文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「ALL HAPPY BY DESIGN」を経営理念としております。「ALL HAPPY BY DESIGN」は、デザインの力で世界にHAPPYの循環を作り出し、これによって社会に貢献することを意図しております。
当社グループは、ディスプレイ、インテリア、建築、プロダクトから企業ブランディングの領域まで、デザインを軸に分野横断的に事業を展開しており、オフィス・商業施設・都市全体等のデザインを通じて、企業や社会の課題解決に取り組んでおります。
当社グループは、2024年2月13日に開示いたしました「中期経営計画(2024年12月期-2026年12月期)において、売上高及び売上高営業利益率を経営における重要な指標と定めました。同中期経営計画において2026年12月期の目標値を次のとおりとしております。
売上高 145億円
売上高営業利益率 9%
また、併せて企業価値を表す時価総額についても2026年12月期の目標値を設定いたしました。
時価総額 150億円
当社グループは、オフィス空間のデザインから事業をスタートし、デザインを基軸に事業領域を拡大してまいりました。現在、デザインの対象領域は商業施設等におけるディスプレイデザイン、建物全体のコンセプト開発や環境設計、都市計画における建築デザインと多様化しており、また、受注する案件も大型化が進んでおります。
このような中、当社グループは、以前よりプロジェクト(実施業務)をレギュラープロジェクト、プロポーザルプロジェクト、リーディングプロジェクトの3つに分類し、これらの相互作用による収益化と価値創造の両立を実践してまいりましたが、引き続きこれを基本方針といたします。
レギュラープロジェクトはクライアントからの依頼により獲得する受注型プロジェクトで、高い評価を得ているディスプレイデザイン、オフィスデザイン等、当社グループの業績の基盤を形成しております。リーディングプロジェクトは大規模な建築コンペティションや設計競技を通して挑戦するプロジェクトで、新たなデザイン領域を開拓し、当社グループの設計技術及びブランド価値を向上させる取り組みです。プロポーザルプロジェクトは、レギュラープロジェクトとリーディングプロジェクトの中間に位置し、当社グループが自ら企画・提案し、場合によっては先行投資を行うプロジェクトで、受注型とは異なる収益モデルを実現いたします。例えば、リーディングプロジェクトによる先鋭的デザインがプロポーザルプロジェクトとして事業化され、さらにはレギュラープロジェクトとして収益基盤を支える事業となる、といった循環を目指しております。

このような成長を支えるため、「(4)経営環境及び会社の優先的に対処すべき課題」に記載した事項の他、「山下泰樹建築デザイン研究所」の積極的な活動による新しいデザインの実現とそれを起点とした事業の拡大を進めてまいります。新しいデザインによる価値創造の創出は、プロジェクト獲得の原動力となるだけでなく、ブランド価値の向上につながると考えており、同研究所の活動を通じて、より一層当社グループの事業領域を拡大させてまいります。
プロポーザルプロジェクトの取り組みとして、横浜市臨海地区の活性化を目指し当社が企画・提案から実施までを担う「横浜ティンバーワーフ」は、2025年に開業予定です。また、既存ビルを当社自らが取得し、リデザインによる資産価値の向上を実現する事業もプロポーザルプロジェクトの一環として推進しております。
当社グループはデザインを事業の中心としております。デザインの対象は、都市・商業施設・オフィスといった空間が主ではありますが、クライアントの要望に応じて企業ブランドの構築といったブランドデザインも行っております。また、オリジナル家具のデザイン・企画・製造・販売、オリジナルインテリアブランドの展開といったプロダクトデザインも事業領域に含まれますし、空間の付加価値を高める当社グループの事業はディスプレイ業の要素をも含んでおります。このような企業は他に例がないため、直接的な競合会社は存在しないと考えておりますが、業務領域ごとの競合は存在します。
例えば、大型商業施設の空間デザインであれば、有名設計事務所や総合ディスプレイ企業が競合となります。また、オフィス空間のデザインであれば、オフィスデザイン専業企業や大手オフィス家具メーカーが競合となります。都市計画(エリアデザイン)の場合は、大手不動産会社やそのグループ会社が競合となる場合があります。

また、当社グループでは広告宣伝やコンサルティングを含むデザイン関連(プロフェッショナルサービス)市場及びディスプレイ市場を需要動向の指標としております。世界におけるデザイン関連市場は、2028年には5.9兆ドル(約839兆円)まで成長すると見込まれており、同市場の約30%強を占める建築デザイン・技術コンサル分野は、2028年には262兆円まで拡大すると予想されています(注1)。一方、ディスプレイ業の国内における市場規模は、コロナ禍からの経済回復に伴い、2023年度は2021年度から約11%増加の1兆4,100億円と予測されており、更に2025年度には2023年度との比較で約10%の拡大が見込まれる(注2)など、新しい空間デザインを常に創出し続けてきた当社グループにとっては事業を伸展させる好機だと捉えております。これらの状況を踏まえ、次の3点を対処すべき課題と認識し、対応を進めてまいります。
