文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(以下「NXグループ」という。)が判断したものです。
(1)長期ビジョン
NXグループは、企業理念を拠り所として、創業以来ものを運ぶことを通して、人、企業、地域を結び、社会の発展を支えてきました。この変わらぬ使命を果たすため、社会の変化をとらえ、自らを進化させ続けます。また、安全に徹し、環境に配慮し、世界を舞台に全ての力を結集して、物流から新たな価値を創造することに挑戦していきます。そして、いつの時代にも、社会から求められ、信頼されることを誇りに行動します。
この企業理念に込められた想いを実践していくために、創立100周年の節目となる2037年のありたい姿として「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」に成長することを長期ビジョンに掲げております。長期ビジョンの実現には、ロジスティクスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるとともに、NXグループ自らが持続的な成長を果たす企業であり続けなければなりません。そのためには、多様な社員が、お客様や社会を支える仕事に誇りを持って活躍し、幸せを感じる企業であり続けられるよう邁進してまいります。
「安全・コンプライアンス・品質」に対するこだわりを基本とした現場力、企業メッセージ「We Find the Way」に表現されるお客様第一の姿勢は、大切にする価値観としてこれからも徹底的にこだわっていきます。加えて、NXグループがグローバル市場での成長を加速していくために、グループ・グローバルで全体最適やありたい姿・長期ビジョンに対するバックキャストで物事を捉えられるよう社員一人ひとりの意識と行動を変容させ、自律的で挑戦的な価値観を醸成させる企業風土への変革を進めてまいります。そのような変革を通して、NXグループが「イノベーションによる新たな価値創造」、つまり、ロジスティクスを通じてお客様や社会へ新たな価値を提供していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
そして、その先にある「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という姿を、NXグループ全体で共有し、その実現に向け進んでまいります。
長期ビジョンの実現に向けたステップを、上図に示しております。
グローバル市場での存在感を高めるべく、2037年度に海外売上比率50%を目指すという長期目標を掲げ、2024年1月から「NXグループ経営計画2028」をスタートしました。本計画の1年目においては、売上の拡大とともに収益性の向上についても目標指標を定め、諸施策の取組みを進めてまいりました。
引き続き変革に挑戦し、長期ビジョンの実現を目指してまいります。長期的な目標を見据え、引き続きバックキャストの考え方に基づき、経営計画に掲げた諸施策を着実に実行してまいります。
(2)NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0
“ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”
①経営計画の取組み
NXグループは、長期ビジョンの実現に向けたバックキャスト思考のもと、2024年1月1日より、5年間の経営計画「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”」を策定し、グループ価値の向上を目指して取り組んでまいりました。
■基本方針
・グループ全体最適志向の下、グローバルな競争力の向上と事業の成長を実現する。
・明確な事業ポートフォリオと役割分担のもと、事業の競争力・収益性を高め、企業価値を高める。
・社会課題解決や持続可能社会の実現へ貢献するサステナビリティ経営を実践し、顧客・社会・株主・社員から選ばれる企業グループへ変革する。
上記、3点を掲げ、重要な数値目標(KGI)として、2028年度における売上収益3兆円、事業利益1,500億円、RОE10%以上を目指します。
■重点取組み
「グローバル市場での事業成長の加速」
営業戦略の中核に「グローバルアカウントマネジメント」を据え、お客様のグローバル・サプライチェーンにEnd to Endソリューションを提供することで取り扱う事業領域の拡大を目指し、航空及び海運フォワーディングの販売拡大や倉庫を中心とした幅広いロジスティクスソリューションの提供強化に注力してまいりました。
≪主なKPI≫
・海外売上(M&A含む)
・重点産業売上、倉庫・配送等売上
・航空フォワーディング数量(t)、海上フォワーディング数量(TEU)
「日本事業の再構築」
アカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大など売上の拡大に取り組むとともに、日本事業強靭化施策の継続・深化に加え、事業基盤の変革・見直しなど収益性や資本効率の向上に取り組んでまいりました。
≪主なKPI≫
・事業利益率(ロジスティクス日本セグメント)
・事業成長による売上・利益
・料金改定、コーポレート業務の効率化による効果額
「サステナビリティ経営の推進」
企業価値の向上と社会課題の解決のために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)である「サステナブル・ソリューションの開発・強化」「グローバル・サプライチェーンの強靭化」「気候変動への対応強化」「イノベーションを生む人財力の向上」「人権の尊重と責任ある企業活動の実現」に対する取組みを進めてまいりました。
≪主なKPI≫
・CO2排出量の削減量(Scope1~3)
・NXコアエンゲージメントスコア
「企業価値向上に向けた取組み」
資本コストを上回る資本収益性確保に向け、RОEの改善に取り組んでまいりました。経営計画に織り込んだ成長戦略の取組みを進めるとともに、新たに内部経営指標にRОICを導入するなど資本収益性を意識した経営への転換を進め、更には、資本政策の見直しによる資本構成の最適化や事業ポートフォリオマネジメントの強化にも着手してまいりました。
