当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針および経営環境
(経営方針)
当社紅麹関連製品に関して、健康被害にあわれたお客様をはじめ、株主の皆様、当社を取り巻くすべてのご関係の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます。健康被害にあわれたお客様への補償について真摯に対応し、再発防止に向けた取り組みを進めることで、信頼回復に努めてまいります。
当社は、2023年2月14日に2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を公表し、これを実現すべく様々な施策に取り組んでまいりました。しかしながら、紅麹関連製品の回収事案(以下「本件事案」といいます)の発生により、2024年12月期の連結業績は2023年2月14日に公表した中期経営計画において想定した前提条件からの乖離が大きく、中期経営計画で定めた業績数値、戦略課題/KPIについて、新たな状況を加味して設定すべきと判断したことから、中期経営計画を取り下げることといたしました。新たな経営方針は、現在議論中であり、適切なタイミングにて公表する予定でございます。
(経営環境)
当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴って多くの国で経済活動が再開し、国・地域を越えた移動も増加傾向になる中、原材料価格の高騰やエネルギーコスト上昇に伴う消費低迷の懸念、地政学リスクの高まりなど、先行き不透明な状況が続きました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
現在、健康被害にあわれたお客様および損害を受けられた企業様への補償について誠心誠意対応するとともに、原因の究明や再発防止に向けた取り組みを進めております。
補償の状況
当社は、本件事案の発生直後から、当社の紅麹関連製品を摂取されたお客様がご自身の健康状態の確認のために医療機関をご受診して頂くようお願いをし、その初診料・検査費用等のお支払いをするとともに、製品の摂取と症状との間に相応の関連性があると疑われるお客様に対して、暫定的に医療費等の実費のお支払いを進めてまいりました。その後、被害にあわれたお客様への補償対応を着実に進めるべく、2024年7月1日付で本件事案の補償を専門に取扱う「補償対応本部」を設置し、健康被害への補償の方針を定めて、同年8月19日からは医療費・交通費に加えて、慰謝料、休業補償、後遺障害による逸失利益の補償も本格的に開始しています。
また、当社の紅麹原料又は紅麹原料を使用した製品を取り扱っている企業様においては、同年3月25日より、お客様の健康被害が拡大することを防ぐための予防的措置として自主回収をお願いしており、その回収に要した費用等に関する補償の受付も進めております。
再発防止策の策定及び進捗状況
本件事案の発生直後から、見出された課題についてはこれを解決するべく随時対応しておりましたが、2024年9月17日付当社ニュースリリース「再発防止策の策定に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、事実検証委員会による調査報告書を通じて提言された内容を踏まえ、①品質・安全に関する意識改革と体制強化、②コーポレート・ガバナンスの抜本的改革、③全員が一丸となって創り直す新小林製薬、を3本の柱とする再発防止策を取締役会にて決議し、公表いたしました。
改めまして、再発防止策の概要につきまして、以下に3本柱に沿って記載いたします。
再発防止策の概要(3本柱)
①品質・安全に関する意識改革と体制強化
・「品質・安全ファースト」を徹底して当社の役職員の品質・安全に関する意識改革を図る
・品質・安全責任部署の役割と責任を明確にし、品質保証体制とマネジメント体制を強化する
②コーポレート・ガバナンスの抜本的改革
・新小林製薬の経営を監督する取締役会構成を刷新する
・ステークホルダーの皆様からの信頼回復と、新小林製薬の実現を目的として、正しいことを正しく行う会社となるための体制の確立を図る
③全員が一丸となって創り直す新小林製薬
・リスク感度を高め、新たな価値を作り出す力を高めるため、当社が抱える同質性を排除し、多様性を確保する施策を実行する
・全役職員が力を合わせて一丸となり、新しい小林製薬を創り直す
当社としては、これまでにいただいた社外からの厳しいご指摘も踏まえ、再発防止策の具体化を検討し、また、実施済みの再発防止策についても不断に見直しを行う必要があると考えております。加えて、二度と本件事案のような事態を起こさぬよう、今後も誠実かつ着実に再発防止策を実施し、「品質・安全ファースト」の風土を体現した企業となるべく、歩みを進める所存でございます。
以下、上記の3本柱それぞれについて、現在実施または検討している再発防止策の概要を説明します。
①品質・安全に関する意識改革と体制強化
本項目における活動の概要は図表①のとおりです。これまでの主な活動としては、まず、全社員教育や経営幹部と現場従業員との双方向の対話の増加を通じて、「品質・安全ファースト」の意識改革を推進してまいりました。次に、品質・安全責任部署の役割と責任の明確化を図り、より専門性を発揮できる品質管理体制とするべく、2025年1月1日付で関連する組織再編を行いました。また、工場のマネジメント体制の強化に加え、製造部門及び研究開発部門との連携を加速させ、ものづくりの協働体制及びガバナンス体制の強化を進めております。
今後は、ものづくりの現場の力を強化し、品質マネジメント体制を再構築していくとともに、品質管理基準や製品検査等の精緻化も図ってまいります。
図表①
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1 |
品質・安全に関する意識改革と体制強化 |
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(1) |
意識改革:「品質・安全ファースト」 |
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(1)-ア |
品質・安全に関する教育・研修 |
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品質・安全に関する教育・研修の全役職員向け実施 |
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(1)-イ |
品質・安全に関する代表取締役社長メッセージの発信 |
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代表取締役社長が旗手となっての定期的なメッセージ発信 |
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(1)-ウ |
従業員との対話の機会の増加 |
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経営幹部と品質・安全の維持・管理に従事する従業員との定期的対話 |
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(1)-エ |
「品質・安全ファースト」を最重要視した事業計画の策定 |
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事業計画への「品質・安全ファースト」の組み込み |
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中期経営計画への品質・安全に関する施策の中軸的配置 |
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品質・安全性向上に必要な投資を行える環境整備 |
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必要な事業の選択と当該事業へのリソースの集中 |
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(2) |
体制強化①:品質保証体制 |
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(2)-ア |
責任部署の明確化 |
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信頼性保証本部の役割の明確化 |
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(2)-イ |
品質管理体制の改善 |
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第1線の専門性強化 |
機能別本部制への移行 |
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品質管理部署の品質管理専任化 |
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人事ローテーションの見直し |
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第1線と第2線の双方向的連携の強化 |
品質関連の組織の整理 |
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品質関連の会議体の整理 |
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(2)-ウ |
専門部署の新設 |
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製品の開発・製造関連法規を専門的に扱う部署の新設 |
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(3) |
体制強化②:マネジメント体制 |
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(3)-ア |
工場のガバナンス体制の充実 |
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(3)-ア-(ア) |
品質マネジメント部および第三者による定期監査 |
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製造本部による工場の定期監査の実施 |
品質総点検(自主点検)※経口製品、肌に触れる製品 |
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社内定期監査の実施 |
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第三者機関によるチェックの仕組みの構築 |
第三者機関による工場の監査の実施 |
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第三者機関による定期的な監査の継続 |
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(3)-ア-(イ、ウ) |
「ものづくり推進室」の新設 |
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工場の統括機能の強化(ものづくり推進室の新設) 製造本部と工場の連携/コミュニケーション強化 |
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(3)-ア-(エ) |
統括的な衛生管理基準の策定 |
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経口製品群(医薬品以外)での衛生管理基準の策定 |
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肌に触れる製品群(医薬品以外)での衛生管理基準の策定 |
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全製品カテゴリーでの衛生管理基準の策定 |
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(3)-イ |
関連ルールの整備 |
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製品カテゴリーに応じた法令・各種ガイドラインの一元化 |
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品質保証方針の浸透の徹底 |
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製造・研究・品質部門の品質活動同期化 |
ものづくり品質行動方針の明文化 |
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(3)-ウ |
