第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 2024年は訪日外国人客数が回復傾向にあり、12月には単月で248万人に達しました。当社グループの宿泊施設でも、旺盛なインバウンド需要を背景に売上が増加し、当連結会計年度の売上高は前期を上回る8,377百万円(前期比14.6%増)となりました。営業利益は501百万円(前期は営業損失93百万円)、経常利益は248百万円(前期は経常損失195百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は108百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失149百万円)と、大きく改善しました。新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に落ち着く中、従業員一人ひとりの努力のおかげで非常によい成果が得られました。

 私たちの目指す未来への道のりは続いています。2025年は、これまで培ってきたものを開花させる飛躍の年と位置づけています。次期中期経営計画のスタートに備え、その第一歩として、日本初上陸となるIHGホテルズ&リゾーツの新ブランド「Garner」の3ホテル(Garner Hotel 大阪本町御堂筋・Garner Hotel 大阪本町北船場・Garner Hotel 大阪本町駅)の運営を受託し、大阪市中央区に開業しました。さらに、3月には香港のDorsett Hospitality International社と業務提携した国内初の「Dorsett by Agora大阪堺」も開業します。これらのプロジェクトは、海外ブランドとの本格的な提携を示す象徴的な取り組みであり、新市場の開拓を意味します。海外ブランドホテルとの協業による新規開業は、ブランド力強化と国内外での存在感向上の大きなチャンスです。

 こうした動きを踏まえ、新たな中期目標として「5年で30ホテル」を掲げます。この数値は単なる目標ではなく、ブランド拡大と市場競争力強化の指針です。その実現には、アゴーラ単独ブランドの成長に加え、海外ブランドホテルとの提携を加速させることが不可欠です。一方で、不採算や効率面での課題もあります。これらを放置せず、業務改善を進めることが今年の重要なテーマです。また、新型コロナウイルス感染症の影響による休業期間に発生した負債が依然として存在しており、その解消には一定の期間を要すると考えています。

 また、アゴーラ ホテル アライアンスは、人材を成功の鍵と捉え、「おもてなし」の心を育むことに力を入れています。 彼らは、「おもてなし」とは、他人の気持ちになって考えることだと考えています。 そのために、従業員一人ひとりが成長できるような様々な取り組みを行っています。具体的には、従業員のスキルアップを支援するための研修プログラムや、新入社員がスムーズに職場に溶け込めるようにサポートするメンター/バディ制度などを導入しています。 また、従業員同士のコミュニケーションを活性化し、働きやすい環境を作ることで、定着率の向上を目指しています。さらに、多様な人材を獲得するために、従来の採用活動に加え、SNSや業界特化の求人サイトを活用したり、社員紹介制度を導入したりしています。 また、柔軟な働き方を推進し、従業員のキャリアアップを支援することで、個々の成長を促しています。アゴーラ ホテル アライアンスは、このように人材育成と採用に積極的に取り組むことで、お客様に最高の「おもてなし」を提供し、持続的な成長を目指しています。

 私たちは、成長と改善を両輪として進め、持続可能で力強い組織へと進化していきます。積極的に挑戦することで、会社全体の飛躍につなげたいと考えています。今年も「挑戦」と「成長」をキーワードに、さらなる成長と変革の年にしてまいります。

 その他投資事業においては、引き続き想定されるリスクをコントロールしたうえで業績向上に寄与するよう努めてまいります。マレーシアの霊園事業につきましても現地と密接なコミュニケーションをとり、リスクをコントロールするとともに契約の獲得をすすめてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社は、社長直轄の諮問機関である「Ex-com」を設置し、業務執行をおこなう取締役及び各部門の責任者で構成しています。詳細は、「有価証券報告書4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご確認ください。この「Ex-com」は、当社の全社的な課題、あるいは自部門における課題を共有し、その経営課題の対応方針や方向性を議論・検討することを目的としています。また、「Ex-com」の中に専門的な分科会として「サスティナビリティ委員会」を設置し、気候変動を含むSDGsに関連するリスク及び機会への取り組みの検討等を行っています。

 

(2)戦略

 世界中の国や企業が目標達成に向けて取り組んでいるSDGs[Sustainable Development Goals]持続可能な開発目標は、2030年まであと10年を切り、具体的に取り組むことは、企業としての使命であり、社会的責任でもあります。気候や資源、未来のために当社グループとして、どう貢献していくかを真摯に考え、「Ex-com」において、長期的な視点で、環境(Environment) 社会(Social) ガバナンス(Governance)に配慮したESGを推進しSDGの目標達成に取りくむ当社のマテリアリティを以下のとおり定めております。

 

・ECO CO2削減

・地域貢献 社会福祉活動

・安心安全 人材育成

・地球環境を守る取り組み

・新たな価値創造と地域社会との共生

・見える化で信頼を高め企業の価値創出

 

