第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針

当社は、日一日と常に進化し続ける姿勢を表現した「日新(ひにあらた)」を社是とし、経営理念「モノを動かし、心を動かす。」のもと、マテリアルハンドリングを核とした「モノを動かす技術」で、心豊かに生きられる社会の創造を目指し、事業活動を展開しています。グループの役員・従業員が実践すべき行動のあり方を示した「グループ行動規範」を含めた理念体系は以下のとおりです。

 

<理念体系>


 

 

<長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」及び「2027年中期経営計画」の概要>

次なる成長と企業価値向上を目指すため、2030年のありたい姿として長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)を、その中間点となる2027年12月期を最終年度とする「2027年中期経営計画」(以下、2027中計)を策定し、達成に向けた取り組みを進めています。

なお、当社は2024年12月期より決算期(事業年度の末日)を毎年3月31日から毎年12月31日に変更しました。詳細は、「第6 提出会社の株式事務の概要」をご参照ください。

 

<「Driving Innovative Impact 2030」について>

『未来を見据えた新たな発想での取り組みを強化し、ステークホルダーへ革新的な影響を生み出すことにより、目指すべき経済・社会価値を実現する』との強い想いを込めています。

 

<策定のコンセプト>

1.短期志向から長期・バックキャスト志向へ

 未来の社会像や課題を想起し、まず2030年のありたい姿を2030長期ビジョンとして設定した上で、その中間点として2027中計を策定しました。

2.経済価値と社会価値の両立へ

 経済価値と社会価値双方の視点を踏まえた統合目標を設定し、その実現に向けた施策・ロードマップを策定しました。

 

<2030年のありたい姿・2027年経営目標>


 

<注力する領域・枠組み・マテリアリティ>

経済価値及び社会価値向上の実現に向け、前中期経営計画「Value Transformation 2023」(2022年3月期~2024年3月期)の課題や事業環境・社会の持続可能性を考慮し、事業領域と事業・経営基盤領域それぞれで注力する枠組み、マテリアリティを設定し、各種施策を実践しています。

 


 

2030長期ビジョン及び2027中計の詳細は、『長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」、および「2027年中期経営計画」策定のお知らせ』(2024年5月10日公表)をご覧ください。

https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/20240510_3.pdf

マテリアリティへの取り組みの詳細は、2027年中期経営計画におけるマテリアリティ及びKPI又は当社ウェブサイトをご覧ください。

https://www.daifuku.com/jp/sustainability/management/materiality/

 

<2024年12月期 経営目標に対する進捗状況>

 

2024年12月期

期初予想

2024年12月期

実績

2027年12月期

2027中計

最終年度目標

連結売上高

5,500億円

5,632億円

8,000億円

営業利益率

9.5%

12.7%

11.5%

ROE

15.1%

13.0%

 

 

豊富な受注残を背景とした売上の進捗により、連結売上高は期初予想を上回りました。また、前中期経営計画期間より進めてきた生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与したことや、中国におけるレガシー半導体向け売上の増加もあり、営業利益率は期初予想を大きく上回りました。ROEについても、国内9カ月の変則決算による影響があったものの、収益性の大幅な改善や、資本効率性向上のために実施した自己株式100億円の取得により、2027中計の最終年度目標を超過する水準になりました。

 

 

 

<2024年12月期 成果と課題>

成果

生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みによる収益性の改善

生成AI半導体関連投資の増加や、ガソリン車からxEVへのシフトに伴う生産ラインへの投資需要等、市場ニーズを的確に捉えた受注の獲得

成長戦略の実現に向けた日本・米国・インドにおける設備投資の実行

・次世代経営体制構築へ向け、代表取締役COOを新たに選任

※BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称

 

 

課題

海外プロジェクト管理の高度化等による収益性の更なる改善

M&Aを含めたグローバル成長戦略の着実な実行

・米国通商政策への対応

・新たに創出する事業領域の具体化

・先端技術を活用した開発の加速

・DX/AI人材をはじめとする人的資本の拡充

 

 

<2027年中期経営計画におけるマテリアリティ及びKPI>

 

枠組み:既存事業の進化、新領域への挑戦、次世代事業の創出

先端技術を取り込んだ製品・ソリューションの開発や新たな市場・ニーズに向けた提案を強化しています。事業部門ごとに設定した目標に対し、順調に取り組みが進捗しています。

マテリアリティ

KPI

(実績評価指標)

スコープ

2024年12月期

目標

実績

AI等を含む先端技術を活用した開発

製品・サービスへの先端技術の導入

グローバル

・AIやバッテリー技術などを活用したシステムの効率化・省電力化

・AI、IoT技術による予知保全の確立

・XY-ピッキングロボットの開発・納入

・AIを活用した予知保全システムの開発を継続

・回生エネルギーの有効活用により、環境負荷の少ない保管システムを開発

・AIを活用した運行制御により搬送効率を向上

・EV生産工場向け次世代組み立てラインを提案

・画像認識技術を組み込んだ新たな装置の開発

・高効率モーターを搭載した搬送システムを提供

・航空機搭載用コンテナへの手荷物自動積み付け機の開発に着手

・画像認識技術を活用した洗車機の基礎開発に着手

サービスビジネスの拡充

サービス売上高

グローバル

1,500億円

1,497億円

新領域開拓と新規事業創出

新業態・新市場への進出、新商品の上市

グローバル

・新領域向けのシステム開発

・新規顧客の開拓、グローバルでのビジネスエリア拡大

・次世代事業の創出

・ピッキングロボット、無人搬送車の開発を継続

・冷蔵倉庫向けにさらなる自動化ソリューションを提案

・二次電池、半導体製造向けの対象工程を拡大し、自動化ソリューションを提案

・半導体製造における後工程(ウェハーの積層化、直接接合など)への自動化ソリューションの提供

・多様なモビリティを利用した、貨物輸送・搬送の開発

・次世代の車造りに合わせた搬送設備・自動化設備構築

・北米にて、TSA※1認証を取得したスマートセキュリティレーンを空港向けに納入

・日本市場へ空港向けデジタル製品の納入開始

・アフリカ市場へ空港向け製品を納入

・ゴミ収集車内部洗浄装置の発売ならびに受注

 

 

 

枠組み:成長を支える仕組みの構築

当社グループの更なる成長をけん引できる人材の育成や、将来を見据えた技術開発などの取り組みを進めています。また、日本・米国・インドにおける設備投資や、デジタル化や人的資本の拡充に向けた投資を継続しています。

マテリアリティ

KPI

(実績評価指標)

スコープ

2024年12月期

目標

実績

イノベーション創出に向けた投資・基盤づくり

成長分野への投資額※2

グローバル

・1,600億円程度の投資を実施(2024年12月期~2027年12月期累計)

・成長分野への投資額:264億円

AI・DX人材の育成

・eラーニングをはじめとした全社的なトレーニングの実施(全社員に順次展開)

・データサイエンティスト等の専門人材育成(2024年12月期~2027年12月期累計:180名)

・AI・DXに関するeラーニングを実施し、2,400名が受講を開始(3期に分けて展開し、うち800名が受講完了)

・データサイエンティスト・データエンジニア育成プログラムを実施し、62名が受講(滋賀、東京、大阪で展開、滋賀13名が受講完了)

産官学連携・M&A・アライアンス等の推進

・M&A・アライアンスの継続検討

・大学・企業との共同研究や協業による開発

・複数の大学や研究機関、企業と次世代技術に関する研究開発を検討・実施

・半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS)へ参画

 

 

枠組み:事業を支える財務戦略

詳細は「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 資本の財源及び資金の流動性 ①財務戦略の基本的な考え方」をご参照ください。

 

枠組み:業務全体の刷新

当社グループの「サステナブル調達ガイドライン」を周知し、サプライチェーンにおけるリスクを把握・軽減するため、国内の取引先に対して本ガイドラインに基づく自己評価アンケート(SAQ)を開始しました。その回答結果に基づく監査や、海外子会社へのヒアリングなどを通じて、調達リスクの管理を強化しています。

マテリアリティ

KPI

(実績評価指標)

スコープ

2024年12月期

目標

実績

サプライチェーンにおける社会的責任の遂行

サプライチェーンマネジメントの強化

グローバル

・国内:サプライヤーのリスク特定・監査実施

・海外グループ会社:訪問及び実態把握、リスクへの対応実施

・国内サプライヤー66社にサステナブル調達ガイドラインに基づくアンケートを行い、結果に基づき監査を実施

・海外グループ会社4社(韓国・台湾)へ訪問し、調達に関するヒアリングを実施

製品品質、製品安全の追求

製品・システムの安全に関する重大事故発生件数※3

グローバル

0件

0件

 

 

 

枠組み:継続した安全活動

国内、海外ともに休業災害件数は前年同期比同水準で推移しています。類似災害の再発を防ぐため、過去の災害事例を周知するなど、国内外で安全教育を強化していきます。

マテリアリティ

KPI

(実績評価指標)

スコープ

2024年12月期

目標

実績

労働安全衛生の徹底

度数率:日本

(海外)※4

グローバル

0.261(0.6)

0.460(0.7)

強度率:日本

(海外)※4

0.006(0.020)

0.026 (0.009)

重篤災害※5
発生件数※4

0件

1件

 

 

枠組み:環境負荷ゼロに向けた活動

「ダイフク環境ビジョン2050」の達成に向け、サプライチェーン全体でのCO2削減や再生可能エネルギー由来の電力導入に取り組むほか、生物多様性保全に関する活動をグローバルへと拡げています。

マテリアリティ

KPI

(実績評価指標)

スコープ

2024年12月期

目標

実績

気候変動への対応

自社CO2排出量削減率(2019年3月期比)

(スコープ1+2)

グローバル

51%

56.4%

データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値です。検証後の確定数値は、2025年5月に当社ウェブサイトで開示予定です。

再生可能エネルギー由来の電力比率

60%

66.6%

データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値です。検証後の確定数値は、2025年5月に当社ウェブサイトで開示予定です。

購入した製品・サービスに伴うCO2排出量削減率※6

(スコープ3 カテゴリ1)

・サプライチェーンCO2削減プログラム※7の拡大・浸透

・国内主要サプライヤー150社を対象にCO2削減に向けたオンライン説明会を実施し、サプライヤーのCO2排出量データの収集を開始

販売した製品の使用に伴うCO2排出量削減率※6

(スコープ3 カテゴリ11)

・製品・システムの省エネ性能向上

・全ての新規製品・システム開発におけるLCA(ライフサイクルアセスメント)の実施

・顧客の再生可能エネルギー導入状況の調査手法検討

資源循環の促進

廃棄物の埋立率

グローバル

国内:1%未満

海外:5%未満

国内:0.9%

海外:8.7%

廃棄物排出量売上高原単位※8削減率
(2024年3月期比)

4%

6.8%

水使用量売上高原単位※9削減率
(2019年3月期比)

