当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券届出書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の基本方針
当社は、株主共同の利益のため、過去から続く当社の経営資源を合理的に活用し、また、上場会社として適切なコーポレート・ガバナンス体制を確立し、2024年10月29日付の中期経営計画(AI革命1.0)に記載のとおり、様々なセクターの企業群の構造変革をもたらす可能性のある「第四次産業革命」と目されるAIを軸に、「自己投資事業」「ファンド事業」「PIPEs事業」「投資銀行事業」の4つの事業ドメインをコア領域と定め、シナジー効果を発揮しながら、それぞれが独立した事業として当社グループの利益成長をドライブすることを目指しております。そして、当社が投資目的で保有する有価証券との価値連動性が低いオルタナティブ金融資産としての特性を有し、当社が事業の軸に据えるAIと密接な関係を有することから新たに開始した暗号資産事業とあわせ、これらの戦略的投資・金融活動により日本の成長を支えるキャピタルグループを目指し、中長期的な企業価値、並びに、株主価値向上に邁進してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営指標につきましては、戦略的投資・金融活動により日本の成長を支えるキャピタルグループを目指し、2030年3月期には時価総額1,000億円を目標として掲げております。当該目標は単なる数値目標ではなく、当社の長期的なビジョンである「日本の成長を支えるキャピタルグループ」としての地位を確立するための、進捗を測る上で重要なマイルストーンと位置付けております。
「積極的な投資活動」「投資先やグループ会社となった企業とのシナジー効果の追求」および「内部成長」により利益成長を実現することで、目標達成を目指してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
① 暗号資産への投資の拡大
当社では、暗号資産は、オルタナティブ金融資産としての特性に加えて、当社が事業の軸に据えるAIと並びデジタル社会の二大テクノロジーの双璧であるブロックチェーン技術としての優位性を有していると考えております。暗号資産のブロックチェーン技術を利用したサービスの提供は今後も中長期で拡大が予想され、それに伴い暗号資産の存在感も更に向上すると考えております。また、AIと暗号資産は相互補完をしてきた関係にあり、今後も、さまざまな領域において補完しあうことで革新的な変化を引き起す可能性を有しており、切り離すことの出来ない密接な関係となっております。当社は、リスクはあるものの、オルタナティブ金融資産+テクノロジーとしての中長期での暗号資産の優位性を見据え、また、当社が軸として掲げるAIと暗号資産との密接な関係を鑑み、市場環境を見ながら中長期的な視点で暗号資産を継続的に蓄積し、株主価値の最大化に向けた取り組みを進めてまいります。また、将来的には、暗号資産への投資のみならず、当社がファンド事業を通じて培ってきたノウハウを活かして、令和6年LPS法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)の改正でLPSが実施可能な事業として追加された暗号資産を投資対象としたファンドの組成も視野に入れるほか、当社の連結子会社となったショーケースのIT分野での技術力を活かした同社との協業により暗号資産関連のサービス提供も視野に入れるなど、当社がコア領域と定める4つの事業ドメインとの親和性も高く、シナジー効果を活かしながら当事業の拡大を考えております。
② 「積極的な投資活動の実行」と「投資先やグループ会社となった企業とのシナジー効果の追求」
当社は、自己投資事業におけるショーケース等の連結子会社化やPIPEs事業におけるウェルディッシュへの投資など、単独或いは他の投資家・企業とともに自己資金で投資活動を実行しております。競合となる国内外の投資会社や事業会社は多数存在しておりますが、今後も当社が強いパイプを有する地域の金融機関や地方自治体のほか、パートナー企業、投資先企業のネットワーク等をフル活用し引き続き積極的に投資活動を実行し、その後の「顧客の相互紹介」「ファンド事業で投資する『AIソリューション提供企業群』による、自己投資事業で投資する『AIを活用した事業モデル変革を図る企業』へのAIソリューションの提供」「各投資先の強みを活かした新規サービスや商品の開発」など、投資先やグループ会社となった企業とのシナジー効果を追求するなど、当社が自己投資事業、ファンド事業、PIPEs事業、投資銀行事業を行い、それにより各事業の取引先・投資先が相互に連携・協業する環境を構築できる強みを活かし、当社の業績を最大化させ、株主価値の最大化を目指してまいります。
③ 投資ファンドの規模と投資領域の拡大
ファンド事業においては、投資家の皆さまからお預かりした資金を原資とした投資により財務的及び事業戦略的成果を上げ、その成果から生まれる信頼によって次の投資の器となるファンドにおいて資金をお預かりするというプロセスを繰り返す中でその規模を拡大していくことが1つの成長モデルであります。投資ファンドは、1本あたりのファンド規模が少額であると、そこから分散投資をすることになり、投資実行金額が自ずと少額になります。その結果、投資先社数ばかりが先行して増えてしまい、当社が無限責任組合員として運用するファンド総額が充分に追いつかず、当社として維持できるファンド投資担当者の人員規模と投資先社数の整合がとれなくなる課題があります。従って、リスクマネー提供機能を維持しつつ、今後新規設立する1本あたりの投資ファンドの規模を増大させるとともに、投資領域の拡大に努めてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき主な課題は、以下のとおりであります。
① 暗号資産のリスク管理と株主への説明の充実
暗号資産投資事業において、暗号資産は、中長期ではオルタナティブ金融資産+テクノロジーとしての優位性を有していると考える一方で、価格のボラティリティが高く、短期的には投資した資産の価値が急激に上がったり、下がったりするリスクがあると当社では考えています。また、暗号資産の銘柄によってはセキュリティリスクを有していることからハッキングや不正アクセス等による暗号資産の盗難リスクがあり、また、技術的リスク・規制リスクなども潜在的に存在していると考えております。これらの短期的な価格ボラティリティを含む潜在的リスクを正しく管理し、また株主への説明を充実させてまいります。また、将来的に、暗号資産分野での当社の事業活動を投資のみならず、ファンドの組成やその他暗号資産関連サービスの提供にまで拡大していけるよう、ノウハウの蓄積を進めてまいります。