 当社グループは、旅行・観光業を通じて、お客様、パートナー、そしてすべてのステークホルダーと協力し、イノベーションを生み出し、未来の社会に貢献しています。世界共通の目標であるSDGsと、日本の伝統や文化、そして「美しい自然、美しい四季、美しい景色、美しい日本」という理念を融合させることで、私たちは持続可能な社会の実現を目指しています。具体的には、地域と環境の調和を図りながら、雇用と事業を創出し、人々を結びつけ、「自由で持続可能な旅」を提供することで、未来の社会に貢献していきます。COVID-19の影響を受けた4年間を経て2023年以降、状況は安定し、日本は再び海外からのお客様を迎えることができるようになりました。

 私たちは、「美しい日本のコレクション」をすべてのお客様に提供するというビジョンのもと、不動産の景観を再構築し、素晴らしい空間を創造することで、お客様と従業員にインスピレーションを与えています。そのために、気候変動の影響を含めたサステナビリティへの取り組みを重要な課題と捉え、成長戦略とリスク軽減を両立させてきました。将来の予測は困難ですが、現時点で把握できる情報を最大限に活用し、長期的な視点に立った成長戦略を策定し、段階的に準備を進めていくことが重要です。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行という厳しい時期においても、当社は事業の見直しと新たな展開を積極的に行いました。具体的には、アゴーラ金沢と今井荘の2施設を閉鎖する一方で、アゴーラ東京銀座、アゴーラ京都烏丸、アゴーラ京都四条、ONE@Tokyoの4施設を新規オープンしました。これは、外部環境の変化をチャンスと捉え、厳しい時期にも関わらず優良な資産を獲得、収益性の高いプロジェクトに資本を再投資といった戦略を実行した結果です。これらの戦略によって、2024年度には安定したキャッシュフローと資本の増加を実現し、投資収益を大幅に向上させました。

 

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、最新の報告書(IPCC第6次評価報告書)において、「地球温暖化の主な原因が人間活動である可能性が極めて高い」と結論づけています。旅行・観光業は世界のGDPの10%以上を占める一方で、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の8~11%を占めていると推定されています(World Travel & Tourism Council「A NET ZERO ROADMAP FOR TRAVEL & TOURISM」、2021年11月)。当社は、旅行・観光業に携わる企業として、地球温暖化ガス排出量の削減に取り組む責任は大きいと考えています。そのため、日本政府が表明している2050年までの「ネットゼロ目標」を共有し、その達成に向けた取り組みを推進していきます。

 サステナビリティに関するもう一つの重要な課題は、事業所を設置している地域社会への貢献です。特に宿泊事業においては、地元との持続的な関係づくりが重要です。当社では、ホテルの新規開業をその地域への贈り物と捉え、ホテルにリボンを模したデコレーションなどを施しています。ホテルと地元が密接につながることで、観光振興、宿泊利用の促進、そして地域の人材確保にも繋がると考えています。現在、大阪府堺市で建設中のホテル(大浜北町プロジェクト)は、堺市所有の土地を借りて開発を行っており、堺市の旧港活性化プロジェクトの一環として位置付けられています。緑化計画なども堺市と連携して進めています。中世以降、国際貿易の中心地として栄えた旧堺港の活性化に貢献するため、堺市や関係者とともに、人の賑わい創出に協力し、ホテル利用促進と人材確保を目指します。さらに、ホテルの従業員が地元の調理師学校などで料理技術の講義を行う取り組みも進めています。これは、次世代の料理人を育成し、当ホテルへの就職希望者の興味関心を高めることを目的としています。

 次に、当社は、人材の育成に関して注力しております。その人材育成と職場環境整備に関する方針は以下のとおりです。

 

1. 人材開発

個人の成長支援

・キャリアビジョンとキャリアプランの設定(人材開発部門がサポート)

 ・専門知識・能力向上のための研修制度

 ・資格取得支援制度

・モチベーション向上

 ・月次・年次表彰

 ・会社の目標・個人の課題達成と連動したキャリアアップ

・今後の目標

 ・個人の強みと弱みを明確に把握した上での研修実施

2. 前向きな職場環境

・多面的なトレーニング、スキルアップ、人事評価のプロセス

・会社の目標に沿った人材配置

・長期的に働ける快適な職場環境

・女性の昇進・昇給、管理職後継者の育成

 

 エネルギッシュで活動に満ちた不動産・ホスピタリティ業界において、卓越性は成功の鍵です。組織や文化の壁を越え、業界に大きな影響を与えることは容易ではありません。しかし、私たちは常に卓越性を追求し、あらゆる状況において最善の結果を目指します。ホスピタリティビジネスにおいて、最も重要なのは「人」です。従業員のチームワークと仕事への献身こそ、卓越した業績を達成し、より強い企業へと成長するための原動力となります。そのため、人材の拡充と人材への投資が不可欠です。グローバルな視野と知識を持ちながら、温かい心を持ち、アットホームで質の高いサービスを提供できる人材の育成に注力していきます。

