文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、「温故×創新」を企業哲学、「社会に可能性の卵を。」をパーパスとして定めており、「CREATE FUTURE BASE」をミッションとして掲げ、管理会社向け月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド」及び貸会議室ビジネスを起点として、まだ世の中にない独自の発想から遊休資産に新たな価値を生み出し、その仕組みを創造することで社会に貢献してまいります。
当社の主要事業の一つである月極イノベーション事業においては、従来、店舗型の管理会社にて月極駐車場を探していた利用者が、インターネット上の検索ポータルサイト経由で検索・申込をするケースが徐々に増えてきていると考えております。当社が2020年に正式にリリースした管理会社向けの月極駐車場オンライン管理支援サービスである「アットパーキングクラウド」は対面手続きが不要であり、申込、契約、決済まで全てオンラインで完結できることが月極駐車場利用者のニーズに合致していると考えており、契約件数は増加傾向にあります。なお、我が国における自動車保有台数から推定される月極駐車場のうち、オンライン契約可能な月極駐車場の拡大余地はまだまだ大きいと考えており、当社のサービスを導入する管理会社の獲得とそれに伴う駐車場利用者拡大のために経営資源を集中しております。
もう一つの主要事業であるビルディングイノベーション事業は、労働市場の流動化および勤務形態の多様化等により、固定費である家賃を変動費化することができる貸会議室の利用機会は増加すると考えており、貸会議室の需要は伸長の余地があるものと判断しております。
こうした事業環境の中、経営の基本方針を達成するため、月極イノベーション事業のAPクラウドサービスを中核として、営業体制の強化及び営業効率の向上、月極駐車場管理システムの機能追加による利便性の向上により顧客である管理会社との契約数を拡大し、また、ポータルサイト「アットパーキング」のリニューアルによる駐車場利用者の利便性向上、広報活動等によるブランディング、対話型AIによる顧客対応の自動化等により顧客満足度を向上させることで駐車場利用者を拡大し売上高成長率を高めるとともに、絶えざる業務フローの見直しと再構築による業務効率化を推進することで営業利益率の改善も図り、企業価値を高めてまいります。さらに、APクラウドサービスの展開により蓄積される月極駐車場のデータや満空情報、利用者及びその保有する自動車に関するデータを利用し、EV充電設備付駐車場「アットパーキングEV」や短期貸し「アットパーキングウィークリー」といった月極駐車場内の未稼働区画の有効活用など、管理会社の収益改善、駐車場利用者の利便性向上につながる多様な高付加価値サービスを開発・提供することで、月極駐車場の利用価値最大化を推進します。将来的には、当社に蓄積された月極駐車場に関連するあらゆるデータと他企業の有効なデータを掛け合わせることで新たな収益機会を創出し、月極駐車場の利用価値をさらに高め、住宅地内の月極駐車場がモビリティ関連サービスのハブとなる「ファーストワンマイルステーション」構想と、これを実現するプラットフォームとしての「Space Platform for Mobility」の確立を目指します。また、ビルディングイノベーション事業のうち、会議室サービスにおいては、大都市圏を中心に新規会場の開発も進めてまいります。
当社は、遊休資産の有効活用から収益を生み出すビジネスモデルとして貸会議室運営サービス、月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」によるマッチングサービス、月極駐車場オンライン管理システムである「アットパーキングクラウド」を創出してきました。これらのサービスから派生するニーズにも対応すべく顧客にとってより付加価値の高いサービスの実現と原価低減の両立を目指します。具体的には以下「(4) 経営環境」及び「(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の解決に取組み、空間にまつわるあらゆるニーズの取り込みを図ってまいります。
当社は、売上高の拡大に注力するとともにコストの削減を図り、利益体質の強化を図ってまいります。これらの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営上重要な指標として「売上高および成長率」、「経常利益および成長率」、「当期純利益および成長率」を掲げ、長期的な目標を設定し活動をしております。また、月極イノベーション事業のAPクラウドサービスにおいて、「アットパーキングクラウド」へのシステム登録台数(以下、「APクラウド登録台数」といいます。)をKPIとしており、その算定方法とKPIとしている理由は以下のとおりです。
「APクラウド登録台数」
当社の顧客である管理会社が管理する駐車場の全てが当社に管理委託されるとは限らず、段階的に管理委託される場合もあることから、当社の管理システムへ登録された、すなわち当社が管理委託された駐車場が「APクラウド登録台数」になります。
当社がこの「APクラウド登録台数」をKPIとしている理由は、「APクラウド登録台数」が駐車場利用者からの収益の発生源泉となっている、すなわち、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1) 月極イノベーション事業 ② APクラウドサービス」に記載した収益化のポイント(「イ システム利用料」を除く)が、「APクラウド登録台数」として管理システムに登録されることで初めて実現可能となり、また駐車場台数ベースでの将来の収益獲得余地を適切に表すと考えるためです。
その他、収益化のポイントは、「ロ 決済手数料」に対応した「決済代行台数」、「ハ 初回保証料」及び「ニ 月額保証料」に対応した「滞納保証台数」があり、これらも「APクラウド登録台数」に準じた指標としてモニタリングを行っております。
以下に各台数の推移に関する図を示しております。

