文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
〔経営方針〕
当社グループは、「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」を企業理念として掲げています。グローバリゼーションや多様化する価値観から生まれる市場のニーズを汲み取り、先進のICTで新しい価値を創造し続けることで、社会に貢献することを目指します。
〔目標とする経営指標〕
当社グループは、事業収益の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。現在進行中の中期経営計画においては、売上高、調整後EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用)、ROE、エクイティスプレッド、DOEを重要な経営指標としております。
〔中長期的な経営戦略〕
変化が激しい昨今の状況を鑑み、短期的な変動に左右されず持続的な成長を目指すため、当社グループは10年後のありたい姿としてCAC Vision 2030「テクノロジーとアイデアで、社会にポジティブなインパクトを与え続ける企業グループへ」を2022年に策定し、取り組んでいます。CAC Vision 2030では、CACグループにおけるAIやIoT等のデジタル技術やデータを活用したソリューションにより人ならではの多様な想像力や創造力を発揮させ、社会課題の解決につなげていくことを想定しています。そしてこのようなポジティブインパクトを与えるデジタルソリューションを定常的に生み出し成長させることで、高収益・高成長の企業グループとなることを目指していくものです。
CAC Vision 2030の実現に向けた期間を、2022年度~2025年度までの前半(以降、「フェーズ1」)と、2026年度~2030年度までの後半(以降、「フェーズ2」)とに分割し、フェーズ1は国内外における既存受託事業での安定した収益の確保とフェーズ2に向けて継続的にデジタルプロダクト&サービスを生み出す仕組みの構築を行う期間とし、フェーズ2ではフェーズ1での仕込みや努力の結果を得る期間と設定した上で、各フェーズにおいて中期経営計画を策定し、遂行しています。
現在の中期経営計画(2022年度~2025年度、フェーズ1)では、国内外における既存受託事業での安定した収益の確保と、2026年度以降のフェーズ2に向けたデジタルプロダクト&サービス創造のための準備として、「成長基盤の醸成」「高収益化」「コーポレート機能の見直し、発展」の3つの戦略を中心に取り組んでいます。
また、重要な経営指標としては、売上高、ROE、エクイティスプレッド、DOEに加え、2024年度からは、調整後EBITDA※を採択し、それぞれに最終年度である2025年度の目標値として、売上高580億円、調整後EBITDA55億円、ROE10%以上、エクイティスプレッド2.5%以上、DOE5%水準として設定しています。
※調整後EBITDAは、営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用として算出しています。
CAC Vision 2030では、経営層がCAC Vision 2030の実現にコミットし、サステナビリティを意識した経営に取り組み続けることが求められます。また、社員の自ら考え自ら生み出す工夫や、仕事の成果を社員自身の成長につなげる意志、顧客と自社グループ双方の成長につなげる行動等が積み重なって達成するものだと認識しています。CACグループ一丸となって取り組み、2030年度には売上高800億円、営業利益120億円、営業利益率15%以上の企業グループとなっていることを目標としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ共通
当社グループは、顧客や社会が抱える課題を先導解決するデジタルプロダクトとサービスを生み出すデジタルソリューション提供企業として持続的な社会づくりへ貢献するため、「サステナビリティ基本方針」を策定しています。この方針には、当社の経営理念を反映し、さまざまな社会課題への取り組みを体系的に示したものです。具体的には、「地球環境へ配慮した企業活動」「社員にとって働き甲斐のある『選ばれる』職場環境」「豊かな社会づくりへの貢献・価値提供」「社会からの信頼を得るためのコンプライアンス・リスクマネジメント・ ガバナンス」の4つを掲げ、これらを軸に企業としての責任を果たしながら、持続可能な社会の実現を目指していきます。
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する取り組みを経営の重要事項と位置づけ、その活動内容を取締役会に報告し、承認を得る方針です。
具体的には、社長を委員長とするサステナビリティ経営委員会を設置し、四半期ごとにグループ全体のサステナビリティに関する事項を協議しています。その結果を取締役会に報告するとともに、グループ内の事業会社に対し、指示・監督を行う体制を整えています。

