第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「社会を構成するメンバーとして、尊敬され、関係する様々な方々の期待に応える企業」を志向し、日々、株主の皆様、お客様、協力会社、地域社会、そして社員等、当社グループと関係するすべての方々(ステークホルダー)と関係を持ち、期待を担いながら相互の協力の下、活動をしております。その期待に誠実に応えていくことこそが当社グループの企業使命であるという認識の下、「商空間創りを通じ、皆の笑顔を創りだす」というスローガンを掲げ、商空間の企画・制作・保守メンテナンス等の事業を展開しております。この笑顔とは、「お客様の笑顔」、「お店でご活躍されている方の笑顔」、「お店に集う方の笑顔」、「全ての人々の暮らしのステージとなる地球の笑顔」であり、単なる「モノ作り」でなく、社会において様々な「笑顔になれるコト」を創出することを経営の基本方針としております。それゆえに当社グループは自らの仕事を建設業という範囲を超え、「サービス業である」と考えております。

そして、時代のニーズは新たな技術とともに変化していきますが、当社グループは安定した収益基盤を確立しながら、従来の枠組みに捉われず、時代の変化に柔軟に対応し、成長し続けられる企業でありたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、2024年8月開催の定時株主総会終結時までの旧経営体制においては、2016年からの第2次10年計画は「世界でも期待される企業」への進化を遂げ、遅くとも2025年までには売上高 500億円(国内 450億円、海外 50億円)、営業利益率6%を実現できるよう目指してまいりました。2024年8月開催の定時株主総会の終結時をもって発足した新経営体制においては、営業利益率等の利益率や株主還元に係る指標が重視すべき指標であると認識しておりますが、新経営陣により丁寧な議論を行ったうえで、中期経営計画及び中長期的な会社の経営戦略とともに目標とする経営指標についても今後に策定し、決定次第、公表する予定です。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、日本国内及び東南アジア7ヶ国にて事業を展開しております。

日本国内においては、当社グループが事業とする建設業界で急速に進んでいる建設業就業者の減少・高齢化、及び2024年4月から建設業にも適用された「働き方改革関連法」(時間外勤務時間の上限 原則月45時間、年360時間)により、人手不足が益々深刻となる状況が継続しているほか、原材料高、円安、金利上昇、国際情勢不安など様々なリスクや懸念がありますが、各業界の新型コロナウイルス感染症の収束後の経済の再活性化による投資意欲の強まりを受け、建設業界は概ね活況が続くと見込んでおります。このような状況の中でも、食に係る設備分野を祖業とした当社と各専門分野を持つグループ各社で構成される当社グループにおいて、各社が得意先や購買先等を相互に紹介し、各社の技術面の強みを活かして協業することにより、当社グループの対応できる事業範囲の拡大、施工コストの削減等が可能になり、当社グループとして競争力を発揮できると考えております。

また、当社グループの成長には、日本より経済成長率が高く、日系企業の進出が盛んな東南アジア圏における海外事業の拡大が必須と考えております。2013年1月のシンガポールを皮切りに、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、台湾と、現在までに7ヶ国で現地法人を設立し、各国での施工実績も着実に増えてまいりました。各国において現地に根付いた営業網を拡充し、信頼と実績に基づいた当社グループのブランドの確立を進めてきた結果、2022年12月期には海外グループ会社全体で初めて単年度黒字を達成し、2024年12月期には目標である売上高 50億円を達成しました。本格的な成長軌道に乗り、更なる飛躍を目指しております。

 当社グループを取り巻く経済環境の状況を考慮し、2025年12月期の連結業績として、売上高46,000百万円、営業利益1,000百万円、経常利益1,020百万円を計画しております

 

 

(4) 優先的に対処すべき業務上及び財務上の課題

 当社グループにおいて、2023年12月期及び2024年12月期と2期続けて不適切会計事案の発見に端を発し、当社の内部統制における重大な不備が発覚したことで、関係者の皆様には多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。特別調査委員会の指摘・提言を受け、当社の内部統制を見直し、再発防止策を講じることで、内部統制の整備を進め、適正な運用ができるよう改善してまいります。

 

(特別調査委員会による調査結果を踏まえた今後の課題)

 当社は、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む当社の経費計上について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年2月14日に当社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行なってまいりました。当社は、2024年4月12日に同特別調査委員会から受領した調査報告書の内容を踏まえ、不適切な経費精算と認定された経費について、過年度に遡って費用計上を取り消すとともに、当該代表取締役社長(当時)に返還を求めるべく未収入金(流動資産その他)計上を行い、さらに関連当事者取引として当該代表取締役社長(当時)による当該不適切な経費精算及び当社からの仮払金の支払い等を注記するため、過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。当該特別調査委員会の調査報告書によると、当社から当社代表取締役社長(当時)への仮払金の支払いに加え、当社の長期売掛金の回収に関して、当社代表取締役社長(当時)から、同氏が議決権の100%を所有する資産管理会社を経由し、長期売掛金の相手先会社へ資金の移動があったことが確認されており、当社代表取締役社長(当時)から流れた資金が、当社の長期売掛金への一時的な返済原資(2019年4月返済分から2020年3月返済分まで)となっていたことが認められております(長期売掛金の相手先会社に流された資金については2020年4月に同社から資産管理会社を介して当社代表取締役社長(当時)へ返金されております)。またこの実行に、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)が関与しておりましたが、これらの事実が取締役会に報告されておりませんでした(以下、これらを総称して「今般不適切交際費等事案」といいます。)。