40%

37.6%

自然との共生

主要拠点※10における生物多様性保全活動実施率

グローバル

10%

36.4

サステナビリティアクション※11のグローバル展開

・プログラムの拡充・啓発

・グループ全拠点を対象とした環境への啓発イベントを2種実施し、延べ557名が参加

 

 

 

枠組み:経営体制の強化、管理の高度化

取締役会の実効性向上を通じて経営体制の強化を図るとともに、グローバルでの経営管理の高度化に向けて、経営理念やグループ方針、経営戦略等の浸透活動や重要リスクへの対応強化に取り組んでいます。また、あらゆるステークホルダーとの対話を継続し、得られた示唆を施策へ反映しています。

マテリアリティ

KPI

(実績評価指標)

スコープ

2024年12月期

目標

実績

ガバナンスの強化

取締役会の実効性向上

単体

・取締役会の実効性評価の実施と課題への取り組み

・取締役会としての経営管理高度化への取り組み実施(資本コスト経営に関する検討会、IFRS適用への取り組み推進等)

・CEO等の後継者育成について、経営戦略に適合した役員・幹部層トレーニングの充実、諮問委員会でのCEO等の後継者計画に関する集中討議

経営理念・経営戦略等の浸透

グローバル

・役員・従業員向けの周知活動の継続実施

・国内外の全従業員を対象に、長期ビジョン・中期経営計画に関するeラーニングを実施

・動画コンテンツを拡充し、CxOからのメッセージを配信

コンプライアンスの徹底

・重要なコンプライアンスリスクに関する教育研修などの実施

コンプライアンス強化月間において、「企業間取引とカスタマーハラスメント」をテーマに講義を開催

・さまざまな職層のニーズに即したコンプライアンス研修(動画研修3回を含む合計15回)を実施

・コンプライアンス推進のための組織体制構築

重要リスクへの対策実施

・リスクアセスメント・モニタリングの実施

・エマージングリスク(新興リスク)を含むリスク予兆情報の収集と影響の分析

・危機管理体制の見直しと有事対応力の強化

・経営層インタビューを実施し、認識された重要リスク(テーマ:サイバーセキュリティ、人材関連リスク等)についてリスクマネジメント委員会で議論、対応方針を決定

・各リスク項目の精緻化及び想定シナリオの策定を開始

・リスクマネジメント委員会で改めてBCM・BCPについて議論し、危機管理体制再構築の検討を開始

ステークホルダーコミュニケーションの充足

株主・投資家との対話社数(年間延べ)

グローバル

900社以上

1,190社

ステークホルダーとのコミュニケーション活性化

・情報開示(財務・非財務)の充実

・ステークホルダーダイアログを通じた経営課題等の把握

・幅広い層へのブランド認知度向上施策の実施

・社会貢献活動への積極的な参画

・長期ビジョンの実現に向けた成長ストーリーを統合報告書などの各種媒体で訴求

・国内外の株主・機関投資家向けIRイベントを実施し、エンゲージメント機会を継続的に創出

・若年層の知名度向上のためYouTube広告を実施

・TV-CMや新聞・電車内の広告などで当社事業や理念を訴求

・「国際物流総合展」など展示会出展によるブランド訴求

・記者懇談会を開催し、メディアを通じた認知訴求

・古着・古本の寄付や周辺地域の清掃活動などを継続的に実施

外部評価機関からの評価維持・向上

・CDP気候変動  A-以上

・FTSE4Good 銘柄採用継続

・MSCI ESG Rating AA以上

・CDP気候変動 A(最高評価)を獲得

・FTSE4Good への採用継続

・MSCI ESG Rating AAを獲得

 

 

 

枠組み:組織の強化

更なる成長を実現するために必要な人的資本の拡充や、一人ひとりが「働きがい」「働きやすさ」を実感できる環境づくりに取り組んでいます。また、人権尊重のための取り組みも強化しており、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施しているほか、そのプロセスを支える苦情処理メカニズムの導入に向けて検討を開始しました。

マテリアリティ

KPI

(実績評価指標)

スコープ

2024年12月期

目標

実績

人材の確保・育成

キーポジションにおける後継候補充足率

グローバル

・人材プールの整備(経験・スキルの見える化)

・後継候補充足率 2027年12月期100%を目指す
(2024年3月期:68%)

・経験、スキルの収集項目と方法の検討(2025年12月期より収集開始)

・グループ人材委員会:2回開催、事業部門人材委員会:11回開催

・後継候補充足率:73%

専門人材確保に対応した人事制度の複線化

単体

・新たな制度・施策(高度専門人材向けの処遇・勤務制度・勤務場所・採用施策)の検討及び導入

・導入した制度の改善

・技術系人材確保に向けた新拠点設置プロジェクトを組成

・一部職種において地域限定型社員制度の検討開始

人権の尊重

人権デュー・ディリジェンスの仕組み構築

グローバル

・人権デュー・ディリジェンスのPDCA実施

・国内・海外におけるインパクトアセスメントの実施

・苦情処理メカニズムの構築

・サプライチェーンにおける外国人労働者(技能実習生、特定技能)の雇用状況調査を継続

・日本国内のサプライヤー3社へのインパクトアセスメントを実施

・サステナビリティ推進委員会傘下に「グリーバンスメカニズム導入プロジェクト」を発足し、グリーバンスメカニズムに関するシステム導入を検討

人権に関する研修実施

・人権に関する教育・研修体制の構築

・グループ社員への教育コンテンツの展開

・日本国内は階層別研修において、人権やハラスメントに関する講義、グループワークを実施

・グループ人権教育コンテンツの検討

ダイバーシティ&インクルージョン

女性管理職数(比率)

単体

・女性管理職数 2027年12月期60名(7.6%)を目指す

40名(5.4%)

多様な人材が活躍できる環境整備

・ダイバーシティに関する社内啓発の推進

・マイノリティに配慮した職場環境整備

・女性活躍推進企業として厚生労働省が認定する「えるぼし」(☆☆2段階目)を取得

・D&I分科会及び労使専門委員会で育児関連の改善ニーズを確認し、育児介護休業法改正(2025年4月)に合わせて制度見直しを実施予定

エンゲージメントの向上

エンゲージメントサーベイスコア

グローバル

・国別平均スコア以上

日本国内

・働きがい56%(日本平均58%)

・働きやすさ51%(日本平均58%)

エンゲージメントサーベイ実施と課題対応

・結果からの課題抽出と対策実施

・前年度サーベイを実施した現地法人を訪問し施策フォローを実施(13社)

 

※1 Transportation Security Administration(米国運輸保安庁)

※2 設備投資、研究開発費、人的資本への投資等

※3 当社グループの製品・システムの不具合を原因とした稼働中における死亡事故及び重傷病(治療に要する期間が30日以上の負傷・疾病)事故

※4 工事における請負事業者を含めて算出

※5 自社の業務中における死亡災害や身体の一部に永久損傷を伴う災害

※6 スコープ3カテゴリ1及びカテゴリ11については、2030年12月期に2019年3月期比30%削減を目指し、定性目標に取り組む

※7 調達先におけるCO2排出量削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社グループ独自の枠組み

※8 廃棄物排出量(t)/売上高(億円)

※9 水使用量(千m³)/売上高(億円)

※10 従業員数100人以上の拠点

※11 サステナビリティに関する啓発・教育のための当社グループ独自の社員参加型プログラム

 

(2) 経営環境

① 事業環境

日本においては人口減少と物流2024年問題に伴う労働力不足が深刻化する一方、北米を中心とする海外においては人件費が上昇し、生産・物流現場における自動化・無人化ニーズがグローバルで拡大しています。

また、生成AIの普及に伴い半導体需要が飛躍的に増加すると同時に、経済安全保障の観点から各国政府が自国内での生産基盤の確保を促進しているため、各地域で半導体投資が活発化しています。

モビリティの変革期にある自動車産業では、より柔軟な生産体制を構築するためのxEV関連投資の継続が見込まれます。

これまで、限定的な自動化投資しか行われてこなかった空港においては、慢性的な労働力不足に伴う各種課題が顕在化しており、「スマート化」が求められています。

これらの事業環境を踏まえると、当社グループが提供するマテリアルハンドリングを核とする「モノを動かす」技術への期待がますます高まっていくことは確実であり、ビジネス機会を着実に捉え、更なる成長に繋げていきます。

② 競争環境

生成AIに代表される先端技術の革新が急速に進展し、特定の技術力・製品を持った新興企業が参入してきています。また、低価格を強みとする中国企業も台頭しています。

日本においては、国内競合企業が自社の製品と海外企業の先端製品を組み合わせることで提案力を強化するなど、競争は激化しています。

次世代技術に重点を置いた開発力を強化すると同時に、DX/AIリテラシーの向上に向けた人材育成に注力し、グローバルに最適・最良のシステムを提供するという当社グループの強みに磨きをかけ、厳しい競争に打ち勝っていきます。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2027中計の2年目を迎える2025年12月期においては、以下の事項を主な課題として取り組みます。

 

海外プロジェクト管理の高度化等による収益性の更なる改善

2030長期ビジョンで掲げる持続的な成長と高い収益性を両立させるためには、海外における更なる収益性の改善が必要です。前中期経営計画期間より、地域毎の特性を踏まえ、調達、生産といったあらゆるプロセスを見直し、各種コスト削減に取り組んできた結果、北米を中心に成果が現れていますが、一部の海外子会社は改善途上にあります。このため、各海外子会社でコスト削減計画を着実に実行していきます。また、受注案件の大型化、工期の長期化が進んでいるため、海外でのプロジェクト管理の重要性が増しています。進捗状況をリアルタイムで把握できる仕組みを構築し、プロジェクト管理の更なる高度化を図ります。

 

M&Aを含めたグローバル成長戦略の着実な実行>

成長ドライバーと位置付ける海外での事業拡大に向け、一般製造業・流通業向けシステムの米国における生産拠点(Daifuku Intralogistics America Corporation)で、生産能力を倍増させるべく工場増設を進めるとともに、2025年4月竣工予定のインドの生産拠点(Daifuku Intralogistics India Private Limited)の早期立ち上げを進めていきます。また、M&Aも視野に入れ、成長戦略を加速させていきます。

 

<米国通商政策への対応>

関税引き上げを中心とした米国の通商政策が、お客さまの投資動向へ及ぼす影響を注視する必要があります。特に自動車・半導体産業では、各国における投資計画が見直される可能性があります。お客さまとのコミュニケーションを深め、計画の見直しに対しても、最適な提案活動を進めていきます。

また、当社は、お客さまにより近い場所で調達・生産を行う、いわゆる「地産地消」を基本戦略としています。今後も、米国をはじめとする各国で「地産地消」を推進し、通商政策の影響を受けない体制を構築していきます。

 

