文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、次の「Mission」、「Vision」、「Value」を掲げ、健全かつ公正な事業活動を通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指しております。
■Mission
可能性を解き放つ
~人の持っている可能性を信じ、自由で活き活きとした人間社会を実現する~
■Vision
世界を拡げるプロフェッショナルカンパニー
■Value
私たちのありたい姿
・「お客様」「社会」にとってのよつば
Commit as a Professional(プロフェッショナルとしてあり続ける)
・「チーム」にとってのよつば
Collaborate across Barriers(協働を加速させる)
・「一人ひとり」にとってのよつば
Color Your Own Life(自身の人生を彩っていく)
7つの行動規範
・Change 変える・変わる
・Learn 学び続ける
・Ownership 自ら決め、やり抜く
・Venture 未知に踏み出す
・Enjoy & Energize 楽しむ、活力をもたらす
・Respect 尊重する
・Surprise 「枠」を超え、心を動かす
(2) 経営環境及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループを取り巻く市場環境については、デジタル化の急速な進展や労働人口の減少等、企業や人を取り巻く環境やテクノロジーの動向に応じて常に変化していくものと認識しており、その変化はコロナ禍を経て加速しております。社会環境の変化に対応する経営のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対するニーズは底堅く、今後も、AI、RPA(Robotic Process Automation)等の業務ロボット導入や、ビッグデータを活用したデジタルマーケティングの導入など、競争力を確保するための戦略的なIT投資は堅調に推移するものと見込んでおります。当社グループでは、優秀な人財の確保及び育成に努め、サービス競争力を継続的に強化させていくことで、「デジタル時代のベストパートナー」として、顧客への提供価値の拡大を目指しております。
このような状況において、事業の成長を表す売上高の前期からの成長率である売上高成長率を重要な経営指標とし、事業運営を行ってまいりました。その結果、積極採用の継続及び2023年10月の株式会社HCSホールディングス(現 株式会社日比谷コンピュータシステム)の子会社化等により、社員1,000名規模の体制を整えることができましたが、一方で、大量採用した人員の受入・定着・育成の枠組みの整備やグループ会社間での連携強化等、当面、収益性を維持しながらの規模拡大に向けた施策が重要となるため、営業利益成長率についても、重要な指標として位置づけております。
(3) 中長期的な経営戦略
上記経営環境のもと、当社グループは、"X"(トランスフォーメーション)を総合的に支援し、デジタル時代のベストパートナーを目指しております。2025年12月期から2027年12月期を「2nd Growth Plan」期間とし、サービス競争力と従業員エンゲージメントを高め、顧客関係を強化することで、2024年12月期までの「1st Growth Plan」期間に低下した収益性の回復を図るとともに、周辺領域・海外事業の探索によって、次の飛躍の土台整備も進めてまいります。「2nd Growth Plan」期間においては、収益性の回復を優先することとし、売上高年平均成長率は10%超、営業利益年平均成長率は20%超を想定しております。オーガニック成長に加え、M&Aによる非連続的な成長についても、重要な成長戦略オプションとして、積極的に活用していく予定です。
(4) 対処すべき課題
当社グループでは、中長期的な成長の実現に向けて、既存の事業基盤及びサービス競争力の強化に対する取り組みを推進しております。一方、既存の内部統制システムの運用を徹底し、重要なステークホルダーである「株主」「顧客」「社員」の更なる満足度向上を通じて企業価値を最大化し、社会に貢献する企業となることを目指すべく、以下の項目を重要な課題として認識し、対処してまいります。
① 優秀な人財の確保
当社グループにおいて、事業規模及び事業領域の拡大には、適切な水準でサービスを提供する質の高い人財の確保が必要であり、人財が最も重要な経営資源であると考えております。今後も積極的な採用活動を継続するとともに、採用した人財に対する成長機会の提供や人事評価制度の整備改善、働きやすい環境の整備などを通じて離職率を抑制し、優秀な人財が定着化する仕組み作りを進めてまいります。
② 人財の育成強化
当社グループでは、顧客ニーズに応じて様々な提案型営業やコンサルティングサービスを提供できる質の高い人財を組織的に育成していく必要があると考えております。確保した人財に対する教育基盤(人財育成プラン)を整備するとともに、グループ会社間の人財交流やコンサルタントとエンジニアのキャリア転換機会の充実などを通じ、優秀な人財の育成に向けた取り組みを推進してまいります。
③ ブランド価値の向上と営業体制強化
当社グループが事業基盤を安定的に強化・拡大していくためには、多くのステークホルダーに信頼されるブランドを確立し、その価値を向上させていくことが必要と考えております。当社グループの目指す姿として「デジタル時代のベスト・パートナー」を掲げ、変化する社会の中で成長していく企業を支援するプロフェッショナル集団として、これまで以上に実績を積み上げていくことが重要であり、顧客の特定部門に向けた支援に閉じず、様々なレイヤー・部門・グループ会社に向けて、当社グループが有する多様な専門サービスを効率的に提供していくことができるよう、営業体制の強化を進めてまいります。