≪主なKPI≫
・RОE、RОIC、自己資本比率
②経営計画における経営数値目標及び実績について
■経営数値目標
経営計画の初年度である2024年度の実績及び最終目標に対する進捗状況は、以下のとおりです。
※「海外売上収益」は連結調整後数値となります。
※国際会計基準(IFRS会計基準)に基づく金額を記載しています。
※連結調整前数値、億円未満切り捨てとなります。
※国際会計基準(IFRS会計基準)に基づく金額を記載しています。
※欧州の2024年12月期実績にはM&A(cargo-partner社、Tramo社)の実績を含んでおります。
■経営計画各種戦略の実施状況及び経営成績についての評価
経営計画達成に向けた2024年度の重点戦略の取組み、及びKPIの進捗状況、それらについての分析と評価については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績」をご覧下さい。
■資本政策
≪目標数値≫
・ROE 10.0%以上
・配当性向 40%以上
・総還元性向 55%以上(2024年度~2028年度累計)
・自己資本比率 35%程度
≪実績の推移≫
③対処すべき課題
今後の経済動向につきましては、欧米を中心とした金融政策の緩和などにより、安定化の兆しを見せながらも、アメリカの政権交代による貿易政策の見直し、中東情勢やロシアによるウクライナ侵攻の長期化など地政学リスクの高まりにより、引き続き不透明な状況が続くことが予測されます。
物流業界におきましては、地政学リスク及び経済安全保障リスクの高まりを踏まえ、安全調達の観点から既存のサプライチェーンを見直す顧客企業への対応に加え、気候変動への対応や、慢性的な人材不足、デジタル化への対応、先端技術の導入による新たな物流サービスの開発など、業界全体として社会の持続的な成長を支える新たな価値創造産業への転換が求められております。
NXグループは、このような経営環境のもと、創立100周年となる2037年にありたい姿として定めた「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という長期ビジョンの実現に向けて、5年間の経営計画である「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”」の達成に向けて、引き続き取り組んでまいります。
「グローバル市場での事業成長の加速」
重点産業を中心としたアカウントマネジメント体制の更なる強化とグローバルに展開するフォワーディングネットワークや倉庫業務などNXグループの幅広いロジスティクスソリューションを駆使して、お客様のグローバル・サプライチェーンに対するEnd to Endソリューションの提供強化に注力してまいります。
また、M&Aや提携、戦略投資によるダイナミックな事業成長の実現にも引き続き取り組んでまいります。特に、直近のM&Aにより子会社化したcargo-partner社、Simon Hegele社へのPMI早期実行により、グローバルネットワークの拡大など、グローバル市場における競争力の強化に取り組んでまいります。また、エリア戦略として、中長期的な視点で、更なる経済成長が見込まれるインドでの事業拡大にも引き続き挑戦してまいります。
「日本事業の再構築」
カンパニー制を導入した日本通運株式会社においては、引き続き東名阪を中心としたアカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大など売上の拡大に取り組むとともに、事業体制の見直しも進めてまいります。East・West両カンパニーにおいては、収益性と資本効率の向上に徹底的にこだわり、エリアに応じた経営を推進してまいります。これらのマーケットに応じた経営の推進と事業基盤の変革により、日本事業の再構築を進めてまいります。
また、専門ロジスティクス事業については、専門性の向上と品質の強化に努めるとともに、物流サポート事業においては、ロジスティクス・トータル・ソリューションの展開によるNXグループ全体の競争力強化に取り組んでまいります。
「サステナビリティ経営の推進」
「サステナブル・ソリューションの開発・強化」では、脱炭素に繋がるロジスティクスソリューションの強化やDX推進によるソリューションの開発など、NXグループ全体で喫緊の課題として捉えている脱炭素、人手不足といった課題解決に引き続き取り組んでまいります。「気候変動への対応強化」では、Scope1・2(自社排出)だけでなく、Scope3(自社以外の排出)の削減にも取り組んでまいります。
また、「イノベーションを生む人財力の向上」では、優秀な人財の確保・育成、Well-beingの充実、DE&Iの推進により、多様な人財が能力を発揮し活躍できる環境作りに引き続き取り組んでまいります。
「企業価値向上に向けた取組み」
PBR1倍割れの解消と株主資本コストを上回るRОE向上によるエクイティ・スプレッドの確保を当面の課題として、経営計画に織り込んだ成長戦略を推し進めるとともに、低収益不動産の売却など従来にないBS(Balance Sheet)マネジメントの強化と資本政策の見直しを進めてまいります。あわせて、事業ポートフォリオマネジメントの更なる強化として、成長事業へのシフトと低収益・ノンコア事業の抜本的改革にも取り組んでまいります。
これらの取組みにより生み出したキャッシュについては、財務健全性を維持しながら、成長投資や株主還元のための資金にバランスよく配分していくことで、資本創出の好循環を生み出し、持続的な企業価値向上を目指してまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、NXグループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般