② 投資案件の情報源の充実
当社は、自己資金による自己投資事業、PIPEs事業、当社および投資家の資金によるファンド事業において今後も引き続き積極的に投資活動を実行してまいりますが、競合となる国内外の投資会社や事業会社も多数存在しており、良質な投資案件の実行のためには、投資案件の情報源の充実が欠くことの出来ない重要な要素となります。当社では、強いパイプを有する地域の金融機関や地方自治体のほか、パートナー企業、投資先企業のネットワーク等をフル活用し、情報源を充実させるとともに、当社が自己投資事業、ファンド事業、PIPEs事業、投資銀行事業を行っていることによる投資手段の柔軟性の強みを活かし、積極的な投資を行ってまいります。
③ 投資先やグループ会社となった企業とのシナジー効果の追求
投資先やグループ会社となった企業の企業価値向上のためには、シナジー効果の追求が重要な鍵となります。当社では自己投資事業、ファンド事業、PIPEs事業、投資銀行事業において様々な上場企業・非上場企業・ベンチャー企業のネットワークを構築している強みを活かし、「顧客の相互紹介」から始まり、「新規商品・サービスの開発・提供」まで、シナジー効果の追求が可能となるよう、グループ内や投資先企業との「情報共有」や「シナジー追求のための協議のインフラ作り」を充実してまいります。
④ 新規ファンドの設立
多数のファンドが設立される中、「AIを自社開発している企業群(競合との差別化が図れるコア技術を有する企業群)」「SaaS/パッケージなどAIソリューションサービスを提供可能な企業群」「半導体やセンサーをはじめAI関連のハードウェアを開発している企業群」「AIの拡大に伴う通信容量・エネルギー供給等不足の解消が可能な企業群」等への投資を想定したAIソリューションを提供する企業群に特化したファンドなど、他にはない特色のあるファンドの組成への取り組みを充実させてまいります。
本有価証券届出書提出日現在における当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みについては、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものとなります。
(1)ガバナンス
当社グループは経営の効率性及び透明性を高め、株主をはじめとしたステークホルダーの利益を追求し、企業価値を向上させるために、コーポレート・ガバナンスの構築が経営課題の一つであると考えております。
その中で当社グループは経営環境の変化に対応した競争優位性の高い戦略を実施し、迅速な意思決定を行うために、定時取締役会を毎月開催しており、必要に応じて臨時取締役会を機動的に開催することで、サステナビリティを意識した経営を行っております。また、意思決定にあたっては、社外取締役(監査等委員)を含めた場で重要事項の意見交換等を適宜行っており、適切な経営監視を行っていただくことでガバナンスの維持・向上に努めております。
(2)戦略
当社グループは各オフィス拠点の光熱費や出張に伴う交通手段の活用をのぞき、事業の遂行上特段には温暖化ガスを排出しない状況にありますが、投資という事業を通じて投資先企業がもたらす影響についても積極的に関与していくことで、サステナブルな社会への貢献に努めます。また業務のデジタル化をはじめとするDXを推進しており、これを通じて顧客企業の事業成長を支援し、継続的な発展に貢献することで持続可能な社会の実現に寄与するものと考えております。
■サステナビリティに関する戦略
主としてベンチャーキャピタル事業を営む当社グループは、ファンドとして投資機会を見出すために、技術革新につき常に情報収集しており、サステナビリティ領域もその例外ではありません。当社グループはこれまで30社近くに上る環境関連ベンチャーにファンドを通じて投資実行をしており、昨年3月31日には、あすか製薬株式会社と、フェムテック(女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する製品・サービス等)を重要テーマに含むCVCファンドを組成しております。また、当社グループの強みである地方創生ファンド(地方創生ファンド実績累計34本※GP譲渡ファンド除く。内、社会的インパクトをテーマに掲げるファンド8本)の更なる拡大により、地域における創業率の向上、地域内経済の活性化、雇用の創出に貢献する等、地方創生の本格的な推進の手段として地域経済の活性化および社会課題解決を投資先事業を通じて間接的に進めてまいります。
■人材多様性に関する戦略
当社グループは、ベンチャーキャピタル事業を通じて、環境関連や(フェムテック等の)インクルージョンに従事するスタートアップの育成に携わっており、その事業の特性上、ベンチャーキャピタリストをはじめとする「個人の力」に大きく依存します。そのため、いかにして優秀な「個人」を採用し、育てていくかが、事業上大きな課題となります。これまでも継続している様々な経験・スキル・ポテンシャルを有する人材を継続的に採用し、多様なバックグラウンドをもつ人材を要することが重要であり積極的な人材採用を進めてまいります。人材多様性につきましては、女性の投資チームメンバー(キャピタリスト)を積極的に採用募集しており、2024年3月期には東日本投資部に1名女性キャピタリストを採用しております。また、性別(ジェンダーレス含む、以下同じ)や人種に関係なく平等に活躍の機会を広げるために、公正な評価を受けることができる評価制度を新たに導入しております。また社内環境性においてはテレワークを推進し、フレックス勤務等社員が働きやすい勤務形態や環境性を継続的に実施しておりま引き続き、当社グループは一般的な投資会社とは明確に差別化されたサステナビリティ企業としてのアイデンティティを確立することを目指します。
(3)リスク管理
当社グループは、経営活動に潜在するリスクを特定し、平常時より、リスクの低減、危機の未然防止に努めるとともに、当社グループの経営活動に重大な影響を及ぼすおそれのある危機発生時の体制を定め、迅速かつ的確な対応をとり、事態の拡大防止及び速やかな収拾・正常化を図ることを目的として、リスクマネジメント規程を定め、運用しております。
(4)指標及び目標
上述のとおり、当社グループは以下の目標に向け取り組んでまいります。
① サステナビリティに関する目標
地方創生ファンドを含めたファンド運用総額を2027年3月期までに300億円まで増大させることにより、地域経済の活性化および社会課題解決を投資先事業を通じて間接的に実現していく所存でございます。
② 人材多様性に関する目標
