第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第16期

第17期

第18期

第19期

第20期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

売上高

(千円)

1,574,596

2,315,088

2,905,981

経常利益

(千円)

106,916

98,300

362,432

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

75,143

70,683

272,787

包括利益

(千円)

75,143

70,934

292,306

純資産額

(千円)

875,442

961,659

1,272,595

総資産額

(千円)

1,169,242

1,294,238

1,800,388

1株当たり純資産額

(円)

233.78

254.73

333.73

1株当たり当期純利益

(円)

20.07

18.85

72.01

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

18.63

16.99

65.38

自己資本比率

(%)

74.9

74.1

70.4

自己資本利益率

(%)

8.6

7.7

24.5

株価収益率

(倍)

43.7

210.3

81.8

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

84,268

87,661

144,409

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

31,209

16,221

210,970

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

8,143

10,250

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

818,610

897,899

843,233

従業員数

(人)

113

165

240

 

(注) 1.第18期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2.従業員数は就業人数であり、平均臨時雇用者数については、従業員の100分の10未満のため、記載を省略しております。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用しており、第18期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

4.当社は、2023年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合、2025年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。当該株式分割が第18期の期首に行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。また、第19期末時点及び第20期末時点の株価は、当該株式分割による権利落ち後の株価となっているため、当該権利落ち後の株価の当該株式分割を考慮した1株当たり当期純利益で除して、第19期及び第20期の株価収益率を算定しております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第16期

第17期

第18期

第19期

第20期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

売上高

(千円)

1,153,196

1,171,289

1,567,542

2,183,956

2,418,953

経常利益

(千円)

155,835

93,194

77,196

80,056

189,030

当期純利益

(千円)

153,115

27,038

54,044

57,284

149,157

持分法を適用した

場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

354,266

362,641

362,641

369,023

378,338

発行済株式総数

(株)

922,800

936,200

936,200

1,881,298

1,898,370

純資産額

(千円)

756,511

800,299

854,343

924,165

1,107,919

総資産額

(千円)

936,912

973,210

1,134,545

1,201,974

1,488,625

1株当たり純資産額

(円)

204.95

213.71

228.14

245.62

291.81

1株当たり配当額

(うち1株当たり中間

配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

45.11

7.28

14.43

15.28

39.38

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

39.66

6.53

13.40

13.77

35.75

自己資本比率

(%)

80.7

82.2

75.3

76.9

74.4

自己資本利益率

(%)

26.9

3.5

6.5

6.4

14.7

株価収益率

(倍)

83.1

159.3

60.7

259.5

149.6

配当性向

(%)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

179,362

48,084

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

8,984

52,777

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

180,466

16,750

現金及び現金同等物

の期末残高

(千円)

753,495

765,552

従業員数

(人)

75

88

102

97

121

株主総利回り

(%)

31.0

23.4

105.8

314.3

(比較指標:東証グロース市場250指数)

(%)

(-)

(82.6)

(77.5)

(74.0)

(59.0)

最高株価

(円)

36,250

23,280

4,660

16,630

(29,450)

6,250

(20,490)

最低株価

(円)

12,550

4,560

2,979

5,880

(3,345)

5,200

(7,500)

 

 

(注) 1.第16期及び第17期の持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

2.当社は2020年9月29日付で東京証券取引所マザーズに上場したため、第16期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新規上場日から当事業年度末日までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。

3. 1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

4.当社は、2020年6月16日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。当該株式分割が第16期の期首に行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

5.当社は、2023年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合、2025年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。当該株式分割が第16期の期首に行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。また、第19期末及び第20期末時点の株価は、当該株式分割による権利落ち後の株価となっているため、当該権利落ち後の株価の当該株式分割を考慮した1株当たり当期純利益で除して、第19期及び第20期の株価収益率を算定しております。

6. 従業員数は就業人数であり、平均臨時雇用者数については、従業員の100分の10未満のため、記載を省略しております。

7.第16期の株主総利回り及び比較指標については、当社は、2020年9月29日付で、東京証券取引所マザーズに上場したため、記載しておりません。第17期以降の株主総利回り及び比較指標は、2021年12月期末を基準として算定しております。

