第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループの事業範囲は、北海道全域であり、北海道の健全な発展がなければ、当社グループの事業も成り立ちません。道民の皆様と支えあいながら、社会的責任を果たしていくため、経営理念として

「私たちは知的に活性化された豊かで創発的な社会に貢献します。」

を制定し、以下の経営指針を定めています。

1.生活者やパートナーに「さわやかさと潤い」を提供します。

2.生活者やパートナーとの共存共栄を図るとともに地域社会に貢献します。

3.変革にチャレンジし活力ある創発的な会社をつくります。
 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

当社グループを取り巻く経営環境は、原材料資材費やエネルギー費の高騰、労働人口の減少による働き手不足など、厳しい状況が継続するものと想定しております。

また、DX対応、サイバーセキュリティ、天災リスクなどへの対応も経営課題として急務となっております。

当社グループは、このような環境変化に対しても収益を確保できる強靭な企業体質を実現するため中期経営計画を策定し、実行しております。

 

(3)中期経営戦略

当社グループは、中期経営計画(2024年~2026年)の目標として2026年12月期までに売上高652億円、営業利益30億円、ROE4.0%を設定し、達成を目指してまいります。

 

≪中期経営計画≫

『積極投資による「飲料事業の継続成長」と「第2の柱の創出」』を基本方針に、飲料関連事業戦略では「飲料ビジネスの安定基盤構築」、グループビジネス事業戦略では「第2の柱の創出」、財務戦略では「持続的成長に向けた資本配分の適正化」、非財務戦略では「人的資本の強化と社会/環境取組み強化」を推進します。各戦略の詳細は以下の図のとおりです。

 


 

また、「地域に信頼され、認められる企業」を目指して、「SDGs(持続可能な開発目標)」を新たな指標とした地域課題に取り組んでいくとともに、内部統制システムの構築と運用によるコーポレート・ガバナンスの充実及びコカ・コーラ独自の統合的なマネジメントシステムである「KORE(コア)」による品質・安全性・環境の維持向上につとめてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループの事業範囲は北海道全域であるため、持続可能な北海道の上で初めて、豊かで魅力ある自然環境の継承、健全な社会と経済の発展、心身ともに健やかで安心・安全な人々の暮らしが成り立つと捉えています。近年は特に、環境・社会・経済が急激に変化しており、経営に影響を与えるリスク(変動要素)もますます複雑かつ広範囲に及んでおります。

このような中、当社グループは「北の大地とともに」をスローガンに、「環境」「社会」「経済」の領域に沿って、責任あるどさんこ企業として、北海道の持続可能な社会の実現を目指した活動を幅広く実施するとともに、当社グループの持続的な成長をさらに推進していくため、「サステナビリティ経営」の実現を目指しております。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ経営を推進するために、地域社会と事業の持続的な発展に向けて、「サステナビリティ会議」を毎月開催しております。

サステナビリティ会議は、環境・品質を含むリスク対応および予防的リスクマネジメントなどを行っている「リスクマネジメント委員会」、公正かつ公明な企業活動を遂行するための「企業倫理行動委員会」、内部統制の整備・運用状況の監督組織である「内部統制実行委員会」のほか、特定の法令等を主管する本社各部門やグループ各社などと連携・協議することで、全社的リスクを網羅し、柔軟で強靭なガバナンス体制を構築しております。

また、サステナビリティ会議は、サステナビリティに係る当社グループの在り方を適切に経営戦略に反映していくことを目的として、以下の内容の協議などを行い、取締役会に報告と提言を行います。

①サステナビリティに関する中長期的な経営リスク管理、事業機会の把握及び経営戦略への反映

②サステナビリティ活動方針の構築と各部門での実行の統括

③サステナビリティに関する課題の掌握、目標・計画の策定、計画推進・活動状況の評価及び是正・改善

④長期環境ビジョンの達成に向けた活動の推進

取締役会は、当会議で協議・決議された事項の報告・提言を受け、サステナビリティに関するリスク及び成長機会への対応方針並びに実行計画等について、審議・監督を行っております。

 