②リスク管理
当社グループは、リスクを包括的に評価し、組織全体の視点から取り組むことで、企業の持続可能性を高めています。具体的には、定期的なリスクアセスメントを通じて、事業環境の変化によるリスクを把握・評価し、適切な時期に対処します。リスクに適切に対処することで、重大なリスクの発生を予防し、もしリスクが顕在化した場合でも影響を最小限に抑え、再発防止に努めます。
当社グループでは、リスク管理の基本方針としてリスクマネジメント方針を定め、リスク管理における行動指針を明確にしています。また、リスク管理を推進するために、リスク管理統括責任者(CRO)がグループ全体のリスク管理を統括し、各事業会社において関連部門がリスクを管理しています。
③戦略
当社グループは、顧客や社会が抱える課題を先導解決するデジタルプロダクトとサービスを生み出すデジタルソリューション提供企業として持続的な社会づくりへ貢献するため、「サステナビリティ基本方針」に基づいて活動しています。
<サステナビリティ基本方針>
1. 従業員にとって働きやすい、やりがいのある会社を目指します
・従業員に健康的な職場を提供し、働き方改革を進めます
・人材育成投資を拡大し、 誰もが最大限の能力を発揮できる企業を目指します
・多様な人材採用・登用により、個々の価値観が尊重されるダイバーシティを実現します
2. ステークホルダーとの共創により豊かな社会創りへ貢献します
・顧客の持続的な成長に資するサービスを提供し、企業および社会の持続的成長に貢献します
・パートナー・取引先と共に、社会に新たな価値をもたらすICTサービスを提供します
・地域社会・コミュニティーとの共創による事業創出に努め、地方での雇用促進と地域社会の活性化に取り
組みます
3. 環境にポジティブなインパクトを与える、企業活動を行います
・顧客に提供するサービスや業務を通じて、環境問題に貢献することに努めます
・環境に配慮した投資先へ積極的な投資を行います
・当社グループの事業活動において、省資源、省エネルギー等の環境問題に取り組みます
(2)人的資本、多様性
①人材戦略
CAC Vision 2030の達成には、Five Values(Creativity、Humanity、Challenge、Respect、Pride)を実践する社員やマネジメント層の拡充が、持続的な成長に欠かせないと考え、以下の基本方針を定めています。
また、2025年に人事制度を刷新し、Five Valuesを体現する社員が失敗を恐れず挑戦し、会社とともに自律的に成長できる仕組みを整えています。具体的には、変化の激しい事業環境の中で、社員一人ひとりが自身の強みを発揮できるよう、幅広い役割や職務に柔軟に対応できるキャリアパスを設計します。また、挑戦する姿勢を重視し、たとえ失敗しても組織の計画やミッションに貢献する行動を高く評価し、継続的に成長を支援します。さらに、会社の期待に応える社員のモチベーションを維持・向上させる報酬制度を導入しています。
<基本方針>
当社グループでは、価値を生み出す源泉は「人」であり、グループの持続的な成長と発展には、「人」の成長が最も重要と考えています。
私たちは「様々な機会を通じて多様な経験を積む」ことこそが従業員の成長に重要であると捉え、事業活動に必要なスキルと人材像を明確にし、成長をサポートする仕組みを提供しています。同時に従業員の成長意欲を高めるために、新たな挑戦の機会を継続的に提供しています。
当社グループの挑戦とは、現状にとどまらず常に新たな目標に向かって行動することです。
会社は各従業員に合わせた成長の機会を提供し、従業員はこれらの機会を活用して目標達成に向けて積極的に行動し、これを通じて個人の成長と事業の発展を促進してまいります。
<当社グループの人的資本施策>

a.選ばれる職場環境
当社グループは、「社員にとって働きがいのある、選ばれる職場環境」の実現を目指し、健康経営・D&I・人材育成をサステナビリティの重要業績評価指標(KPI)として設定し、進捗を管理しています。
特にD&Iにおいては、経営のコミットメントとして2030年までに女性役員比率および女性役職者比率30%の達成を目標に掲げ、その一環として2023年に女性役職者コミュニティ(勉強会)を発足しました。本コミュニティは、女性役職者の育成と上位役職への登用促進を目的とし、アンコンシャスバイアスやガラスの天井といった課題を分析し、解決策を模索しています。明らかになった課題は全社共通のものとして経営層に提案し、組織全体での改善に取り組むとともに、毎年テーマを設定しながら参加対象企業を拡大し、継続的に推進しています。
b.エンゲージメント
エンゲージメントは、「選ばれる職場環境」であるかを総合的に判断する指標として、サステナビリティ経営のKPIに設定しています。定期的な調査を実施し、従業員の意欲や組織への貢献度の推移を追跡することで、業務環境や組織文化に関する課題を早期に特定し、適切な施策を講じることで働きがいの向上、生産性の向上、離職の防止につなげています。