<新たに創出する事業領域の具体化>

2030長期ビジョンでありたい姿として掲げる「連結売上高1兆円」の達成には、既存事業での拡大にとどまらず、新たな事業領域の創出が必須です。その達成に向けた取り組みとして、オープンイノベーションによる新たなパートナーとの共創活動や、M&A等のインオーガニック戦略、新規事業に関する社内公募制度の活用等により、成長機会を追求していきます。2030長期ビジョンでは、新領域への挑戦として「食」「環境」といった分野を掲げ、社会課題解決に繋がる価値提供を目指していきます。

 

<先端技術を活用した開発の加速>

より生産性の高いマテリアルハンドリングシステムを提供し続けるためには、生成AIをはじめとする先端技術を活用した製品・サービスの開発が不可欠です。各事業部門での取り組みに加え、事業部門横断での技術開発や、新規ビジネスへの展開を担う「ビジネスイノベーション本部」が中心となり、取り組みを加速させていきます。また、マテリアルハンドリングの未来像として、2030年までに「物流の完全無人化」を実現することを目指していきます。

 

<DX/AI人材をはじめとする人的資本の拡充>

当社の強みは、マテリアルハンドリングにおいて、お客さまへのコンサルティングから、技術開発、製造、エンジニアリング、アフターサービスまでをトータルで提供できる点にあります。これらすべてのプロセスで高い付加価値を提供し続けるためには、専門性の高いスキルを持った人材の採用、育成が欠かせません。特にAI等の先端技術を活用した技術開発や、お客さまとの長期にわたる信頼関係を構築する役割を果たすアフターサービスの人材の拡充・強化は、当社の競争力を維持・強化するための重要な要素となります。人的資本の更なる拡充に向け、各種制度の再構築や、従業員エンゲージメントの向上など、包括的な取り組みも進めていきます。

 

<コンプライアンス、安全の徹底>

「コンプライアンス」及び「安全」は、当社グループにおけるすべての事業活動を支える根底にあるものとしてグループ全体で徹底を図っていきます。

 

(コンプライアンスの徹底)

当社では、コンプライアンスを「事業活動のあらゆる局面において、法令や会社規程など社内外のルールにとどまらず、社会規範を遵守し、誠実に行動すること」と定義付け、各種の教育・研修を通じてグループ全体で価値観の共有を図っています。一人ひとりが高い倫理観を持ち、責任ある行動を積み重ねていくことで、社会からの期待や信頼に応え続けていくことを目指していきます。

 

(「安全専一※」の徹底)

一人ひとりの社員が最大のパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりに努めていく上で、社員やその家族、お客さま、お取引先の生命・健康・安全を確保することがなによりも優先されます。「安全は、『第一』『第二』と相対的な順位を付けるものではなく、絶対的なもの、『専一』なものである」という意識をグローバルに浸透させ、引き続き、グループ一体となって災害や不安全行為の撲滅に取り組んでいきます。

※「安全専一」は、古河機械金属株式会社の登録商標です。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、本文中における将来に関する事項の記述については、2024年12月31日現在において当社グループが判断したものです。

(1) サステナビリティ全般に関する開示

サステナビリティ経営の実践に際しては、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野10原則からなる「国連グローバル・コンパクト」に賛同・署名するとともに、「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて取り組んでいます。また、2030年のありたい姿である長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)と、その中間点となる「2027年中期経営計画」(以下、2027中計)において、経済価値と社会価値双方の視点を踏まえた統合目標を設定し、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。2024年4月には、すべての役員・従業員の理解及び共感を促進するために「ダイフクグループサステナビリティ基本方針」を策定し、この方針に基づきグループ一体でサステナビリティ推進に取り組んでいます。サステナビリティに関する様々な活動の詳細は、以下URLをご参照ください。

サステナビリティ

https://www.daifuku.com/jp/sustainability/

 

① ガバナンス

1) サステナビリティ関連のリスク及び機会に対する監督・執行体制

取締役会は、サステナビリティ関連のリスクや機会に対応するための経営戦略をはじめ、中長期的な企業価値の向上に向けた取り組みを監督します。取締役会においては、代表取締役社長(CEO)がサステナビリティ関連のリスク及び機会の監督に対して責任を負っています。取締役会のメンバーは、研修や有識者との意見交換、お客さまとの対話等を通じて、サステナビリティ課題への見識を高めることで、当社グループの取り組みを監督するためのスキル及びコンピテンシーの向上を図っています。

当社は、2024年12月期よりサステナビリティに関する委員会の体制を見直し、「サステナビリティ経営委員会」を設置しました。サステナビリティ経営委員会は、サステナビリティ課題についての重要事項を取締役会へ報告、上程するほか、中長期的な企業価値の向上に重きを置いた経営戦略上の重要な議論、計画の進捗・成果の確認などを行います。その傘下にある「サステナビリティ推進委員会」及び「環境経営分科会」「人権・サプライチェーン分科会」「人的資本経営分科会」は、サステナビリティ経営委員会と連携し、経営戦略に基づいた実務レベルのより具体的な施策を検討・実行する役割を担っています。

 

サステナビリティに関する委員会の体制(2025年12月期)


 

各組織の役割

 

メンバー

役割

取締役会

議長:代表取締役社長

取締役

経営方針・経営計画やコーポレートガバナンス体制の決定等、経営上の重要事項の決定と監督機能を担う

サステナビリティ経営委員会

委員長:代表取締役社長

代表取締役副社長、コーポレート部門長、事業部門長、グループチーフオフィサーほか

・中長期にわたる企業の価値創造に重きを置いた経営戦略上の重要な議論、計画の進捗・成果の確認などを行い、経営の高度化促進を図る

リスクマネジメント委員会

委員長:代表取締役副社長

コーポレート部門長、事業部門長、グループチーフオフィサーほか

・企業活動に大きく影響を与える重要なリスクに対して、全社的なリスクマネジメントを行う

・定期的にリスクアセスメントを行い、重要なリスクを特定・評価し、対応策の立案や方針・規程・体制等の整備及び充実を図る

グループ人材委員会

委員長:代表取締役社長

代表取締役副社長、コーポレート部門長、事業部門長ほか

当社グループの人材の経験・スキルの見える化を進め、キーポジション(主要幹部職)の後継候補者計画の策定や計画的な後継候補者の育成・登用を実施する

サステナビリティ推進委員会

委員長:代表取締役副社長

コーポレート部門長、事業部門長、グループチーフオフィサーほか

・サステナビリティ経営委員会の下部組織として、経営戦略に基づき、実務レベルで環境・社会・ガバナンスに関するグループ横断の取り組みを推進する

Global Sustainability Meeting

リーダー:コーポレート部門長

海外子会社責任者、サステナビリティ経営委員会メンバーほか

・サステナビリティ経営をグループ一体で推進するにあたり、ESG課題に関する海外子会社への情報共有と議論を行う

 

 

2) サステナビリティ関連目標のモニタリングとインセンティブ

サステナビリティ課題に対する計画・目標は、2027中計の枠組みの中でサステナビリティ経営委員会が進捗管理を行い、取締役会が監督しています。

また、2024年12月期より社内取締役を対象とした役員報酬制度を改定しており、業績連動報酬の支給基準において、サステナビリティ関連の評価指標も考慮して評点を算出することとしています。賞与については安全及びCO2排出量削減目標の進捗状況、株式給付信託(BBT)については外部のESG評価機関(MSCI、FTSE、CDP)における評価とCO2排出量削減目標の達成度が評点の算出基準に含まれています。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。

 

2024年12月期におけるサステナビリティ関連の取締役会等での議題

取締役会

 

・2030長期ビジョン及び2027中計の開示(4月、5月)

・「ダイフク環境ビジョン2050」における目標の見直し(4月、8月)

・株主・投資家との対話状況(4月、10月)

・TCFD提言に基づく開示の見直し(5月)

・ダイフクグループ コーポレートガバナンスに対する基本方針の改定(6月)

 

 

サステナビリティ経営委員会(1回開催)

 

・2030長期ビジョンの達成に向けた成長戦略

・海外子会社における課題の共有(ESG関連課題含む)

サステナビリティ推進委員会(2回開催)

 

・サステナビリティアクションプラン実績報告

・社外からのESG評価

・「ダイフク環境ビジョン2050」の改定

・カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み進捗報告

・人権デュー・ディリジェンスの取り組み報告

リスクマネジメント委員会(3回開催)

 

・シビアリスクへの対応計画及び実績の報告

・人材関連リスク、サイバーセキュリティリスクへの対応方針の決定

・事業継続マネジメント強化に向けた議論

グループ人材委員会(2回開催)

 

・キーポジション(主要幹部職)に対する後継候補者の充足状況の確認

・未充足のキーポジションに対する後継候補者の検討

・後継候補者育成プログラムの確認

 

 

戦略

サステナビリティに対する取り組みは、2030長期ビジョン及び2027中計における枠組みに統合し、推進しています。2030長期ビジョン及び2027中計の策定にあたっては、未来の社会像からバックキャスティングを行い、当社グループがお客さまに対して提供する製品・サービス(アウトプット)と、それらを通じて社会に提供される価値(アウトカム)を整理しました。その上で、2030長期ビジョン及び2027中計の達成に向けてグループで対応する重要課題をマテリアリティと定義し、それらを軸に戦略・施策・行動計画を具体化しました。2027中計の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針」をご参照ください。

 

リスク管理

当社グループは、国内外のグループ会社を対象としたリスクアセスメントを定期的に行っており、企業活動に大きく影響を与える重要なリスクを特定・評価しています。重要なリスクに対して、リスクマネジメント委員会が全社的なリスクマネジメントを行い、対応策の立案や方針・規程・体制等の整備及び充実を図っています。リスクアセスメントで認識されたリスク情報は、必要に応じて取締役会をはじめとする他の会議体へ報告・共有され、経営戦略に反映されます。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

2027中計の策定では、マテリアリティの特定プロセスにおいて、2024年3月期に実施したリスクアセスメントの結果をインプット情報の一つとして活用しました。機会とリスクの検討結果、他社の動向、ESG評価機関からの要請事項などもインプット情報として合わせて考慮し、課題の候補を「ステークホルダーへの影響度」と「長期ビジョン達成への影響度」の2軸で評価し、マテリアリティを特定しました。

優先して対応すべきサステナビリティ関連のリスクと機会については、サステナビリティ経営委員会、サステナビリティ推進委員会、リスクマネジメント委員会、グループ人材委員会が連携した上で、適切な対応策を講じてモニタリングしています。

 

 

④ 指標と目標

2027中計では、重要課題ごとにKPIと目標を設定しています。1年目の2024年12月期の実績は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針」をご参照ください。

 

(2) 気候変動に関する開示

① ガバナンス

気候関連のリスク及び機会は、前述のサステナビリティ全般のガバナンスのプロセスにおいてモニタリング、管理、監督されています。

 