主要事業である「アットパーキングクラウド」については、上記「(2) 中長期的な会社の経営戦略」でも記載のとおり、月極駐車場利用者はインターネット上の検索ポータルサイト経由で検索・申込を行うという行動変容もあり順調に推移しております。また、当サービスの収益の源泉は月極駐車場ですが、その市場規模を図る日本全国にある月極駐車場数について公にされている調査報告が存在せず、その実態を把握することは困難と考えております。一方で、「自動車保有台数の推移」(「一般社団法人自動車検査登録情報協会」公表)によると、乗用車に関しては2024年3月末時点でおよそ6,197万台と10年前の6,005万台から3.2%増加しており、若者のクルマ離れやカーシェアリングサービスの登場などがありますが、乗用車の保有台数は堅調に推移しております。乗用車には「保管場所」が必要であることから、乗用車6,197万台分の「保管場所」が存在すると考えられ、これは自己敷地とそれ以外(月極駐車場含む)に大別されます。通常、自己敷地以外では月極駐車場が乗用車の「保管場所」となり、乗用車6,197万台のうち、「建て方別住宅数」(総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査)のうち「共同住宅比率」分の「保管場所」が概ね全国の月極駐車場数に該当し、当社のターゲットになると推定しております。なお、「建て方別住宅数」における「共同住宅比率」は2003年で40.0%、2013年で42.4%、2023年で44.9%と上昇傾向にあります。
当社が管理を委託されている「APクラウド登録台数」は2024年12月末時点で374,032台であり、サービス開発力の向上と顧客獲得努力によって将来の市場開拓余地は大きく、かつAPクラウドサービス収益化の起点となるものと考えております。
また、オンラインによる月極駐車場管理支援サービスという新たな事業領域には競合企業も参入し始めておりますが、以下「(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ・月極イノベーション事業における事業上の課題 a.駐車場利用者の利便性向上」及び「b.管理業務の省力化及び収益性の向上」に記載の当社の強みをコア・コンピタンスと捉え競争優位の源泉とすることで、さらなる事業の拡大を継続していきたいと考えております。
もう一つの主要事業であるビルディングイノベーション事業が属する貸会議室市場全般においては、労働市場の流動化および勤務形態の多様化等により、固定費である家賃を変動費化することができる貸会議室の利用機会は増加すると考えており、貸会議室の需要は伸長の余地があるものと判断しております。
当社が運営する月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」においては掲載物件の拡大、情報の精度及び認知度の向上が重要であり、サイトの掲載情報収集、契約や審査手続の簡素化による利便性の向上、オンラインで契約が完結できる取扱い物件数の拡大に注力してまいります。また、「アットパーキングクラウド」においてはサービス内容の浸透と営業体制の強化が重要であると認識しており、広告宣伝活動・広報活動及び採用活動の強化と既存社員の教育に注力してまいります。
当社は月極イノベーション事業の拡大により月極駐車場の従来の貸し方、借り方の概念を根本から変え、ホテル予約と同じようにオンラインで契約手続きが完結できる仕組みを提供し、またモビリティ分野における月極駐車場関連のサービスにおいて「アットパーキングクラウド」の拡大により月極駐車場の空き埋まりに関するリアルタイム情報を効率的に収集し、自動車関連業界との連携を進めることで同分野において有益なサービスを構築してまいります。
具体的には以下の課題に取組んでまいります。
駐車場利用者は、「アットパーキング」でエリア・区画・料金等の条件をもとに検索することで手間なく希望の月極駐車場を探すことができ、また「アットパーキングクラウド」を導入している月極駐車場についてはオンライン上で空き情報の確認・申込・審査・契約手続・決済までが可能であり、さらに契約中はマイページが発行され、契約情報の閲覧や更新、解約もオンライン上で可能であることなど、駐車場利用者にとって利便性の高いサービスとなっております。また、当社と駐車場利用者との継続的な接点となるマイページの視認性及び操作性の向上やカスタマーサービスの拡充により、さらなるサービスの質の向上と、「アットパーキングクラウド」を導入する駐車場の拡大に努めてまいります。
駐車場料金は首都圏等都心部以外では安価な地域も多く、その一方で管理会社の手間は相応にかかっております。管理会社にとっては煩雑な割に収益性の低い業務とも言えるため、「アットパーキングクラウド」を導入することにより契約や解約を含めた駐車場管理業務の省力化が可能となります。また、当社が決済代行をしていることから駐車場利用者の利用料の入金情報を適時に捕捉でき、入金されなかった場合も管理会社に対して滞納保証をしていることから、管理会社にとっては再請求の手間が省けるとともに未回収リスクが軽減されます。
さらに、「アットパーキングクラウド」にシステム登録された駐車場に関する契約・解約情報は、当社が運営する月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」と連動することで、満空情報の適時な提供と契約済みの駐車場でも解約となった場合に、その情報が登録者に適時に送信される「アキマチ」という機能も付帯していることから、解約から次の契約までの期間が短縮化されることで稼働率が上がる仕組みとなっており、月極駐車場オーナーや管理会社としては利便性・効率性・収益性の向上に繋がると考えます。また、管理会社に対する導入時のエントリーハードルを下げ、導入後においていかに当社サービスを必要として頂けるかが継続的な拡大のポイントであると考えており、サービス導入時点で稼働している区画では、既存利用者からの保証料は収受せず、導入後においては、管理会社のインターフェースによる「アットパーキング」をOEM提供するなど、継続的にサービスを利用頂く施策を実施し利便性・収益性の向上に努めております。これらの取組により管理会社の駐車場開発へのハードルが下がり、管理会社が新しい駐車場を開発することで管理会社の収益の向上に繋がると考えます。管理会社にとってさらなる管理業務の省力化のため、顧客接点を増やすための人員を拡大し、継続的な管理画面の改善や、料金改定の通知代行等新たなニーズへ対応を柔軟かつ迅速に実施してまいります。
当社のマーケティング及び営業に関する課題は、データ(KPI)に基づいて的確に捉えてまいります。ここで言うデータ(KPI)とは、「アットパーキングクラウド」における「APクラウド登録台数」、「決済代行台数」、「滞納保証台数」であり、これらのKPIを増加させるには、当社の顧客対象である管理会社との新規契約を獲得することが予算策定の前提となることから、新規商談数、新規契約社数(導入社数)も含まれます。また、「アットパーキング」においては、顧客への提案数・契約数(マッチング数)・成約率になります。マーケティングの面では、住宅系ポータルサイトやハトマーク支援機構を始めとする各種不動産関連協会の会員名簿、展示会等のイベント出展等により収集したターゲットリストから、各社の管理する駐車場管理台数やエリア等の属性で絞り込み、ターゲット設定・優先順位・アポイント取得方法・担当者を明確にすることで、新規契約獲得の効率化を図っております。そして、これらの数値や関連情報をチームや担当者別に月次で集計し、計画との差異とその発生原因を分析することで、チーム・担当者への改善指導や改善施策の立案・実施を進めます。さらに一人ひとりの担当者が当社のマーケティング・営業方針やデータ(KPI)に基づいて自律自走する体制を構築するとともに、営業手法や提案内容、社内・社外のリソース配分を事業環境の変化に応じて随時見直すことで、マーケティング及び営業力が強化され全体最適が達成されるよう努めてまいります。
