当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「エンジニアからビジネスパーソンへ」をミッションに掲げております。
エンジニアという職業をよりクリエイティブな存在に再定義することで、エンジニアが開発をすることにとどまらず、テクノロジーに対する深い理解を基に新しい事業を生み出していく姿を目指しております。エンジニアが最新のテクノロジーを使い、様々な社会課題を解決し、日本社会をより良い未来に導くことが、当社グループの存在意義となります。
当社グループにおいては、受注生産方式での売上計上が中心であるため、生産性を向上させ、効果的に外注の協力を得ること、安価かつパフォーマンスの高いサービスを仕入れることにより原価を抑えつつ、売上高を上げていくことが重要になってきます。そのため、売上総利益率が重要な経営指針になると認識し、これを最も重要な指標として位置付けております。
当社グループの主軸事業分野である情報通信産業は、生成AIのような新しい技術が加速度的に進化しており、特にAIに関する分野は大きな成長が見込まれる状況にあります。
株式会社富士キメラ総研が実施した国内AIビジネス市場の調査によると、2024年度の国内AIビジネス市場は1兆6,080億円となる見通しで、年平均9.3%の成長によって2027年度に1兆9,357億円まで拡大すると予測されております。国内AIビジネス市場は、3つの市場(AIプラットフォーム市場、AIアプリケーション市場、AIサービス市場)に分類されており、いずれの市場でも今後拡大見込みとなっております。
少子高齢化による労働人口の減少は、各企業にデジタル化・AI化の導入に向けたトリガーともなっており、企業はさらなる成長のため、経済状況が不透明な中であっても業界によってAI投資を優先的に行い、将来に向けた準備へいち早く取り組んでおります。当社グループがターゲットとするAIサービス市場は年平均8.9%の成長を予測、2027年度には1兆428億円と予測されております。また同様にターゲットとなるAIプラットフォーム市場も年平均10.1%の成長が予測され、2027年度には6,723億円と高い成長ポテンシャルを示しております。
当社グループは、以下の事項を対処すべき主要課題と捉えております。
当社グループは、永続的に事業を展開し企業価値を高めるために、強固な内部管理体制の構築が重要な課題であると認識しております。当社グループでは、内部統制の実効性向上に向けた環境・体制を整備し、会計監査人や顧問弁護士といった外部専門機関と連携を取り、コーポレート・ガバナンスの充実に繋げていくよう内部管理体制の強化に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般への対応
当社グループは、「テクノロジーを使って世の中に新しい価値を生み出す」ことを経営ビジョンに掲げています。このビジョンの下、サステナビリティ基本方針においてサステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、サステナビリティを重視した経営を行います。当社グループは事業活動を通じ、環境・社会課題の解決に向けた企業活動に取り組み、持続可能な社会と経済成長の実現に寄与してまいります。そして、当社グループではサステナビリティへの取り組みとして以下の中長期的テーマと主要推進事項に取り組んでまいります。
1.事業活動全体における環境負荷低減
2.健康経営
3.人と社会への配慮
(2) ガバナンス
当社グループはサステナビリティに関する基本方針や実施事項等を検討・審議する組織として、サステナビリティ担当取締役又は執行役員を委員長とし、経営企画本部が主体となり運営する「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する基本方針及び主要推進事項、組織及び体制の整備、計画の状況確認並びに情報の集計及び管理、当社グループの活動の社外に対する開示等について審議し、決定いたします。サステナビリティ委員会での議論内容を含む実施状況は取締役会に報告され、取締役会は監督と助言を行っています。
〔サステナビリティ推進におけるガバナンス体制図〕

〔サステナビリティ推進における会議体・組織の役割〕
(3) リスク管理
サステナビリティ課題に関するリスクとその対応策及び機会に関して、テーマに合わせて主担当部門で内容を検討し、課題を各委員会及び事業本部と共有しております。各委員会及び事業本部は対応策に関して互いに連携し、主担当部門から「サステナビリティ委員会」に報告します。また、課題及びその対応策は、リスクマネジメント委員会にも連携を行い、適宜必要な指示を仰ぎます。一連のサステナビリティに関する重要な課題は「サステナビリティ委員会」より経営戦略会議に報告の上、取締役会に報告されることにより全社リスクを統合・管理しております。
(4) 人的資本戦略について
一気通貫でのAIソリューション事業展開を行う当社グループの特性を踏まえ、当社グループにおける人材育成に関する方針及び社内環境整備に関しては、以下の通り取り組みを行っております。
① 人材育成方針
当社グループでは、AIソリューション事業の各プロセスを担える人材を育成する上で、各職能及び職層に対しての研修の実施に加え、自律的な自己研鑽やキャリア構築を支援する風土と枠組みを保有している他、OJTを通じて、業務に必要な知識習得及び、顧客に寄り添い成果を上げるためのサポートを行う事で継続的な人材育成に取り組んでおります。
② 社内環境の整備
当社グループは、今後も事業を永続的に行っていくために、IT経験者のみならず多様な属性・採用・キャリア背景等をもった人材を積極的に採用しております。また、当社グループの事業特性を踏まえ、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できるよう、フレックス勤務、時短勤務、在宅勤務、育児休業などの多様な勤務形態と働き方を後押しして、多様な人材がやりがいをもって働ける組織の構築に努めております。