当社では人材の多様性を尊重し、社員や経営人材の多様性がビジネスに与えるプラスの影響について深く理解しております。しかしながら、目標指標の設定が特定の性別や人種に偏見をもたらす可能性があることを考慮し、慎重な進め方を模索しております。本件に関しては、引き続き慎重に検討を重ね、適切な方針を見極める所存でございます。
(1)リスク管理体制
当社は、事業等のリスクを管理するため、管理本部及び経営企画室を担当部門とし、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ リスク管理体制の整備状況<リスク管理体制の整備状況>」に記載のとおりリスクマネジメント委員会を設置して、リスクの特定、分析し、適切な対応策を策定しております。
(2)主要なリスク
当社グループの事業活動におけるリスクで経営成績又は財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
<知名度および信用度リスク>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)
当社の投資業務において、知名度と社会的信用は事業の根幹を成す要素です。役職員や関係者による法令・社会規範に反する行為は、顧客保護、市場の健全性、公正な競争、公共の利益、そしてステークホルダーに深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、経営上の重大な知名度・信用度リスクを特定・評価し、コントロール策によるリスク低減・制御に努めています。また、行動指針を重視した人事評価制度を通じて、上場投資会社に求められる行動規範と健全なリスクカルチャーの浸透・醸成を図っています。しかし、これらの取り組みにも関わらず、役職員等の不適切な行為が原因で市場や公共の利益に悪影響を与えた場合、取引先や金融業界からの信用失墜により、当社の経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクが顕在化する可能性は、金融市場の複雑化や規制強化が進む中で、決して低いものではありません。特に、コンプライアンス意識の低い従業員が一定数存在する状況や、内部統制システムが十分に機能していない場合には、リスクが顕在化する可能性が高まります。具体的な時期を予測することは困難ですが、不祥事が発覚した場合、瞬時に信用が失墜し、株価の急落や取引停止などの事態に発展する可能性があります。信用失墜は、新規投資の機会損失、既存投資家からの資金引き上げ、そして優秀な人材の獲得困難など、多岐にわたる悪影響を及ぼし、長期的な経営に深刻なダメージを与えることが予想されます。
このような事態を回避するため、当社は以下の対応策を講じます。まず、倫理規定の策定と周知徹底を徹底し、役職員だけでなく関係者も含めた行動規範を明確にします。次に、内部通報制度を強化し、匿名での通報を可能にすることで、早期の問題発見と解決を図ります。また、不祥事発生時の適切な情報開示と企業イメージ回復のための広報体制を強化します。さらに、法務、広報、危機管理などの外部専門家と連携し、リスク発生時の対応体制を構築します。定期的なコンプライアンス監査を実施し、法令遵守状況を常にチェックすることで、リスクの未然防止に努めます。これらの対策を講じることで、リスクを最小限に抑え、信用を維持し、企業価値を守ります。
<人材確保、育成>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の成長力の源泉は、投資担当者の能力に大きく依存しており、管理部門も少人数体制のため、個別人材への依存度が高い状況です。そのため、過度な離職を防止し、能力ある人材を確保できない場合、当社の成長、業績、財政状態に悪影響を及ぼすとともに、業務運営に支障をきたす可能性があります。
人材の流動性が高まる現代において、このリスクが顕在化する可能性は決して低くありません。特に、競合他社による引き抜きや、従業員のキャリア志向の変化などにより、予期せぬ時期に人材が流出する可能性があります。人材が流出した場合、投資担当者の場合は投資判断の遅延や質の低下、管理部門の場合は業務の停滞やミスの増加など、業務遂行に支障をきたすことが考えられます。これらの影響は、業績悪化や企業価値の低下に繋がる可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社は採用戦略の見直し、人材育成制度の充実、従業員満足度向上策の実施、キャリアパスの明確化など、多角的な対策を講じます。採用ターゲット層の拡大や採用チャネルの多様化により、優秀な人材を確保する機会を増やします。階層別研修や専門スキル研修など、多様な育成プログラムを提供することで、従業員の能力向上を支援します。給与水準の見直しや福利厚生の充実など、従業員満足度を高めることで、離職率の低下を目指します。また、多様なキャリアパスを提示することで、従業員のモチベーション向上を図ります。これらの対策により、人材リスクを最小限に抑え、持続的な成長を実現します。
<ファンド残高の減少>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ファンドの運用成績不振、出資者対応の不備、顧客ニーズを捉えた商品設計の欠如は、ファンドの信用低下と投資家からの信頼喪失を招き、新規ファンドの設立・募集を困難にします。これにより、管理報酬の減少や収益悪化を招き、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
市場変動や経済状況の変化により、ファンド運用成績が短期的に悪化する可能性は常に存在します。また、投資家の期待に応えられない場合や、コミュニケーション不足による誤解が生じた場合、信頼を損なう可能性があります。これらの要因は、ファンドの解約増加や新規投資の減少に繋がり、収益基盤を揺るがす事態を招く可能性があります。
このようなリスクに対し、当社は投資戦略の見直し、投資プロセスの改善、顧客コミュニケーションの強化、商品開発力の強化など、多角的な対策を講じます。市場環境や顧客ニーズの変化に合わせた投資戦略の見直し、投資案件の選定からモニタリングまでの投資プロセスの質向上、定期的なレポート提供や説明会開催による顧客との密なコミュニケーション、顧客ニーズや市場動向を捉えた魅力的な商品開発を通じて、ファンドの運用成績向上と顧客満足度向上を目指します。これらの対策により、ファンド残高減少リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
<M&Aに対するリスクについて>(発生可能性:中、発生時期:M&A実行後、影響度:中)
