当社の一貫した基本方針は、確かな品質管理体制を維持し顧客の信頼に応えることを念頭においており、高圧ガス関連機器の用途開発の多岐にわたる発展を目標に、バルブを通じて社会に貢献することを目指しております。
当社は、収益性のある経営を目指しており、品質向上、コスト管理の徹底と継続的な技術開発を心がけ、売上高営業利益率10%以上を目指しております。
併せて、総資産利益率(ROA)や投下資本利益率(ROIC)といった経営の効率性を重視した事業運営に注力する所存であります。
当社が関連するバルブ業界を取り巻く経営環境は、エネルギー改革の進展やマーケットの東南アジア等へのロケーション変化への対応など取り組むべき課題は多岐に亘っています。また材料費の高騰によるコスト上昇圧力の高まりもあり、一層の生産効率の向上によるコストダウンが必至の状況でもあります。斯かる展望下、当社の既存メイン商品の将来の需要動向も楽観できるものではなく、新規商品開発による競争力の強化や新エネルギーへの積極的な取組みによるマーケットプレゼンスの強化及び海外等への新たなマーケットをターゲットとした経営戦略を着実に展開して参ります。
2050年温室効果ガス排出ゼロ、カーボンニュートラルに向けて、世界中でエネルギー転換が加速すると考えられ、2030年までの6年間はその実現可否が問われる大きな分岐点となります。その2030年を見据え、当社の機器メーカーとしての役割と成長の道筋を「ビジョン2030」として描き、「2226中期経営計画」はその基本となる戦略を設定した5カ年計画であります。
今年度は、その5カ年の中期経営計画(2022~2026)の4年目にあたります。「ビジョン2030」のあるべき姿を実現し、エネルギー関連機器メーカーとして持続的成長を続けるための基本戦略は下記の4項目であり、重点課題として取組んでまいります。
①既存主力製品の拡大と収益性の向上
・既存主力商品のメニューアップとマーケット拡大による拡販
・東アジアや欧米をターゲットとしたグローバル市場への展開
・ロス削減、改善活動を主体とした原価低減・収益性の向上
②水素を中心としたクリーンエネルギー関連開発商品の市場投入
・水素関連機器の開発
・FCV関連機器の量産環境の整備
・技術基盤の強化
③メーカーとして持続的成長を遂げるための人財開発
・現場力を高める人財開発と組織パフォーマンスの向上
④SDGsやCSR活動を基軸としたサステナビリティ経営
・環境保全への取組・SDGsへの取組
・コーポレートガバナンスの強化
・働く環境の整備
・BCPの整備
特に2024年6月に公正取引委員会から独占禁止法違反として排除措置命令及び課徴金納付命令を受けたことを踏まえ、こういった不祥事を二度と起こさない為、今年度は組織改革と意識改革を強力に推進して参ります。組織改革としてはコンプライアンス推進室の新設、取締役会改革、執行役員制度の導入などを決定し精進して参る所存です。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「安全でより良き製品を作り、社会の繁栄と人々の幸福に貢献する」という企業理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮し事業活動を行うことによって、持続的な成長の実現を目指しています。自らの持続的な成長とともに、持続可能な社会の実現に貢献するために、以下の方針に沿って重要課題(マテリアリティ)に取り組み、企業価値の向上を目指してまいります。
①安心・安全の追求
・企業理念に基づき、全社員が誠実な企業活動を行います。
・安心・安全を追求し、より良き製品を安定的に提供します。
②コンプライアンスの推進
・企業倫理の徹底をはかり、法令を遵守します。
・ステークホルダーの皆さまに対して、公正な関係を維持し、公正・透明・自由な競争と適正な取引を行います。
③人権の尊重
・企業活動によって影響を受ける全ての人々の人権を尊重します。
・社員の多様性を尊重し、安全で働きやすい企業風土の醸成に努めます。
④地域・社会への貢献
・良き企業市民として、地域・社会とのコミュニケーションを積極的に図り、社会貢献に取り組みます。
⑤環境保全
・環境保全活動に取り組み、環境経営を推進し、持続可能な社会の実現に貢献します。
当社は、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、様々なリスクを一元的に管理し、リスク予防またはリスクが発生した場合には迅速かつ的確に対応することにより被害を最小限に食い止め、再発を防止し、当社の企業価値の保全に努めています。
本委員会において、サステナビリティ基本方針に基づいた課題の識別や評価をはじめとして、気候変動の影響による環境問題や社会問題のリスクと機会についても検討してまいります。
ガバナンス体制につきましては、
①環境保全への取組・SDGsへの取組
・地球温暖化防止を軸とした環境保全活動に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
地域行政とも連携を取りながら、①バルブ機器メーカーとして、②地域・サイトとして、③1/80億人としてのアプローチから全社を挙げて取り組んでおります。
指標としては、CO2排出量(Scope1~3)削減、ビニール、プラスチック排出量削減、および再生可能エネルギー活用比率向上により、2021年BM比30%の削減に取り組んでおります。
②ガバナンスの強化
当社のコーポレートガバナンスに関する基本方針は次のとおりであり、その実現を通じ企業価値の向上を目指してまいります。
1)株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2)株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、ステークホルダーと適切に協同する。
