第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、継続課金モデルの製品・サービス(ストックビジネス)等の開発・提供を推進することで業績の向上及び安定化を図りながら、当社の強みであるシステム面から顧客が求めるビジネスを実現することでグループ全体の事業の柔軟性や対応力を強化することを経営戦略として位置付けております。

これらの活動を通じて、顧客企業における企業課題の解決と企業価値の向上に貢献するとともに、社会資本の整備と新たな剰余価値の創出に向けて歩みを進めてまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、持続的な収益性の向上を目的として、事業利益(売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除した利益)を新たな経営指標にするとともに、EBITDA(事業利益+減価償却費+顧客関連資産償却額)についても重視しております

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、MVNOサービス等の安定的に収益獲得可能なストックビジネスを推進することによるストック売上の拡大と、創業以来30年以上に渡り培ってきた「組込み」開発力をベースとした顧客のシステム開発について、開発コストの適正化を図ること等による粗利益の増加を成長戦略として位置付けております。

「ストックビジネス事業」においては、現在当社グループの柱となっているMVNOサービスにおいて市場上位レイヤーの契約者数を保有している強みに加えて、各種通信サービスのプラン設計や一連のバックオフィス業務まで幅広く対応可能なこと、また当社の開発力を活かしたサービス向上やラインナップの拡充などが行えること等、これら当社グループの強みを積極的に活かしたビジネス展開を図ることで収益基盤の安定化と収益の拡大を図ってまいります。また、事業規模の拡大やストック売上の増加につながるような他社との提携やM&A等についても積極的に検討してまいります。

また、「システム開発事業」においては、創業以来30年以上に渡り培ってきた「組込み」に関する経験や技術に加え、この「組込み開発力」や多数の顧客向けシステム・クラウド開発から得られた知見やノウハウ、またMVNO事業者として保有する通信技術等を有しており、これらを組み合わせた組込み&エッジからクラウドまでのワンストップ開発を可能とする対応力を生かして顧客のニーズを実現することで、顧客基盤の構築や事業の柔軟性向上を図るとともに、エンジニア稼働率の適正化等に取り組むことで、粗利益の増加等の収益性の向上について取り組んでまいります。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題等

当社では、長年に渡る業績不振を起因とする時価総額の低迷の状況が継続しており、2022年12月期においては、東京証券取引所グロース市場における上場維持基準に対して不適合となったものの、前連結会計年度である2023年12月期においては同基準に対して適合しましたが、当連結会計年度においては再度不適合の状況となる等、依然として低迷した状態が継続しております。

このような状況を解消するため、当社では「知名度の浸透」と「投資魅力の向上」を目的として下記に記載した施策に取り組んでまいります。

 

「知名度の浸透」については、積極的な発信にこれまで以上に取り組んでまいります。すでに決算説明会や投資家向けセミナーを継続的に開催するとともに、これらの内容をホームページに都度掲載し投資家に向けて発信しているほか、適時開示やプレスリリースの配信サイトを通じた発信の強化、また投資家向け媒体への掲載等に取り組んでおりますが、引き続きこれらの取り組みを強化していく予定です。

また「投資魅力の向上」については、自己株式の取得や剰余金の配当等の株主還元策を継続的に実施することで実現してまいりたいと考えております。前期中において当社では初となる自己株式の取得を実施したほか、剰余金の配当についても本年3月に開催予定の定時株主総会にて株主の皆様のご承認をいただいた後にこちらも当社では初となる実施を予定しておりますが、これら株主還元策についても継続的に実施してまいる予定です。また、中長期的な事業成長の方向性を明確にするため、2024年8月に事業ビジョン及び事業ロードマップを策定いたしました。現在、このロードマップに基づき、既存ビジネスのリブランディングに加えて2025年2月に提供を開始したリテールメディアプラットフォーム「BRIDGE AD」をはじめとする新規ビジネスの創出に取り組んでおりますが、今後もこの新事業ビジョンに基づき様々な施策を推進してまいります。併せて企業価値向上に資するM&Aの実施にも取り組んでまいります。

当社では、上記に記載した施策を着実に実行することで、時価総額の増大を実現できるものと考えております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、取締役会をサステナビリティ課題への取り組みに関する監督機関として位置付けるとともに、業務執行会議にてサステナビリティ課題に対する取り組みに関する議論やこれらに対する対応策を検討しております。また、監査役会設置会社として、取締役会から独立した監査役及び監査役会が取締役の職務執行状況等の監査を実施しております。

 

