第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営理念及び会社方針

(経 営 理 念)

 

「感謝」 「感動」 「共感」

 

     ・私達は、人と地球の健康に貢献し続けます。

 

     ・私達は、お客様から信頼され、感動を提供し続けます。

 

     ・私達は、明るく元気で、あたたかい会社づくりに挑戦し続けます。

 

     ・私達は、適正な利益の確保、健全な経営を維持し続けます。

 

     ・私達は、「ありがとう」を合言葉に、互いを認め、成長し続けます。

 

(会 社 方 針)

 

私達は、先進的なテクノロジーを活用し、国民の健康レベル向上に貢献する、

 

世の中に無くてはならない企業になります。

 

私達は、仕事を通じて幸せになれる企業を目指します

 

(PURPOSE)

 

デジタルで日本の医療・介護の現場を支える会社

 <解説>

  医療・介護従事者は人を救う。では、医療・介護従事者を救うのは誰だろう。日本のお医者さんは優秀です。看護師さんも優秀です。薬剤師さんも介護士さんも優秀です。その事実を、私たちは誇りに思っていい。けれど、その力や勤勉さや優しさは、もっと豊かな結果を出せるはず。もっと患者さんのためになれるはず。EMシステムズは、そう思うのです。世界に誇れる医療・介護従事者のみなさんの力、勤勉さ、優しさをつなぐことで、日本の医療・介護は、きっと進化します。私たちはEMシステムズ。デジタルで、この国の医療・介護の現場を支えてゆきます。

 

(2)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

少子高齢化社会において、医療・介護/福祉業界の改革が急務となっており、感染症対策や医療DX活用等、医療・介護/福祉従事者においては、より一層地域住民に対する重要な役割が期待されております。

政府は、医療DXの推進を行う方針を示しており、その中においては、マイナンバーカードを活用したオンライン資格確認システムや電子処方箋システムの導入が進められ、さらに医療情報のデジタル化が進み、ICTを活用することで、介護/福祉を含めた他職種での情報連携に対するニーズが引き続き高まることが予想されます。

また、診療報酬改定でも医療従事者に対する処遇改善や医療DXに対応した加算が整備される等、薬局において対物業務から対人業務へのシフトが進み、患者に寄り添うサービスが求められるとともにDXへの対応も求められています。

このような状況のもと、当社グループといたしましては、長期ビジョン実現に向けた基盤構築を目指し、2027年度を最終年度とする新中期経営計画を策定しました。本計画では、収益性及び資本効率の改善、調剤領域におけるウォレットシェア拡大、医科領域における市場シェア拡大、介護/福祉領域における黒字化の達成を掲げています。具体的には、収益性及び資本効率の改善として、2027年12月期のROEを17%に引き上げます。セグメント別では、調剤システム事業において、経営に関するオプション機能の拡充と価格の適正化などによる収益性の向上、医科システム事業において、クラウドの強みを活かした製品開発や代理店網の拡大を通じたシェア拡大、介護/福祉システム事業において、サービスラインナップの拡充と業務効率化による黒字化を目指します。

また、長期ビジョンとして掲げる「医療と介護の連携によるシナジー創出」の実現に向け、新中期経営計画を「強い土台作り」の期間と位置付け取り組んでいます。具体的には、収益性と資本効率の改善を最優先に、各事業セグメントの収益基盤をより強固なものにしていきます。同時に、40年以上にわたる医療DXのノウハウを活用した行政対応や、M&Aやアライアンスを積極的に検討し持続的な成長を実現する事業ポートフォリオ構築を目指してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

<サステナビリティ基本方針>

・今より一歩、よりよい明日へ

当社グループでは、医療(クリニック・薬局)、介護/福祉業界向けのシステム開発・販売・保守を主業としております。人々の安全・安心な暮らしを支え「人と地球の健康に貢献し続ける企業」としてステークホルダーの皆様との対話を深めながら、脱炭素社会の実現や、より一層働きやすい組織・会社づくりに取り組んでまいります。

 