具体的には、

・新入社員研修、フォローアップ研修、アライアンスホテル間の交流研修

・業務遂行に必要な専門知識・能力向上のための研修

・必要な資格の取得を支援する制度

・全社員を対象とした月次・年次表彰制度

などを実施しています。

 人事評価制度では、会社目標に対する計画や個人業務の達成プロセスを評価し、昇給・昇格によるキャリアアップを促進しています。今後は、上司と部下が互いの強みと弱みを理解した上で研修を実施できるよう改善していきます。これらの多面的な研修、スキルアップ支援、人事評価プロセスを通じて、社員のキャリアプランを支援し、会社の目標に合った人材配置に努めます。また、働きやすい職場環境を整備することで、社員が長く働き続けられる環境をつくり、女性の昇進・昇給や管理職後継者育成を促進していきます。

 

(3)リスク管理

 当社は、気候関連のリスクと機会を評価するため、IPCCの第6次評価報告書(AR6)に基づき、4つの代表濃度経路(RCP)シナリオ(RCP8.5、RCP6.0、RCP4.5、RCP2.6)を参考にしています。物理的リスクの評価には、RCP4.5シナリオを主要なシナリオとして採用しました。これは、現在の各国の政策や技術の進展を考慮すると、中長期的には温暖化が進行し、物理的リスクが高まる可能性が高いと判断したためです。移行リスクの評価には、国際エネルギー機関(IEA)の公表しているシナリオのうち、 Announced Pledges Scenario(APS)とNet Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)を主要なシナリオとして採用しました。

・4℃シナリオ(RCP4.5シナリオに相当)

 現在の各国政府の政策が継続すると仮定した場合、移行リスクは短期的に顕在化する可能性は低いものの、中長期的には温暖化の進行により、物理的リスクが高まると予測されます。

 ・平均気温の上昇、海面上昇、降水量の増加による洪水や高潮などのリスクが高まる。

 ・都市部におけるヒートアイランド現象の悪化が予測される。

 ・ゲリラ豪雨や線状降水帯の発生頻度増加による内水氾濫のリスクも高まる。

・2℃シナリオ(RCP2.6シナリオに相当)

 世界全体で急速に脱炭素化が進むシナリオであり、短期的に低炭素化への対応コストが増加する可能性があります。一方で、将来的な物理的リスクは4℃シナリオと比べて低くなると予測されます。

 ・再生可能エネルギーの導入が拡大する。

 ・省エネルギー技術が進展する。

 ・炭素税導入などの政策が実施される。

 

1)宿泊事業

 当社の主力事業である宿泊事業は、ホテル不動産と密接に関わっており、気候変動による影響を大きく受けると考えられます。IPCCのシナリオに基づき、4℃シナリオと2℃シナリオにおけるリスクと機会を分析します。

・4℃シナリオ(RCP4.5)

 概要:現在の各国政府の政策が継続し、緩やかな脱炭素化が進むシナリオのもと、中長期的に温暖化が進行し、物理的リスクが増大します。

 ・不動産への影響:

  ・大型台風や豪雨による被災リスクが増加し、ホテルの災害対策が不可欠になります。

  ・気温上昇による資産の劣化やエネルギー効率の悪化が進みます。

  ・水害リスクの高い不動産の売却やポートフォリオの見直しが必要になります。

 ・宿泊運営への影響:

  ・光熱費の高止まりや電力需要の増加により、運営コストが増加します。

  ・水害による営業日数や利用者数の減少が発生します。

 ・不動産オーナー/金融機関への影響:

  ・水害リスクの高い物件の運営コストが増加します。

  ・低炭素化が投資判断に大きな影響を与えません。

・ 2℃シナリオ(RCP2.6)

 概要:世界全体で急速に脱炭素化が進むシナリオです。短期的に移行リスクが高まりますが、長期的な物理的リスクは抑制されます。

 ・不動産への影響:

  ・炭素税の導入により、エネルギー費用が増加します。

  ・グリーンビルディングへの投資や省エネ改修が促進されます。

  ・ZEB/ZEHの拡大と改修に対する助成金が増加します。

 ・宿泊運営への影響:

  ・エネルギーコストが増加しますが、省エネ化により効率が向上します。

  ・環境意識の高い顧客が増加し、ゼロCO2旅行の需要が高まります。

 ・不動産オーナー/金融機関への影響:

  ・物件の環境性能やGHG排出量削減の取り組みが投資判断の重要な要素となります。

  ・古い不動産の省エネ改修が進み、投資回収が見込めない物件は売却されます。

 

・物理的リスクの詳細

 RCP4.5シナリオでは、平均気温の上昇、海面上昇、降水量増加により、洪水や高潮のリスクが高まります。特に、都市部では内水氾濫のリスクが増大し、ホテル施設への浸水被害や営業停止などの影響が懸念されます。当社グループは、ハザードマップによるリスク評価や自治体との連携強化により、これらのリスクに対応します。

・移行リスクの詳細

 平均気温の上昇による電力消費量の増加や、炭素税、カーボンプライシングの導入により、エネルギー費用が増加する可能性があります。感染症リスクの増大も、宿泊事業に大きな影響を与える可能性があります。

 

・事業インパクトの評価

 各シナリオにおける事業インパクトを評価するため、以下の項目について試算式を用いて定量的な分析を行ってまいります。

 ・売上高への影響:

  ・異常気象による収入減

  ・避難需要による収入増

  ・感染症による収入減

 ・費用への影響:

  ・炭素税の増減

  ・エネルギー価格の増減

 ・純利益への影響:

  ・洪水被害

  ・異常気象による被害増

 これらの分析結果を踏まえリスク対応策と行動計画を策定していきます。

 

2)霊園事業

 当社グループがマレーシアで展開する霊園事業は、クアラルンプール近郊のセランゴール州ラワン地区に位置しています。この地域は経済活動が活発であり、中間層の需要が見込まれます。気候変動は、当事業に以下のような影響を与える可能性があります。

 

・4℃シナリオ(RCP4.5)

 概要:温暖化が進行し、都市部を中心に気温が上昇します。

 ・霊園事業への影響:

  ・気温上昇による死亡率の増加に伴い、霊園需要が高まる。

  ・墓地の需要は、大規模な区画から納骨堂などの小規模なものへシフトする。

・2℃シナリオ(RCP2.6)

 概要:脱炭素化が進み、環境規制が強化される。

 ・霊園事業への影響:

  ・GHG排出削減の観点から、火葬や大規模な森林開発が制限される可能性がある。

  ・ゼロCO2墓地など、環境に配慮した新たな商品やサービスの需要が高まる。

  ・炭素税の導入により、運営コストが増加する。

 

・マレーシアにおける霊園事業の現状と対応

 当社の霊園事業は、約250エーカーの開発許可を得ており、現在30%が開発済みです。森林再生に配慮し、周辺の自然環境を保全しながら事業を進めています。近年は、伝統的な土葬に加え、納骨堂やニッチ(特別に設けられた恒久的な窪み)といった多様な埋葬方法が選ばれるようになっています。火葬の増加は、土地の有効活用とGHG排出量削減に繋がる可能性があります。今後は、現地とのコミュニケーションを密にしながら、環境に配慮した事業運営と新たな商品開発を進めていきます。

 

・事業インパクトの評価

 各シナリオにおける事業インパクトを評価するため、以下の項目について試算式を用いて定量的な分析を行います。

 ・売上高への影響:

  ・温暖化による霊園需要の増加

 ・費用への影響:

  ・炭素税の増減

  ・エネルギー価格の増減

 ・純利益への影響:

  ・洪水被害

  ・異常気象による被害増

これらの分析結果に基づき、リスク対応策と事業計画を策定していきます。

 

 今後、各リスクの事業インパクトが自社のP/LやB/Sに与える項目の整理と試算式に関し、網羅的な分析・検討を行いその解決策および行動計画を策定してまいります。

 

3) 当社事業におけるリスクと機会

リスク項目

当社事業

評価

リスク

機会

移行リスク

法規制

炭素税の増額

東京都ゼロエミ目標

宿泊

その他投資

炭素税の増加によりコスト増加

不動産の省エネ化助成金を受給

技術

再生エネルギーを購入しない・ZEB化、技術進歩に遅れる

宿泊

その他投資

エネルギーコスト増加

不動産の省エネ化助成金を受給

市場

原油価格の変動

宿泊

その他投資

エネルギーコスト増加

エネルギーコスト減少

市場

感染症の増加

死亡者数の増加

宿泊

その他投資

特定感染症が増えると移動・宿泊制限

霊園需要が高まる

評判

環境配慮商品を求める嗜好が強まる

宿泊

その他投資

当社の環境配慮商品が見劣り競合負

環境配慮商品がヒット

物理リスク

急性

高潮、台風の大型化、外水氾濫

宿泊

その他投資

地下・地上階に浸水

宿泊施設への避難所需要増加

慣性

内水氾濫
都市部の熱帯化

死亡者数の増加

宿泊

その他投資

エネルギーコスト増加、
旅行先の変更

熱帯化、特定感染症の増加による霊園需要増加

 

4)当社事業における選択シナリオと指標

 

 

2030

2050

出所/シナリオ

2℃

4℃

2℃

4℃

移行リスク

法規制

炭素税の増額

東京都ゼロエミ目標

炭素価格:135USD/tCO2,

東京都

エネルギー消費量を35%削減(2000年度比)

炭素価格:90USD/tCO2(EU)

炭素価格:200USD/tCO2,

東京都

エネルギー消費量を35%減少(2002~2007年対比)

炭素価格:113USD/tCO2(EU)

RCP2.6

IEA WEO ASP(2℃)

RCP 4.5

IEA WEO STEPS(4℃)

東京都

技術

再生エネルギーを購入しない・ZEB化、技術進歩に遅れる

-

-

2050年に住宅・建築物のストック平均でZEH4・ZEB5基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す。

-

経済産業省 資源エネルギー庁第6次エネルギー基本計画

市場

原油価格の変動

64USD/Barrel

82USD/Barrel

60USD/Barrel

95USD/Barrel

RCP2.6

IEA WEO ASP(2℃)

RCP 4.5

IEA WEO STEPS(4℃)

市場

平均気温の上昇

感染症の増加

死亡者数の増加

日本 平均気温:0.76℃

日本 平均気温:1.04℃

日本 平均気温:1.08℃

 

地球が産業革命前から2度上昇した場合、高温による年間死者数が2050年までに370%増加

日本 平均気温:2.13℃

環境省 地球温暖化と感染症-いま、何がわかっているのか?