(2)戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。

<人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略>

当社では「人的資本」を重要視しており、社員の働きがいの向上を目的として社内プロジェクト「ワークライフ・コラボレーション・プログラム」を構築し、社員それぞれの多様な価値観を尊重した働き方の実現と高いパフォーマンスを発揮できる環境作りに取り組んでおります。「ワークライフ・コラボレーション・プログラム」は、「多様な働き方の促進」を目的とする「1.WORK」、「「個」を生かす組織作り」を目的とした「2.DIVERSITY」、「学習機会の提供やコミュニケーション活性化によるチームワークの強化とモチベーションの向上」を目的とした「3.CAREER&COMMUNICATION」、この3つに注力し相互に連携させることで、社員の働きがいを向上させることを目的としたものであり、「1.WORK」においては完全テレワークの実施、フレックスタイム制度の導入、有給休暇の取得推進と残業時間の抑制、育児・介護制度の整備や副業・兼業制度の実施や都度改善に取り組んでいるほか、「2.DIVERSITY」においては、女性社員の活躍推進や社内間にて社員がお互いをID(ニックネーム)呼びにすることによる上下関係や組織の壁を取り払う試み、これらに加えて個人の成果を適正に評価する人事評価制度の構築等に取り組んでおります。また「3.CAREER&COMMUNICATION」においては、社員個人が今後のキャリア形成を考えるうえで必要となる知識やスキルの習得を支援する資格取得支援制度等のリカレント教育の推進に加えて、外部合宿やバーベキュー大会等の実際に社員同士が親交を深めることのできるイベントの実施や、社員が4人以上で交流イベントを行う場合に参加社員一人あたり1,000円を会社から支給する社内制度「社内コミュニケーション活性化支援制度」等を実施しております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、リスク管理及びコンプライアンス遵守の推進を目的として、リスク管理規程及びコンプライアンス規程を定めるとともに、代表取締役社長を責任者とするリスクマネジメント体制にてリスクマネジメント推進に係る課題及び対応策を管理しております。また代表取締役社長をコンプライアンス責任者として、社員等にコンプライアンス意識の周知徹底を図るとともに、コンプライアンスの実施上必要な体制を構築し、事故の防止に努めております。

 

(4)指標及び目標

当社は、現時点において「(2)戦略」に記載の各項目において、具体的な指標及び目標を設定しておりませんが、取締役会及び業務執行会議において定性的・定量的観点から継続的にモニタリングを行うともに、必要と判断された場合において適宜、指標及び目標を定める方針です。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。以下の記載内容については、当社グループの事業等に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)特定経営者への依存によるリスク

当社グループは代表取締役を含む役員等の特定の経営者の知識・経験等がグループの経営、業務執行において重要な役割を果たしており、これらは当社グループにおける重要な経営資源と考えられます。しかし、これらの経営層が不測の事態により執務が困難になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)資産の棄損や価値の減少によるリスク

予期しない大地震等の自然災害等が発生した場合、当社グループの資産の棄損・滅失や、人的・物的被害により正常な事業活動の継続が困難になる等、業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)ネットワークセキュリティに関するリスク

企業活動においてコンピュータネットワークや情報システムの果たす役割が高まるに伴い、ソフト、ハードの不具合や人的過失、地震、火災、停電等様々な原因による情報システムの停止、コンピュータウィルスの侵入によるシステム障害や情報の漏洩等のリスクも高まります。当社グループは、機器の管理・保全、セキュリティの高度化、運用ルールの設定や従業員教育に努めておりますが、万一、ネットワークや情報システムの機能低下や停止に陥った場合は、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)戦略的企業買収や新規事業参入等に関するリスク

当社グループは、将来の企業成長において重要と考える技術開発や有望市場の獲得のため、企業買収及び出資を伴う戦略的提携や新規事業参入等を行う可能性があります。これらの実施に当たっては十分に検討を行いますが、戦略的提携後の事業や新規事業が当初計画どおりに進捗しない場合や、出資先の財政状態が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)市場環境に関するリスク

現在当社グループ収益の多くを占めるMVNOサービスでは、ターゲット市場であるMVNO市場において競争激化・飽和状態の状況です。すでに格安ケータイの販売をメインとする既存のビジネスから他社へのMVNOサービスの提供(OEM)や音声・データ通信サービスの提供等、競合他社とは異なる独自色のあるサービス展開を進めており、今後もさらに推進していく方針ですが、差別化を図ることに成功しなかった場合は市場から淘汰されるリスクがあり、その場合は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)知的財産権に関するリスク

