第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は以下のMission、Vision及びValueを掲げております。

 

Mission


 

アイビスはモバイルに精通した技術者集団

イラストは 言語も 民族も 宗教も ジェンダーも関係ない

モバイルペイントアプリで世界のコミュニケーションを創造する

 

Vision


 

アイビスは世界での Made in Japan のプレゼンスを上げていく

 

 

<Value>


 

高い技術のエキスパート集団

最新の技術を習得し続け、高度な技術のエキスパート集団で

あるという自覚を持ち、社会の課題を解決する

 

スピーディな意思決定と実行

スピーディに動作するソフトウェアを開発するのみならず、

スピーディに意思決定を行い実行する

 

継続的なチャレンジ

スピードを緩めることなくチャレンジし続けることにより、

新しい価値を創り出す

 

 

 

(2) 経営環境

<モバイル事業>

2024年は社会活動や経済活動がさらに回復し、企業の成長や消費の回復が見られる一方で、物価の変動や賃金の伸び悩みなど、依然として課題も残る年となりました。しかし、全体的には経済の安定化に向けた動きが進んでいるといえます。当社の主要サービスである「ibisPaint」を含むモバイル向けアプリ市場規模は、日本だけでなく世界においても年々拡大し、総務省が公表する令和6年版情報通信白書によると、2016年以降も依然として右肩上がりで推移しており、2025年以降も拡大していく予測がされております。また、2024年の広告市場は、引き続き経済の回復とともに成長を見せており、その中でインターネット広告費は他のメディアと比較して高い成長率を記録しています(株式会社電通「2024年 日本の広告費」)。モバイル向けアプリ市場の拡大と相まって、今後も広告市場はさらに成長すると予測されております。

当社のアプリは累計93.7%が海外からのダウンロードですが、同市場においては、発展途上段階や人口増加の国も多数あり、「ibisPaint」にはまだまだ多くの未開拓ユーザーが全世界に存在すると考えております。

 

当社は市場の大きさを以下に想定しております。

a.ネット広告市場

 

TAM(注)1

ターゲット市場

当社売上高実績(注)2

国内(注)3

596億円

66億円

3.9億円

国外(注)4

5,106億円

567億円

12.6億円

 

(注)1.TAM(Total Addressable Market)獲得可能な最大市場規模のこと。

  2.当社売上高実績は2024年12月期の数値(以下、同様)。

  3.ネット広告市場(国内)におけるTAMの額596億円は、株式会社電通が発表した調査レポート「2023年 日本の広告費」上での2023年の「インターネット広告媒体費」2兆6,870億円のうち、ディスプレイ広告7,701億円・動画広告6,860億円・成果報酬型広告732億円、以上合計1兆5,293億円に、総務省が発表した「令和6年版 情報通信白書(第Ⅱ部第1章第11節)」上でのスマートフォンの保有割合78.9%、及び経済産業省が発表した調査レポート「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」上での2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 > ⑤その他」の割合5.0%の乗算結果3.9%を掛けて算出。又、ターゲット市場の額66億円は、2022/3/25~2022/3/28に株式会社クロス・マーケティング経由で実施した日本でのイラストアプリに関するアンケート調査上で、母集団(N=5,154)のうち、デジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をネット広告市場(国内)におけるTAMの額に掛けて算出。

  4.ネット広告市場(海外)におけるTAMの額5,106億円は、International Market Analysis Research and Consulting Groupが発表した「In-app Advertising Market Report by Advertising Type, Platform, Application, and Region 2024-2032」25兆6,518億円(USD 163.2billion。円へは2024年12月31日時点のTTB157.18円で換算)に、便宜上、(注)3の2023年の「インターネット広告媒体費」に対する前述の媒体費3種類の割合57.0%、及び乗算結果3.9%を掛けて算出した額5,702億円から国内のTAMの額596億円を差し引いて算出。又、ターゲット市場の額567億円は、前述のデジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をネット広告市場(海外)におけるTAMの額に掛けて算出。

b.アプリ販売市場

 

TAM

ターゲット市場

当社売上高実績

国内(注)5

1,038億円

115億円

2.8億円

国外(注)6

1兆1,787億円

1,308億円

6.6億円

 

(注)5.アプリ販売市場(国内)におけるTAMの額1,038億円は、経済産業省が発表した調査レポート「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」上での2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 > ⑤その他」1,316億円に、総務省が発表した「令和6年版 情報通信白書(第Ⅱ部第1章第11節)」上でのスマートフォンの保有割合78.9%を掛けて算出。又、ターゲット市場の額115億円は、(注)3のデジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をアプリ販売市場(国内)におけるTAMの額に掛けて算出。

  6.アプリ販売市場(海外)におけるTAMの額1兆1,787億円は、International Market Analysis Research and Consulting Groupが発表した「In-app Advertising Market Report by Advertising Type, Platform, Application, and Region 2024-2032」25兆6,518億円(USD 163.2 billion。円への換算方法は(注)4と同じ)から、便宜上、(注)3の2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 > ⑤その他」の割合5.0%を掛けて算出した額1兆2,826億円から国内のTAMの額1,038億円を差し引いて算出。又、ターゲット市場の額1,308億円は、(注)3と同様、デジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をアプリ販売市場(海外)におけるTAMの額に掛けて算出。

 

<ソリューション事業>

2019年3月に経済産業省が公表したIT人材需給に関する調査によると、IT人材の供給数は減っていく一方で、需要数が高まることから需給ギャップが拡がり、2030年には約41万人から79万人のIT人材不足が生じると見られております。2024年においては、コロナ禍からの回復が進み、世界的な経済の安定化が見られる中で、企業のシステム投資需要も引き続き堅調に推移しています。このため、中長期的に市場はさらに拡大していくものと考えております。

また、日本企業において経済産業省が推進する「DX化」というトレンドがあります。特に業務の効率化、働き方改革などでは「スマホ化」の需要は一段と増えております。さらに受託開発に目を向けると、大手企業からのロボティクス案件などもあり、これからも当社の最新技術思考が顧客にアピールできると考えております。PCから「スマホ×DX化」という相乗効果による追い風を受けて、アプリ開発市場は持続的に拡大していくものと考えられます。

 

 

