文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、『愛の精神の実践』を創業からの想いとして受け継ぎ、パーパス(存在意義)「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign(リ デザイン))」を経営の起点とし、人々の健康で快適、清潔・衛生的な暮らしに役立つ優良製品・サービスを提供することにより、サステナブルな社会に貢献していくことが使命であると認識しております。
人々の価値観の変化や企業に求められる社会的な役割を的確に捉え、お客様満足を最優先とする製品開発、サービスの提供に取り組むとともに、環境保全活動の推進やコーポレート・ガバナンス体制の充実を図り、株主、お客様、お取引先、地域・社会、従業員等のすべてのステークホルダーからの期待に応えられる信頼性の高い企業として、企業価値の一層の向上に努めてまいります。
当社グループは、経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を掲げ、パーパス(存在意義)「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」の実践による、サステナブルな社会への貢献と事業の成長を目指しております。
<「Vision(ビジョン)2030」で目指す姿>
◇経営ビジョン
「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」
◇目指す経済価値および社会価値
<経済価値>
※1 連結売上高に対するEBITDA*の割合
*事業利益(売上総利益から販売費及び一般管理費を控除したもの)に減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)を合算したもので、キャッシュベースの収益性を表す
※2 NOPAT(税引後事業利益)を期中平均の投下資本(資本合計+有利子負債)で除したもの
<社会価値>
(3) 会社の対処すべき課題
経営ビジョン実現に向け、当期までの成果と課題を踏まえ、2025年度からは、「収益力の強靭化」をテーマとした3ヵ年の新中期経営計画、「Vision(ビジョン)2030 2nd(セカンド) STAGE(ステージ)」をスタートさせました。本計画にもとづく戦略施策をスピーディに実行し、成果につなげることが当社グループの課題であると認識しております。
◇中期経営計画「Vision2030 2nd STAGE」の概要
<3つの基本方針>
「収益力の強靭化」へ向け、次に掲げる3つを基本方針として施策を実行してまいります。
①事業ポートフォリオマネジメントの強化
当社グループにおける各事業の役割・位置づけを明確にした上で、経営資源の配分を先鋭化し、各事業の収益体質強化と事業間のシナジー発揮により、企業としての持続的な発展を図ります。
特に、最重点分野に位置づける「オーラルヘルスケア」の領域では、価値提供の範囲を従来の口腔衛生に加え、口腔機能(嚙む力・飲み込む力・会話を楽しむ力)へと拡張し、製品とサービスの統合的な事業展開により、お口を起点とした全身健康への貢献を目指してまいります。
②経営基盤の強化
サステナブルな事業成長と効率性の高い事業運営を実現すべく、経営基盤の強化に取り組んでまいります。
特に、グローバルのR&D体制については、各拠点における役割の明確化を進め、イノベーション創出力の強化や製品開発のスピードアップを目指します。日本と中国ではコア技術の深化・革新に重点を置くとともに、各国の開発拠点では、生活者ニーズを捉えた製品開発をスピーディに進めてまいります。
③ダイナミズムの創出
戦略推進力の基盤となるダイナミズムの創出に向けて、ブランド資産の活用や人的資本の充実に取り組みます。特に、人的資本の充実については、戦略に応じた人材開発と重点的な配置を通じ、個と組織の力を高めるとともに、多様な人材が能力を発揮できる環境づくりを進め、活力ある組織による新たな価値創出につなげてまいります。
<サステナビリティ重要課題への取組み推進>
事業活動を通じ、サステナビリティ重要課題である「健康な生活習慣づくり」や「サステナブルな地球環境へ
の取組み推進」に取り組んでまいります。
「健康な生活習慣づくり」では、「オーラルヘルスケア習慣づくり」と「清潔・衛生習慣づくり」に貢献する
製品・サービスおよび情報を、2030年にそれぞれ5億人、のべ10億人に提供することを目指しております。
また、「サステナブルな地球環境への取組み推進」についても、石化由来プラスチック使用率70%以下、ライ
フサイクルにおける水使用量 30%削減等を目標とし、サステナブルな社会の実現に向けて、習慣づくりを通じ
て貢献してまいります。
<重視する経営指標>
3つの基本方針にもとづく施策を推進するにあたり、下記を重視する経営指標として設定します。
①重視する財務指標と2nd STAGE目標(2027年)
※ 基本的1株当たり当期利益の年平均成長率
◇キャッシュアロケーション
3ヵ年で約1,500億円のキャッシュ獲得を想定し、その内約900億円を将来の成長に向けた戦略的投資に投下することを想定しております。配当は、累進配当を基本として12期連続の増配を目指します。また、投資の進捗等を踏まえ、自己株式の取得・消却を機動的に実施いたします。
当社グループは、上記の戦略を強力に推進することで、事業を通じた社会価値、経済価値を創出し、サステナブルな社会への幅広い貢献を通じて、企業価値の向上を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「事業を通じて社会のお役に立つ」という創業の精神を受け継ぎ、経済的発展のみならず、地球環境や社会の課題についても長期的かつ継続的に取り組んでまいりました。
現在、2030年に向けた経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を掲げ、中長期経営戦略フレーム「Vision2030」においても、サステナビリティ重要課題への取組みと成長戦略を相乗的に推進することで、サステナブルな社会への貢献と事業の成長を目指しています。
サステナブルな経営を推進するにあたり、2021年より社長を含む業務執行取締役全員と関連部門で構成する「サステナビリティ推進協議会」を年2回開催し、当社グループのサステナビリティに関する協議を行っています。
協議会の傘下には、執行役員を責任者とするE、S、G、3つの分科会を設け、サステナビリティ重要課題に対する取組みの推進ならびにモニタリングを行っています。協議会で決定した内容は執行役員会で共有され、必要に応じて経営執行会議・取締役会に付議・上程し、各業務執行部門の事業活動に反映しています。