当社グループの事業に現在利用されている技術等と抵触関係をなす特許権等の知的財産権を第三者が既に取得している可能性や、将来的に当社グループ事業における必須技術と抵触関係をなす特許権等の知的財産権が第三者に取得される可能性を完全に否定することはできず、そのような可能性が実現した場合には当該特許権の知的財産権に関する侵害訴訟の結果として当社グループに損害賠償責任が課せられ、あるいは事業の全部又は一部が差し止められて継続できなくなる可能性があります。

また、近時においては、職務発明に関する対価の額につきまして、従業員である発明者が会社を相手に訴訟を起こす事態も報告されております。当社では、発明者に支給される対価の額の算定につきまして職務発明規程を制定しておりますが、それにも関わらず、成立した特許権につきまして発明者が対価の額を不服として当社グループを訴えた場合には、その結果が当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)重要な契約に関するリスク

当社グループの各事業において、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載される経営上の重要な契約、当社グループの事業活動において重要な要素を構成する契約が解除された場合、その他の事由に基づき終了した場合、又は円滑に契約が更新されなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)コンプライアンスに関するリスク

当社グループにおいて、子会社も含めたコンプライアンス体制の整備、充実に努めており、グループ会社の役職員にコンプライアンス意識の徹底を行っておりますが、法令・規則違反や企業倫理に反する行為等が万一発生した場合には、その直接的損害に加えて、信用失墜や損害賠償責任等が生じる可能性があります。

 

(9)のれんについて

当社グループは、連結財務諸表について国際会計基準(IFRS)を適用しておりますが、IFRSにおいては、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なり、のれんの定額償却は不要となります。他方、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が生じ、回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行うことが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(10)特定取引先への依存等について

ストックビジネス事業においては、2024年12月期においてスターサービス株式会社1社から発生する売上が当社連結売上収益に占める割合は42.5%以上となっており、大きく依存している状況となっていることから、将来同社との取引関係が解消された場合は、ストックビジネス事業を始め当社グループの収益性を大きく低下させる可能性があります。

 

(11)その他のリスク要因

a.外国為替相場変動に関するリスク

当社グループでは、海外顧客との取引及び外貨建売上が存在します。また当社グループは、海外での事業活動費や海外からの技術導入に伴う費用を外貨で支払っております。そのため、為替変動によって、円貨での当社受取金額及び支払金額は変動いたします。また毎四半期末においては、外貨のまま保有している売上代金等の外貨建資産や負債を財務諸表作成のために円貨に換算することにより、外貨ベースでの価値に変動がなくても為替変動により円貨換算額も変動するため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

b.法的規制に関するリスク

当社グループの各事業に関連する法令や規制等に関して、今後の法改正次第では当該分野において何らかの規制を受けるないしは、対応措置を講じる必要性が生じる可能性があります。将来新法令が制定された際には、適時に対応できるよう努力する方針ですが、場合によっては、これらの法令により事業活動範囲が限定される可能性もあります。

c.個人情報の管理に関するリスク

当社グループにおいては、取り扱う個人情報につきまして厳格な管理体制を構築し、情報セキュリティを確保するとともに、情報の取り扱いに関する規程類の整備・充実や従業員・取引先等への教育・研修・啓蒙を図る等、個人情報の保護を徹底しておりますが、個人情報の流出等により問題が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1)業績

当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)における我が国の経済は、内閣府による2024年12月の月例経済報告では「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」と報告されています。先行きについては、「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。」と報告されており、依然として不透明な状況が続いております。

 

このような環境下、当社は当連結会計年度において以下の施策に取り組んでまいりました。

なお、セグメント間の内部売上収益は、セグメントの売上収益に含めております。

 

<ストックビジネス事業>

ストックビジネス事業においては、主に連結子会社であるスマートモバイルコミュニケーションズ株式会社における音声・通信サービスの提供のほか、クラウドSIMを用いたモバイルWiFiルーター「THE WiFi」の拡販に注力するとともに、本事業は収益の大半が月額利用料金等からなるストック性の高い事業であることから、顧客が満足して継続利用できるよう通信環境やサポート等のサービス品質の向上に取り組みました。また、通信機能付きAIドライブレコーダー「AORINO」の取次店や販売代理店、OEM先の開拓を行うとともに、法人向けサービス「AORINO Biz」の拡販に注力しました。

また、当連結会計年度において完全子会社化した株式会社H2、及びその子会社である株式会社スマートライフが展開する光回線・プロバイダー関連サービスの事業引継ぎや新規顧客開拓に取り組みました。なお、株式会社スマートライフについては2024年10月1日付で実施した株式会社H2による吸収合併に伴い、また株式会社H2については2025年1月1日付で実施したスマートモバイルコミュニケーションズ株式会社による吸収合併により、それぞれ同日付で解散しております。