② 戦略

1) 気候関連のリスク及び機会の特定

<気候関連のリスク及び機会の洗い出し>

事業運営に影響を与える気候変動要因は、脱炭素社会に向けた規制強化や低炭素化に向けた技術の進展、気候変動対応による市場の変化、気候変動による災害等の頻発等が挙げられます。当社グループの事業内容を踏まえ、各要因によって引き起こされる気候関連の移行リスク・物理的リスク・機会を洗い出しました。移行リスクについては、全事業範囲を分析対象とし、物理リスクについては、主要拠点及び生産拠点を対象としました。

 

当社グループの事業に影響する主な要因


 

<気候関連のリスク及び機会の評価>

洗い出した移行リスク・物理的リスク・機会の項目に対して、当社グループの事業への影響度の大きさを定性・定量で評価し、これらの結果を、「リスク発現・機会実現までの期間」「リスク発現・機会実現の可能性」「財務影響度」を軸に、以下のとおり整理しました。それぞれのリスク及び機会について、適切な対応策を実行していきます。

 

下記表の「期間」「可能性」「影響度」の定義は以下のとおりです。

期間

短期:3年未満、中期:3~10年、長期:10年以上

可能性

小:やや不確実、中:中間、高:やや確実

影響度

 

売上高

60億円未満

60~600億円

600億円以上

利益・コスト

6億円未満

6~60億円

60億円以上

 

 

「リスク・機会への主な対応」の詳細については当社ウェブサイトをご参照ください。

気候変動

https://www.daifuku.com/jp/sustainability/environment/climate-change/

 

当社グループにおける重大リスク・機会

分類

気候変動

ドライバー

主なリスク・機会

期間

可能性

影響度

リスク・機会への主な対応

移行

リスク
(1.5℃シナリオ)

政策規制

炭素価格等のGHG排出規制強化、カーボンプライシング導入

工場、事業所で排出するGHGへの炭素税導入による操業コスト増加

長期

グループ一体でのスコープ1・スコープ2の削減

材料調達、輸送への炭素税導入又はGHG削減対応による調達コストの増加

長期

サプライチェーンでの環境負荷低減

市場

脱炭素技術開発の進展

金属材料・レアメタルの需要増による部品調達コストの増加

中期~長期

評判

気候変動問題に対する取り組み評価の厳格化、情報開示要請の高まり

自社イメージ悪化による株価の下落、投資対象除外による資金調達コストの増加

長期

中~大

気候変動に関する開示情報の充実化

物理的

リスク
(4℃シナリオ)

急性

洪水、台風、高潮等の気象災害の増加・激甚化

拠点損傷や操業停止、サプライチェーン寸断による操業停止、代替品調達

短期~長期

中~大※

リスクアセスメントとリスク低減策の実施

慢性

海面の慢性的な上昇

海面上昇による拠点の移転

長期

熱波及び慢性的な気温上昇

気温上昇による空調コスト、メンテナンスの増加、ヒートストレスによる生産性の低下

短期~長期

労働環境の維持・改善

干ばつ等による水リスクの増加

干ばつによる稼働率の低下

短期~長期

水使用量の削減

 

 

 

分類

気候変動

ドライバー

主なリスク・機会

期間

可能性

影響度

リスク・機会への主な対応

機会
(1.5℃シナリオ)

製品

サービス

環境規制強化による電子機器への省電力要請の高まり

半導体需要増による半導体ライン向け製品売上の増加

中期

半導体需要への戦略的対応

EVシフト(EV、FCVの普及)

EV化に伴う自動車製造ライン増設による自社製品の売上の増加

中期~長期

自動車のEV化への対応

IoTを活用した低炭素化の進展

AI、IoT関連製品の需要増による売上の増加、及び活用によるコスト削減

中期~長期

事業へのIoT、ICT、AI等先端技術の活用

フードロスをはじめとした廃棄物削減要請の高まり

コールドチェーンに関連する物流・倉庫施設向け製品の売上の増加

中期~長期

コールドチェーン・eコマース需要への対応

低炭素化のための作業の効率化・省人化・省エネ要望の高まり

生産・物流の効率化・オートメーション化に寄与する製品・サービスの売上増加

中期~長期

マテハンシステムの環境価値と社会価値の両立

 

※2024年3月期の有価証券報告書にて「小」としていましたが、近年の気候変動に伴う世界的な気象災害の発生頻度の増加や被害の激甚化を鑑み、影響度に関する評価を見直しました。

 

2) 重大リスクのシナリオ分析

気候関連のリスク及び機会を特定した項目のうち、今後顕在化する可能性が高く、重大な事業影響を与えるリスクについてシナリオ分析を実施しました。シナリオは、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)によって示されているものを参照しました。

 

移行リスク

移行リスク・機会は、炭素税(カーボンプライシング)導入による操業コストの影響について、関連するエネルギーコストと併せて、以下のシナリオを設定して分析を行いました。炭素税は、将来想定されるGHG排出量(スコープ1・スコープ2)を、当社グループ2030年売上予測、排出量削減目標を基に、排出量削減を進めた場合(脱炭素シナリオ)とそうでない場合(成り行きシナリオ)とで算出し、IEAにおいてシナリオ別に予測される炭素価格を掛け合わせて事業影響額を評価しました。エネルギーコストは、当社グループが削減目標どおりに取り組みを進めた場合(脱炭素シナリオ)と取り組みを進めずに事業規模が拡大した場合(成り行きシナリオ)とでエネルギー使用量を設定し、IEA等で示されるエネルギー価格の推移を参考に、今後のエネルギーコストについて評価しました。

 

当社グループで想定した気候変動シナリオ(移行リスク)

脱炭素シナリオ

(1.5℃シナリオ)

IEA WEO2023 NZE:Net Zero Emissions by 2050 Scenario

(2050年ネットゼロ排出シナリオ)

脱炭素シナリオ

(1.7℃シナリオ)

IEA WEO2023 APS:Announced Pledges Scenario

(発表済み誓約シナリオ)

成り行きシナリオ

(4℃シナリオ)

IEA WEO2023 STEPS:Stated Policies Scenario

(公表政策シナリオ)

 

 

 

<炭素税>

成り行きシナリオ(4℃シナリオ)の経路をたどった場合は、2030年で約6億円のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進した脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)においては、2030年時点では、約3億円のコスト増が見込まれます。

 

<エネルギーコスト>

成り行きシナリオ(4℃シナリオ)の経路をたどった場合、2023年3月期時点と比較して、2030年では約37%のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進した脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)においては、 2023年3月期時点と比べて、2030年では、約12~16%のコスト増が見込まれます。

炭素税の負担、エネルギーコストの双方において、脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)に比べ、成り行きシナリオ(4℃シナリオ)での負担が大きく、当社グループとして脱炭素化、省エネ化の取り組みを積極的に進める理由・メリットがあることが再認識されました。

取り組みを進めるためには、大規模な投資が必要となるものの、取り組みを進めない場合には取り組みを進める場合に比べ、数億円規模で炭素税及びエネルギーコストの追加負担が想定されます。事業に影響を与えるリスクを軽減するため、2030年の削減目標の達成を目指して脱炭素化の取り組みを強化していきます。

 

物理的リスク

物理的リスクは、温暖化進行による気象災害の増加が重大なリスクとなります。そこで、当社グループ主要24拠点(国内1拠点、海外23拠点)について、気象災害がもたらす影響を定性的に評価しました。評価では、2℃シナリオ(SSP1‐2.6)、4℃シナリオ(SSP5‐8.5)下における洪水、高潮、干ばつ、熱波の各拠点のハザードを調査し、ハザードの多寡に応じてA(高リスク)~E(低リスク)の5段階のグレードを付与しました。本評価でA~Bの高リスクとなった拠点数の推移を以下に示します。

評価の結果、洪水、高潮、干ばつは、2℃シナリオ、4℃シナリオのいずれにおいても高リスク拠点数はほぼ増加せず、気候変動による影響は限定的であることがわかりました。熱波は、4℃シナリオの2050年、2090年にかけて高リスク拠点数が増加することがわかりました。熱波による影響は、空調コストや機器メンテナンスの増加、ヒートストレスによる生産性低下等が挙げられます。当社グループでは、工事現場・工場での従業員の熱中症対策を進めるなど、リスクを軽減する取り組みを積極的に進めていきます。

 

 当社グループで想定した気候変動シナリオ(物理的リスク)

2℃シナリオ

IPCC第6次評価報告書 (SSP1‐2.6)

4℃シナリオ

IPCC第6次評価報告書 (SSP5‐8.5)

 

 

 気候変動による高リスク拠点数

災害

現在

2℃シナリオ(SSP1‐2.6)

4℃シナリオ(SSP5‐8.5)

2050年

2090年

2050年

2090年

洪水

高潮

干ばつ

熱波

16

 

 

③ リスク管理

気候関連のリスク及び機会の識別については、外部専門家のアドバイスのもと見直しを実施し、2024年12月期に開示しました。移行リスク・物理的リスク・機会の各項目に対し、発現時期、発生可能性、当社グループへの影響度を、定性・定量の両面から評価し、重大なリスクと機会を特定しています。加えて、移行リスクと物理的リスクについて、複数の気温上昇を想定したシナリオ分析も行いました。詳細は、「(2) 気候変動に関する開示 ②戦略」をご参照ください。優先して対応すべき気候関連のリスクと機会については、サステナビリティ経営委員会、サステナビリティ推進委員会のほか、リスクマネジメント委員会とも連携した上で、適切な対応策を講じてモニタリングしています。

 

④ 指標と目標

当社グループは、「ダイフク環境ビジョン2050」及び2027中計において「気候変動への対応」を重要課題と捉え、以下の目標を設定しています。2030年12月期目標は、2023年にSBT(Science Based Targets)イニシアティブの認定を受けており、スコープ1・スコープ2については、1.5℃水準の目標、スコープ3(カテゴリ1及び11)についてはWB(Well-below)2℃水準の目標となっています。2024年5月、2030年12月期のスコープ1・スコープ2の削減目標(2019年3月期比)を50.4%から60%へとさらに上方修正するとともに、再生可能エネルギー由来の電力比率の目標を新設しました。これらの目標についてはサステナビリティ推進委員会が進捗状況及び妥当性についてレビューし、目標を見直す場合は取締役会へ上申し、決議されます。

現在、国内及び海外での再生可能エネルギー由来の電力導入により、スコープ1・スコープ2の目標に対する実績は順調に進捗しています。スコープ3については、間接的な排出となるため外部環境を鑑み、現実的な取り組みから着実に取り組んでいます。

 

KPI

(実績評価指標)

2030年12月期

(目標)

2024年12月期

(実績)

自社CO2排出量

(スコープ1+2)

60%削減

(2019年3月期比)

56.4%削減

(2019年3月期比)

データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値です。検証後の確定数値は、2025年5月に当社ウェブサイトで開示予定です。

再生可能エネルギー由来の

電力比率

80%

(日本は2027年12月期に

100%を達成見込み)