業務フローの見直し |
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(3)-ウ-(ア) |
開発部門と工場の協働 |
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「量産化見直し会議」の定期開催 |
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開発部門と製造本部の部門横断的な品質強化チームの立ち上げ |
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(3)-ウ-(イ) |
新規技術領域における製造管理・維持管理等の向上 |
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新規技術領域への進出や事業拡大時におけるPMIプロセスの再考 |
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取得事業に関わる人材の育成・外部専門家の意見聴取体制の構築 |
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取得事業に係る継続生産開始後における製造管理・品質維持管理体制の強化 |
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(3)-ウ-(ウ) |
製品検査の強化 |
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製品特性に応じた複数検査・特定成分以外の成分混入の検出手順の検討・導入 |
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(3)-エ |
人事評価制度の刷新 |
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品質・安全に貢献する活動を評価対象とすることを軸とした人事制度の改定 |
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②コーポレート・ガバナンスの抜本的改革
本項目における活動の概要は図表②のとおりです。これまでの主な活動としては、当社の現状を鑑み、あるべき取締役会構成の見直しを行い、社内外から様々な知見を有する人材を選定し、本株主総会で取締役候補者として株主の皆様にお諮りしております。また執行体制としては、専門性を高め意思決定の質とスピードを向上させる目的で、執行会議体の見直しを行っております。
併せて、危機管理体制強化の観点から、有事の対応組織及びリスク情報のエスカレーション体制を強化いたしました。
今後は、新しい取締役会のもと、監査役との連携をさらに強化して内部統制や品質管理の監督を充実させてまいります。
図表②
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2 |
コーポレート・ガバナンスの抜本的改革 |
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(1) |
創業家依存経営からの脱却 |
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代表取締役会長・社長の辞任 |
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社外取締役が過半数を占める取締役会による監督機能の更なる強化 |
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(2) |
機関設計の再検証 |
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指名委員会等設置会社等への移行の検討 |
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取締役会構成の刷新・社外取締役増員、取締役会長外部招聘による監督機能強化 |
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(3) |
取締役会による監督強化 |
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(3)-ア |
社外取締役による監督の強化 |
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取締役会の運営の見直し |
取締役会議長体制の変更 |
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取締役会アジェンダの見直し |
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社外取締役と監査役間の情報共有の仕組みの充実 |
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社外取締役の任期ルールの制定 |
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(3)-イ |
取締役会と執行サイドの連携強化(定例会議の新設等) |
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取締役会への適時適切な情報提供の仕組み作り |
取締役会と執行サイドの連携強化 |
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リスク情報のエスカレーション体制の構築 |
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(3)-ウ |
監査役への適時の情報共有 |
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監査役会と取締役会・執行サイドのコミュニケーションの促進 |
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(4) |
執行部の会議体の見直し(グループ執行審議会:GOMの廃止等) |
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会議体の再構成 |
経営執行会議の新設(執行の意思決定機関の明確化) |
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グループ協議会の新設(多様な意見の収集) |
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各種専門委員会の新設(専門協議強化/第三者視点採用) |
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(5) |
危機管理体制の整備 |
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(5)-ア |
代表取締役社長を責任者とする対応体制 |
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専門性をもって迅速に意思決定を行う仕組み構築(品質安全専門委員会・品質安全緊急会議の設置) |
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(5)-イ |
有事を想定したリスクマネジメント |
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組織再編によるリスクマネジメント部門と取締役会事務局の連携強化 |
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平時におけるリスクマネジメント体制の構築 |
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(5)-ウ |
有事の際の社内情報共有体制 |
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有事におけるリスク情報のエスカレーションフローの再整備 |
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取締役会にエスカレーションすべきリスク情報の考え方の策定 |
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(6) |
リスク・コンプライアンス体制の強化 |
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(6)-ア |
ガバナンス推進会議の再整理 |
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リスク・コンプライアンス専門委員会の設置 |
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(6)-イ |
誠実さを行動準則とした組織運営 |
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インテグリティ経営の推進 |
インテグリティ経営推進の専門部署の新設 |
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役員向けインテグリティ研修実施 |
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インテグリティ経営の風土の醸成 |
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(7) |
対外的なコミュニケーション・情報発信の改善 |
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専門性を高めた組織編成による社内・対外コミュニケーションの活性化 |
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(8) |
品質・安全を最優先とした事業運営 |
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事業ポートフォリオ戦略の再構築・やめるべきことの決定(事業の選択とリソースの集中) |
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SKU数の削減の検討 ※SKUとは、Stock Keeping Unit(商品最小単位)を指します |
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必要な人員や予算等のリソースの再分配 |
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③全員が一丸となって創り直す新小林製薬
本項目における活動の概要は図表③のとおりです。まずは、専門性と多様性を重視した人材の確保や配置、育成に向けた人事制度改革に着手しております。次に、今後の当社のあるべき姿と、それを実行できる組織風土の構築を目指した全社横断のプロジェクトを発足いたしました。
また、本件事案を公表した3月22日を「品質・安全の日」とし、本件事案を決して風化させることなく、全員が一丸となって新たな小林製薬を創り直してまいります。
図表③
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3 |
全員が一丸となって創り直す「新小林製薬」 |
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専門性と多様性を重視した人材の確保・配置・育成 |
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組織風土の見直し(組織風土改革プロジェクトの推進) |
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本件事案を風化させない取り組みの継続 3月22日(本件事案公表日)を「品質・安全の日」と制定 |
中長期の成長に向けた取り組み
現在は、上記の再発防止策を推し進めつつ、新小林製薬に向けたアクションプランとして、①構造改革の推進、②成長回帰に向けた開発基本方針、を定め進捗させてまいります。
①構造改革の推進
a. ポートフォリオマネジメント経営の推進
これまでの事業拡大を最優先とした経営により、限られたリソースを多数の事業に対して配分しなければならず、投資が分散されてしまう実態がありました。その結果、品質への投資といった事業拡大への寄与が見えにくい事項への投資が劣後する状況が顕在化してきていました。中長期の事業成長を実現するためには、中核領域と変革領域を整理し、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、ポートフォリオを変えていくことが不可欠です。そこで、ポートフォリオマネジメント経営を積極的に推進してまいります。