TAM

ターゲット市場

当社売上高実績

受託開発(注)7

10兆4,177億円

6兆8,131億円

5.2億円

IT技術者派遣(注)8

1兆4,413億円

1兆780億円

14.8億円

 

(注)7.受託開発市場におけるTAMの額10兆4,177億円は、総務省が発表した「特定サービス産業動態統計調査」上での2023年の市場規模の内、「受注ソフトウェア」の額より抜粋。又、ターゲット市場の額6兆8,131億円は、経済産業省が発表した「平成30年特定サービス産業実態調査(経済産業省)」上の当社の事業所が存在する都道府県の「受注ソフトウェア開発」の年間売上高(東京都4兆7,585億円、愛知県6,245億円、大阪府1兆4億円)の合計の額6兆3,834億円を「受注ソフトウェア開発」の年間売上高9兆7,661億円で除して算出した割合65.4%をTAMの額に掛けて算出。

  8.IT技術者派遣市場におけるTAMの額1兆4,413億円は、厚生労働省が発表した「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」上の情報処理・通信技術者1日当たりの平均派遣料金32,871円を×20日×12ヶ月として算出した額と「労働者派遣事業の令和5年6月1日現在の状況」上の情報処理・通信技術者派遣労働者数182,701人を積算して算出。又、ターゲット市場の額1兆780億円は、前述の一つ目の資料上の当社の事業所が存在する都道府県の年間売上高(南関東3兆8,979億円、東海1兆2,846億円、近畿1兆3,709億円)の合計の額6兆5,534億円を労働者派遣事業に係る総売上高8兆7,646億円で除して算出した割合74.8%をTAMの額に掛けて算出。

 

 

(3) 経営戦略    

<モバイル事業>

モバイル事業は、特にアプリ課金市場においては、ターゲット市場に対して売上規模がまだまだ小さく、当面は世界的なマーケットで売上拡大に注力するステージであると考えております。

 

サブスクリプション本格強化

同事業におけるBtoCビジネスにおける収益源としましては、広告非表示機能を含む追加機能や追加素材、追加ストレージ等の利用が可能となるサブスクリプション(定額課金)型のプレミアム会員サービスと、アプリ上の広告が非表示となる売切型アプリの2種類の方法があります。これまでは累計ダウンロード数の増加=広告ビジネスにおける収益を最重視しておりましたが、今後は、サブスク予備軍200万人(注)9に対して、プレミアム会員サービスへの誘導を強化するプロモーション策を実施し、同サービス経由での売上も増加させることにより、同事業内において、市況の影響を直接受けやすい広告ビジネスの売上に過度に依拠しないような収益構造を目指し、リスク分散してまいります。

(注)9.サブスク予備軍とは、無料広告ユーザーのうち、課金率が5%(業界平均3~10%)となる場合のユーザー数と定義。

 

② プロマーケット開拓本格強化

「ibisPaint」はモバイルペイントアプリのNo.1ブランドだからこそ、PC版も使いたい既存ユーザーが多数存在したため、2022年6月にWindows版をリリースし、随時、機能拡充を行ってまいりました。当初は売切型のみ販売しておりましたが、2024年3月にはサブスクリプション型の提供を開始しております。また、クリエイターの求める機能を引き続き搭載するなど、機能を拡張し続けることで、将来的にプロのクリエイター向けマーケットへの本格的参入も想定しております。1年以内には待望のMac版をリリース予定で、全デバイスで「ibisPaint」ブランドを確立し、新たな収入源を獲得してまいります。

 

③ 高機能開発本格強化

「ibisPaint」はリリース当初より、モバイル端末用に適合、最適化することを念頭に置いて開発した自社製品ですが、競合他社の製品は、一般的にハードウェアの性能が高いPC端末用に開発された製品が多く、かつ、開発において多大な人件費を継続的に投入しております。当社の製品は、プロのイラストレーター等が使用するパソコンのペイントソフト並みの機能を搭載しているものの、他社との差別化において、継続的な改善と新機能の追加、及びモバイル端末用としてのさらなるUI(ユーザーインターフェース)及びUX(ユーザーエクスペリエンス)の強化は事業戦略上の根幹をなすものであります。加えて、昨今のAI(人工知能)技術の発展や、2025年1月31日付で子会社化した株式会社テクノスピーチの音声合成技術を取り込む等により、さらに付加価値を高めた製品の開発も可能となっていることから、当面は、高機能戦略を踏襲し、ユーザーにとって魅力のある製品を開発し続けることによって、全世界でのシェアの拡大を進めてまいります。

 

 

<ソリューション事業>

ソリューション事業は、ターゲット市場に対して売上規模が極めて小さく、当面は売上拡大に注力するステージであると考えております。

 

① SI(システムインテグレーション)体制構築

当社のソリューション事業は、受託開発とIT技術者派遣の2つのサービスを提供しておりますが、受託開発を強化し、高付加価値なSler化を推進してまいります。モバイルDX(デジタルトランスフォーメーション)という追い風に乗って、当社が得意とするスマートフォンやタブレットなどインターネット端末のアプリケーション開発における最新の技術を磨き続け、システム導入におけるコンサルティングや要件定義から、設計、開発、運用までワンストップで新しい顧客へ提供できる体制を積極的に推進してまいります。

 

② 新たな開発手法等への取り組み

スマートフォンやタブレットなどのアプリ開発は、アジャイルやスクラムなどの最新のアプリケーション開発手法や、AI・Web3.0などを活用した開発生産性の抜本的向上策などの技術進化が著しい分野であります。当社は、高い品質管理マネジメントと利益管理マネジメントの両立を目指して、継続して新しい開発手法等を取り入れてまいります。

 

③ eラーニング強化

当社においては、全社従業員向けの教育研修として、2018年よりeラーニングサービスを導入・運用しておりましたが、ソリューション事業所属のIT技術者においては、技術革新が著しい昨今において、最新の開発技術・言語・スキルが学べるより専門性が高いeラーニングサービスの追加提供を2023年より導入いたしました。今後は、更に、社外研修を新規提供するなど、更に充実した教育研修制度を構築、実施してまいります。

 