66.6%

データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値です。検証後の確定数値は、2025年5月に当社ウェブサイトで開示予定です。

購入した製品・サービスに伴う

CO2排出量

(スコープ3 カテゴリ1)

30%削減

(2019年3月期比)

・国内主要サプライヤー150社を対象にCO2削減に向けたオンライン説明会を実施し、サプライヤーのCO2排出量データの収集を開始

販売した製品の使用に伴うCO2排出量

(スコープ3 カテゴリ11)

・全ての新規製品・システム開発におけるLCA(ライフサイクルアセスメント)の実施

・顧客の再生可能エネルギー導入状況の調査手法検討

 

※ スコープ3のカテゴリ1及びカテゴリ11合わせての目標

 

 

参考:カーボンニュートラルへのロードマップ


(注)CO2排出量はGHGプロトコルに則り、年度ごとに算定。スコープ1・スコープ2の算定対象範囲については、支配力基準の経営支配力基準とし、すべての連結子会社の排出量を算入

 

(3) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

① 戦略

当社グループにとって、人材は価値創造の源泉であり、人的資本経営を実行する原動力は、自由闊達な企業風土のもと、長年培ってきた豊富な経験とノウハウ、そしてお客さまのニーズに真摯に応え、先端技術を追求し続けるDNAです。従業員一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出し、活躍できる環境を整備し、仕事にやりがいを感じるとともに、ノウハウを持続的に継承していける取り組みを推進します。

また、2030長期ビジョンでのありたい姿を実現するために、「人材の確保・育成」、「ダイバーシティ&インクルージョン」、「エンゲージメントの向上」の3つを軸とした諸施策を通じて、人的資本の拡充・強化を図ります。

 

② 指標と目標

1) 人材の確保・育成:グループ人材マネジメント基盤の構築

当社グループはこれまで事業部門制のもと、それぞれの事業特性を考慮した部門最適の仕組みや人事の運用を行って成長を続けてきました。今後は、変化の速い事業環境を捉えイノベーションを創出していくために、部門間の人材の流動性を高め、社内にあるノウハウを効率的に共有・展開できる仕組みが必要です。より全社的な視点でグループ全体の人材を管理できる基盤の構築を目指しています。

まず、将来的に当社を支えていくキーポジション(主要幹部職)を特定し、そのポジションに求められる人材要件を明確化するとともに、適材後継者の計画的な登用を進めます。CEO等役員の計画的な後継者育成は重要ですが、役員の後継者だけではなく、部長などの幹部レベルからキーポジションをグループレベルで特定し、将来を見据えた後継者を計画的に育成していきます。2024年12月期には「グループ人材委員会」を発足させ、グループ及び事業部門の各人材委員会においてCEOや事業部門トップなどと議論を重ねつつ、キーポジションにあたる人材の把握と育成を行い、グループ全体で後継者候補を確保していきます。

2027中計におけるマテリアリティのKPIとして、キーポジションにおける後継候補充足率を2027年12月期までに100%を目標(2024年12月期は73%)としていますが、その先を見据えて計画を実施し、グループ内の人材の経験・スキルの見える化を図りながら、全社として適所適材な人員配置を推進します。

 

 

2) ダイバーシティ&インクルージョン

2027中計では引き続き、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しています。女性管理職数(比率)については、管理職候補者である係長職も含め、将来の女性管理職の育成を目的としたプログラムを充実させ、キャリア形成を支援するなどして、現在の40名(5.4%)から、2027中計最終年度までに60名(7.6%)を目指します。

多様な価値観や経験・発想を持つ人材が組織内にいることで、イノベーションの創出が期待でき、当社グループの持続的成長につながります。ダイバーシティの状況は国・地域によって異なりますが、例えば日本では、女性の活躍推進や国籍、障がいの有無にとらわれない人材の活躍が求められており、そういった人材が働きやすい環境の整備に取り組んでいます。中長期的には、より多様な価値観やバックグラウンドを持つ人材を活用していきます。

また、外国籍人材を積極的に採用しています。海外の技術系大学の有力校から直接採用しており、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナムなどから採用してきました。今後も性別・国籍にかかわらず優秀な技術職をさらに採用していけるよう、職場環境の整備を行っていきます。

 

3) 従業員エンゲージメントの向上

2030長期ビジョン及び2027中計より、「エンゲージメントの向上」を新たにマテリアリティと特定し、KPIとして国内グループ会社の肯定的回答率を60%超(2026年12月期)、海外グループ会社は国別平均スコア以上(2026年12月期)としました。2027中計期間ではさらに調査対象の会社を拡大し、より本格的にグローバルで展開していきます。

エンゲージメントサーベイの目的は、組織としての現状を見える化し、課題を抽出するとともに、その改善策を実施していくことです。国・地域による違いを理解し、今後の持続的成長につなげるための課題を見出すことが重要です。引き続き、事業部門と連携しながらグループ全体でエンゲージメントの向上に取り組んでいきます。

 

指標及び目標

マテリアリティ

指標

2027年12月期

目標

2024年12月期

実績

人材の確保・育成

キーポジションにおける後継者充足率

・人材プールの整備

(経験・スキルの見える化)

・後継候補充足率:100

・経験、スキルの収集項目と方法の検討

(2025年12月期より収集開始)

・グループ人材委員会:2回開催、事業部門人材委員会:11回開催

・後継候補充足率 73

専門人材確保に対応した人事制度の複線化

・新たな制度・施策(高度専門人材向けの処遇・勤務制度・勤務場所・採用施策)の検討及び導入

・導入した制度の改善

・技術系人材確保に向けた新拠点設置PJを組成

・一部職種において地域限定型社員制度の検討開始

ダイバーシティ&インクルージョン

女性管理職数(比率)

60(7.6%)

・女性管理職数(率)

40(5.4%)

多様な人材が活躍できる環境整備

・ダイバーシティに関する社内啓発の推進

・マイノリティに配慮した職場環境整備

・女性活躍推進企業として厚生労働省が認定する「えるぼし」(☆☆2段階目)を取得

・D&I分科会及び労使専門委員会で育児関連の改善ニーズを確認し、育児介護休業法改正(2025年4月)に合わせて制度見直しを実施予定

 

 

 

マテリアリティ

指標

2027年12月期

目標

2024年12月期

実績

エンゲージメントの向上

エンゲージメントサーベイスコア

・国内:肯定的回答率60%超

・海外:国別平均スコア以上

(隔年実施のため2026年12月期の目標)

・国内

働きがい56%(日本平均58%)

働きやすさ51%(日本平均58%)

エンゲージメントサーベイ実施と課題対応

・結果からの課題抽出と対策実施

・前年度サーベイを実施した海外子会社を訪問し施策フォローを実施(13社)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) リスクの管理体制

当社グループは、代表取締役を最高責任者として、3線モデルを基本とするリスクマネジメント体制を構築しています(下図)。リスク対応の実行主体である事業部門(第1線)が行うリスク管理を、コーポレート部門をはじめとするリスク所管部署(第2線)が支援、指導、監督します。また、第1線及び第2線のリスク管理の取り組みを、監査部門(第3線)が監査します。

 

リスクマネジメント体制(2025年12月期)


 

当社グループは、これらの取り組みを全社的な観点でモニタリング、対応指示及び進捗管理を行うために、代表取締役を委員長、コーポレート部門長、事業部門長、グループチーフオフィサー等を委員とするリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は以下の事項を所管しており、2024年12月期は3回開催しました。委員会の取り組み状況等については、必要に応じ取締役会へ報告を行います。

リスクマネジメント委員会の所管事項

1) リスク管理体制の企画及び立案並びに関連規程の整備

2) リスクアセスメント結果を踏まえたシビアリスク(経営層が中心となって組織横断的に優先管理すべきリスク)の選定

3) シビアリスクの対応方針の決定、指示、進捗管理及びモニタリング

4) 年次レビューの実施及び結果のフィードバック

5) リスク意識の向上のための各種情報共有、その他リスクマネジメントの重要性、考え方及び手法等に関する教育・訓練・研修等の実施方針の決定、指示

6) 危機対応に関する教育訓練及び演習等の対応方針決定、指示

 

 

② 平常時及び非常時の体制

当社グループのリスクマネジメント体制は、平常時はリスクマネジメント委員会が上記①の活動を行い、リスクが顕在化する前に、その可能性や被害の極小化に努めています。

リスクが顕在化し、危機対応を行うべき事態が発生した際は速やかにBCP推進体制へ移行します。


 

(2) 主要なリスク(シビアリスク)の選定及び対応のフロー


 

(3) 主要なリスク(シビアリスク)の評価と対応

当社グループにおいて「シビアリスク」と呼称しており、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは次のとおりです。ただし、これらは当社グループのすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。

 

主要なリスク(シビアリスク)の一覧


 

 

主要なリスク(シビアリスク)の内容と対応策

リスクテーマ

リスク項目

リスク評価

影響度

発生可能性

顕在化時期

 1) 事業環境の変化

市場環境の変化

1年以内

経済危機、景気変動

1年以内

重要顧客の喪失

やや高

特定時期なし

政変、革命、戦争、内乱、

紛争、暴動、テロ

1年以内

リスクの説明

 世界的なインフレや金利上昇、中国経済の減速、各国の政策の大幅な転換、世界各地で発生した紛争や政変など、経済動向に悪影響を与え得る事象が引き続き見られます。当社グループの主たる製品は物流システム等の設備であり、景気変動やお客さまの設備投資動向が売上に大きく影響します。特に半導体業界を主体とするエレクトロニクス業界は、技術革新のスピードが非常に早く、AIの利活用の加速による半導体需要増が見込まれるものの、同業界の設備投資動向は短期間で急速に変化するため、業績に想定以上の影響を及ぼす可能性があります。

 一方で、少子高齢化や人手不足による自動化・省人化ニーズの高まり、グローバルサウス諸国の経済発展、自動車産業のxEV(BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称)の需要拡大、国際的な人の往来回復など、これら中長期の経済・社会のトレンドが当社グループの受注・売上増に好材料となり得ます。

リスク対策

 当社グループを取り巻く事業環境は絶えず変化しているとの認識の下、経済情勢、市場環境、お客さまのニーズの変化や投資動向等を注視し、経営計画・事業計画への機動的な反映に努めています。

 

 

リスクテーマ

リスク項目

リスク評価

影響度

発生可能性

顕在化時期

 2) 調達・

サプライチェーン

原材料・部品・購買品等の調達遅延・不足・不能

やや大

1年以内

リスクの説明

 当社グループが製造・提供する主たる製品は、多種多様な部品・部材で構成される物流システムであり、部品・部材の調達の成否及び停滞により当社製品の生産、工事、サービスの提供の遅れに繋がる可能性があります。半導体等、部品の世界的な供給不足は落ち着きを取り戻したものの、依然としてエネルギー価格・部品及び原材料価格の高騰、物流コストの上昇が想定されます。加えて、当社グループの安定的な調達活動にあたっては、サステナブル調達、下請法コンプライアンス等への対応が不可欠です。これらの取り組み不足は当社グループのレピュテーション低下を招くだけではなく、サプライチェーンにおける中長期的な関係の構築・維持に失敗し、部品・部材の調達遅延・不足・不能のリスクにつながり得ると考えています。