①ガバナンス

 サステナビリティに関する議論を集約し、実行の質やスピードを高めるため、「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は、委員長を代表取締役社長執行役員、委員を取締役、本部長層の執行役員で構成され、サステナビリティの基本方針や重要課題(マテリアリティ)、進捗の確認、施策の見直しなどを行っております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する情報開示や新規取り組みの審議検討を四半期に1度以上必要に応じて行い、取締役会へ気候変動や人的資本を含めたサステナビリティに関する活動状況の報告と提案を定期的に行っております。取締役会は、サステナビリティ委員会に対し内容の監督と指示を行います。

 

②戦略

 サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題と認識し、中期経営計画では戦略の1つとして「サステナビリティ経営の強化」を掲げ、経営戦略の達成のための環境・社会・ガバナンスの各取組や指標が策定されております。持続可能な企業経営の実現のための重要課題(マテリアリティ)をサステナビリティ委員会で議論した上で特定し、課題解決のための取組の明文化と指標・目標管理として、それぞれのマテリアリティのテーマ毎に関連するKPIを2030年までの長期目標として設定しております。

 <重要課題(マテリアリティ)>

1.「ありがとう」をつなぐインフラ基盤の構築

2.「ありがとう」をつなぐ信頼関係の構築

3.「ありがとう」をつなぐ環境への取り組み

4.「ありがとう」をつなぐ価値共創

 

③リスク管理

 リスク管理については、社会情勢や気候変動などの環境変化に合わせ、定期的にリスク管理と分析を行っております。管理部門において、定期的にリスク事象の洗い出しを行い、主に「気候変動・天災リスク」「経営要因リスク」「内的要因リスク」「外的要因リスク」の4象限に分類しています。影響度と損失額が一番大きくなると想定される事象を特定し対策を講じます。中でも重要性や深刻度に応じて優先順位を高め、適宜取締役会で報告される体制を構築しております。

 事業継続計画(BCP)について当社グループでは、事業の中心が各種システムの提供であることから、自然災害以外に感染症やインフラ故障等についても事業継続計画(BCP)を定めております。クラウドシステム型の製品も提供しているため、ITインフラを支える基盤が万が一停止した場合(例:未曾有の大災害等におけるデータセンターの電源停止、データ通信回線の停止や要員確保が困難な状況にある場合)は、サービスの通常形態での運営の継続が困難であると位置付け、ただちに事業継続計画(BCP)を発動する要素として位置付けております。あらかじめ想定された緊急事態に対処できるよう無停電データセンターの確保、通信回線冗長化、在宅勤務可能な機器設備の用意・必要なハードウェア調達などを進め、事業継続が可能な整備を進めております。事業継続計画(BCP)に基づく対応が長期化した場合においては、サービスの重要度に基づく優先順位を設定し、優先的に復旧させる事業や課題に対してリソースを集中して割り当てるなどの対策を講じます。

 

④指標及び目標

 各重要課題の課題解消のための具体的な指標と目標を2030年までの長期目標として設定し、ウェブサイトにて進捗を開示しております。取り組みや達成指標をそれぞれのテーマ毎に達成目標を設定しており、取り組みの進捗や達成状況については、サステナビリティサイトや、ESGデータ集に掲載しております。

 

<マテリアリティ、目指す姿及び長期目標KPI>

マテリアリティ

目指す姿

長期目標KPI(2030年)

1.「ありがとう」をつなぐインフラ基盤の構築

・安定したインフラとしてのシステム開発

・継続したシステム提供を可能とするための人財育成

・品質と担保する組織づくり

1.医療情報連携(EHRサービス)の利用件数6,000施設

2.専門性を高めるための人的投資

3.品質管理機能の実効性の継続的な評価と向上

2.「ありがとう」をつなぐ信頼関係の構築

・高度なセキュリティ対応

・コーポレート・ガバナンスの

強化

・ウェルビーイングの実現

1.男性育休の取得向上 (育休取得率30%)

2.女性管理職の比率向上(女性管理職比率30%)

3.BCP訓練の実施(年に1回)

4.不祥事・重大法令違反ゼロ件(継続)

5.セキュリティインシデントの重大事故ゼロ件(継続)

6.コンプライアンス教育の実施(テスト受講率100% /年)

7.従業員エンゲージメントの向上(スコアレーティング「A」相当)

8.健康経営優良法人の認定(継続認定)

3.「ありがとう」をつなぐ環境への取り組み

・環境負荷の低減に配慮した

製品開発

・クリーンエネルギーの活用

・環境負荷・気候変動に対応

するリスク管理

1.当社の電気使用量と温室効果ガス排出量(2020年比 50%削減)