当社グループは、事業拡大と安定収益確保のため、積極的に地域企業等のM&Aを検討しています。M&Aでは、対象企業の財務内容や主要事業に関するデューデリジェンスを実施し、事前にリスク把握に努めていますが、事業環境の急変、簿外債務・偶発債務の発生、想定シナジー効果の未達成、対象企業の事業不振によるのれん減損処理などが発生した場合、当社グループの業績と今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
経済情勢の変動や業界再編の加速など、M&Aを取り巻く環境は常に変化しており、予期せぬリスクが顕在化する可能性は常に存在します。特に、買収後の統合プロセス(PMI)が円滑に進まない場合や、対象企業の事業計画が達成されない場合には、M&Aの目的を達成できず、損失を被る可能性があります。これらのリスクは、M&Aの実行後、数ヶ月から数年後に顕在化する可能性があり、業績悪化や企業価値の低下に繋がる可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループはデューデリジェンスの強化、PMI計画の策定と実行、契約条項の見直し、専門家チームの組成など、多角的な対策を講じます。財務、法務、税務、人事など多角的な視点からのデューデリジェンス、シナジー効果最大化と企業文化融合を目的としたPMI計画の策定と実行、リスクを適切に配分する契約条項の検討、M&A経験豊富な専門家チームの組成により、M&Aリスクを最小限に抑え、事業拡大と安定収益の確保を目指します。
<法的規制>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社はファンド管理運営、プライベート・エクイティ投資を行う上で、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、犯罪収益移転防止法など、様々な法的規制を受けます。これらの規制により活動が制限されたり、関連費用が増加したりすることで、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
金融市場は常に変化しており、新たな規制が導入されたり、既存の規制が強化されたりする可能性は常に存在します。また、規制当局の解釈変更や、予期せぬ法令違反が発生した場合、事業活動の制限や罰金、訴訟などのリスクに繋がる可能性があります。これらのリスクは、規制変更のタイミングや違反の程度によって、時期や影響の大きさが大きく変動します。
このようなリスクに対応するため、当社は法務部門の強化、コンプライアンス体制の構築、外部専門家との連携など、多角的な対策を講じます。法令改正への迅速な対応、契約書の適切なレビュー、訴訟対応などを担う法務部門を強化し、法令遵守のための内部規程を整備し、従業員への研修を実施することで、コンプライアンス体制を構築します。また、法規制に関する最新情報を入手し、適切な対応策を検討するために、外部専門家との連携を強化します。これらの対策により、法的規制リスクを最小限に抑え、事業の継続性と安定性を確保します。
<投資能力の劣化>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
投資機会の減少による投資担当者の能力低下、または担当者の離職による投資先との信頼関係の劣化は、ファンド運用パフォーマンスの悪化を招き、当社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、運用パフォーマンスの悪化は新規ファンドの設立・募集を困難にし、管理報酬の減少や収益悪化を招く可能性があります。
市場環境の変化や経済状況の悪化により、投資機会が減少する可能性は常に存在します。また、投資担当者のスキルアップが停滞したり、優秀な人材が競合他社に流出したりする可能性も否定できません。これらの要因は、ファンドの運用成績の低下や、投資家からの信頼喪失に繋がり、当社の収益基盤を揺るがす事態を招く可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社は投資担当者への継続的な研修、投資担当者間の情報共有と連携、外部専門家との連携、投資プロセスの標準化など、多角的な対策を講じます。投資スキル、市場分析能力、業界知識などを向上させるための研修、投資案件に関する情報共有や意見交換の活発化、投資戦略や市場動向に関する外部専門家からのアドバイス、投資判断の質を維持するための投資プロセスの標準化を通じて、投資担当者の能力向上と運用パフォーマンスの維持・向上を目指します。これらの対策により、投資能力の劣化リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
<コンプライアンス>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)
当社のコンプライアンス体制は、業務合理化を図りつつも少人数体制のため、牽制機能が弱まり、不祥事発生時に信頼を損なうリスクがあります。不祥事の内容によっては、業績や財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
近年、企業に対する社会の目が厳しくなり、コンプライアンス違反が発覚した場合のレピュテーションリスクは増大しています。特に、内部告発やSNSによる情報拡散により、不祥事が瞬時に社会に広まる可能性があり、その影響は計り知れません。不祥事が発生した場合、取引先や投資家からの信頼を失い、契約解除や投資引き上げに繋がる可能性があります。また、訴訟や行政処分により、多額の損失が発生する可能性もあります。
このようなリスクに対応するため、当社は内部監査体制の強化、コンプライアンス・ホットラインの設置、従業員へのコンプライアンス研修など、多角的な対策を講じます。定期的な内部監査により、法令遵守状況をチェックし、問題点を早期に発見・是正します。従業員が匿名で相談や通報できる窓口を設置することで、内部からの情報収集を強化します。また、定期的な研修やeラーニングにより、従業員のコンプライアンス意識を高めます。これらの対策により、不祥事の発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合でも、被害を最小限に抑えることで、信頼を維持し、企業価値を守ります。
<投資資金の回収>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ファンド運営成績は、投資資金の早期回収と投資金額を上回る回収額に大きく影響されます。投資対象は成長性の高い未上場企業ですが、投資先企業の経営破綻、上場延期、上場後の売却金額低迷などにより、売却損失や回収期間長期化が発生し、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
