第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループでは、「豊かで多様なライフスタイル“グローバルライフスタイル”の提案とその進化・創造の支援」を企業方針とし、国内・国外を問わず多様なお客様に対して、様々な価値ある商品やサービスをお届けする取り組みを行っております。今後も国内外の市場において最適な商品・サービスを提供できるよう、グループ各社のブランディング及び販売・商品強化に努め、世界中の人を笑顔にする、一人ひとりに価値あるものを見つけ出し、発信していきます。

 

(2)経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境については、経済活動の正常化が進む中、大手企業を中心に雇用・所得環境の改善が進展し、緩やかな回復が期待される状況となりました。一方で、地政学リスクの高まりや日本銀行による金融政策の変化、為替レートの変動などにより、資源や原材料価格が高騰し、それに伴う物価上昇が続いております。これにより、景気回復や消費喚起の見通しについては依然として不透明な状況が続いております。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、2025年3月28日付で2025年12月期から2027年12月期までの3ヵ年における中期経営計画を公表いたしました。詳細については、「中期経営計画の策定に関するお知らせ」をご参照下さい。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、収益性向上と顧客セグメント拡大による次世代成長戦略を、4つの主要テーマを持ち、主力事業に経営資源を集中させ取り組んでまいります。

 

1 収益性を優先した改革・成長戦略

 コロナを経て黒字体質となった事業構造・本社体制を維持、継続的に強化していく。

 

2 更なる選択と集中

 事業ポートフォリオの見直しはコロナ禍において前進するも、主要な事業の中には、日用品やお土産品、家電製品から更に宝飾品まで多くの商品カテゴリがあり、成長性・収益性を踏まえて、更な選択と集中を進めていく。

 

3 顧客セグメントの拡大とシフトチェンジ

 インバウンド需要など、特定の顧客セグメントに依存している事業構造からの脱却を図り、より持続的な成長を目指す。

 

4 グループシナジーの最大化

 グループの持つブランド力、チャネル、ネットワーク、アセットなどを有効活用し、グループ全体での収益基盤の強化を図る。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、多様なチャネルを通じてお客様へ優れた商品やサービスをお届けすることで、お客様の満足度を最大限にし、グローバルライフスタイルを実現していくということを課題としております。

 コロナによる大きな業績への影響を受け、事業・店舗・組織の再編を断行。その後は、収益性を優先した改革の継続などにより、足元の業績回復に努めて黒字転換を実現してきており、今後については(3)中長期的な会社の経営戦略の4つのテーマに沿った展開で施策を進め、更なる業績向上に取り組んでまいります。

 主力であるギフトソリューション事業においては、返礼ギフトやフォーマルギフトに偏りすぎたビジネスモデルからの脱却が課題となっております。オリジナルスイーツブランドの認知度向上を目指しながら、顧客接点を増やし商品の品揃えを拡充していきます。

 次にリテール事業においては、総合免税店型のビジネスモデルから、より売上や収益性の獲得が見込めるカテゴリのマーチャンダイジングを強化し、発信型・提案型のリテール店舗を確立していきます。また、アパレル店舗については、高いロイヤリティを持つお客様へパーソナルサービスの展開と合わせて、新たなターゲット層への効果的な訴求を軸にブランドの認知度と価値向上を図りながら売上・利益拡大に努めてまいります。

 さらに、当社グループの目標であるグローバルライフスタイルの確立のため、各事業で最大の効果を創出できる協業体制、その為の人材の適正配置、専門性強化の社内研修体制の充実、多様な人材が活躍できる企業風土の醸成と、業務効率の向上、固定費の徹底した管理などキャッシュフローの改善に組んでまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「生活環境を豊かにするGlobal Life Styleの実現」という基本理念のもと、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指しながら、社会課題の解決と企業成長の同時実現に取り組んでおりますが、当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組みは、以下のとおりであります。

 

ガバナンス

 当社グループは、持続的な企業価値の向上へ寄与するものとして、サステナビリティを巡る社会課題への取り組みを考え、地球環境保全の取り組みを推進しております。その推進体制として、当社の代表取締役会長を議長とし、各部門長・グループ各社の社長で構成する「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに係る基本方針や中長期計画及び目標についての審議のほか、計画や目標達成に向けた具体的取り組みの進捗状況の共有及び監視を行っております。