2.当社製品・サービスによるDX効果による温室効果ガス排出量(2021年比40%削減)

3.電子契約の推進(2025年までに実施比率80%)

4.「ありがとう」をつなぐ価値共創

・チーム医療の実現に寄与する

システム開発

・更なる人々の健康と幸せの実現に寄与するサービスの提供

・政府の目指す、DX実現への寄与と推進可能な人財の育成

1.医療キャッシュレスサービス:

チョキペイの普及件数(導入10,000施設)

2.地域医療介護情報連携ソリューションを通じた

パートナー創出(プレスリリース5件)

3.他業種や新たなパートナーシップ・協業の促進 (プレスリリース10社)

4.医療分野への先進的な学術研究への支援

 

 

(2)人的資本

当社が更に事業活動を通じて持続可能で社会に貢献できる企業に発展していくためには、人的資本を重視した取り組みを継続的に実践し、社員が多様な能力を活かせる環境で価値共創していくことが不可欠だと考えております。多様な人材が活躍でき、所属する社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするため、人と人との関わりを大切にし、社員同士が意見を出し合いながら、切磋琢磨することで仕事を通じた幸せを実感できる会社づくりを目指します。

 

①戦略

人的資本について当社では、『社員が大切な人を入れたくなる「よい会社」をつくる』という人事施策方針に基づき、「やりがい」「処遇」「人間関係」「成長」の4つの軸において制度設計や研修機会や経験、場の提供を行うことで人材育成を行っております。人的資本の価値を最大化するため、既存社員に対する人材育成と適切な人材配置、新卒採用を中心とした採用計画に加え、キャリア採用も継続して進めることで人的資本の最大化を図ります。

社員の育成については、次世代幹部の育成、当社目標や経営理念の理解・浸透のための研修、コンプライアンス遵守のためのテストや、ライフプラン研修、健康維持増進に関するものなど通常業務に関連するところや、社会生活を送るにあたって、また自己実現のために必要な知識を兼ね備えるところまでをサポートしております。必須研修の他、希望した社員が好きな時間に学べるe-Learningシステムの提供など、社員が最大限にパフォーマンスを発揮できるよう、様々な側面からスキル習得の機会提供を行っております。

「人的資本投資に関する基本方針および人材育成方針」、人材育成についての研修、ワークライフバランス実現のための諸制度、健康経営についての取り組みについては、こちらに掲載しております。

https://emsystems.co.jp/sustainability/social.html

 

②指標および目標

戦略の進捗管理や成果の指標として、2030年までの長期目標としてサステナビリティにおけるKPIを設定し、開示しております。人的資本に関連する指標では、「女性管理職の比率向上」「コンプライアンス教育の実施」「従業員エンゲージメントの向上」「健康経営優良法人の認定」などの指標を掲げております。目標値と実績については下記表のとおりです。その他の取り組みの進捗や目標の達成状況については、年に1回「ESGデータ集」に掲載し、ウエブサイトにて掲載しております。継続的な取り組みにより従業員の意欲低下、課題となっている部分を速やかに察知し、課題解決に向け継続的に取り組んでいくことで、今後も目標達成に向け取り組んでまいります。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

補足説明

女性管理職の比率向上

女性管理職比率30

25.9

注1

コンプライアンス教育の実施

テスト受講率100/年

90.1

注2

従業員エンゲージメント調査の向上

スコアレーティング「A」相当

CCC

目標 注3

実績 注4

健康経営優良法人の認定

継続認定

認定

4年連続

注5

 (注)1 連結ベースでの女性管理職比率を記載しております。提出会社の数値については、第一部「企業情報」の「第1 企業の概況 5.従業員の状況」をご確認ください。

2 連結子会社を含むコンプライアンステストの実施対象企業の受講率を記載しております。

受講対象企業:㈱イーエムシステムズ、㈱EMテクノロジー研究所、㈱ポップ·クリエイション、チョキ㈱

受講対象範囲:正社員、契約社員、アルバイト

3 外部の従業員エンゲージメントサーベイを用いてスコアレーティングを算出しております。A相当とは、「AAA」「AA」「A」など上位3段階のレーティングを指します。