今後、ポートフォリオマネジメント経営を通じてカテゴリーごとにメリハリをつけた戦略とすることで、製品構成も再編していきます。この取り組みにより、収益構造を回復し、粗利率の向上を図ってまいります。
短期的なアクションとしてはSKU数の最適化、広告効率の改善が急務であると考え、下記のとおり実践してまいります。
1)SKU数の最適化
・生産性の向上、製品品質の向上、利益率改善を目的として、SKU数25%の削減をターゲットとする
・今後の当社のビジネスモデルとして適切なSKU数を見極める
2)広告効率の改善
・Web広告へシフトすることで各ブランドのユーザー層(ターゲット)への訴求力を強める
(広告を再開した後に実行)
・2割程度の広告効果の改善を目標に、ブランドごと、媒体ごとの広告投資を最適化させる
b. 不採算事業の見直し
固定費の軽量化だけでなく、人的資本の活用を含む品質・安全投資のリソースの拡充を目的に、不採算事業の整理も視野に入れた抜本的な経営改革を実践してまいります。
②成長回帰に向けた開発基本方針
a. 新製品開発
お客様にリピートされる確かな品質と機能にこだわった新製品開発を推し進めてまいります。加えて、新製品販売後もお客様目線での改良と製品コミュニケーションを徹底することで、お客様の生活に根づき、5年を越えて愛される、なくてはならない製品として価値を高めていくことを目指します。
b. 海外事業成長
今後も海外事業を成長の柱として位置付け、グローバルブランドを定めて、引き続き投資を拡充させてまいります。一方、今後は限られたリソースを効率よく資本循環させるため、成長国を見極めた上で各地域の戦略を明確にし(例えば、東南アジアでは、タイ、マレーシアに続く成長国へ積極的に展開)、メリハリをつけた投資により期待されるリターンを最大化させていく方針とします。
c. 新規事業への布石
新規事業の進め方を再考するべく、当期より既存事業と切り離した組織として、「新規事業準備室」を設けています。今後は、当社の戦うべき新規事業領域を定め、リソースを集約して推し進めてまいります。
以上の取り組みにより、およそ3年後には本件事案発生前の利益水準に戻したいと考えております。
▶ 業績目標
業績予想の前提
国内の広告は第2四半期から再開する前提となっております。
インバウンド需要は前年並みの想定で織り込んでおります。
品質・人材への投資も強化してまいります。
将来の需要増や事業拡大に対応すべく、国内外の大型設備投資(新棟投資)を実施していきます。
原材料価格やエネルギーコストなど、様々なものが値上がりしていますが、今後も高止まりが続くと見込んでおります。
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2024年12月期 |
2025年12月期 |
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金額 |
金額 |
対前期 増減率 |
売上高 利益率 |
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売上高 |
1,656億円 |
1,710億円 |
3.3% |
- |
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営業利益 |
248億円 |
140億円 |
△43.7% |
8.2% |
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経常利益 |
268億円 |
153億円 |
△43.0% |
8.9% |
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親会社株主に 帰属する 当期純利益 |
100億円 |
105億円 |
4.3% |
6.1% |
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EBITDA(※) |
328億円 |
228億円 |
△30.5% |
13.3% |
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EPS |
135.42円 |
141.25円 |
4.3% |
- |
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ROE |
4.8% |
5.0% |
- |
- |
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配当 |
102円 (中間43円、期末59円) |
104円 (中間44円、期末60円) |
- |
- |
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国内事業売上高 |
1,199億円 |
1,200億円 |
0.1% |
- |
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国際事業売上高 |
451億円 |
505億円 |
11.8% |
- |
※ EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ基本方針
当社グループは、「人と社会に素晴らしい『快』を提供する」経営理念の実践が、人、社会、環境との調和を図り、持続可能な社会への貢献と企業としての持続可能な成長につながると考えています。このことは、まさに「社会のサステナビリティ」と「当社グループのサステナビリティ」を同期化させることであり、これまで世の中にない製品を生み出すことで新しい生活習慣を作り、新市場を創造してきた当社グループに新たな成長の可能性をもたらします。さまざまな社会課題に視野を広げ、一人ひとりの暮らしの中の見過ごされがちな「お困りごと」を発見し、製品・サービスを通じて、「誰ひとり取り残さない社会」の実現に貢献します。
「人」、「社会」、「環境」と私たち
・人
社員一人ひとりが自分らしさを発揮して、“あったらいいな”をカタチにするために、多様なアイデアを生み出す自由闊達な企業風土を大切にしています。この企業風土を醸成する制度や仕組み、キャリア開発支援、成長実感をテーマとした人事制度、働き方の多様性を実現する環境整備等、社員一人ひとりから生み出される価値を最大化する取り組みに投資し、企業価値の創造につなげることを目指します。また、当社グループ人権方針に従い、対話を通じてサプライチェーン全体の人権尊重に取り組みます。
・社会
一人ひとりのお困りごとを解決する“あったらいいな”の先にある社会課題にアプローチし、アイデアをカタチにすることで、健康と福祉の向上に貢献します。人々が暮らしの『快』を実感できる社会貢献活動の推進、さまざまなステークホルダーと連携し相互の強みを生かした取り組み、社員の専門的なスキルや知識を活かした活動等を行うことで、地域社会との共生と発展を目指します。
・環境
私たちは、豊かな自然や地球環境の支えがあるからこそ事業を営んでいることを忘れず、資源の有効な利用に努めます。また、カーボンニュートラルや循環型社会への移行、生物多様性の保全など、世界共通の環境課題に真剣に向き合い、ステークホルダーと力を合わせ、その解決のためのアイデアを製品・サービスとしてカタチにすることでこの課題に取り組みます。
①ガバナンス(サステナビリティマネジメント体制)
2024年は取締役会直下にサステナビリティ委員会を設置し、後述の「2+3のマテリアリティ」に紐づいた5つの推進会議を下部組織とした体制で運用しています。
②戦略
当社グループは、グループの事業を進めながら持続的な社会の実現に貢献していくことで、経済的価値の創造と社会的価値の創造をともに実現することを目指しています。2017年に「ステークホルダーからの期待・要請の高さ」と「当社グループのビジネスモデル・中期経営計画との関連性の高さ」の両観点から、当社グループが優先的に取り組むべきサステナビリティ課題について検討を重ね、25項目をマテリアリティとして特定しました。
2023年、これまでの当社グループの活動成果から、各項目について整理を行い、また当社グループのアイデンティティ、パーパス等を考慮した上で、「2+3のマテリアリティ」として更新しました。これらマテリアリティはサステナビリティ委員会にて達成進捗を管理しています。
③リスク管理
リスクは、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会にて、影響度と頻度の観点で評価しています。経営が関与しながら低減に取り組むべき中長期的なリスクについては、「全社重点リスク」として選定し、リスク低減プランの承認や進捗管理を行うとともに、取締役会へ報告しています。
④指標及び目標
当社グループでは、上記の戦略において記載した内容について、サステナビリティ委員会において指標と目標を検討し策定してまいります。
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)
当社グループでは、サステナビリティ課題の中でも気候変動対応を最重要課題と捉えています。2019年に賛同したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を踏まえ、シナリオ分析に着手し、以下の枠組みで取り組みを進めています。
①ガバナンス(気候変動マネジメント体制)
2024年は取締役会直下にサステナビリティ委員会を設置し、「2+3のマテリアリティ」に紐づいた5つの推進会議を下部組織とした体制で運用しています。その下部組織の環境推進会議内にTCFDタスクフォースを設置し、プラスチックやGHGの削減目標の設定、削減施策の検討、進捗状況のモニタリングなどの方針・計画案の作成及び取り組みを議論しています。
②戦略
2022年のシナリオ分析においては、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追求する」というパリ協定の目標の達成と脱炭素社会の実現を見据え、1.5℃シナリオを検討しました。さらに世界的に気候変動対策が十分に進展しない場合も想定して、4℃シナリオも検討し、当社グループにおける気候変動リスク・機会を更新、財務影響度を算定しました。その結果を2022年に経済産業省が公表した「TCFDガイダンス3.0」に沿って、以下の通り整理しました。
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今後は各リスク、機会の対応策の更新や新たな機会の創出を検討いたします。
③リスク管理
気候関連リスクを含むすべてのリスクは、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会にて管理しています。詳細については「
④指標及び目標
当社グループは、2030年までにグループ全体のGHG排出量のうちScope1,2は51%、Scope3は15%削減する目標を設定しました(基準年2018年)。また、当社グループは、2050年までに、グループ全体のScope1,2についてはカーボンニュートラルを目指します。
※上記目標については、SBTイニシアティブの認定を取得済みです。
※Scope1,2,3とは
Scope1:事業者自らによる直接排出
Scope2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出
Scope3:Scope2以外のすべての間接排出
当社グループは、国内を中心に工場、オフィス、研究所などの拠点が存在します。特にScope1,2は国内工場による排出が多い状況です。そのため、削減施策として空調機の更新、冷熱設備の断熱強化、照明のLED化など、工場の電力使用量を抑える活動を進める一方、今後生産拡大によるエネルギー使用量の増加が予想されることから、国内主要工場の使用電力をCO2排出ゼロ電力へ切り替えています。仙台小林製薬㈱では2020年に切り替えを開始し、2021年に全量をCO2排出ゼロ電力に切り替えました。富山小林製薬㈱、小林製薬プラックス㈱では2023年に一部電力をCO2排出ゼロ電力に切り替えを開始しています。
小林製薬プラックス㈱、愛媛小林製薬㈱、アロエ製薬㈱では太陽光発電を導入しています。江蘇小林製薬有限公司、合肥小林薬業有限公司は2023年に、合肥小林日用品有限公司は2024年に太陽光発電を導入しています。
これにより、2024年におけるScope1,2のGHG排出量は2018年比11%の削減となりました。 今後も段階的に国内の主要工場をCO2排出ゼロ電力に切り替えることや省エネ、創エネ活動により、2030年の排出削減目標並びに2050年のカーボンニュートラルの達成を目指していきます。
※数値については四捨五入しているため、合計が合わない場合があります。
(3)人権の尊重