世界銀行“Climate Change Knowledge Portal”日本-平均予測の専門家|気候変動ナレッジポータ(worldbank.org) 2023年2月更新

評判

環境配慮商品を求める嗜好が強まる

炭素価格:135USD/tCO2,

炭素価格:90USD/tCO2(EU)

炭素価格:200USD/tCO2,

炭素価格:113USD/tCO2(EU)

RCP2.6

IEA WEO ASP(2℃)

RCP 4.5

IEA WEO STEPS(4℃)

物理リスク

急性

高潮、台風の大型化、外水氾濫

洪水発生確率約2倍

降雨量
約1.1倍
流量
約1.2倍

洪水発生確率約4倍

降雨量
約1.3倍
流量
約1.4倍

洪水発生確率約2倍

降雨量
1.1倍
流量
約1.2倍

洪水発生確率約4倍

降雨量
約1.3倍
流量
約1.4倍

国交省 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会「気候変動を踏また治水契約の在り方 提言」令和3年4月改定

環境省「気候変動閉胸評価報告書」

慣性

内水氾濫
都市部の熱帯化

死亡者数の増加

日本 平均気温:0.76℃

 

平均気温1度上昇につき、年間消費電力料0.75%増加

日本 平均気温:1.04℃

 

平均気温1度上昇につき、年間消費電力料0.75%増加

日本 平均気温:1.08℃

 

日本 平均気温1度上昇につき、年間消費電力料0.75%増加

 

地球が産業革命前から2度上昇した場合、高温による年間死者数が2050年までに370%増加

日本 平均気温:2.13℃

 

平均気温1度上昇につき、年間消費電力料0.75%増加

世界銀行“Climate Change Knowledge Portal”日本-平均予測の専門家|気候変動ナレッジポータ(worldbank.org) 2023年2月更新

Phronesis08 2-044:エネルギー気候変動リスクにそなえる 三菱総合研究所編著 丸善プラネット2012

The 2023 report of the Lancet Countdown on health and climate change: the imperative for a health-centered response in a world facing irreversible harms’November 14, 2023、The Lancet

 

(4)指標及び目標

 当社のホテル運営に係るSCOPE1、SCOPE2に該当するCO2排出量として、省エネ法および東京都条例で定める温室効果ガス排出量 算定・報告・公表する制度に基づき、ホテル運営のエネルギー使用状況、省エネの進捗状況報告書を毎年提出し、環境への負荷についてモニタリングし、その低減に努めています。

 ホテルアゴーラリージェンシー大阪堺を運営する当社子会社のアゴーラホテルマネジメント堺は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律に基づき、全体のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して1,500k/年度以上である特定事業者としてエネルギーの使用量およびCO2発生量を近畿産業経済局長宛に報告しており、2024年に報告したCO2の発生量は以下の通りであり、また、アゴーラプレイス東京浅草およびアゴーラ東京銀座の2ホテルが入居する不動産を保有する当社子会社のヴァルゴ合同会社は、東京都の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例 (環境確保条例)に基づき、東京都にエネルギー使用量およびCO2発生量を報告しており、2024年に報告したCO2の発生量は以下の通りです。

提出者(注)3

事業所名(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

tCO2

ヴァルゴ

合同会社(注)1

アゴーラプレイス 東京浅草

(東京都台東区)(注)1

宿泊事業

ホテル・事業所

313

(注)4

アゴーラ 東京銀座
(東京都中央区)(注)1

宿泊事業

ホテル・事業所

254

(注)4

株式会社アゴーラホテルマネジメント堺(注)2

ホテル アゴーラ リージェンシー 大阪堺(大阪府堺市堺区)(注)2

宿泊事業

ホテル・事業所・店舗

3901

(注)4

(注)1 当社グループにてホテル資産を保有し国内子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント東京に貸与されホテルを経営及び運営しております。

2 当社グループにてホテル資産を保有し国内子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺に貸与されホテルを経営及び運営しております。

3 いずれも当社グループにてホテル資産を保有して、当社子会社でホテルを経営及び運営しておりますが、法律・条例に基づき提出者の名称を記載しております。

4 いずれも2023年の原油換算エネルギー使用量から算出したCO2発生量を2024年に各行政窓口に提出しております。

 

 また、法律上、エネルギー使用量の提出が求められてないホテルにおいても、当社は任意的にホテル運営のエネルギー使用状況についてモニタリングし、その低減に努めておりCO2発生量は以下のようになっております。

事業者

事業所名(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

tCO2

株式会社アゴーラホテルマネジメント大阪(注)1

ホテル アゴーラ 大阪守口(大阪府守口市)(注)1

宿泊事業

ホテル・事業所・店舗

1735.85

(注)3

難波・ホテル・オペレーションズ株式会社(注)2

アゴーラプレイス大阪難波(大阪市中央区)(注)2

宿泊事業

ホテル・事業所・店舗

672.92

(注)3

(注)1 当社グループにてホテル資産の不動産信託受益権を保有し、国内子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント大阪に貸与されホテルを経営及び運営しております。