8.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前については、東京証券取引所マザーズにおけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場におけるものです。なお、当社は、2020年9月29日付で、東京証券取引所マザーズに上場したため、それ以前の株価については記載しておりません。第19期及び第20期株価については、株式分割後による権利落ち後の最高・最低株価を記載し、( )は、当該株式分割前の最高・最低株価を記載しております。

9.第18期より連結財務諸表を作成しているため、第18期以降の持分法を適用した場合の投資利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

10.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用しており、第18期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2 【沿革】

年月

概要

2005年11月

東京都新宿区西新宿にソフトウエア開発を目的とした、株式会社スマートビジョンテクノロジー(資本金10百万円)を設立

2007年8月

株式移動によりバリストライド株式会社の子会社となる

2007年10月

本社を東京都新宿区新宿一丁目に移転

2007年10月

商号を「株式会社ヘッドウォータース」に変更

2008年3月

当社代表取締役である篠田庸介への第三者割当増資に伴いバリストライド株式会社から独立

2008年11月

東京都新宿区新宿に合弁企業として株式会社東忠ヘッドウォータースを設立(持株比率50%)

2009年11月

ISMS情報セキュリティマネジメントシステム ISO/IEC27001の認証を取得

2010年1月

本社を東京都新宿区新宿二丁目に移転

2010年3月

Life Time Technologies Co.,Ltd. (ベトナム)の株式を一部取得(持株比率16.1%)

2011年10月

カンボジアに合弁企業としてJCIT Co.,Ltd.を設立(持株比率60.0%)

2014年6月

ロボットアプリ制作サービスを開始

2014年10月

ベトナムに合弁企業としてIELOVE Vietnam Co.,Ltd.を設立(持株比率49.0%)

2014年12月

ベトナムに合弁企業としてSPORTSONE VIETNAM COMPANY LIMITEDを設立(持株比率34.0%)

2015年1月

「Pepperサービス」「Pocket Work Mateサービス」を開始

2015年4月

株式会社東忠ヘッドウォータースを閉鎖

2015年7月

JCIT Co.,Ltd.の全株式を譲渡

2016年3月

クラウドロボティクスサービス「SynApps」をリリース

2016年5月

SPORTSONE VIETNAM COMPANY LIMITEDの全株式を譲渡

2016年8月

IELOVE Vietnam Co., Ltd.を譲渡

2016年9月

Life Time Technologies Co.,Ltd.の全株式を譲渡

2018年1月

マルチAIプラットフォーム「SyncLect」をリリース

2020年9月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2022年2月

子会社として株式会社ヘッドウォータースコンサルティング(現連結子会社)を設立(持株比率100.0%)

2022年2月

子会社として株式会社ヘッドウォータースプロフェッショナルズ(現連結子会社)を設立(持株比率100.0%)

2022年3月

本社を東京都新宿区西新宿六丁目に移転

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズ市場からグロース市場へ移行

2023年6月

ベトナムに子会社としてDATA IMPACT JOINT STOCK COMPANY(現連結子会社)を設立(持株比率75.0%)

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社(株式会社ヘッドウォータースコンサルティング、株式会社ヘッドウォータースプロフェッショナルズ、DATA IMPACT JOINT STOCK COMPANY)の計4社で構成されております。連結子会社の事業内容については「4 関係会社の状況」に記載しております。

当社グループは、創業以来基軸として「エンジニアからビジネスパーソンへ」を掲げ事業を推進してまいりました。業務を通じて培った業務コンサルティングや様々な業種業態の企業に対して提供してきたシステム開発の経験、ノウハウをもとに、AI(※1)をはじめとする新技術で経営課題を解決する提案、開発、サービス化を行っていくことで、企業の発展に貢献することを志向しております。創業時にはエンジニアの派遣や受託開発を行うことでシステム開発や業務のノウハウを取得し、幅広い技術領域に対応できる経験を積みました。2014年からPepperをはじめとする人型ロボット向けのアプリケーション開発をスタートしました。さらにロボットの高機能化を実現すべくAIの研究及びロボットへの実装をスタートさせたことで、他社に先駆けてAIソリューション開発の知見を得ることができました。現在は幅広いシステム開発や、営業や客先常駐を通じて培ってきた業務コンサルティングの経験と、AIソリューション開発の経験を組み合わせ、顧客の経営課題を解決することが当社グループのAIソリューション事業になります。