当社グループでは、バリューチェーン全体およびステークホルダーを網羅し、リスクと機会の両面を勘案して、13のサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定しています。
その中で特に「健康な生活習慣づくり」と「サステナブルな地球環境への取組み推進」については、経営資源を投下して取り組むべき最重要課題に位置づけています。
<健康な生活習慣づくり>
当社の製品・サービス、および情報の提供を通じて、歯みがきや手洗いといった健康に直結する生活習慣の定着を進めています。当社グループのパーパス「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」に基づいた「健康な生活習慣づくり」を事業展開エリアののべ10億人に提供することで、より多くの人々の毎日に貢献するとともに、事業の拡大をはかります。
<サステナブルな地球環境への取組み推進>
企業活動を通じて生活者の皆様に健康、快適、清潔・衛生を通じた顧客体験価値を提供することとあわせ、人々の健康やくらしの基盤となる地球環境を守ることは、「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を経営ビジョンとして掲げる当社グループにとって大変重要な責務であると考えています。
持続可能な地球環境の実現に向けては、長期環境目標「LION Eco Challenge 2050」を掲げ、脱炭素社会、資源循環型社会の実現にチャレンジしています。
サステナビリティに関する事項を含む具体的なリスクと対応策に関しては「
サステナビリティ最重要課題に関する指標と目標は以下のとおりであります。
なお、2024年12月期の実績につきましては、2025年5月末公開予定の「
<健康な生活習慣づくり>
<サステナブルな地球環境への取組み推進>
近年、気候変動は喫緊の社会課題であり、企業経営においても将来の重大なリスクであると同時に、企業活動の新たな機会創出の可能性もあると認識しています。
当社グループでは、2019年5月にTCFD*提言への賛同を表明し、2022年には4.0℃、1.5℃を想定した本格的なシナリオ分析を実施しました。
*Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)
気候変動リスク・機会は、サステナビリティ推進協議会傘下のE分科会より、同協議会(年2回開催)に報告され、必要に応じ、執行役員会・経営執行会議・取締役会にも報告される体制となっています。
また、気候変動による人々を取り巻く世界観の変化を事業機会とすべく、同協議会直下にワーキンググループを設置して機動的な検討を行っています。
当社グループでは、短・中・長期の気候変動リスク・機会を現在~2050年まで特定・評価し、事業・戦略・財務計画検討時に考慮しています。
2030年、2050年における一般用消費財事業(オーラルヘルスケア、ビューティケア、ファブリックケア、リビングケア、薬品の各分野)、海外事業(中国、タイ)について、産業革命比で2100年までに世界の平均気温が4℃・1.5℃上昇することを想定したシナリオを用いて、シナリオ分析を実施しました。
分析結果のまとめは次のとおりです。
<4℃シナリオ>
・化石燃料由来の原料高騰を大きなリスクと認識し、植物由来原料への代替等、脱炭素化に向けた取組みを推進しています。
・洪水や水ストレス等、物理的リスクの増加に対しては、BCPの強化やサプライチェーンのデータ連携等の対応を進めています。
・機会面では感染症予防や洗濯関連商品等の市場の拡大が想定され、関連する商品開発やサービスの強化に取り組んでいます。
<1.5℃シナリオ>
・プラスチック由来・アルミ由来・パーム油由来の原材料・包材価格の上昇が大きなリスクとなりますが、石化由来のプラスチック使用量の削減やパーム油・パーム核油誘導体のRSPO認証品の調達等、リスク低減に向けた取組みを進めています。
・機会面では、環境配慮製品の大幅な需要拡大が見込まれ、ライオンエコ製品の拡充等による事業の拡大が期待されます。
当社グループでは、脱炭素社会・資本循環型社会への貢献に向け成長機会の探索と獲得についても検討を続けます。各シナリオへの対応はこれまでも進めておりますが、変化への対応力を一層強化すべく経営努力を傾注してまいります。
※詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
事業に大きな影響を及ぼす気候変動関連のリスクと対応策に関しては「
当社および国内外連結子会社のCO2排出量(Scope1、2、3)について
当社グループは、人的資本価値の向上及び組織マネジメントの強化を「Vision2030」の戦略のひとつに掲げており、個人の成長と、一人ひとりの力を引き出し戦略を実行していく組織力により、組織全体のダイナミズムを創出してまいります。
主体的な学びや自律的キャリア形成の機会、健康行動の習慣化、柔軟な働き方など様々な取組みを推進し、個々の働きがい追求を支援するとともに、経営課題に応じた柔軟な組織運営と適所適材を可能とするためのポジションマネジメント、さらに専門性の高い人材の確保・育成を進めることで、戦略を遂行する組織能力を高めていきます。
これらの取組みを通じ、個の躍動を促し、組織としてそれらを活かすことで、人材の成長を企業価値向上へとつなげてまいります。
当社グループは人的資本の充実を重要な経営課題と認識し、役員で構成される「人材開発委員会」を設置して、トップタレントの育成、若手社員の選抜育成、社員の語学力向上など、人的資本に関するさまざまな課題や施策について議論しています。
また、人事戦略全体の取組みを評価するためにKGI、KPIを設定し、その進捗を定期的にモニタリングしてまいります。
当社グループは、多様で多彩な専門性を有する人材の採用、育成・処遇、健康行動の習慣化などを通じ、従業員一人ひとりの「働きがい」を高め、生産性向上と新しい価値創出を図ってまいります。マネジメントのポストや重要職務については職務・役割の定義と等級付けを行い、最適な人材の登用を進めることとあわせ、柔軟な働き方やダイバーシティの推進、健康経営への取組みを通じ、企業を支える人的資本の充実と活性化に努めています。
<ダイバーシティ&インクルージョンの推進>