NXグループは、これまで進めてきたサステナビリティ経営をより深化させ、実効性の高い施策をNXグループ一丸となって遂行するために、NXグループのサステナビリティへの姿勢や創出価値を明らかにしたサステナビリティ方針及びビジョンを策定しています。本方針及びビジョンに基づき、企業理念である“社会発展の原動力であり、物流から新たな価値を創り、信頼される存在である”の体現と、持続的な成長・企業価値向上を両立し、価値創出を促進していくことにより、サステナビリティ活動においても、グローバル市場で存在感を持つべく、取組みを進めています。
NXグループは、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社において設置されたサステナビリティ推進部を中心にサステナビリティ経営に取り組んでいます。また、NXグループのサステナビリティ推進を担うサステナビリティ推進委員会はNXグループ会社のサステナビリティ担当役員で構成されており、NXグループ全体で気候変動問題を含むサステナビリティ全般の取組みの更なる加速及び実効性向上を図っています。
NXグループにおける重要課題(マテリアリティ)は、4つのステップを経て特定しています。STEP1では主要なサステナビリティフレームワークから候補テーマをリスト化し、STEP2、3では国際標準や規制動向、主要なステークホルダーからのフィードバック、外部有識者や社内関係者へのヒアリングを行い、NXグループが取り組むべき課題を抽出しています。特定した重要課題(マテリアリティ)については、定期的に再評価を行い、NXグループが取り組むべき課題の見直しを行っています。
重要課題(マテリアリティ)
③リスク管理
NXグループでは、企業経営に重要な影響を及ぼすリスクを低減させるための当社のリスク管理体制の構築、そして危機事象が発生した場合に、迅速かつ的確な対応ができる当社の危機管理体制の構築を目的として、「NXグループリスク管理規程」及び「NXグループ危機管理規程」を基本方針として制定しています。
これら方針のもと、NXグループでは代表取締役社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、NXグループ全体でのリスク管理体制の整備に努めるとともに、NXグループにおけるリスク管理に係る活動については、リスクマネジメント委員会に定期的に報告されています。
2024年度は、NXグループ各社のリスクの棚卸・評価・重要リスクの特定の取組みを継続的に実施するとともに、NXグループ各社のリスク対応策についてのフォロー、フィードバックなどを推進しました。
④指標及び目標
NXグループは、サステナビリティ経営において以下の5つの重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた具体的な取組みを進めています。各重要課題(マテリアリティ)の取組みの詳細と企業価値へのつながりは以下のとおりです。
サステナブル・ソリューションの開発・強化
グローバル・サプライチェーンの強靭化
気候変動への対応強化
イノベーションを生む人財力の向上
人権の尊重と責任ある企業活動の実現
(2)気候変動への取組みとTCFDへの対応
①ガバナンス
■経営者及び取締役会の役割
NXグループでは、サステナビリティ経営を推進するため、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社において設置されたサステナビリティ推進部を中心にサステナビリティ経営に取り組んでいます。また、NXグループのサステナビリティ推進を担うサステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長(CEО)を委員長とし、当社及び主なNXグループ会社の執行役員で構成されており、気候変動への対応を含むサステナビリティ全般の取組み推進に関する方針・戦略などについて協議し、その協議結果を内容に応じて四半期に一度以上、取締役会へ報告します。
取締役会では、気候変動への対応を含むサステナビリティ全般の取組みの業務執行監督・レビューや基本方針・重要事項に関する審議・決議を実施しています。取締役会では、四半期に一度、同取組みについて協議しています。
②戦略
NXグループでは、2024年よりスタートしたNXグループ経営計画2028において、長期ビジョン実現のための取組みとして「事業を通じた持続可能な社会への貢献の実現」を掲げており、1.5℃目標の実現に向けてCO2排出量の削減施策を実行しています。また、事業のレジリエンスを高めるために気候変動により想定されるさまざまなリスクや機会の把握に努めています。
■気候関連リスク・機会の特定とシナリオ分析
NXグループでは、気候変動に対する自社事業及び戦略のレジリエンスを評価し、向上させることを目的として、2021年から継続的にシナリオ分析に取り組んでいます。気候変動によって想定されるさまざまなリスク・機会を把握し評価するため、複数シナリオを用いて事業インパクト及び財務影響を評価しました。事業インパクト評価には、NXグループが目指す1.5℃シナリオや脱炭素の取組みが現状から進まない4℃シナリオなどの複数シナリオを採用しました。シナリオ分析の結果、事業インパクトが比較的大きいと評価されたものは、移行リスクにおける「排出量削減コストの増加リスク」、機会の「環境配慮サービスによる収益増加機会」です。2024年は特に事業インパクトが大きいと評価されたリスク・機会のうち、日本国内のNXグループ会社の中核事業に大きく関係する移行リスクの「排出量削減コストの増加リスク」に関する財務影響分析を実施しました。
③リスク管理
NXグループでは、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社の代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置し、NXグループ全体のリスク管理の強化に努めています。また、サステナビリティ推進委員会では、重要課題(マテリアリティ)分析を実施しており、気候変動への対応強化を重要課題と特定しています。特定した重要課題についてリスクマネジメント委員会へ報告しています。このように両委員会においてリスクの把握と対応状況をモニタリングし、長期的な視点でNXグループ事業への影響を確認しています。