経済状況の悪化や市場の変動、投資先企業の経営状況の変化などにより、投資資金の回収が困難になる可能性は常に存在します。特に、未上場企業への投資は、上場という出口戦略が不確実なため、リスクが顕在化する時期を予測することは困難です。回収が遅延した場合、資金繰りの悪化や新たな投資機会の逸失に繋がり、収益性の低下や成長の鈍化を招く可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社は投資先のモニタリング強化、出口戦略の多様化、投資先の経営支援、投資ポートフォリオの分散など、多角的な対策を講じます。投資先の経営状況や財務状況を定期的にモニタリングし、リスクを早期に把握します。IPOだけでなく、M&Aや第三者への売却など、多様な出口戦略を検討します。投資先の経営課題を解決するための支援を行います。投資対象の業種や地域を分散し、リスクを軽減します。これらの対策により、投資資金の回収リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
<株式相場の下落と新規上場市場の低迷>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
株式上場した投資先企業の株式売却収益は、株式市場の動向に大きく左右されます。相場下落や上場市場の低迷は、保有株式の評価損を発生させ、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ロックアップ契約による売却制限期間中の株価変動リスクも同様です。
株式市場は常に変動し、予測が困難なため、リスクが顕在化する時期や程度を特定することは難しいです。しかし、世界的な金融不安や景気後退などが起これば、短期間で株価が急落し、多額の損失が発生する可能性があります。また、ロックアップ期間中の急激な株価下落は、売却機会を逃し、損失を確定させることになります。これらのリスクは、業績悪化、資金繰りの悪化、投資戦略の見直しなど、多岐にわたる悪影響を及ぼします。
このようなリスクに対応するため、当社はポートフォリオの分散、ヘッジ戦略の導入、長期投資の視点など、多角的な対策を講じます。上場株式だけでなく、未上場株式、債券、暗号資産など、多様な資産に分散投資することで、リスクを軽減します。短期的な株価変動に左右されず、長期的な視点で投資を行うことで、安定的な収益を目指します。これらの対策により、株式相場の下落リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
<株式の希薄化>(発生可能性:中、発生時期:株式発行時、影響度:小)
当社は、資金調達や連携先との関係強化のため、新株式や新株予約権等の発行を検討しており、これにより株式価値の希薄化が生じる可能性があります。
株式の希薄化は、市場の状況や発行条件によって、株価に与える影響が大きく変動します。特に、資金調達の目的や使途が不明確な場合や、市場が希薄化をネガティブに捉えた場合、株価が急落する可能性があります。希薄化による影響は、株主構成の変化や1株当たり利益の減少など、長期的な企業価値にも影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社は資金調達計画の慎重な検討と株主への説明責任の徹底を重視します。資金調達の必要性、調達額、調達方法などを慎重に検討し、株主価値の希薄化を最小限に抑えるように努めます。また、株式希薄化の影響について、株主に対して丁寧に説明し、理解を得るように努めます。これらの対策により、株式希薄化リスクを管理し、株主価値の維持と向上を目指します。
<投資損失引当金の計上及び減損処理の実施>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の投資先は未上場企業が多く、成長が想定通りに進まない場合、業績悪化や破綻のリスクがあります。これにより、投資損失引当金の計上や減損処理が必要となり、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
未上場企業は事業環境の変化に弱く、市場の変動や競合激化により、業績が急激に悪化する可能性があります。特に、技術革新が激しい分野や、規制変更の影響を受けやすい分野では、リスクが顕在化する可能性が高まります。これらのリスクは、投資先の事業計画の進捗状況や、資金繰りの状況などによって、時期や影響の大きさが変動します。
このようなリスクに対応するため、当社は投資先の財務状況の定期的な確認、投資損失引当金の適切な計上、減損処理の適切な実施など、多角的な対策を講じます。投資先の財務状況を定期的に確認し、リスクを早期に把握します。投資先の状況に応じて、適切な金額の投資損失引当金を計上します。減損の兆候が見られる場合には、適切な減損処理を実施します。これらの対策により、投資損失引当金の計上や減損処理による業績への影響を適切に把握することで、財務の安定性を確保します。
<資金の調達>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の投資原資は手元資金ですが、事業拡大や新規事業構築に伴い、金融機関からの借入や資本市場からの資金調達を行う可能性があります。その際、金融市場の変動などが借入条件に影響を与え、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
金融市場は常に変動しており、金利上昇や信用収縮など、資金調達環境が悪化する可能性は常に存在します。また、当社の信用力が低下した場合や、事業計画の実現可能性が低いと判断された場合、資金調達が困難になったり、不利な条件での調達を余儀なくされたりする可能性があります。これらのリスクは、経済状況の変化や金融市場の動向、当社の業績などによって、時期や影響の大きさが変動します。
このようなリスクに対応するため、当社は資金調達先の多様化、財務体質の強化、資金繰り計画の策定など、多角的な対策を講じます。金融機関からの借入だけでなく、社債発行や株式発行など、多様な資金調達手段を検討します。自己資本比率の向上やキャッシュフローの改善など、財務体質を強化します。将来の資金繰りを予測し、資金ショートのリスクを回避するための資金繰り計画を策定します。これらの対策により、資金調達リスクを最小限に抑え、安定的な資金調達と持続的な成長を目指します。
<システムリスク>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、会計システムや情報管理システムで経理情報や投資先企業情報を管理しており、ウイルス感染や不正アクセス防止、データ保全のためのバックアップ対策を実施しています。しかし、ウイルス感染や天変地異によるシステムダウン、不正アクセスによるデータ改ざんや情報漏洩などのリスクがあり、業務遂行の支障、損害賠償請求、社会的信用低下などにより、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