4 スコアレーティングは全11段階に分かれており、「CCC」は上位から7段階目のレーティングで中程度に位置します。調査対象企業(2024年11月時点):㈱イーエムシステムズ、㈱EMテクノロジー研究所、㈱ポップ·クリエイション、チョキ㈱、㈱ブリック薬局

5 提出会社の状況を記載しております。連結子会社についても認定を目指す、あるいは継続認定されるなど当社グループ全体での従業員の健康維持・増進に向けた取り組みを推進してまいります。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 医療保険制度の改正について

超高齢社会に伴う医療制度改革が継続して実施されており、薬価差益の減少や、患者個人負担額の増加による来院患者数の減少等、制度改革の内容や規模によっては、クリニック・薬局の設備投資意欲の萎縮につながる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループとしましては、医療機関の負担を削減することで、医療機関の経営に貢献してまいります。

 

② 医療保険制度及び介護保険制度の改正に伴うプログラム変更について

医療保険制度及び介護保険制度の改正に伴い大幅な制度変更が実施され、変更するプログラムの範囲が広い場合、変更プログラム作成の複雑化による業務量の増加が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

また、提供した変更プログラムに修正が必要となった場合、修正の規模もしくは内容によって当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループとしましては、改正内容を早期に入手、対策することで、スムーズな対応に努めてまいります。

 

③ 新製品の開発及びソフトウェアの減損に係るリスク

当社グループは他社との競争に勝ち抜くため、最新の情報技術を活用したクリニック・薬局向け及び介護/福祉サービス事業者向けシステムの開発に注力しております。しかし、開発の全てが順調に進みサービスを提供できるとは限らず、制作途中における修正や見直し等によりサービスの投入に遅れが生じたり、開発そのものが中止された結果、ソフトウェアの減損処理が必要となった場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

アプリケーションソフトウェアにつきましては、益盟軟件系統開発(南京)有限公司と意盟軟件系統開発(上海)有限公司で主たる開発を行っており、エンジニアの給料の高騰や中国の税制方針変更に伴い、費用が増大する可能性があります。また、不透明な国際情勢の影響を受ける可能性もあります。現行の保険請求システムが大幅に変更した場合や、当社グループが想定していない新技術の普及により事業環境が激変した場合、必ずしも対応できなくなる可能性があります。そのため、当社グループの提供するソフトウェア並びにサービスが陳腐化し、ソフトウェアの減損処理が必要となった場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

また、一部クラウドシステムの運用においては、サーバーの運用や通信環境の状況が不安定となった場合、接続しているお客様の業務に対し影響を与える可能性があり、影響の範囲が大きくなる場合があります。

これらの対策として、組織再編により開発子会社を新設分割し、開発力の強化を図っております。

さらに当社グループは、時代をリードする先進的医療システムの普及の促進にあたり、業務提携やM&Aの活用を実施しております。しかし、今後において当社グループが想定する事業展開又は業績への寄与が図れるか否かについては不透明であり、場合によっては、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、業務提携やM&Aを実施するか否かの検討に際しては、様々な情報の集約と、経験豊富な外部の会計事務所等を活用し、慎重に検討を行っております。

 

④ 個人情報の保護について

当社の主たるシステムは、その性質上患者情報を扱うことになり、個人情報に関わることがあります。万が一個人情報が漏洩するような事実が発生した場合は社会的信用を失墜し、それに伴う不利益は甚大なものとなり、当社グループの経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

この対策として、データセンターにおいては、入退室管理並びに運用担当者を厳格に定め、サーバー類の運用ルールも厳格なマニュアルに規定して運用しており、運用状況が適正に行われるよう、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及び個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の第三者認証を受けております。また、ローカルシステムでお客様(クリニック・薬局)のデータを取り扱う際は暗号化処理を施すなど、個人情報保護のための対応を徹底しております。

 

⑤ 優秀人材の確保・育成に関するリスク

当社グループの事業は人材に大きく依存しており、高い専門性を持った人材を獲得し、維持する必要がありますが、少子高齢化や事業にITを活用して競争力を強化するDXの提唱等により、全産業においてIT人材の獲得競争が激化しています。このような環境の下、当社グループでは、多様な人材が活躍できる風土、人事制度、オフィス環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、教育制度の充実等、人材の育成に注力しておりますが、人材の確保・育成が想定通りに進まなかった場合や人材が多数流出した場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 新大阪ブリックビルの活用について