当社グループの事業の根幹は新しい価値の創出であり、これを実現する人材の確保及び育成は、今後の事業拡大において必要不可欠な要素と考えております。また、事業領域の拡張においては、これまでとは異なるスキルを有した人材の確保も必要となります。
人材の確保及び育成には中長期的な視点での人材施策の立案と実現が必要であり、オフィス環境の整備、柔軟な勤務体制、生活者としての従業員のサポート体制の構築等様々な施策を通じて、人的資本の充実を目指してまいります。
当社グループの事業は領域・規模ともに拡大しており、持続的な成長のためには、組織体制の更新やITをはじめとした業務インフラの整備等への継続的な取り組みが必要となります。
当社グループでは、山下泰樹建築デザイン研究所の設置によりデザイン業務実施体制の高度化を推進するとともに、既に先端的機能を有する3Dデザイン領域での機能拡充(海外専門子会社の設立等)を進めてきましたが、環境の変化に対応した業務実施体制の高度化に今後も取り組んでまいります。
当社グループは、社会的責任を果たしつつ、持続的な成長とこれによる企業価値向上の実現を目指しております。
当社グループの成長には、成長ステージに見合った管理機能とコンプライアンスの精神が深く浸透した企業風土の醸成が必須であると考えており、これまで管理部門の充実やITインフラの整備等を継続的に実施してまいりました。2024年12月期からは、リスク管理を担当する代表取締役を新たに選定し、内部管理体制の充実とコンプライアンスの一層の徹底を推進しております。
(注)1.出典:Business Research Company「Specialized Design Services Global Market Report 2024」
2.出典:株式会社矢野経済研究所「ディスプレイ業の市場展望と事業戦略2023年版」
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。
当社グループにおける、サステナビリティ関連のリスク及び機会を把握・管理するためのガバナンス体制は、
当社グループは、「ALL HAPPY BY DESIGN」を経営理念としております。「ALL HAPPY BY DESIGN」は、デザインの力で世界にHAPPYの循環を作り出し、これによって社会に貢献することを意図しており、HX(ヒューマン・エクスペリエンス)を向上させる空間の創造を通じて、この経営理念の実現を目指しております。
当社グループはデザイン事業を行う会社であり、事業の原動力となるのはグループに所属する“人”です。「ALL HAPPY BY DESIGN」を実現するためには人材面において以下の3点が必要であると考えており、これを方針として人的資本の充実に取り組んでおります。
①当社グループの従業員自身がHAPPYであること
②多様性が確保されていること
③経営理念に共感し、企業文化を継承できる人材を育成すること
①「当社グループの従業員自身がHAPPYである」ための施策
HAPPYの基準は人それぞれですが、「働く環境」は間違いなく従業員のHAPPYにとって重要な要素です。当社グループでは、「働く環境」を構成するハードとソフトの両面で「当社グループの従業員自身がHAPPYである」ための施策を新たに講じました。
ハード面では、2022年12月に東京都内の5ヶ所に分散していたオフィスを統合し、新本社へ移転いたしました。当社グループがかねてより提供してきた、「視覚的に優れ、かつ効率的な心地よいオフィス」を代表の山下自らがデザインしております。
これにより、従業員同士のコミュニケーションを促進し、企業としての一体感を醸成しているほか、物理的にも余裕を持った執務が可能となりました。本社オフィスのカフェテラスでは、フード・ドリンクのサービスを行っており、カフェを中心に従業員同士の活発な交流が生まれております。
また、国内拠点及び子会社の各オフィスもデザインを事業とする企業にふさわしいものとしており、ドラフトグループの一員として誇りを持って働くことができる環境を整えております。
ソフト面では、2022年12月期に従業員のHAPPYを実現するための新たな人事制度を導入いたしました。
新人事制度の目的は、多様なメンバーが活躍できる環境の整備及び経済的安定性の確保です。
ここでいう「多様な」とは、従業員それぞれで異なるライフステージや生活環境を指します。当社では、2022年7月より選択型週休3日制度を導入したほか、事情に応じてテレワークでの勤務を認めることとし、個々人の事情に応じた働き方が可能な制度を整えました。また、キャリア体系・評価体系を再構築し、様々なキャリアプランを従業員が選択可能な制度といたしました。
選択型週休3日制度では、四半期ごとに週休3日勤務か週休2日勤務かを選択することができます。スキルアップに向けて勉強時間を確保したい従業員や自身の体力・体調をみながら適切なペースで働きたい従業員などがこれを利用しています。
従業員の経済的安定性を考慮し、当社の制度では週休3日を選択しても報酬額は減少しません。しかしながら、週休2日を選択してより高い成果をあげたメンバーにはより高い報酬を付与することで、緊張感のある制度運営を行っております。