④指標及び目標
NXグループでは、気候変動をグローバルな社会課題として認識しており、NXグループ全体のCO2排出量削減に関する中長期目標として、2030年目標をCO2自社排出量の50%削減、2050年目標をカーボンニュートラル社会の実現への貢献と設定しました。2030年、2050年目標の達成に向けて各種施策を進めていきます。また、パリ協定が掲げる1.5℃目標に整合するために、2023年5月には、SBTイニシアチブ(SBTi)に対しコミットメントレターを提出、2024年12月末現在、SBT認定の取得申請について準備を進めています。
(3)人的資本
①戦略
・人財ポリシーの策定
NXグループでは、社員と会社がお互いに対等で、尊重し合える関係であることを前提に、社員は財産=「人財」と位置づけ、社員と会社が持続的に成長する必要があると考えております。そのため、NXグループの「人財」に関する考え方や方針について、グループ・グローバルにおける様々な人財の課題に対応し、NXグループの人財戦略について一貫性を保つ共通基盤として、2022年に「NXグループ人財ポリシー」を新たに策定いたしました。
・NXグループ経営計画2028
NXグループは、過去から物流に関するそれぞれの事業に携わる社員の力を結集した人財の「総合力」により、お客様にソリューションを提供してまいりました。NXグループ経営計画2028においても、「NXグループ人財ポリシー」の実現に向け、多様で優秀な人財一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮し、インクルーシブな職場風土の中、組織的に結集することによる人財の「総合力」を生かし、企業価値の向上に取り組んでいきたいと考えております。「優秀な人財の確保・育成」、「Well-beingの充実」、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」という人財戦略における取組みを強力に推進することにより、企業価値向上に繋がる従業員の強い帰属意識と目標達成に向けた自発的な貢献意欲を示す成果指標である「NXコアエンゲージメントスコア」の向上を目指します。
②指標及び目標
NXグループの総合力の発揮に繋がる人的資本KPIとして、成果指標である「NXコアエンゲージメントスコア」に加え、3領域の人財戦略骨子に対応する指標を設定しております。
2023年度の数値を基準値として、今後、経年比較により各施策の効果を測定していきたいと考えています。
(注) 1 実績はNXグループ主要15社を対象として集計しており、2025年度以降はNXグループ会社の分社化に伴い16社を対象とする予定です。(海外会社を含む)
2 実績は国内主要6社を対象として集計しており、2025年度以降はNXグループ会社の分社化に伴い7社を対象とする予定です。
3 特例子会社の6月実績となります。
NXグループは、リスク発生の抑制および発現時の被害最小限化に向けた予防的活動をリスク管理として、発現したリスクへの対処を危機管理として定義し、これらを統合的に管理する体制を整備しております。リスク管理においては、リスク統括部門がNXグループ全体におけるリスクの棚卸および定期的なリスク評価実施の推進、NXグループにおける重要リスクの特定、重要リスクのモニタリングを行い、リスク所管部門・NXグループ各社と連携し、リスクへの対応に取り組んでおります。リスクマネジメントの推進にあたっては、代表取締役社長を委員長としたリスクマネジメント委員会を設置し、NXグループの重要方針や重要課題について協議し、取組みを推進しております。
NXグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNXグループが判断したものであります。
(1)事業環境に関わるリスク
①市場環境の変化について
NXグループは、B to Bの企業間物流を中心に事業を展開しておりますが、生産分業や多国間取引の拡大など顧客の事業活動のグローバル化はより一層進展しております。そのような中において、米中間の貿易摩擦やテクノロジーを巡る覇権争いは近年激化しており、貿易や製造業の成長の下押しの要因となりうる不確実な状況が続いており、また、アジアや東欧、中近東を中心とした紛争等による地政学リスクも高まっております。これらを背景に世界マクロ経済が後退すると、顧客企業の輸送需要の動向に影響を与えることになり、NXグループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクとなります。特に、米国、中国経済の鈍化は日本を含む多くの国々の製造業にも影響することもあり、NXグループのロジスティクス事業セグメントにおいて大きな影響を及ぼす可能性があります。
引き続き、製造業の顧客に対する生産調達物流に関わる貢献領域の拡大に取り組むとともに、各国における消費財関連の販売物流領域の一層の強化、拡大や、新興エリア等への事業進出の加速などを通じて、リスク低減に努めてまいります。
また、NXグループの事業の中心は「ロジスティクス(日本)」であり、今後も事業の核となるのは強みである日本事業と日系企業との取引になると考えております。一方で、少子高齢化を背景とした需要低下の予測や、eコマースを代表としたロジスティクス物流の変化など、日本国内市場における事業環境は変化するとともにB to Bの貨物輸送需要は減少することが想定されます。
日本国内市場の輸送需要の減少は、NXグループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクとなりますが、中長期的な課題として位置付けており、当面は緩やかな減少になると考えております。引き続き、NXグループの事業の中心である日本でしっかりと収益を確保するとともに、医薬品関連産業や半導体関連産業へのロジスティクスや、グリーンロジスティクスなど、今後、日本国内で需要が拡大すると見込まれるロジスティクスのニーズを取り込んでまいります。また、成長領域である海外のロジスティクス物流市場へ更なる投資を進めることで、事業の成長につなげてまいります。