 なお、サステナビリティ委員会における審議事項は、必要に応じて取締役会に付議又は報告しております。

 

戦略

(1)気候変動などの地球環境問題への配慮

 脱炭素化に向けた調達コストの増加等、気候変動は当社の事業活動に対し、さまざまなリスク及び機会をもたらす可能性があり、気候変動への対応は当社グループの持続的な成長においても、重要な課題であり、将来的にCO2排出量実質ゼロに向けた各種施策に取り組んでまいります。

 

(2)人的資本に関する方針

 私たちは上述の、基本理念(生活環境を豊かにするGlobal Life Styleの実現)に基づき、「お客様の生活を彩る様々な物語を創造していくこと」、「お客様の日常に幸せをもたらす存在であること」をポリシーとして事業を営みます。この源泉は「人」であり、新たな価値を探究し発信し続ける進取果敢な人財こそが当社にとって最も大切な資産であると考えます。

 従業員一人ひとりが、グループ共通価値である「Global Life Style」を基点としてつながり、その提案と進化・創造を体現するためにグループの多様性と総合力を結集して個性と持ち味を最大限に発揮できる「人財育成」と、従業員の心身の健康を維持できる適切な「社内環境の整備」を推進してまいります。

 これらは「お客様の生活を彩る様々な物語を創造していく」という経営理念に必須の牽引事項かつ事業推進の鍵であり、人的資本経営の要であります。全ての従業員が働きやすさと働きがいを両立できる、エンゲージメントの高い組織づくりに努めて参ります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

(1)人財育成方針

 ラオックスホールディングスにおいて最大の経営資源は「人財」です。当社は人種・国籍・年齢・性別・信仰や文化などに拘わらず、多様なバックグラウンドを持つ社員が互いに尊重・協力しあい、個の能力や個性を発揮できる基盤であることを目指します。各個人の能力を最大限に発揮できる環境を整備し、持続可能な成長を描ける場を提供してまいります。

① 「Global Life Style」をリードする次世代リーダー、マネジメント人財の育成

 グループ共通価値の実現に向けた推進力となる次世代リーダー層やマネジメント層の育成をグループ人財戦略の重点課題とし、取り組みを推進しています。専門人財のキャリア採用と連動した育成体制を構築するとともに、グループを横断した育成の場づくりを行っていくことで、経験値を高め、専門性の向上と多様な交流の中から意識改革と育成効果の最大化を図っています。

 

② 事業成長の原動力となる若手人財、ポテンシャル人財の育成と抜擢

 事業成長の担い手となる若手人財の確保に注力し、社内外の育成と活躍の機会を拡充しています。また、ポテンシャルの高い人財を抜擢し、重要なポジションへの積極的な配置転換を推進することで成長の機会を拡大しています。さらに、若手人財の確保やポテンシャル人財を発掘し、育成していく流れを確立していくために、スキルやキャリアを把握するタレントマネジメントの仕組みを構築してまいります。

 

③ 成長戦略の要となるビジネス機能の集約とキーポジションの人財育成・輩出

 主力事業拡大の起点となるEC・物流をはじめとした機能の集約・強化とともに、キーポジションを集中的に育成し輩出する体制と仕組みを構築しています。専門人財を育成する機会とするとともに、グループのナレッジとノウハウを集結し機能を洗練させながら、グループ横断的に還元し各事業に活かす好循環を図ってまいります。

 

(2)社内環境整備方針

 当社グループは、今後一層のグループシナジーの最大化、および必要に応じてスリム化と効率化を図っていくフェーズとなります。ついては、「グループ間各社」を巻き込んだ包括的一元システムの導入や、人員の横断的配置および循環を推進してまいります。前述記載の人財育成方針に則り、下記3要素の社内環境整備方針を設置いたします。

① グループシナジーの活性化

 グループを横断した配置転換や社内公募制を展開し、従業員のキャリア実現や成長機会を提供するなど、事業の多角・複合展開の利点を最大限に活かして、個人と組織の成長に資する複線的な選択肢の提供を可能としています。さらに、越境学習や人財交流をダイナミックに実施することで、対話・コミュニケーションの活性や知識と経験の触発を通じてエンゲージメントの向上に取り組んでまいります。

 