④ グループガバナンスの高度化及びグループ連携の強化
当社グループでは、事業領域の拡大及び優秀な人財の確保を主な目的として、今後もM&Aを積極的に推進していく方針です。そのような状況において、当社グループとして健全な成長を継続していくため、子会社を含むグループ全体としてのガバナンス強化並びに内部管理体制強化をこれまで以上に進めるとともに、グループシナジー発揮のため、グループ企業間の営業連携や業務インフラ整備、人事交流等の施策を推進してまいります。
⑤ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社グループでは、今後の更なる事業成長に向けて、会社規模に応じた適切な内部管理体制の整備を図るために監査等委員会設置会社を選択しております。今後も、運用面の徹底を推進し、実効性のある、効率的かつ信頼性の高い組織基盤を構築・運用してまいります。また、企業価値の更なる向上のため、経営課題としてガバナンス強化に取り組んでおり、コーポレートガバナンス・コードに準拠して取締役会の監督機能を強化し、経営の透明性を高めるとともに、意思決定の迅速化を実現してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、「可能性を解き放つ」というミッションを掲げ、行政組織・企業・NGO・NPO・個人というクライアントの「変革を支え、成長を分かち合い、未来を創ること」に取り組んでいます。各クライアントが解決を目指す社会課題は多様で、大小も様々ですが、プロフェッショナルとして、クライアントの変革・成長・創造を支援することで、社会全体の持続可能性を高めていくため、レンガを一つずつ積み重ねていくことが重要であると認識しております。あらゆる組織と個人の可能性を解き放つ、という事業を永く広く提供していくためには、プロフェッショナル人材が世界中にあふれ、そうした人材に選ばれる組織であることが大切と考えております。そのために、現在所属しているプロフェッショナルのみならず、あらゆるセクター、あらゆる年代の人々の可能性を信じ、そのポテンシャルが十分に発揮できるよう、様々な活動を展開してまいります。
当社グループでは、サステナビリティについて、事業体としての競争優位性と、企業体としての社会の中での存続正当性の両面から強化していくことが重要であると考えております。ESGとビジネスを両輪とし、中長期的な企業価値向上を目指す中で、併せてクライアントのSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を推進することで、クライアントを通じた間接的な社会貢献も追求しています。
(競争優位性)
競争優位性確保のため、下記の資本蓄積を進め、「プロフェッショナル・カンパニー」化を進めます。
・人的資本
性能資本:知識・スキル、経験、資格等
性質資本:態度・意欲、価値観、才能・資質等
・組織資本
構造資本:知的財産、事業モデル、事業ポートフォリオ、業務プロセス等
関係資本:クライアント、ネットワーク、チームワーク、ブランド等
意味資本:風土・文化、スタイル、経営理念(MVV)等
(存続正当性)
社会に貢献していく領域を「人財」と定め、下記項目を通じ、事業存続基盤を守り、社会における存続正当性を高めます。
・個人
健康:健康経営
能力:知識創造経営
・関係性
影響力:全員リーダー経営
公平:DE&I経営
意味・意義:理念経営
当社グループでは、上記の考え方に基づき、「Mission」「Vision」「Value」のもと、健全かつ公正な事業活動を通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指しております。この方針を実現するための基盤として、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要な基盤と位置付けております。サステナビリティの追求は当社グループにおける事業そのものであり、サステナビリティ経営を推進するための専任組織は設けておりませんが、コーポレート・ガバナンスの充実・高度化を図りながら、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織体制を構築し、運用しております。
なお、詳細は、「
当社グループの事業は、コンサルティング及びシステム開発を基軸としており、適切な水準でサービスを提供する質の高い人財が、最も重要な経営資源であると考えております。そのため、以下の「人事理念」を根幹に据え、人財の採用及び育成を中心とした人的資本への投資を行っております。
(人事理念)
~個人のあり方~ 「自律」「自立」:プロフェッショナルとして、主体性を発揮する
~組織のあり方~ 「自由」「公正」:ダイナミズムと安心・共感を両立する
~関係性のあり方~「信頼」「尊重」:組織メンバーとして、お互いの多様性を尊重する
具体的な施策については、競争優位性と存続正当性の交点を以下のマテリアリティ(重要課題)として設定し、重点的に取り組みを進めることにより、持続可能な人的資本経営を実現してまいります。
■[性能資本×能力]→[人財育成]
成長の主体は本人であり、成長しようとする個人を会社が支援する「ラーニングマインド・ファースト」を大切にしています。多様な経験を積むことを可能とし、本人の決断をサポートする、メンバーシップ型とジョブ型を組み合わせた形式のキャリアパス、知識獲得・技術習得の側面と自己啓発・自己実現の側面を考慮した学びの支援(階層別研修、テーマ別研修、自己啓発支援/資格取得支援等)、個人に主眼を置き、能力及び目標達成までのプロセス評価を通じて本人の納得感を追求する評価制度等を整備し、運用しております。