<AI歌声合成事業>

 2025年1月31日付で、株式会社テクノスピーチの全株式取得(子会社化)を完了し、同社の事業はAI歌声合成事業として位置付けることとなりました。本件株式取得により、株式会社テクノスピーチは2025年12月期から当社の連結子会社となり、2025年12月期以降の当社の連結業績に含まれる予定です(連結財務諸表に関する会計基準におけるみなし取得日の規定により、貸借対照表は2025年3月末付で、損益計算書は2025年4月1日から取り込む予定、また2025年12月期通期の当社連結業績に与える影響については現在精査中)。

 当社は、株式会社テクノスピーチの現在の主力事業である受託開発については、エンジニア人材の拡充とライセンス(ロイヤリティ)ビジネスを推進することにより、安定的な成長を見込むと共に、今後の主力自社製品となる、人間の歌い方・話し方をリアルに再現するAI音声創作アプリ「VoiSona(ボイソナ)」については、ユーザーのニーズが高いボイスライブラリを優先的に充実されることのより、更なるユーザの拡充ならびに高い売上の成長を見込んでおります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は事業の成長性、収益性を判断する重要な経営指標としまして、売上高、営業利益、営業利益率を重視しております。また、サービス別ではモバイル事業の主要サービスである「ibisPaint」のDAU(注)、サブスクリプション契約数、及びソリューション事業のITエンジニア数を重要な事業KPIとして位置づけ、増加に向けた企業運営に努めております。なお、各指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2022年12月

2023年12月

2024年12月

DAU

(千人)

6,210

5,781

5,880

サブスクリプション契約数

(人)

66,257

119,380

232,053

ITエンジニア数

(人)

181

240

240

 

(注):DAUは「Daily Active Users」の略で一日あたりのアクティブユーザーのこと。

 

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しにつきましては、国際情勢の不安定さによるエネルギー・原材料価格の高騰や継続的な物価上昇、中国経済の減速などが依然として続き、景気の先行きは不透明な状況が続くものと想定しております。そのような中、当社は、前事業年度より、モバイル事業、ソリューション事業共に、売上高を成長させるとともに、利益の額及び率を重視する経営方針に転換いたしております。踏まえて、セグメント毎に対処すべき課題を以下に表記いたします。

 

<モバイル事業>

モバイル事業については、前事業年度までの8年にわたる海外プロモーション投資の効果により、「ibisPaint」のブランド力が世界レベルで格段に向上した結果、口コミのみでヘビーユーザーが獲得できる土壌が整ったこと、及び全世界での「ibisPaint」のアクティブユーザー数における対直接競合シェアが高い占有率を継続していること(当事業年度では86.5%(前年同期比3.0%増)※)、以上2点を考慮して、当事業年度から広告宣伝投資(広告宣伝費)を約1/2とするオーガニック成長(グロース)へ転換し、概ね奏功しているものと判断いたしました。従って、2025年12月期もこの戦略を踏襲することとし、広告宣伝投資(広告宣伝費)を前年同期比△17.6%といたしました。同事業における対処すべき主な課題としましては、以下の3点が挙げられます。

※アクティブユーザーシェアのデータは2024年の数値。data.ai by Sensor Tower調べ。比較対象は当社が全世界で直接競合するものとして考えている5アプリ。

 

①アプリ広告売上縮小軽減策

自社開発のモバイルペイントアプリ「ibisPaint」において当事業年度下期から顕在化しているアプリ広告売上の不振について、現時点、一部施策において実装段階で予期せぬ不具合が生じたことが主な原因と考えておりますが、マクロ環境では説明できないモバイル広告市況特有の悪化などその他の原因も考えられる余地もあるため、引き続き調査分析を継続して原因を追究し、同売上の縮小を最小限に食い止めるための対策を講じてまいります。

 

②マーケティング強化策

引き続き、「ibisPaint」について、ユーザーのニーズ、トレンドの変化などに今迄以上にスピーディに対応し、AIやディープラーニングなど最先端且つ高度な技術を最大限活用することによって、顧客の更なる拡大及び深耕を図り、引き続き、サブスクリプションの本格強化とプロマーケット開拓の本格強化の両方を目指してまいります。

 

③開発人材の確保及び育成

急速な技術革新への対応と、海外マーケッターや海外サポートなども含めたあらゆる職種での人材の質及び量の向上が同事業の拡大には不可欠であり、このような環境や変化に対応し、適切にニーズにあったサービスを提供できる体制を構築していくことが重要であると認識しております。特に同事業におけるモバイルアプリ開発エンジニアについては、高度なプログラミングの知識はもちろんのこと、画像処理技術を調査・研究・実装するための論理的思考力及び科学的リテラシーが求められます。そのために、引き続き、高い専門性を有する優秀な理系出身者人材の確保と育成は、同事業発展のための根幹と考え、必要な戦力となる社員の採用を行い、育成していくことを、高成長の源泉としてまいります。そして、セグメント利益の額・率の更なる向上を目指してまいります。

 

 

<ソリューション事業>

ソリューション事業については、高採算な案件受注の強化を継続しつつ、引き続きSI体制の構築を目指す方針を掲げております。同事業における対処すべき主な課題としましては、以下の2点が挙げられます。

 

①営業強化策

引き続き、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのアプリケーション開発支援について、システムコンサルティングからクラウドサーバ運用・保守まで高付加価値なSI体制を提供する体制を構築しながら、多彩な業種業態の法人との直取引による拡大と深耕を図ることで顧客満足度の更なる向上を目指してまいります。

 

②開発人材の確保、育成及び維持

ソリューション事業においても、あらゆる顧客の開発ニーズに応えられるハイスキルな技術力を有する豊かな経験が求められます。これらの優秀な人材の確保、育成及び維持は、同事業発展のための根幹と考え、引き続き、適時必要な戦力となる社員の採用を行い、育成・維持していくことを、安定成長の源泉としてまいります。そして、最新の技術を駆使して受託案件の開発生産性を更に向上させるなどして、セグメント利益の額・率の更なる向上を目指してまいります。

 

グループ全社>

当社は、当事業年度第2四半期より、成長戦略の一環としましてM&Aの調査を開始いたしました。そして、その結果、2025年1月31日にAI音声合成技術関連事業を営む株式会社テクノスピーチを完全子会社化し、グループ経営に舵を切ることとなりました。グループ全社における対処すべき主な課題としましては、以下の2点が挙げられます。