近年、サイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、システムダウンや情報漏洩のリスクは常に存在します。また、自然災害の発生頻度も増加しており、システムに影響を与える可能性も高まっています。これらのリスクは、予期せぬ時期に発生する可能性があり、その影響は甚大です。システム障害が発生した場合、業務が停止し、顧客へのサービス提供が遅延する可能性があります。また、情報漏洩が発生した場合、顧客からの信頼を失い、損害賠償請求や社会的信用の低下に繋がる可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社はセキュリティ対策の強化、バックアップ体制の強化、システム障害時の対応計画策定など、多角的な対策を講じます。ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入、不正アクセス検知システムなど、多層防御対策を実施します。定期的なバックアップやバックアップデータの保管場所の分散などを行います。システム障害発生時の対応手順や復旧手順などを定めた計画を策定します。これらの対策により、システムリスクを最小限に抑え、事業継続性を確保し、顧客からの信頼を維持します。
<情報管理>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は取引先情報や個人情報の管理に規程を設け周知徹底を図っていますが、情報漏洩は損害賠償や信用失墜を招き、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
サイバー攻撃の高度化や内部不正のリスクは常に存在し、情報漏洩は予期せぬ時期に発生する可能性があります。漏洩した場合、顧客や取引先からの信頼を失い、事業継続が困難になることも考えられます。また、法的な責任を問われ、多額の賠償金を支払う可能性もあります。
このようなリスクに対し、当社は情報セキュリティポリシーの策定と周知徹底、アクセス権限の適切な管理、従業員へのセキュリティ教育など、多角的な対策を講じます。情報セキュリティに関する方針、規則、手順を定め、従業員に周知徹底します。情報へのアクセス権限を必要最小限に制限します。定期的なセキュリティ教育を実施し、従業員のセキュリティ意識を高めます。これらの対策により、情報漏洩リスクを最小限に抑え、顧客や取引先からの信頼を維持し、事業の継続性を確保します。
<為替レートの変動>(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
連結財務諸表の作成時、当社グループの海外における外貨建ての資産・負債を円換算いたしますが、換算時の為替レートによりましては、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
<暗号資産価値の変動>(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが投資した暗号資産の価値が下落することにより、保有暗号資産の評価損を発生させ、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
暗号資産市場は常に変動し、予測が困難なため、リスクが顕在化する時期や程度を特定することは難しいです。しかし、世界的な金融不安や景気後退などが起これば、短期間で暗号資産価値が急落し、多額の損失が発生する可能性があります。これらのリスクは、業績悪化、資金繰りの悪化、投資戦略の見直しなど、多岐にわたる悪影響を及ぼします。
このようなリスクに対応するため、当社はポートフォリオの分散、ヘッジ戦略の導入、長期投資の視点など、多角的な対策を講じます。暗号資産だけでなく、株式、債券など、多様な資産に分散投資することで、リスクを軽減します。短期的な価値変動に左右されず、長期的な視点で投資を行うことで、安定的な収益を目指します。これらの対策により、暗号資産相場の下落リスクを最小限に抑え、安定的な収益確保と持続的な成長を目指します。
文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において判断したものであります。
当社は、2024年10月1日付けでフューチャーベンチャーキャピタル株式会社の単独株式移転により設立されましたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前年同四半期と比較を行っている項目につきましては、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社の2024年3月期第3四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日まで)との比較、前連結会計年度末との比較を行っている項目につきましては、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社の2024年3月期連結会計年度末(2024年3月31日)との比較を行っております。
(1)経営成績に関する説明
当第3四半期連結累計期間の経営成績につきましては、中期経営計画(AI革命1.0)で定める4つの事業ドメインである「自己投資事業」「ファンド事業」「PIPEs事業」「投資銀行事業」を中心に推進いたしました。
自己投資事業においては、「AIを活用した事業モデル変革を図る企業」を中心とする企業群への投資を実行しており、当第3四半期連結会計期間においては、DX分野で強みを持つ株式会社ショーケース(東証スタンダード、証券コード3909、以下「ショーケース」)等を連結子会社化するなど、手元資金を積極的に活用いたしました。これにより、グループ全体の事業基盤の強化と、将来的なシナジー効果の創出を目指しております。なお、ショーケースの連結業績は当第3四半期連結会計期間においては反映されておらず、当第4四半期連結会計期間よりショーケースの2025年1月~3月の連結業績が反映される見込みです。
ファンド事業においては、ベンチャーキャピタル事業として、ベンチャー企業への投資及び投資助言、投資事業組合の組成・管理運営を行っております。当第3四半期連結累計期間においては、地方創生ファンドとして、Tohokuライフサイエンス・インパクト投資事業有限責任組合や信州スタートアップ・承継支援2号投資事業有限責任組合を設立するなど、新たな投資機会の創出と運用資産残高の増加に努めました。また、「AIソリューションを提供する企業群」に特化したファンドの組成にも取り組んでおります。