当社グループでは、従業員の多様な知と経験を活かすことは、より良い習慣作りに向けた新しい発想やイノベーションに繋がると考えています。意思決定層の多様性の向上や、国籍・性別など属性を問わず多様な価値観や考えを持った人材が、個性や能力を発揮して活躍できる組織風土づくりを進めています。
<ワークライフエンリッチメントの推進>
当社グループでは、ワークライフエンリッチメント(“ワーク”と“ライフ”が相互に作用し質を高め合うこと)の考え方に基づき、従業員が仕事を含む生活全体を充実できる環境を目指しています。仕事だけでなく仕事以外の生活(プライベートでの役割や社外活動など)も重視し、柔軟に働ける制度や育児・介護支援、マネープラン教育などライフスタイルとライフプランの両面から支援しています。
<人材開発>
当社グループでは、一人ひとりの自己実現に寄り添った支援施策を用意するだけでなく、従業員の成長を促す風土づくりにも全社で取り組んでいます。上司と部下間の関係性をより高めていくことで、全ての部所において心理的安全性の高い状態の醸成に努めています。また、自ら設計したキャリアを実現させるために、自律的に知識を習得して、経験を積むことで、自己成長を遂げる人材の育成を支援し、多彩な能力発揮を促しています。
また、専門性の高い人材の育成と活用に向け、職種・職能領域を「職群」として束ね、組織横断的な人材育成やキャリア開発に取り組むとともに、従業員の自律的な成長を支えるためのプラットフォームとして、E-ラーニングシステムやケース講義等からなる「ライオンキャリアビレッジ」を整備しています。
<従業員の健康増進>
当社グループでは、従業員の健康は「会社の健全な成長を支える経営基盤である」との考えを基本とし、従業員一人ひとりの「心と身体のヘルスケア」の実現を目指しています。会社・従業員・健康保険組合が一体となり、生活習慣改善とヘルスリテラシーの向上、お口の健康、がん予防、禁煙支援、メンタルヘルス対策など健康行動の習慣化を目指す活動「GENKIアクション」に取り組んでいます。
※詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
2019年から取り組んできた「Vision(ビジョン)2030 1st(ファースト) STAGE(ステージ)」では、個人の多彩な能力の発揮及び自律的なキャリア形成の実現に注力してまいりました。
2025年からは、人的資本をより活かし、経営戦略の実現や企業価値向上に繋がる組織的な取り組みに力を入れ、1st STAGEで導入した各種制度を狙い通りに活用していくとともに、2nd STAGEとして会社が目指す方向に組織やチーム全体の力が向かう「組織全体のダイナミズムの創出」へシフトします。重要な経営課題である「事業ポートフォリオの変革」や「経営基盤強化」を実現するためには、強化分野への優先的な人材の採用と配置を行う戦略的な人材ポートフォリオマネジメントが必要不可欠だと捉えています。また、この実現においては、組織の中で一人ひとりが役割を持ち、成果創出に貢献することによる全社の生産性向上が求められます。
そこで、2nd STAGEでは組織全体で成果を生むためのリーダーシップの習得や課題解決力の強化と、マネジメント層の役割・機能の見直しに取り組み、個人の自発的行動を組織やチームによって最大化し、企業価値向上に取り組んでいきます。
人材に関するリスクと対応策については、「
人的資本に関する主な指標と目標は以下のとおりであります。
当社グループの経営成績および財政状態は、今後事業を行っていく上で起こりうる様々なリスクによって影響を受ける可能性があり、特に投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項について、以下に記載しております。
なお、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において入手しうる情報に基づいて判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
<リスクマネジメントの基本方針>
・当社の役員および従業員は、「内部統制システムの基本方針」に基づき、平時から、当社グループの事業運営を
阻害するリスクの未然防止に努める。
・万が一、リスクが顕在化した場合には、従業員、株主、顧客、地域社会等各ステークホルダーの損失の最小化に
努める。
・顕在化したリスクはいち早く経営トップに報告し、事実確認、経緯把握、原因究明、改善策立案等を速やかに実
施したうえで、再発防止に努める。
<当社のリスクマネジメント体制>
当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクの発生頻度や経営への影響を低減していくために、全社的な視点でリスクマネジメントを統括する「リスク統括管理担当役員」を選任するとともに、経営企画部を事務局として具体的な施策の推進を図っております。
経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼすリスクについては、経営執行会議で「経営リスク」として特定・評価し、そのリスクの低減等に全社的に取り組んでおります。
環境、品質責任、事故・災害に関するリスクについては、それぞれサステナビリティ推進協議会、CS/PL委員会、安全衛生防災会議において事前に対応策を検討、必要に応じて経営執行会議または執行役員会で審議し、リスク管理を行っております。
各部所においては、「リスクマネジメントシート」を活用し、全社に共通の「共通リスク」と部門固有の「個別リスク」を識別・評価し、対応策を検討し年間を通じて実践しております。また、全社にわたりISO9001、加えて各工場においてはISO14001の認証を受け、品質管理および環境保全に積極的に取り組んでおります。
リスク統括管理担当役員は、リスク管理の推進状況を随時、執行役員会、取締役会に報告します。また、監査部は当社グループ各部所のリスク管理の状況を監査し、その結果を執行役員会、取締役会に報告します。
<経営リスクと主な対応策>
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a. 当期(2024年1月1日~2024年12月31日)の経営成績
<全体概況>
当期の世界経済は、欧州や中東の地政学的な問題、各国の金融政策の変更などにより、先行き不透明な状況が継続しました。国内では、物価上昇が続く中で、所得環境の改善等により、緩やかな回復基調で推移しました。
海外においては、主要参入国であるタイでは景気が弱含んで推移するとともに、中国では不動産市場の停滞や物価下落の継続等により足踏みがみられました。