(2)戦略

当社グループは、「私たちは知的に活性化された豊かで創発的な社会に貢献します」という経営理念のもと、地域に根ざしたどさんこ企業として「北の大地とともに」をスローガンに、北海道の魅力を次世代へと継承していくため、持続可能な社会の実現につとめております。また、当社グループが長年に亘って取り組んできたCSR活動をより事業活動と結びつけた「サステナビリティ活動」へ進化させるため、2024年に新しくサステナビリティVISIONの策定を行いました。このVISIONは、グローバル目標であるSDGsと「中期経営計画」を連動させ、「環境」「社会」「経済」の3つを軸に重点課題を定めております。これにより、リスク及び機会を評価しながら、事業活動を通じて、あらゆるリスクのマイナスの影響を抑えるとともに、プラスのインパクトをもたらす社会課題解決を目指す「新たな価値」を創造し、企業としての持続可能性と「環境」「社会」「経済」の持続可能性をともに高める取り組みを継続しております。

なお、最新の取り組み状況・進捗については、当社のホームページにて発信しております。

 

① 環境への取り組み

当社グループは「責任ある企業市民として、地球環境の保全に配慮した事業活動を行い、地域社会の豊かな環境の維持と社会の継続的な発展に貢献する」を環境方針に掲げ、北海道の資源を未来へと引き渡していくためにさまざまな取り組みを行っております。

 

 

a.環境保全に関する取り組み

当社は水辺の環境を守る取り組みとして「北海道e-水プロジェクト」を推進しております。北海道の豊かで美しい「水」を中心とした自然環境を守り、次世代へと引き継いでいくことを目的としたプロジェクトで、2024年で15年目を迎え、北海道、(公財)北海道環境財団、そして当社の三者協働で取り組んでおります。当社は、「い・ろ・は・す天然水 540mlPET/950mlPET」の売上の一部を(公財)北海道環境財団に寄付し、道内各地の水環境保全団体を支援しております。2024年までの累計寄付額は174,791,538円にのぼります。

他にも石狩市望来浜や厚別川などでは海岸漂着物調査を行い、多様な自然の成り立ちを学ぶほか、漂着ゴミの組成や量を分析し、研究機関への報告を行っております。また例年、全道にある各事業所まわりの美化活動を行い、自然を守る取り組みを行っております。

 

b.資源に関する取り組み

使用済みPETボトルを、粉砕・洗浄などの各工程を経て再原料化して、それらを当社が製造・販売するコカ・コーラ社製品の新たなPETボトルに再生する『ボトルtoボトル』を推進しております。PETボトルを資源として何度も循環することが可能なため、石油由来の原料から製造されるPETボトルに比べて、CO2排出量を約60%削減することができます。また自治体との取り組みとして、当社と上士幌町、岩見沢市、札幌市(一部のみ試行事業)、江別市(2025年4月より開始)は、『ボトルtoボトル』循環リサイクルに関する協定を締結し、道内におけるPETボトルの循環利用への貢献を深めます。

 

c.水に関する取り組み

札幌工場で製造に使用している水は、札幌市清田区にある白旗山を水源とする、長い時間をかけて育まれた地下水です。水資源の持続的な活用をはかりながら、製品に使用した量と同等の水を自然に還元する、水資源保護活動を推進しております。製造過程における水使用量を削減し、工場排水を浄化して再利用を行い、地下水を育む水源涵養に取り組んでいます。特に水源涵養に関しては札幌市との「環境事業に関する協定」に基づいて、長期にわたって白旗山の森づくりが進められています。毎年社員を中心に植樹活動を行い、これまでに推計で約5,000本の植林を行いました。

 

② 社会への取り組み

当社グループは、日々の事業活動を通して、地域が抱える課題や問題の解決にも積極的に貢献していくことを目指しております。

 

a.地域の課題解決

ステークホルダーの皆さまとともに地域社会の課題解決に貢献していくことを目的とし、当社グループの経営資源を活用し、さまざまな取り組みを実施しております。特に寄付型自動販売機については、設置契約者様や購入者の皆さまが、飲料の購入を通じて社会とのかかわりを深め、社会貢献活動を支援できる仕組みとして、積極的な取り組みを推進しております。