PIPEs事業においては、2ステップでの事業展開を計画しており、現時点では「ステップ1:LP(投資家)としてPIPEs事業へ参画」に取り組んでおります。PIPEsとは、Private Investments in Public Equitiesの略で、投資会社が上場企業の私募増資を引き受けることを意味し、上場企業は迅速に資金調達が可能となり、成長資金や企業再生必要資金の調達に利用されます。「M&A戦略を含む企業成長のための施策」、「上場維持基準への適合」、「株式持ち合い解消による新たな株主探し」など、日本国内の比較的規模が小さい上場会社の抱える経営課題に対して有用な手段であるとの認識です。当第3四半期連結会計期間では、協力会社が運営するファンドを通じて株式会社ウェルディッシュ(東証スタンダード、証券コード2901)株式を取得し、同社の株価上昇により投資運用益512百万円を計上いたしました。将来的には、当社がGP(ファンド運営者)としてPIPEs事業を展開していくことを計画しております。
投資銀行事業においては、他の3事業に付随して派生する様々なニーズに対し、最適な資金調達や事業提携等の投資銀行 (コーポレートファイナンス)サービスの提供に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間においては、事業シナジーの最大化に貢献いたしました。
上記のように、各事業ドメインにおいてそれぞれの戦略に基づいた事業活動を展開した結果、当第3四半期連結累計期間では、PIPEs事業における投資運用益が大きく貢献いたしました。
これらにより、グループ全体の経営成績は、売上収益911百万円、営業利益372百万円、税引前四半期利益373百万円、四半期利益193百万円となりました。
当社は、2030年3月期に時価総額1,000億円を達成することを経営目標に掲げ、その実現に向けた戦略を積極的に推進しております。目標達成には、積極的な投資活動、投資先やグループ会社とのシナジー効果の追求、そして内部成長による利益成長が不可欠であると認識しております。
上記のとおり、当第3四半期連結累計期間において、PIPEs事業の好調は短期的な利益成長に大きく貢献しました。この成功事例を分析し、今後のPIPEs事業における投資戦略やリスク管理体制の強化に活かすことが、企業の成長に重要と考えております。ファンド事業の拡大も、将来的な管理報酬の増加を通じて、安定的な収益基盤の構築と内部成長に寄与する可能性があります。各ファンドの運用状況を注視し、投資家の信頼獲得とファンド規模の更なる拡大に向けた施策を検討していく必要があります。自己投資事業では、ショーケースの連結子会社化により、グループ全体の事業領域が拡大し、シナジー効果の創出が期待されます。ショーケースとの連携を深め、具体的なシナジー効果を早期に実現するための戦略を推進することが重要と考えております。
目標達成には、各事業が中期的な成長目標にどのように貢献していくかの道筋を明確にし、具体的な施策を実行していく必要があります。自己投資事業で投資した企業群とファンド事業で投資する企業群との連携、ショーケースとの協業などを通じて、グループ全体の企業価値向上を図ることが求められます。併せて、新たな事業領域におけるリスクを適切に管理し、株主への説明責任を果たす必要があります。今後も良質な投資案件を継続的に確保するために、地域金融機関や地方自治体、パートナー企業との連携を強化してまいります。
(投資事業組合の状況)
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前連結会計年度末 (2024年3月31日) |
当第3四半期連結会計期間末 (2024年12月31日) |
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投資事業組合出資金総額(百万円) |
20,479 |
20,551 |
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投資事業組合数(組合) |
44 |
42 |
(注) 「投資事業組合出資金総額」は、コミットメント総額であります。
① 出資金総額が増加した投資事業組合
当第3四半期連結累計期間において出資金総額が増加した投資事業組合は、以下の2組合であります。
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(単位:百万円) |
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投資事業組合名 |
増加した出資金額 |
増加の理由 |
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Tohokuライフサイエンス・インパクト投資事業有限責任組合 |
435 |
新規設立 |
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信州スタートアップ・承継支援2号投資事業有限責任組合 |
667 |
新規設立 |
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合計(2組合) |
1,102 |
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② 出資金総額が減少した投資事業組合
当第3四半期連結累計期間において出資金総額が減少した投資事業組合は、以下の4組合であります。
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(単位:百万円) |
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投資事業組合名 |
減少した出資金額 |
減少の理由 |
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京都想いをつなぐ投資事業有限責任組合 |
330 |
全財産の分配完了 |
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投資事業有限責任組合ブリッジベンチャーファンド2020 |
300 |
全財産の分配完了 |
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投資事業有限責任組合ブリッジベンチャーファンド2014 |
300 |
全財産の分配完了 |