このような環境の中、当社グループは中期経営計画「Vision2030 1st STAGE」の最終年度である当期を収益基盤再構築の年と位置付け、国内では収益構造改革、海外では成長施策の強化に取り組みました。
国内においては、高付加価値の新製品発売や販売戦略の見直し、一部のブランド譲渡などポートフォリオ改革を着実に推進しました。併せて、ファブリックケア分野を中心に生産品目の集約および生産体制の効率化を進めるなど、収益性の向上に努めました。
海外においては、中国での店舗販売チャネルの強化や、マレーシアにおける積極的なマーケティング施策など、主要国を中心に事業拡大施策を推進しました。
以上の結果、当期の連結業績は、売上高4,129億4千3百万円(前期比2.5%増、為替変動の影響を除いた実質前期比0.3%増)、事業利益263億3千2百万円(前期比30.8%増)、営業利益283億8千7百万円(同38.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益211億9千7百万円(同44.9%増)となりました。
<連結業績の概況> (単位:百万円)
(注)事業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除したもので、恒常的な事業の業績を測る当社の利益指標です。
<セグメント別の業績> (単位:百万円)
(注)売上高構成比は、各部門の売上高から部門間の内部売上高・振替高を控除した外部顧客への売上高にもとづき算出しております。
<セグメント別概況>
1) 一般用消費財事業
当事業は、「オーラルケア分野」、「ビューティケア分野」、「ファブリックケア分野」、「リビングケア分野」、「薬品分野」、「その他の分野」で構成されています。全体の売上高は、前期比2.1%の減少となりました。事業利益は、粗利率の改善や販売費及び一般管理費の減少により、前期比161.7%の増加となりました。
(注)以降、グラフの単位は億円
[売上高の分野別状況]
(オーラルケア分野)
当分野は、「ハミガキ」、「ハブラシ」、「デンタルリンス」等で構成されています。
ハミガキは、「システマハグキプラス ハミガキ」や「NONIO(ノニオ)プラスホワイトニング ハミガキ」が好調に推移したことに加え、新ブランド「OCH-TUNE(オクチューン)ハミガキ」の発売もあり、全体の売上は前期を上回りました。
ハブラシは、「NONIO(ノニオ) ハブラシ」や「クリニカアドバンテージハブラシ」が好調に推移するとともに、「OCH-TUNE(オクチューン)ハブラシ」が加わり、全体の売上は前期を上回りました。
デンタルリンスは、「OCH-TUNE(オクチューン)マウスウォッシュ」の発売に加え、「NONIO(ノニオ)プラスホワイトニング デンタルリンス」が好調に推移したことにより、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
以上により、分野全体の売上は、前期比5.1%の増加となりました。
(ビューティケア分野)
当分野は、「ハンドソープ」、「ボディソープ」、「制汗剤」等で構成されています。
ハンドソープは、新香調が加わった高付加価値タイプ「キレイキレイ薬用ハンドコンディショニングソープ」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
ボディソープは、「hadakara(ハダカラ) ボディソープ」が前期を下回り、全体の売上も前期を下回りました。
以上により、分野全体の売上は、前期比0.8%の増加となりました。
(ファブリックケア分野)
当分野は、「柔軟剤」、「洗濯用洗剤」等で構成されています。
柔軟剤は、「ソフラン アロマリッチ」が堅調に推移しましたが、「ソフラン エアリス」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
洗濯用洗剤は、「NANOX(ナノックス)」ブランドが前期を下回り、全体の売上も前期を下回りました。
以上により、分野全体の売上は、前期比6.3%の減少となりました。
(リビングケア分野)
当分野は、「住居用洗剤」、「台所用洗剤」等で構成されています。
住居用洗剤は、浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」が堅調に推移しましたが、浴室用カビ防止剤「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
台所用洗剤は、「CHARMY(チャーミー) Magica(マジカ)」が順調に推移しましたが、事業効率化に向けた商品構成見直しの影響もあり、全体の売上は前期比微減となりました。
以上により、分野全体の売上は、前期比3.3%の減少となりました。
(薬品分野)
当分野は、「解熱鎮痛薬」、「点眼剤」、「ニキビ薬」等で構成されています。
解熱鎮痛薬は、「バファリン プレミアムDX(ディーエックス)」が好調に推移しましたが、「バファリン プレミアム」、「バファリンA」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
点眼剤は、「スマイル40ゴールド」シリーズが堅調に推移するとともに、新製品「スマイル40 プレミアム ザ・ワン」が加わり、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
ニキビ薬は、「ペアアクネクリームW」が、足用冷却シートは「休足時間 足すっきりシート」が、好調に推移し、それぞれ全体の売上は前期を大幅に上回りました。
なお、当期中に、外用消炎鎮痛剤「ハリックス」およびドリンク剤「グロンサン」、「グロモント」の各ブランドを他社に譲渡しました。
以上により、分野全体の売上は、前期比4.6%の減少となりました。
(その他の分野)
当分野は、ペット用品、ギフト・ノベルティ、歯科ルート品等で構成されています。
ペット用品は、猫用トイレの砂「ニオイをとる砂」が順調に推移するとともに、オーラルケア用品「PETKISS(ペットキッス)」が堅調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
ギフト・ノベルティは、市場縮小等の影響を受け、前期を下回りました。
前期に機能性食品事業の主力製品を他社に譲渡し、事業を終了したこともあり、分野全体の売上は、前期比6.2%の減少となりました。
2) 産業用品事業
当事業は、タイヤ用ゴムの防着剤等を取り扱う「モビリティ分野」、二次電池用導電性カーボン等の「エレクトロニクス分野」、施設・厨房向け洗浄剤等の「業務用洗浄剤分野」等で構成されており、全体の売上高は、前期比3.5%の減少となりました。事業利益は、前期比6.8%の減少となりました。