なお、2025年2月14日に当社の新事業としてリテールメディアプラットフォーム「BRIDGE AD」(以下「BRIDGE AD」)の提供を開始しました。今後においてはこの「BRIDGE AD」を積極的に推進し当社の主要ビジネスとすることで、ストックビジネス事業のさらなる業績向上を図ってまいります。

 

<システム開発事業>

システム開発事業においては、ロケーションビーコン「MyBeaconシリーズ」の拡販に努めたほか、Bluetooth Low Energy通信機能を搭載するハードウェアの試作開発支援等、組込み開発技術を生かしたシステム開発を行いました。また、クラウド関連システムの開発や顧客のニーズに応じたフロントエンドシステムやバックエンドシステムの開発支援やテクニカルサポート等を行いました。

 

これらの結果、当連結会計年度のストックビジネス事業の売上収益は3,164,441千円(前連結会計年度の売上収益3,124,568千円)、システム開発事業の売上収益は577,352千円(前連結会計年度の売上収益639,304千円)となりました。

事業損益につきましては、ストックビジネス事業の事業利益は374,331千円(前連結会計年度の事業利益337,756千円)、システム開発事業の事業利益は50,766千円(前連結会計年度の事業利益128,972千円)となりました。

また、当連結会計年度においてセグメント利益の調整額が198,054千円(前連結会計年度のセグメント利益の調整額206,008千円)発生しております。セグメント利益の調整額は、連結損益計算書の事業利益と調整を行っております。

以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は3,707,278千円(前連結会計年度の売上収益3,761,038千円)となりました。

事業損益につきましては、227,043千円の事業利益(前連結会計年度の事業利益260,720千円)となりました。

営業損益につきましては、218,349千円の営業利益(前連結会計年度の営業利益321,356千円)となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、157,083千円(前連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益336,036千円)となりました。

 

当社グループの当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末と比較して612,303千円増加し、3,885,711千円となりました。これは、無形資産が822,709千円、のれんが425,250千円増加、現金及び現金同等物が484,100千円、繰延税金資産が93,150千円減少したこと等によるものです。

負債につきましては、前連結会計年度末と比較して572,444千円増加し、1,291,209千円となりました。これは、長期借入金が418,457千円、繰延税金負債が199,530千円増加したこと等によるものです。

資本につきましては、前連結会計年度末と比較して39,859千円増加し2,594,501千円となりました。これは、利益剰余金が112,102千円増加、資本剰余金が92,998千円減少したこと等によるものです。

以上の結果、当連結会計年度末における親会社所有者帰属持分比率につきましては、前連結会計年度末と比較して11.1ポイント減少し、66.8%となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して484,100千円減少し1,323,558千円となりました。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

営業活動の結果増加した資金は、316,586千円(前連結会計年度は435,028千円の増加)となりました。これは主に税引前利益212,819千円、営業債権及びその他の債権の減少額133,545千円、減価償却費及び償却費124,188千円、営業債務及びその他の債務の減少額167,870千円等によるものであります。

投資活動の結果減少した資金は、1,059,146千円(前連結会計年度は82,685千円の減少)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出912,959千円、無形資産の取得による支出139,744千円等によるものであります。

財務活動の結果増加した資金は、258,594千円(前連結会計年度は17,843千円の減少)となりました。これは長期借入による収入491,000千円、長期借入金の返済による支出139,114千円、自己株式の取得による支出91,732千円等によるものであります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2024年1月1日
    至 2024年12月31日

前年同期比(%)

ストックビジネス事業(千円)

10,748

△17.8

システム開発事業(千円)

437,737

△4.5

合計(千円)

448,485

△4.8

 

 

(2) 受注状況

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比
(%)

受注残高(千円)

前年同期比
(%)

ストックビジネス事業

5,124

70.8

934

△12.6

システム開発事業

591,090

4.7

95,659

97.9

合計

596,215

5.1

96,594

95.5

 

(注) 1.IoTソリューション関連事業に関する受注について記載しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2024年1月1日
    至 2024年12月31日

前年同期比(%)

ストックビジネス事業(千円)

3,164,226

1.2

システム開発事業(千円)

543,052

△14.7

合計(千円)

3,707,278

△1.4

 

(注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとお
りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日

金額(千円)

構成比(%)

金額(千円)

構成比(%)

スターサービス株式会社

2,025,616

53.8

1,578,164

42.5

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

1.重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定

連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

 