 加えて、前述の当社代表取締役社長(当時)に関する関連当事者取引としての注記の追記に際し、改めて関連当事者取引の網羅性について当社内の自主点検を行った結果、当該内容の他に、過年度より関連当事者取引として開示すべき当社役員による当社新株予約権の行使及び当社役員が議決権の過半数を所有している会社からの設備工事の受託等が新たに判明したため(以下、「その他関連当事者取引の未開示」といいます。)、上記と併せて過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。

 なお、訂正に際しては、当該不適切な経費計上の訂正に加え、2023年12月期第1四半期以前における当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法)案件等に関する不適切な会計処理(特別調査委員会(2023年5月12日設置)より受領した調査報告書(同年7月25日)により認定された事案(以下、「当初工事原価付替え事案」といいます。)。過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であったため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の財務諸表に含めて処理したもの。)や、当社内の自主点検により判明した事項及びその他重要性の観点から過年度において修正を行わなかった事項も併せて、過年度に遡った訂正を行いました。

 

 当社は、今般不適切交際費等事案において、当社代表取締役社長(当時)による不適切な経費精算に関して、財務諸表及び関連当事者取引注記における虚偽の表示が生じた原因として、同氏のガバナンス意識の低さ、すなわち、上場会社の経営者として、過誤によるとしても私的なものが一切混在しないよう公私を厳格に分け、利害関係者に対する説明責任を全うするという意識が不十分であった点がその根底にあったものと認識しております。

 同時に取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)のガバナンス意識が不十分であったことも原因であり、当社代表取締役社長(当時)に対する忖度から、十分な統制機能を果たせなかった点に加え、取締役会や監査等委員会に対しても適切な情報提供がなされず、その結果、当社代表取締役社長(当時)の行為に対し、取締役会及び監査等委員会が十分な批判的検討ができなかった点に繋がったものと認識しております。

 その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスが形骸化し、十分網羅的な情報収集ができておりませんでした。

 次に、前述の当初工事原価付替え事案に関する不適切な会計処理(具体的には①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン株式会社))が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識しておりますが、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社による各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点をその原因として認識しております。また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さをその原因の一つとして認識しておりますが、同時に2017年10月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったことを認識しております。

 

 当初工事原価付替え事案及びその他関連当事者取引の未開示に対しては、特別調査委員会からの調査報告書受領後、再発防止策を検討のうえ、順次改善対応を進めております。なお、現時点での対応状況は以下のとおりです。

 

[当初工事原価付替え事案に対する再発防止策の実施状況]

① 工事担当者等のコンプライアンス意識の低さ及び各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点

  コンプライアンス・リスク管理委員会において、コンプライアンス・マニュアルや企業憲章を改定のうえ、全従業員を対象としたコンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施いたしました。また、当初工事原価付替え事案への関与者に関しては懲戒処分を実施、社内公表するとともに、全社員にコンプライアンス・アンケートも実施いたしました。今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

 

② 工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点

  工事部門外からの牽制機能を強化するため、工事の着工許可時及び完了時に、工事担当者以外の積算部による工事原価の妥当性のチェックプロセスを追加するとともに、工事原価に関する各種証憑の回収の徹底と回収状況のチェックプロセス(工事担当者以外の工事アシスタントが確認する)を追加いたしました。特に工事原価の請求書については、回収確認の手続き及び外注先の都合でどうしても請求書発行が遅延する場合の取扱いを定め、支払遅延が生じないような統制を追加いたしました。

  また各工事部門における共通メールアドレスを導入し、工事担当者と工事等の発注先(協力会社)とのやり取りについて、一担当者が単独では行えない仕組みに変更いたしました。

  なお、積算部による工事原価の妥当性のチェックについては、2023年12月末時点において十分に網羅的なチェックがなされていなかったこと(チェックの証跡が残されていなかったことも含む)から、関連部門へ指導のうえ、今後も工事原価に関する統制の継続的な改善を進めております。

 

③ 工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった点

  主要取引区分における会計リスクの洗い出しと分析を実施し、追加対応が必要だと識別されたリスクについては内部統制の追加や内部監査での追加チェック等の追加対応を行いました。特に子会社の工事進行基準案件について、当社管理部門におけるレビュープロセスを追加し、各社の工事進行基準処理(工事損失引当金の検討を含む。)についてチェックを実施いたしました。

 

④ 子会社における適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ

  当初工事原価付替え事案において不適切な会計処理が確認された子会社に対しては、コンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施するとともに、関与者への懲戒処分を実施し、社内公表しております。当社グループにおいて設備工事系及び建築内装系の業務を行う子会社(以下「工事子会社」といいます。)に対しては、リスク・コンプライアンス管理委員会での議事を共有することと、今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

 

⑤ 子会社に対し、当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと

  当社グループにおいて工事子会社への管理を強化するため、工事子会社担当執行役員を選任し、各工事子会社の執行責任者、施工責任者、経理担当者と定期的な面談を実施しております。