② 柔軟かつ多様な働き方の活用による女性活躍の推進と生産性の向上

 フレックスタイム制や在宅勤務、副業の適用など柔軟かつ多様な働き方を通じて、従業員の働きやすさを確保するとともに、業務効率を高めることで生産性の向上を図っています。また、グループ全体で女性管理職の登用に注力し、上位役職へチャレンジしやすい環境整備を行ってまいります。

 

③ 従業員の可能性を可視化する人財プラットフォームの構築

 個々の能力や経験・スキル、ワークライフに関する希望など、従業員一人ひとりの可能性や志向性を把握するための人財データの基盤を整備しています。人財プラットフォームの構築をもとに、従業員が個性と持ち味を最大限に発揮できる機会の創出へとつなげ、従業員の働きがいを創造してまいります。

 

リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティを巡る社会課題を外部環境変化のリスクとして把握し、「サステナビリティ委員会」をはじめ各会議体において、必要に応じて報告され、リスクへの対応方針や対応責任者を迅速に決定し、対処しております。

 また、当社グループでは、収益確保・人材確保といった継続的な経営課題をはじめとする事業活動全般に係る様々なリスクの分析及び対策の検討のみならず、社会環境問題、世界情勢をはじめとする地政学のリスク、自然災害リスクについては、リスクを全体的に管理する体制を構築することが重要であることから、「リスク管理・コンプライアンス委員会」を設置しております。「リスク管理・コンプライアンス委員会」で審議された内容は、必要に応じて取締役会へ付議又は報告され、迅速な意思決定をしております。

 

指標及び目標

 当社グループでは、持続的な企業価値の向上へ寄与するものとしてサステナビリティを巡る社会課題への取り組みを認識しており、事業を通じた社会課題の解決や社会貢献に向けた活動を推進しておりますが、現段階では各取り組みに関しての指標及び目標を設定しておりません。今後は、具体的な指標及び目標の検討をしてまいります。

 なお、地球環境問題に対する取り組み及び人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標は次の通りです。

(1)地球環境問題に対する取り組み

 当社グループは2023年7月より、グループ全体のCO2排出量の算定への取り組みを開始致しました。CO2排出量実質ゼロの具体的な達成時期の目標は定めておりませんが、実績値の集計をすすめ、目標設定ができるよう努めてまいります。

 

(2)人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

 当社グループは、女性活躍推進や、両立支援の実施、シニア人財の活躍、グローバル人財の積極活用、障碍者の活躍など、「多様な人財が活躍できる職場環境の構築」が重要と考えており、グループ全体として重要な指標を選定するために分析を進めております。当社グループでは組織再編及び適材適所を実現するための人財の配置転換を進めているため、現時点において指標及び目標は策定中ですが、従業員サーベイも実施することで、当社グループとしてより重要性の高い指標の選定及び目標設定ができるように努めてまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存です。

 

① 原燃材料の市況変化について

 当社グループのシャディ株式会社は、カタログ及びチラシ等の資材調達を行っております。これらの資材調達においては安定的な調達とともに調達コストの引き下げに向けた取り組みを継続して行っておりますが、紙パルプ等の原材料市況が世界的な需要や原油等の燃料価格の動向の影響によって、想定以上に高騰した場合、当社グループの経営成績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、原油等の燃料価格の高騰については、シャディ株式会社の事業特性としてギフト商品の発送等が伴うため、運送事業者等のコストが上昇する可能性があり、結果として当社グループの経営成績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

② 売上高の季節変動の影響について

 当社グループのシャディ株式会社は、年間売上高の構成比として、中元期(6月~7月)および歳暮期(11~12月)の4か月における売上高が年間売上高の約50%と大きな比率を占めております。また、株式会社バーニーズジャパンは、衣料品を扱っており単価及び粗利の高い重衣料を販売する10月から12月にかけて年間売上高が高い構成比となっております。この期間において、地震、台風などによる大規模自然災害や、過去に例を見ない気象状況の変化があった場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 取引諸外国とのカントリーリスクについて

 当社グループでは、中国を中心にアジア地域において、ECを含む店舗・施設の展開、現地企業への商品供給による事業ならびに現地における商品調達を行っております。従って、何らかの事由によって当該諸外国において政治・社会不安、経済情勢の悪化、法令政策の変更、外国為替相場の変動、日本に対する心証の悪化等によって当社グループが提供する商品に対する需要減退および訪日外国人旅行客の大幅な減少等が生じた場合、当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害・事故・テロ紛争等によるリスク