 2.当連結会計年度における経営成績の分析

前連結会計年度と比較して売上収益は3,707,278千円(前連結会計年度の売上収益3,761,038千円)と1.4%の減少となり、事業損益は227,043千円の事業利益(前連結会計年度の事業利益260,720千円)、営業損益218,349千円の営業利益(前連結会計年度の営業利益321,356千円)、また親会社の所有者に帰属する当期損益は157,083千円の親会社の所有者に帰属する当期利益(前連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益336,036千円)となりました。

詳細については、「第4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。

 

3.当連結会計年度における財政状態の分析

当社グループの当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末と比較して612,303千円増加し、3,885,711千円となりました。これは、無形資産が822,709千円、のれんが425,250千円増加、現金及び現金同等物が484,100千円、繰延税金資産が93,150千円減少したこと等によるものです。

負債につきましては、前連結会計年度末と比較して572,444千円増加し、1,291,209千円となりました。これは、長期借入金が418,457千円、繰延税金負債が199,530千円増加したこと等によるものです。

資本につきましては、前連結会計年度末と比較して39,859千円増加し2,594,501千円となりました。これは、利益剰余金が112,102千円増加、資本剰余金が92,998千円減少したこと等によるものです。

以上の結果、当連結会計年度末における親会社所有者帰属持分比率につきましては、前連結会計年度末と比較して11.1ポイント減少し、66.8%となりました。

 

4.資金の流動性及び資本の源泉の分析

(1)当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して484,100千円減少し1,323,558千円となりました。

詳細については、「第4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (業績等の概要) (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

 

(2)資金需要の内容及び資金調達の方針

本有価証券報告書提出日現在における当社の事業は、現在当社グループの柱となっているMVNOサービス等、安定的に収益獲得可能なストックビジネスを中心とした「ストックビジネス事業」と、当社が持つ「組込み開発力」をベースにアプリケーションからクラウドまで柔軟かつ多様な開発対応が可能な「システム開発事業」の2事業で構成されております。当社では、これら事業の発展に必要となる経営資源に必要な資金については、主として営業活動によるキャッシュ・フローによる資金を投入しておりますが、これら事業を更に推進するにあたり資金需要が増加した場合は、金融機関からの借入や必要に応じて新株式の発行による資金調達についても検討してまいります。

 

5.戦略的現状と見通し

当社では、継続課金モデルの製品・サービス等の開発・提供を推進することで業績の安定化を図る「ストックビジネス事業」と、当社がこれまでの自社及び他社からの受託開発経験で培ってきた知見を最大限に活かすことの出来る「システム開発事業」の2事業を相互に連携させたビジネスを推進しております。

「ストックビジネス事業」においては、現在当社グループの大きな柱となっているMVNOサービスについて市場上位レイヤーの契約者数を保有している点を生かした更なる契約件数の増加に向けた取り組みや、当社の開発力を活かした自社サービス・ソリューションの開発・提供や他社サービス・ソリューションの販売代理店になることによる取り扱い商材の増加等によるサービスラインナップの拡充など、当社グループの強みを活かしたビジネス展開を図るとともに、販売パートナーの増加等による販路拡大にも積極的に取り組むことで、収益基盤の安定化が可能となるストック収益の拡大を図ってまいります。

また、「システム開発事業」においては、創業以来30年以上に渡り培ってきた「組込み」に関する経験や技術に加え、この「組込み開発力」や多数の顧客向けシステム・クラウド開発から得られた知見やノウハウ、またMVNO事業者として保有する通信技術等、これらを組み合わせた組込み&エッジからクラウドまでのワンストップ開発を可能とする点を強みとして、顧客のニーズに幅広く柔軟に対応することで収益の拡大を図るとともに、エンジニア稼働率の適正化やプロジェクト受注方針の見直し、また開発経験の蓄積に伴う経験曲線効果を増大させることによる開発コストの削減等に取り組むことで、事業粗利率の向上を図ってまいります。

今後、これらの取り組みを更に強化することで、当社グループの中長期的な業績向上及び企業価値の向上が実現できるものと考えております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社グループの事業におきましては、以下の契約を「経営上の重要な契約」として認識しております。

これらの契約が解除されたり、その他の理由に基づき終了した場合、又は円滑に契約が更新されなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

経営上の重要な契約は、次のとおりです。

 

事業関連の契約

 

相手方の名称

国/地域

契約品目

契約内容

契約期間

株式会社光通信

日本

資本業務提携契約

資本面での提携関係を構築し、また当社が行う事業と、光通信グループが行う事業の各分野における業務面での提携・協力関係を構築することにより、当社と光通信グループ双方の事業を強化・拡大・発展させることを目的とした契約。

<終了事由>

・本契約の当事者が本契約を終了することに合意した場合

・株式会社光通信が当社の株式等を一切保有しなくなった場合

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。