オペレーションスキルの質を高め、業務フローを効率化するには、次の項目が挙げられると考えております。
・日々のOJT、自己研修、及び大規模事故を想定した初動対応訓練によるスキル向上
・各業務フローをたな卸しすることで、業務の中にある「ムダ、ムリ、ムラ」を的確に抽出
・ミスや事故の発生頻度の集計、発生頻度の高い作業の特定、発生した場合の対応時間・対応コストの集計
・ITを利用した自動化等による業務工数の削減
以上を踏まえ、一定の高いクオリティを保った最適な業務フローの構築に努めてまいります。
働き方改革およびコロナ禍を経て働くスタイルは多様化しつつあり、不動産に求められる価値が変化しています。会議室、シェアオフィス等の各サービスについては、災害等の外的要因や空室率・賃料相場等の不動産市況の影響を強く受けることから、中長期的には、不動産市況や競合企業の出店状況に応じ随時新規出店を進める方針です。また、既存の運営物件においては、顧客ニーズの取り込みによる収益力の強化、ノウハウの蓄積を行いながら、新しい働き方に対応する新たなサービス開発を進めてまいります。具体的には以下の課題に取組んでまいります。
不採算店舗(貸会議室)の退店、売上高好調店舗の改装、新規出店については開発担当者をアサインし、空室率・賃料相場といった賃貸オフィスのマクロ情報をモニタリングしつつ、当社のターゲットとなるような個別物件の空き情報・賃料等の収集や、周辺エリアにおける競合企業の出店状況・価格帯・サービス内容・集客状況等を適宜把握しながら、適切なタイミングで新規出店を進めてまいります。
単に貸会議室の提供のみに留まらず、各種割引サービスの拡大やキャンペーンの実施、ケータリングサービスの拡充、利用可能時間帯の拡大等顧客ニーズを的確にとらえたサービスを提供しております。
予約システムである「MICE Platform」システムを継続的に改善し、利用者にとってより高い利便性の向上と、会議室予約の重複、また利用のキャンセルを極力減少させてまいります。
当社の持続的な成長には、事業拡大に応じた優秀な人材を採用するとともに、組織体制の整備と福利厚生施策を実現していくことが非常に重要であると考えており、そのための根本思想として「人的資本経営」を標榜しております。当社のパーパス、ヴィジョン、ミッションに共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行うとともに、従業員が働きやすい環境の整備や公平性・透明性・納得性の高い人事評価制度の構築を行ってまいります。また、採用後も、当社で存分に力を発揮することを後押しするために、業務を通じたトレーニングの他、リスキリングや専門領域をより深く掘り下げるための各種研修制度の充実にも努めてまいります。さらに、ダイバーシティ(多様性)の実現のために、女性管理職比率等の中長期的なKPIを設定し、その実現に努めてまいります。
法令遵守の徹底や高い倫理観、人権意識に基づく企業活動の実践により、社会から信頼され続ける企業として、社会的使命を果たしてまいります。そのためにも、定期的なコンプライアンス研修の開催等役職員一丸となって公正な事業活動を推進してまいります。
当社では、感染症の影響によるビルディングイノベーション事業の売上減少や、月極イノベーション事業の「アットパーキングクラウド」における新規顧客獲得のための広告宣伝費や営業代行費用、社内の営業人員の拡充といった先行投資により、2020年12月期から2022年12月期まで当期純損失を計上しております。一方で、ビルディングイノベーション事業においては、コロナ禍収束後は貸会議室の需要の回復により、売上高も回復しております。また、月極イノベーション事業の先行投資に関しては、今後の資金繰りに支障がないように取引金融機関と連携するとともに新株発行による資金調達も実施し、当該先行投資の結果として「アットパーキングクラウド」の売上高も伸長しており、収益力も高まっております。そのため、現時点で財務上の課題は認識しておりません。
今後も売上高の継続的な成長と業務の効率化を通じて当期純利益の伸長を図るとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの水準と投資とのバランスを注視し、金融機関との協議を継続することで引き続き十分な運転資金を確保できるものと判断しております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、「まだ世の中に無い独自の発想から資産の新たな価値を生み出し、その仕組を創造することで社会永遠の発展に貢献することを行い、株主の利益を最大化することを目標とする」という基本方針を掲げております。また、当社の持続的かつ健全な成長のためには、より一層のガバナンス強化や、リスク管理を徹底するとともに、企業活動の中心となる役員及び従業員に係る人件費については「コスト」ではなく「投資」と捉え、公平性・透明性・納得性の高い人事制度の設計及び運用、研修・福利厚生等の各種施策を実行することでエンゲージメントを高め、個人の成長を支援していくことが必要と考えております。さらに、当社の事業活動を通じて駐車場やオフィス等の有効活用に関わるあらゆる取引をDX化し顧客の期待に応え続けていくことで社会課題の解決に貢献し、効率的な社会運営にシフトすることがサステナブル(持続可能)な社会の実現につながると考えます。
当社は、サステナビリティに関する考え方や取組について取締役会及び執行役員会議において協議し、決定いたします。取締役会は、当社のサステナビリティ課題への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行います。当社のガバナンス体制に関しては、
当社は、事業を通じて働く一人ひとりに柔軟な働き方や自律的なキャリア形成、活躍の場の広がりを提供することによって、社会課題の解決に取組んでおります。 また、当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、
当社は、
当社は、月極イノベーション事業においてWebサイト「アットパーキング」を運営しております。当事業年度末において37.4万の登録台数があり、不動産業界のDX推進を支援するサービスを展開しております。中期的な会社の経営戦略としては、経営資源の有限性の観点から収益性の高い月極イノベーション事業に注力し、APクラウド登録台数を増加させてより多くの顧客の獲得を図ると共に、環境に合わせたサービス・事業を開発し続けます。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、セグメント別に以下のとおりであります。