[性質資本×健康]→[健康経営]
労働集約型のビジネスモデルであり、過重労働・ストレス過多に陥りやすい事業上の特性と、従業員の多くが20代でありキャリアにおける自己基盤が脆弱な社員が多いという組織上の特性を踏まえ、ワークスタイル変革や食事・睡眠・運動改善、病気予防・健康啓発等の取り組みを進め、健康経営優良法人の認定を受けております。
[構造資本×能力]→[ナレッジ・マネジメント]
事業上の競争力の源泉は組織としてのナレッジにあり、組織的規模とナレッジの創出力は比例すると考えております。意味のある規模的成長のためには、組織内にナレッジを還流する仕組みが不可欠であり、情報基盤の整備(社内Wiki、アーカイブス、社内ポータル等)、ナレッジの形式知化(PJ事例共有、論文/研究成果の公開等)、トランザクティブメモリー構築(社内勉強会、交流会等)などの取り組みを進めております。
[構造資本×公平]→[コンプライアンス]
「経営-従業員-顧客・取引先・社会」が、人と人との直接的な信頼関係に支えられている事業・組織であるため、信頼関係の基盤であるコンプライアンスを重視しております。コンプライアンスに関する方針として、コンプライアンスファースト(法令遵守と社会含めた全関係者の期待を裏切らないことを最優先にする姿勢)を掲げております。社内外に各種通報窓口を設置するとともに情報提供があった場合の対応プロセスも明文化し、コンプライアンス意識の醸成を進めております。
[関係資本×影響力]→[リーダーシップ]
多様な課題に対する組織としての対応力向上のため、リーダーシップのあり方を個人と組織の視点で整理しております。個人の視点では、テーマやメンバー等の多様性に対しリーダーシップを変えながらも、自己規律や情熱等、多様性に対しても変わらない自分らしさを持ち続けること、組織の視点では、市場や技術等の複雑性に対しリーダーを変えながらも、ミッションやビジョン、文化風土等、複雑性に対しても変わらない自社らしさを持ち続けることができるよう、意識の向上に努めております。
[意味資本×公平]→[DE&I]
複雑な時代・世界にあって、アジリティを持ったダイナミック・オーガニゼーションであるために、またあらゆる個人と組織の「可能性を解き放つ」というパーパスに照らしても、多様性を大切にしています。全ての人財が活躍できる会社を目指す施策の一環として、障がいを持つ社員を雇用し、農園「よつば彩園」を運営しております。障がいを持つ社員は、当社グループにとっての4枚目の葉(もう1枚加わることで、三つ葉に質的変化をもたらす存在)であり、当社グループにとっての彩・ひかり(社会と組織を照らし、豊かさと美しさをもたらす存在)であると考えています。
[意味資本×意味・意義]→[理念経営]
「Mission」、「Vision」、「Value」を経営の中心に据え、会社と社員の価値観を共有することで、組織としての一体感や行動の一貫性を確保するとともに、強いブランドを確立していくことを目指し、研修や日々の業務を通じて、社内に浸透を図っております。
当社グループにおけるサステナビリティに関するリスクについては、グループ内部監査室によるリスクマネジメント活動の中で検討・評価し、管理しております。
リスクマネジメント活動では、対処すべきリスクとリスクが顕在化する原因及びそれに対するコントロールを特定し、リスクの顕在化及び顕在化の兆候を測定する指標のモニタリングを通じて、リスクの顕在化を防ぐコントロールの定期的な見直しを行っております。
当社グループにおけるCO2排出量は、下記の通りとなっております。
事業活動を通じた直接排出量であるScope1は、排出量実質ゼロとなっております。
事業活動を通じた間接排出量であるScope2は、人員増に伴うオフィス増床やコロナ禍を経た出社率の上昇等もあり、オフィスにおける電力消費量が増加しておりますが、赤坂オフィスでは再生可能エネルギー由来の電力を導入するなど、排出量削減に向けた取り組みを推進しております。
サプライチェーンでの事業活動における排出量であるScope3は、排出量ゼロとなっております。
当社グループでは、上記の他、サステナビリティに特化した指標及び目標は定めておりませんが、コンプライアンス及び倫理、ダイバーシティ、組織文化、健康・安全・幸福、採用・異動・離職、スキルと能力といった人財に関する各領域別に情報の可視化を進めており、今後、戦略に基づく指標及び目標の設定を進めてまいります。
人的資本への投資という観点では、適切な水準でサービスを提供する人財が最重要の経営資源であるとの認識のもと、採用力の向上、企業内研修の充実、人事評価制度の改善、働きやすい環境の整備等、上記の戦略に基づく各種取組みを推進し、社員のエンゲージメントを高め、企業価値の増大を目指します。
なお、女性管理職比率、男性育休取得率及び男女賃金差については、
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を、以下に記載しております。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合における当該リスクによる影響の最小化に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、記載事項における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループに関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
(1) 事業環境に関するリスク
① 市場環境の変化について