 

b.多様性の尊重

当社グループは、コカ・コーラシステムで掲げる「多様性の尊重(Inclusion)」をサステナビリティ戦略の柱の一つとし、「女性活躍」「ジェンダー」「年齢/世代」「障がい者支援」「LGBTQ」の分野において取り組みを推進しております。なかでも「LGBTQ」においては、戸籍上同性のパートナーにも対応した福利厚生および就業規則を整備し運用している他、アライ(共感者)を増やすための「LGBTQ+アライのためのハンドブック」を導入し、道内の企業や団体に対して無償で公開しております。

 

c.地域と取り組むまちづくり

当社グループは、北海道を事業エリアとするどさんこ企業であり、全道各地に事業所を展開しております。その強みを活用し、各地域が目指すまちづくりの実現や持続性の向上に貢献することを目指しております。具体的には、北海道や札幌市、江別市、旭川市、函館市、釧路市、帯広市、北広島市、広尾町との包括連携協定の他、札幌市と周辺11市町村で発足した「さっぽろ連携中枢都市圏」、北海道警察、北海道開発局、地域の企業や団体などと協力協定を締結し、地域の課題や願いに寄り添った取り組みを展開しております。なかでも、地域の安心・安全を守り育むための取り組みにおいては、道内全179市町村及び北海道と防災に関する協定を結び、「電光掲示板付き災害対応型自動販売機」を活用した市町村との取り組みの他、道内各地の防災訓練に参加して、緊急物資の輸送訓練やフリーベンドの実演などを行うことで、災害への備えを啓蒙しております。

 

③ 経済への取り組み

当社グループは、経済基盤を強く豊かにしていくために、道民の皆様へ新たな価値を持続的に提供してまいります。

 

a.新しい価値の提供

当社グループは、新しい価値を創造・提供することで、企業としての持続性と北海道の持続性をともに向上させる事業活動を展開しております。特にグループ総合力を基盤とした新たな事業領域の創出は、地域経済の発展に貢献することに加え、変化し続ける経営環境において、成長基盤の構築による事業の持続性向上に寄与する重要な取り組みとして実施しております。

 

b.地産地消

当社グループが販売している製品のおよそ9割は札幌工場で製造しており、使用される水は同じ清田区に位置する白旗山が水源となっている地下水、牛乳は100%北海道産であり、地産地消に貢献するとともに、フードマイレージを抑えた環境負荷低減に寄与しております。また、どさんこ企業として地域経済の発展に貢献するため、北海道限定製品の製造・販売を積極的に推進しております。

 

c.人的資本・多様性

価値創出の要であり、企業の持続性向上の最も重要な原動力である「人的資本」に対しては、「人的資本の充実と生産性向上」を掲げ、個の力の最大化と新しい価値創造に向けた風土醸成を推進するため、様々な社内ワークショップやスキル向上の為の勉強会を開催しております。また働きがいの醸成につなげるため、エンゲージメントの見える化による人材に関する経営課題を表面化し、効果的な施策を行っております。

他にも2022年10月に新設された「産後パパ育休」をはじめとした法に基づく休業に加え、妊娠休暇や子どもが小学校4年生まで取得できる短時間勤務制度等を整備し、育児中の社員を支援しております。

更に、2025年1月には「育休サポーター支援金」を導入し、1か月以上のフルタイム勤務の育児休業者が発生し、業務を現有人員でカバーする場合に、業務を引き継いだ社員および引き継ぎ軽減に協力する社員への支援を行います。育休者の休業取得に対する心理的な負担の軽減と、休業中に業務のサポートにあたる社員の意欲向上をはかることにより、育児しやすい環境を職場全体でサポートし育休の取得を後押しすることで、更なる育児休業取得率の向上と女性活躍の推進に取り組んでまいります。

こうした取り組みを通じて、人材への投資を企業価値の向上に結び付けていく中で、社員一人ひとりがウェルビーイングで活躍できる企業を目指しており、新しい価値を創造することで、地域の持続性向上に貢献することを目指しております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、柔軟で強靭なガバナンス体制のもとに、変動要素(リスク)によるマイナスの影響を最小限に抑えるとともに、事業機会の拡大につなげるため、統合的なリスクマネジメントを推進しております。

「環境」「社会」「経済」に関するリスクは、年に4回開催される「リスクマネジメント委員会」にて重点リスクを特定し、事業計画や財務的影響、ステークホルダーの関心や環境・社会に与える影響の大きさ、発生可能性等の観点を踏まえ、活動の優先順位付けや目標の設定、および機会の識別を行い経営に反映させております。特に重要度や優先度が高いリスクについては、経営会議の協議を経て事業戦略・計画に反映され、責任者及びモニタリングを行う部門を任命の上、リスクへの対応策を立案・実施しております。