 

①グループ経営の推進

当社グループの一社となった株式会社テクノスピーチについて、予定通りの年数以下で着実に投資回収できるよう、当社の持つモバイル開発技術力・グローバルマーケティング力・事業企画力に加え、以下のような高いシナジー効果を創出・維持し、グループの成長を中長期的にブーストさせてまいります。

 ・サブカルチャー志向のクリエイター層の支持

 ・キャラクター表現に不可欠なイラスト

 ・音声とイラストが融合する新たな創作文化の発展

 

②グループ内部管理体制の構築及び運用

株式会社テクノスピーチは2025年12月期から当社の連結子会社となり、当該事業年度以降の当社の連結業績に含まれる予定です(連結財務諸表に関する会計基準におけるみなし取得日の規定により、貸借対照表は2025年3月末付で、損益計算書は2025年4月1日から取り込む予定)。従って、今後は、当社グループの一社となった株式会社テクノスピーチを含めた、有効性が高く、且つ効率の良いグループ内部管理体制の構築及び運用を行ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、持続可能な環境や社会への貢献による中長期的な企業価値向上のため、サステナビリティを巡る課題 への対応は経営の重要な課題であると認識しております。今後においては、然るべき時期に、サステナビリティを巡る課題に適時適切に対応していくための体制整備を行い、基本方針の策定を検討してまいります。

 

(2)戦略

当社の持続的な成長や企業価値向上のためには、人材は最も重要な経営資源であり、豊かな人間性、高度な専 門的知識・スキルや経験を有する多様な人材の確保、育成及び定着が不可欠だと考えております。そのため、会社の成長に即した人事制度(目標管理制度、人事評価制度、賃金制度)の改訂、最新の技術に関する教育研修制度や勉強会の更なる拡充、シフト制・時短勤務・育児休業取得などをはじめとする働きやすい環境の推進など、人材確保のための各種制度の検討、整備を引き続き行ってまいります。

 

(3)リスク管理

当社では、サステナビリティ関連のリスクを、その他経営上のリスクと一体的に監視及び管理しております。 当社におけるリスクマネジメントの取組については、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 (4)指標及び目標

当社では、性別や年齢、国籍等に関わらず、能力や適性に応じて管理職への登用を含め、適材適所で配置していく方針です。人材の育成及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、具体的な目標は設定しておりませんが、今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標及び開示項目を検討してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります

 

 (1) 事業環境に関するリスク

① インターネット広告市場動向の変化(顕在化の可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

広告市場は市場変化や景気動向の変動による影響を受けやすく、今後、急激な景気の変化等が生じた場合、広告及びインターネット広告の需要に影響する可能性があります。

当社はモバイル事業において広告市場の影響を抑えるような収益構造を目指し、定額課金型である「ibisPaint」のプレミアム会員サービスへの誘導を強化するプロモーション策を実施してまいりますが、急激な景気の変化等が生じた場合、広告掲載案件や広告単価の減少等により、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② ユーザー嗜好の変化(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

モバイルアプリ市場内外において新しいコンテンツサービスが次々とリリースされ、ユーザーの嗜好の移り変わりが激しい競争環境において、当社の提供するモバイルアプリがユーザーのニーズ及びトレンドの変化にスピーディに対応できなかった場合、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はマーケティングによるユーザー嗜好の把握や既存ユーザーからの意見の収集を通じてモバイルアプリの開発、改良を行い、最適なモバイルアプリの提供に努めることで事業の継続及び拡大を図ります。

 

③ システム投資動向の変化(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

生産性向上のためのシステム化需要や情報通信技術の発達に伴うデジタルサービス等の需要増加により、システム投資動向が上向きである中、企業におけるIT人材の不足が顕在化していることから、当社ソリューション事業に関連する受託開発、IT技術者派遣の市場は拡大していくものと予測しております。しかし、経済状況の変化や景気低迷により、当社の予測に反してシステム投資動向が抑制傾向になった場合は、受注量の減少や取引価格の低下等により当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は顧客のニーズに的確に対応できる人材確保のため、ITエンジニアへの研修及び優秀な人材の採用と育成を推進することで事業の継続及び拡大を図ります。

 

④ 技術革新について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は情報通信技術との関連性が高い事業を行っておりますが、当該分野はハード面、ソフト面いずれにおいても技術革新の速度及びその変化が著しく、新技術の開発や新サービスの提供が次々と行われております。技術革新へ対応できるようにアプリ関連の研究開発、システムエンジニア等のITエンジニアへの研修及び優秀な人材の採用と育成に努めておりますが、これらの施策を上回る速度で技術革新が進んだ場合や適切な対応ができなかった場合には、競合他社に対する当社の競争力が低下し、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ モバイルアプリ市場動向の変化(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

世界的にSNS系のアプリや動画、音楽、ゲーム等のコンテンツ系アプリの利用ユーザーが年々増加傾向にあり、当社モバイル事業に関連するモバイルアプリ市場は今後も拡大していくものと予測しております。しかし、当社の予測に反してモバイルアプリ市場が急激に縮小した場合、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はモバイル事業だけでなくソリューション事業についても収益の柱として位置づけており、事業ポートフォリオを拡大することでリスクを分散してまいります。

 

 

 (2) 事業内容に関するリスク

① 「ibisPaint」への依存について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の売上構成比において、特定のサービス「ibisPaint」の比重が高く、その売上高の大半はユーザーの広告閲覧による広告収入となっております。当社は、「ibisPaint」の利用を維持・促進するため、機能改善や新機能の追加、各種プロモーション等によるユーザーの利用の活性化を図っておりますが、かかる対策が適時適切に行えなかった場合、又はかかる対策が功を奏さなかった場合など、何らかの理由によってユーザーの興味・関心を維持できない場合、又は競合他社が当社より魅力あるサービスをリリースするなどして「ibisPaint」の競争力が低下した場合、アクティブユーザー数の減少、広告収入の低下等により、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 海外展開について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社はモバイルアプリ提供プラットフォームである「Google Play」や「App Store」等を通じて海外ユーザーにもモバイルアプリを提供しており、さらなるダウンロード数、ユーザー数の増加を目指して事業展開を行っていく方針であります。しかし、ユーザーの嗜好や商慣習等が国ごとに本邦と大きく異なることもあり、当社の提供するサービス内容によってはアプリの提供停止や想定どおりに事業展開できない可能性があります。海外展開にあたってはこれらのリスクが発現しないように調査、翻訳、サービスの実装等を行っているものの、リスクが顕在化した場合は、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、2022年2月以降のロシアによるウクライナ侵攻の影響については、プラットフォームからのアプリ提供も含め、ロシア国内におけるサービスを一時的に停止しておりますが、当社の業績に及ぼす影響は限定的であります。ウクライナ情勢の長期化やその他地政学的リスクの顕在化等により経済状況が悪化した場合には、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