当社グループは、経営理念に「人と社会に素晴らしい『快』を提供する」ことを定めており、人権の尊重は、経営理念に基づく事業活動の前提であり、企業の責任として取り組むべきものであると考えています。2023年2月には、取締役会の承認のもとグローバルスタンダードである国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した形で「小林製薬グループ人権方針」を策定しました。
本方針では、国際人権章典などの人権に関する国際規範の支持・尊重、あらゆる差別・強制労働・人身取引・児童労働等の禁止、人権デュー・ディリジェンスの実施、人権尊重に関する教育・啓発の実施、ステークホルダーとの対話等について定めています。
本方針に基づき、当社グループ全体で人権尊重の取り組みを実践し、社会的責任を果たすとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
①ガバナンス(人権マネジメント体制)
事業活動による人権侵害リスクの防止・低減に向け、サステナビリティ委員会にマテリアリティの一つである人権をテーマとする人権推進会議を設置しています。人権方針や人権尊重に関する取り組みは、サステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)で審議・報告され、取締役会に報告されます。
社内体制としては、「ビジネスと人権」についてはサステナビリティ推進部門、自社従業員の人権については人事部門、調達仕入先への取り組みは購買部門、コンプライアンスについては総務部門など、関連部門が連携しながら取り組みを進めています。社内においては、万が一、問題が発生した場合は社内の相談窓口はもちろんのこと、外部の専門機関や弁護士に相談できる窓口を設け、問題の迅速な解決と個人を保護する仕組みを構築しています。
また、社外においても外部団体に加盟し加盟企業との情報交換や人権啓発活動にも積極的に取り組んでいます。
・人権に関する相談窓口:
当社グループの事業活動における人権侵害に関してご相談いただけるよう、人権に関する相談窓口を設置しております。窓口へのご相談受付においては、ご相談者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保します。
・ご利用対象者:当社グループの事業活動の影響を受けるすべての皆様
(例:当社グループのお取引先様、一般のお客様、株主様、採用活動応募者様など)
②リスク管理(人権デュー・ディリジェンス)
当社グループは、人権方針に基づき、事業に関係する人権への負の影響を特定、防止・軽減し、取り組みの実効性を評価し、どのように対処したかについて説明・情報開示する一連の取り組みを進めていきます。
(4)人的資本
当社の人的資本に関する取り組みについては、2023年10月発行の「人的資本レポート」にて公表しました。しかし、本件事案を受け、本件事案の補償と再発防止策を最優先に、かつ着実に実行していくため、現在は再発防止策で掲げた3つの柱につながる人的資本に関する取り組みに注力しています。
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再発防止策の3つの柱 |
人的資本に関する取り組み |
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1.品質・安全に関する意識改革と体制強化 |
a.品質・安全に関する教育・研修の実施 |
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2.コーポレート・ガバナンスの抜本的改革 |
e.誠実さを行動準則とした組織運営 |
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3.全員が一丸となって創り直す新小林製薬 |
f.同質性の排除と風土改革 |
①戦略
a.品質・安全に関する教育・研修の実施
「お客様に安心をお届けする」ことの重要性を全役職員が再認識するため、全役職員を対象とする「品質安全教育」をスタートさせました。
スタート1年目にあたる2025年は、まず1月から3月にかけて全役職員共通の基礎とすべき品質安全にかかわる知識(品質の維持・向上の意義、品質保証方針等)を徹底し、4月から12月にかけては、職能別に、より実務に紐づく必要なマインドを浸透させることを目的として設計しています。そして、2年目となる2026年以降は、職能ごとに必要な知識教育を継続して行うことで、品質・安全第一の思考・行動の更なる定着を図ることに加え、各現場に即した高い品質レベルを達成するため、個別に品質強化に関するテーマを設定し、自主的にこの教育が現場にて実施されている状態を目指します。
また、本件事案を絶対に風化させないという強い決意を持ち、本件事案を公表した「3月22日」を「品質・安全の日」と定めました。本件事案に関する社会全体の声・原因・当社の対応等を毎年振り返るとともに、「品質・安全ファースト」の風土の醸成・強化に資する取組みの進捗を確認し、新たな課題についての討議も継続して実施していきます。
b.社長からのメッセージ配信と対話
品質・安全を最優先に考える風土づくりには、地道な活動を継続することが必要不可欠であり、この活動は代表取締役社長が旗手となり、率先して行うべきものであると考えます。そこで、2024年8月から代表取締役社長を務めた山根聡は、同月以降、本件事案を踏まえ、品質・安全を重視する内容に加え、当社の社風を変え、今後も正しいことを力強く進めていくことができるように必要な内容を含んだメッセージを定期的に発信することを継続してきました。
また、社長からの一方的な発信だけでなく、品質・安全を最優先に考える風土づくりのため、2024年8月より、経営幹部と品質・安全の維持・管理に携わる従業員との対話の機会を増やす施策も進めてきました。2025年3月に開催の定時株主総会以降、新たな体制となっても、この施策は引き続き継続し、更に充実させてゆく予定です。
c.品質を高める組織体制
製品の品質担保の主体である第1線(研究開発部門、製造本部、工場)の専門性を高めることを目的とし、2025年1月より組織の再設計を行いました。マーケティング機能・研究開発機能を事業ごとに束ねる従来の事業部制を廃止し、これまで分散していた職能を集約した機能別本部制へと移行しました。これにより、専門人材の知識と経験が集約され、日々の業務で専門性を意識した議論ができるレポートラインの設計が可能となり、各部門が担うべき機能を十分に発揮できる体制を実現できると考えています。また、品質管理部門は、本来の品質管理の役割のみを担うことを明確にすることを目的とし、研究開発部門及び製造部門それぞれにおいて組織の再整理を行いました。
さらには、従来の信頼性保証本部を、各事業部並びに製造本部及び各工場とは一線を画した、品質保証や安全管理における独立的かつ客観的な監査機能を持つ責任部署として明確に位置付け、2025年1月より、名称を「品質安全保証本部」に改めました。今後は、品質安全保証本部が、各事業部並びに製造本部及び工場における品質管理体制や全社的な視点での品質・安全に関わる仕組み等のプロセス監査の役割と責任を担う組織であることを明確にし、全社における品質教育に関しても、品質安全保証本部が責任をもって取り組むこととしました。
d.人事評価制度の刷新
当社の人事評価制度は、従来、売上・利益・コストダウン等の業績に加えて、日々の業務の結果を重視していました。また、製造部門の品質関連の指標に関しては、品質の改善や予防プロセスに対する評価指標は全社の評価項目としては設定されていませんでした。その結果、品質改善に対する取組みや改善提案が、製品供給活動やコストダウン等の業務に劣後することに繋がっていました。そこで、当社は、品質・安全に関する着実な日常業務の履行を正しく評価するために、2025年は品質・安全に貢献する活動を評価の対象とする運用に変更しました。また、専門性向上に資する人事制度の改定に着手しており、まずは当社における2026年1月からの導入を目指しています。
e.誠実さを行動準則とした組織運営
当社では、機能性表示食品に関して健康被害が発生した際、どのような場合に行政報告や製品回収を行うかについての考え方が社内で体系的に整理されておらず、本件事案への対応に迅速さと円滑さを欠く原因の一つとなりました。そこで、当社は、対応の迅速さと円滑さを確保すべく、仮にルールに明記されない問題が生じた場合であったとしても、「インテグリティ経営」、すなわち「誠実さを行動準則とした組織運営」を推進することとしました。
まず、2024年6月、インテグリティをテーマとした役員研修を実施しました。続いて、2025年1月、インテグリティ経営推進の専門部署を総務部内の新たな組織として新設し、コンプライアンスに加えてインテグリティ経営に注力できる体制を整備し、今後の活動に繋げていきます。
f.同質性の排除と風土改革
これまでの創業家との関係を見直し、同質性を排除して多様性を強化するための取り組みを推進していきます。具体的には、まずは取締役を含む経営幹部においても多様な人材の配置を行うために、外部人材を積極的に採用していきます。
また、全員が一丸となって新しい小林製薬を創り直すため、当社の組織風土に向き合い、必要な改革を行っていくべく、2025年3月28日に代表取締役社長に就任した代表取締役社長の豊田賀一をリーダーとし、部門横断でプロジェクトメンバーをアサインした『組織風土改革プロジェクト』を2024年12月に発足させました。経営層含む各従業員が、当社が掲げてきた理念や行動規範を見つめ直し、現在のどのような発言や行動がありたい姿とのギャップを生んでしまっているのかを認識する必要があると考えています。その上で、今後どのように発言や行動を変えていくことが必要かを定め、ありたい組織風土に向けた行動変容につなげていきます。
以上の通り、直近では再発防止につながる取り組みに注力しながらも、同時に、新しい小林製薬における人的資本戦略について再考し、必要となる取り組みを実行していく予定です。
②指標及び目標
現在は本件事案を受け、再発防止で掲げた3つの柱につながる人的資本に関する取り組みに注力していることから、戦略に紐づいて開示に値する指標・目標はありません。
今後、新しい小林製薬における人的資本戦略を策定するにあたり、あわせて指標と目標を設定し開示していく予定です。そのため、今回は、現在の小林製薬に関する指標の一部を記載します。
指標
※国内単体、当該年度12月31日時点
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2023年 |
2024年 |
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男 |
1,061人 |
1,027人 |
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女 |
721人 |
737人 |
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計 |
1,782人 |
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役員総数 (執行役員含む) |
男 |
13人 |
19人 |
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女 |
3人 |
4人 |
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計 |
16人 |
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新卒採用人数(注)1 |
男 |
31人 |
31人 |
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女 |
27人 |
27人 |
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キャリア採用人数 |
男 |
32人 |
33人 |
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女 |
22人 |
9人 |
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3.5% |
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(注)1.翌年度入社の新卒採用人数
2.自己都合退職した正社員を対象。(当該年度内に退職日を迎えた正社員数)÷(当該年度の1月1日付の正社員数)にて算出
<当社グループの経営リスク管理体制について>
当社グループは、企業が将来生み出す収益に対して影響を与えると考えられる、発生が不確定の事象を「経営リスク」と定めております。この経営リスクのマネジメントに関する全般的事項を「経営リスクマネジメント規程」として制定し、この規程に基づき、様々な経営リスクへの適切な対応と経営リスクが顕在化した場合の影響の極小化を図っております。