リスク対策

 部品等の価格高騰・調達困難などを十分考慮して、コストや納期を管理するとともに、受注する案件の契約条件等に留意して影響の最小化を図っていきます。2024年12月期においては、サプライヤーとの調達価格協議状況の把握や、サプライヤー関連情報を可視化するシステムを導入しました。加えて、「SCM委員会」※の運用を開始しました。同委員会では、与信管理体制の高度化や生産・工事系業務におけるコンプライアンスの徹底を図るとともに、サステナブル調達活動とサプライチェーンの最適化に向けた施策を事業横断的に展開しています。

※ SCM委員会:Supply Chain Management委員会

 

 

 

リスクテーマ

リスク項目

リスク評価

影響度

発生可能性

顕在化時期

 3) 成長戦略

新規領域創出・技術開発

5年以内

リスクの説明

 当社グループは、産業界の幅広い領域をカバーする総合マテリアルハンドリングメーカーとして成長してきました。今後、当社グループの持続的な成長を図るためには、既存事業の伸長に加え、新規領域、新規事業の創出が不可欠であると考えています。しかしながら、近年の産業構造や社会情勢はダイナミックに変化しており、それらをタイムリーに捕捉した上で当社グループの業績拡大をもたらす新規領域、新規事業を創出するには一定程度の時間を要するものと考えています。
 また、AIやIoT技術の進展により、マテリアルハンドリング業界においても物流や製造プロセスのさらなる無人化・最適化が進んでおり、これに対応するための技術開発力や人材の確保が重要となっています。これらの技術を活用した新製品やサービスの開発が遅れると、市場での競争力を失うリスクが高まります。

リスク対策

 これまで事業部内で取り組んでいた新領域における事業拡大の取り組みに加え、SDGs、新技術、未来トレンドを起点にした新規事業の検討、及びAIや先端技術分野の技術開発を進めるため、2024年4月にビジネスイノベーション本部を発足させました。2025年12月期には新規技術及び事業のアイデアに関する社内公募を実施します。

 

 

リスクテーマ

リスク項目

リスク評価

影響度

発生可能性

顕在化時期

 4) 人材関連

人材育成の取り組み不足

やや大

3年以内

従業員(作業者)の不足

やや大

3年以内

後継者(管理職)教育

5年以内

人材の確保・社員の離職

やや大

1年以内

リスクの説明

 当社グループの持続的な発展には、次世代を担う後継者の教育及び育成が重要と考えています。世界的な人手不足の中、マテリアルハンドリング業界においても、特に技術者・技能者不足の深刻化が懸念されており、当社グループにおいても専門的知識や技術を持った人材の不足による競争力低下をリスクと捉えています。これらのリスクが顕在化することにより、事業運営の継続性や技術・技能のノウハウ、優位性が失われ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

リスク対策

 当社グループでは、キーポジションの後継者計画を更新し、後継候補者の育成に努めています。2024年12月期には、事業部門を跨いだ部長クラスの異動によるグループ人材の活用や新任部長研修のコンテンツ拡充による育成プログラムの整備、海外ナショナルスタッフ向け育成支援プログラムの構築なども進めています。

従業員のエンゲージメント向上に関しては、国内グループ会社を対象にエンゲージメントサーベイを実施(回答率98%)し、役員、各事業部門及び各本部に対して結果報告会を開催しました。2025年12月期からは、組織ごとの課題対応施策の検討をワークショップ形式で実施し、組織課題に対する改善活動に取り組んでいきます。なお、2024年3月期にサーベイを実施した海外子会社については改善に向けたアクションプランのフォローを行いました。

 採用手法の多様化にも取り組んでおり、夏季インターンシップ(5日間コース)では前年比1.5倍の学生を受け入れ、応募者と募集職種のマッチングを推進しています。キャリア採用については、ダイレクトリクルーティングの活用拡大に加え、ジョブリターン・エントリー制度の対象者を拡充し、自己都合退職者の再入社を受入れる仕組みを構築しています。

 

 

 

リスクテーマ

リスク項目

リスク評価

影響度

発生可能性

顕在化時期

 5) グループガバナンス

子会社の管理不備

やや高

特定時期なし

グループ会社の不祥事

特定時期なし

リスクの説明

 2024年12月期の当社グループの連結会社数は66社、従業員数は11,042名となりました。そのうち連結海外子会社の従業員数は6,810名(61.7%)です。このようにグループ規模が拡大している中、国内外の子会社の管理が行き届かず、不正・不祥事の発生や組織運営の失敗により、当社の社会的信用の低下や業績の悪化を招く可能性があります。

リスク対策

 当社グループでは、買収した海外子会社の管理体制の把握及び整備支援を継続しています。特に、比較的リスクが高いとみられる海外子会社の手がける大型プロジェクトについて、所管事業部門と連携し、契約リスク管理を強化しています。また、内部監査部門と連携し、オンライン会議及び現地訪問を通じて状況把握とコミュニケーションラインの構築を進めています。

 

 

リスクテーマ

リスク項目

リスク評価

影響度

発生可能性

顕在化時期

 6) 自然災害

大規模な自然災害(例:大規模地震、津波、風水害等)

特定時期なし

リスクの説明

 地震、台風、津波など大規模な自然災害発生に起因する当社グループの生産設備や拠点・従業員への被害発生、ライフラインの停止等により企業活動が中断するリスクがあります。発生した事象が甚大な場合(南海トラフ地震、超大規模台風など)は、影響は想定より大きくなる可能性があります。

リスク対策

 BCPの実効性を高めることを目的に、安否確認システムの導入、初動対応マニュアルに基づいた定期的な訓練の実施、防災備品の拡充などを進めています。

 当社グループでは、震度5強以上の地震、長期間の復旧活動が必要となる災害、その他長期にわたるライフライン断絶等の事業に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合、又は発生が予想される場合に、必要に応じて現地災害対策本部を設置します。

 2024年12月期には、南海トラフ臨時情報が発表された際に、速やかに社内に対策本部準備室を設置できる体制を整えました。準備室では、収集した情報を関係部門と共有し、政府や自治体が示す防災対応を踏まえ、業務継続を基本として従業員に適切な防災・安全対策を指示します。

 

 

 

リスクテーマ

リスク項目

リスク評価

影響度

発生可能性

顕在化時期

 7) 情報セキュリティ

機密情報の人為的な漏えい

特定時期なし

サイバー攻撃

特定時期なし

リスクの説明

 近年、世界的に内部不正による情報漏洩やサイバー攻撃が増加傾向にあり、情報セキュリティに対する脅威が非常に高まっています。これらのリスクが顕在化することにより、重要な情報資産の流出や不正利用、企業活動の中断、当社グループのレピュテーションの毀損など、当社グループの企業活動の継続や業績に悪影響を与える可能性があります。

リスク対策

 機密情報の人為的な漏洩に関する対策として、情報セキュリティの人的管理・物理的管理・組織的管理に取り組んでいます。グループ全体として情報セキュリティに対するマネジメントが適切に整備、運用されているかを確認・評価するために、情報セキュリティ監査のグローバル展開を進めています。2024年12月期は、国内7部門、海外子会社10社の監査を実施しました。また、各社・各部門内に情報セキュリティ監査員を育成、設置して自律性を高めることで、グループとしての情報セキュリティレベルの向上に努めています。さらに、サプライチェーン全体でのサイバーセキュリティ確保のため、委託先における情報管理状況のチェック等を実施しています。個人情報管理としては、特に配慮が必要な情報を最重要個人情報に区分し追加の管理策を実施するとともに、国内外で1,000名を超える従業員に対して研修を実施することで個人情報の安全管理の徹底を図っています。

 サイバー攻撃については、情報セキュリティ委員会を軸にCSIRT※を運営し、サイバー攻撃を受けた場合の影響範囲や損害の特定、被害拡大防止の初動対応、再発防止策などを整備しています。また、従業員に対しては、多言語に対応した動画コンテンツによるeラーニングや標的型攻撃を想定したメール訓練などを定期的に実施しています。

※ CSIRT:Computer Security Incident Response Team:サイバー攻撃による情報漏洩など、コンピューターセキュリティにかかる事故に対処するための組織

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要 

当社の決算期(事業年度の末日)は、2024年6月21日に開催した第108回定時株主総会での決議をもって、毎年3月31日から12月31日に変更となりました。決算期変更の経過期間となる当連結会計年度(2024年12月期)は、株式会社ダイフク並びに国内を中心とした従来の3月末決算子会社は2024年4月1日から12月31日までの9カ月間を、海外を中心とした子会社は2024年1月1日から12月31日までの12カ月間を連結対象期間とした変則決算となっています。このため、参考値として、当連結会計年度と同一期間となるように組み替えた前年同期(以下「調整後前年同期」)による比較情報を記載しています。

 

当連結会計年度(2024年4月1日~12月31日)における世界の経済は、中国経済の低迷や米国経済の減速懸念に伴う下振れリスクはあったものの、総じて順調に推移しました。

事業環境としては、日本においては物流2024年問題を背景として、物流関連投資が回復基調にあります。半導体産業では、中国におけるレガシー半導体投資が高水準で継続すると同時に、生成AI向け半導体の需要が急増し、先端半導体投資が前倒しで回復してきました。また、半導体後工程における自動化投資も具現化してきました。自動車産業では、ガソリン車とxEV(BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称)の混流生産を可能とするラインへの投資が高水準で継続しています。航空旅客数の回復に伴い空港における自動化投資も北米を中心に伸長しています。

このような経済・事業環境の下、当連結会計年度の受注は、アジアにおける半導体生産ライン向けシステムや、北米における空港向けシステムを中心に順調に推移しました。

売上は、豊富な前期末受注残高をベースに全体として計画に対し、順調に推移しました。

この結果、受注高は5,947億69百万円調整後前年同期比5.8%増)、売上高は5,632億28百万円(同6.1%増)となりました。

利益面では、前中期経営計画期間より進めてきた生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与しました。また、中国におけるレガシー半導体向け売上の増加もあり、利益率が大きく改善しました。

この結果、営業利益は715億46百万円(同36.3%増)、経常利益は744億98百万円同37.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は570億86百万円同50.6%増)となりました。

なお、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、国内が9カ月間の変則決算にもかかわらず、3期連続で過去最高を更新しました。

なお、当連結会計年度の当社グループの平均為替レートは、米ドルで152.27円(前連結会計年度141.20円)、中国元で21.13円(同19.87円)、韓国ウォンで0.1113円(同0.1080円)等となりました。為替の変動により、前連結会計年度比で受注高は約284億円、売上高は約213億円、営業利益は約25億円、それぞれ増加しました。