3)会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4)取締役会の透明、公正かつ迅速・果断な意思決定機能と独立社外取締役の活用による取締役会の業務執行
の監督機能の実効性を確保する。
5)持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた株主との建設的な対話に努める。
③働く環境整備
企業理念にある”社会の繁栄と人々の幸福”と従業員目線における会社の価値観(従業員の満足度)向上が共感をもって持続的に成長していくことをコンセプトに、社員の多様性を尊重し安全で働きがいのある職場づくりに努めます。
従業員満足度調査の結果を踏まえ、従業員満足に繋がる施策を制度面、運用面、設備面から順次実施をしております。また、従業員の健康、多様性に配慮した職場づくりに努めて参ります。
④BCPの整備
災害等の発生時に被害を最小限にとどめ、重要かつ必要な業務を優先的に継続し、所望の時間以内で事業の復旧を図るために、BCPを策定しています。
BCPの基本的な方針は、従業員とその家族の生命の確保を最優先し、速やかに事業再開・継続を図ること、地域社会との協調・連携など、サプライチェーン全体の態勢整備を含めて、出来る限りの社会的貢献に努めることとしています。
①現場力を高める人財開発
組織が求める能力と個々が目指す成長の姿を共有し、「人財開発プログラム」として体系的に或いは個別に展開し人財の強化を図って参ります。現場ごとに必要なスキル・知識を再認識し教育訓練制度として再構築をし、従業員のモチベ-ションに資するチャレンジ機会も積極的に提供していきます。
当社はメーカーであり、製造工程での実効ある専門技能教育の実施は必須であり、新規開発に向けた若手の登用など多様な人材活用に取り組んで参ります。
②人材の多様性
当社の女性就業者の比率は、2024年12月時点において16.4%と低く、結果として女性の職制者が低く中核人材への登用を含め、女性が活躍できる環境整備が不十分と認識しております。つきましては、女性の就業者比率を引き上げていく為に女性活躍推進法による数値目標として、新卒・中途採用共に新規に採用する労働者に占める女性の割合を20%以上としております。その為には、働く職場として魅力のある制度(産休・育休・介護・看護休暇の制度見直しなど)、体制(有給休暇の取得促進など)の構築を進めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① LPガス容器弁等の中長期的な需要減少に対する競争激化リスク
規制緩和やLPガス容器の大型化等の影響により、今後需要全体としては減少傾向にあると思われ、需給バランスの変化による受注競争の一層の激化が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 材料費の価格変動による収益影響リスク
当社グループの製品群において、主材料の材料費率は比較的大きく、材料費の大幅な変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外での事業展開リスク
当社グループでは、海外特に東アジアにおける需要拡大に対応するため、韓国に生産拠点を有する子会社を設立し、そこを拠点に韓国内、中国への展開を図っております。このため韓国、中国等のアジア地域の政治・経済情勢・法規制・税制等が変化した場合や現地での紛争、災害、感染症等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 品質保証リスク
当社グループが生産する製品は、容器、配管及び設備機器の多岐に亘る分野に組み込まれています。当社グループでは、全生産拠点においてISO9001及びISO14001を取得するなど、品質管理体制の維持・強化を図ってはおりますが、予期せぬ事象により当社グループ製品の不具合等に起因した最終製品の品質問題、リコール等が発生した場合、多額の費用負担や当社グループの信用低下によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 災害時の事業継続リスク
当社は自然災害や事故等の緊急時に備えて、人命・安全の確保及び事業の継続に向けたBCP(事業継続計画)を作成しておりますが、被害の状況によっては、当社の事業活動が制限され、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は社会活動・経済活動の正常化に伴い、雇用・所得環境が改善するなど緩やかな回復基調で推移しました。その一方、欧米・中国経済の先行き懸念や中東をめぐる情勢、金融資本市場の変動などもあり、原材料価格や燃料価格を含む物価の高騰は継続するなど、依然として先行きは不透明な状況が続いています。
このような中、当社グループの主力製品であるLPG容器用バルブ部門の売上高は、新容器向け及び再検査向けでの需要回復、製品値上げの浸透に加え自動車向けで特需もあり、前年同期比増収となりました。配管用バルブ部門の売上高につきましても、半導体製造装置向け及び建機向け需要は依然停滞していますが、製品値上げの浸透、自動車向けで特需があり、前年同期比増収となりました。高圧ガスバルブ・ガス関連設備機器部門につきましては、連結子会社であるハマイコリアにて下期より半導体業界向け需要が回復傾向で、前年同期比増収となりました。また、黄銅削り粉の売上高は取扱量の増加に販売価格の上昇も伴い増収となり、全体の売上高は120億9千2百万円、前年同期比9億6千万円(8.6%)の増収となりました。
収益面におきましては、各種材料価格や燃料価格の高騰は継続しておりますが、増収の影響や各種原価の高騰に対応した製品販売価格の改定が進んだことに加え、連結子会社である株式会社ハマイコリアの収益状況が前年より改善したことなどもあり、営業利益は11億1千7百万円、前年同期比9千6百万円(9.4%)の増益となりました。なお親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、公正取引委員会より独占禁止法に基づく排除措置命令および課徴金納付命令を受領したことに伴い、納付した課徴金額4億5千4百万円を独占禁止法関連損失として特別損失に計上した影響があり、3億9千6百万円、前年同期比5億1千2百万円(56.4%)の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[バルブ事業]