2 ホテル資産は他社が保有し、国内子会社の難波・ホテル・オペレーションズ株式会社に貸与されホテルを経営及び運営しております。

3 いずれも2023年の原油換算エネルギー使用量から算出したCO2の排出量です。

 

 当社は日本政府が表明している2050年までの「ネットゼロ目標」を共有しております。その課題達成に向けた取組みとして、ビルの老朽化に伴い適切な設備機器の更新を行っております。当社子会社の株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、省エネ法に基づき定期報告を提出にもとづくエネルギー使用量の省エネ指標(ベンチマーク指標)において、ホテル業が中長期的に目指すべきベンチマークより下回ったためS評価を受けております。

 

会社名

ホテル業の
ベンチマーク

2020

2021

2022

2023

2030

S評価

S評価

S評価

S評価

目標

株式会社アゴーラ
ホテルマネジメント堺

0.723

0.533

0.511

0.534

0.686

0.640

 

 2030年に向けて、ホテルアゴーラリージェンシー大阪堺は老朽化が進みますが、ホテル業が目指すべきベンチマークである0.723よりも低い0.640を目指すべく、照明のLED化、空調冷温水ポンプへの省エネルギーシステムの導入、高効率ボイラーへの更新、蒸気式給湯器を一部HO給湯器に更新するなどの施策を進めております。また、非化石エネルギーへの転換としてオフサイトPPAなどの導入も検討してまいります。

 現在、大阪府堺市において竣工したドーセット バイ アゴーラ大阪堺(大浜北町プロジェクト)は、CASBEEに準拠しており、堺市に堺市建築物環境計画書を提出しております。

 

 当社の子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第8条第1項又は第7項の規定に基づき、一般事業主行動計画を策定する事業会社であります。働きやすい職場、家庭生活と両立しやすい職場とすることを目指し、その目標を、“男女とも勤続期間を5年以上とする”とし、2023年12月に大阪労働局に提出いたしました。当社連結子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、常時雇用する労働者の数が301人未満であり、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表をおこなっておりません。また、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく開示項目は“男女別勤続年数の差異”としており、上記の数値を公表しておりません。なお、当事業年度に大阪労働局に提出した株式会社アゴーラホテルマネジメント大阪2023年度の“男女別勤続年数の差異”の数値は、男性従業員の勤続年数4年7カ月、女性従業員の勤続年数3年8カ月でした。

 

 

提出者

事業所名(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

勤続期間
男性 注3

勤続期間
女性 注3

目標

株式会社アゴーラホテルマネジメント堺 注1

ホテル アゴーラ リージェンシー
大阪堺(大阪府堺市堺区)

宿泊事業

ホテル・事業所・店舗

5年6カ月

3年11カ月

男女とも勤続期間を
5年以上とする

株式会社アゴーラホテルマネジメント大阪 注2

ホテル アゴーラ 大阪守口(大阪府守口市)

宿泊事業

ホテル・事業所・店舗

4年7カ月

3年8カ月

男女とも勤続期間を
5年以上とする

(注)1当社連結子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、常時雇用する労働者の数が301人未満であります。「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表をおこなっておりません。なお、一般事業主行動計画を策定時に提出(2023年)した数値を記載しております

2当社連結子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、常時雇用する労働者の数が301人未満であります。「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表をおこなっておりません。なお、一般事業主行動計画を策定時に提出(2024年)した数値を記載しております

3「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく開示項目は“男女別勤続年数の差異”としており、株式会社アゴーラホテルマネジメント堺における2023年度に大阪労働局に提出した2022年度の“男女別勤続年数の差異”の数値は、男性従業員の勤続年数5年6カ月、女性従業員の勤続年数3年11カ月でした。また、株式会社アゴーラホテルマネジメント大阪における当事業年度に大阪労働局に提出した2023年度の“男女別勤続年数の差異”の数値は男性従業員の勤続年数4年7カ月、女性従業員の勤続年数3年8カ月でした。

 

「未来予測2040」リクルートワークス研究所,2023等では、サービス業における人材不足は予測されており、2040年に100万人の労働者不足が予測されています。グループ全体で女性の働きやすい環境、家庭生活と両立しやすい職場、適切な賃金体系を目指すべく、その目標を共有して活動を進めてまいります。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクについては、主に以下のようなものがあります。

① 経営環境の変化に係るリスクについて

 当社グループの国内における主たる事業はホテル・旅館等の宿泊施設の運営を中核とする宿泊事業であります。当社グループの宿泊事業については、訪日外国人旅行者の増加による顧客ニーズの多様化に的確に応えることにより収益の向上に努めております。国内外の政治・経済の情勢の変化による訪日外国人旅行者への影響、民泊事業者による宿泊市場への新規参入、近年の雇用・労働法制の変化により宿泊施設の運営に影響を及ぼす可能性があります。また、その他投資事業においては、市場の需給バランス等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 災害・事故におけるリスクについて