 当社グループでは、国内外に店舗、物流センター等の事業拠点を設置しており、大地震や台風、暴風雨、洪水その他の自然災害、予期せぬ事故、火災、テロ、紛争その他人災等が発生した場合、客数低下による売上減少のみならず、各事業拠点において物理的な損害が生じ、当社グループの販売活動・流通・仕入活動が妨げられる可能性があります。また、国内外において理由を問わず当社グループの取引先や仕入・流通・販売ネットワークに影響を及ぼす事象が発生した場合も同様に当社グループの事業に支障をきたす可能性があり、当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 情報システムや物流システムの障害が発生した場合の影響について

 当社グループの情報システムについては、堅牢性の高い外部の情報センター内に格納するなど防災対策を講じておりますが、大規模自然災害の発生や外部からのハッキングによる攻撃などにより、情報システムや物流システムなどの中枢機能が破壊的な損害を受けた場合、出荷が不可能あるいは遅延することにより、復旧までの期間の売上高が低下する可能性があります。さらに、それらの設備機能の修復や代替のための費用が、損害保険により担保している金額を超えることになった場合に、巨額な資金が必要となる可能性があり、当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 個人情報保護について

 当社グループでは、店舗およびECにおける商品販売において、メンバーズ会員等多くの個人情報を保有しております。保有している個人情報については、社内管理体制を整備し、厳重に管理を行っておりますが、コンピュータ・システムのトラブル等による予期せぬ情報漏洩が発生した場合、当社グループは社会的信用を失うとともに、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループでは、「リスク管理・コンプライアンス委員会」および「グループ内部監査室」を設置し、当社グループの業務が法令順守の方針に沿って運営されているかを監査しております。

 

⑦ 商品の安全性について

 当社グループでは、自社PB商品の開発・販売を行っており、何らかの事由によって当社グループが販売した商品に不具合等が発生した場合は、大規模な返品、製造物責任法に基づく損害賠償や対応費用の発生、信用失墜等により当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 なお、仕入に際しての品質基準の見直しや品質検査、適法検査等を強化し、安全な製品の供給に努めております。

 

⑧ 特定経営者への依存および幹部人材の確保について

 当社グループは、代表取締役を含む役員・幹部社員等の知識・経験などがグループの経営、業務執行において重要な役割を果たしており、当社グループにおける重要な経営資源となっています。しかしながら、これらの役職員が何らかの事由によって退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合、当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 固定資産の減損について

 当社グループでは、保有する資産に対して将来における価値の発揮を見込んだ上で、取得を行っておりますが、何らかの事由により将来キャッシュ・フローなどを算定し、減損損失の認識および測定を実施した結果によって固定資産の減損損失を計上する場合があり、当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 在庫リスクについて

 当社グループでは、国内外において店舗およびECでの商品販売を行っております。PB商品や衣料品については、消費者需要の変化やカントリーリスクの発生、過去に例を見ない気象状況の変化、予期せぬ事象が発生した際の売上への影響は大きく、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 なお、商品在庫については、商品の販売動向や在庫数量を徹底管理するとともに、販促およびイベント強化による、在庫リスクの軽減に努めております。

 

⑪ M&Aや提携等に伴うリスクについて

 当社グループは、事業の拡大・強化を目的として、M&A、組織再編、提携、売却等を行う可能性があります。対象企業については、リスク軽減のために入念な調査・検討を行っております。しかしながら、M&Aを行った後に偶発債務の発生や予期せぬ問題が発生することが考えられます。この場合、当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 役員・社員の不正によるリスク

 当社グループは、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスおよびリスク管理を経営上の重要な課題と位置付けており、内部統制システム整備の基本方針を定め、同システムの継続的な充実・強化を図っております。業務運営においては役員・社員の不正および不法行為の防止に万全を期しておりますが、万一不正および不法行為が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 感染症等の影響について

 今後、なんらかの感染症が拡大した場合には、当社グループ直営店舗及び商業施設での営業制限、訪日外国人旅行客の需要減少や外出自粛による消費低迷、また、これらの影響が長期にわたった場合、当社グループの経営成績および財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の概要

(1)経営成績の分析

 