当社グループは2005年2月に大阪市淀川区に土地を取得、2008年3月に本社ビルとして新大阪ブリックビルを建設し、本社部門及び大阪の営業拠点が入居いたしました。また、クリニックモール内に各種医療施設、テナントオフィス部分にテナント企業が入居しております。

以下に掲げたものを含む様々な要因により新大阪ブリックビルの収支計画が想定していたものと異なる可能性があり、当社グループの経営成績、財政状態あるいはキャッシュ・フローに重大な影響を与える可能性があります。

現時点においては、入居率も一定水準確保しており、賃料収入におきましても、安定した収益を確保し、相場と合わせる形で賃料収入の増加を図っております。

 

ⅰ)賃料収入に係るリスク

新大阪ブリックビルの収支計画は一定の空室リスクを想定しておりますが、今後、想定以上に空室が発生した場合や、賃料について想定している水準を確保できなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

ⅱ)減損に係るリスク

今後の経済情勢の変化等により空室率の上昇や賃料水準の低下等が生じ、新大阪ブリックビルに対して減損処理が必要となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

ⅲ)自然災害等に係るリスク

地震、火災、事故やテロ等により、新大阪ブリックビルが毀損、滅失又は劣化する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑦ アフターコロナによる影響について

感染症の影響が一時期ほどではなくなったものの、各市場には次のような影響が出てきております。薬局市場におきましては、処方の長期化やオンライン服薬指導、処方薬の配達が求められてきております。医科市場におきましては、オンライン診療の普及がみられるようになってきております。また、介護/福祉市場は、超高齢社会に伴う新規施設の増加による成長市場ではありますが、経営安定に向けてより一層の業務効率化が求められております。

このような環境の中、医療(クリニック・薬局)、介護/福祉業界のシステムを通じてサポートしていく当社グループとしましては、医療DXの推進に向け、関わる様々な方々の健康と安全、効率化を行い、安定したシステム供給とサービスを継続してご提供するため、以下の取組みを当社グループ全体で実施しております。

 

ⅰ)営業活動

デジタルマーケティングの推進

インサイドセールスの強化、ハイブリッド展示会の活用

ポータルサイトの運用及びコンテンツの強化

国が進める医療DXへの参画

 

ⅱ)サポート活動

インサイドセールス担当によるお客様支援

ポータルサイトによる取引先や顧客ロイヤリティの向上

 

ⅲ)勤務体制の整備

時差出勤・在宅勤務の活用

Web会議、テレワークができる環境の体制、セキュリティ対策の実施

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、為替相場の変動やエネルギー・原材料価格の高止まりにより、企業収益に影響を与える状況が続いております。

当社グループの主要取引先である医療業界におきましては、2024年は6年に一度の医療・介護・福祉サービス同時での報酬改定の年となり、実施時期についても、各種報酬改定の実施時期が年内に分散し、報酬点数の変更や算定方法が変更となる頻度が増加しております。また、報酬改定の方向性としては、医療介護従事者の人材確保や賃上げに向けた取組として診療報酬を引き上げる一方、医療DXによる効率化や適正化を通じて医療保険制度の安定性・持続可能性を向上する方針になっております。

当社グループにおきましては、医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現に向けて、オンライン資格確認システム運用対象範囲の拡大、電子処方箋の推進普及が見込まれる中、オンライン資格確認システムの導入対応に続き、新規運用対象となりました医療扶助への対応、電子処方箋の導入設置を順次拡大し、当連結会計年度の導入設置件数は想定を上回ったものとなりました。

また、当社グループの各セグメント事業におきましては、より効率的に案件の創出に繋げるための、前年度の組織編成を通じた従来の対面型中心の営業からインサイドセールスを強化した営業活動や、Webサイトリニューアル、MAツール活用、デジタルコンテンツ強化等マーケティングミックスの改善により、潜在的な案件獲得も続けております。当連結会計年度においては、前年度中に株式会社グッドサイクルシステムと株式会社ユニケソフトウェアリサーチをそれぞれ連結子会社化したことや電子処方箋の導入等医療DXへの対応が進んだことにより、売上高及び営業利益は前期比で増加しました。一方で、当連結会計年度において、特別報酬支給等の一時的な費用の計上や、医科システム事業と介護/福祉システム事業では減損損失を計上しております。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高24,837百万円(前期比22.0%増)、営業利益4,464百万円(同91.6%増)、経常利益5,184百万円(同80.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,425百万円(同23.6%増)となりました。