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もりおか起業投資事業有限責任組合 |
100 |
全財産の分配完了 |
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合計(4組合) |
1,030 |
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(投資先企業の上場状況)
当第3四半期連結累計期間において上場した投資先企業は、以下の3社であります。
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会社名 |
公開年月 |
公開市場 |
主要業務 |
本店所在地 |
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国内 3社 |
Hmcomm株式会社 |
2024年10月 |
東証グロース市場 |
音声処理技術を用いた要素技術の研究・開発、ソリューション・サービスの提供 |
東京都 |
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株式会社TMH |
2024年12月 |
東証グロース市場 |
半導体製造装置及び部品のメンテナンス事業・越境ECサイトLAYLAの運営 |
大分県 |
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BABYJOB株式会社 |
2024年12月 |
TOKYO PROMarket |
手ぶら登園サービス、保育士の求人・転職サービス |
大阪府 |
(2)財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、8,071百万円となりました。その内訳は流動資産4,560百万円、非流動資産3,510百万円です。
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、3,114百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は、4,957百万円になりました。
なお、資本合計には非支配持分が含まれるため、これらを控除して算出した親会社の所有者に帰属する持分の額は4,067百万円、親会社所有者帰属持分比率は50.4%になりました。また、当社は2024年10月1日付けでフューチャーベンチャーキャピタル株式会社の単独株式移転により設立されたため前連結会計年度がなく、前連結会計年度末との比較を行っておりません。
(3)キャッシュ・フロー
当社は2024年10月1日付けでフューチャーベンチャーキャピタル株式会社の単独株式移転により設立されたため前連結会計年度がなく、記載しておりません。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社は2024年10月1日付けでフューチャーベンチャーキャピタル株式会社の単独株式移転により設立されたため前連結会計年度がなく、記載しておりません。
(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主な資金需要は、M&A等の成長投資や外注費、販売費及び一般管理費などであります。これらの財源については、手元資金を充当することを基本方針としていますが、事業拡大や新規事業構築に伴い、金融機関からの借入や資本市場からの資金調達を行う可能性があります。
(1)資本業務提携契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約期間 |
契約内容 |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
株式会社ショーケース(ショーケース) |
契約締結日(2024年11月14日)から、両社が合意した日又はAIFがショーケース株式を保有しなくなった日のいずれか早い日まで |
(資本提携) 公開買付け及び第三者割当てにより、AIFはショーケースの議決権の過半数を取得し、子会社とする (業務提携) (1)両当事者それぞれが強みを持つ、DX関連技術の開発と導入、相互の商品、ブランド、及び事業の展開 (2)経営管理機能の共有、グループ間の顧客の連携 (3)その他両当事者が合意した事項 |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
株式会社ラバブルマーケティンググループ(LMG) |
契約締結日(2025年2月27日)からAIFのLMG株式に係る議決権保有割合が20%未満となった場合又はLMGがAIFの持分法適用会社ではなくなった場合まで |
(資本提携) 特定株主からの株式取得により、AIFはLMGの議決権の20%以上を取得する (業務提携) (1)両当事者それぞれが強みを持つ、SNSマーケティング及びDX関連技術の開発と導入、相互の商品、ブランド、及び事業の展開 (2)経営管理機能の共有、グループ間の顧客の連携 (3)その他両当事者が合意した事項 |
(2)株式譲渡契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約日 |
契約内容 |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
合同会社みやびマネージメント |
2025年2月27日 |
AIFが株式会社ラバブルマーケティンググループ普通株式158,000株を1株あたり1,400円で譲り受ける |
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AIフュージョンキャピタルグループ株式会社(AIF) |
株式会社日比谷コンピュータシステム |
2025年2月27日 |
AIFが株式会社ラバブルマーケティンググループ普通株式131,900株を1株あたり1,400円で譲り受ける |
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株式会社ショーケース(ショーケース) |
Seacastle Singapore Pte. Ltd(Seacastle) |
2025年2月28日 |
ショーケースが保有するReYuu Japan株式会社普通株式2,310,000株のうち1,810,000株をSeacastleへ1株700円で譲渡する |
当社は、2024年10月1日付けでフューチャーベンチャー株式会社キャピタルの単独株式移転により設立された株式移転設立完全親会社ですので、最近の連結会計年度がありませんので該当がありません。また当第3四半期累計期間につきましても該当事項はありません。