当社では、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に判断した上で行われる必要があると考えております。また、当該リスクを把握し管理する体制・枠組みとして、当社内にコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し対応しております。詳しくは「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 ホ コンプライアンス・リスク管理委員会」をご参照ください。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべての事業活動上又は投資判断上のリスクを網羅するものではありません。
当社の月極イノベーション事業は、「駐車場法」及び「建築基準法」等の関連法規制に従って事業を遂行するとともに、当社の事業が直接的に規制を受けていない分野においても、間接的に影響を受ける可能性のある環境下で経営を行っております。これらの分野において、将来における法律の変更、法律解釈の変更、政策の変更、実務慣行等の変更により、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、駐車場の設置に関する法令としては、都市における自動車の駐車のための施設に関し必要な事項を定めた「駐車場法」をはじめ、都道府県公安委員会による交通規制等を定めた「道路交通法」並びに自動車保有者に対して自動車の保管場所等を定めた「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」等があります。現在、当社が営む「アットパーキングクラウド」及び月極駐車場サブリースサービスの運営上、直接的な影響はありませんが、これらの法律が変更された場合、若しくは今後、都市部の自動車利用の制限につながるような法改正等がなされ、駐車場需要が減少した場合には、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、社内の管理体制を構築することによりこれら法令を遵守する体制を整備しております。また、顧問弁護士等とも連携し、最新の情報を収集しております。法的規制等への対応が必要となった場合には、事業部門の責任者、管理部門の法務担当、コンプライアンス・リスク管理委員会を中心に、適切な対応を取れる体制を整備しております。
当社の月極イノベーション事業における「アットパーキングクラウド」は、月極駐車場管理業務をオンラインで提供する比較的新しい事業であります。当社としては、月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」による集客力や、駐車場の空き埋まりに関する情報をリアルタイムに収集可能といった競合優位性を有している一方で、競合他社が存在しており、今後も他業種大手企業から高度に専門化した新興企業に至るまで、様々な事業者が新規に参入する可能性があります。これらの競合他社や新規参入業者は、その資金力、技術開発力、営業力、知名度などにおいて、当社よりも優れている場合があり、その優位性を活用してサービス開発に取組んだ場合、競争が激化する可能性があります。そのため、既存事業における既存顧客との関係強化及び営業体制強化による新規顧客獲得、これまで培ってきたIT・知見・データを活かした顧客ニーズに合致した新たな高付加価値サービスの開発と事業領域の拡大により、競合企業に対する競争優位性を保持すべく努めておりますが、競争環境の大きな変化や激化等、競合の状況によって当社の競合優位性が失われた場合には、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、営業人員の拡充及び広告宣伝活動等の知名度向上施策の実行により顧客である管理会社の新規獲得のペースを速め、「アットパーキング」のリニューアルや掲載台数の拡大により顧客である駐車場利用者の新規獲得に注力するとともに、当社に蓄積された月極駐車場のデータや満空情報、利用者及びその保有する自動車に関するデータを利用し、EV充電設備付駐車場や短期貸しといった月極駐車場内の未稼働区画の有効活用など、管理会社の収益改善、駐車場利用者の利便性向上につながる多様な高付加価値サービスを開発・提供することで競合優位性を保持できるよう努めてまいります。
ガソリン価格の急騰や若者の車離れ、MaaS(※)の発展による自家用車保有の減少等により、国内の自動車保有台数が急激に減少する等の外的要因により、駐車場需給が急激に緩和することとなった場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、そのような事業環境の変化も想定し、当社に蓄積された月極駐車場のデータや満空情報、利用者及びその保有する自動車に関するデータを利用し、EV充電設備付駐車場や短期貸しといった月極駐車場内の未稼働区画の有効活用など、新たな駐車場スペースの有効活用方法を継続的に検討し多様な高付加価値のサービスを開発・提供できるよう努めてまいります。
※ MaaS:Mobility as a Serviceの略で、従来の交通手段・サービスに自動運転やAI(人工知能)などの様々なテクノロジーを掛け合わせた次世代の移動サービスを意味します。
当社は、月極イノベーション事業において自社運営駐車場(サブリース)を展開しており、ここでは平置き駐車場だけではなく機械式駐車場も提供していることから、その安全性確保については、最優先課題として取組んでおります。しかしながら、当社が契約する機械式駐車場や付帯設備等において、利用者が適切な方法・手順により使用されない場合には車両の破損といった安全性に問題が生じる可能性があります。このような問題は、当社のブランド価値及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、機械式駐車場や付帯設備等に対し、監督官庁の法定点検を実施し、適用される規制を遵守し、要求される全ての安全性・品質基準を満たすよう努めるとともに、事前に駐車場利用者へ適切な使用方法・手順の説明を実施しております。
当社は法令及び契約等の遵守に努めており、現在、当社の経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来当社に対して訴訟が提起されその内容又は請求額等によっては、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対し、当事業に関わる新しい法令の施行や法令の改正が行われた場合にその影響を適時に把握し対応策を検討すべく法務担当を設け、また顧問弁護士からも適時に専門的な助言を受ける体制を整えることでリスクへの対応に努めてまいります。