上記規程に基づき、2024年12月期までは、代表取締役社長を委員長として「リスク管理委員会」を設置し、経営リスクのマネジメントシステムの構築、及び改善を目的とした活動を行ってまいりました。このリスク管理委員会では、小林製薬グループ全社で発生する経営リスクを網羅的に把握、評価し、対応の優先順位を検討してまいりました。また、対応が必要と考えられたリスクについては、「全社重点リスク」に指定して経営の関与の必要性を明確にし、対応の責任を負う担当部門を決め、責任部門における対策案の立案と実行を監督してまいりました。リスク管理委員会における検討結果を取締役会にも報告し、取締役会においてその検証を行ってまいりました。
当社は、2024年12月期に発生した紅麹関連製品の回収事案(以下「本件事案」といいます)を受けて、2024年7月23日付ニュースリリース「事実検証委員会の調査報告を踏まえた取締役会の総括について」に記載のとおり、本件事案における一連の当社対応に関する調査報告書を事実検証委員会より受領し、2024年9月17日付ニュースリリース「再発防止策の策定に関するお知らせ」に記載のとおり、同報告書における指摘事項を踏まえ、再発防止策を策定しました。この再発防止策には、内部統制システムやリスクマネジメント体制の見直しに関する内容が含まれており、これに基づき、現在、改善を進めております。
具体的には、リスク管理委員会を含め関連する会議体を再整理し、2025年2月に「リスク・コンプライアンス専門委員会」を新設いたしました。同委員会では、従来のリスク管理委員会より開催頻度を増やし、リスクの網羅的な把握と評価、対応の優先順位の検討、対策案の立案と実行に対する監督などをより強化していくこととしております。また、同委員会での検討結果は執行役員を中心とした経営会議に上程した上で、取締役会に報告を行います。
<当社グループが認識している経営リスクについて>
本有価証券報告書提出日現在で、上記の<当社グループの経営リスク管理体制について>の中で述べている「全社重点リスク」は以下のリスクとなります。
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① |
社内で人権侵害が発生するリスク |
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従業員間のハラスメント等の発生を防止するために、管理職への個別指導、人権・ダイバーシティに関する従業員向けの教育・研修、ハラスメント相談室を通じた内部通報の受付と問題への対処等を行っている。 |
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② |
当社グループの取引先で人権侵害が発生するリスク |
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当社グループのサプライチェーンにおいて、児童労働、奴隷労働、人身取引や劣悪な労働環境の放置等の人権侵害が発生しないようにする必要がある。そのために、取引先へサステナビリティ評価を行い、CSR調達の観点で改善が必要な取引先への改善支援活動を行っている。 |
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③ |
CO2排出削減目標を達成できないリスク |
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2030年までの温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けて、削減施策を実施する必要がある。そのため、国内主要工場で再生可能エネルギー由来電力を導入するとともに、製品カテゴリーごとに排出量の多い製品から削減施策を検討している。また、サプライヤーと排出量削減に向けたエンゲージメントを行っている。 |
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④ |
TCFD対応の遅れにより、資本市場からの評価が低下するリスク |
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気候変動による当社事業への影響を予測し、必要に応じた対応を行う必要がある。そのため、関係部門によるシナリオ分析を行い、当社事業へのリスク・機会を抽出し、財務影響額の試算と、その対策を検討している。 |
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⑤ |
海外でコンプライアンス違反が発生するリスク |
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国際事業が拡大する中、統制の弱体化や、問題発生時の影響拡大を予防できる体制を構築する必要がある。そのため、国際事業本部長および関係会社社長の目標管理項目に、コンプライアンスに関連する内容を盛り込むこと等の対応を検討している。 |
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⑥ |
災害や紛争などにより事業継続が困難になるリスク |
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自然災害や戦争等のハザードが発生しても、それによる影響を最小限に抑え、事業継続可能な体制を構築する必要がある。そのため、事業継続計画を策定するとともに、売上の大きい製品を中心に有事の際のバックアップ体制の構築に取り組んでいる。 |
上記の「全社重点リスク」に指定しているものを含め、当社グループの経営に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク、及びその対応策の実施状況は、本頁以降に記載のとおりです。なお、本件事案は、本頁以降に記載した各主要なリスクに横断的に影響するものであり、今後も本件事案により様々な影響が生じる可能性があります。現在、当社が最も優先して取り組まなければならないのは、本件事案のような品質不具合問題を再び発生させないこと、及び万が一品質不具合問題が発生した時に迅速かつ適切な対応ができるようにすることであり、そのために、前述のとおり再発防止策を策定し、品質・安全に関する意識改革と体制強化、コーポレート・ガバナンスの抜本的改革、及び全員が一丸となって創り直す新小林製薬を3本柱として実施または検討しております。
以下、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
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主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
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(1)事業環境のリスク 当社グループの主要製品は、一般のお客様を対象とした製品であります。当社グループは、お客様のニーズを満たす製品の提供を当社の使命と考え、お客様のニーズの変化に合わせて新製品を開発し、既存発売品の更新を行うことにより価値を創出し、他社との差別化を目指しております。 しかしながら、当社グループの想定を超えるお客様のニーズの急激な変化が起こった場合、当社グループの製品への需要が大幅に縮小する可能性があります。 また、当社グループの事業領域は、競合他社の新製品発売、得意先の統合による価格交渉力低下等の競争環境の変化にさらされております。そのため状況に応じて、新製品・既存発売品の需要喚起のための広告宣伝、販売促進費用や、開発費用を増加させる必要が生じる可能性があります。 さらに当社グループは、EC購買の増加やお客様の利用媒体の変化などお客様の購買行動の変化に対応し、広告宣伝手法の更新等、お客様との最適な関係構築を追究しておりますが、当社グループが想定していない購買行動の変化が起こった場合、事業効率が低下する可能性があります。 加えて、本件事案を受けて、当社が販売する健康食品や医薬品等に対するお客様からの信用の低下、及び購買意欲の低下が長期化する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 |
当社グループは、お客様のニーズを見出し、製品のアイデアを検討する「アイデア創出」を起点としたバリューチェーンを構築しております。創出された製品アイデアについて、製品開発に向けた検討段階に進めるべきか判断する「アイデア会議」を月に1回の頻度で開催しており、お客様のニーズをタイムリーに反映した新製品の開発を持続的に行うことを目指しております。 一方、主要な既存ブランドについては、お客様のニーズの変化を捉えた訴求・表現等の見直しや、競合環境に対抗する施策などのブランド戦略のレビューと更新を半年に1回の頻度で行うことで、環境変化を精緻に捉えた戦略策定を実現するよう努めております。 これらの活動に加え、多種多様な製品をラインアップすることで、お客様のニーズが変化した際の影響を小さくするリスクヘッジが機能し、持続的に収益を確保することを目指す体制を構築しております。 また、当社グループはプロブレム解決型の製品を多く提供しているため、テレビ広告を中心とする広告投下によって、製品の特徴をお客様にわかりやすく伝えていくことが新製品の売上を確保する上で重要であると認識しております。しかし、購買層として想定されるお客様によってはWeb広告も投下し、常にこれらの広告と店頭消化との相関を把握することで、お客様の利用媒体の変化に関わらず広告効率が高く保たれるよう、広告施策を検討しております。 なお、本件事案を受けて、本有価証券報告書提出日現在、日本国内でのテレビ広告は中止しております。 本件事案を受けての健康食品や医薬品等に対するお客様からの信用の低下に対しては、再発防止策に真摯に取り組むことで、お客様からの信頼の回復に努めます。 |
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(2)積極的に新製品を投入するビジネスモデルのリスク 当社グループでは成長戦略の中核的な柱として積極的な新製品の開発と市場への投入を進めており、毎年の春と秋に多くの新製品を発売しております。しかし、新製品アイデアの創出が難航し新製品の開発に着手できる品目の数が不足する場合や、開発中の製品についてお客様のニーズの変化等により開発が中止となる場合、新製品発売時に競合他社からの類似製品の発売等によって市場環境が想定より厳しいものとなっている場合には、当社グループの新製品の売上が事前の想定を下回り、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、本件事案を受けて、健康食品の新製品については発売しにくい状況が続く可能性があります。また、同事案を受けて、本有価証券報告書提出日現在、日本国内でのテレビ広告を中止しており、今後も広告中止が長引いた場合、新製品を発売しても売上を大きく伸ばすことができない恐れがあり、それが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
上述のとおり、当社グループは、お客様のニーズを見出し、製品のアイデアを検討する「アイデア創出」を起点としたバリューチェーンを構築しております。 新製品アイデアの継続的な創出のため、当社グループではその風土醸成を重視し、アイデア創出を基幹業務として位置づけ、十分な人的・物的なリソースの投入を継続するよう努力するとともに、全社員からアイデア提案を受け付ける制度の活用推奨、全社員アイデア大会の開催などの意識向上施策に取り組んでおります。 開発段階に進んだ新製品アイデアについては、発売予定品目をまとめた「新製品ポートフォリオ」を作成して将来の発売予定時期ごとに分類し、毎月の開発参与委員会で進捗状況を把握しております。この新製品ポートフォリオを活用し、開発中止となる品目の発生を予め想定した余裕のある開発品目数の確保と、発売スケジュールの調整を行い、常に十分な売上となる発売予定品目が確保できるよう努めております。 本件事案による新製品売上低下への対策としては、既存製品のブランド戦略を改めて強化し、事業基盤の安定化に努めてまいります。 |