モビリティ分野では、タイヤ用ゴムの防着剤等が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
エレクトロニクス分野では、二次電池用導電性カーボンが前期を下回り、全体の売上も前期を下回りました。
業務用洗浄剤分野では、衣料用洗剤が好調に推移するとともに、ハンドソープも順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
3) 海外事業
海外は、タイ、マレーシア等の東南・南アジア、中国、韓国等の北東アジアにおいて事業を展開しております。
全体の売上高は、前期比11.4%の増加(為替変動の影響を除いた実質前期比は4.8%の増加)となりました。事業利益は、前期比18.7%の増加となりました。
[地域別状況]
(地域別の状況)
東南・南アジア全体の売上高は、前期比11.3%の増加(為替変動の影響を除いた実質前期比は4.0%の増加)、事業利益は、前期比22.3%の増加となりました。
タイでは、洗濯用洗剤「Pao(パオ)」が堅調に推移するとともに、ボディソープ「植物物語」が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
また、マレーシアでは洗濯用洗剤「トップ」が順調に推移するとともに、ボディソープ「植物物語」が好調に推移し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
北東アジア全体の売上高は、前期比11.5%の増加(為替変動の影響を除いた実質前期比は6.0%の増加)、事業利益は、前期比13.4%の増加となりました。
中国では、ハミガキ「ホワイト&ホワイト」が堅調に推移するとともに、ハミガキ「クリニカ」やハブラシ「システマ」が好調に推移し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
また、韓国では洗濯用洗剤「BEAT(ビート)」や点眼剤「Eyemiru(アイミル)」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
4) その他
建設請負事業等を含むその他では、全体の売上高は、前期比19.7%の減少、事業利益は、前期比79.3%の減少となりました。
b. 次期(2025年1月1日~2025年12月31日)の業績見通し
<連結>
(注)事業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除したもので、恒常的な事業の業績を測る当社の利益指標です。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内外の消費財市場は堅調に推移するものと見込まれますが、地政学リスクの高まりなどによる想定以上の原材料価格の上昇や急激な為替変動による影響も懸念され、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような中、当社グループは「収益力の強靭化」をテーマに、3ヵ年の新中期経営計画「Vision2030 2nd STAGE」をスタートさせました。国内事業の収益構造改革と海外事業の成長加速に重点をおいた施策をスピーディに実行し、利益ある成長を実現することで企業価値の向上を目指してまいります。
<一般用消費財事業>
オーラルヘルスケア分野※では、主力ブランドの育成に加え、新たなサービスの提供にも取り組んでまいります。また、薬品分野においては解熱鎮痛薬での高付加価値化に取り組むとともに、リビングケア分野で新しい生活習慣を提案する高付加価値の新製品を導入するなど、収益性の高い事業ポートフォリオを目指します。
※従来の口腔衛生に加え、提供価値領域を口腔機能(噛む力・飲み込む力・会話を楽しむ力)まで拡張し、製品とサービスの統合的な事業展開を推進いたします。当該分野を最重点と位置付けるとともに、これに伴い分野名称を「オーラルケア分野」から「オーラルヘルスケア分野」に変更いたします。
<産業用品事業>
主要分野である二次電池用導電性カーボンを中心とした環境対応素材の事業拡大に取り組み、収益性の向上と、製品を通じたサステナビリティへの貢献に努めてまいります。
<海外事業>
オーラルヘルスケア、ビューティケアなどパーソナルケア分野の強化に取り組むとともに、中国では販売エリアの拡大を中心に事業成長の継続を目指します。またバングラデシュ、ベトナムにおいては、製品分野の拡大など事業本格化に向けた取組みを進めます。併せて、次なる新規参入国の探索も続けてまいります。
以上により、次期の連結業績見通しは、売上高4,200億円(前期比1.7%増)、事業利益300億円(同13.9%増)、営業利益350億円(同23.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益250億円(同17.9%増)を予想しております。
a.財政の状況
(連結財政状態)
(注1) 親会社所有者帰属持分比率は、(資本合計-非支配持分)/資産合計で計算しております。
(注2) 1株当たり親会社所有者帰属持分は、非支配持分を含まずに計算しております。
資産合計は、現金及び現金同等物の増加等により、前期末と比較して108億3百万円増加し、4,971億6千7百万円となりました。資本合計は、175億5千9百万円増加し、3,156億9千4百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は59.1%となりました。
(連結キャッシュ・フロー) (単位:百万円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益等により、436億6千万円の資金の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、76億5千9百万円の資金の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出等により、212億5百万円の資金の減少となりました。
以上の結果、当期の現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ167億1千4百万円増加し、1,022億4千万円となりました。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