当社の月極イノベーション事業は、法人顧客及び個人の月極駐車場利用者との取引がメインとなりますが、顧客企業の担当者名や利用者個人の情報等の様々な個人情報を取得する機会があり、万が一、重要な個人情報の漏洩が発生した場合には、当社の社会的信用が失墜し、損害賠償費用の発生等当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社では「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、「個人情報保護規程」「顧客情報管理規程」「情報システム管理規程」等の関連規程の適切な整備・運用と従業員への教育により、個人情報の管理には万全を期しております。さらに、「プライバシーマーク」及びISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格「ISO/IEC27001:2013」と国内規格「JIS Q27001:2014」の認証を取得しており、情報セキュリティの強化に努めております。しかしながら、万が一、重要な個人情報が社外に流出すること等により、個人情報の保護が損なわれた場合には、直ちに経緯及び内容を公表し、被害拡散防止等の対策を講じるとともに、徹底した事実調査と原因究明を実施し、再発防止策を策定することにより、信用回復を図ることができるような管理体制を整備しております。
当社のAPクラウドサービスにおいては、当社が管理会社に対して滞納保証しており、仮に、駐車場利用料の遅延・滞納が起きた場合には、利用者に代わって当社が利用料の立替払いをいたします。これにより、当社は保証契約に基づく求償債権を取得することになり、当社の定めるルールに従い過度な督促にならないよう配慮し、債権回収を専門に行う部署が回収を担当しております。しかしながら、経済状況や雇用環境が著しく悪化し利用者の支払能力が低下した場合には、これらの債権を全額回収できるとは限らず、回収の長期化、回収不能債権の増加につながることで、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、このリスクに対して過去の未回収金の発生状況等を勘案した保証料率を設定し、保証契約に基づく求償債権に対して過去の滞納実績に基づき貸倒引当金を計上することで対処しております。また、駐車場利用料支払いの遅延・滞納が発生する前の段階で、契約に基づく請求額が遅延・滞納となり未回収となる金額を過去の滞納実績に基づき保証履行引当金を計上することで対処しています。したがって、個別の滞納状況を適時に把握し社内ルールに基づく適切な回収努力により未回収実績を減らすことで貸倒引当金及び保証履行引当金の計上金額を抑えるよう努めております。しかしながら、実際の未回収件数が当社の想定した見積りを上回った場合、現時点の貸倒引当金及び保証履行引当金は不十分となる可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の属する貸会議室業界は、参入障壁が高いとはいえないため大企業から各種団体や公共施設まで全国に多数の同業者が存在しております。当社では競合他社に比較して、出店エリアや価格面ではより有利な利用条件を求める顧客層向け会議室や、時間単位の面では休日を含め早朝から深夜まで利用可能な会議室の充実や、1時間単位での利用を可能にすることで、競合他社よりも幅の広い顧客層を取り込むとともに、貸会議室に付随する多様なサービスを展開し、差別化することで優位性を確保しております。しかしながら、これらの競合に対応するための各種方策の実施に伴うコストの増加や、他社が参入することでさらに利用客数や利用単価が低下し利幅が縮小すること等により、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、顕在化した利用者のニーズに対応するとともに、潜在的なニーズを素早く察知しサービス内容を充実させることで、競争優位を保持できるよう努めてまいります。
当社の強みは、物件の所有権を取得しない持たざる経営による機動的な出店戦略にあります。このため事業の拡大に向けて、貸会議室を新規契約若しくは既存契約を延長し、さらなる会議室の貸出しを実施する必要がありますが、貸会議室の新規物件が当社の計画どおりに確保できない若しくは既存物件が計画どおりに延長できない場合、定期借家契約において賃料の値上げを通知された場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、新規物件を取得する場合は、不動産オーナーのニーズを的確に把握し、対応すべく契約獲得に向けて、必要な措置を講じております。加えて、既存契約の延長については、不動産オーナーによる再開発計画の進捗等を的確に把握し、延長交渉を行うことで対応してまいります。
当社が貸会議室を運営するにあたり、フロアの借り上げにより直営する場合、不動産オーナーに対して、当社が敷金及び保証金を差し入れます。この場合、契約終了に伴って、契約条項に基づき、敷金及び保証金の返還を受けることとなりますが、何らかの理由により、不動産オーナーから敷金及び保証金の返還を受けられず、回収できなくなる場合は、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、敷金及び保証金を差し入れている不動産オーナーへの信用調査を定期的に行うことで、回収できなくなるリスクを低減するよう努めております。
当社貸会議室の大口顧客企業における利用目的は、採用活動や新入社員研修を中心とした利用が比較的多い傾向にあると考えております。これは人口減により売り手市場となっていることや、雇用の流動化による転職市場の活性化を要因として人材採用活動が積極化していることと一定の関連性があるものと当社は考えております。今後、景気後退等の理由により企業の採用活動や新入社員研修等の需要が減少した場合や採用方法がオンライン会議ツールの活用などに移行した場合、貸会議室の利用が減少することにより当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、会議や各種セミナー、研修・試験・検査会場、ファンミーティング会場などの様々な会議室需要を積極的に取り込み、顧客の貸会議室利用の多様化ニーズへの対応強化を図っております。