当社グループは、プロフェッショナルサービス事業において、ビジネスプロセスマネジメントに関する知見及び実績を起点として、コンサルティング及びデジタル活用サービスを変革テーマに応じ、組み合わせて提供しています。ビジネスプロセスマネジメントに係る取り組みを推進する上で、ビジネスモデルの変革と共に、進化を続けるテクノロジーの利用は不可欠となっており、今後も企業のIT投資マインドは高水準で推移することが見込まれますが、国内外の経済情勢や景気動向の悪化、予期せぬ要因による市場拡大の阻害といった状況が生じた場合には、新規顧客開拓の低迷や既存顧客からの受注減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループが手掛けるプロフェッショナルサービス事業は、一部コンサルティング領域について大手コンサルティング会社やSIer(システムベンダー)と競合する可能性はあるものの、基本的には各ベンダーに対して中立な立場でサービスを提供できる会社として独自のポジションを確立しているため、競合する要素は少ないものと考えております。また、プラットフォーム事業についても、掲載される案件やエンジニア等の情報は他のクラウドソーシングサービス等が扱う領域と異なることから、競合の要素は少ないものと考えております。しかしながら、今後、他社がノウハウを蓄積し、当社グループが提供するサービス領域での競合となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定の取引先への依存について
当社グループの売上について、販売比率(当連結会計年度における連結売上高に占める割合)が売上高全体の10%に近い水準となっている取引先があり、売上高に占める特定の取引先への依存度が高くなっております。当社グループでは、特定の取引先への依存による業績に対する影響を緩和するため、営業力を強化し、積極的な営業活動による新規顧客等の獲得を通じて、営業基盤の拡大に努めて参ります。
しかしながら、当該特定の取引先における経営方針や業績の変化等によって、契約が想定外に短期間で終了した場合や、取引先の意向により規模縮小等の契約変更を余儀なくされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営に関するリスク
① 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長執行役員である樺島弘明は、当社設立メンバーの1人であり、最高経営責任者として経営方針や事業戦略の立案・決定及び事業推進において重要な役割を果たしております。
当社グループは、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により、同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 優秀な人財の獲得及び育成について
当社グループにおいては、人財が最重要経営資源であり、今後の企業規模拡大に向けて、当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人財を継続的に採用し、育成していくことが重要であると考えております。
しかしながら、IT・コンサルティング業界における人財の争奪戦は激しさを増しており、優秀な人財の採用・確保及び育成が計画通りに進まない場合や、優秀な人財の社外流出が生じた場合、人財採用に係るコストが高騰した場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、顧客に提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
③ 外注先の確保について
当社グループのプロフェッショナルサービス事業においては、一部の業務を、専門性や経済性等を考慮して選定した適切な外部協力会社に委託しております。プロジェクト成功のためには、信頼感のある外部協力会社から、タイムリーに支援を受けることのできる体制を構築しておくことが重要です。
現状では、外部協力会社とは安定的な取引関係を保っておりますが、外部協力会社による品質トラブルが発生した場合や必要なコンサルタント数を適切に確保できない場合、外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 不採算案件(プロジェクト)について
当社グループのプロフェッショナルサービス事業においては、各プロジェクトについて想定される難易度及び工数に基づいて見積りを作成し、適正な利益率を確保した上で、プロジェクトを受注しております。受注後は、想定工数に乖離が生じないよう、要員管理・進捗管理・予算管理等のプロジェクト管理を行っておりますが、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により工数が大幅に増加し、不採算案件が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システムトラブルについて
当社グループのプラットフォーム事業における「アサインナビ」サービスは、インターネットを介して顧客に提供されております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備の増強やセキュリティ機能の強化、社内体制の整備等を行っておりますが、大規模なプログラム不良やアクセス数の急激な増加に伴う負荷の増加、不正アクセス、自然災害及び予期し得ない事故、その他何らかの要因により大規模なシステム障害が発生した場合には、サービス利用者との信頼関係に悪影響が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 情報セキュリティリスクについて