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(3)天候不順、気候変動による需要変動のリスク 当社グループの製品は、カイロ、感冒対策製品、暑さ対策製品、花粉症対策製品等、その製品需要が気温・天候により変動するものを含んでおります。そのため、各事業年度の気温・天候の如何により製品売上が影響を受ける可能性があります。 また、中長期的な気候変動が起こった場合、これらの製品への需要が縮小する可能性も否定出来ません。当社グループはこれらのリスクに対して、気候変動に呼応した新製品開発、既存発売品の更新による新規需要獲得で対応していく予定でありますが、急激なあるいは大きな気候変動が起こった場合、新規需要獲得が追いつかず、製品売上が減少する可能性があります。 一方、中長期的な気候変動の影響を低減させる方向での議論が進む、世界的な温室効果ガス削減の動きによって、当社グループの製品に関しても、将来的な炭素税の課税負荷及び環境への負荷が高いと見なされた製品の商流からの排除、さらにはお客様のエシカル意識の高まりによる排除等の影響がある可能性があります。また、温室効果ガス排出規制等の気候変動対応に係る各国・地域における規制の強化に対応できない場合、パリ協定に整合する温室効果ガス排出削減目標が達成できない場合に、レピュテーション及び社会的信用が低下する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、多種多様なお客様のニーズに応え、多岐にわたる製品ラインアップを確保しており、一部製品の売上は、短期的な気温・天候による需要変動の影響を受けるものの、全体からみれば一定の規模に収まるという想定の下で気候変動リスクを受容しております。冬期の気温の動向により大きな影響を受け、一定の売上規模を持つカイロ事業については、気温に左右されにくいヘルスケア領域(温熱医療)の製品開発を進めるとともに、カイロの売上構成比が大きい米国については医薬品など気温・天候に左右されにくい他のカテゴリー製品の構成比を高める戦略を進めております。また、カイロ製品に限らず季節ごとに売上が変動する製品の返品を最小限に抑えるため、各種データを活用した漸次的な出荷調整等の活動により、リスクの最小化を図っております。 一方、中長期的な気候変動による製品需要の変化については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関するガイダンスに基づいて、これを網羅的に予測し、リスク・機会の状況を検討しております。また、対応が必要なリスクについては、サステナビリティ委員会の環境推進会議にて対策を検討し実施しております。 また、社会的な温室効果ガス削減の推進による当社グループの事業への影響についても検討しており、Scope1,2及びScope3視点での温室効果ガス排出状況の算定を行っており、2030年に向けた削減目標についてSBTイニシアティブによる認定を取得しております。 Scope1,2に関しては、2050年までにカーボンニュートラルを目指します。 Scope3に関しては、製品カテゴリーごとに排出量の多い製品から削減施策の検討を開始しております。また、2022年よりCDP(世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非営利団体)が実施する「CDPサプライチェーンプログラム」に参加し、サプライヤー様との温室効果ガス排出量削減に向けたエンゲージメントを行っております。 |
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主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
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(4)海外事業のリスク 当社グループの海外売上の構成比は、海外のお客様のニーズに応えた事業展開によって上昇傾向にあります。また、海外事業の将来の成長を期待して、海外の現地工場や子会社の設立等の投資を行っております。そのため、事業を展開している各国の経済成長の鈍化、現地政府による規制の変更等によって、海外事業の業績が変動し、投資回収効率が低下する可能性があります。また、現地政府による資本流出規制によって、資本の流動性が低下する可能性があります。 さらに、在外連結子会社の売上、費用、資産及び負債を含む現地通貨建ての財務数値は、連結財務諸表の作成の際に円換算します。そのため、換算時の為替レートが大幅に変動した場合、円換算後の数値が大幅に変動する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 |
海外事業に対する投資に限らず、大型投資については、可能な限り段階的かつ合理的な予算で行うことを原則に、当社グループの投資判断は行われております。 経営判断を行う基礎となる投資計画についても、お客様のニーズ等の環境変化をタイムリーに反映させ、常に最新の投資計画を確認することで、投資回収リスクを低減するリスクヘッジを行っております。 また、当社グループが事業を展開している海外の拠点については、現地の経営状況、市場動向、法規制、政治状況などをタイムリーにキャッチアップするために、毎月現地法人の社長から状況報告が行われております。 換算時の為替レートについては、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時社内での情報共有を行っております。そのうえで、必要に応じて、関係部門は為替変動の事業への影響を軽減する対策を検討しております。 |
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(5)事業買収・提携のリスク 当社グループは、国内外の当社グループ製品の市場の獲得と強化を目指し、製品ラインアップの強化、販売・製造拠点の確保(薬事規制対象製品に関する所要の認可等の確保を含みます)、販売力・事業遂行ノウハウの獲得を目的に、積極的なM&Aや事業提携を図っております。ただし、これらM&Aや業務提携については、事前に十分に把握、あるいは予想出来ない不確実な要素が存在する場合があるため、事後的に判明、あるいは発生した想定外の事象や環境変化によって、当初意図した成果が得られない可能性や、事業戦略の変更を行わざるを得なくなる可能性があります。 企業買収に際しては、多くの場合のれんや無形資産を相当額計上しておりますが、こうした資産が期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合には減損損失が生じるリスクがあります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
M&A、事業提携の実施にあたっては、過去の経験からノウハウを蓄積し、抜け漏れのないデュー・ディリジェンス(買収監査)を実施して精緻な情報収集を行うよう努めております。 当社グループの実施するM&Aの多くのケースは、水平統合による事業拡大の性質を持つことから、買収事業の製品は、既存の多種多様な製品のラインアップの一部に加わります。獲得した成長機会が目論見どおり実現された場合の業績へのプラスの影響は大きいものとなります。一方で、実際に投資を行う際の投資金額も当社グループの事業規模を勘案して適切な予算の設定を行っておりますが、想定外の業績変動が発生するリスクはありえます。この成長機会と残存リスクのバランスを十分に議論したうえで、最終的な実施の判断を行い、リスクのマネジメントを実施しております。 今後、当社の経験がない分野における企業・事業買収のプロセスにおいては、外部専門家へのヒアリングを通じた課題抽出や専門的知識の習得にも注力いたします。 |
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(6)人的資本確保・活用のリスク 当社グループは、新製品を継続的に発売するビジネスモデルを成立させるため、人的資本の確保・活用を重要視して取り組んできました。一方、本件事案を受け、本件の再発防止策を着実に実行していくために必要となる品質・安全に関する意識改革と体制強化を最優先事項として取り組んでおります。しかしながら、「品質・安全ファースト」の意識の徹底と実践の停滞や退職者の急激な増加、品質体制強化に必要な人材獲得や人材開発の遅延、長い年月を積み重ねて醸成された当社の組織風土の改革が適切に進まない、というような事態が生じた場合、必要な人的資本を確保・活用できなくなり、当社グループが果たすべき社会的責任が遂行できなくなり、また、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
「お客様に安心をお届けする」ことの重要性を再認識し、必要なマインド・スキルの徹底と再浸透、及び、自分ごと化による日々の実践に繋げることを目的とし、全役職員を対象とする「品質安全教育」を開始しました。また、社長が旗手となって定期的に品質・安全に関するメッセージを配信し、品質・安全を最優先に考える風土づくりを進めております。更には、社長によるワークショップや従業員との1on1ミーティングなどを通して従業員の声を受け止め、組織課題の解決に努めております。 また、採用においては、品質体制強化に必要な人材の獲得を優先的に活動しております。加えて、各組織が専門性をより強化していくために、必要となるスキルの明確化やそのための教育プランの再設計に加え、人事ローテーション等の人材配置方針の再設定などの人材開発に関する取り組みを進めていきます。加えて、先行して小林製薬本体における2026年1月導入を目指し、専門性向上に資する新人事制度への改定を進めております。 組織風土改革においては、当社の組織風土に向き合い、必要な改革を行っていくべく、部門横断でプロジェクトメンバーをアサインした組織風土改革プロジェクトを2024年12月に発足し活動を進めております。 |
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主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
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(7)製品安全性のリスク 当社グループの製品は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等を含みます。これら製品の品質管理には万全を期しておりますが、万一、設計不良、品質不良、あるいは副作用報告に応じた初期対応の誤りによって、お客様の健康及び資産に多大な被害等が発生した場合、その補償や信用失墜によって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。実際、本件事案により多くのお客様に健康被害を生じさせてしまうとともに、当社グループの紅麹原料をご購入いただいていた多くの企業様にもご迷惑をおかけしてしまいました。それにより、今後、想定以上に補償や品質向上のための投資コストが増える可能性があります。 |
当社グループの製品品質については、監査の役割を負った専門部門(品質安全保証本部)を責任部門として、品質管理上の不具合・脆弱点を洗い出して、その発生可能性を仕組みづくりによって低減する活動を繰り返す、連続的なPDCAの取り組みを行っております。このPDCAの対象は、生産プロセスだけでなく、製品設計プロセス、製品の裏面表示(消費者の読む注意書き)の是正等、製品の品質保全に関わる、広範な領域にわたっております。 しかし、本件事案を受けて、2024年9月17日に再発防止策を策定し、品質・安全に関する意識改革と体制強化に取り組んでおります。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。 |
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(8)製品原材料調達のリスク 当社グループの製品事業は、原材料調達コストの変動リスクにさらされております。原材料の一部については国境を越えた調達を行っており、為替相場の変動や原油価格の急騰等によって調達コストが増大した場合、利益が圧迫される可能性があります。 また、原材料の調達が停止した場合、市場への製品供給が阻害され機会損失が起こる可能性があります。 一方、当社グループの販売する製品の原材料は、その品目数の多さに応じて多岐にわたっております。サプライチェーンの生物多様性保全等の環境側面、あるいは労働環境、人権等の社会側面において、社会的責任ある調達への取り組みが不十分であった場合、当社グループの原材料の持続的調達が困難になるとともに、その指摘によって当社グループのブランドイメージ、信用が低下する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループの販売する製品の原材料は、その品目数の多さに応じて多岐にわたっているため、原材料の価格高騰等が限定的なものであれば、全社の業績に与える影響も軽微なものとなることが想定されます。 一方、自然災害・人為的災害・パンデミック・戦争等によって多岐にわたる原材料が供給不安に陥るケースを想定し、当社グループはBCP(事業継続計画)を定め、売上高上位の品目を中心に、原材料を複数の取引先から購入する体制を整えるなど、有事における事業への影響を最小限に留めることを目指しております。 また、当社グループは「小林製薬グループの調達基本方針」を示し、これに則った原材料の調達を行っております。同方針には、人権尊重の強化及び企業の社会的責任を果たしていくことが明記されており、年に1回の頻度で、調達先に対して実施する「調達方針説明会」においてこの方針を共有するとともに、2024年に制定したCSR調達方針に基づいて、世界的なサステナビリティ評価機関を採用し、取引先のリスク評価を実施することで、包括的なCSR調達の達成・維持を図ってまいります。 |