c. 次期のキャッシュ・フローの見通し
営業活動によるキャッシュ・フローでは、税引前当期利益は360億円程度と予想しております。
減価償却費及び償却費は210億円程度となる見込みです。一方、法人税等の支払いなどにより、120億円程度の資金の減少を予想しております。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、設備投資による支出は180億円程度を予定しております。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当の支払いなどにより、110億円程度の資金の減少を予想しております。
以上により、次期の現金及び現金同等物の期末残高は、当期末に比べて160億円程度の増加と予想しております。
d. 利益配分に関する基本方針
「第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は生産者販売価格で算出しております。
受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の内部取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
① 重要性がある会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号。以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定により、国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針およびその適用方法ならびに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しているため省略しております。
② 経営方針、経営戦略等または目標とする経営指標に照らした分析、検討内容
当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。経営成績等の状況に関する認識・分析は以下のとおりです。
a. 売上の状況
当連結会計年度の売上高は、4,129億4千3百万円(前期比2.5%増、為替変動の影響を除いた実質前期比0.3%増)となりました。売上高は、一般用消費財ではブランド譲渡等の影響もあり対前年減収となりましたが、海外はタイ、中国など主要進出国がいずれも増収となり、連結全体では増収となりました。
b. 損益の状況
当連結会計年度の損益は、事業利益263億3千2百万円(前期比30.8%増)、営業利益283億8千7百万円(同38.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益211億9千7百万円(同44.9%増)となりました。事業利益は、海外の売上増による粗利増に加え、一般用消費財の収益構造改革効果により、対前年で大幅な増益、年初公表も大幅に上回る結果となりました。営業利益、親会社所有者に帰属する当期利益の増益には、事業利益の増益に加え、一部ブランド譲渡や資産売却等の構造改革の推進により対前年で大幅増益、年初公表も達成となりました。
以上の結果、当連結会計年度のROEは7.4%となりました。
a. 基本的な考え方
当社グループは、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパスを起点とし、2030年に向けた経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を掲げ、その実現への企業活動を進めております。
資金については、中長期的な成長を継続させるための投資資金の確実な確保と、財務健全性の維持を基本方針とし、成長投資や運転資金の需要に合わせて、機動的に対応することとしています。また、将来の成長に向けた戦略的投資に投下するとともに、投資の進捗を踏まえ、自己株式の取得・償却を機動的に実施してまいります。
b. 資金の需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品および製品製造のための原材料の購入、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは販売促進費、広告宣伝費および人件費等です。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場の設備維持更新に加え、生産能力増強および生産効率向上のための設備投資および重点領域への成長投資です。戦略的な資金需要に対しては、財務基盤の安定と資本効率の向上を図りながら対応してまいります。
c. 資金調達
当社グループの運転資金および投資資金は、主として営業活動で得られた資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入や社債等による資金調達を行う方針であります。当社は国内格付機関である格付投資情報センター(R&I)から格付を取得しており、本報告書提出日時点における長期発行体格付はA(安定的)となっております。また、当社は金融機関との間で借入枠を有しており、緊急時の流動性を確保しております。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金や将来の成長に向けた投資資金は適切に調達することが可能であると考えております。
なお、当社グループでは、国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、グループ資金を当社に集中するとともに、各社の必要資金を当社が貸し付けることで、資金効率の向上と支払利息の低減を図っております。
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、経営ビジョン『次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ』の実現に向け、「健康」、「快適」、「清潔・衛生」を通じた新たな顧客体験価値を創造し、お客様一人ひとりの「心と身体のヘルスケア」を実現する製品の開発や、未来の生活を提案する研究開発に取り組んでいます。健やかで自立した人生や、清潔で快適な生活の実現、さらに、未来にわたり安心して暮らせる社会を目指し、確かな科学的根拠に基づく研究を進めています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
各セグメントの研究開発活動は下記のとおりです。