当連結会計年度におけるわが国の経済は、経済活動の正常化が進む中、大手企業を中心に雇用・所得環境の改善が進展し、緩やかな回復が期待される状況となりました。一方で、地政学リスクの高まりや日本銀行による金融政策の変化、為替レートの変動などにより、資源や原材料価格が高騰し、それに伴う物価上昇が続いております。これにより、景気回復や消費喚起の見通しについては依然として不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社グループにおきましては、経営理念「豊かで多様なライフスタイル“Global Life Style”の提案とその進化・創造の支援」の実現と、事業の再成長に向け、着実な事業戦略を進めております。ギフトソリューション事業では、お中元やお歳暮などの伝統的な返礼ギフト市場が年々縮小する傾向にあります。この状況を打破するため、時代の変化に対応し、従来の返礼ギフトに加え、カジュアルギフト市場への積極的な参入を進めてまいりました。さらに、経営効率や収益体質の改善を図りながら、次なる成長の基盤を確立するため、多角的な施策に取り組んでおります。また、リテール事業においては、アパレル店舗は苦戦しておりますが、免税店舗は、訪日外国人旅行客需要の牽引により、売上は堅調に推移しております。

当連結会計年度の連結業績は、売上高は61,517百万円(前年同期比2.2%増)となりました。営業利益は142百万円(前年同期比50.0%減)、経常利益は226百万円(前年同期比59.2%減)となりました。また、アセット・サービス事業における契約損失引当金戻入額581百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は670百万円(前年同期比67.2%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(ギフトソリューション事業)

当事業セグメントにおきましては、主に贈物としての洋菓子や雑貨、生活関連用品の販売を行っております。洋菓子のプライベートブランド「THE SWEETS」では、ポップアップショップを通じた新規ファン層の拡大や常設販売先の獲得に取り組みました。また、4月に開催した『シャディEXPO2024』では、「シャディつながるアプリ」や新たに提供を開始したポイント発行管理プラットフォーム「SDYサンクスプラス」を来場者へ紹介し、顧客接点の拡大および新たな需要獲得に注力しました。さらに、ギフト商品の販売で培った物流機能の強化を進め、グループ内外への物流サービスの提供も開始しております。

一方、返礼ギフトなどフォーマルギフト市場における消費者行動の変化への対応の遅れによる減収をふまえ、商品の付加価値向上や経費削減を進め、収益基盤の強化を図りました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、37,113百万円(前年同期比9.7%減)となり、セグメント利益は1,178百万円(前年同期比33.6%増)となりました。

(リテール事業)

当事業セグメントにおきましては、免税店舗において訪日外国人旅行客需要が大幅に増加したことを背景に、年間を通じて売上が堅調に推移いたしました。特に上期は観光需要の高まりが顕著で、事業全体の回復を力強く後押しいたしましたが、下期には一時的な鈍化が見られるものの、高粗利商品の拡販強化などにより通年での収益性は大幅に向上しております。また、国内顧客を主に対象とするアパレル店舗では、節約志向の高まりにより一部苦戦したものの、訪日外国人旅行客需要の回復と円安を追い風に、ラグジュアリーブランド等高額品の販売が好調に推移いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、22,417百万円(前年同期比49.3%増)となり、セグメント利益は210百万円(前年同期比66.7%減)となりました。

(トレーディング事業)

当事業セグメントにおきましては、中国国内の子会社が運営する日本料理店「くろぎ」では、『和食の心の追求』をテーマに、日本の食文化やおもてなしを広めながら、新規顧客の獲得とブランド認知の向上に注力してまいりました。また、昨今の中国市場の変化に対応し、事業の再編と再構築を進めております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、662百万円(前年同期比77.3%減)となり、セグメント利益は13百万円(前年同期比91.9%減)となりました。

(アセット・サービス事業)

当事業セグメントにおきましては、商業施設物件の仲介業を行っており、管理している商業施設およびグループ不動産の有効活用に向けて、テナントの入れ替えや新たな業態の誘致、新規店舗物件の開拓にも取り込んでおります。また、キャッシュ・フローの改善やコスト圧縮による利益の向上にも努めてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、1,323百万円(前年同期比14.0%増)となり、セグメント損失は218百万円(前年同期は379百万円の損失)となりました。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は、44,061百万円(前連結会計年度末46,262百万円)となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が1,314百万円、棚卸資産が279百万円、ソフトウエアが183百万円減少したことによるものです。

(負債)