②デジタル化等のテクノロジーの進化について
IT等デジタル技術の急速な発展を背景に、あらゆる業界において新たなビジネスモデルやサービスの創造が進んでおります。物流業界を取り巻く環境においても、ITにより顧客と輸送業者等を結びつけるデジタルフォワーダーなど異業種からの参入を代表に、様々な変化が起こっております。このような変化は、IT等デジタル技術の活用による事業の省力化や効率化につながると考えられますが、中長期的にはNXグループが長年培ってきた強みを打ち消す、もしくは物流ニーズの低減につながるリスクとなりえると考えられます。
また、2024年問題によるドライバー・スタッフ不足を始めとして、災害の激甚化・頻発化、国際紛争による地政学的リスクの高まりなどの影響により、サプライチェーンが滞るリスクが生じております。この対策として、物流現場における自動搬送機・ロボティクス等の先端機器の導入による効率化や、AIによる需要予測モデルを活用した作業計画の最適化・自動化を検討しております。
2028年までの経営計画期間内においては、これらの事業環境の変化に関する分析や異業種との共働・協創などを通じて、現在、そして今後起こりうる変化への対応や備えに努めるとともに、デジタル化を取り込み、時代の変化に対応するサービスの創出を通じて事業の成長につなげてまいります。
③コンプライアンスについて
グローバルでさまざまな法規制の強化が進む中、企業には高いコンプライアンス意識が強く求められております。NXグループは、「NXグループ企業理念」を拠りどころに、「安全・コンプライアンス・品質」へのこだわりを基本とし、企業理念を具現化した行動指針として「NXグループ行動憲章」を制定し、NXグループのコンプライアンス経営を実践しております。コンプライアンスの推進にあたっては、代表取締役社長を委員長としたコンプライアンス委員会を設置し、NXグループの重要方針や重要課題について協議し、取組みを推進しております。しかしながら、NXグループが展開する物流を中心とした事業は、グローバルに多岐にわたっており、法的規制により営業活動等の一部が制限された場合、売上収益の減少、あるいは、新たな費用の増加等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④自然災害について
世界各地で昨今発生する自然災害はその頻度を増し、また、気候変動の影響により激甚化しており、大規模地震やそれに伴う津波・火山の噴火、大規模風水害などが、NXグループ及び顧客の事業活動にとって大きなリスクとなっております。NXグループは、「NXグループ事業継続基本方針」に基づき、NXグループ各社において事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を整備するなど、NXグループ全体でレジリエンスの向上に取り組んでおります。しかしながら、NXグループは、鉄道、自動車、船舶、航空機など、多岐にわたる輸送手段を有しており、自然災害により輸送障害が発生した際、代替手段による輸送を実施したとしても、顧客企業の生産や販売活動への影響を低減しきれない場合、また、自然災害によるNXグループ施設への被害が発生した場合、NXグループの経営成績及び財政状態への悪影響を回避できない可能性があります。
⑤感染症について
NXグループは、グローバルで事業を運営しており、各国においてサービスを提供しております。一方で、新型コロナウイルス感染症収束後の人の往来が活発化している中、今後も、感染症の急速かつ世界的な拡大や新たな感染症の発現などのリスクには継続して注意が必要と認識しております。NXグループは、感染症対策に取組み、BCPを整備しておりますが、NXグループの事業活動が行われる国において大規模な感染症が発生した場合、お客様の事業活動の停止や、輸送インフラの停止などが想定され、また、従業員や協力会社に大量の病欠者が出た場合には、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
(2)経営戦略の推進・事業拡大に関わるリスク
①M&A及び事業投資について
NXグループは、グローバルロジスティクス企業としての成長に向けた経営資源の最適化を図るため、NXグループ内における経営管理を徹底し、選択と集中を進めると共に、事業領域の拡大、もしくは必要な機能の取得及び拡充に向けて、M&Aをその選択肢の一つとしております。M&Aの実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約内容等について綿密な事前審査を行い、リスクを把握したうえで決定しておりますが、デューデリジェンスでは確認しえなかった買収先のリスクが残る可能性があります。また、例えば新型コロナウイルス感染症拡大などのように、買収後に予想しえなかった事業環境の変化がおこる可能性もあります。これらの要因等により当初想定した事業展開が進まず、事業計画どおりの成果が得られない場合には、対象企業の業績悪化やのれんの減損損失等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②人財の確保・育成について
高度な物流ソリューションを提供し、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくためには優秀な人財の確保が重要となります。
そのため、多様な人財が活躍し、社員の成長を支援する仕組みや社員が能力を存分に発揮できる環境の整備が重要であるとの認識に立ち、各種研修制度の拡充、社員の挑戦を促す人事施策を推進しております。同時に、高い専門性や事業経験を有するプロフェッショナル人財の確保についても、グローバルレベルで取組みを進めております。