当社グループでは、サービス提供にあたり、顧客の機密情報や個人情報を受領することがあるため、役員及び従業員に対し、守秘義務の遵守、機密情報や個人情報の情報管理を徹底しております。
しかしながら、何らかの要因によってこれらの情報が外部に漏えいしたり、改ざん・不正使用等の問題が生じたりした場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、損害賠償等の対応費用を含め、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的規制に関するリスク
① 一般的な法的規制について
現在、プロフェッショナルサービス事業及びプラットフォーム事業のいずれにおいても、事業運営に関する特有の法的規制はありません。しかし、新しく法的規制が制定された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性、及び事業展開のスピードに悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、プロフェッショナルサービス事業において提供しているサービスには、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業に該当するものがあり、当社は、労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣より「労働者派遣事業の許可」を受け、これを実施しております(許可番号:派13-301883、有効期間:2024年8月1日から2029年7月31日まで)。
労働者派遣法では、派遣元事業主が許可の欠格事由に該当した場合には、事業の全部又は一部の停止を命じることや、許可の取り消し等ができる旨を定めております。現時点で、当社が労働者派遣法に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後、何らかの理由により、当社又は当社の役員が労働者派遣法に抵触した場合、当社の事業活動に支障をきたすことが予想され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について
プラットフォーム事業において提供している「アサインナビ」サービスにおいて使用する商標、ソフトウエア、システム等について、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。今後も、権利侵害を回避するため監視・管理等を行っていく方針でありますが、プラットフォーム事業の事業分野において、当社グループとして認識していない知的財産権が既に成立している可能性、又は新たに第三者による著作権等が成立する可能性もあります。その場合、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定され、そのような事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他のリスク
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役及び従業員に対して、財政状態及び経営成績向上に対する意欲を高めることを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。新株予約権が権利行使された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、2024年12月末日現在、新株予約権による潜在株式数は158,400株であり、発行済株式総数4,657,375株の3.4%に相当しております。
② 融資契約における財務制限条項について
当社グループは、事業資金の一部を銀行等の金融機関から融資契約や当座貸越契約等により調達しておりますが、一部の融資契約には、財務制限条項が付されております。今後、金融情勢の変化や事業環境の変化、不祥事等による社会的信用の失墜等により資金調達が困難となった場合、もしくは資金調達コストが大幅に増加した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 企業買収及び資本参加について
当社グループは、デジタルシフトや生産性向上を実現するテクノロジー企業との事業連携強化や事業規模拡大による市場競争力強化を通じた企業価値の向上に向けて、必要に応じて企業買収及び資本参加を含む投資を実施することがあります。実施に当たっては、市場動向や顧客ニーズ、相手先企業の業績や財務状況、技術力や収益性及び投資の回収可能性に関する十分な調査及び検討を行いますが、買収後の市場環境や競争環境の急激な変化、想定外の事態の発生等により、期待した利益やシナジー効果を確保することができず、投下した資金が回収できない場合や追加的費用が発生した場合等において、投資有価証券評価損及びのれんの減損等多額の損失が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、2023年10月23日に行われた株式会社HCSホールディングス(現株式会社日比谷コンピュータシステム)との企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善が進み、個人消費は一部に足踏みが残るものの、緩やかな回復基調で推移しました。一方、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場停滞の影響等、海外景気の下振れが我が国の景気の下押しリスクとなっており、中東地域をめぐる情勢や世界的な物価上昇、金融資本市場の変動リスク等、先行きには不透明感が漂う状況が続いております。