③ 提供する製品・サービスの重大な不具合について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期無し、影響度:大)

当社モバイル事業の提供する各種製品・サービスは、開発計画から本番リリースに至るまでの開発プロセスが定められており、品質のチェックを十分に行った上で本番リリースをしております。しかし、各種製品・サービス提供後に、予期せぬバグや欠陥、オペレーションのミスにより、システムに重大な不具合が発生した場合、当社のブランドイメージの毀損、悪化、ユーザー数の減少、機会損失による売上の低下、補修等追加コストや損害賠償請求の発生等により、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ M&A、資本業務提携について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、事業拡大を図るため、M&Aや資本業務提携を有力な手段としてとらえております。M&Aの検討に当たっては、専門家を含めたデューデリジェンスを実施し、対象企業の業績、財政状況、ユーザー層、競争優位性、当社事業とのシナジー効果やリスク分析結果等を十分に考慮した上で進めております。

しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、M&Aや資本業務提携実施後に、市場環境の著しい変化があった場合、対象企業の事業が計画通りに進捗せず投下資金の回収が困難となった場合及びデューデリジェンスにおいて発見することが困難であった財務・法務・事業上の問題等が発覚した場合等においては、対象会社の株式取得価額やのれんの減損が発生し、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ サービスの健全性について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の運営するモバイルアプリは、数多くのSSP事業者へ広告の掲載を委託しており、「ibisPaint」を配信する前に国内外のSSP運営事業者の基準や当社の基準に照らし、「ibisPaint」に表示される広告、自社運営オンラインギャラリー「ibispaint.com」へ掲載されるコンテンツ、その表現等の健全性を確保するように努めております。具体的には、SSP事業者との取引開始時における審査の実施や、社内にて広告掲載基準を設けるなど、広告及びリンク先のサイトの内容についての管理を実施しております。また、当社従業員が既に掲載されている広告、広告のリンク先サイト及び「ibispaint.com」を定期的に巡回し、広告掲載基準の遵守状況や公序良俗に違反するイラスト投稿の有無、当社広告の掲載状況を監視しております。広告掲載基準に違反する行為や公序良俗に違反するイラスト及び公序良俗に違反する媒体での当社広告掲載が発見された場合には、当該SSP事業者やイラスト投稿ユーザーに対する警告、契約解除といった措置を講じております。

しかしながら、こうした対応・措置等にもかかわらず公序良俗に反する広告が掲載されてしまう可能性があります。広告主等が公序良俗に反する広告や商品・サービスの提供、コンテンツの掲載を当社の意図に反して継続することにより、当社の提供するアプリや当社のアカウントがプラットフォーム運営事業者により削除された場合には、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、自社運営オンラインギャラリー「ibispaint.com」へ公序良俗に違反するイラストが多数投稿された場合や当社が広告主として出稿した広告が公序良俗に違反する媒体に掲載された場合においても、当社のブランドイメージの毀損、悪化に繋がり、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 広告宣伝について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社モバイル事業においては、アプリダウンロード数の増加並びに新規ユーザーの獲得が売上高増加に繋がることから、広告宣伝活動は重要な投資であると認識しております。広告宣伝費の支出に関しては、費用対効果を測定し、最適な広告宣伝を実施するように努めております。しかしながら、当社の想定どおりの効果が得られない場合や、競合環境の変化等により広告宣伝費が増加した場合には、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 特定の取引先への依存について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社モバイル事業はビジネスモデル上、Apple Inc.やGoogle LLC等のプラットフォーム運営事業者への依存が大きくなっております。そのため、これらプラットフォーム運営事業者の事業戦略の転換及び動向によっては、プラットフォーム運営事業者へ支払う手数料率の変動等の理由により、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクに対する予防策として、当社はプラットフォーム運営事業者の動向を注視するとともに、業界団体等からの情報収集を適時に行うことで適切な対応策を講じてまいります。

 

⑧ 為替変動について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社モバイル事業では、海外のSSP事業者及び海外ユーザーと取引しており、海外売上高の比率は全社売上高の約4割以上を占めております。当社は想定為替レートの変動を織り込んだ事業計画を策定しておりますが、想定の範囲を超えて円高が進んだ場合には、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 見積り違い及び納期遅延等について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社ソリューション事業の受託開発は、予定工数等に基づきコストの見積りを行っておりますが、仕様変更や追加作業に起因する作業工数の増大により実績が見積りを超えた場合、低採算又は採算割れとなる可能性があります。また、あらかじめ定めた期日までに顧客に対して作業を完了・納品できなかった場合には損害遅延金、最終的に作業完了・納品ができなかった場合には損害賠償請求が発生し、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社はプロジェクト管理の徹底や各事業部責任者によるモニタリングを実施することで、リスクの早期発見、対策をしております。

 

 

⑩ 風評に関するリスクについて(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、当社の製品やサービスに対する悪質な風評がインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、速やかに適切な対応を図ってまいりますが、それが正確な事実に基づくものであるか否かにかかわらず、そのような風評により当社の社会的信用が毀損し、当社の事業、業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 待機工数について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社ソリューション事業のIT技術者派遣においては、システムエンジニア等のITエンジニアと無期雇用契約を締結しております。そのため、これら派遣技術者に係る人件費は派遣先での稼働時間に関係なく発生し、固定費として売上原価に計上されます。経済状況の変化等に伴い、顧客の情勢が劇的に変化し、労働力に対する需要が減少した場合は、派遣技術者の稼働率、稼働単価の低下等により相対的に原価率が上昇し、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は取引先との長期・安定的な取引関係を構築し、顧客の多様化を図ることで外部環境に左右されづらい収益構造の構築に努め、顧客からソフトウェア投資計画や技術者需要を確認することで待機工数の最小化に努めてまいります。

