第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、経営理念(Mission、Vision、Value)を以下の通り制定しております。

MISSION:社会的使命

大切な想いの、すぐそばに。

大切な人を想う。東京ソワールは、そんな大切な想いのすぐそばで、本質にこだわった価値を提供し、一人ひとりの想いが調和した社会を実現します。

VISION:目指す姿

人を想う気持ちに寄り添い、“生きる”をもっと、美しく。

人生の節目と日々の暮らしにおける「人を想う気持ち」に寄り添うことで、誰もが周囲との調和を大切にしながら、自分らしく凛と美しく生きられる世の中へ。それが、東京ソワールが考えるウェルビーイングです。

私たちは、これまでもこれからも「人を想う気持ち」を大切にしながら、生活者、従業員、取引先、株主、そして社会や地球環境のウェルビーイングの実現に貢献し続けます。

VALUE:大切にする価値観

本質へのこだわり/文化を創り上げた誇り/すべてに真摯な姿勢/ともに創るチーム力/新しいことへの挑戦

そして、当社は経営方針として、以下の3点を定めております。

① 事業領域の拡大

② 事業基盤の整備

③ 効率化の追求

 

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く事業環境は、主要販路である百貨店・量販店の店舗閉鎖や事業再編などによる売場面積の減少やデジタルシフトによる購買行動の変化に加え、消費に対する価値観の変化により、消費者ニーズ・消費行動は多様化しております。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

前中期経営計画では、従来からの環境変化に加え、コロナ禍による市場変化に対応するため、効率的な財務体質への見直しと新たな事業モデルの構築を課題とし、「効率的な財務体質の構築(収益構造の見直し)」、「新たな収益構成の構築(基礎収益力の回復)」、「社会環境変化への対応(地球環境・社会課題への対応)」に取り組んでまいりました。

計画に掲げた数値目標は、売上高は計画通りに推移し、営業利益および営業利益率は前倒しで計画を達成しておりますが、2024年度は成長に向けた投資を行ったこともあり、計画を下回りました。

2025年2月に開示いたしました「2025~2027年度 中期経営計画」においては、更なる企業価値向上を目指し、フォーマル、ライフスタイルの両事業を通じて、「ウェルビーイングな商品・購入体験の拡充」の実現に向けて、当社グループを取り巻く事業環境から、3つの課題として、「事業領域の拡大」、「事業基盤の整備」、「効率化の追求」に取り組んでまいります。

① 事業領域の拡大

(A)フォーマル事業においては、冠婚葬祭に限らない、人生の節目となる全てのライフイベントをフォーマルライフと定義し、フォーマルライフのリーディングカンパニーを目指していきます。

・狙うべきマーケットの拡張(フォーマルライフマーケットでの価値提案)

  フォーマルの枠を超えたオリジナルアイテムの展開拡充を行います。

  リトルオケージョン(ちょっとしたハレの日)の訴求による新たなニーズを掘り起こします。

  ライフイベントに関する情報発信やサービスの開発を行います。

・顧客体験価値の向上

  直営店の出店による顧客接点の拡大を図ります。

  オフィシャルECサイトのサービス拡充による直営店との連携を図り、シームレスな購入体験やサービスを実現いたします。

 レンタルサービスやリペアサービス等の販売以外のサービスも提供可能な環境を作ります。

(B)ライフスタイル事業においては、顧客接点の拡大・新規顧客の獲得に向けて、新規出店及びサービスの拡充に取り組んでまいります。

・顧客接点の強化

  厳選した地域への出店による顧客接点の拡大を行います。

  オフィシャルECサイトのリニューアルによる顧客満足度の向上を図ります。

 リアル店舗とオフィシャルECサイトとの統合によるシームレスな購入体験を実現いたします。

・ブランド認知度の向上

  ブランドアイデンティティの発信を行います。

  デジタルマーケティングやイベントを活用いたします。

・M&A、業務提携の推進

② 事業基盤の整備

・コーポレートブランドの浸透(アウターブランディング)