AIを業務利用するためには、業務分析、AIの選定・学習モデルの構築、実証実験、AIを組み込んだシステム開発、追加学習を含めたシステム運用など幅広い知見と体制が必要なため、導入は簡単ではありません。顧客が思い描くAI導入後の姿と実際のAIで実現できる精度や機能的な限界にギャップが生じるほか、顧客が考えるAIの導入ポイントが必ずしも適切ではないといった事象が生じます。当社グループでは業務コンサルティングによって業務を整理することでAI導入、DX推進に対してしっかりと費用対効果を得られるか導入プランを提示して、顧客との認識齟齬が発生しないよう努めております。顧客のデジタル化が遅れている場合は、まずデジタルトランスフォーメーション(DX)を計画的に行うことで、属人化を排除し省人化を進めます。企業内にあるノウハウをデータ化して、活用できるデータを正しく蓄積することがDX推進とその後のAI導入に対して重要なポイントとなります。また、AIを使用するためには、IoT(※2)のデバイス(※3)からデータを収集したり、WebシステムにAIを組み込んだりと、多岐にわたる周辺技術への理解も必要になります。新しい技術はどんどん生み出されており技術情報のアップデートも必要不可欠のものとなっています。当社グループは、さまざまな新技術のノウハウを持ったうえで伴走型の支援を重視しており、顧客と共にオンサイトで発生する課題に対応することで、顧客事業の成功に向けて貢献しております。

当社グループが提供するAIソリューション事業は、以下の事業サービスに記載の通りです。

なお、当社グループは「AIソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(1) 事業サービス

当社グループが提供するAIソリューション事業は、企業の経営課題に対してAIやDXを問わず、コンサルティング領域となる企画・提案などの上流工程からシステム開発、運用保守と言ったエンジニア領域までシステムのライフサイクルに対して一気通貫でソリューションを提供するインテグレーションサービスとなります。インテグレーションサービスは、以下の3つのサービス区分に分類しております。

 

① インテグレーションサービス
a.AIインテグレーションサービス
AIインテグレーションサービスとは、AI技術の導入に向けて大きく4つ(「業務分析」「実証実験」「開発」「運用」)に分かれた工程をワンストップで行うサービスです。最初に行われる「業務分析」では、業務コンサルタントが顧客の業務を分析して、AIの最適な活用部分を抽出します。AIの導入が効果的であるか、デジタル化(DX化)施策を先に行うべきかなど、顧客から業務をヒアリングする中で必要な施策を提案いたします。次に行う「実証実験」では、検証を行う範囲をいくつかの機能単位に分け、顧客とAI導入後の利用イメージやAIの精度について機能単位で確認していきます。利用イメージに違いがあったり精度が十分でない場合は、別の施策によって「実証実験」を繰り返したり、検証期間を延ばして精度向上に努めます。「開発」は、選定したAIを既存の業務に組み込むフェーズとなります。「実証実験」で試した内容をベースに本番開発を行いますが、既存システムとの連携や新しく必要となるアプリケーションのほか、管理WEBサイトなども並行して開発を行います。最終工程となる「運用」では、継続的なデータの蓄積と学習がAIの精度を維持・向上させます。運用業務と保守業務の両面からシステムの改善に取り組んでおります。
 また、当社グループはAIを業務で活用するために必要な業務ノウハウや業務システムの開発経験を幅広く積んでおります。業界に特化した形でAIのアルゴリズムを提供したり、月額課金型のAIサービスを提供している会社が増えたりとしておりますが、それだけでは業務の利用に完全に対応できるとは言えません。
 顧客が所有するデータをAIに学習させることで、高度な予測機能やリコメンド機能を顧客のサービスに付加したり、スマートスピーカーやドローンにAIを組み込む事で高度な作業を人の代わりに行わせたりと、顧客の事業で活用できる様に、AIの学習モデルはもとよりAIと連携する管理画面やWEBアプリケーションなどの周辺システムについても開発を行います。AIのアルゴリズム自体はMicrosoftやGoogleの様なAIプラットフォーマーが提供するサービスを活用することで開発期間やコストを抑え、AIプラットフォーマーが提供しているアルゴリズムを活用した学習モデルの生成や提供された顔認識機能、自然言語解析機能などを組み込んだソリューション開発を顧客の要望に合わせて行います。
 当社グループは公開されている既存技術や、当社グループが過去に生成した学習モデルなどを組み合わせて開発するため、顧客の業種範囲に関わらず広い分野でサービス提供が可能です。