当連結会計年度において、延べ16名が選択型週休3日制度を利用いたしました。
また、空間のデザインを事業とする当社グループは従業員の住環境も重視しております。一定水準以上の住居を利用する従業員に対し、家賃等の一部を補助する制度を2024年より導入いたしました。2024年には、この他にも安心して子供を預けられる会社専属ベビーシッターサービスの開始やワーク・ライフに関する手配や相談事等を請け負うコンシェルジュサービス(オフィス内に専属コンシェルジュが常駐)の試験的導入を実施。また、2025年からは資格取得支援制度において、資格手当・受給者範囲の拡大をしており、従業員が働きやすい環境作りに継続的に取り組んでおります。
②「多様性が確保されている」ための施策
優れたデザインを生み出し続けるには、多様なスキル・能力をもった従業員がそれぞれの個性を発揮してクライアントの課題解決に取り組むことが重要です。このため、当社グループでは創業以来、能力や成果を元に人材運用を行っており、性別・年齢・国籍等を人材運用において考慮することはありません。当社グループは、今後もこの方針を継続いたします。
従業員男女比
管理職男女比
国籍別従業員比
育児休暇からの復職率(ドラフト連結)
育児休暇からの復職率(ドラフト単体)
③「経営理念に共感し、企業文化を継承できる人材を育成する」ための施策
目に見えない経営理念や企業文化は、その浸透に多くの時間と労力を要します。当社グループでは、代表者であり創業者でもある山下泰樹が先頭に立って経営理念及び企業文化の浸透にあたっております。日常的なコミュニケーションをベースとしつつ、年に数回実施する全社集会(クォーター会議)や年始のキックオフイベント、その他様々なイベントを活用して文化の浸透や経営方針の共有に努めており、今後もこれらの施策を継続してまいります。
当社グループは、グループ経営に関する様々なリスクを審議するため、主要なリスクの状況について、モニタリング、評価・分析し、グループ会社に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を取締役会へ報告する体制を整えております。詳細につきましては、
当社グループでは、上記(2)において記載した3つの方針及び施策を継続するとともに、人的資本に関して発生した新たな課題に対しては、経営の重要事項として対応してまいります。人的資本に関する事項については、適宜見直しを行いアップデートを実施しており、現時点では一定の成果を得ていると考えていることから特段の指標・目標を設けてはおりませんが、継続的にモニタリングを行い、より一層の人的資本充実を目指してまいります。
以下において、当社グループの事業及びその他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社グループの事業は、商業施設におけるディスプレイデザイン、特に都市計画及びビルリノベーション等において景気動向に影響を受ける場合があると考えております。経済情勢の悪化や不測の事態の発生により、市場の急激な縮小や競争環境の激化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが実施するデザインビルド業務において、大工工事・左官工事・電気工事・水道工事等は専門の業者へ外注しており、当社グループはそのマネジメントを行います。
施工工事の大部分を外注に依存しているため、受注案件数の増加や営業エリアの拡大に伴い外注先を確保できない場合、又は外注先の経営不振や繁忙等により工期が遅延した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業を行う上で、建設業法、建築基準法、建築士法及び消防法等の法令の他、関連する条例等多岐にわたる規制の適用を受けております。これらの法規制が改廃された場合又は新たな規制が導入された場合は、対応に要するコストの増加や受注できない業務の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業を行うにあたって、当社は以下の免許及び許認可等を取得しております。当連結会計年度末現在、当該免許及び許認可等が取消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、何らかの理由によりこれらの免許及び許認可等が取消された場合、当社の主要な事業活動に重要な支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、発注者の意向を元に役務提供のスケジュールを計画する受注型業務が中心となっております。このため、発注者の都合による予定変更等により、役務提供の完了予定時期(売上高の計上予定時期)が、当初の予定から変更となる場合があります。また、地震、風水害といった大規模自然災害、又は感染症の拡大等による社会活動の停止等により、役務提供の完了予定時期が変更となることも想定されます。このような役務提供の完了予定時期の変更が期末をまたいで発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、高いデザイン性を実現しつつも、常に安全性と品質にこだわった設計・施工を心がけております。