 

 (3) 法的規制に関するリスク

① 法的規制(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社が行う事業では、主に不正競争防止法、不当景品類及び不当表示防止法、著作権法、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)等の法的規制を受けております。特に、労働者派遣法においては、偽装請負に巻き込まれる等の何らかの理由により、同法に定める派遣元事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)に該当した場合や当該許可の取消事由(同第14条)に該当した場合に、IT技術者派遣事業の全部又は一部の継続が困難となる可能性があります。また、法令等の改正・制定等により新たな制約を受けるリスクや既存の制約が強化されるリスクがあります。当社では関連する法令等の情報を適時収集し、定期的な内部監査やコンプライアンス研修により法令順守に努めているものの、これらのリスクが顕在化した場合は、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の提供する「ibisPaint」は、海外売上比率が高く、GDPR(注1)、CCPA(注2)等の国内外の個人情報に関する海外の法的規制等を受けております。当社ではEU代理人、DPO(注3)の設置及びアプリ内での同意画面の実装等を行い対応しておりますが、海外の法的規制内容の変更があった場合には、想定どおりに事業展開できない可能性があり、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(注1):「EU一般データ保護規則」(GDPR:General Data Protection Regulation)の略称。

(注2):「カリフォルニア州消費者プライバシー法」(CCPA:California Consumer Privacy Act)の略称。

(注3):「データ保護責任者」(Data Protection Officer)の略称。

 

② 知的財産権について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は所有する知的財産権を管理し、その権利を保護することによって社業の発展と業績の向上に努めておりますが、当該権利を第三者により侵害される可能性や何らかの理由により知的財産の権利化ができない可能性があります。一方で、当社が第三者の知的財産を侵害した場合には、損害賠償請求や使用差し止め請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらのリスクが顕在化した場合は、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は「知的財産権管理規程」を定め、知的財産権の管理及び権利化を行うとともに、権利化に際しては特許事務所等を利用して他社の知的財産権を侵害する恐れがないか事前調査することでリスクへ対応しております

 

③ 請負契約に基づく契約不適合責任について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社ソリューション事業の受託開発における契約形態のうち、請負契約については、設計・開発を請負って完成すべき業務の遂行や成果物の納入に対して対価を受領しており、契約不適合責任等の追及を受ける可能性があります。当社では契約不適合責任等に係るリスクを軽減するために、履行割合型準委任契約での業務受託を推進するほか、請負契約上の個別契約(注文書)において、完成すべき業務や成果物の仕様、検収方法を明確に定義しております。しかし、当該リスクが顕在化した場合は、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 (4) 組織体制に関するリスク

① 人材の確保及び育成について(顕在化の可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が今後とも持続的に成長していくためには、市場動向の変化や技術革新に対応できる優秀なモバイルアプリ開発エンジニア、システムエンジニア等のITエンジニアや事業規模に適した内部管理体制を構築するための管理人材といったあらゆる職種での人材の質及び量の向上が不可欠であると認識しております。そのため、優秀な人材の確保と育成は、事業発展のための根幹と考え、当社として必要な人材を明確に定義づけした上で、適時必要な戦力となる社員の採用を行い、育成してまいりますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、想定どおりの採用が進まないこと等により優秀な人材の獲得が困難となる場合や、現在在職する人材の社外への流出が生じた場合には、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります

 

② 特定人物への依存について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社代表取締役である神谷 栄治は、創業者であると同時に「ibisPaint」を始めとする当社のモバイルアプリ開発において、創業以来重要な役割を担ってまいりました。同氏はアプリ開発を中心に豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略、新規開発において重要な役割を担っております。当社は取締役及び従業員への情報共有や権限委譲、組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、万が一、同氏に不測の事態が生じ、当社の経営執行を継続することが困難となった場合には、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報管理について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社はモバイル事業においてアプリ利用者の個人情報を取得する場合があります。当社に起因する問題により個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、企業イメージの悪化、損害賠償請求の発生等の可能性があります。また、第三者の故意又は過失その他の事由により、アプリサービスの核となるソースコード等の機密情報が流出、模倣等された場合、当社の開発するモバイルアプリの優位性が損なわれる可能性があります

ソリューション事業においては、当社の従業金が顧客の保有する各種機密情報、新製品の開発、設計等に係る重要な情報を取り扱う場合があります。当社に起因する問題により顧客機密情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、取引解消請求、損害賠償請求の発生等の可能性があります

当社は情報統括管理者を選定し、情報システム・セキュリティに関する規程類の整備運用を行っている他、プライバシーマーク制度に基づく個人情報保護マネジメントシステムの運用等により情報管理を徹底しているものの、リスクが顕在化した場合は、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります

 

④ システム障害について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業はスマートフォンやPC、コンピューターシステムを結ぶネットワークに依存しており、インターネットを利用したサービスを提供するにあたっては、バックアップ体制の構築等の様々なトラブル対策を実施しております。しかし、自然災害や不慮の事故等によって、これらのネットワークが正常に機能しなくなった場合は、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります

 

⑤ 内部管理体制について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は企業価値の持続的な拡大にはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底するため、管理部門の人員の充実及び内部管理体制の強化に努めております。しかし、事業の急速な拡大や事業内容等の変更により、事業規模に適した内部管理体制の構築、管理人材の確保及び育成が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります

 

 

 (5) その他のリスク

① 自然災害、事故等について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は自然災害、事故等に備え、定期的なシステムのバックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めております。しかし、当社所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生し、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります

 

② 感染症の拡大について(顕在化の可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社では、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の流行に備え、従業員の健康と安全の確保を最優先に感染防止対策を徹底しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大や新たな感染症の蔓延などにより、長期にわたって人々の行動に制限が課され、経済状況が悪化した場合には、当社の事業、業績に影響を及ぼす可能性があります

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、企業業績や雇用・所得環境は回復基調にあったものの、エネルギーや原材料価格の高騰による物価の上昇が続きました。一方で、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中東情勢の緊迫化など、国際情勢には不安定さが増しており、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。