(5) 指標及び目標
多用な人材の確保や柔軟な登用などに関する指標として全社員に占める女性社員の割合及び中核管理職層に占める女性社員の割合を重視し、中期的な目標に向けて人的投資を進めてまいります。
会社を成長させリードする原動力となる中核管理職層に占める女性社員の割合は、2023年12月末時点において11.1%でしたが、2024年12月末時点では26.3%に向上しました。このような多様な視点を持つ管理職の増加は、新たな発想によるイノベーションの促進に寄与しています。また、多様な顧客層のニーズをより深く理解することで、製品・サービスの質を高め、「テクノロジーを使って世の中に新しい価値を生み出す」という経営ビジョンの実現を加速させています。さらに、女性管理職の存在は若手女性社員のキャリア形成におけるロールモデルとなり、組織全体の活性化につながっています。引き続き、組織の多様性とイノベーション力を高め、30%以上の比率達成を目指してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業等に関するリスクを網羅するものではございません。
当社グループのAIソリューション事業は、企業を主要顧客としております。従って、国内の景気及び顧客企業のシステム関連の設備投資動向が悪化した場合には、当社グループの事業展開、財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの属するAI関連の業界は、AIの普及による新規参入や他社との製品の差別化競争、価格競争が激化することが想定されます。当社グループでは当業界での知名度を上げ、実績等を積み重ねることにより製品の差別化競争や価格競争に勝てるよう対応を講じておりますが、想定した単価で契約ができない場合は、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが、システム開発を請け負う場合、仕様の大幅な変更、不具合の発生等、当初想定通りの品質が確保できない場合など、予期し得ない事由の発生等により開発工数が増加することで、当初グループの納入予定日が変更となり、開発工数増加による採算性悪化や、売上及び利益の計上が翌四半期あるいは翌事業年度に期ずれする可能性があります。そのような採算性の悪化や期ずれが発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業領域であるAI関連の業界は、全世界で研究開発が進んでおり、技術革新の速度が極めて速いという特徴があります。当社グループはそうした技術革新に対応できる体制づくりに努めておりますが、今後において技術革新のスピードに対応できない場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおけるシステム開発業務等については、人材の確保、開発業務の効率化、顧客要請への迅速な対応等を目的として、業務の一部について外注先への外部委託を活用しております。現時点では優秀な外注先との良好な連携体制を維持しており、今後も外注先の確保、及びその連携体制の強化を積極的に推進していく方針ではありますが、外注先から十分な人材を確保できない場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは社内システムの大部分をクラウドサービスにすることで、システムに必要なメンテナンスや故障対応を外部に委託しております。データのバックアップ、故障発生時のデータ保全、システムの可用性などクラウドサービスで定義されたSLA(Service Level Agreement)を確認して、障害発生時にも当社グループの業務がいち早く復旧できるよう備えております。
通常の通信回線とは別に副回線による冗長化も施しておりますが、大規模な地震や火災等の災害、コンピュータウイルス、電力供給の停止、通信障害等によるシステムトラブルが生じた場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの基幹事業であるシステム開発は、知的労働集約型の業務であり、一定水準以上の専門技術や知識を有する技術者やそれを販売する営業部員の確保と育成並びに当社グループへの定着が重要であると認識しております。また、管理部門の人員についても、会社の重要な業務を担う部門であるため、人材の確保と定着が重要であると認識しております。現在、採用の強化や社内での教育の実施、福利厚生の充実など離職防止策の導入を実施しておりますが、当社グループが必要とする人材が十分に確保できない場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧客の秘密情報及び顧客が保有する個人情報を知りうる場合があることから、当該情報を漏えいするリスクがあります。当社グループはISO/IEC27001を取得するとともに、情報管理体制を構築し、情報管理の徹底を図っております。しかしながら、人為的ミス等により知り得た情報が漏えいした場合には、当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2024年12月31日現在において、取締役12名、従業員240名と小規模な組織となっており、内部管理体制もこれに応じたものになっております。当社グループは、今後の事業規模の拡大に応じて、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業者との間で業務委託契約を締結し、業務を委任しておりますが、「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)が適用される場合があります。