当社の主力商品であるLPG容器用バルブ部門は売上高51億8千2百万円(前年同期比6.7%増)、配管用バルブ部門は売上高23億4百万円(前年同期比1.6%増)、高圧ガスバルブ・ガス関連設備機器部門は売上高23億6千2百万円(前年同期比10.8%増)、その他売上高16億6千6百万円(前年同期比28.5%増)となり、営業利益7億3千4百万円(前年同期比15.2%増)となりました。
[不動産賃貸事業]
賃貸収入は5億7千7百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益は3億8千3百万円(前年同期比0.2%減)となりました。
財政状態の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末と比較して、1億8千4百万円増加し、124億1千万円となりました。これは主に電子記録債権及び棚卸資産の増加によるものです。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末と比較して、3億6千3百万円増加し、92億3千5百万円となりました。これは主に投資有価証券が評価替により増加したことによるものです。
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比較して、6百万円増加し、34億8千7百万円となりました。これは主に仕入債務の増加によるものです。
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末と比較して、1億1千9百万円増加し、21億1百万円となりました。これは主に繰延税金負債の増加によるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して、4億2千1百万円増加し、160億5千7百万円となりました。これは主に利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して2億1千4百万円(前年比4.7%)減少し、43億5千9百万円となりました。
当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、5億3千5百万円の収入(前期は3億2千3百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び棚卸資産・仕入債務の増減額によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、4億4千2百万円の支出(前期は1千万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、3億1千万円の支出(前期は2億3千7百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払によるものです。
(3)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金や設備投資等に必要となる資金を、主に自己資金により調達しております。また、将来の経営環境の変化への対応や業務拡大に備える為、必要な資金を内部留保しております。
当社グループの運転資金のうち、主なものは製品の製造費用と販売費及び一般管理費であり、材料等の購入費、従業員への人件費、光熱費などのその他一般管理費等の支払いに係るものです。
(4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は経営の収益性の観点から売上高営業利益率10%以上を目標に掲げ、また、経営の効率性の観点からROAやROICを重視項目に掲げております。
各種指標の推移は以下のとおりです。
(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成してお
ります。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び
仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものに
ついては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであり
ます。
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注)上記金額は、製造原価を基準に記載しております。
当社は法令または社内規格に基づき定められた方法による見込生産を主体としており、一部特殊仕様の製品については受注生産を行っておりますが、その売上高に占める割合は僅少であります。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発は、バルブ事業を中心に開発しております。
当連結会計年度における研究開発活動は大別して次の2項目であります。
(1) 燃料電池自動車用容器用弁の開発
環境対策で将来主流になるとされる次世代燃料電池自動車用減圧弁付き水素ガス容器用弁の開発を国内自動車メーカーと共同で継続してまいりました。
これまでに蓄積した技術を応用し、超高圧対応バルブおよび安全弁の開発も併せ積極的に取組んでおります。
(2) 水素ガス供給ステーションのインフラ設備の普及
水素充填ノズルを主に、安全な製品を提供するため技術改良に取り組み、一部ステーションで運用を開始しております。
当連結会計年度に係る研究開発費は