しかし、優秀な人財の確保が世界各国、各業界において共通の課題となっていることから、必要となる人財を確保することが困難となった場合には、NXグループの企業価値が十分に高められず、事業運営や経営計画の遂行に支障をきたし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、実運送を主体としている日本国内のNXグループ会社においては、2024年問題や今後加速する労働力人口の減少に対応すべく、労働環境・諸制度の改革や、省力化、省人化を実現する最先端技術の導入、データの利活用など物流の高度化を推進しております。
ところが、こうした取組みの効果が発揮できず、事業の継続に必要となる人財を確保することが困難となった場合は、事業の継続に支障をきたし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③財務について
NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにNXグループの設備の新設、改修及びM&A等に係る投資であり、これらの資金需要に対し、一部を金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
金利の変動リスクに晒されている借入金については、原則、金利スワップ取引等のヘッジ手段を利用してリスクを低減することとしておりますが、大幅な金利の変動等があった場合、また、格付け機関によるNXグループの信用格付けの引き下げ等の事態が生じた場合、資金調達コストが増加し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、NXグループは、日本国内、海外各国に数多くの物流拠点を有しております。設備投資あるいは長期にわたる賃貸借契約にあたっては、投資効果の算定、キャッシュ・フローの回収見込み等、長期的な観点から十分に検討したうえで実施しておりますが、今後の経済動向、顧客企業の動向等により、当初計画よりも早期に処分、返還等を行い、一時的な損失が発生する、または減損損失が発生する等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業運営に関わるリスク
①安全品質について
NXグループは、「安全はすべてに優先する」という安全理念のもと、安全最優先で事業活動を行っております。しかしながら、万が一重大な貨物事故、交通事故、労働災害などが発生した場合には、顧客からの信頼の失墜や社会的信用の低下に加え、営業停止や事業免許取消などの行政処分により一部の事業活動が継続困難になり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②カントリーリスクについて
ロシア・ウクライナ情勢や中東紛争、台湾情勢の緊張の更なる高まり、グローバル規模の貿易戦争など、今日の複雑で不安定なグローバル環境におけるリスクに対し、NXグループでは、NXグループ内での情報収集、外部専門家活用などを通じ、その予防・回避に努めております。しかしながら、NXグループは、世界各地で事業展開しており、各国の政治・経済・社会・法規制の変化や暴動、テロ及び戦争の発生による経済活動の制約、国際輸送への制約などにより、NXグループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③情報システム及び情報セキュリティについて
昨今の情報通信技術の急速な発展により、情報システムの戦略的な活用は事業運営に不可欠であるとともに、システムの可用性や情報の適切な取扱いは、NXグループにおいても経営の重要課題であり、また、企業として果たすべき社会的責任でもあります。NXグループにおいては、ITシステム部門の統合によるIT戦略の立案と実施をグループ一体で推進するとともに、ITガバナンスやシステムリスクに関するNXグループ共通の各種規程類を整備し、IT部門の円滑な運営と適切なITシステム環境の構築及びeラーニング等を利用した従業員へのセキュリティ教育や外部からの攻撃や非常事態を想定した態勢構築に努めております。
しかしながら、システムや通信における想定外の障害や、近年の大規模化・多頻度化・巧妙化を続けるサイバー攻撃などによる機密情報の破壊・窃盗などは、NXグループの事業活動に深刻な影響を及ぼすだけでなく、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
前連結会計年度に取得したTramo社との企業結合について前連結会計年度に暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNXグループが判断したものです。
(1)経営成績
当連結会計年度の世界経済は、米国や新興国の一部において内需主導による景気拡大がみられ、また、その他の国や地域における実質賃金の上昇による個人消費の回復などに下支えされ、底堅い成長を維持しました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化、米中間の対立など地政学リスクや経済安全保障リスクの高まりにより、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような経済情勢のなか、物流業界におきましては、国際物流では、中国発の越境eコマース(電子商取引)の拡大による航空貨物輸送の増加などにより貨物輸送の需要は回復基調にあるものの、海上貨物輸送では中東の情勢不安に伴うスエズ運河の航行回避の長期化やパナマ運河の記録的な干ばつによる通航制限等、貨物輸送に直接影響を与える地政学・自然災害リスクが顕在化し、不安定な状況で推移いたしました。国内物流では、個人消費に持ち直しの動きがみられた一方で、設備投資の減速を受け生産関連貨物輸送は低調に推移し、全体としての荷動きは力強さに欠ける状況で推移しました。また、物流業界における2024年問題への対応や人件費・燃料費の高騰等コスト上昇圧力への対応に迫られる状況が続きました。
引き続き、地政学および経済安全保障上のリスクによるサプライチェーンへの影響、労働力の不足や燃料費の高止まりによる各種調達コストの上昇等、その動向に注視が必要な状況にあります。