当社グループの主たる事業領域である情報サービス産業においては、社会環境の変化に対応するためのデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みやAIの利活用を中心に、社内における変革活動を側面支援するサービスへのニーズは引き続き高く、多様化するプロジェクト支援に関する需要も底堅く推移いたしました。
このような経営環境のもと、当社グループは、顧客のビジネスアジリティの獲得・強化を支え、デジタル時代の経営・事業・組織運営を支援する「デジタル時代のベストパートナー」を目指し、個社の変革やDXを支援するプロフェッショナルサービス事業及びIT業界全体の協働促進基盤の提供を通じて企業のIT人材不足を解消するプラットフォーム事業を展開してまいりました。プロフェッショナルサービス事業では、グループ会社の組織再編により意思決定スピードの向上とオペレーションの効率化を図り、グループ会社間のシナジー創出に向けた活動を展開するとともに、引き続き人材の採用及び育成活動にも注力し、サービス提供能力の更なる拡大に向けた取り組みを推進いたしました。プラットフォーム事業では、「プロフェッショナルハブ」を中心とする既存サービスの拡大に加え、クラウドビジネスにおけるサブスクリプション型プラットフォームの導入・活用支援サービスの展開にも注力しました。また、一部の不動産及び投資有価証券の売却を進め、グループ全体としての経営資源の有効活用及び財務体質の強化を推進しました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高16,592百万円(前期比35.5%増)、営業利益1,107百万円(前期比55.5%増)、経常利益1,069百万円(前期比42.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益973百万円(前期比114.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(プロフェッショナルサービス事業)
プロフェッショナルサービス事業では、IT部門を取り巻く環境が変化する中、旺盛なDXに関するニーズが追い風となり、ビジネスプロセスマネジメントを活用した業務の可視化・改善を強みとする従来型のコンサルティング案件(業務分析・設計、IT導入支援・現場展開)の受注は堅調に推移いたしました。伊藤忠商事株式会社とのDXプロジェクト管理アプリケーションの共同開発実施、太陽石油株式会社におけるERP刷新プロジェクトの推進、シーアイ・ショッピング・サービス社(伊藤忠商事グループ)の顧客管理システム開発等、先進企業における支援実績を増やすとともに、変化に強い組織を作る「アジャイル開発支援サービス」の提供本格化や、GX(Green Transformation)支援等を行う子会社として設立した株式会社ME-Lab Japanによる新たな気候リスク評価指標開発の共同研究など、提供サービスの拡充に向けた活動にも、積極的に取り組みました。また、生成AIを最大限に活用する「Copilot for Microsoft 365による変革支援」の提供開始、花王株式会社との協働による生成AI(LLM:大規模言語モデル)に関するハッカソン開催、データから因果関係の推定を素早く行うコーザルAIを開発する株式会社ヴェルトとのパートナーシップ契約締結など、先端領域における知見を活かしたサービスの開発・提供も推進しました。
この結果、プロフェッショナルサービス事業の売上高は14,883百万円(前期比35.6%増)、セグメント利益(営業利益)は1,031百万円(前期比59.3%増)となりました。
(プラットフォーム事業)
プラットフォーム事業では、IT業界に特化した、ビジネスマッチングと学びの場を提供するプラットフォームである「アサインナビ」の会員数は、2024年12月31日現在で法人・個人を合わせ14,223会員(前期末比795会員の増加)となり、順調に成長を続けております。会員基盤の拡大に伴う「アサインナビ」及び「プロフェッショナルハブ」によるマッチングや会員向けサービスの実績増加に加え、サブスクリプション型ビジネス支援ソフトウェア「AXLGEAR」を開発・提供するAXLBIT株式会社との協業による「サブスクリプションビジネス変革支援サービス」の展開、領域特化型IT事業者交流会の開催等により、IT事業者とプロフェッショナル人財とのつながりをベースとするプラットフォームサービスが順調に拡大しました。また、営業・管理体制の見直しも行い、既存サービスの更なる収益拡大に向けた体制強化を推進しました。
この結果、プラットフォーム事業の売上高は2,237百万円(前期比13.7%増)、セグメント利益(営業利益)は76百万円(前期比18.3%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて1,598百万円増加し、5,439百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、固定資産売却損益567百万円、売上債権の増減額195百万円、未払金の増減額171百万円等がありましたが、税金等調整前当期純利益の計上1,459百万円、投資有価証券評価損益208百万円、減価償却費162百万円、のれん償却額137百万円等により、816百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入2,100百万円等により、2,137百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入600百万円、短期借入れによる収入450百万円等がありましたが、長期借入金の返済による支出1,671百万円、短期借入金の返済による支出690百万円等により、1,355百万円の支出となりました。