  PR強化による企業価値の向上を図ります。

  マーケティング戦略の推進による認知拡大と新たな顧客基盤を構築いたします。

・組織再編と人材戦略の推進

  事業戦略の達成に向けた機能別組織を組成いたします。

  専門的スキルを持つ人材の育成と採用、社員のリスキリングを行います。

・サステナブル経営の実践

  持続可能な社会の発展に貢献する取組みを推進いたします。

  レンタル事業の拡大を行います。

③ 効率化の追求

・資産効率の改善

  資本コストや株価を意識した経営を実践してまいります。

・業務運営の効率化

  基幹システムの見直しとデータ分析基盤を再構築いたします。

  店舗運営のデジタル化を推進いたします。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、売上高営業利益率、ROEであります。売上高営業利益率とROEを重視することで経営の効率性を高め、財務体質の健全性を堅持しながら安定的な成長を確保し、資本効率を高め「企業価値」の向上を図ることを、株主重視の経営と認識しております。

2025年2月に開示いたしました「2025~2027年度 中期経営計画」において、最終年度の2027年度は売上高180億円、営業利益5億4千万円、売上高営業利益率3%の達成を数値目標として掲げております。さらに、資本コストや株価を意識した経営の実現のため、ROE及びPERの改善が必須と認識しており、ROEにつきましては、7%を数値目標として掲げております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、創業以来、人生の節目と日々の暮らしにおける「人を想う気持ち」に寄り添うことで、誰もが周囲との調和を大切にしながら、自分らしく凛と美しく生きられる世の中の実現に真摯な姿勢で取り組み続け、「大切な想いの、すぐそばに。」というミッションのもと、本質にこだわった商品・サービスを通した価値を提供し、一人ひとりの想いが調和した社会を実現することを目指しています。

いま世界は、地球温暖化による気候変動、廃棄物による環境汚染、貧困や人権侵害など、多くの社会的課題に直面しています。このような環境の中、当社は企業としての社会的責任を自覚し、「人を想う気持ちに寄り添い、“生きる”をもっと、美しく。」というビジョンから、人を想う気持ちを大切にしながら企業価値の向上を追求し、生活者、従業員、取引先、株主の信頼に応え、そして持続可能な社会の発展に貢献することをサステナビリティの基本方針としています。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社では、代表取締役社長を委員長とする「サステナブル経営推進委員会」を設置し、サステナビリティに関連する重要課題、取組事項を整理・確認し、その内容の重要性により適宜、取締役会へ報告を行っております。

また、「サステナブル経営推進委員会」の下には7つの中核主題に基づく小委員会を設け、部門長をリーダーとして、取り組み事項に連動する具体的なアクションを策定のうえ、推進する体制としております。全社横断的に部門長が携わっていることで、各現場におけるリスクや機会の把握あるいは共有が円滑に行えるため、浮上する課題を適宜検討し、サステナビリティに関するガバナンスの強化に努めてまいります。

 

(2) 戦略

当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

① 人材の多様性の確保

当社では、定期的に新卒の社員採用を実施しておりますが、持続的な成長を確保するためには、多様な視点や価値観を持つ人材を採り入れることも重要であると考え、性別・国籍や採用ルートによらず人材の採用を行っており、管理職への登用についても、性別・国籍等に関わらず能力や適性などを総合的に判断した上で実施しています。

また、女性の活躍推進については、当社の創業者が女性であったこともあり、以前から処遇等を含むあらゆる面において男女平等の制度及び風土・社風が根付いており、女性管理職比率も年を追うごとに上昇傾向にあります。いずれ近い将来には、当社で育ち活躍・貢献してきた女性社員の中から役員が誕生する時期が来ると想定しております。

 

② 人材育成方針

企業は「人」によって成り立っていることから、人材の成長度合いが企業の発展を大きく左右すると捉えており、「バリュー行動の促進」「適所適材・役割の明確化」「成長支援」を目標とした透明性・納得性の高い人事制度を導入し、従業員のエンゲージメントをさらに向上させるよう、積極的に取り組んでおります。

特に「バリュー行動の促進」については、当社がバリューとして策定しています5つの行動指針を評価項目に組み入れるとともに、評価だけでなく上司からのアドバイスやフィードバックによる支援を通じ、企業理念に共感し目指すビジョンに一緒に向かい、自発的に考え行動することのできる人材を育成していきたいと考えております。