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(調剤システム事業)

調剤システム事業につきましては、オンライン資格確認システム集中需要が一巡しましたが、当連結会計年度においてはチェーン薬局を中心に、電子処方箋及びオンライン資格確認の関連オプションソフトの導入設置が加速したことに加え、株式会社グッドサイクルシステムと株式会社ユニケソフトウェアリサーチが連結対象となったことにより、お客様数の増加に伴う課金売上高をはじめ、セグメントの売上高と営業利益がともに増加しました。

この結果、当連結会計年度の調剤システム事業は、売上高20,699百万円(前期比28.1%増)、営業利益5,255百万円(同78.8%増)となりました。

 

(医科システム事業)

医科システム事業につきましては、組織体制の再構築に加え、デジタルマーケティングを活用し幅広いアプローチを行っております。当連結会計年度においてはオンライン資格確認システムの集中需要が一巡したことに加え、「MAPs for CLINIC」のシステム障害等の要因や特別報酬の支給等の一時費用が発生したことにより、売上高は減少し、営業損失が増加しました。

この結果、当連結会計年度の医科システム事業は、売上高2,564百万円(前期比8.5%減)、営業損失423百万円(同営業損失130百万円)となりました。

 

(介護/福祉システム事業)

介護/福祉システム事業につきましては、既存製品のリプレイスによる保守売上高が減少しましたが、大型介護施設への「すこやかサン」の導入により、初期売上高が増加したことに加え、「MAPs for NURSING CARE」ライセンス数の増加による課金売上も堅調に推移しております。さらに、セグメント固定費用負担の改善により、営業損失が小幅に縮小しております。

この結果、当連結会計年度の介護/福祉システム事業は、売上高570百万円(前期比3.5%増)、営業損失450百万円(同営業損失540百万円)となりました。

 

 

(その他の事業)

その他の事業につきましては、チョキ株式会社のキャッシュレス事業及び益盟軟件系統開発(南京)有限公司のシステム事業の伸長により、売上高及び営業利益は増加しました。

この結果、当連結会計年度のその他の事業は、売上高1,174百万円(前期比20.6%増)、営業利益60百万円(同24.8%増)となりました。

 

(上記セグメント別の売上高及び営業利益(損失)は、セグメント間の内部取引消去前の金額であります。)

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,442百万円増加し、11,884百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は5,756百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が3,694百万円、減損損失を1,440百万円、減価償却費を1,355百万円計上したものの、法人税等の支払額が522百万円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は194百万円となりました。これは主に、投資不動産の賃貸による収入が1,072百万円あったものの、システム開発に係る有形固定資産の取得による支出が397百万円、無形固定資産の取得による支出が358百万円あったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は3,567百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が1,091百万円、自己株式の取得による支出が999百万円、配当金の支払額が1,123百万円あったこと等によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 該当事項はありません。

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

調剤システム事業(百万円)

5,316

106.7

医科システム事業(百万円)

585

71.7

介護/福祉システム事業(百万円)

11

238.8

その他の事業(百万円)

411

106.8

合計(百万円)

6,325

102.2

 

c.受注状況

 該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

調剤システム事業(百万円)

20,699

128.1

医科システム事業(百万円)

2,564

91.5

介護/福祉システム事業(百万円)

 

570

103.5

その他の事業(百万円)

 

1,174

120.6

報告セグメント計(百万円)

25,008

122.1

調整額(百万円)

 

△171

130.1

合計(百万円)

24,837

122.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。

 

a.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は24,837百万円(前期比22.0%増)となりました。これは主に電子処方箋及びオンライン資格確認の関連オプションソフトの導入設置が加速したことに加え株式会社グッドサイクルシステムと株式会社ユニケソフトウェアリサーチの連結子会社化により売上高へ寄与したものであります。

 

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は13,561百万円(前期比36.7%増)となりました。これは主に課金売上の増加に伴うものであります。

 