 

現時点での2025年12月期の業績予想は、受注高7,000億円、売上高6,500億円、営業利益815億円、経常利益850億円、親会社株主に帰属する当期純利益650億円、営業利益率12.5%としています。

米国の通商政策が世界経済へ与える影響を注視する必要があるものの、製造業・流通業における労働力不足や人件費上昇を背景とした自動化投資及び生成AI向け先端半導体と後工程投資が拡大する見込みです。また、自動車産業におけるxEV関連投資や、空港における自動化投資も高水準が継続する見込みであり、受注に結び付けていきます。売上高は、豊富な前期末受注残高をベースに順調に推移する見込みです。
 利益面については、半導体生産ライン向けシステムの地域別売上構成比の変化や、日本を中心とした人件費上昇と、これに付随するサプライチェーンにおけるコスト増加の影響を見込んでいますが、生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みにより更なる収益性の改善を進めていきます。

 

2025年12月期の為替レートは対米ドル148 円(2024年12月期実績レート152.27円)を前提としています。

 

上記の業績予想は、主に受注済の案件の進捗見込みや今後受注が見込まれる案件の確度や時期、期中の進捗度合いを想定し算出していますが、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、国内外の顧客の動向・競合状況、「3 事業等のリスク」に記載している各種リスク要因などのさまざまな不確定要素により、実際の業績は記載の見通しと異なる可能性があります。

 

 

 

2024年12月期 連結業績

受注高

5,947億69百万円

  (調整後前年同期比

5.8%増)

売上高

5,632億28百万円

  (       同   

 6.1%増)

営業利益

715億46百万円

  (       同

36.3%増)

経常利益

744億98百万円

  (       同

37.0%増)

親会社株主に帰属する当期純利益

570億86百万円

  (       同

50.6%増)

 

 

セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高を、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しています。

当社グループのうち、海外子会社については、そのほとんどが12月末決算のため2024年1月1日から12月31日までの期間の状況を記載しています。

また、株式会社ダイフク並びに国内を中心とした従来の3月決算子会社を含むセグメントの対前年比較については、参考値として、調整後前年同期による比較情報を記載しています。

 

 

① 株式会社ダイフク

受注は、半導体生産ライン向けシステムを中心に順調に推移しました。

売上は、豊富な前期末受注残高をベースに全体としては順調に推移しました。

セグメント利益は、生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与しました。また、中国におけるレガシー半導体向け売上の増加もあり、利益率が大きく改善しました。

この結果、受注高は1,777億70百万円(調整後前年同期比10.7%増)、売上高は1,880億97百万円(同14.1%増)、セグメント利益は292億50百万円(同53.3%増)となりました。

 

② コンテックグループ

日本市場・海外市場ともに顧客の在庫調整の影響を受け受注は減少しました。一方、為替変動の影響等により北米市場で増収となり売上は増加しました。

セグメント利益は、国内での売上減少が影響し減益となりました。

この結果、受注高は172億13百万円(調整後前年同期比5.2%減)、売上高は169億82百万円(同2.0%増)、セグメント利益は2億69百万円(同58.0%減)となりました。

 

③ Daifuku North America, Inc.(DNA)グループ

受注は、空港向けシステムが好調に推移したものの、一般製造業・流通業、半導体生産ライン向けシステムにおいて、前年の実績には及びませんでした。

売上は、豊富な前期末受注残高をベースに計画に対し概ね順調に推移しました。

セグメント利益は、生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与し、一般製造業・流通業、自動車生産ライン向けシステムにおいて、増加しました。

この結果、受注高は1,833億5百万円前年同期比9.3%減)、売上高は1,724億84百万円同1.9%減)、セグメント利益は162億86百万円同46.6%増)となりました。

 

④ Clean Factomation, Inc.(CFI)

受注は、低調だった前年からは回復基調にあるものの、売上・セグメント利益ともに低調に推移しました。

この結果、受注高は317億61百万円(前年同期比28.0%増)、売上高は258億86百万円(同15.5%減)、セグメント利益は14億14百万円(同25.1%減)となりました。

 

 

⑤ 大福自動搬送設備(蘇州)有限公司(DSA)

受注は、好調だった前年からの反動の影響はあるものの、レガシー半導体向け投資が高水準で継続しました。

売上・セグメント利益ともに、豊富な前期末受注残高をベースに好調に推移しました。

この結果、受注高は318億95百万円(前年同期比31.7%減)、売上高は533億79百万円(同77.4%増)、セグメント利益は122億43百万円(同122.9%増)となりました。

 

⑥ その他

「その他」は、当社グループを構成する連結子会社66社のうち、上記②③④⑤以外の国内外の子会社です。これらの各社は、マテリアルハンドリングシステム・洗車機等の製造・販売・工事・サービスを行っています。主な子会社の状況は、次のとおりです。

国内子会社:

株式会社ダイフクプラスモアは、各種洗車機の販売等を行っています。

海外子会社:

中国、台湾、韓国、タイ、インドなどにマテリアルハンドリングシステム・洗車機の生産拠点があり、最適地生産・調達体制の一翼を担いつつ、販売・工事・サービスも行っています。

また、北中米、アジア、欧州、オセアニアには販売・工事・サービスを行う子会社を幅広く配置しています。

受注は、半導体生産ライン向けシステムを中心に好調に推移しました。売上は、前期末受注残高をベースに概ね計画通りに推移しました。セグメント利益は、オセアニアにおける一部案件で一過性コストを計上した前期から大きく増加しました。

この結果、受注高は1,528億23百万円調整後前年同期比39.3%増)、売上高は1,021億52百万円同11.0%減)、セグメント利益は40億51百万円同274.4%増)となりました。

 

業種別や仕向地別の詳細については、「[表]業種別受注高・売上高及び[表]仕向地別受注高・売上高」をご参照ください。

 

 

[表]業種別受注高・売上高

 

エレクトロニクス:受注は、先端半導体向けが好調。売上は、レガシー半導体向けが好調。

 

空港:受注・売上ともに北米向けが好調。

 

 

 

 

 

 

(億円)

 

受注高

売上高

2024年3月期

2024年12月期

2024年3月期

2024年12月期

受注高

構成比

受注高

構成比

売上高

構成比

売上高

構成比

自動車及び自動車部品

928

15.0%

834

14.0%

814

13.3%

751

13.4%

エレクトロニクス

1,914

30.9%

2,057

34.6%

2,035

33.2%

1,971

35.3%

商業及び小売業

1,395

22.5%

909

15.3%

1,475

24.1%

1,098

19.7%

運輸・倉庫

286

4.6%

376

6.3%

248

4.0%

269

4.8%

機械

113

1.8%

65

1.1%

103

1.7%

87

1.6%

化学・薬品

286

4.6%

187

3.1%

251

4.1%

228

4.1%

食品

424

6.8%

162

2.7%

206

3.4%

218

3.9%

鉄鋼・非鉄金属

68

1.1%

40

0.7%

54

0.9%

39

0.7%

精密機器・印刷・事務機

40

0.6%

38

0.6%

43

0.7%

38

0.7%

空港

531

8.6%

1,102

18.5%

658

10.7%

718

12.9%

その他

214

3.5%

172

3.1%

239

3.9%

167

2.9%

小計

6,203

100.0%

5,947

100.0%

6,131

100.0%

5,589

100.0%

連結調整等

△16

42

合計

6,203

5,947

6,114

5,632

 

 

 

[表]仕向地別受注高・売上高

 

中国:受注は、半導体生産ライン向けが減少。売上は、半導体生産ライン向けが増加。

 

韓国・台湾:受注は、半導体生産ライン向けが増加。

 

 

 

 

 

(億円)

 

受注高

売上高

2024年3月期

2024年12月期

2024年3月期

2024年12月期

受注高

構成比

受注高

構成比

売上高

構成比

売上高

構成比

日本

1,746

28.2%

1,196

20.0%

2,004

32.7%

1,446

25.9%

海外

4,456

71.8%

4,751

80.0%

4,126

67.3%

4,143

74,1%

 

北米

2,226

35.9%

1,886

31.7%

1,816

29.6%

1,741

31.1%

 

アジア

1,842

29.7%

2,407

40.5%

1,810

29.5%

2,019

36.1%

 

中国

1,095

17.7%

648

10.9%

857

14.0%

1,105

19.8%

韓国

335

5.4%

421

7.1%

391

6.4%

375

6.7%

台湾

100

1.6%

803

13.5%

283

4.6%

308

5.5%

その他

310

5.0%

533

9.0%

277

4.5%

229

4.1%

 

欧州

192

3.1%

187

3.2%

182

3.0%

145

2.6%

 

中南米

57

0.9%

58

1.0%

106

1.7%

66

1.2%

 

その他

137

2.2%

211

3.6%

211

3.5%

171

3.1%

小計

6,203

100.0%

5,947

100.0%

6,131

100.0%

5,589

100.0%

連結調整等

△16

42

合計

6,203

5,947

6,114

5,632

 

 

 

(2) 財政状態の状況

資産は、前連結会計年度末に比べ425億52百万円増加し、6,887億7百万円となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金等及び契約資産が467億85百万円投資有価証券が100億32百万円減少したものの、現金及び預金が794億77百万円有形固定資産が83億24百万円繰延税金資産が86億1百万円それぞれ増加したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ28億82百万円増加し、2,902億82百万円となりました。これは主に短期借入金が70億90百万円、未払費用等の流動負債その他が32億91百万円未払法人税等が39億84百万円減少したものの、賞与引当金が107億88百万円契約負債が54億33百万円それぞれ増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ396億69百万円増加し、3,984億24百万円となりました。これは主に自己株式の取得に伴う98億37百万円の減少があったものの、利益剰余金が388億98百万円為替換算調整勘定が134億45百万円増加したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ839億49百万円増加し、2,203億95百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、1,161億29百万円となりました(前連結会計年度は371億17百万円の増加)。これは主に、仕入債務の減少が34億82百万円法人税等の支払額が257億33百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が744億88百万円売上債権及び契約資産の減少額が556億39百万円あったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、23億93百万円となりました(前連結会計年度は295億82百万円の減少)。これは主に、定期預金の払戻による収入が58億56百万円投資有価証券の売却による収入が33億6百万円あったものの、固定資産の取得による支出が118億82百万円あったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、368億20百万円となりました(前連結会計年度は227億32百万円の増加)。これは主に、短期借入金の減少額が64億21百万円自己株式の取得による支出が100億3百万円配当金の支払額が174億77百万円あったことによるものです。

 

連結キャッシュ・フローの指標は次のとおりです。

 

2024年3月

2024年12月

自己資本比率(%)

55.5

57.8

時価ベースの自己資本比率(%)

205.6

176.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.9

0.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

83.2

405.2

 

自己資本比率                         :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産

時価ベースの自己資本比率             :株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率   :有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ     :営業キャッシュ・フロー/利払い