なお、重要な意思決定事項については、取締役会で更なる議論を行い、審議・決議を行っております。

 

 

(4)指標・目標

当社グループは、サステナビリティに関する取り組みについて、的確な進捗管理と着実な実行のため、具体的な指標と目標を設定しております。これらの進捗状況は、サステナビリティ会議にて計画推進・活動状況の評価及び是正・改善について報告・協議しております。特に重要度や優先度が高い取り組みについては、経営会議及び取締役会においても審議・監督を行っております。

環境及び人的資本・多様性への主な取り組みについては、次の指標を用いております。

① 環境への取り組み

指標

目標

実績

GHG排出量の削減

(スコープ1+2)

2030年度末までに

2015年度比50%削減以上

21.9%削減(2023年)

GHG排出量の削減

(スコープ3)

2030年度末までに

2015年度比30%削減以上

34.7%削減(2023年)

サステナブル素材※
使用率

2030年度末までに100%

43.1%(2024年当社生産分)

サステナブル素材※
使用製品の割合

2025年度末までに100%

82.8%(2024年当社生産分)

水源涵養率

(札幌工場の水源・流域)

100%

526%(2024年)

 

※「ボトルtoボトル」によるリサイクルPET素材と、植物由来PET素材の合計

 

② 人的資本・多様性

指標

目標

実績

管理職に占める女性労働者の割合

2025年度末まで8.0以上

6.8%(2024年)

男性労働者の育児休業取得率

2025年度末まで100達成

54.5%(2024年)

1人当たりの研修時間

2025年度末まで14時間以上

11.3時間(2024年)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ザ コカ・コーラカンパニー及び日本コカ・コーラ株式会社との契約について

当社は、ザ コカ・コーラカンパニー及び日本コカ・コーラ株式会社との間で、北海道を対象地域としてコカ・コーラ製品の製造・販売及び商標使用等の付与を受けるボトラー契約を締結しております

当社グループの売上の大部分は、ザ コカ・コーラカンパニーが所有する商標(以下「コカ・コーラ商標」という)を使用した飲料の売上から生じていることから、コカ・コーラ商標の侵害及びそのブランドの毀損は、当社グループの財政状態及び経営成績に大きく影響を及ぼす可能性があります。また、ボトラー契約は定期的に更新され現在に至ります。

 

(2) 品質管理について

当社グループは、お客様に高品質で安心してお飲み頂ける商品を提供するため、札幌工場にて品質マネジメントシステム「ISO9001」、食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の認証を取得しております

製品の安全性はもちろんのこと、お客様の一層の満足度向上をはかるため、社員の意識向上や品質に関する事故の予防活動を推進しておりますが、万一、品質に関する事故が発生した場合には、その発生が当社グループに起因するものであるか否かを問わず、ブランドイメージを著しく損ねる恐れがあります。そのような事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

(3) 飲料業界について

① 市場競争

飲料市場においては、近年市場が成熟状態にあるといわれており、当面市場の大きな伸びは期待できない状況にあります。また、飲料各社間の販売シェア獲得競争は激しく、スーパーマーケット等における販売シェアが減少した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 天候要因

当社グループが事業を展開する飲料の売上は、その商品の特性上、天候等の影響を受けやすい傾向にあります。特に最需要期の冷夏や冬季の大雪等も当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 経済状況による影響について

① 道内景気と消費動向

当社グループは、北海道の市場を中心として事業活動を展開しております。現在の北海道内の景気の状況、インフレによる物価高から、今後の個人消費が急激に回復するとは想定しておりませんが、急速に個人消費が減少した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 保有資産の価値変動

当社グループは、土地や有価証券等の資産を保有しております。

保有する土地の価格の著しい下落や、投資先の経営状況の悪化・破綻などによって有価証券の評価額が減少することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 年金資産の時価変動リスク

当社グループにおきましては、確定給付型の企業年金基金制度を有しております。このため、有価証券で構成されている年金資産の運用が悪化した場合には、退職給付費用が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 法的規制等について