しかしながら当社グループが設計・施工した物件に不具合が生じる可能性は否定できず、その際の手直しに要する追加の施工費、重大な瑕疵による損害賠償等は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、人身や施工物等にかかわる重大な事故の発生や損害賠償金の支払い等により当社グループの信用が著しく毀損した場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、オフィス家具(ブランド名「201°」)及びインテリア商品(ブランド名「DAFT about DRAFT」)の企画・販売を行っております。当社グループでは製造を直接行っておりませんが、製品の不具合による事故等が発生した場合には当社グループが責任を問われる可能性があり、この結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
発注者、協力会社等の取引先が信用不安に陥った場合に発生する資金の回収不能や施工遅延等は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当連結会計年度末において、業績に影響を及ぼす訴訟等を提起されている事実はありません。
しかしながら、当社グループが事業を継続していくうえでは、知的財産権等多種多様な訴訟リスクが継続的に存在します。当社グループでは今後も各種専門家を積極的に活用してリスク管理を行ってまいりますが、当社グループが何らかの訴訟等の対象となった場合、ブランドの毀損や損害賠償金の支払等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、デザイン力を競争力として事業を拡大しております。事業の中心である空間デザインは権利の保護が難しく、模倣されて安価に提供される可能性があります。また、当社グループの提供するデザインが、時流にそぐわず陳腐化する可能性もあります。このようなリスクを回避するため、当社グループは「山下泰樹建築デザイン研究所」を中心にデザインの先端企業であるべく不断の努力を行い、また、施工実施力との相乗効果で模倣を許さないビジネスモデルを構築してまいりますが、模倣・陳腐化といった事象は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
地震、風水害といった大規模自然災害、感染症の拡大等社会活動に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、工事の中止や延期、施工物等にかかわる重大な事故の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
設立以来当社グループの事業を牽引してきた代表取締役山下泰樹は現役のデザイナーでもあり、経営方針や事業戦略の立案・実施、事業推進において極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは、過度に同氏へ依存しないよう、経営幹部及びデザイナーの拡充・育成、権限委譲による組織的業務執行体制の構築を行っておりますが、何らかの理由により同氏による当社グループの業務遂行が困難となった場合、現状においては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの持続的な成長を実現するためには、優秀な人材を十分に確保し、育成することが重要であると考えております。しかしながら、当社グループが求める優秀な人材を計画とおりに確保できなかった場合、事業実施体制の弱体化等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、フィリピン及びセルビアに海外子会社を有しており、当該子会社は、3Dイメージパースの製作等当社グループの事業展開において重要な機能の一部を担っております。
仮にフィリピン又はセルビアにおいて政変、経済情勢の急激な変動、外交関係の悪化、テロ、大規模自然災害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは急速に事業を拡大しております。これまでも事業実施体制及び経営管理体制の強化に取り組んでまいりましたが、今後の事業規模拡大を考慮した時には、なお一層の充実が必要と考えております。