当社が月極イノベーション事業において扱う月極駐車場は全国に分布しており、またビルディングイノベーション事業において扱う貸会議室の多くは首都圏に集積しております。したがって、全国、特に首都圏において、地震、暴風雨、洪水、ウイルス、その他の天災地変、事故、火災、戦争、暴動、テロその他の人災等が発生した場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業には、顧客を始めとする様々なステークホルダーと良好な関係を構築することができる人材が不可欠でありますが、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画どおりに進まなかった場合、長期的視点から、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対し、事業の継続的発展のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開し、また、目標管理制度に基づいた公平性・透明性・納得性のある評価・処遇制度の構築、自律型人材や当事者意識を強く持つ人材を育成するための各種教育制度の拡充、貸会議室運営のノウハウの伝承等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し社員の定着と育成に努めております。
当社は、情報システムの安全性には最善を尽くしておりますが、自然災害や事故、また、システムの欠陥、コンピュータウイルスの侵入、外部からの不正手段によるコンピュータ内へのアクセス等により、顧客へのサービス提供等に支障をきたす可能性があり、自然災害等を原因としシステム上何らかのトラブルが発生した場合には、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこれらのリスクに対して、PCや顧客との接点となるポータルサイト、各種管理システムへのセキュリティ強化や稼働状況の監視、社内体制の整備等を実施することでリスクの軽減に努めております。
当社は、主要事業の運営資金を金融機関からの借入金及び社債の発行によって調達しております。当社は特定の金融機関に依存することなく借入金の調達を行っておりますが、金融情勢や経済情勢等により金利水準や金融環境等に変動があった場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対して、新株発行による資金調達により、有利子負債に過度に依存しない資本構成となるよう努めてまいります。さらに、資本コストの最小化の観点から、有利子負債と自己資本の割合が最適となるよう、資金調達についてはその方法を慎重に検討してまいります。
当社の取締役会長である大竹弘は、2005年当時当社の代表取締役社長へ就任以来、当社の経営戦略の構築やその実行に際して、重要な経営方針を決定し、特にビルディングイノベーション事業推進において重要な役割を果たしてまいりました。また、当社の代表取締役社長である増田知平も、2007年当時当社の取締役へ就任以来、当社の経営戦略の構築やその実行に際して、特に月極イノベーション事業推進において重要な役割を果たしてまいりました。しかしながら、何らかの理由により当社における業務遂行が困難になった場合、当社事業にも影響が生じ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対し、当社の事業が順調に成長を遂げる中で、特定の人物に依存しない体制を構築すべく、人材の強化を図るとともに、権限委譲を積極的に推し進めており、さらに、任意の指名報酬委員会を設置し、サクセッションプランの策定により後継者の育成に努めてまいります。
当社の事業は、現時点では先行投資の段階にあり、事業展開のスピードを高め、規模の拡大に伴って必要な資金を確保する観点から、当面は利益配当を実施せず、内部留保に努め、事業拡大に必要な資金の確保を優先する方針であります。この方針のもと、当社は創業以来利益配当を実施しておりません。しかしながら、株主への利益還元についても重要な経営課題と認識しており、将来、経営成績及び財政状態を勘案しながら、利益配当による株主還元を実施していく方針ではありますが、本書提出日現在において、配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては未定であります。
上場により調達した資金の使途については、新たなサービスの開発及び事業拡大のために必要なシステム投資や人材の採用費・人件費等の運転資金、貸会議室の新規開発に係る設備投資、事業拡大に伴う人員増に対応するための新オフィスに係る設備投資に充当する予定であります。しかしながら、今後の事業展開において事業計画の変更が必要となり、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があります。その場合は、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果を上げられない可能性があります。このリスクに対して、投資に対するリターンを最大化するための事業戦略及び事業計画を慎重に立案・実行し、また事業環境の変化に応じて適時かつ柔軟に戦略や施策の修正を行うことでリスクの低減に努めてまいります。
当社では、取締役、従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。また、今後においても新株予約権を含めた株式報酬制度を活用していくことを検討しております。現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権等について権利行使が行われた場合には、既存の株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は117,900株であり、発行済株式総数(自己株式数控除後)の6.2%に相当しております。
当社は、2020年12月期から2022年12月期にかけて、感染症の影響による売上高の減少と事業拡大のための積極的な投資等を行ってきたことから、当期純損失を計上し税務上の繰越欠損金が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金の控除には、税務上、一定の制限も設けられております。よって計画どおりに課税所得が発生しない場合、通常の税率に基づき税負担が増えることから当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があり、当社はこのリスクに対し、事業計画に基づく課税所得の予測を慎重に検討しリスクの低減に努めてまいります。
当社は、今後の事業運営及び業容拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しておりますが、事業規模に応じた内部管理体制の整備に遅れが生じた場合は、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はこのリスクに対し、今後、事業規模の拡大に合わせて、システムの導入及び人員の拡充により内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。