  また、各工事子会社の事業規模やリスクに応じて、業務プロセスに係る内部統制の再整備や、当社内部監査における工事取引のサンプルテスト、当社管理部による会計仕訳のレビューを追加し、当社側からの牽制と統制(モニタリング)を強化いたしました。

 

 次に、今般不適切交際費等事案及びその他関連当事者取引の未開示に対しては、特別調査委員会からの調査報告書及びガバナンス委員会からの答申書の内容等を踏まえ、以下に掲げる再発防止策を策定し、準備が完了した事項から順次実施しております。

 

「今般不適切交際費等事案に対する再発防止策」

(1) 当社ガバナンス体制の抜本的な改善

  ① 当社取締役(監査等委員含む)の刷新(社外からの社長の招聘含む)

  ② 指名報酬委員会の設置と社外役員の過半数化

  ③ 当社代表取締役社長(当時)を含む当社取締役(監査等委員含む)に対する責任追及

(2) 取締役会・監査等委員会によるガバナンス機能の強化

  ① 取締役会への情報共有や情報伝達の改善

  ② 内部監査体制の位置づけの見直し(監査等委員直下とする)と体制の強化

  ③ 取締役会における重要リスクのモニタリング

  ④ リスク管理体制の再構築とリスク管理の強化

(3) 本件を踏まえた個別的な対応

  ① 関連当事者取引及び利益相反取引に関する規程の見直し

  ② 役員経費精算のルール設定(接待交際費に関する運用の厳格化含む)

(4) 当社企業風土の刷新

  ① 企業風土の刷新に向けた全役職員に対する研修の継続的な実施(営業関連役職員に対する技術営業に向けたワークショップの開催含む)

  ② 役員や管理職以上の社員に対するコンプライアンス及び職責・ガバナンスに関する研修の継続的な実施

  ③ 内部通報窓口の機能充実

 

「その他関連当事者取引の未開示に対する改善策」

(1) 関連当事者取引の情報収集と検証プロセスの改善

  ① 関連当事者との取引明細シートの改善

  ② 役員に対する関連当事者取引注記に関する説明会の継続的な実施

 

 なお、当社は、2024年2月14日付の適時開示「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」に記載のとおり、特別調査委員会による調査を行い、当該調査に係る一連の費用(当該調査に関する自主点検、訂正監査の実施、過年度の有価証券報告書等の修正に係る費用を含みます。)として、2024年12月期中間連結会計期間において1,163百万円を特別損失として計上しており、当社代表取締役社長(当時)を含む当社元取締役(監査等委員含む)に対する責任追及を行っておりますが、経緯と現状の詳細については、2025年2月13日付にて適時開示で公表した「東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ」(一部の事項を修正した差替え版を2025年2月14日付にて公表しております。)をご参照ください。

 

 今回、投資家の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。当社は、ガバナンス体制や内部統制が不十分であったことを反省し、このような事態を二度と繰り返さないよう、経営陣の刷新を行ったうえで、全社一丸となって再発防止について議論し、改善措置に取り組んでまいりました。その結果、取締役会、監査等委員会でのガバナンス体制の再構築、内部統制の強化、コンプライアンス教育による意識の向上等、着実にその成果が現れてきていると考えております。継続してガバナンス、コンプライアンス、内部統制等の更なる改善向上に取り組むことは当社の責務であると考えており、今般の教訓を活かし、営業戦略の再構成を含め利益を創出できる体制の再構築及び資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等、経営上の諸々の課題に対する立案や対応を進め、会社の持続的な成長、そして中長期的な企業価値の向上に励みながら、株主、投資家の皆様をはじめ関係者の皆様からの信頼回復を目指して、適切な事業運営に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 当社は、「商空間創りを通じ、皆の笑顔を創りだすこと」をミッションとし、①お客様の笑顔、②お客様のお客様(消費者)の笑顔、③従業員を含むステークホルダーの笑顔、さらには④地球の笑顔の4つの笑顔を創り出すための経営を行っており、当社を中心としたガバナンス体制のもと、当社グループにてサステナビリティ経営を推進しております。

 

(1)ガバナンス

 当社グループのサステナビリティへの対応方針・施策等は、各社代表取締役を中心として、各社が主体となって推進し、当社グループにおいてはグループ会社経営会議など、必要な場において課題や施策の議論等を行い、これらの進捗状況等を定期的に当社取締役会に報告を行うことで、当社取締役会が当社グループを適切に管理・監督する体制にしております。なお、当社グループのコーポレート・ガバナンスの概要は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであり、サステナビリティへの取り組みについても、この体制のもとで運営しております。

 

(2)リスク管理

 当社グループは持続可能な社会の実現に対し、当社グループが社会に与えるリスクを可能な限り低減するため、リスク・コンプライアンス委員会において、サステナビリティに関するリスクを含む様々な経営リスクを洗い出し、対応方針及び具体策を決定するとともに、その取り組み状況の進捗管理を行っております。当社グループは、サステナビリティに関しては、以下の事項を中心としたリスクの適切な対応に努めて参ります。

① 冷凍冷蔵機器にて使用するフロンガスの適切な回収

② オフィスにおける環境負荷の低減(ペーパーレス化の推進など)