当社グループが営む飲料の製造・販売事業におきましては、「食品衛生法」、「製造物責任(PL)法」、「道路交通法」、「廃棄物処理法」、「容器包装リサイクル法」など、さまざまな規制が存在しております。当社グループは、これらすべての規制を遵守し、安全かつ安心な商品の提供につとめてまいります。従いまして、これらの規制が強化された場合には、規制遵守にかかわる費用などが新たに発生することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) アルコール飲料について

当社グループで販売している酒類は、国内において酒税等を定める酒税法の規制を受けております。当社グループはその酒税法に基づき酒類卸売業免許を取得しております。今後の事業展開においては酒税法の規制を受けるほか、酒税の税率の変更によって販売価格・動向に影響を受ける可能性があります。なお、酒類は一般的に適度の飲酒ならば様々な効能があるとされていますが、慢性的飲酒による各種弊害も指摘されております。これらのアルコールに関連する諸問題が社会的に一層深刻となった場合には、販売活動に何らかの影響・規制が及ぶ恐れがあり、酒類の将来性、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 環境関連について

① 水資源

当社グループは、貴重な水資源を利用して事業活動を行っております。製造過程における水使用量の削減、製造過程で使用する水の循環、地域の水源保護の3つの側面で水資源保護活動を推進しております。万一、水質の異常や水資源が枯渇した場合には当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性があります

 

容器

ボトルtoボトル、軽量化、より着実な使用済み空容器の回収、生活者に向けた啓発活動などの取組みを推進しております。しかし、海洋汚染や温室効果ガス増加等の問題が拡大することでペットボトルの販売禁止等が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 気候変動(温室効果ガス)

バリューチェーン全体における温室効果ガス削減を目指し、省エネ活動や再エネ導入等を推進しております。温室効果ガスの増加により、気候変動や、農作物の変化等に加えて社会・消費者の需要や事業機会が変化することで当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 災害について

当社グループの主要な生産設備、販売拠点は本店所在地に集中しており、地震・火災などに見舞われた場合は、生産活動の停止、あるいは製品供給の不全に陥る可能性があり、それらは当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

当社グループでは、災害等に対して主要設備の防火、耐震対策などを実施するとともに、製品の分散保管、ITインフラの分散設置を実施し、BCP(事業継続計画)を策定しております

 

(9) 感染症について

新型コロナウイルスに代表される感染症の流行により、市民生活の変化や日本経済の停滞が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

特に、飲食店や交通機関、レジャー、イベント施設の衰退は当社グループの経営成績と密接な関係にあります

感染症が流行した場合には、従業員についてはマスクの着用や在宅勤務など感染症予防に努めます。また、感染症流行下でも衰退しない販売チャネルに傾注した営業活動を続けることで、売上高の減少を抑えます

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります

また、当社グループは、飲料の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は56,860百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は2,204百万円(前年同期比27.8%増)、経常利益は2,209百万円(前年同期比27.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,545百万円(前年同期比17.7%増)になりました。

財政状態につきましては、資産は前連結会計年度に比べ840百万円増加51,913百万円となりました。負債は、423百万円減少9,797百万円となりました。純資産は、1,263百万円増加42,116百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ870百万円増加し、10,242百万円になりました。

活動ごとのキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです

 

≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫

営業活動によって得られた資金は、3,597百万円(前連結会計年度は3,253百万円の収入)になりました。これは、税金等調整前当期純利益2,344百万円、減価償却費1,974百万円、棚卸資産の減少298百万円などに対し、法人税等の支払額892百万円などによるものです。

 

≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫

投資活動の結果によって使用した資金は、2,026百万円(前連結会計年度は1,947百万円の使用)になりました。これは、主に製造設備や販売機器などの有形固定資産の取得による支出2,171百万円、無形固定資産の取得による支出165百万円などによるものです。

 

≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫

財務活動の結果によって使用した資金は、700百万円(前連結会計年度は684百万円の使用)になりました。これは、配当金の支払額403百万円、リース債務の返済による支出293百万円などによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当社グループは飲料の製造・販売事業の単一セグメントであり、開示対象となるセグメントはありませんが、当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

 

 

名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

飲料水等

31,036

△4.0

 

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

b 受注実績

当社グループは受注を主体とした生産を行っていないため、受注実績の記載を省略しております。

 