当社グループは、法令を遵守し事業運営を行っておりますが、運用の不備等により法令義務違反が発生した場合には、当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めておりますが、当社グループが認識していない第三者の知的財産権が既に成立している可能性や、使用しているフリーソフトウエアが第三者の知的財産権を侵害している可能性などから、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性があり、その第三者より、損害賠償請求、使用差止請求及びロイヤリティの支払い請求等が発生した場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) その他
当社グループは、当社グループの役職員に対してインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在におけるストック・オプションは499個(399,200株)であり、発行済株式数の10.5%に相当します。これらストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。
当社グループは、その事業活動の遂行過程において、取引先により提起される訴訟その他の法的手続きの当事者となるリスクを有しております。これらの手続きは結果の予測が困難であり、多額の費用が必要となったり、事業活動に影響を及ぼしたりする可能性があります。さらに、これらの手続きにおいて当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)における日本の経済は、インバウンド需要や設備投資の増加、賃上げ効果などの景気上昇要因がある一方で、物価高騰や地政学リスク、政情変化など多くの懸念材料によって依然として不安定な状況が続いております。
このような経済環境の中、当社グループが属するIT業界は、AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの技術革新により、急速な成長を続けております。とりわけ生成AIの登場・進化は、生産年齢人口の減少をはじめとする社会課題だけでなく、新たなビジネスモデルの創出やイノベーションの促進に大きく貢献しております。当連結会計年度においても生成AI技術は、マルチモーダル処理(自然言語/画像/音声)をはじめ顕著な進歩を遂げており、技術革新によって処理速度、精度、コストなどの課題をクリアした新しい生成AIサービスが次々と登場しております。一方で、企業が保有する大規模データと生成AIの利便性をどのように活用していくかは、引き続き課題として認識しております。
当連結会計年度におきましては、大型案件が安定的に推進されたことに加えて、顧客深耕によって既存顧客からの複数案件化を実現できたことが売上を大きく伸ばした要因と考えられます。さらに、採用活動が順調に進捗したことは生産コストの一部となる外部パートナー(外部委託)を一定の比率で抑えることに繋がり、売上総利益・営業利益の増加に大きく寄与しております。営業面においては、上場以来推進しているアライアンス戦略によって、顧客のロイヤルクライアント化がいっそうの進展を遂げ、案件単価やエンジニア単価の上昇に繋がっております。これまで行われていた一般的なシステム開発案件(DX案件)にも生成AIが徐々に組み込まれており、AI化の波が確実に進行していることが当連結会計年度の特徴として挙げられます。
また、当連結会計年度においては、デリバティブ評価益による営業外収益が発生しており、経常利益が増加した主な要因となっております。このデリバティブ取引については、資本業務提携に伴う株式取得の一環として行われたものであり、投機的取引に該当するものではありません。
当社グループは、AIソリューション事業を以下の3つのサービス区分に分けて事業を推進しております。
AIインテグレーションサービス:生成AI、エッジAI、AIエージェントなどのコンサルティング・開発案件
DXサービス:プラットフォーム開発、DXコンサルティング、Azureクラウド開発、ローコード開発など
プロダクトサービス:自社サービス、クラウド利用料などのライセンス・販売代理店モデル
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ506,150千円増加し、1,800,388千円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ195,213千円増加し、527,793千円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ310,936千円増加し、1,272,595千円となりました。
当連結会計年度末の売上高は2,905,981千円(前年同期比25.5%増)、営業利益は307,954千円(前年同期比224.6%増)、経常利益は362,432千円(前年同期比268.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は272,787千円(前年同期比285.9%増)となりました。また、重要な経営指針と位置付けている売上総利益率は、42.2%の目標値に対し、42.7%(前連結会計年度36.9%)となりました。
[AIインテグレーションサービス]
当社グループでは、生成AIをはじめとする新技術を積極的にキャッチアップして実業務で使われるサービス、ソリューションを展開しております。アライアンス戦略のパートナーから紹介された顧客に対してハンズオンワークを実施することで顧客へ伴走型の開発支援を提供しております。ハンズオンとは「手を触れる位置にいる」ということを指し、現場のプロである顧客とともに当社グループメンバーが新技術の活用(オンボーディング)を進めることで現場ニーズの拾い上げと各顧客から得たノウハウを相互に共有して、顧客の内製化やDX化を支援しております。