その他にも、人材の能力開発やスキル向上を促進するために、社内における業務指導、専門知識や技術・技能の継承はもちろんのこと、外部教育機関による研修会・セミナーへの参加を推奨したり、自主的に成長しようという意欲のある人材を応援するため、自己啓発に係る費用の一部を補助する制度を設けております。

 

 

③ 社内環境整備方針

当社では、従業員が仕事と育児を両立させることができ、その能力を十分に発揮できるよう、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定しており、また、同法に基づく厚生労働大臣認定「くるみんマーク」を取得しています。

また、非管理職従業員の部門代表者で組織する社員懇談会との定期的な対話を通じて、労働条件や福利厚生制度の維持・改善に取り組んでおり、これまでに有給休暇の取得促進や長時間労働防止、時差勤務制度及びテレワークの導入などワークライフバランスの支援を促進し、柔軟な働き方を広げております。一方で、健康管理や健康増進も重要な責務の一つと認識しており、健康保険組合のデータヘルス計画及び疾病予防事業との連携、ストレスチェック及び組織診断の有効活用により、従業員の心身の健康維持に努めています。

この他にも、職場においてはフリーアドレス型のオフィス環境へと移行し、部門の壁を超えた社内コミュニケーションの促進を図っており、従業員が働きがいを感じられるとともに、安全で安心して働くことのできる社内環境の実現を目指してまいります。

 

(3) リスク管理

当社では、サステナビリティに関するリスクを含む全社的なリスクについて、コンプライアンス・リスク管理委員会において、潜在するリスクの検討を行い、予防計画を立案のうえ進捗管理を進めることでリスクの軽減に努めており、定期的に取締役会へ報告する体制としております。

リスクの発見・発生が確認された場合は、リスクの内容やレベルに応じた警戒段階フェーズに基づいて選定しているメンバーを招集する体制となっており、経営上の影響が重大なリスクが発生した場合には、代表取締役社長を本部長とした対策本部を設置し、迅速に全社挙げての対応を行うこととしています。

 

(4) 指標及び目標

上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

現状

 管理職の女性比率

2025年40以上

37.5

 役員(執行役員含む)の女性比率

2030年20以上

 7.7

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 景気変動に伴う取引先動向による影響

当社グループは、フォーマルウェアの製造・販売並びにこれに付随するアクセサリー類を販売する「フォーマル事業」と、ウィメンズウェアやファッショングッズ、ライフスタイルグッズなどを販売する「ライフスタイル事業」を展開しております。

当社グループの主要なセグメントであるフォーマル事業の売上高の多くは、百貨店及び量販店への売上によるものであります。近年は百貨店及び量販店の売上高が減少傾向となり、不採算店舗の撤退を行っていましたが、これは、当社グループ商品の売場の減少につながり、売上高に影響を与えることとなります。また、大型小売店の経営統合の増加など取引先の交渉力強化に伴う、納入掛率等、取引条件の悪化、取引先物流機能の再編に伴う当社グループの物流コスト負担、また当社グループとの取引継続を一方的に解除された場合などは、当社グループの業績等に悪影響を与える可能性があります。

対応策として、直営店「フォルムフォルマ」の個店売上の拡大及び出店やEC事業の強化等の小売事業の売上構成比の向上に取り組んでおります。また、ライフスタイル事業の強化により事業領域を拡げることで、収益の拡大を図ります。

 

(2) ブランドのサブライセンス契約

有力ブランドとのサブライセンス契約において、契約期間の満了に伴い契約の継続を一方的に打ち切られた場合は、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(3) 海外生産に関するリスク

現在、当社グループは製品の一部を自社または商社を通してベトナム及び中国などで生産しておりますが、為替相場の変動、予期せぬ法律や規制の変更、縫製工賃や原材料価格の上昇、不測の疾病等による技術指導や輸入への影響などのリスクが発生する可能性があります。

対応策として、ASEAN諸国での生産国の分散や一定量を国内で生産する等の取り組みを行っております。

 