当社は、2020年12月期から2022年12月期まで経常損失及び当期純損失を計上しておりますが、これは感染症の影響 による売上高の減少と事業拡大のための積極的な投資等を行ってきたことによるものであります。
当社では、「アットパーキングクラウド」の顧客である管理会社の管理業務の省力化及び収益性の向上、駐車場利用者の利便性の向上により顧客基盤の拡大に努めるとともに、引き続き営業人員の拡充等の将来投資を継続し事業規模拡大に向けて事業を推進してまいりますが、想定通りに新規顧客の獲得が進まない場合や、新たな災害等により貸会議室の需要が大幅に減少した場合には、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はこのリスクに対し、市場や競合企業の動向を含む経営環境の変化を素早く察知し、売上高の先行指標となるKPIの計画と実績の差異が発生した場合にはその原因を分析することで必要に応じ適宜戦略・戦術を修正し、また、継続的にコスト構造の見直しと業務の効率化を進めることで経営環境の変化に対応してまいります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されておりました。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等が当社に与える影響は不透明であり、今後も引き続き注視し、適切な対応を講じてまいります。
このような環境下、当社は「CREATE FUTURE BASE」のミッションのもと、月極駐車場オンライン管理支援サービスである「アットパーキングクラウド」に係るAPクラウドサービスを中心とする月極イノベーション事業、貸会議室の運営に係る会議室サービスを中心とするビルディングイノベーション事業の拡大に努めました。
営業概況としましては、APクラウドサービスにおける契約社数の拡大により当該サービスに係るシステム登録台数(APクラウド登録台数)が大幅に増加したこと、コロナ禍の影響が薄れ会議室・シェアオフィス等の需要が回復したことから、当事業年度の売上高は2,367,523千円(前年度比15.1%増)の増加と堅調に推移し、コスト面では、APクラウドサービスの顧客獲得に伴う営業費用や、カスタマーサービスに係る費用等が減少した結果、営業利益は183,252千円(前年度比779.9%増)、経常利益は155,063千円(前年度比1,224.2%増)、当期純利益は130,952千円(前年度比68.2%増)となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりであります。
(月極イノベーション事業)
当事業においては、従来の月極駐車場サブリースサービス、月極駐車場マッチングサービスを含むAPソリューションサービスに加え、主力事業である「アットパーキングクラウド」の導入が急速に拡大したことにより、全国において扱う駐車場数が大きく拡大し集客数が増加することでさらに評価が上がり、「アットパーキングクラウド」の導入が進むという競争優位のスパイラルが生まれました。月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」においても、掲載物件数の増加、認知度向上や物件掲載エリアの全国拡大が進み、「アットパーキング」の顧客である管理会社等の集客力向上につながりました。APクラウドサービスについては営業人員の強化、当社管理システムへの登録推進や管理会社との関係強化、サービス内容の拡充などに社内資産を集中することで、新規顧客(導入先)の獲得と管理システムへの登録を進めたことにより、当事業年度末で「APクラウド登録台数(※)」は374,032台(前事業年度末比20.0%増)となり、当社と契約する駐車場利用者も大きく増加しました。その結果、当事業年度における売上高は大幅に増加し1,405,954千円(前期比26.3%増)、セグメント利益は366,783千円(前期比102.0%増)となりました。
※「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 「APクラウド登録台数」」参照
(ビルディングイノベーション事業)
当事業においては、会議室やセミナー、研修等を対面で実施する需要がコロナ禍から回復し、貸会議室の稼働が好調に推移しております。前期から引き続き、従来型のセミナーをオンライン型に切り替えるというニーズに対応した、オンラインセミナーサポートの普及に努めるとともに、テレワークやリモートワークのニーズに応えるサービス(WEB会議システム、ひとり会議室)の推進を行うことでユーザーから支持される会議室とシェアオフィス等の運営に努めました。貸会議室の主要な利用目的である研修、セミナー、集会等、人が集まることに対して、感染症拡大の懸念による影響が薄れ、貸会議室の需要回復に伴い利用時間が増加し、さらに利用時間単価の値上げ施策を実施した結果、当事業年度における売上高は956,797千円(前期比1.4%増)、セグメント利益は261,535千円(前期比6.6%増)となりました。
当事業年度末における流動資産は2,102,846千円となり前事業年度末に比べて579,882千円増加しております。その主な要因は、現金及び預金が株式の発行等により339,697千円増加、月極イノベーション事業の拡大に伴い預け金が212,353千円増加、未収入金が19,524千円増加したことによるものであります。固定資産は327,726千円となり、前事業年度末に比べて12,485千円増加しております。その主な要因は、減価償却費の計上により建物附属設備が21,666千円減少した一方で、投資有価証券が29,500千円増加、繰延税金資産が4,052千円増加したことによるものであります。
以上の結果、総資産は前事業年度末に比べて592,368千円増加し、2,430,572千円となっております。
当事業年度末における流動負債は1,420,487千円となり、前事業年度末に比べて179,775千円増加しております。その主な要因は、短期借入金が100,000千円増加、月極イノベーション事業の拡大に伴い預り金が92,175千円増加した一方で、未払消費税等が35,607千円減少したことによるものであります。固定負債は232,947千円となり、前事業年度末に比べて113,023千円減少しました。その主な要因は、社債が償還により60,000千円減少したこと、長期借入金が返済により50,040千円減少したことによるものであります。以上の結果、負債合計は前事業年度末と比べて66,752千円増加し、1,653,435千円となっております。