③ 建設資材(アスベストを含む)等の適切な廃棄・管理

④ 銅を含む希少資材の代替資材の模索

⑤ 災害における被害の減少のための耐震工事の提言

⑥ 地域の振興や復興のための株主優待を含めた支援

 

(3)戦略

 当社は「社会を構成するメンバーとして、尊敬され、関係する様々な方々の期待に応える企業」をあるべき姿として捉え、一人一人がいきいきとした人生を歩めるよう様々な人事施策を講じ「人財」への投資を行って参ります。当社グループ各社においても、下記施策の一部を適宜取り入れております。

<具体的な人事施策>

① 人財育成

・若手に対する社会人としての基礎及び幅広い事業・職種への理解を深めるための多様な研修の実施

・役職に応じた階層別研修の実施や、社会の一員としてのコンプライアンス研修の定期的な実施

・個人の成長を促し、専門性を高めるための資格取得支援制度や約1,300タイトルのe-ラーニング講座の提供

 ② 働く環境の整備

・時差勤務や時短勤務、在宅勤務制度を導入し、子育てや介護等をしながらの多様なワークスタイルを支援

・未就学児がいる場合に期限の定めを設けず育休の取得を可能とすることでの子育ての支援

・35歳以上の正社員全員に人間ドック・脳ドックを実施することによる社員の健康の維持・向上

・希望者に対し60歳の定年後においても85歳までの継続雇用によるライフステージに合った活躍の場の提供

・人事評価制度の定期的な見直し

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、現在のところ、人材育成方針や社内環境整備方針に関する具体的な指標、その他サステナビリティに関する具体的な目標及び指標を定めておりませんが、今後、企業としての成長をはかる中で適切な目標及び指標のあり方を検討してまいります。なお、2024年12月期の実績の一例は以下のとおりとなります。

指標

2024年12月期実績(注1)

女性管理職比率)(注2)

6.3

男性育休取得率

63.2

男女間賃金格差

73.7

(注)1.当社グループ全体における実績値の確認が困難であるため、当社における実績を記載しています。

2.管理職は、課長以上を指します。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 特定の業界及び特定の取引先への依存について

 当社グループは、新規顧客の開拓等による取引先分散の継続的な推進を行っており、特定取引先への販売依存はありませんが、飲食料品小売業界及び外食業界に属する企業への売上高が大きなウェイトを占めております。このため、景気動向やこれらの業界動向の変動により顧客企業の事業環境に急激な変化が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。2024年12月期(連結)における飲食料品小売業界への依存度は27.4%(2023年12月期(連結)27.3%)、外食業界への依存度は18.4%(2023年12月期(連結)15.2%)であります。

 

  (2) 業績の季節変動及び大型案件の引渡し時期の変動について

 当社グループは、食品スーパーマーケットや外食産業の店舗における企画・設計・施工・メンテナンスを主な事業としている関係上、顧客企業の出店政策や出店計画に影響を受け、業績に季節的な変動が見られます。売上高の季節的変動に伴い、営業利益も同様の傾向があります。当連結会計年度及び前連結会計年度の上半期・下半期のそれぞれの売上高及び営業利益(△は営業損失)は下記のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

上半期(1月~6月)

下半期(7月~12月)

2023年12月期

売上高(構成比)

23,015(51.0%)

22,101(49.0%)

営業利益(構成比)

234(50.8%)

226(49.2%)

2024年12月期

売上高(構成比)

24,646(51.7%)

23,013(48.3%)

営業利益(構成比)

1,111(475.9%)

△877(△375.9%)

 

 なお、売上規模が多額の大型案件の受注増加に伴い、躯体工事等の請負範囲外の前工程の遅延、顧客の事情による工期延期・工期延長や天災その他予想し得ない事態による工期の遅延等により大型案件の引渡し時期が各四半期末もしくは期末を越えて遅延した場合、当社グループの業績が変動する可能性があります。

 

 (3) 品質管理について

 品質管理につきましては、設計及び制作分野における知識や経験の豊富な専門人員で構成する品質管理の専門部署を社内に設置し、設計及び施工の過程において同部署による複数回の品質チェックを行うなど、十分な品質管理体制を整備しております。

 しかしながら、万が一、想定外の不良やチェック漏れ等により多額の工事のやり直しや顧客への補償金が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (4) 債権管理について

 債権管理につきましては、顧客企業からの受注に当たって事前の与信調査から債権発生・回収まで、一貫した管理体制を整備しております。また、原則として債権を長期間にわたり分割して回収する延払条件付き契約の締結は禁止しておりますが、諸々の事情を鑑み、当該契約の締結を行う場合には、連帯保証や担保差入れなどにより債権保全を図っております。

 訴訟による和解決定など特殊な事情により締結した延払条件付き契約に係る債権については、当該債権残高に対して個別に回収可能性を検討し貸倒引当金を計上しております。

 しかしながら、経済環境の激変などにより顧客企業の属する業界動向に急速な悪化が生じた場合には、債権の滞留や貸倒れが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (5) 業界に対する特有の法的規制並びに主要な業務に係る免許及び許認可等について