(4) 商品の品質に関するリスク

当社グループのフォーマル事業においては、様々な検査を受け、厳しい基準に合格した高い品質の商品をお届けしております。QTEC[一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター]からは検品技術者の認定を受け、またSIFマーク使用の認定も受け、技術力に裏付けされた品質維持には特に配慮しております。しかしながら製造物責任に関する事故が発生した場合には、企業イメージのダウンなどで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、原材料・商品仕入に関しても各基準に合格したものを使用し、店頭に陳列する段階で当社グループ販売員による商品確認を行っております。

 

(5) 新規事業開発に関するリスク

当社グループは、今後の新たな収益構成の構築が重要な課題と認識して、新規事業の開発に取り組んでおります。新分野への出店等にあたっては、市場調査等を行ってはおりますが、市況の変化などによっては当初計画が達成できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、事業計画の立案と遂行及び定期的な進捗モニタリングを行っております。

 

 

(6) 天候不順の影響

当社グループの業績は、従来、季節の天候不順による影響は寡少でありましたが、最近の大規模な気候変動による天候不順や予測不能な気象状況によって、売上機会を逸するおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 地震など自然災害の影響

当社グループの物流拠点である商品センターは神奈川県川崎市にあり、大規模な自然災害により当施設が損傷した場合、事業活動が中断するなど、経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、直接の影響がない場合でも、流通網の混乱の状況によっては重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、一部商品の物流機能を外部倉庫に委託するなど物流拠点の分散を行っております。

 

(8) 情報セキュリティ

当社グループは、個人情報の取扱いについて情報管理責任者を選任し、社内規程に基づく運用管理をしておりますが、不測の事故による情報流出が発生した場合は、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償など費用負担を招くおそれがあるため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、ファイアウォールの構築やウイルス対策ソフトの導入を行うとともに、社員向けにセキュリティリテラシー向上のための注意喚起を随時行っております。

 

(9) 財務制限条項に関するリスク

当社は、取引銀行4行との間で、賃貸マンションの建設費用として8億円のタームローン契約を結んでおります。これらには純資産の減少や経常損失の計上等に関する財務制限条項が付されております。これに抵触することとなり借入金の返済を求められた場合には、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、当社グループの業績に重大な影響を及ぼしました。同感染症は5類感染症へ移行しましたが、新種の感染症が再び猛威を振るうような事態が発生し、市場の停滞等が起きた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼすこととなります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

当連結会計年度における当社グループの財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得の改善が進む中、景気は緩やかな回復基調にありますが、海外経済の減速への懸念や資源価格の高止まりなどもあり、先行き不透明な状況が続いております。

当アパレル業界におきましては、賃上げやインバウンド需要の拡大による個人消費の回復傾向が一部にみられるものの、原材料及びエネルギー価格の高騰や度重なる物価上昇もあり、衣料品に対する消費者の節約志向や低価格志向が想定されるなど、今後の事業環境への影響が依然として懸念されます。

このような経営環境の中、当社は、2024年度を最終年度とする中期経営計画の達成を目指し、「効率的な財務体質の構築」と「新たな収益構成の構築」を推進し、デジタルシフトやサステナブル経営をはじめとする「社会環境変化への対応」に取り組んで参りました。

また、重点戦略に沿って、2024年4月に株式会社キャナルジーンを連結子会社化し、ライフスタイル事業を強化することで、当社グループの企業価値の向上に努めております。

その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は157億円、営業利益は2億43百万円、経常利益は3億47百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5億円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、事業セグメントの区分方法を見直し、報告セグメントを従来の単一セグメントから、「フォーマル事業」「ライフスタイル事業」に変更しております。

<フォーマル事業>

卸売事業におきましては、新たなお客様の開拓に向けて、「tokyo soir ショップ」では、従来とは異なるカテゴリーの商品展開、魅力的な売場づくりやサービスの提供を継続しております。既存店舗では、大規模な売場の再構築や店舗閉鎖が進む中で、取引条件の改善や不採算店舗からの撤退を含め、事業運営の効率化に継続的に取り組んでおります。