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は9,097百万円となりました。これは主に大幅な増益に伴う従業員への特別報酬の支給や2025年に向けた販売促進費用、調剤・医科のシステム障害による一時費用を958百万円計上したことによるものであります。また、電子処方箋・オンライン資格確認オプションソフトの導入設置が加速したことにより、営業利益が大幅に増加しました。

この結果、営業利益は4,464百万円(前期比91.6%増)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は1,150百万円となりました。これは主に本社ビルのテナント事業が引き続き堅調であったことによるものであります。また営業外費用は430百万円となりました。これは主にテナント事業に係る減価償却及び維持費によるものであります。

この結果、経常利益は5,184百万円(前期比80.7%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別損失は1,489百万円となりました。これは主に医科システム事業及び介護/福祉システム事業の減損損失の計上によるものであります。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,425百万円(前期比23.6%増)となりました。

 

b.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は18,349百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,549百万円増加いたしました。これは主に、業績が堅調に推移したことにより、現金及び預金が2,442百万円、受取手形及び売掛金が1,211百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は13,320百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,266百万円減少いたしました。これは主に、医科システム事業と介護/福祉システム事業において減損損失の計上等により、ソフトウェアが1,204百万円、建物及び構築物が125百万円、のれんが209百万円、その他無形固定資産が143百万円等減少したことによるものであります。

この結果、総資産は31,669百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,282百万円増加いたしました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は9,072百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,454百万円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が133百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が254百万円、未払金が1,219百万円、未払法人税等が1,342百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は1,977百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,225百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が957百万円、長期未払金が202百万円それぞれ減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は11,050百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,228百万円増加いたしました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は20,619百万円となり、前連結会計年度末に比べ53百万円増加いたしました。これは主に、資本剰余金が890百万円、利益剰余金が288百万円それぞれ減少したものの、自己株式の取得及び一部消却により自己株式が1,227百万円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は64.8%(前連結会計年度末は69.6%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

a.資本の財源及び資金の流動性についての分析

(資金需要)

当社グループの運転資金需要のうち、主なものは当社グループが保有する販売用ソフトウェアの維持に係る人件費及び外注加工費等、販売活動やお客様のサポートに係る人件費をはじめとする販売費及び一般管理費、並びに商品仕入等であります。

 

(資金調達と流動性マネジメント)

当社グループの運転資金につきましては、主に、内部資金及び金融機関からの借入により調達しております。

 

b.キャッシュ・フロー状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

c.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

d.経営方針・経営戦略等

当社グループが定めている経営方針・経営戦略等につきましては、以下のとおりであります。

当連結会計年度において、当社グループは、積極的な変革に挑みつつ、安定した経営を実現していくために高収益企業を目指しており、ROE(株主資本当期純利益率)を重要な経営指標と考えております。なお、2025年2月14日に公表しております決算短信における「2025年12月期の連結業績予想」の営業利益は2024年12月期の営業利益実績より1,941百万円減の2,522百万円を予想しております。また、ROEにつきましては、毎月開催しております取締役会において評価を行っており、順調に推移していることを確認しております。

2024年11月14日公表の新中期経営計画につきましては、変更が必要となれば開示する予定であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループを取り巻く環境は、「2025年問題」に象徴される超高齢社会に対応するため、国民の健康寿命延伸を支援する仕組みづくり、ITの利活用、地域での健康サポートを行う仕組みづくりへのニーズの高まり、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師に対する適切なサービスの提供等が求められています。そのような環境の変化に対応する為、2018年1月に会社方針を刷新いたしました。新たな会社方針では、「私達は、先進的なテクノロジーを活用し、国民の健康レベル向上に貢献する、世の中に無くてはならない企業になります。私達は、仕事を通じて幸せになれる企業を目指します。」を掲げており、その実現のために、地域における医療介護情報の連携、AIやビッグデータ活用による医療レベル向上、電子処方箋への対応、健康サポート薬局の支援機能の提供並びに、お客様が業務負荷と費用負担を少しでも減らしていただけるよう、操作の簡素化/自動化とシステム費用の大幅削減に取り組むことといたしました。調剤システム事業、医科システム事業、介護/福祉システム事業において、画期的な製品やサービスを創出し、更なる社会貢献及び当社グループが成長していくために大型の開発投資にも力を入れて参ります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、13百万円であります。