 当社グループの主要な事業活動の継続には下記の許認可が必要ですが、「建設業法」においては第29条、「建築士法」においては第26条、「宅地建物取引業法」につきましては第66条に、取消、営業停止等の事由が定められております。当社グループは、2024年12月31日現在において、これらに該当する事実はないと認識しております。

 しかしながら、将来、取消等の事由が生じた場合、当社グループの事業遂行に支障をきたし、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2024年12月31日現在)

許認可等の名称

根拠法令

許認可等の内容

有効期間

特定建設業

建設業法

電気工事業、管工事業、建築工事業、熱絶縁工事業、内装仕上工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、鉄筋工事業、板金工事業、鋼構造物工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、建具工事業、解体工事業の許可

(特-1)第10470号

2020年3月4日~

2025年3月3日

(注)

一般建設業

建設業法

土木工事業、ほ装工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、しゆんせつ工事業の許可

(般-1)第10470号

2020年3月4日~

2025年3月3日

(注)

一級建築士事務所

建築士法

一級建築士事務所の登録許可

東京都知事登録 第40172号

2020年8月10日~

2025年8月9日

一級建築士事務所の登録許可

宮城県知事登録 第24010106号

2024年10月27日~

2029年10月26日

宅地建物取引業

宅地建物

取引業法

宅地建物取引業の免許

国土交通大臣(2)第9568号

2024年7月4日~

2029年7月3日

(注)特定建設業及び一般建設業は、2025年1月31日に更新手続きを申請しております。

 

 また、当社グループの主要顧客先であるスーパーマーケット業界や外食業界に対する主な法的規制として、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、都市計画法、食品衛生法、食品リサイクル法があります。当社グループは、自社グループ及び顧客の事業に関連する各種法令を熟知し遵守して、要件の充足、免許の取得、必要な届出等を行い、事業を展開しております。

 しかしながら、当該各種法令の改廃や新たな法的規制が導入された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (6) 人材の確保について

 当社グループは、設計・施工・メンテナンス業務の内製化による収益確保のため、数年前より先行して人員確保を行い、専門的な技能者の育成に努めてまいりました。しかしながら、今後の育成が計画通りに進まず、必要数の技能者の確保が困難な状態となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (7) 資材価格の変動について

当社グループは、冷凍冷蔵機器や工事主要材料等につきまして、受注後に即時発注するなど資材価格の変動を極力抑制する原価管理体制を整備しております。しかしながら、原材料価格の高騰を請負代金に反映することが困難な状態となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 (8) 有価証券投資について

 当社グループは、既存顧客との営業上の取引関係の更なる強化、あるいは新規顧客の開拓及び取引関係の強化のため、株式の持合を行っております。

 2024年12月期末の残高は377百万円でありますが、顧客企業が属する業界の株式市場の低迷などにより、株価が著しく下落した場合は評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (9) ストックオプションについて

 当社はストックオプション制度を採用しており、当社役職員及び当社子会社役職員に対して新株予約権を付与しております。

 これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、今後、優秀な人材を確保するために同様のインセンティブプランの継続を検討しており、これから付与される新株予約権の行使が行われた場合にも、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、短期的な需給バランスの変動が発生し、株価形成に影響を及ぼす可能性があり、ストックオプションに係る新しい会計基準が設定された場合、当該基準の変更内容によっては当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (10) M&A、組織再編等について

 当社グループは、事業戦略上、企業価値の向上を目的として必要に応じて企業や事業の買収、組織再編等を行っております。

 当該行為に際しては、入念な調査、分析、検討を行っておりますが、買収時点では想定できなかった収益性の低下等の不測の事態が生じる場合や、グループ会社間におけるシナジーが当初想定したほど発揮されない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (11) 事故及び災害について

 当社グループは、現場での安全確保・管理には万全を期して取り組んでおりますが、施工中に予期せぬ重大事故が発生した場合には、経営成績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。また、地震、風水害等の予期しない大規模災害が発生した場合にも、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (12) 継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む当社の経費計上について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年2月14日、当社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行ってまいりました。

その特別調査委員会による調査が継続していたことにより第54期(2023年12月期)の有価証券報告書を当初の提出期限である2024年4月1日に提出することができず、その結果、同日より当社の取引金融機関から短期借入金の借換えを含む新規の融資が認められない状況となりましたが、現在では既存借入金の延滞扱いは解消し、シンジケートローン契約についても期限延長の変更契約を締結しております(シンジケートローンの期限延長後の返済期限は2025年6月下旬となります。)。

しかし、当社の事業は概して工事原価等を先行負担する必要があり、事業継続のためには一定水準の運転資金が不可欠であることから、金融機関からの新規の借入や、短期借入金の借換えも含めた借入残高の維持に懸念の残る現状は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在すると認識しております。

当該状況に対する諸施策を実施し、当社の事業運営のために必要となる運転資金の確実な確保及び維持を図ってまいりますが、取引金融機関等とは依然協議を進めている途上であるため、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍がほぼ収束してから回復基調にあったものの、一服した感もあり、そのような中、原材料価格の高止まりと円安の影響などから物価は上昇傾向にあり、また人手不足もあって人件費も上昇しており、事業者においてはコスト管理がより一段と重要な状況にあります。