小売事業におきましては、直営店「フォルムフォルマ」では、オリジナル商品やコラボ商品の提案を通じ、唯一無二のショップへの進化に取り組んでおります。Eコマース販売では、オフィシャルECサイトにおけるマーケティングツールの活用や広告運用の効果により、売上を伸ばしております。「kuros’」では、リアル店舗とECサイトの両軸で、各種プロモーションを継続的に実施し、認知度向上を図り、事業拡大を進めております。リアル店舗については、2024年10月に「KITTE丸の内」に出店いたしました。

レンタル事業は、お客様の認知度向上に向けた広告強化や、展開商材の拡充により堅調に売上を伸ばしております。

当連結会計年度における売上高は150億6百万円、セグメント利益は2億66百万円となりました。

<ライフスタイル事業>

株式会社キャナルジーンにおきましては、当連結会計年度より連結対象としております。同社はレディースファッションを中心に、ECサイト及びリアル店舗を運営しており、SNSでの積極的な発信によって幅広い世代からの支持を得て、堅調に売上を伸ばしております。

当連結会計年度における売上高は6億94百万円、セグメント利益は20百万円となりました。

 

 

(2) 財政状態

当社グループの当連結会計年度末における総資産は、143億円となりました。主な内訳は、棚卸資産48億88百万円、現金及び預金18億62百万円、土地16億56百万円、投資有価証券15億63百万円、売上債権15億53百万円であります。負債は41億37百万円となりました。主な内訳は、仕入債務17億90百万円、長期借入金5億87百万円、退職給付に係る負債3億16百万円であります。純資産は101億63百万円となりました。主な内訳は、資本金40億49百万円、資本剰余金37億32百万円、利益剰余金21億80百万円であります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当社グループの当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、18億62百万円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは68百万円の支出となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4億26百万円があったものの、仕入債務の減少8億75百万円や法人税等の支払額1億71百万円によるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローは5億35百万円の支出となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入1億73百万円があったものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出5億82百万円によるものであります。財務活動によるキャッシュ・フローは2億94百万円の支出となりました。これは主に、リース債務の返済による支出1億48百万円や配当金の支払1億3百万円によるものであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金より充当し、必要に応じて金融機関から借入れを実施することにより、必要な資金を調達しております。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は7億91百万円となり、現金及び現金同等物の残高は18億62百万円となっております

 

(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

 品目

生産高(千円)

 

フォーマル事業

2,821,734

 

合計

2,821,734

 

         (注) 金額は製造原価であります。

 

② 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

品目

 仕入高(千円)

 

フォーマル事業

1,029,381

 

合計

1,029,381

 

         (注) 金額は仕入価額であります。

 

③ 製品仕入実績

当連結会計年度における製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

品目

 仕入高(千円)

 

フォーマル事業

3,281,585

 

ライフスタイル事業

330,972

 

合計

3,612,558

 

         (注) 金額は仕入価額であります。

 

 

④ 受注実績

当社グループは、原則として受注生産ではなく見込生産を行っております。

 

⑤ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

品目

 販売高(千円)

 

フォーマル事業

15,006,348

 

ライフスタイル事業

694,155

 

合計

15,700,503

 

         (注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

当連結会計年度

 

販売高(千円)

割合(%)

 

 

イオンリテール㈱

2,489,363

16.6

 

 

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(6) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2022年2月に開示いたしました「2022~2024年度中期経営計画」において、最終年度の2024年度は売上高155億円、営業利益2億5千万円、売上高営業利益率1.6%以上の達成を数値目標として掲げておりました。さらに、効率的な財務体質の構築のため、棚卸資産回転率3.75回転、売上総利益率51.4%、販管費比率49.8%を数値目標として掲げておりました。

当連結会計年度は、売上高157億円、営業利益2億43百万円、売上高営業利益率1.5%となりました。売上高は計画通りに推移し、営業利益および営業利益率は成長に向けた投資を行ったこともあり、計画を下回りました。また、棚卸資産回転率3.21回転、売上総利益率51.3%、販管費比率49.7%となりました。棚卸資産回転率及び売上総利益率は政策的な在庫の積み増し及び原価高騰の影響により、計画を下回りましたが、販管費比率は効率化を進め、計画並となりました。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。