 当社グループの宿泊事業については、大規模地震・火災など自然災害・事故等により国内事業所の営業継続に影響を及ぼす可能性があります。

③ 資産価値の変動に係るリスクについて

 当社グループは、事業上必要な不動産(事業用及び販売用)を保有しているため、地価の動向および対象となる不動産の収益状況により、資産価値が低下し評価減が必要となった場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

④ 株価変動に係るリスクについて

 当社グループは、その他投資事業を営んでいるため、当社グループに悪影響を及ぼす市場動向や急激な変動がみられた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 海外投資に係るリスクについて

 当社グループは、海外での事業を現地通貨建で取引しているため、大幅な為替相場の変動があった場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 東南アジア他成長が見込める一部の海外市場で事業展開を行っておりますが、海外各国において予期しえない政治・経済・法制度等の変化や社会的混乱、自然災害等といった事態が発生した場合、投下資本を回収できないおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 法的規制に関するリスクについて

 当社グループの宿泊事業は、「旅館業法」「個人情報保護法」等による法規制をうけており、今後、これら規制・基準等の変更ならびにそれらによって発生する事態が当社グループの業績及び風評等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 新型コロナウイルス等感染症の拡大

 世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、わが国の経済環境は激変するとともに、多くの企業の事業運営に少なからず影響を与えております。当社グループにおきましても、今後の事業運営上、業績に一定の影響を与える可能性があります。また、今後の温暖化により、デング熱、マラリア等の流行の可能性があります。

⑧ 継続企業の前提に関する重要事象等

 当連結会計年度の売上高は前期を上回る8,377百万円(前期比14.6%増)となりました。営業利益は501百万円(前期は営業損失93百万円)、経常利益は248百万円(前期は経常損失195百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は108百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失149百万円)と、大きく改善しました。新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に落ち着く中、従業員一人ひとりの努力のおかげで非常によい成果が得られた一方で、ウクライナ情勢に起因する物価上昇や人員不足などにより景気の先行きは不透明であり、不採算や効率面での課題もあります。また、新型コロナウイルス感染症の影響による休業期間に発生した負債が依然として存在しており、その解消には一定の期間を要すると考えており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

 当社は、当該状況を解消すべく、2020年7月に当社グループが保有する賃貸不動産を、2023年3月に当社が保有する固定資産を売却したほか、2023年9月には銀座・浅草のホテル取得に関わる借入金41億円の借換えを実施し、大浜プロジェクトに関する建築資金の借り入れとして新たに長期借入金が591百万円を行うなど金融機関との良好な関係を維持しております。また、今後の営業施策として、宿泊部門ではインバウンド需要を取り込み販売価格の向上を図りました。また、アジア圏の旅行会社との提携を進め、新たな顧客の獲得に努めております。料飲・宴会部門では新規顧客と法人需要の獲得に注力し、加えて運営の効率化とコスト削減に努めております。その他投資事業におきましても、マレーシアにおける霊園事業につきましては、積極的な営業活動をすることにより、事業活動の成長に努めてまいります。

 以上より、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における売上高は、訪日外客数の増加という外的な要因により大きく影響をうけました。2024年は年間を通して訪日外国人客数が回復傾向にあり、12月には単月で248万人に達しました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に落ち着き、水際対策が緩和されたことや円安傾向が続いたことおよび航空便の運航状況が回復してきたことなどが要因です。

 当社グループの運営する宿泊施設におきましても、旺盛なインバウンド需要を要因として売上高が増加しました。その結果、売上高は前連結会計年度を上回る8,377百万円(前期比14.6%増)となりました。内訳は、宿泊事業の売上高は7,339百万円(前期比14.3%増)、霊園事業および住宅等不動産開発事業等を行っているその他投資事業が1,037百万円(前期比16.6%増)です。

営業費用については、円安基調が続き、材料費の他、水光熱費、人件費等、全体的に運営コストが増加しましたが、継続的なコスト削減に努めた結果、営業利益は501百万円(前年同期は営業損失93百万円)となりました。また、営業外収益として持分法による投資利益85百万円、投資有価証券売却益23百万円等により156百万円を計上し、支払利息105百万円、為替差損37百万円、貸倒引当金繰入額224百万円等による営業外費用410百万円を計上した結果、経常利益は248百万円(前年同期は経常損失195百万円)となりました。法人税、住民税及び事業税176百万円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は108百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失149百万円)となりました。

 

・資産、負債、純資産の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,421百万円増加し、20,653百万円となりました。これは主に、現金及び預金が37百万円、建設仮勘定が2,870百万円増加しましたが、建物及び構築物が189百万円減少したこと等によるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,116百万円増加し、14,006百万円となりました。これは主に、長期借入金が1,056百万円、1年内返済予定の長期借入金が258百万円増加したこと等によるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ1,305百万円増加し6,647百万円となり、自己資本比率は、18.0%となりました。