 

b.DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス
 当社グループは顧客企業のIT化を支援し、企業のデジタル化を推進しております。顧客企業のAI化に向けたファーストステップとして、業務やサービスをアナログからデジタルへ移行していくための対応や、オンプレミスからクラウドサービスへのシステム移行なども行っております。
 今後国内企業が高い成長を目指すには、各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)は必須と考えられております。さらに2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行によってリモートワークによる働き方改革が進み、生産労働人口の減少も重なり、業務はより効率化を求められ、自動化やデータ連携、効率化に伴うソリューション提供の需要は増していく一方となっております。AI活用も普及期に入り、デジタルトランスフォーメーション(DX)からAI化への流れも加速するものと考えております。
 当社グループは顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)をワンストップで支援しております。部分的なデジタル化ではなく、顧客の業務全体に対するデジタル化を目指し、計画的にシステムの開発・導入やデータの蓄積を行います。業務分析をはじめ、デジタルトランスフォーメーション計画の策定、システム開発、AI活用を見越したデータの蓄積及び解析、これらのサービスを顧客の必要に応じて提供しております。
 
c.プロダクトサービス
 当社グループが有するAIプロダクト「SyncLect」(※4)は汎用的に利用される機能をライブラリ化することで顧客に提供、もしくはカスタマイズすることによって顧客の経営課題を解決するサービスです。
 当社グループはAIソリューションの開発を短納期、低コストで行うためのAIプラットフォーム「SyncLect」を有しております。システム開発時に「SyncLect」を通して提供したAIの機能は、実装後にライセンス提供することもでき月額課金の安定した収益基盤となるサービスとして注力しております。

 

※1 AI(Artificial Intelligence 人工知能)とは、人工的にコンピュータ上等で人間と同様の知能を実現させようとする試み、あるいはその一連の基礎技術をいいます。

※2 IoT(Internet of Things)とは、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけでなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みをいいます。

※3 デバイスとは、情報端末機のことをいいます。

※4 SyncLectとは、当社のAIソリューション開発用の社内向けプラットフォームです。SyncLectを活用することで、AIと各種デバイスを連動させたり、WebシステムやスマートフォンアプリにAI機能を簡単に組み込むことが可能です。AmazonやMicrosoftなどがクラウド上で提供しているAIの機能を評価し、適切なものをスイッチングして顧客に提供する機能もあります。このプラットフォームを活用することで、コストと工期の削減が可能になります。

 

(2) 事業の特徴

当社グループのAIソリューション事業の特徴は下記の通りです。

 

① 営業フェーズのコンサルティングによる課題解決提案
 当社グループは、顧客の経営課題を解決するために、営業フェーズからコンサルティングを行います。顧客の状況に合わせて、経営全般に関わるDXロードマップを作成するケースと、AIの導入に絞って適切なAIの選択や導入に関するイメージの共有を行うケースがあります。
 DXのロードマップを作成する場合は、顧客業務を分析・把握した後に課題・改善点の抽出を行い、理想的な業務フローを検討します。具体的には、属人化の排除、業務効率の向上、AI導入を目論んだデータの蓄積などの施策を計画します。
 AIの導入計画を支援する場合は、顧客の有するデータが生成AIや機械学習に適しているか、どの様なAIを使用することが適切か、実証実験から実業務に組み込み稼働させるまでにどの程度の期間とコストがかかるかの概要を計画します。また、当社グループでは実証実験の数値的なレポートを顧客に提出するだけではなく、実際に顧客自身がAIを触って検証できる状態にして納品するため、AI導入へのイメージを顧客と共有することが可能です。
 当社グループでは、創業期よりビジネスを意識した事業展開やエンジニアに対する教育を行っておりました。当社グループのエンジニアは技術に長けているだけではなく、技術をどのようにビジネスに役立てるかを考えることができ、顧客が望んでいる成果を達成するために、どのような施策が必要かを提案できることが特徴となっております。
 通常はインテグレーションサービスに対する営業の一環として上記のコンサルティングを行っておりますが、より詳細な分析が必要な場合には、別途業務分析のための契約を締結することもあります。
 