当事業年度末における純資産合計は777,136千円となり、前事業年度末に比べて525,615千円増加しております。その主な要因は、上場に伴う資金調達等により資本準備金が145,507千円増加、欠損填補等により利益剰余金が1,087,304千円増加したこと、減資等により資本金が43,100千円減少、その他資本剰余金が671,811千円減少したことによるものであります。その結果、自己資本比率は32.0%(前事業年度末は13.7%)となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度と比べ339,697千円増加し、1,344,177千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、21,132千円の収入となりました。この主な要因は、預け金の増加212,353千円、未払又は未収消費税等の減少35,607千円によりそれぞれ資金が減少した一方、税引前当期純利益が133,446千円、減価償却費が21,638千円、減損損失が21,616千円となり、また預り金の増加92,175千円により資金が増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、56,496千円の支出となりました。この主な要因は、投資有価証券の取得による支出30,000千円、敷金の差入による支出9,666千円、無形固定資産の取得による支出8,791千円等により資金が減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、375,062千円の収入となりました。この主な要因は、株式の発行による収入271,275千円、自己株式の売却による収入103,135千円、短期借入による収入100,000千円等により資金が増加した一方で、社債の償還による支出60,000千円、長期借入金の返済による支出50,040千円等により資金が減少したことによるものであります。
当社が営む月極イノベーション事業及びビルディングイノベーション事業の生産は、提供するサービスの関係上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
当社が営む月極イノベーション事業及びビルディングイノベーション事業の受注は、提供するサービスの関係上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごと及びその内訳としてサービス別にカッコ書きで示すと、次のとおりであります。
(注) 1.月極イノベーション事業における収益は、契約先である不動産管理会社から得られるシステム利用料(原則一律で月額15,000円)及び月極駐車場を利用頂いている多数の個人・法人顧客から得られる駐車場利用料、仲介手数料、保証料等であるため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。
2.当事業年度において、月極イノベーション事業セグメントの販売実績に著しい変動がありました。これは、APクラウドサービスにおきまして、管理会社及び月極駐車場利用者の新規顧客獲得が進んだことによるものであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。
当事業年度における財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社の財務戦略として、負債・自己資本のバランスをコントロールしながら、成長事業への投資をコントロールしていくことを通じて、財務規律を維持しながら、効率性を意識した利益成長を実現し、ROE向上及びEPS成長、ひいては企業価値の向上を目指します。
当社の運転資金需要のうち主なものは、APソリューションサービスにおける駐車場オーナーへの賃借料、貸会議室サービスにおけるビルオーナーへの地代家賃、人件費・業務委託費・広告宣伝費といった販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、月極イノベーション事業におけるソフトウエア開発等のシステム投資によるものであります。
当社は、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社の事業の性質上、基本的には役務提供前にその対価を収受するものとなりますので、基本方針に沿って財源を確保しております。
当社の財務諸表は一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成しております。この財務諸表の作成に関する重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。また、この財務諸表作成における見積りにつきましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
当社の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
減損損失の判定にあたっては、主として事業用資産については管理会計上の区分ごとに、将来の使用が見込まれない遊休資産については物件ごとにグルーピングしており、収益性の低下や時価の下落等の有無等により兆候判定を行っております。また減損損失の認識・測定における、割引前将来キャッシュ・フローの見積りは、経営環境等の企業の外部要因に関する情報を踏まえ、取締役会によって承認された事業計画等に基づいて行っており、投資額や帳簿価額の回収可否について判定を行っております。
繰延税金資産の回収可能性の判断については、緊急事態宣言の発出などを受けた外出自粛の影響やテレワークを始めとした働き方の変化による貸会議室需要の大幅な減少等に伴い、繰延税金資産の回収可能性の判断に係る重要性が高まったことから、重要な会計上の見積りに該当いたします。繰延税金資産の回収可能性は、将来の収益力に基づく課税所得及びタックス・プランニングに基づき判断をしております。課税所得の見積りは、実績ならびに翌事業年度を含む事業計画を基礎としております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載をしております。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、主な経営指標として売上高成長率、営業利益率、営業活動によるキャッシュ・フロー、APクラウド登録台数を重視することで、企業の成長性及び企業価値を高め持続的な経営を目指しております。各指標の推移は以下のとおりであります。
(注)APクラウド登録台数は各事業年度末時点の累計台数であります。
該当事項はありません。