当連結会計年度からは大規模データの活用案件が生成AI案件の大半を占めており、顧客が提供するサービスに対して多様なユーザーインターフェース(Webサービスやスマホアプリ、電話など)で生成AIを活用しております。AIインテグレーションサービスの案件内容としては、PoC(Proof of Concept:概念実証)案件が主体だった期初から徐々にサービス提供を目指した本番開発案件が増加してまいりました。
また、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の精度向上も生成AIのビジネス活用において大きな課題となっておりますが、当社グループは国内トップクラスの案件実績を通じて、これらの課題を解決するための手法とノウハウを確立しております。特定のタスクをAIによって自動実行するAIエージェントは、自律性・適応性・インタラクション性・問題解決能力といった特徴を持ち、生産年齢人口の減少といった社会的課題に対する有効な対応策としてすでに複数の案件で開発や実運用が開始されております。
データプラットフォームは顧客が保持する大量の業務データを管理することができ、生成AIと連携させることで高度なデータ分析・可視化が可能となります。生成AIの活用が広がる中、データプラットフォームの活用は特に独自データを保有する顧客にとって重要な技術要素として高いニーズを有しております。このようなニーズに応える生成AIとデータ活用の企画・提案といったコンサルティング領域から、その設計や顧客が提供するユーザーインターフェースの開発まで一貫したサービスを提供できる企業は非常に限られております。当社グループでは、これに内製化支援も含めた顧客伴走型のプロジェクト推進(ハンズオンワーク)を実践することで顧客深耕を図り、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の増加に繋げております。当連結会計年度におきましては、生成AI案件の売上拡大によってAIインテグレーションサービスの売上高は1,451,702千円(前年同期比51.8%増)となりました。
当連結会計年度におきましては、複数年にわたって実施される大型案件が順調に進捗していることや、既存顧客に対する顧客深耕が進んだことで顧客から複数の案件を受注するケースが増加しました。一方で、DXサービス案件においても生成AIの活用が徐々に浸透しており、DXサービスの売上からAIインテグレーションサービスへの売上へと移行が進んでおります。その結果、DXサービス売上高は1,312,035千円(前年同期比5.0%増)となりました。
プロダクトサービスは、人月に頼らない2つの収益モデルを軸としております。
自社サービスモデル:自社サービス「SyncLect」の初期導入費+月額ライセンス費
他社サービスモデル:クラウドサービス利用料(月額回収)やIoT機器の仕入れ販売による販売代理店
当連結会計年度におきましては、生成AI活用プラットフォーム「SyncLect Generative AI」を軸にサービス開発を進め、マイクロソフト社との連携を通じてエンタープライズ系企業を中心に導入が進んでおります。モビリティAI基盤案件のほかにAIカメラに代表されるエッジAIのライセンス型ビジネスモデル案件で売上を伸ばし、さらにAzureクラウドをベースとした開発によってクラウド利用料が増加したことから、プロダクトサービスの売上高は142,243千円(前年同期比30.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ、54,665千円減少し、843,233千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
営業活動の結果得られた資金は、144,409千円(前連結会計年度は87,661千円の獲得)となりました。
主な要因は、売上債権及び契約資産の増加270,504千円、法人税等の支払額29,150千円、デリバティブ評価益49,459千円があったものの、税金等調整前当期純利益362,432千円、減価償却費20,442千円、仕入債務の増加19,417千円、未払費用の増加42,332千円、未払消費税等の増加31,992千円によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、210,970千円(前連結会計年度は16,221千円の支出)となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出26,574千円、投資有価証券の取得による支出72,029千円及びデリバティブ取引による支出112,367千円によるものであります。
財務活動の結果得られた資金は、10,250千円(前連結会計年度は8,143千円の獲得)となりました。
主な要因は、株式の発行による収入10,250千円によるものであります。
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)当社グループは、AIソリューション事業の単一セグメントであります。
当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1.当社グループは、AIソリューション事業の単一セグメントであります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,905,981千円となり、前連結会計年度に比べ590,893千円増加いたしました。主な変動要因については、本書「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況」に記載の通りであります。