前項に記載した人材確保の遅れ等の要因により、事業規模に見合った事業実施体制及び経営管理体制を構築できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの受注案件については、取引開始から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短い場合、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。このため、履行義務を充足した時点の把握が適切に行われないことにより、不適切な会計期間に売上高が計上されるという潜在的なリスクが存在いたします。一件当たりの売上額は比較的多額であり、売上高の計上時期に誤りが生じた場合には、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業拡大の手法の一つとしてM&Aを活用する場合があり、2024年12月末日時点でのれんを連結貸借対照表に計上しております。将来的に当該のれんについて減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、反社会的勢力とのあらゆる取引の発生を防止するため、社内体制を整備して対応を行っております。しかしながら、当社グループの厳格なチェックにもかかわらず反社会的勢力との取引を排除できない可能性があり、このような問題が認められた場合には、監督官庁等による処分、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は6,458百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,006百万円減少いたしました。これは、主に現金及び預金が359百万円増加したこと、建設仮勘定が863百万円増加したこと及び売掛金及び契約資産が2,037百万円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は2,388百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,601百万円減少いたしました。これは、主に買掛金が1,016百万円減少したこと、短期借入金が362百万円減少したこと及び長期借入金が296百万円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は4,070百万円となり、前連結会計年度末に比べて594百万円増加いたしました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益646百万円を計上したこと及び配当金の支払い60百万円によるものです。
当連結会計年度における我が国経済は、経済活動の正常化による緩やかな景気の回復が継続する一方で、円高に起因する物価上昇やマイナス金利解除による家計・企業への影響が懸念される等、依然として先行き不透明な状況が続きました。
創業より「ALL HAPPY BY DESIGN」を掲げ、従来にはない新しい空間デザインの提供など、デザインによる社会課題の解決を目指している当社グループでは、戦略としてプロジェクトをレギュラープロジェクト(注1)、プロポーザルプロジェクト(注2)、リーディングプロジェクト(注3)の3つに分類して事業に取り組んでおります。
当連結会計年度においても、レギュラープロジェクトを収益基盤としつつ、独自組織として設置している「山下泰樹建築デザイン研究所」を中心にプロポーザルプロジェクト及びリーディングプロジェクトで新たな事業の形、新たなデザインの価値を自ら創出する取り組みを推進してまいりました。
こうした活動をベースとして当社グループが提供するデザインへのニーズは引き続き旺盛であり、デザイン会社としての成長とともにプロジェクトの規模が大型化してきたことも相まって、当連結会計年度の売上高は12,276百万円となりました。前年同期比は114.7%であり、過去最高の売上高です。
販売費及び一般管理費は人件費を中心に増加したものの、前年同期比104.7%と売上高の伸びを大きく下回り、この結果、営業利益は1,022百万円(前年同期比117.5%)と、大幅な増益となりました。為替差損等の営業外損益を加味した経常利益は1,017百万円(前年同期比119.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は646百万円(前年同期比125.2%)となり、いずれも過去最高となりました。
なお、当社グループは、デザイン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注) 1.レギュラープロジェクトは、クライアントからの依頼により獲得する受注型プロジェクトで、高い評価を得ているオフィスデザイン等、当社グループの業績の基盤を形成しております。
2.プロポーザルプロジェクトは、レギュラープロジェクトとリーディングプロジェクトの中間に位置し、当社グループが自ら企画・提案し、場合によっては先行投資を行うプロジェクトで、受注型とは異なる収益モデルを実現します。
3.リーディングプロジェクトは、大規模な建築コンペティションや設計競技を通して挑戦するプロジェクトで、新たなデザイン領域を開拓し、当社グループの設計技術及びブランド価値を向上させる取り組みです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて359百万円増加し、2,108百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は2,024百万円(前連結会計年度末は234百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益1,017百万円の計上、売上債権の減少額2,042百万円及び仕入債務の減少額1,016百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は898百万円(前連結会計年度は470百万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出888百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は766百万円(前連結会計年度は489百万円の獲得)となりました。これは、主に、短期借入金の減少額362百万円及び長期借入金の返済による支出336百万円によるものです。