NXグループは、このような経営環境のもと、2024年1月1日より新たな経営計画である「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0“Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~”」がスタートしています。目指す姿や方向に変わりはありませんが、よりスピード感をもって長期ビジョンである「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」の実現に向け、経営計画に掲げる諸施策及び企業価値向上を意識した経営に取り組んでまいりました。
当連結会計年度につきましては、物流需要の回復やNXグループに新たにcargo-partner社が加わったことにより売上収益は対前年比増加となりましたが、エネルギー価格の高止まり、人件費をはじめとしたコスト上昇等の外部環境の影響を受け、セグメント利益は減少という結果になりました。
「グローバル市場での事業成長の加速」
「グローバル市場での事業成長の加速」につきましては、お客様のグローバル・サプライチェーンにEnd to Endソリューションを提供することで取扱う事業領域の拡大を目指し、航空及び海運フォワーディングの販売拡大や倉庫を中心とした幅広いロジスティクスソリューションの提供強化に注力してまいりました。グローバル事業本部(GBHQ:Global Business Headquarters)を中心に、営業戦略の中核に「グローバルアカウントマネジメント」を据え、グローバルな営業体制、組織の更なる強化に努めてまいりました。重点産業の取組みとして、テクノロジー、モビリティ、ライフスタイル、ヘルスケア、半導体関連の5つを選定し、継続的にお客様へのアプローチに取り組むとともに、新たな顧客基盤を構築するため、グローバル市場においてプレゼンスを持つ非日系顧客の開拓にも取り組んでまいりました。また、cargo-partner社へのPMIによるグループシナジー創出やインド市場における事業体制の拡充を図ってまいりました。
主なKPIの進捗は以下のとおりです。
※日本通運株式会社、海外4セグメント合計(cargo-partner社、Tramo社は除く)
※2023年実績にはcargo-partner社は含まない。
※倉庫・配送等売上にはcargo-partner社は含まない。
「日本事業の再構築」
「日本事業の再構築」につきましては、アカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大等売上の拡大に取り組むとともに、日本事業強靭化施策の継続・深化に加え、事業基盤の変革・見直し等収益性や資本効率の向上に取り組んでまいりました。
特に、日本事業の再構築の根幹となる事業基盤の変革の取組みとして、日本通運株式会社においては、マーケットの特性に応じて、各エリアの役割を明確にし、経営の自由度を高めていくことを目的とした社内カンパニー制導入の検討を進めてまいりました。同時に、重量品建設事業の分社化や特積み事業の再編も進めてまいりました。また、2024年問題に伴う人手不足等の解消のため、先端技術の導入やロジスティクス人財の育成による倉庫オペレーションの強化、オフィス業務の自動化・簡素化による生産性の向上にも取り組んでまいりました。
「サステナビリティ経営の推進」
今次経営計画では、サステナビリティ経営をすべての事業の土台と位置付け、企業価値の向上と社会課題の解決のために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を、「サステナブル・ソリューションの開発・強化」「グローバル・サプライチェーンの強靭化」「気候変動への対応強化」「イノベーションを生む人財力の向上」「人権の尊重と責任ある企業活動の実現」の5つに見直し、それぞれの課題解決に向けて取組みを進めてまいりました。
「サステナブル・ソリューションの開発・強化」では、モーダルシフトや低炭素輸送商品の開発等顧客ニーズへの対応を進め、「気候変動への対応強化」では、施設照明のLED化等経済合理性の高いScope2(間接排出)の削減を優先的に進めてまいりました。また、「イノベーションを生む人財力の向上」では、Well-beingの充実の施策の一つとしてNXエンゲージメントサーベイを実施し、課題の経年変化や新たな課題の可視化などエンゲージメント向上に繋がる取組みを進めてまいりました。
「企業価値向上に向けた取組み」
企業価値向上に向けた取組みにつきましては、資本コストを上回る資本収益性の達成、すなわち、エクイティ・スプレッドの拡大を図るために、ROEの改善が最優先課題との認識のもと、M&Aも活用しながら売上収益の拡大を図るとともに、利益率向上の取組みとして日本セグメントのセグメント利益改善に注力する等、経営計画に織り込んだ成長戦略の取組みを進めてまいりました。加えて、新たに内部経営指標にROICを導入する等資本収益性を意識した経営への転換を進め、更には、資本政策の見直しによる資本構成の最適化や事業ポートフォリオマネジメントの強化にも着手してまいりました。
NXグループの当連結会計年度の業績は、売上収益は2兆5,776億円と前年同期に比べ3,386億円、15.1%の増収となり、営業利益は490億円と前年同期に比べ110億円、18.3%の減益、税引前利益は518億円と前年同期に比べ93億円、15.2%の減益となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は317億円と前年同期に比べ53億円、14.4%の減益となりました。
報告セグメントの業績概況は以下のとおりであります。
売上収益の明細
セグメント利益の明細
①日本(ロジスティクス)
航空貨物、海運貨物の取扱いが増加し、売上収益は1兆2,620億円と前年同期に比べ54億円、0.4%の増収となりましたが、人件費をはじめとする各種コスト増の影響により、セグメント利益は405億円と前年同期に比べ80億円、16.6%の減益となりました。
②米州(ロジスティクス)