② 生産性向上を実現するワンストップのAI導入支援
 AIソリューション事業の提供に際しては、AIによって何を解決するか顧客と共通認識を持つことが全ての始まりになります。そのためには顧客事業の業務分析やデジタル環境分析を行うことで当該顧客の業務を理解し、適切な課題抽出を行うことが重要です。当社グループは業務分析を行うチームを有しており、適切なAI導入の提案を行うことが可能となっております。その後、顧客の課題解決のために最適であろうデータ整備とAIの選定を行います。期待した効果が得られるかどうか範囲を限定したうえで実証実験を行い、方針の是非を確かめます。確証が得られれば、周辺のシステム開発を含めて、AIを実業務に実装します。この一連のAI導入の流れを前提に、各パートを実行することで顧客が納得できる成果を得ることが可能になります。また、AIの精度を向上させるためには継続的な学習を必要としますが、その事を顧客に予め伝え了承を得ることが重要です。
 当社グループでは納品したシステムに対する継続的な運用保守の他、IoTデバイスとのデータ連携、顧客との契約に基づき、AIの精度を向上させるための継続的な学習を前提としたプラットフォーム構築の提供も行っております。早期からAIに携わり、創業以来培ってきたシステム開発のノウハウにAI導入を組み込むことによって、様々な顧客にAIを導入する支援を行ってまいりました。この経験によりAI導入の提案、システムの開発、データ連携、追加学習、マルチデバイスという一連のプロセスを提供できるようになり、このプロセスをワンストップで提供できることが、当社グループの特徴の一つになっております。

 

  当社グループにおけるAI導入のプロセスは、下記の通りです。

 


 

    各プロセスにおける主な業務について

 

プロセス

主な業務

業務分析

顧客の業務を分析・可視化し、AI導入の有効性や可否を検証する。

一定量のデータを用いて学習済みモデルの生成可能性を検証する。

実証実験

学習用データセットを用いて顧客が希望する精度の学習済みモデルが生成できるか検証する。

開発

学習済みモデルを生成する。

生成したモデルを業務システムやサービスに組み込み活用する。

運用・追加学習

納品した学習済みモデルについて、当社グループで追加学習用のデータセットを使って継続的な学習を行う。

 

 

 

〔事業系統図〕

当社グループの事業系統図は、次の通りであります。

 


 

(3) 経営戦略

当社グループは、顧客の事業を変革し成長させるコアの技術をAIと定めて、あらゆる企業に対してワンストップでAIソリューションの提供を行っております。多くの企業にAIを活用したソリューションを使ってもらうためには、使いやすく、適切な金額でAI機能を提供することが必要となります。

また、当社グループは長期的に利用されるAI活用を目的として、そのファーストステップとなる顧客各社のデジタルトランスフォーメーションを支援いたします。

これらの事業を推進する当社グループの取り組みは、以下の3つとなります。

 

① 営業戦略
当社グループでは、営業戦略の1つとしてアライアンス戦略を実施しております。アライアンスを組む会社間で「共同営業×共同マーケティング×共同ソリューション」を行ってお互いの強みを活かしあうことで、各社が持つ顧客に対して自社だけではできなかったソリューションの提案を行うことが可能となっております。新規の顧客開拓においてもアライアンス先の営業リソースを活用できる一方、当社グループはアライアンス先や顧客に対して新技術を利用したシステムの企画力・提案力に加えて、開発力まで一気通貫でソリューションを提供しております。
その他、当社グループでは案件実績や事例をIR活動の中で積極的に公開しており、新技術を利用したサービス化もコーポレートサイトを通じて公開しております。これらのSEO(※1)対策を行うことでwebマーケティングによるプル型営業(※2)が実行できており、営業工数を大幅に削減しております。削減できた工数を利用して企画作成を行うことで競合他社を上回る提案力を実現しております。 