当社グループでは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
<参考> 2024年12月末プロジェクトストック(残高) 7,300,000千円(2023年12月末 8,500,000千円)
(注) 1.当社グループはデザイン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.受注残高については、契約書又はこれに類する書面を取り交わしたプロジェクトについて集計しております。当社グループが受注予定のプロジェクトであっても当該書類のない見込み受注案件については計算に含んでおりません。参考までに見込み受注案件を含む残高について、プロジェクトストックとして記載しております。
当社グループは、デザイン事業の単一セグメントであります。当連結会計年度の同セグメントの販売実績をサービスの対象領域別に示すと、以下のとおりであります。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客がいないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
財政状態及び経営成績の分析については、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりです。
売上高は、過去最高の12,276百万円となりました。レギュラープロジェクト、プロポーザルプロジェクト、リーディングプロジェクトの3つのプロジェクトによる循環をベースとする当社グループが提供するデザインへのニーズは引き続き旺盛であり、特にデザイン会社としての成長とともにプロジェクトの規模が大型化してきたことも相まって、前年同期比では114.7%となりました。
売上高をサービスの提供領域別に見ますと、「ディスプレイデザイン・建築デザイン・その他」領域は前年同期比108.9%、一方「オフィスデザイン・プロジェクトマネジメント・その他」領域は前年同期比120.7%となり、両領域とも伸長しました。「オフィスデザイン・プロジェクトマネジメント・その他」領域拡大の要因は、前期から進行していた大型オフィスデザイン案件の完了、大型追加発注があったこと等によるものです。
売上総利益は、3,798百万円となりました。前年同期との比較で275百万円増加(前年同期比107.8%)しております。これは、プロジェクトマネジメント管理の徹底及び高収益となる設計デザインプロジェクトの拡大によるものです。
販売費及び一般管理費は、2,776百万円となり、前年同期との比較で123百万円増加(前年同期比104.7%)しております。これは、陣容拡大及び人的資本経営施策による人件費の増加等によるものです。この結果を受けて、営業利益は1,022百万円となり、前年同期と比較して152百万円増加(前年同期比117.5%)いたしました。
営業外収益は、25百万円となり、前年同期との比較では19百万円増加(前年同期比432.5%)いたしました。増加の要因は、受取補償金を計上したこと等によります。また、営業外費用は30百万円となり、前年同期との比較では、2百万円増加(前年同期比109.6%)いたしました。
この結果、経常利益は1,017百万円となり、前年同期との比較では169百万円増加(前年同期比119.9%)いたしました。
当連結会計年度において、特別利益及び特別損失の計上はありませんでした。このため、法人税等371百万円を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は646百万円となり、前年同期と比較して129百万円増加いたしました。
キャッシュ・フローの状況の分析については、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
なお、当社グループでは、継続して売上高が増加するとともに、受注案件の大型化が進んでおります。このため、売掛金の回収に先行して発生する外注費が増加しております。また、事業拡大に対応した人員の増強、一般的認知度を高めるための広告宣伝等、事業規模拡大のための先行投資にも資金を投下する予定であります。必要な資金については、自己資金並びに銀行からの長期借入金及び短期借入金を活用して手当てしております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。
当社の連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。