一般用消費財事業では、オーラルケア、ビューティケア、ファブリックケア、リビングケア、薬品、その他の6つの分野に分け、研究開発を行っています。
① オーラルケア分野では、口腔科学を中心とする研究成果を活かして、ハミガキ、ハブラシ、デンタルリンスなどの開発をしています。
歯をみがくタイミング、気分や好みなど、スタイルで選ぶ新ブランド「OCH-TUNE」からてきぱき・リフレッシュ・効率派に向けた『FAST』とじっくり・リラックス・丁寧派に向けた『SLOW』の『ハミガキ』『ハブラシ』『マウスウォッシュ』を新発売しました。歯周病セルフケアをリードする「システマ」ブランドからは、年齢に伴うお口の変化に応じたケア習慣“お口のエイジングケア”を新たに提案した『システマ ハグキプラス プレミアムハミガキ・デンタルリンス』を改良新発売しました。予防歯科から生まれた「クリニカ」ブランドからは、薄さを極めた極薄ヘッドで奥歯のさらに奥まで届く歯科医推奨設計の『クリニカアドバンテージ ハブラシ4列レギュラー』を新発売しました。光の反射に着目した光発想の「Lightee」ブランドからは、『Lighteeハミガキ』と『Lighteeハミガキ PREMIUM』に、むし歯予防効果のあるフッ素を高濃度配合し、改良新発売しました。子どもの成長段階に合わせ毎日の歯みがき習慣づくりや良い歯ならびの土台づくりを支援するオーラルケアプログラム「おくち育」からみがき残しの少ないみがき方を練習する『ハブラシポート』、歯みがきのスキルをチェックする『ハミガキステップジェル』がセットになった『まほうハブラシ』を新発売しました。ハブラシポートとスマートフォン専用のアプリとを連動させることで、子どもがゲーム感覚で楽しみながら歯みがきスキルを身に着けることを目指すもので、最短1ヶ月で仕上げみがき卒業をサポートします。
歯科医院向け製品では、根面が露出した口腔内におすすめのう蝕予防歯磨剤『Check-Up rootcare α』および活性酸素とタンパク質分解酵素のダブルパワーで優れた洗浄・除菌力をもつ『エラック義歯洗浄剤』を改良新発売しました。
② ビューティケア分野では、皮膚科学、界面科学を中心とする研究成果を活かして、ハンドソープ、ボディソープ、制汗デオドラントなどを開発しています。
「キレイキレイ」ブランドからは、殺菌・洗浄しながら、うるおいベール処方でしっとり手肌へ導く『キレイキレイ薬用ハンドコンディショニングソープ あたたかな木漏れ日の香りシトラス&ラベンダー』を新発売し、爽やかで透明感のある香りと華やかなデザインを採用した『キレイキレイ薬用ハンドコンディショニングソープ ネロリ&ミュゲの香り』を数量限定で発売しました。また、吸着保湿処方で肌にうるおいを与えるボディソープ「hadakara」ブランドからは、洗浄時に泡が約20倍に増え、新たに3種の保湿成分も追加した『hadakara増える泡ボディソープ』を改良新発売し、ひんやり爽やかな洗い上がりで、肌はしっとりうるおう『hadakaraボディソープ 泡で出てくるひんやりタイプ クールアクアミントの香り』を数量限定発売しました。
③ ファブリックケア分野では、界面科学を中心とする研究成果を活かして、衣料用洗剤、柔軟仕上げ剤などの製品開発をしています。
洗濯用洗剤ブランド「NANOX」から、自動投入洗濯機に合わせて専用設計し、洗剤タンクへの詰め替え手間も、タンクのお手入れもラクな『NANOX自動投入洗濯機専用』を改良新発売しました。また、ニオイ、汚れ、衣類の色変化(黄ばみ、黒ずみ、色あせ)を1本で全部断ち、洗っても衣類が長持ちする高濃度コンプリートジェル『NANOX one』を新パッケージで改良新発売しました。柔軟剤ブランド「ソフラン」から、生乾きでも、劇的抗菌で菌を生ませずニオわせない『ソフラン プレミアム消臭』を改良新発売しました。また、「ソフラン アロマリッチ」シリーズから、清潔感のある心やすらぐ香り“ネロリソープアロマの香り”の『ソフラン アロマリッチ Claire(クレア)』を新発売しました。
さらに、花王株式会社と協働で実施しているリサイクリエーションにおいて、『トップスーパーNANOX ニオイ専用つめかえ用超特大』で採用した『おかえりつめかえパック』が、公益社団法人日本包装技術協会 木下賞・研究開発部門、およびワールドパッケージングオーガニゼーション ワールドスター賞を受賞しました。また日本国内の飲料用キャップを回収して得られた再生プラスチックをボトルに採用した『ソフラン プレミアム消臭』が公益社団法人日本包装技術協会 経済産業省脱炭素成長型経済構造移行推進審議官賞(ジャパンスター賞)を受賞しました。
④ リビングケア分野は、界面科学を中心とする研究成果を活かして、台所用洗剤、住居用洗剤などの製品開発をしています。
台所用洗剤分野では、「CHARMY Magica」ブランドから、酵素高濃度処方で、つけおいて、ほったらかしておくだけでカレーなどの手ごわいこびりつき汚れも簡単に落とせる手洗い用食器用洗剤『CHARMY Magica 酵素+(プラス) 』を改良新発売しました。また、住居用洗剤分野では「ルックプラス」ブランドから除菌・ピンク汚れ予防に加えて新たに排水口消臭機能を追加し、シトラス調の爽やかな香り(スカッシュシトラスの香り)をラインナップに加えた浴室用洗剤『ルックプラス バスタブクレンジング銀イオンプラス』を新発売しました。また、リサイクル性を向上させたつめかえパックを初めて採用した『ルックプラス バスタブクレンジング クリアシトラスの香り つめかえ用大サイズ』を数量限定発売しました。
⑤ 薬品分野では、製剤技術や薬効・薬理技術を中心とする研究成果を活かして、人々のセルフメディケーション意識を支える一般用医薬品などの開発をしています。
点眼薬「スマイル」ブランドでは、眼疲労・かすみ・充血・かゆみに悩む人へ向け、これら症状の共通原因である角膜ダメージを修復し、くり返すつらい症状を1本で治す『スマイル40 プレミアム ザ・ワン マイルド』『スマイル40 プレミアム ザ・ワン クール』『スマイル40 プレミアム ザ・ワン クールMAX』を新発売しました。同時に、生活者が角膜や瞳のうるおいをケアする習慣に取り組むサポートをするため、スマートフォンのカメラで自分の目を撮影するだけで角膜と涙の状態をスコア化できる『スマイル角膜チェッカー』をWEB公開しました。
⑥ その他の事業分野では、ペット事業において、当社獣医師、社外獣医師との協働による動物行動学、口腔科学の研究とライオングループ内の技術を活かしてペットサニタリー用品、オーラルケア用品、ボディケア用品などの開発を行っています。