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(9)法的規制等のリスク 当社グループの製品は、医薬品、医薬部外品、化粧品等を含みます。そのため、医薬品医療機器等法等に関する法規の変更があった場合、製品の開発中止、販売中止等の影響を受ける可能性があります。 また、当社グループの売上の一部は、海外の得意先・お客様の製品輸入により成立しているため、輸出入の規制変更等によって、この売上が変動する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
国内、国外における、医薬品医療機器等法等の法令規制の変更については、品質安全保証本部が中心となって随時の情報収集に努めるとともに、先行した対応を心がけて事業影響を最小化するよう努めております。また、本件事案を受けて、製品の開発・製造に関連する法規を専門的に扱い、その適正な解釈を行う適切な権限と独立性を有した部門を2025年に新設しました。今後、当該部門が中心となって、法的規制への対応を強化してまいります。 |
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主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
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(10)情報セキュリティ関連のリスク 当社グループは、通販事業部門や補償対応部門を中心に、お客様の個人情報を主とする多くの情報を保有しております。万一情報漏洩が発生した場合には、その補償や信用失墜によって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、サイバー攻撃等により、システム停止が発生し事業活動が中断された場合には、経営成績の悪化に繋がります。さらに、開発中の新製品の情報、各種ノウハウ等の企業秘密が漏えいした場合には、当社の競争優位性の低下につながる恐れがあります。 |
個人情報保護については、個人情報保護規程に基づいて社内管理体制を整備し、個人情報管理台帳での管理など、情報管理には万全を期すよう努めております。 また、当社グループにおける情報セキュリティの対応レベルについて評価を行い、他社の対応レベルと照らし合わせて常に適切なセキュリティ能力が確保され続けている事を確認するよう努めております。 なお、当社の重要な社内システムは遠隔地での冗長化を行い、重要なデジタルデータは、毎日バックアップを更新し、遠隔地のサーバに保存しております。デジタルデータが改ざんされた、もしくは喪失した場合には、このバックアップデータをもとに復旧する仕組みとすることで、リスクヘッジを行っております。 |
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(11)コンプライアンス関連のリスク 当社グループは事業活動を行う上で、製品の品質・安全性の確保、健全な営業活動の実施、取引先との健全な関係構築、会計基準や税法の的確な運用等の観点で、様々な法令等の適用を受けております。 また、当社グループにおいて、風通しの良い労働環境の確保と、多様性を認める価値観の醸成は、新製品のアイデア創出と人財育成を重視する事業を運営する観点でも重要な活動であります。 従って、当社グループは法令違反、ハラスメント、人権侵害の発生等のコンプライアンス上の問題が発生することを未然に防ぐためのコンプライアンスに関する教育に注力しておりますが、万一、当社グループもしくはその従業員が重大なコンプライアンス上の問題を起こした場合は、当社グループの信用、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは「小林製薬グループ企業行動憲章」及び「グローバルコンプライアンス・ポリシー」を制定し、これに基づくコンプライアンスの推進を実施しております。 コンプライアンスに関する質問を含む従業員意識調査及び社外取引先担当者を対象としたコンプライアンスアンケートを年に1回の頻度で実施し、スコアの推移を確認するとともに、向上に向けた研修施策等を計画・実行し、PDCAを回しております。加えて、より具体的なコンプライアンス上の問題を把握し、改善するための調査として「コンプライアンス自己点検」も定期的に実施しております。 また、従業員からのコンプライアンス上の疑問・悩み・相談を受け付ける専用窓口として「従業員相談室」を設け、相談のしやすい環境整備を行っております。海外の全ての関係会社を対象とした内部通報窓口も設置し、グローバルな情報収集体制を運用しております。 加えて、本件事案を受けて、もし法令や社内規程に明記されない問題が発生しても、常に「何が正しいか」「自分の行動が家族や友人に胸を張れるか」を問い続ける「インテグリティ経営」、すなわち、誠実さを行動準則とした組織運営を推進してまいります。 |
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(12)知的財産、及び訴訟関連のリスク 当社グループは、幅広い製品を、日本を含む諸外国で製造・販売しているため、管理すべき知的財産権も広範にわたります。従って、この知的財産権を効率よく管理することができなければ、管理コストが過大となります。 当社グループの知的財産権に関して第三者による侵害が生じた場合、当社グループは適切な対抗措置をもって対応しますが、これが認められなかった場合、損害を被る可能性があります。 一方、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、その補償が必要となり、また、信用失墜が起こる可能性があります。 また、当社グループは国内外の多数の拠点で事業を展開しており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。特に、本件事案に関しては、お客様から訴訟が提起されており、今後も当社グループの紅麹製品を購入されたお客様や紅麹原料を購入された企業様等から訴訟を受ける可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループの事業遂行における知的財産権の侵害、非侵害のチェックは慎重に行い万全を期すように努めております。 また、デジタル技術を活用することで多くの品目数の知的財産権侵害を効率よくチェックする仕組みも導入し、知財管理コストの増大を抑える取り組みを行っております。 一方、製品の開発段階における積極的な知的財産権の創出と戦略的出願を実施し、事業領域での参入障壁の構築、模倣品の排除等の活動を継続的に行っております。 また、訴訟関連のリスクについては、取引開始時の契約条件の精査と明確化、取引先との丁寧な協議、法令遵守体制の強化等により、訴訟の防止に努めるとともに、関係各国の弁護士事務所と連携し、訴訟が発生した場合の対応体制を整備しております。 本件事案については、2024年8月8日に公表した補償方針に基づき、被害を受けられたお客様、損害を受けられた企業様に対して、真摯かつ誠実に補償を行ってまいります。 |
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主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
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(13)自然災害、人為的災害によるリスク 当社グループは日本をはじめ、欧米・中国・アジア等に事業拠点を持っております。また、多くの国から原材料や製品等を調達しております。これらの国々で地震、大雨・洪水等の自然災害及び紛争、戦争、テロ等の人為的災害が発生した場合、当社グループの役職員の生命・身体の安全が脅かされ、事業継続に必要な人員確保が滞ることにより、当社グループの事業継続が困難になる可能性、又は当社グループの業務停止・遅延、資産喪失、人的被害等が発生し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、各災害の発生を事業活動上いずれ顕在化するリスクとして織り込み、顕在化した際でも事業が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定するとともに、有事にはスムーズに危機管理体制を稼働し、グローバルな情報収集、タイムリーな経営判断が可能となるような体制を整えております。 特に自然災害に関しては、本社機能が集中している大阪への甚大な影響が予想される、南海トラフ地震の対策に注力しており、大阪以外で有事の指揮が可能となる他拠点の機能強化など体制整備を進めております。 また、大規模災害発生時にスムーズに従業員の安否を確認できるよう、全従業員を対象とした安否確認訓練を平時から定期的に実施しております。 人為的災害に際しては、即座に情報を収集し、各リスクについて迅速に協議、対応を進めるようにしております。 |
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(14)レピュテーションに関するリスク 当社は「見過ごされがちなお困りごとを解決し、人々の可能性を支援する」というパーパスを掲げ、ニッチでユニークな製品を販売しております。ニッチでユニークな製品であることから、どのような製品であるかをお客様に理解していただくことが肝要であるため、テレビやWebを通じた広告を重視し、数多くの広告を出稿してきました(本有価証券報告書提出日現在は、本件事案を受けて、日本国内でのテレビ広告出稿を中止しております)。 万が一それらの広告における表現が不適切なものと見なされ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やインターネット等で批判的な評価が拡散した場合、当社グループのブランドイメージや信用が低下し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、本件事案を受けて、当社グループは被害にあわれたお客様と損害を受けられた企業様への謝罪と補償、及び再発防止策の実行に最優先で取り組んでおりますが、もしこれらの取り組みの進捗が遅れて当社グループに対する批判的な評価が高まった場合、当社グループのブランドイメージや信用が低下し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは全ての製品のパッケージや広告について、品質安全保証本部が必ず事前に目を通し、景品表示法等に関連する法令を遵守できているか、また、倫理的に不適切な表現を使用していないかをチェックする体制を敷いております。当該チェックにより不適切な表現などの問題が発見された場合は、製品開発を担当する部門において再検討を行い、法令上、または倫理的に適切な表現への修正を行っております。 また、広告に限らず、レピュテーションリスクのある事象を認知した際には、事実関係の確認を行った上で、関係する部門が参集し、リスク顕在化の防止、及び顕在化した際の影響を極小化するための対応について協議を行うことにしております。 本件事案を受けてのレピュテーションリスクについては、補償と再発防止策に全社員一丸となって真摯かつ迅速に取り組むことで、お客様からの信頼の回復に努めてまいります。 |
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(2)経営成績
当連結会計年度における当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴って多くの国で経済活動が再開し、国・地域を越えた移動も増加傾向になる中、原材料価格の高騰やエネルギーコスト上昇に伴う消費低迷の懸念や、地政学リスクの高まりなど、先行き不透明な状況が続きました。
その結果、売上高は165,600百万円(前連結会計年度比4.5%減)、営業利益は24,860百万円(同3.6%減)、経常利益は26,861百万円(同1.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,067百万円(同50.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
国内事業
当事業では、お尻などのブツブツ治療薬「ヒプキュア」や、香りで気持ちを整えることを目指して調香した機能性芳香剤「Sawaday+ &Emotion(サワデーアンドエモーション)」、10大悪臭に効く香りでごまかさない無香料の消臭剤「消臭元ZERO(ゼロ)」や、バリア機能の低下により繰り返す、顔の乾燥荒れや炎症などのトラブルを肌の奥から改善する乾燥荒れ治療薬「キュアレアドライ」など、春に15品目、秋に17品目の新製品を発売し、売上に貢献しました。
また、訪日外国人数の増加に伴い、インバウンド需要も増加し、売上に貢献しました。
しかしながら、紅麹関連製品の自主回収の影響で、特にサプリメントを含む食品カテゴリーが苦戦し、ヘルスケアが減収となりました。
一方、紅麹関連製品の自主回収を発表しました2024年3月22日以降、国内は全製品の広告を停止している中でも、特に芳香消臭剤が牽引し、日用品は増収となりました。カイロについては、今シーズンは気温低下により好調に推移したものの、昨シーズンの暖冬により返品が増えたため、減収となりました。また、通販においては、定期購入の解約が増えた影響で減収となりました。