 当社グループを取りまく経済環境についての判断は、主に景気の現状判断DI・先行き判断DI(内閣府 景気ウォッチャー調査)、第3次産業活動指数(経済産業省)、及びマネタリーベース平均残高(日本銀行)の動向等を主要な指標としております。景気の現状判断DI・先行き判断DIと、非製造業やサービス業の動向を示す第3次産業活動指数については、回復の勢いは鈍っているものの底堅く推移しております。一方、日銀は2024年3月の金融政策決定会合にて、賃金と物価の好循環が見通せるようになったと判断し、マイナス金利の解除と、マネタリーベース平均残高の拡大方針の撤廃などを決定して、2016年から継続してきた金融緩和政策を変更しております。今後の経済動向次第でさらに金融政策の正常化が進む可能性があります。

 リーマン・ショックが起きた2008年、当社は景気動向に左右されやすい「店舗施設の制作事業」を主力事業としていたことから、その影響を大きく受けて売上高が大幅に減少しましたが、その苦しい経験を糧に「いかなる環境下においても成長していける基盤の構築」をスローガンとして掲げ、顧客層や事業内容を多様化することで景気が落ち込んでも業績への影響を受けにくい企業体制の構築を進めております。「店舗施設の制作事業」については、2008年当時と直近(2024年)を比較しますと、売上高は約2.9倍に増やしながらも、売上高全体に占める同事業の比率は87.5%から62.2%に低下しております。

 現在、建設業に関わっている企業の最大の課題は、急速に進んでいる建設業就業者の減少・高齢化、及び2024年4月から建設業にも適用された「働き方改革関連法」(時間外勤務時間の上限を原則として月45時間、年360時間とする)で、技術者の価値が劇的に変わっていくことから、生産性の向上は急務であり、利益率の高い企業へ大きく変革していくことが必要となります。この問題に備えるため、当社グループは、人材(人財)の採用と育成を積極的に行い、グループ内職人を含め従業員を大幅に増やすと同時に、新時代に適応するための DX 基盤構築に巨額の費用を投じて、生産性を上げることに注力してまいりましたが、その結果が売上総利益率の向上という形で表れてきております。

 2024年は引き続き、原材料高、円安、金利上昇、国際情勢不安など様々なリスクや懸念はありますが、今一度グループ全体での立て直しを図り、前述の取組みも継続しつつ、売上総利益率をさらに高めていくことができる体制の構築を目指してまいりました。

 2025年2月7日付の適時開示「2024年12月期における費用の一括計上と通期連結業績予想及び期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」にて公表しましたとおり、2024年8月30日開催の第54回定時株主総会で選任された新経営陣によりコンプライアンス強化をしているところ、当社においては以前から振替休日の買取制度が存在し、また、65歳まで勤務することを確約した一部従業員に対し、同年齢まで勤務したときに永年勤続退職金を支給する制度が存在しており、これらについて制度を改めることとし、2024年12月期第4四半期連結会計期間の労務費、及び、販売費及び一般管理費において、過年度も含め、振替休日買取に係る賃金支払い(当社及び当社子会社)につき約597百万円及び永年勤続退職金(当社)につき約102百万円の合計約699百万円を一括計上しております。

 また、当社は、2024年2月14日付の適時開示「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」に記載のとおり、特別調査委員会による調査を行い、当該調査に係る一連の費用(当該調査に関する自主点検、訂正監査の実施、過年度の有価証券報告書等の修正に係る費用を含みます。)として、2024年12月期中間連結会計期間において1,163百万円を特別損失として計上しております(当社は、当社代表取締役社長(当時)を含む当社元取締役(監査等委員含む)に対する責任追及を行っておりますが、経緯と現状の詳細については、2025年2月13日付にて適時開示で公表した「東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ」(一部の事項を修正した差替え版を2025年2月14日付にて公表しております。)をご参照ください。)。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上476億5千9百万円(前期比5.6%増)、営業利益2億3千3百万円(前期比49.3%減)、経常利益3億8千8百万円(前期比36.5%減)、親会社株主に帰属する当期純損失4億7千9百万円(前期は2億5千2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

 

 次に、部門別の売上高と各部門の営業概況についてご報告いたします。

(単位:百万円未満切捨)

 

関連部門の名称

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

 至 2024年12月31日)

対前連結会計

年度比増減額

対前連結会計年度比

増減率(%)

スーパーマーケット関連部門

11,399

12,929

1,529

13.4

フードシステム関連

部門

30,941

31,631

690

2.2

保守メンテナンス

部門

2,775

3,098

322

11.6

45,116

47,659

2,543

5.6

 

   《スーパーマーケット関連部門》

 スーパーマーケット関連部門につきましては、スーパーマーケット販売統計調査(スーパーマーケット協会3団体)によりますと、昨年はコロナ禍から本格的に脱して、景気は回復基調であったことなどから、売上高の伸び率(前年比)は右肩上がりで、2024年も比較的堅調が続きました。当社グループといたしましては、経済環境に大きく左右されず、あらゆる営業機会を逃さないために、各グループ会社の強みを活かして、設計や内装施工だけではなく、給排水・空調設備工事や電気設備工事等、対応できる事業領域やサービスの拡大を図ってまいります。

 その結果、当連結会計年度の売上高は129億2千9百万円(前期比13.4%増)となりました。

 