サニタリー分野では、獣医師が推奨する猫のトイレ設置台数「頭数+1台」を実現しやすい新形状で、お部屋のコーナーにスッキリ収まる『ニオイをとる砂専用 コンパクトコーナー猫トイレ』を発売しました。
オーラルケア分野では、歯みがきが苦手な愛犬にも手軽に歯みがきをはじめてもらえるように、「おいしさ」と「歯垢除去力*」を両立させた『PETKISS ワンちゃんの超歯みがきおやつ』を発売しました。
*噛むことで歯垢を落とす力
一般用消費財事業に関わる研究開発費は、
① ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ㈱は、界面科学、合成技術を中心とする固有技術を生かし、導電性材料、ゴム用添加剤、機能性ポリマー、繊維加工薬剤、脂肪酸窒素誘導体、土木建築用途を含むインフラ薬剤などについて、お客様に密着した開発を行っております。当連結会計年度の主な研究成果は次のとおりです。
導電性材料では、主力商品である「ケッチェンブラック(カーボンブラック)」の応用研究、新規導電性炭素材料およびこれらの複合材料の開発を行っています。特に「電気自動車用二次電池向けカーボン」の開発に注力し、その普及を通じてCO2排出削減へ貢献するため供給量拡大に取り組んでおります。また、カーボンブラック生産時に発生するCO2を軽減するプロセスの開発にも着手しました。
ゴム用添加剤では、タイヤへ直接機能性を付与する内部添加剤やタイヤ製造現場で使われる防着剤の開発を行っています。なかでもSDGsに繋がるエコタイヤの製造に必要なシリカ分散剤や製造環境美化に繋がる液状防着剤につきましては、国内外のお客様からご好評を頂いており採用が拡大しております。
脂肪酸窒素誘導体では、アミン化合物やその誘導体を中心に植物系原料への転換を進めると共に、日用品・化粧品向けに特徴ある除菌・除ウイルス効果を持つ基剤や毛髪に心地よい感触を付与する基剤などの提供により、お客様の事業を通じた循環型社会の構築と安心・安全なより良い生活習慣づくりへの貢献を進めております。
インフラ薬剤では、地盤改良薬剤やアスファルト舗装用薬剤など、工事現場の施工性向上ならびに施工時の使用エネルギーや廃棄物の低減に貢献する薬剤を開発し、国内外での市場展開を進めております。
その他にも「環境対応型製品」の開発を進めており、植物由来の原料を採用したポップラベル用の粘着剤、同じく植物由来の変圧器用電気絶縁油は、環境における分解性が高く漏洩時の環境負荷が低いこと、焼却廃棄時のCO2排出が低減できることから電力系のお客様での採用が広がっています。
② 食品製造業、飲食サービス業、医療・介護事業、リネンサプライ業など、業務用の様々な場面で使用される洗浄剤等の製造販売、並びに衛生的な環境づくりと食の安全を支援する衛生診断サービスをはじめとする総合衛生ビジネスをライオンハイジーン株式会社が行っております。
当連結会計年度の主な成果といたしましては、衣料用分野では「ニオイ防いで衣類長持ち」を実現する「NANOX one PRO 10kg」を新発売し、大容量のニーズにお応えいたしました。また、介護業種向け製品の新ブランドとして「はぴケアパワフル消臭4.3kg」を新発売いたしました。「はぴケアパワフル消臭」は、高濃度クエン酸処方により、衣類に付着した頑固な尿臭を原因から消臭いたします。介護施設やサービス業など、幅広いビジネスユーザーの衣料の洗濯にお役立ていただいております。
クリーニング分野では、濃縮液体洗剤の「エルサットコンクLF」を改良新発売いたしました。高い乳化分散作用で優れた洗浄力を発揮するとともに低泡性を実現することで、白くて衛生的なリネンの提供にお役立ていただいております。
今後ともお客様のニーズや社会的要請に対応したソリューションを提供し、ビジネスユースを通じて、衛生的な環境づくりと食の安全に貢献して参ります。
産業用品事業に関わる研究開発費は、
2024年の当社進出国・地域の市場は、前年からの成長傾向を維持しながらも、中国市場の先行き不透明感や、原材料の価格変動などの環境変化のもと、当社海外事業では、持続的な成長の実現に向けて積極的な新製品投入や製品改良を行いました。
地域別・事業別の主要な新製品・改良品は以下のとおりです。
北東アジア地域では、主にはパーソナルケア分野の更なる拡大に注力しました。オーラルケア分野では、中国にて毛先が3本に分岐しているテーパー毛を新たに使用した、歯茎にやさしい当たり心地のハブラシ「システマ Ultra Gum Care / Spiral Clean ハブラシ」を、また香港では「システマ ハグキプラスハブラシ」を発売しました。歯肉の退縮が始まる40代以上の生活者をターゲットに、ブラッシングでの歯肉マッサージ訴求が受け入れられ好調に推移しています。ビューティケア分野では、アジアに清潔・衛生習慣を広げる「キレイキレイ」ブランドから、中国にてこれまでの泡タイプに加えて液体タイプを追加しました。お客様の選択の幅を広げることで使用者を増やし、手洗いの習慣化を通じて、清潔・衛生な社会の実現に貢献して参ります。
東南・南アジア地域では、衣料用洗剤分野にて、製品剤型のポートフォリオ最適化と、パーソナルケア分野の拡大を目指した製品導入を行いました。マレーシア・シンガポールで衣料用洗剤市場をリードする「トップ」ブランドから、今後伸長が見込まれるカプセル剤型の洗剤で「TOPNANO Capsule(マレーシア)」「TOP NANOX Capsule 5Dブライトパワー(シンガポール)」を発売しました。オーラルケア分野では、当社がアジア各地で先行している薄型・ワイドヘッドの「システマ」ハブラシで、マレーシアでも「システマ・極上プレミアムハブラシ」として展開しました。ビューティケア分野では、タイのボディソープ市場のトップブランド「植物物語」から、「ハイジーンシリーズ」を追加発売しました。抗菌成分とスキンケア成分を配合して、安心安全にスキンケアできる新機軸の製品としてご好評をいただいています。23年に参入したバングラデシュ市場では、商品ラインアップを強化しました。今後の所得増加による市場拡大と、固形から液体への製品剤型変化が見込まれる台所用洗剤に「ママレモン」、化粧石鹸では「植物物語」、ハブラシで「システマ」4製品を新発売しました。いずれもライオングループがアジア各地で販売・浸透させているブランドであり、「良い習慣作り」と将来の各国共通ブランドの展開による投資効率化につなげてまいります。
海外事業では、今後も日本の技術を応用して、海外のお客様の文化、習慣、嗜好性や利便性を考慮した製品を展開して参ります。
海外事業に関わる研究開発費は、
なお、海外事業に関連する日本国内での研究開発費は、一般用消費財事業に含まれております。