倉庫配送の取扱いが好調を維持し、売上収益は1,530億円と前年同期に比べ17億円、1.2%の増収となりましたが、航空貨物、海運貨物の利用費上昇の影響を受け、セグメント利益は53億円と前年同期に比べ38億円、42.1%の減益となりました。
③欧州(ロジスティクス)
航空貨物は紅海危機による海運輸送からのシフト貨物等もあり取扱いが増加したことに加え、cargo-partner社グループを新たに連結の範囲に含めたことにより、売上収益は5,017億円と前年同期に比べ3,091億円、160.4%の増収となり、セグメント利益は112億円と前年同期に比べ13億円、14.1%の増益となりました。
④東アジア(ロジスティクス)
航空貨物、海運貨物の取扱いが半導体関連を中心に増加し、売上収益は1,739億円と前年同期に比べ162億円、10.3%の増収となり、セグメント利益は45億円と前年同期に比べ7億円、20.4%の増益となりました。
⑤南アジア・オセアニア(ロジスティクス)
航空貨物の取扱いが半導体関連を中心に増加し、売上収益は1,576億円と前年同期に比べ168億円、11.9%の増収となりましたが、販売単価の下落の影響を受け、セグメント利益は54億円と前年同期に比べ28億円、34.5%の減益となりました。
⑥警備輸送
設定便の減便はあったものの、新紙幣切替に伴う改刷対応や金融機関アウトソーシング業務の受託拡大等により、売上収益は685億円と前年同期に比べ6億円、1.0%の増収となりましたが、各種コスト増の影響により、セグメント利益は24億円と前年同期に比べ9億円、28.9%の減益となりました。
⑦重量品建設
産業機械関連の取扱いが大幅に減少し、売上収益は500億円と前年同期に比べ10億円、2.0%の減収となり、セグメント利益は53億円と前年同期に比べ12億円、18.7%の減益となりました。
⑧物流サポート
物流部門及び整備製作部門の取扱いの減少等により、売上収益は4,204億円と前年同期に比べ54億円、1.3%の減収となり、セグメント利益は122億円と前年同期に比べ16億円、11.6%の減益となりました。
なお、NXグループの取り扱う輸送手段は多岐にわたるとともに、実運送や利用運送も行っており、セグメント情報に関連付けて、輸送手段ごとの販売実績の的確な表示を行うことは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況につきましては、上記セグメントの業績に示しており、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は2兆2,971億円となり、前連結会計年度末に比べ1,878億円、8.9%増となりました。
流動資産は9,348億円で前連結会計年度末に比べ385億円、4.3%増、非流動資産は1兆3,622億円で前連結会計年度末に比べ1,493億円、12.3%増となりました。
流動資産増加の主な要因は、営業債権及びその他の債権の増加等によるものです。
非流動資産増加の主な要因は、のれん及び無形資産の増加等によるものです。
流動負債は7,578億円で前連結会計年度末に比べ1,667億円、28.2%増、非流動負債は6,662億円で前連結会計年度末に比べ341億円、4.9%減となりました。
流動負債増加の主な要因は、短期償還社債の増加等によるものです。
非流動負債減少の主な要因は、長期借入金の減少等によるものです。
当連結会計年度末の資本合計は8,730億円で、前連結会計年度末に比べ552億円、6.8%増となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、2,513億円となり、前連結会計年度末に比べ637億円減となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは2,278億円の収入となり、前年同期に比べ421億円収入が増加しました。その主な要因は、法人所得税の支払額が減少したこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,407億円の支出となり、前年同期に比べ814億円支出が増加しました。その主な要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式取得による支出が増加したこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,641億円の支出となり、前年同期に比べ639億円支出が増加しました。その主な要因は、長期借入れによる収入が減少したこと等によるものです。
NXグループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにNXグループの設備の新設、改修及びM&A等に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金の一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(cargo-partner社の取得)
当社は、2023年5月12日に締結したCargo-Partner Group Holding AG並びにその子会社であるMulti Transport und Logistik Holding AG、Safer Overseas Transport Holding GmbH、Cargo-Partner GND GmbH及びCARGO-PARTNER US HOLDINGS INC.の5社(以下「売主」という。)との株式譲渡契約に基づき、当社の欧州持株子会社NIPPON EXPRESS EUROPE GMBHの完全子会社である特別目的会社を通じて、売主が中東欧を主たる拠点として世界各地でロジスティクスサービスを展開する複数の子会社(以下「cargo-partner社」という。)の全株式を2024年1月4日(オーストリア時間)に取得し、子会社化の手続きを完了しました。
なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.企業結合」をご参照ください。
特記すべき事項はありません。