   《フードシステム関連部門》

 フードシステム関連部門につきましては、外食産業市場動向調査(日本フードサービス協会)によりますと、コロナ禍はほぼ収束したことと、インバウンド需要の盛り上がりなどもあって、同調査の店舗売上高の伸び率(前年比)は昨年から+10%を超える好調が続いておりましたが、足元は若干勢いが落ちてきております。当社グループの主要顧客である飲食店、小売店、商業施設、ホテル等の営業環境は全般的に堅調ですが、コロナ禍を経て業態の構造変化も見られることから、当社グループは今後も状況や時代に適応したサービスや付加価値を提供できるよう努めてまいります。

 その結果、当連結会計年度の売上高は316億3千1百万円(前期比2.2%増)となりました。

 

   《保守メンテナンス部門》

 メンテナンス事業につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、コールセンターにてお客様からの修理依頼に応えるだけではなく、満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。2017年6月からメンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続け、新規の保守メンテナンス店舗数は現在までに約26,600件となりました。また、メンテナンス員の稼働率向上のため、2022年より中央指令室を設置し、スケジュール管理と人員配置を徹底するとともに、ウェアラブルデバイスを活用した遠隔支援も行える体制を整えております。さらに、技術レベルに応じた研修プログラムを実施し、工種の異なる作業にも対応できるマルチメンテナンス部員の育成を進め、1人当たりの稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)を高める取組みを行っております。

 加えて、従来の修理・保守といったメンテナンスだけではなく、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンスは当該分野において主力の一角となっております。

 その結果、当連結会計年度の売上高は30億9千8百万円(前期比11.6%増)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ2億7千8百万円増加し、当連結会計年度末残高は66億6千9百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は8億6千万円(前連結会計年度は1億4千1百万円の減少)となりました。

 これは、税金等調整前当期純損失の計上、仕入債務の減少及び未払消費税等の減少及び法人税の支払いがあったものの、売上債権及び契約資産の減少、契約負債の増加が主な要因であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の増加は4億9千8百万円(前連結会計年度は11億8千万円の増加)となりました。

 これは、担保預金の預入による支出があったものの、担保預金の払戻による収入及び投資有価証券の売却による収入があったことが主な要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は11億1千万円(前連結会計年度は11億6千8百万円の減少)となりました。

 これは、新たな長期の借入れがあったものの、短期借入金及び長期借入金の返済による支出が主な要因であります。

 

 

生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、一貫した店舗施設制作事業を事業内容とする単一セグメントであるため、制作、商品仕入、受注及び販売実績については、関連部門別に記載しております。

 

(1) 制作実績

 当連結会計年度における制作実績を関連部門ごとに示すと、次のとおりであります。

関連部門の名称

制作高(百万円)

前年同期比(%)

スーパーマーケット関連部門

11,029

114.7

フードシステム関連部門

30,643

106.9

41,672

108.9

 (注) 金額は販売価額で算定しております。

 

(2) 商品仕入実績

 当社グループは、スーパーマーケット関連部門、フードシステム関連部門において外部より商品を仕入れておりますが、商品仕入時においてはどの部門で販売されるか確定していないため、関連部門ごとの商品仕入実績の記載は省略しております。

(3) 受注実績

       当連結会計年度における受注実績を関連部門ごとに示すと、次のとおりであります。

関連部門の名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

スーパーマーケット関連部門

15,509

160.0

3,596

353.7

フードシステム関連部門

30,635

97.8

12,327

92.5

46,144

112.5

15,924

111.0

 

(4) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績を関連部門ごとに示すと、次のとおりであります。

関連部門の名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

スーパーマーケット関連部門

12,929

113.4

フードシステム関連部門

31,631

102.2

保守メンテナンス部門

3,098

111.6

47,659

105.6

 

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1[連結財務諸表等][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(2) 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は、254億9千5百万円と前連結会計年度末に比べ18億8千4百万円の減少となりました。

流動資産は、168億8千7百万円と前連結会計年度末に比べ10億2千2百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が増加したものの、売上債権、仕掛品及び当社の前代表取締役社長から不適切事案に係る接待交際費等の不適切経費が返還されたことよる未収入金が減少したことが主な要因であります。

固定資産は、86億8百万円と前連結会計年度末に比べ8億6千1百万円の減少となりました。これは、繰延税金資産が増加したものの、土地及び投資有価証券の売却及び長期売掛金を回収したことによる減少が主な要因であります。

(負債の部)

流動負債は、151億8千3百万円と前連結会計年度末に比べ8億5千4百万円の減少となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金の増加、契約負債及び未払費用の増加があったものの、仕入債務及び有利子負債の返済、未払法人税等及び未払消費税等の減少が主な要因であります。

固定負債は9億9千3百万円と前連結会計年度末に比べ2億9千8百万円の減少となりました。これは、長期未払金が増加したものの、1年内返済予定の長期借入金への振替による減少が主な要因であります。

以上の結果、負債の部は161億7千7百万円と前連結会計年度末に比べ11億5千2百万円の減少となりました。

(純資産の部)

純資産の部は93億1千8百万円と前連結会計年度末に比べ7億3千1百万円の減少となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失の計上及び投資有価証券売却によるその他有価証券評価差額金の減少が主な要因であります。