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりです。

・宿泊事業

 当連結会計年度の宿泊事業部門におきましては、順調な訪日外客数の増加によりすべての宿泊施設の回復が進みました。主要なホテルであるアゴーラ リージェンシー 大阪堺は売上高2,773百万円(前期比7.9%増)、ホテル アゴーラ 大阪守口においては売上高1,496百万円(前期比6.5%増)となりました。特に、東京においてはアゴーラ東京銀座が売上高938百万円(前期比39.6%増)、アゴーラプレイス東京浅草の売上高が573百万円(前期対比30.7%増)と訪日外客数の増加により、前期を大きく上回り、宿泊事業部門全体では売上高7,339百万円(前期比14.3%増)となりました。

 インバウンド需要の増加により宿泊部門は堅調なビジネスとなりました。しかし、一方で、レストラン、宴会部門においては人員不足の影響もあり、依然として一部のレストランの運営を休止しており、収益面での影響があるため、ホテル内において適正な人員配置に努めています。資源高、継続的な円安等の影響による材料費、水光熱費の増加、不足人員の採用コスト等の影響を受けておりますが、訪日外国人客の増加の影響による利益増加が寄与し、営業利益は698百万円(前期比384.0%)となりました。

 

・その他投資事業

 2024年のマレーシアにおける霊園の購入者動向は、依然として堅調に推移しています。特に、都市部では土地価格の高騰に伴い、墓地の価格も高騰しており、郊外の霊園や屋内の納骨堂の需要が増加しています。

 マレーシアにおける当社の霊園事業においても、売上高は堅調に推移し902百万円(前期比4.1%増)、営業利益は142百万円(前期比28.1%増)となりました。これは、当連結会計年度においても、クアラルンプール近郊に所在しており、価格的にも手頃な納骨堂やニッチ(特別に設けられた恒久的な窪みに遺骨を安置する方式)も選べるよう、新たな需要にも対応していることから、新規受注および引き続き既契約案件の引渡しも堅調に推移したものです。

 住宅等不動産開発事業は、前年度とほぼ変わらず売上高23百万円(前期比1.2%減)、営業利益15百万円(前期比11.3%増)、証券事業は営業利益105百万円(前期は営業損失20百万円)となりました。その結果、その他投資事業部門における売上高は1,037百万円(前期比16.6%増)、営業利益263百万円(前期比151.3%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ11百万円増加し、当連結会計年度末には2,794百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(イ)営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果獲得した資金は435百万円(前連結会計年度は使用した資金が394百万円)となりました。

 これは、主として税金等調整前当期純利益248百万円が計上されたこと等によるものであります。

(ロ)投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は2,625百万円(前連結会計年度は使用した資金が617百万円)となりました。

 これは、主に有形固定資産の取得による支出2,078百万円が計上されたこと等によるものであります。

(ハ)財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果獲得した資金は2,103百万円(前連結会計年度は獲得した資金が980百万円)となりました。

 これは、主に長期借入れによる収入を2,305百万円、非支配株主からの払込みによる収入を932百万円計上したこと等によるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金のほか主力事業である宿泊事業における新規ホテル等の設備投資に係る資金であります。これらの財源につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入金等による資金調達を基本としております。また、資金調達に際しては、財務の健全性や安全性の確保を目指しております。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)が営んでいる事業はいずれも生産、受注の概念には該当しないため、「生産及び受注の実績」は記載しておりません。

 

販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額

(千円)

前年同期比

(%)

宿泊事業

7,339,820

114.3

その他投資事業

1,037,742

116.6

合計

8,377,563

114.6

(注)1 総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。

2 総販売実績に輸出高はありません。

3 本表の金額には消費税等は含まれておりません。

4 本表の金額については「外部顧客に対する売上高」について記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度における売上高は、訪日外客数の増加という外的な要因により大きく影響をうけました。2024年は年間を通して訪日外国人客数が回復傾向にあり、12月には単月で248万人に達しました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に落ち着き、水際対策が緩和されたことや円安傾向が続いたことおよび航空便の運航状況が回復してきたことなどが要因です。

 当社グループの運営する宿泊施設におきましても、旺盛なインバウンド需要を要因として売上高が増加しました。その結果、売上高は前連結会計年度を上回る8,377百万円(前期比14.6%増)となりました。内訳は、宿泊事業の売上高は7,339百万円(前期比14.3%増)、霊園事業および住宅等不動産開発事業等を行っているその他投資事業が1,037百万円(前期比16.6%増)です。

営業費用については、円安基調が続き、材料費の他、水光熱費、人件費等、全体的に運営コストが増加しましたが、継続的なコスト削減に努めた結果、営業利益は501百万円(前年同期は営業損失93百万円)となりました。また、営業外収益として持分法による投資利益85百万円、投資有価証券売却益23百万円等により156百万円を計上し、支払利息105百万円、為替差損37百万円、貸倒引当金繰入額224百万円等による営業外費用410百万円を計上した結果、経常利益は248百万円(前年同期は経常損失195百万円)となりました。法人税、住民税及び事業税176百万円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は108百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失149百万円)となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

・キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤経営者の問題認識と今後の方針について

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。