 

c 販売実績

当社グループは飲料の製造・販売事業の単一セグメントであり、開示対象となるセグメントはありませんが、当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

 

名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

飲料水等

56,860

0.9

 

 

(注) 相手先別販売実績において、総販売実績に対する該当割合が10%以上の相手先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

 

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の業績は、売上高は道外ボトラーへの販売が減少したものの、市場の回復や価格改定による道内販売の伸長により56,860百万円(前年同期比0.9%増)となりました。利益面につきましては、原材料資材・エネルギー価格の高騰は続いているものの、道内販売の伸長に加え、継続した収益改善の取り組みにより、営業利益は2,204百万円(前年同期比27.8%増)、経常利益は2,209百万円(前年同期比27.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,545百万円(前年同期比17.7%増)となりました。

 

<活動内容>

a 飲料事業の収益力の向上

飲料ビジネスでは、原材料資材・エネルギー価格の世界的な高騰や為替相場の変動による影響を背景に、ペットボトル商品、ボトル缶商品、500ml缶商品のメーカー希望小売価格を改定いたしました。(2024年10月出荷分より)

スーパーマーケット等の量販店では、アプリやX(旧 Twitter)を活用したSNSプロモーションを取引先と実施するなど生活者の動向に対応したデジタル販促の取り組みを強化したほか、物価高に対応したお得なまとめ売りや様々な容量の商品をラインナップすることでお求めやすい価格帯を維持しました。また、道民の嗜好に合わせたエリア限定商品の販売を行うなど生活者のニーズに対応した商品の提供活動に注力しました。また、小さなお子様でも買い物の楽しみを知ってもらうために、店頭の魅力度をあげる体験型什器ミニ缶自動販売機を取引先と協働して設置し、売上の拡大をはかりました。

自動販売機ビジネスにおいては、オフィス等に設置された自動販売機を中心に、職場全体で設定された目標本数の購入を目指す「チームトライアル」を企画し、価格改定以降低迷していた職域への販売促進をはかりました。また、夏季には通常の冷却温度よりも2℃低い設定で熱中症対策のニーズに対応し、冬季には通常の加温温度よりも2℃高い設定で持続した温もりを提供するなど、自動販売機特有の機能を活用した温度施策を行いました。

「Coke ON」アプリでは、北海道民をターゲットに道内各所のエリア限定スタンプが付与される北海道独自企画や、「雪ミク」をデザインした限定ドリンクチケットが抽選であたるキャンペーンを実施するとともに、「Coke ON」ドリンクチケットの斡旋販売を開始することで、アプリの会員数拡大に貢献しました。

また、環境意識の高まりを背景に、設置先のCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンオフセット」自動販売機の展開を進めました。

その他、人流増加に伴い賑わう飲食店や宿泊施設に対して、インバウンドにも馴染みのある「コカ・コーラ」や「ミニッツメイド」の販売を強化しました。また、観光売店を中心に、「い・ろ・は・す」や「綾鷹」などの主力定番商品の販売強化につとめたほか、当社コールセンターでは、販売商品類の拡大を目的とした電話営業、職域を中心としたオフィスメール会員への販売促進、WEB受注システム「TANOMU」の機能を活用した取引先とのコミュニケーションを強化するなどインサイドセールスを強化しました。

新商品としては、北海道限定の人気商品「ジョージア ミルクコーヒー」から、2023年発売のバナナに続く第二弾フレーバー商品として「ジョージア メロンミルクコーヒー」を、また、炭酸ブランド「シュウェップス」から、富良野メロンエキスを使用した「シュウェップスメロンソーダ」を北海道限定商品として発売いたしました。また、「やかんの麦茶」から新たに機能性表示食品の「やかんの濃麦茶」を発売するとともに、「綾鷹」については内容量を650mlに増量するリニューアルを行いました。アルコール飲料からは、檸檬堂ブランド初の地域限定商品として「ご当地檸檬堂 道民のしそレモン」を発売いたしました。