 (注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金、転換社債型新株予約権付社債を対象としています。

5 利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

① 財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としています。

強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%以上に保ち、「A(シングルAフラット)」以上の発行体格付(株式会社格付投資情報センター(R&I)による格付)の維持向上を目指し、リスク耐性の強化を図ります。

同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで金融機関からの借入や社債の発行などの活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めます。2027年中期経営計画(以下、2027中計)では、資本効率のさらなる向上を目指し、ROICを活用した事業評価・分析を進めています。とりわけ、受注・売上の拡大に伴って運転資金が大きく増加する傾向にある事業特性に鑑み、新たにキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を指標と定め、2024年3月期実績の100日から、最終年度の2027年12月期には75日に短縮する目標を設定し、各種施策を進めています。2024年12月期におけるCCCの実績は、99日となりました。

 

② 経営資源の配分に関する考え方

当社グループは、適正な手元現預金の水準について、売上高の約1.5~2.0カ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。また、株主の皆さまに対する利益還元を最重要事項と位置づけ、剰余金の配当については、株主の皆さまへのさらなる利益還元を視野に入れて、連結当期純利益をベースとする業績連動による配当政策を取り入れるとともに、残余の剰余金については内部留保金として、今後の成長に向けた投資資金に充てる方針です。

設備投資・研究開発に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進します。2027中計では総額1,600億円を予定してます。

 

③ 資金需要の主な内容

当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、ならびに製造間接費・販売費及び一般管理費等の固定費です。

固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、賃借料等です。

 

④ 資金調達

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しています。グループ内では資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を国内グループ会社で運用しています。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため信用格付を取得しており、有価証券報告書提出日現在において、株式会社格付投資情報センターによる発行体格付は「シングルA+(安定的)」となっています。一方、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は問題なく調達可能であると認識しています。なお、国内金融機関において300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しています。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

 

(6) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

株式会社ダイフク

220,286

コンテックグループ

18,947

Daifuku North America, Inc.グループ

163,886

Clean Factomation, Inc.

25,448

大福自動搬送設備(蘇州)有限公司

48,088

その他

72,740

合計

549,398

 

(注) 1  金額は販売価格によっています。

2  「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社です。

3  決算期変更により、2024年12月期は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。

 

②受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

株式会社ダイフク

177,770

210,844

コンテックグループ

17,213

9,040

Daifuku North America, Inc.グループ

183,305

201,403

Clean Factomation, Inc.

31,761

27,190

大福自動搬送設備(蘇州)有限公司

31,895

33,024

その他

152,823

147,032

合計

594,769

628,536

 

(注) 1  セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2  「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。

3  決算期変更により、2024年12月期は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

株式会社ダイフク

188,097

コンテックグループ

16,982

Daifuku North America, Inc.グループ

172,484

Clean Factomation, Inc.

25,886

大福自動搬送設備(蘇州)有限公司

53,379

その他

106,398

合計

563,228

 

(注) 1  セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2  「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。

3  決算期変更により、2024年12月期は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。

 

 

(7) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の受注高は、アジアにおける半導体生産ライン向けや、北米における空港向けシステムが牽引し、期初計画の5,750億円を上回る5,947億円となりました。売上高についても、豊富な前期末受注残高を背景に順調に推移したことにより、期初計画5,500億円を上回る5,632億円となりました。また、利益面では、前中期経営計画期間より進めてきた生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与したことや、中国レガシー半導体向け売上の増加もあり、期初予想の営業利益520億円、営業利益率9.5%を大きく上回る、営業利益715億円、営業利益率12.7%となりました。国内が9カ月間という変則決算にもかかわらず営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも3期連続で過去最高を更新すると同時に、当期純利益率が初めて10%台となるなど、2027中計1年目の結果としては、順調なスタートが切れたと評価しています。一方で、長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)や2027中計で掲げる成長戦略を実現するためには、一部地域で収益性改善の途上にある海外での事業拡大が必須となります。グローバルでの労働力不足、人件費上昇を背景とした自動化投資や、生成AI向け半導体投資といった成長機会を受注・売上に着実に結び付けるとともに、海外子会社を中心に収益性の更なる改善を進め、成長と収益性向上の両立を図っていきます。

当社グループの経営成績の分析の詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要」、課題分析や今後の施策などの詳細は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

② 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2027年中計では、成長性、収益性、資本効率性の3つの観点から、最終年度となる2027年12月期に向けた経営目標として、連結売上高8,000億円、営業利益率11.5%、ROE13.0%を設定しています。これに対し、2024年12月期における実績は、連結売上高5,632億円、営業利益率12.7%、ROE15.1%となり、収益性及び資本効率性の目標を大きく上回る結果となりました。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための分析の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(8) 今後の経営方針について

社是・経営理念の下、更なる成長に向け、ありたい姿を描いた2030長期ビジョンとその中間点となる2027年中計の達成に向け、各種施策を実践していきます。

今後の経営方針の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」の機能を持つ機械設備とそれを支える電子機器の新システム・新製品の開発に取り組んでいます。昨今は、企業に求められる社会的責任が、経済活動のみならず環境・社会活動を含む概念へと広がっており、環境・安全等にも配慮したシステムや製品の開発にも努めています。

加えて、近年ではAIを取り込んだ新システムや製品開発にも注力しています。これらの活動によって生み出された知的財産をより戦略的に活用するためにDXを推進し、知的財産の早期の権利化や保護の強化を図っています。また、IPL(Intellectual Property Landscape)にも取り組み、各事業部と伴走し当社グループの競争優位性の強化に努めていきます。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、9,340百万円です。

なお、当連結会計年度は決算期変更により2024年4月1日から2024年12月31日までの9カ月間となっています。

報告セグメントごとの内訳は次のとおりです。

(単位:百万円)

セグメントの名称

2024年3月期

2024年12月期

株式会社ダイフク

8,637

7,484

コンテックグループ

1,097

945

Daifuku North America, Inc.(DNA)グループ

978

343

Clean Factomation, Inc.(CFI)

338

339

大福自動搬送設備(蘇州)有限公司(DSA)

24

その他

207

202

合計

11,264

9,340

 

 

報告セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。

なお、大福自動搬送設備(蘇州)有限公司(DSA)の研究開発活動は小規模であり記載を省略しています。

 

(1) 株式会社ダイフク

① 一般製造業・流通業向け製品

主に個配・通販の配送センターにおけるピースピッキングを自動化する「XY-ピッキングロボット」の販売を開始しました。定点ピッキング(GTP:Goods-to-Person)のクイックピックステーションと組み合わせることによって高能力化・省スペース化が図れます。

自律走行搬送ロボットを活用したケース搬送システム「ソーティングトランスファーロボット-M」の販売を開始しました。従来コンベヤで構成していた定点ピッキング・搬送・仕分け機能をケース搬送ロボットに置き換えることで、レイアウトの柔軟性、拡張性のあるシステムを実現しています。

② 半導体生産ライン向け製品

半導体生産ライン向けでは、後工程と呼ばれる積層パッケージ分野で自動化が進んでおり、多種多様な搬送物に備えて、新たな搬送・保管システムの開発を進めています。また、最先端の回路線幅である2~3ナノ向けの搬送・保管システムについては、24時間365日システム稼働を止めない高い信頼性や機器の消費電力削減を追求するとともに、コントロールシステムにはAIを導入し、高効率・高能力を生み出せるシステムの開発を進めています。

③ 自動車生産ライン向け製品

100年に一度の変革期と呼ばれる自動車産業では、変化により柔軟に対応できる組立工場が求められています。このようなニーズに応えるための製品として開発した台車けん引式AGVを組立工場だけでなく、電池工場やエンジン工場などにも対応できるよう製品力を強化しました。また、搬送システムと自動化設備をトータルで提供できる当社の強みをお客さまに訴求するため、滋賀事業所内にデモラインを設置しました。さらに、トラック入荷場からラインサイドまでの部品供給を自動化する商品群の開発にも取り組んでいます。

 

④ 空港向け製品

国内の空港に向けて受託手荷物追跡システムを高機能にしたハンディタイプのバーコード読み取り機(BRS)を投入しました。乗り継ぎで目的地が変わる手荷物を、人の経験に頼らず効率よく行先ごとに仕分けすることが可能となります。

簡易型セルフバックドロップ(TAG-UX)を国内市場に投入し、好評を得ています。お客さま自身で手荷物タグを読み取って手荷物を預け入れていただくことで、混雑の緩和に貢献しています。

コンベヤSCADAシステム(Sym3)の機能を見直し、より精度の高いシミュレーションが実行できるように再開発しました。

⑤ 洗車機

洗車機で培った洗浄・節水技術を活かし、日本初のごみ収集車用内部洗浄装置「シャワーホッパー」を開発し、販売を開始しました。従来、手作業で行っていた洗浄作業を自動化することで、洗浄時間の約30%短縮、水使用量も約20%削減が可能となります。また、人による作業を無くすことで労働環境の大幅な改善にも繋がります。今後も“洗う技術”で人と環境に優しい新製品を開発していきます。※数字は当社調べ

以上に記載の①~⑤を中心に、当社が支出した研究開発費の総額は7,484百万円です。

 

(2) コンテックグループ

産業用コンピュータ製品では、NVIDIA Jetson AGX Orin™ を搭載した組み込み用ファンレス・コンピュータを開発し、「DX-M2300シリーズ」として2024年9月より受注を開始しました。データセンター向けGPUボードに匹敵するAI性能を持ち、独自の放熱技術により小型筐体でファンレス動作を実現しました。AI性能を持つ小型の組み込み用コンピュータとして、AMR (自律制御走行搬送ロボット) などのロボティクスアプリケーションに適しています。

IoT機器製品では、積層セラミックコンデンサの量産品検査向け計測器モジュールCメータボード「ZM-C2H-PE」を開発し、2024年12月より受注を開始しました。本製品1枚でWindows パソコンにベンチトップ計測器2台分の機能を組み込むことが可能となり、電子部品検査システムの小型化とコストダウンに貢献します。

当グループが支出した研究開発費の金額は945百万円です。

 

(3) Daifuku North America, Inc.(DNA)グループ

一般製造業・流通業向けシステムでは、ピッキングやソーティングシステムの開発に力を入れています。

自動車生産ライン向けシステムでは、PRB(パワーローラーベッド)システムのデモ、テスト、完成に取り組んでおり、コストと製造工程等を考慮した設計による標準製品ラインの改良を継続します。

当グループが支出した研究開発費の総額は343百万円です。

 

(4) Clean Factomation, Inc.(CFI)

韓国の半導体メーカーのお客さまに密着して、より効率の高い窒素パージ保管システムや、後工程のパッケージング分野向けの搬送・保管機器の開発などを実施しています。

また、過去に納めたシステムのリニューアル開発なども行っています。

当子会社が支出した研究開発費の総額は339百万円です。