(売上原価・売上総利益・売上総利益率)
当連結会計年度の売上原価は1,665,908千円となり、前連結会計年度に比べ205,908千円増加いたしました。この主な内訳は、売上高が増加した事に伴い、外注加工費、労務費等も増加したことによるものであります。
この結果、売上総利益は1,240,073千円となり、前連結会計年度に比べ384,984千円増加となりました。
また、重要な経営指針と位置付けている売上総利益率は、42.7%となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は932,119千円となり、前連結会計年度に比べ171,892千円増加いたしました。この主な内訳は、従業員の増加による人件費及び教育に係る費用等の増加によるものであります。
この結果、営業利益は307,954千円となり、前連結会計年度に比べ213,092千円増加しました。
(営業外損益・経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は主としてデリバティブ評価益により54,605千円となり、前連結会計年度に比べ51,166千円増加いたしました。営業外費用は127千円となり、前連結会計年度に比べ126千円の増加となりました。
この結果、経常利益は362,432千円となり、前連結会計年度に比べ264,131千円増加しました。
(特別損益、法人税等、当期純利益)
当連結会計年度において、特別損益は発生しませんでした。その結果、税金等調整前当期純利益は362,432千円となり、前連結会計年度に比べ264,131千円増加しました。
また、法人税、住民税及び事業税は、105,537千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は272,787千円となり、前連結会計年度に比べ202,104千円増加しました。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、1,800,388千円となり、前連結会計年度末と比較して506,150千円の増加となりました。
流動資産は1,459,812千円となり、前連結会計年度末と比較して233,316千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が54,665千円、仕掛品が12,537千円減少したものの、売掛金及び契約資産が270,504千円、前払費用が32,048千円増加したことによるものであります。固定資産は前連結会計年度末と比較して272,834千円増加し、340,576千円となりました。主な要因は、無形固定資産が3,661千円減少したものの、有形固定資産が9,501千円、投資有価証券が95,042千円、デリバティブ債権が161,827千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は527,793千円となり、前連結会計年度末と比較して195,213千円の増加となりました。これは主に、買掛金が19,417千円、未払金が7,247千円、未払費用が42,332千円、未払消費税等が31,992千円、未払法人税等が76,940千円、預り金が10,338千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,272,595千円となり、前連結会計年度末と比較し310,936千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が272,787千円増加したことによるものです。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
主な資金需要は、労務費、経費並びに販売費及び一般管理費等の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で対応していくこととしております。なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通り認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
当社グループが今後業容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
該当事項はありません。
当社グループは、日々UPDATEされていくAI技術を業務にフィットした形で提供するために、何ができ何ができないのか技術の限界を知ること、活用するサービスをどのように組み合わせて最適なソリューションを作り出せるか研究開発を進めております。IoT×AIとなるエッジAI領域をはじめ、生成AI領域でも研究開発結果を「SyncLect」サービスに集約しサービス提供することで、汎用的な利用を可能とするとともに多様化する先端技術の開発ライブラリとなることを目指しております。
当連結会計年度において、当社グループが支出した研究開発費の総額は
マイクロソフト社が提供する「Azure Open AI Service」をベースに独自のカスタマイズとアーキテクトの最適化を行うことで、企業向け生成AIの研究開発を行っております。個人利用向けのChatGPTとは異なり、情報セキュリティや情報の正確性をより求められる企業向け生成AIは、企業が保持するデータの活用が重要なキーとなっております。LLM(大規模言語モデル ※1)やRAG(Retrieval-Augmented Generation ※2)をはじめ、様々なサービス・機能が日進月歩で更新されていくため、技術に対するアンテナと顧客ニーズの双方にアンテナを張って対応しております。R&Dチームも営業や生産現場に参加することで現場ニーズを把握し、課題のキャッチアップと研究開発内容の現場反映を柔軟に対応できる体制で取り組んでおります。