 

b グループビジネスの成長

グループビジネスでは、飲料事業とのシナジーを活かした取引先への価値提供と課題解決をはかるため、新規取引の拡大に向けた体制を構築し、継続性が高い業務受託を中心に拡大を進めております。主力の物流事業では、タンクローリー輸送を強化し、殺菌乳や白油の輸送を拡大しました。また、需要の高まる少ロット輸送への対応として、企業向けの小口輸送サービス「幸楽輸送のエコビジネス便」を立ち上げ、札幌近郊から展開を強化しております。メンテナンス事業では、厨房機器や自動精算機等の修理や定期点検の受託を強化し、機材の調達から設置、修理まで一貫対応する空調設備、照明設備の設置工事を拡大しました。

 

c 経営基盤の強化

「北の大地とともに」を合言葉に、SDGsを新たな指標ととらえ、環境やサステナビリティ活動に注力してきました。

環境に対する取り組みでは、ペットボトル容器の資源リサイクル活動(ボトルtoボトル)として、札幌市、江別市、岩見沢市とペットボトル容器回収を目的とする協定を結んだほか、北海道を代表するイベント「YOSAKOI ソーラン祭り」や北海道内の大学と協働してイベントや大学祭で排出されたペットボトル容器のリサイクル利用を行いました。

また、北海道の豊かで美しい「水」を中心とした自然環境を守り次世代へと引き継いでいくことを目的とし、北海道、公益財団法人北海道環境財団、当社の三者協働で取り組んでいる「北海道 e-水プロジェクト」は本年で15周年をむかえ、そのアンバサダーに北海道を応援するキャラクター「雪ミク」が就任し認知度拡大に寄与しました。

社会に対する取り組みでは、北海道にお住いの皆さまが安心して暮らせる社会をサポートするために、防災インフラの構築として、北海道内に設置する当社の災害対応自動販売機を一覧できる、「災害対応型自動販売機MAP」を当社ホームページで公開し、北海道及び北海道内の各自治体と連携をはかりました。

また、北海道内のフードバンクを通じて、こども食堂や生活困窮者支援団体などに当社製品を寄贈したほか、「こども食堂北海道ネットワーク応援自動販売機」を設置し、売上の一部をこども食堂北海道ネットワークへ寄付いたします。

その他、江別市と「まちづくりに関する包括連携協定」を締結し、地域社会の安全・安心の確保、脱炭素社会の実現、子育て環境の充実及び市民サービスの向上をはかる協同事業を開始いたしました。

 

当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度における資産は、前連結会計年度に比べ840百万円増加51,913百万円となりました。これは主に、現金及び預金や販売機器が増加したことによるものです。

負債は、423百万円減少9,797百万円となりました。これは主に未払法人税等や未払金が減少したことによるものです。

純資産は、1,263百万円増加42,116百万円となりました。これは主に、利益剰余金が増加したことによるものです。

この結果、自己資本比率は81.1%となり、当連結会計年度の1株当たり純資産額は3,095円18銭となりました。

 

資本の財源及び資金の流動性の分析

a キャッシュ・フロー分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております

 

b 資金需要、資金調達

資金需要としては、商品及び原材料仕入等の運転資金のほか、将来の成長に向けた自動販売機を中心とした販売機器や生産設備等の設備投資資金等があります。また、株主の皆様への利益還元を経営の重点政策と位置づけております。利益の配分については、株主の皆様へ安定配当を行うことを基本とし、財政状態及び経営成績を総合的に判断して実行してまいります。

資金調達については、基本的に自己資金で賄うこととしておりますが、資金需要の内容、規模、今後の情勢等を勘案し、継続的に最適な資金調達方法の検討を進めてまいります。

 

c 資金の流動性

当社グループはCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入しており、各グループ会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上を図っております。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、連結売上高、連結営業利益、連結営業利益率、ROEを重要な経営指標としており、その状況については以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

2023年12月

2024年12月

連結売上高

56,371

56,860

連結営業利益

1,725

2,204

連結営業利益率

3.1%

3.9%

ROE

3.3%

3.7%

 

 

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境、(3)中期経営戦略」に記載のとおりであり、今後も中期経営計画に基づき引き続き企業価値向上をはかっていきます

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

ボトラー契約

当社は、ザ コカ・コーラカンパニー及び日本コカ・コーラ株式会社との間で、北海道を販売地域とするコカ・コーラ等の製造・販売及び商標使用等に関するボトラー契約を締結しております。

 

6 【研究開発活動】

 該当事項はありません。