 

② 技術的優位性
 最新の技術やデバイスの研究開発を継続的に行っております。様々なAIを簡単に使うためにマルチAIプラットフォーム「SyncLect」を構築し短納期、高利益によるAI提供を実現しております。また豊富なロボット・アプリケーション開発の経験に基づいた、IoTデバイス、マルチクラウド(※3)、マルチAI(※4)を複合的に組み合わせたソリューション開発を目的とした研究開発にも取り組んでおります。

 

③ 人材育成
 当社グループでは、様々な技術に習熟したITエンジニアに対しOJT及びOFFJTによるAI研修を行うことでAIエンジニアの育成に取り組んでおります。AIの知識だけではなく、顧客の業務や周辺技術の知識をベースに持つAIエンジニアを育成することで、他社が真似のできない顧客に寄り添ったAIソリューションの提供を実現します。

 

以上の活動から競争優位性を確保し、業績の最大化を目指すと共に、顧客に対して高付加価値なAIソリューションの提供を実現いたします。

 

※1 SEO(Search Engine Optimizationの略)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからWebサイトに訪れる人を増やすことで、Webサイトの成果を向上させる施策のことをいいます。特定のキーワードによる検索結果で、自分のWebサイトを検索ページの上位に表示させることで、アクセス数を伸ばすことを目的とします。

※2 プル型営業とは、製品・サービスに対して顧客が自発的に興味を持ち資料請求や問いあわせなどの行動を喚起する営業スタイルのことをいいます。対義語となるプッシュ営業は、逆に製品・サービスを売りたい会社から顧客に対して営業を仕掛けるスタイルを指します。

※3  マルチクラウドとは、AWS(Amazon Web Service)やMicrosoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)などの複数のクラウドサービスを組み合わせて利用することをいいます。

※4 マルチAIとは、複数のAIエンジンを組み合わせて利用することをいいます。

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

 

住所

 

資本金

 

主要な事業の内容

 

議決権の所有(又は被所有)割合(%)

 

関係内容

(連結子会社)

株式会社ヘッドウォータースコンサルティング

東京都新宿区

 

 

10,000

千円

 

 

AI・DXコンサルティング事業

 

100.0

 

 

 

当社より建物の貸与、経営指導を受け、当社との間でシステム開発の受発注を行っております。

役員の兼任 3名

株式会社ヘッドウォータースプロフェッショナルズ

東京都新宿区

20,000

千円

DXサービス事業

100.0

当社より建物の貸与、経営指導を受け、当社との間でシステム開発の受発注を行っております。

役員の兼任 3名

DATA IMPACT JOINT STOCK COMPANY

ベトナム社会主義共和国ハノイ市

1,984,434

千ベトナムドン

AIに関する技術の研究、開発、支援に関する事業

75.0

当社との間でシステム開発の受発注を行っております。

役員の兼任 2名

 

(注)1.建物の賃貸料については、社員数等を考慮し、合理的に価格を決定しております。

2.経営指導料については、役務提供に対する費用等を勘案して合理的に価格を決定しております。

3.システム開発費については、市場実勢を勘案して当社が価格その他の取引条件の希望を提示し、交渉の上で決定しております。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年12月31日現在

従業員数(人)

240

 

 

(注) 1.従業員数は就業人数であり平均臨時雇用者数については、従業員の100分の10未満のため、記載を省略しております。

2.当社グループは、AIソリューション事業の単一セグメントであるため、グループ全体での従業員数を記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2024年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

121

 

34.3

5.00

5,074

 

(注) 1.従業員数は就業人数であり平均臨時雇用者数については、従業員の100分の10未満のため、記載を省略しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、AIソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

4.従業員数増加の主な理由は、事業の拡大に伴うエンジニアの増強によるものです。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。