なお、自己資本比率は36.4%と前連結会計年度末より0.2ポイント減少しております。

 

(3) 経営成績の分析

① 売上高

当連結会計年度の売上高は、当社の大型案件において、ゼネコンによる工事進捗や着工の遅れの影響を一部の現場で受けたものの、コロナ禍収束後において各業種の顧客の投資意欲が活発であり、当社グループ全体において受注環境が全般的に良好である中で、476億5千9百万円(前期比5.6%増)となりました。

② 売上原価

当連結会計年度の売上原価は、売上高の大部分を占める当社において、低粗利案件の戦略受注及び物価高への対応が進んできたものの影響が残っていることや、新経営陣によりコンプライアンス強化の中で振替休日の買取制度及び永年勤続退職金を支給する制度が存在していたことへの対応による一過性の費用として振替休日買取に係る従業員への支払い賃金を計上したこと等の影響を受けたものの、連結子会社の業績が好調であることにより、売上原価率は87.5%と前連結会計年度末より0.1ポイント減少しました。

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、主に当社において、当社元代表取締役社長の接待交際費等の一部についての疑義、及び過年度の当社に対する取引先の債務の返済原資に関連しての不適切な処理の疑義等の一連の不適切事案に係る特別調査委員会の2024年4月12日付の調査報告書を踏まえたガバナンス委員会の答申の提言を受けて当連結会計年度中に当社の経営陣が刷新されたことにより役員報酬が減少したものの、内部統制・ガバナンス強化のための弁護士・公認会計士等の外部専門家への報酬顧問料が増加したこと、新経営陣によりコンプライアンス強化の中で振替休日の買取制度及び永年勤続退職金を支給する制度が存在していたことへの対応による一過性の費用として振替休日買取に係る従業員への支払い賃金及び退職金(販売費及び一般管理費対応分)を計上したこと、前連結会計年度は2023年12月末日の基準日を2024年2月末日としたことによる年1回分の計上であった株主優待について当連結会計年度は2回分となったことによる交際接待費の増加により、前年同期より6億2千万円増加し、57億4千4百万円(前期比12.1%増)となりました。

④ 営業損益

当連結会計年度は上記の結果により2億3千3百万円の営業利益(前期比49.3%減)となりました。

⑤ 営業外収益及び営業外費用

営業外収益は、主に為替差益の発生及び不動産賃貸料により4億9百万円(前期比14.7%増)となりました。

また、営業外費用は、主に支払利息及び不動産賃貸原価により2億5千4百万円(前期比24.0%増)となりました。

⑥ 経常損益

当連結会計年度は3億8千8百万円の経常利益(前期比36.5%減)となりました。その結果、当連結会計年度における売上高経常利益率は0.9%となり、総資産経常利益率(ROA)は1.5%と前連結会計年度末より0.6ポイント減少しました。

⑦ 特別利益及び特別損失

特別利益は、主に投資有価証券売却益の計上により4億2千1百万円となりました。

また、特別損失は、主に固定資産売却損、当社における不動産売却及び連結子会社であったBK METAL CO., LTDの閉鎖にかかる減損損失を計上したこと、特別調査費用(特別調査委員会による調査費用及びそれに伴う過年度決算訂正関連費用)の計上により12億1千1百万円となりました。

⑧ 税金等調整前当期純損益

当連結会計年度は4億1百万円の税金等調整前当期純損失(前期は5億9千3百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。

⑨ 法人税等

法人税等(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計額)は7千5百万円(前期比77.7%減)となりました。これは主に当社における課税所得の減少によるものです。

⑩ 非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、外部株主が存在する連結子会社の当期純利益(又は当期純損失)の増減の影響を受けますが、当社グループにおける影響は僅少であります。

⑪ 親会社株主に帰属する当期純損益

当連結会計年度は4億7千9百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前期は2億5千2百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。

その結果、当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度に比べ7.5ポイント減少し△5.0%となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、制作原価並びに販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、業容拡大等による事務所等の拡張、メンテナンスステーション開設、移転による内装費用等、省人化及び効率化及び間接業務の削減を目的にしたシステムの費用があり、その他の資金需要として、当社グループの分野の強化及び技術者の補充を目的にした採用費用があります。

当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達を行っております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は4,947百万円となりました。

 

(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは、いかなる事業環境の変化においても企業として継続のうえ、持続的に成長していくために、営業利益率等の利益率及び株主還元に係る指標を重要な経営指標とし、収益性の向上及び効率的経営に取り組む方針であり、2024年8月に発足した新経営体制において、中期経営計画及び中長期的な会社の経営戦略を今後に策定し、具体的な経営指標や目標達成時期等も定めてまいります。なお、当連結会計年度を含む直近3連結会計年度の売上高営業利益率及び自己資本当期純利益率(ROE)は以下のとおりです。

 

指標

2022年度

(第53期)

2023年度

(第54期)

2024年度

(第55期)

売上高営業利益率

△0.8%

1.0%

0.5%

自己資本当期純利益率(ROE)

△1.7%

2.5%

△5.0%

 

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 金額が僅少のため、記載を省略しております。なお、当社グループにおいて、研究開発活動は主に連結子会社であるマッハ機器株式会社が行っております。