その結果、売上高は123,924百万円(前連結会計年度比9.2%減)、セグメント利益は23,217百万円(同5.4%増)となりました。
売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では6,041百万円当連結会計年度では4,023百万円となっております。
(外部顧客への売上高の内訳)
(単位:百万円)
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前連結会計年度 (2023年12月期) |
当連結会計年度 (2024年12月期) |
増減 |
|
|
金額 |
増減率(%) |
|||
|
ヘルスケア |
67,012 |
59,194 |
△7,818 |
△11.7 |
|
日用品 |
49,060 |
50,161 |
1,101 |
2.2 |
|
カイロ |
6,917 |
6,039 |
△878 |
△12.7 |
|
通販 |
7,507 |
4,505 |
△3,001 |
△40.0 |
|
合計 |
130,497 |
119,901 |
△10,596 |
△8.1 |
国際事業
当事業では、米国・中国・東南アジアを中心に、カイロや額用冷却シート「熱さまシート」、外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」などを販売しており、広告や販売促進など積極的に投資することで、売上拡大に努めました。
米国では、サプリメント・一般医薬品を販売しているFocus社を2023年10月に買収し、それによる売上貢献がありました。また、為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。
中国では、紅麹関連製品の自主回収を発表しました2024年3月22日から8月まで広告を停止していたことによる売上不振の影響や、例年に比べインフルエンザなどの感染症が流行せず、熱さまシート需要が低迷したことにより、減収となりました。
東南アジアでは、主力の「熱さまシート」と「アンメルツ」が好調に推移し、円安による為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。
その結果、売上高は46,841百万円(前連結会計年度比6.1%増)、セグメント利益は1,272百万円(同60.5%減)となりました。
売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では1,837百万円、当連結会計年度では1,659百万円となっております。
(外部顧客への売上高の内訳)
(単位:百万円)
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|
前連結会計年度 (2023年12月期) |
当連結会計年度 (2024年12月期) |
増減 |
|
|
金額 |
増減率(%) |
|||
|
米国 |
17,057 |
21,246 |
4,188 |
24.6 |
|
中国 |
13,652 |
11,082 |
△2,569 |
△18.8 |
|
東南アジア |
7,932 |
8,575 |
643 |
8.1 |
|
その他 |
3,653 |
4,276 |
622 |
17.0 |
|
合計 |
42,295 |
45,181 |
2,885 |
6.8 |
その他
その他には、運送業、合成樹脂容器の製造販売、不動産管理、広告企画制作等を含んでおり、各社は独立採算で経営し、資材やサービス提供についてその納入価格の見直しを適宜行いました。
その結果、売上高6,511百万円(前連結会計年度比7.8%減)、セグメント利益は264百万円(同46.3%減)となりました。
売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では6,398百万円、当連結会計年度では5,993百万円となっております。
(3)経営上の目標の達成状況について
当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針および経営環境 (経営方針)」に記載のとおり、中期経営計画を取り下げることといたしました。 新たな連結目標数値は、現在議論中であり、適切なタイミングにて公表する予定でございます。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内事業 |
130,139 |
93.3 |
|
国際事業 |
46,243 |
104.6 |
|
報告セグメント計 |
176,382 |
96.0 |
|
その他 |
13 |
101.1 |
|
合計 |
176,396 |
96.0 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
②受注実績
当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内事業 |
123,924 |
90.8 |
|
国際事業 |
46,841 |
106.1 |
|
報告セグメント計 |
170,765 |
94.5 |
|
その他 |
6,511 |
92.2 |
|
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
△11,676 |
81.8 |
|
合計 |
165,600 |
95.5 |
(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は
次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
株式会社PALTAC |
78,671 |
45.4 |
71,753 |
43.3 |
(5)資本の財源及び資金の流動性
①財政状態
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりです。
総資産は、前連結会計年度末に比べ2,105百万円減少し、265,368百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少(20,663百万円)、受取手形及び売掛金の減少(3,585百万円)、有価証券の増加(6,572百万円)、商品及び製品の増加(1,835百万円)、建物及び構築物(純額)の増加(21,850百万円)、機械装置及び運搬具(純額)の増加(1,323百万円)、建設仮勘定の減少(5,273百万円)、投資有価証券の減少(7,507百万円)等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ10,759百万円減少し、51,896百万円となりました。主な要因は、電子記録債務の減少(2,135百万円)、未払金の減少(7,920百万円)、未払法人税等の減少(2,145百万円)、製品回収関連損失引当金の増加(3,970百万円)等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ8,654百万円増加し、213,471百万円となり、自己資本比率は80.2%となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(2,559百万円)、為替換算調整勘定の増加(5,896百万円)等によるものです。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
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前連結会計年度 (2023年12月期) |
当連結会計年度 (2024年12月期) |
増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
18,360 |
11,246 |
△7,113 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△19,576 |
△18,415 |
1,161 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
△1,216 |
△7,168 |
△5,952 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△19,463 |
△7,768 |
11,695 |
|
現金及び現金同等物期末残高 |
59,690 |
45,973 |
△13,717 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は11,246百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が13,914百万円、減価償却費が6,615百万円、製品回収関連損失引当金の増加額が3,970百万円、売上債権の減少額が4,780百万円、仕入債務の減少額が2,931百万円、未払金の減少額が6,060百万円、法人税等の支払額が7,471百万円あったためです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は18,415百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が30,293百万円、定期預金の払戻による収入が35,405百万円、有形固定資産の取得による支出が26,056百万円あったためです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は7,768百万円となりました。これは主に、配当金の支払額が7,505百万円あったためです。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度より13,717百万円減少し45,973百万円となりました。
(注)フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。
フリー・キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー
③資金需要
当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費及び販売費などの運転資金のほか、競争力強化と事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資、製品導入等に主たる資金需要が生じます。これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローの創出による調達を基本としております。
手許の運転資金は、国内連結子会社の余剰資金を当社へ集中し、グループ管理を行うことで資金効率の向上を図っており、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めております。また、緊急時における資金需要は、金融機関との当座貸越契約で対応することとしております。
株主還元の方針としましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
合弁契約の合意解消と今後の見通し
2015年9月30日付でバードインターナショナル インクとの合弁解消の契約を締結し、2015年11月2日付で同社との合弁関係を友好的に解消するとともに同日付で当社が保有する株式会社メディコン株式(発行済株式総数の50%)全てを株式会社メディコンに譲渡いたしました。
なお、合弁解消後に関する合意事項を遵守する対価として、2025年12月期に以下の金額を受領し、営業外収益に計上する予定です。
2025年12月期 300百万円
当社グループは「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに、お客様の潜在的ニーズを掘り起こし、今までにない付加価値のある新製品を提供することで、お客様の生活を豊かにしていくことが使命と考えております。
当連結会計年度のグループ全体の研究開発費は
国内事業
当事業では、お客様が健康で快適な生活を送るために役立つ製品を提供すべく、ヘルスケア、日用品、スキンケア、カイロの4つのカテゴリーを研究開発対象として積極的な研究開発活動を行っております。
主なカテゴリーの研究開発活動の成果は次のとおりであります。
ヘルスケア
お尻などのブツブツ治療薬「ヒプキュア」や、バリア機能の低下により繰り返す、顔の乾燥荒れや炎症などのトラブルを肌の奥から改善する乾燥荒れ治療薬「キュアレアドライ」など13品目を開発いたしました。
日用品
香りで気持ちを整えることを目指して調香した機能性芳香剤「Sawaday+ &Emotion(サワデーアンドエモーション)」、10大悪臭に効く香りでごまかさない無香料の消臭剤「消臭元ZERO(ゼロ)」などの19品目を開発いたしました。
結果、当事業に係る研究開発費は
国際事業
当事業では、海外のお客様が健康で快適な生活を送るために役立つ製品を提供すべく研究開発活動を行っており、当事業に係る研究開発費は
その他
研究開発活動は行っておりません。