このような環境のもと、当社は、高成長事業であるモバイルペイントアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」シリーズの開発/運営を主軸としたモバイル事業と、安定成長事業であるスマートフォンやタブレットなどのインターネット端末でのアプリケーション開発支援を行うソリューション事業の2本柱で積極的な事業展開を行ってまいりました。世界200以上の国と地域にユーザーを持つ「ibisPaint」においては、デジタルイラストユーザーのトレンドを常に意識した魅力的な新機能や新サービスの更なる拡充に注力し、サブスクリプション課金などのマネタイズ策の強化に取り組んでまいりました。ソリューション事業においては、急速な技術革新を背景にした企業のDX化における生産性向上や競争力強化のためのIT需要を的確に捉え、長年にわたり培ってきた高い技術力と柔軟な対応力を強みに、法人顧客に高度なソリューション提供を更に推進いたしました。

以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高4,625,427千円(前年同期比13.2%増)、営業利益1,155,358千円(前年同期比166.1%増)、経常利益1,170,367千円(前年同期比173.4%増)、当期純利益839,294千円(前年同期比190.8%増)となりました。

 

事業セグメント別の状況は、以下のとおりであります。

<モバイル事業>

当事業年度におきましては、主力製品の「ibisPaint」についてはシリーズ累計のダウンロード数を積み重ね、2024年5月2日に大台の4億ダウンロードを達成し、2024年12月末日時点では4億4,967万ダウンロード(前年同期比20.8%増)となりました。モバイル事業では、新機能の追加やサービス拡充、ユーザーの声をもとにしたアプリの改善や仕様変更への対応(Ver.11.2.0からVer.12.2.12までリリース)をはじめ、YouTubeでの継続的なお絵描き講座の動画投稿、季節やトレンドに合わせた素材コンテストの開催(第37~44回)及び豊富な無料素材の追加など、常にユーザーフレンドリーを意識した製品の提供に注力してまいりました。2024年3月には、イラストの拡大・縮小を繰り返しても描画した線が劣化しないという「ベクターレイヤー機能」などを実装したVer.12.0.0をリリースしたほか、PC版の「ibisPaint for Windows」においても、モバイル版と同様のサブスクリプションによるプレミアム会員サービス(月額480円、年額2,950円)を開始いたしました。2024年5月には、画像生成AIによる追加学習を妨げるノイズをイラストに付与し、ユーザー独自の作風が模倣されることを防ぐ「AI学習妨害機能」などを実装したVer.12.1.0を、2024年9月には、作成したイラストをフォルダに分けて整理することを可能にする「作品フォルダ機能」などを実装したVer.12.2.0を、それぞれリリースいたしました。いずれの新機能・新サービスもユーザーから好評を博しておりますが、中でも「AI学習妨害機能」及び「作品フォルダ機能」はプレミアム会員(サブスクリプション)のみが利用できる機能として実装したため、サブスクリプション契約数の増加にも大きく貢献いたしました。

以上の結果、売上高は2,611,002千円(前年同期比6.3%増)となりました。売上区分別の国内売上高及び海外売上高は以下のとおりであります。

 

 

 

前事業年度

(自 2023年1月1日
   至 2023年12月31日

当事業年度

(自 2024年1月1日
   至 2024年12月31日

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

増減率

(%)

アプリ広告

国内売上高

448,006

24.3

393,837

23.7

△12.1

海外売上高

1,397,570

75.7

1,265,841

76.3

△9.4

1,845,576

100.0

1,659,678

100.0

△10.1

アプリ課金

(サブスクリプション

 + 売切型アプリ)

国内売上高

203,224

33.8

281,747

29.9

38.6

海外売上高

398,764

66.2

661,428

70.1

65.9

601,988

100.0

943,175

100.0

56.7

その他

国内売上高

6,399

78.9

6,450

79.2

0.8

海外売上高

1,710

21.1

1,698

20.8

△0.7

8,110

100.0

8,148

100.0

0.5

合計

国内売上高

657,630

26.8

682,035

26.1

3.7

海外売上高

1,798,045

73.2

1,928,967

73.9

7.3

2,455,675

100.0

2,611,002

100.0

6.3

 

 

当事業において主な収入源となっているアプリ広告につきましては、DAU(日次アクティブユーザー)は概ね高い水準を維持し、また、為替は2024年8月以降円高に振れた時期もあったものの、期を通しては円安傾向にありました。しかしながら、より収益性の高いサブスクリプションへのシフトを志向したこと、アプリ広告事業の一部施策において実装段階で予期せぬ不具合が生じたことなどから、売上高は1,659,678千円(前年同期比10.1%減)となりました。アプリ課金につきましては、サブスクリプションは前述した各種新機能の追加やPC版サブスクリプションの開始などのほか、既存ユーザーに対するプレミアム会員サービスへの契約促進施策が奏功し、売上高は687,181千円(前年同期比108.2%増)、会員数は232,053人(前年同期比94.4%増)と大きく増加いたしました。一方、売切型アプリにつきましては、モバイル版・PC(Windows)版ともにサブスクリプションへの誘導が想定以上に進んだため、売上高は255,994千円(前年同期比5.9%減)となりました。

また、当事業年度よりオーガニック成長へ転換し効果的な広告投資を行ったことにより、セグメント利益は1,342,323千円(前年同期比76.7%増)となりました。

 

<ソリューション事業>

当事業年度におきましては、クラウドコンピューティング技術やモバイルアプリ開発のニーズが拡大を続ける中、特にエンタープライズ企業との直取引による拡大と深耕を推進したことにより、受託開発が大きく成長いたしました。従来のBtoC向け開発からBtoB向け開発への移行が緩やかに進む一方、幅広い分野の法人や地方自治体からのシステム開発受注が増加し、クラウドサーバの構築・移行支援(サーバレス環境の構築を含む)では安定的な収益を生む運用保守案件も順調に増加しております。本サービスにおいては、最新の技術をマスターするためのeラーニングによる多彩な教育カリキュラムや豊富な開発経験を活かした社内勉強会、AIを活用した開発生産性の抜本的向上策、顧客ニーズに合致した様々なアプリケーション開発手法など、高付加価値なSI体制の構築に向けて諸施策の検討及び導入を積極的に推進しております。IT技術者派遣では、大手SIerやソフトウェア開発企業などを中心に、最新の技術を習得したハイスキルなITエンジニアを提供し、派遣先企業のIT・DX関連における課題解決を力強く支援いたしました。一方で、主に前事業年度に大量に採用したITエンジニアとの開発案件におけるミスマッチ等により、特に下期において多くの離職が顕在化したため、期末のITエンジニア数が240人(前年同期比で増減なし)となりました。こちらは、会社側とのコミュニケーションを質・量共に充実させる形で既に対策を実行いたしております。当事業は、引き続き、最新の技術を駆使したモバイルアプリ開発支援を強みに、売上高・利益を着実に増加させる安定成長事業として、より一層の事業拡大を目指してまいります。