 負債合計は、21,070百万円(前連結会計年度末23,855百万円)となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が934百万円、電子記録債務が478百万円、契約負債が626百万円、契約損失引当金が765百万円減少したことによるものです。

(純資産)

 純資産合計は、22,991百万円(前連結会計年度末22,406百万円)となりました。純資産の増加は、主に、利益剰余金が670百万円増加したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ435百万円減少し、9,708百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、70百万円の支出(前年同期は187百万円の支出)となりました。

 これは主に、税金等調整前当期純利益674百万円、減価償却費858百万円、売上債権の減少額1,702百万円があったものの、契約損失引当金の減少額765百万円、仕入債務の減少額1,522百万円、契約負債の減少額669百万円、未払金及び未払費用の減少額371百万円があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、652百万円の支出(前年同期は747百万円の支出)となりました。

 これは主に、投資有価証券の売却による収入113百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出344百万円、投資有価証券の取得による支出219百万円、敷金及び保証金の差入による支出165百万円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、238百万円の収入(前年同期は1,335百万円の収入)となりました。

 これは主に、長期借入れによる収入196百万円があったことによるものです。

 

(4)生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

 該当事項はありません。

 

② 受注状況

 該当事項はありません。

 

③ 仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ギフトソリューション事業

27,288

88.6

リテール事業

12,544

149.2

トレーディング事業

543

32.7

アセット・サービス事業

104

101.9

合計

40,480

98.8

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

④ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ギフトソリューション事業

37,113

90.3

リテール事業

22,417

149.3

トレーディング事業

662

22.7

アセット・サービス事業

1,323

114.0

合計

61,517

102.2

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性がございます。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針につきましては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては一定の会計基準の範囲内で見積りがなされ、棚卸資産の評価、引当金の計上等の数値に反映されております。これらの見積りについては、必要に応じて見直しを行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 売上高は、前連結会計年度に比べて、1,329百万円増加し61,517百万円となりました。売上高の内訳の詳細については、「1.経営成績等の概要(1)経営成績の分析」をご参照ください。

② 売上原価

 売上原価は、前期比948百万円減少の41,115百万円となりました。また、売上原価率は66.8%(前期比3.1ポイント減少)となりました。

③ 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は、前期比2,420百万円増加の20,259百万円となりました。また、売上高に対する比率は、29.6%から32.9%へと3.3ポイント増加しました。

④ 損益の状況

 営業利益は、売上高の増加や原価率の改善はしたものの、販売費及び一般管理費率が増加したことにより、142百万円の営業利益(前年同期比50.0%減)となりました。経常利益は、為替差益等の計上により226百万円(前年同期比59.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、アセットサービス事業における契約損失引当金戻入額581百万円の計上により670百万円(前年同期比67.2%減)となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループが事業を展開していくうえで、経営成績に重要な影響を与える要因については、「3.事業等のリスク」に記載しておりますので、ご参照ください。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入のほか、人件費、店舗家賃および物流費などの営業費用によるものです。また、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店および既存店の改装などによる有形固定資産投資、敷金や保証金の差し入れ等によるものです。

 これらの資金需要は、主として営業活動によって得られた自己資金を充当し、必要に応じて借入金等による資金調達を実施する方針としております。当連結会計年度末においては、取引銀行4行と当座借越契約を締結しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(店舗の賃貸借契約)

 当社は、店舗1物件を当社元取締役谷口健二とその親族で所有している朝日無線電機株式会社から賃借(延面積3,563㎡、賃借料月額13,107千円(消費税除く)、敷金39百万円、保証金681百万円)しております。

 なお、当社と朝日無線電機株式会社との賃貸借契約の有効期間は1987年4月21日(原契約日1984年4月21日)から1か年とし、期間満了6か月前までに契約当事者双方から解約の申し入れがないときには、さらに1か年更新されるものとし、以降も同様の自動更新により、現在に至っております。また、賃借料は1984年4月21日以降3か年毎に不動産鑑定士の鑑定評価額を基準にして見直しを行うこととしております。

 

(ライセンス契約)

契約会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約締結日

契約期間

契約内容

㈱バーニーズジャパン

ABG-Barneys,LLC

米国

2023年5月1日

2023年5月1日から

2033年2月28日まで

ABG-Barneys,LLCが所有する商標及び商品製造・販売に関するライセンス契約

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。