当社グループが行う事業では、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。
当社グループが行う事業では、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積りを行っている部分があり、これらの見積りについては不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は11,402百万円となり、前連結会計年度末に比べ574百万円減少しました。これは、主に土地が1,318百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
負債は6,835百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,522百万円減少しました。これは、主に長期借入金が1,071百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
純資産は4,566百万円となり、前連結会計年度末に比べ947百万円増加しました。これは、主に利益剰余金が980百万円、資本金が25百万円、資本剰余金が26百万円増加し、自己株式が93百万円増加したことによるものであります。自己資本比率は、39.1%となっております。
③ 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は16,592百万円となり、前連結会計年度に比べ4,349百万円増加いたしました。これは、主に、プロフェッショナルサービス事業において既存顧客を中心に受注が堅調に推移したこと、プラットフォーム事業において主力のプロフェッショナルハブにおける取引規模が順調に拡大したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の売上原価は10,689百万円となり、前連結会計年度に比べ2,719百万円増加いたしました。これは、主に、プロフェッショナルサービス事業において、コンサルタント及びエンジニアの採用により人件費が増加したこと及び適切な要員を確保するため外注加工費等のコストが増加したことによるものであります。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,795百万円となり、前連結会計年度に比べ1,234百万円増加いたしました。これは、主に、従業員の増加に伴い人件費及び採用費が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は1,107百万円となり、前連結会計年度に比べ395百万円増加いたしました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は136百万円となり、前連結会計年度に比べ48百万円増加いたしました。これは、主に、2023年10月に子会社した株式会社HCSホールディングス(現株式会社日比谷コンピュータシステム)による不動産賃貸料が通年計上されたことによるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は175百万円となり、前連結会計年度に比べ123百万円増加いたしました。これは、主に、持分法による投資損失が増加したこと及び2023年10月に子会社化した株式会社HCSホールディングス(現株式会社日比谷コンピュータシステム)による不動産賃貸費用が通年計上されたことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は1,069百万円となり、前連結会計年度に比べ320百万円増加いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は599百万円(前期は計上なし)となりました。これは、固定資産売却益及び投資有価証券売却益によるものであります。
当連結会計年度の特別損失は208百万円(前期は計上なし)となりました。これは、投資有価証券評価損によるものであります。
当連結会計年度の法人税等合計は488百万円となり、前連結会計年度に比べ185百万円増加いたしました。これは、法人税、住民税及び事業税の増加に伴うものであります。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は973百万円となり、前連結会計年度に比べ518百万円増加いたしました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営方針に従い、優秀な人財を獲得・育成し、収益性を維持・向上しながら事業規模の拡大を目指しております。
当社グループでは、事業の成長性を見る売上高成長率及び収益性を維持しながらの規模拡大となっているかを見る営業利益成長率を主要な指標として経営を行っております。当連結会計年度における前年度からの売上高成長率は35.5%、営業利益成長率は55.5%となり、順調に事業成長しております。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、人件費や外注加工費等の運転資金、オフィス賃料や人材確保のための採用費等の営業費用であります。これらの資金需要に対し、営業活動によるキャッシュ・フローや金融機関からの借入金等により必要となる資金を調達しており、資金の流動性は十分に確保されております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。