断を可能にする運営体制を構築することを目的として、2024年12月2日に、非支配株主からの追加取得(取得後の株式保有比率75.63%)いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社グループの研究開発活動は、主に連結子会社である殷富利(广州)科技有限公司が担っております。
殷富利(广州)科技有限公司では、バッテリーシェアリングサービスに関連する最先端のテクノロジーが集結する中国広東省広州市に研究開発拠点を設け、バッテリースタンド及びモバイルバッテリーに係る機能強化や追加機能、デザイン等の研究開発を行っております。
当連結会計年度は、モバイルバッテリー及びバッテリースタンドの機能強化による付加価値向上、サイネージによる広告配信を中心としたマーケティングソリューションによる新たな価値創造を目指して取り組んでおり、研究開発費の総額は
なお、当社グループはChargeSPOT事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しております。