以上の結果、売上高は2,014,424千円(前年同期比23.5%増)となり、内訳としては、受託開発が526,919千円(前年同期比89.5%増)、IT技術者派遣が1,487,505千円(前年同期比9.9%増)となりました。増収に加え、エンジニアの採用が一服したこともあり、セグメント利益は275,514千円(前年同期比204.2%増)となりました。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の資産合計は3,200,964千円となり、前事業年度末に比べ1,091,639千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が998,081千円、ソフトウェアが32,355千円、前払費用が26,630千円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末の負債合計は1,071,135千円となり、前事業年度末に比べ251,446千円の増加となりました。これは主に、長期借入金が20,454千円減少した一方で、未払法人税等が159,491千円、契約負債が96,770千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産合計は2,129,829千円となり、前事業年度末に比べ840,193千円の増加となりました。これは、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ9,888千円増加するとともに、当期純利益839,294千円の計上による増加と剰余金の配当50,890千円の支払い等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は2,227,851千円となり、前事業年度末と比較して998,081千円増加となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動による資金の増加は1,202,621千円(前事業年度は307,591千円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益1,170,367千円の計上及び法人税等の支払額192,570千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動による資金の減少は144,877千円(前事業年度は192,833千円の減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出119,154千円、差入保証金の差入による支出20,287千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動による資金の減少は62,434千円(前事業年度は520,292千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入19,776千円、長期借入金の返済による支出31,090千円、配当金の支払額50,845千円等があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております

 

b 受注実績

当事業年度におけるソリューション事業の受託開発に係る受注実績は次のとおりです。なお、モバイル事業及びソリューション事業のIT技術者派遣は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております

 

セグメントの名称

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

ソリューション事業

516,679

151.7

91,227

89.9

合計

516,679

151.7

91,227

89.9

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

  2.当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、受注件数が増加したこと等によるものです。

 

c 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

モバイル事業

2,611,002

106.3

ソリューション事業

2,014,424

123.5

合計

4,625,427

113.2

 

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前事業年度

(自 2023年1月1日

2023年12月31日

当事業年度

(自 2024年1月1日

2024年12月31日

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

Google LLC

1,849,581

45.3

1,878,155

40.6

 

(注) Google LLCはプラットフォーム提供会社であり、同社に対する販売実績は、当社の提供するアプリの利用者(ユーザー)にかかる広告売上高等であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態の分析

財政状態の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

b 経営成績の状況の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は4,625,427千円(前年同期比13.2%増)となり、前事業年度と比較して538,562千円の増収となりました。これは主にモバイル事業の主製品であるモバイルペイントアプリ「ibisPaint」シリーズの累計ダウンロード数が2024年12月末に4億4,967万件(前年同期比20.8%増)となり、プレミアム会員サービスのサブスクリプション売上が順調に推移したこと、ソリューション事業の受託開発が大きく成長したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は1,833,158千円(前年同期比22.8%増)となりました。これは主にモバイル事業の開発人員採用に伴う人件費の増加、アプリダウンロード数が伸びたことによるサーバ利用料等の通信費の増加、ソリューション事業における受託開発増加に伴う人件費の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は2,792,269千円(前年同期比7.6%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は1,636,910千円(前年同期比24.2%減)となりました。これは主にモバイル事業の売上増加に伴う販売手数料が増加した一方、エンジニアの採用が一服したことによる採用費の減少や、効率的な広告投資により広告宣伝費が減少したことによるものであります。この結果、営業利益は1,155,358千円(前年同期比166.1%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度における営業外収益は主に受取報奨金や為替差益の計上により16,000千円(前年同期比66.6%増)となりました。営業外費用は主に支払利息の計上により991千円(前年同期比93.7%減)となりました。この結果、経常利益は1,170,367千円(前年同期比173.4%増)となりました。

 

(当期純利益)

当事業年度における当期純利益は839,294千円(前年同期比190.8%増)となりました。これは法人税等調整額を含む法人税等合計331,073千円を計上したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b 資金の財源及び資金の流動性

当社の主な資金需要はモバイル事業の「ibisPaint」アップデート及び新規アプリ開発投資に係る人件費であります。運転資金は主に自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。設備投資の必要性が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。

現金及び現金同等物の当事業年度末残高は2,227,851千円であり、資金の流動性は十分に確保できております。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。経営者は債権、繰延税金資産、引当金等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

なお、当社の財務諸表で採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当事業年度中における経営上の重要な契約等は、次のとおりです。

相手先の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

Google LLC

Google Playデベロッパー販売/配布契約

Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

期間の定めなし

 

 

また、当社は、2024年12月26日開催の取締役会において、株式会社テクノスピーチの株式を100%取得し、子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、2025年1月31日付で株式会社テクノスピーチの全株式取得(子会社化)を完了いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な後発事象」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

社では、コンシューマ向けの自社製品である「ibisPaint」だけでなく、更に多くのユーザーに当社の製品を利用いただくため、法人向けの自社製品も提供すべく、日々、研究開発に取り組んでおります。当事業年度における各セグメント別の研究の目的及び研究開発費は次のとおりです。なお、研究開発費の総額は16,222千円であります

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) モバイル事業

モバイル事業においては、主力製品の「ibisPaint」については新機能の追加やサービス拡充、ユーザーの声をもとにしたアプリの改善や仕様変更への対応を中心に研究開発を行いました。その結果、当事業における研究開発費は16,222千円となりました

 

(2) ソリューション事業

該当事項はありません

 

(3) 全社共通

該当事項はありません。