また、エンゲージメント向上のために職場環境の整備だけでなく、社員とその家族を招待する納涼祭の開催や会社負担でのボッチャ応援ツアーの実施など、社員同士や家族との交流を深める機会を提供しています。さらに、組織と個人が一体となり、企業の持続的な成長と価値向上に関心を持ってもらうことを目的として、株式給付信託制度を導入しています。
c.パフォーマンス管理
社員のパフォーマンス向上と組織の目標達成に向け、2025年に評価制度を刷新し、「役割行動評価」と「成果評価」の2つの指標を導入しています。従来の評価制度では業績の達成度を評価していましたが、新たに役割行動評価を加えることで、挑戦的な目標に向けた取り組みや行動のプロセスも評価の対象としています。これにより、社員が失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えています。
具体的には、Vision 2030や中期経営計画の実現に向け、各組織ごとに中期ビジョン・ミッション・年度計画を策定し、それを個人のミッションへと落とし込んでいます。社員は自身のミッション達成に向け、成果目標と行動目標を設定し、日々の業務を通じて目標達成を意識しながら取り組むことで、年度計画の達成確度を高めていきます。
また、成果評価は賞与として還元し、役割行動評価は昇格・降格に反映させることで、適切な報酬や昇進の機会を提供します。これにより、社員一人ひとりの挑戦と成長を促しながら、組織全体のパフォーマンス向上につなげていきます。
d.能力開発
当社グループでは、プロフェッショナル人材の育成を目的に、人材育成フレームワークを活用しています。このフレームワークは、求められる人材の特性を明確にし、成長のための道筋を示した指針であり、社員はこれを参照することで、自身の成長につながる経験の機会を把握し、成長状況を確認することができます。
また、能力開発のために、研修の機会を提供するだけでなく、中堅層以降の社員には、タフアサインメントやマルチアサインメントなど、実践を通じた挑戦の機会を用意しています。さらに、社内にとどまらず社外の成長機会も重視し、外部団体が主催するビジネスコンテスト「イノベーションチャレンジ」への参加や、社外の研究会・コミュニティへの参画も推奨しています。これにより、社員一人ひとりが多様な経験を通じて成長し、組織全体の競争力向上につなげていきます。
e.タレントマネジメント
当社グループでは、若手から役員までの各階層において、縦横の職位に挑戦できる候補者グループを構築し、それを維持・管理する仕組みを導入しています。これにより、社員がキャリアの選択肢を広げ、適性や志向に応じた成長機会を得られる環境を整えています。
その一環として、各職位の登用基準を明確にし、その運用方法を整備するとともに、役員および役職者の登用における重点項目の策定を進めています。これらの基準に基づき、適材適所の人材配置を実現し、継続的なリーダー育成を推進しています。
f.サクセッションプラン
当社グループでは、持続的な成長を支えるため、将来のリーダーシップ層を育成する経営幹部候補のパイプラインを構築しています。このパイプラインには、次世代のトップ候補者(プール1)、次世代の役員候補者(プール2)、そして将来の経営層を担うハイポテンシャル人材が含まれます。
経営幹部を継続的に輩出するため、プール2では女性役職者を対象とした勉強会を開催し、ハイポテンシャル人材には「CAC NEXTアカデミー」を提供するなど、それぞれの階層に適した育成プログラムを実施しています。
②指標及び目標
人的資本に関する2030年目標値と実績(対象:CAC Holdings、CAC、アークシステム)
当社グループの事業活動その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりです。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生防止及び発生した場合の適切な対処に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 競争環境について
当社グループが属する情報サービス産業においては、投資対効果に対する顧客の厳しい要請、内外の新規参入企業の増加等によって事業環境が大きく変化してきています。それに伴って、当社グループは日々熾烈な受注獲得競争を展開しています。
このような厳しい受注競争が継続する状況においては、人員の不稼働による損失やプロジェクト採算悪化を招く場合があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定顧客及び特定業種への依存度について
当社グループの売上高は、特定顧客、特定業種への依存度が高くなっています。
特定顧客及び特定業種向け売上高比率が高いことは、当社グループの強みであり、特徴でもありますが、特定顧客におけるIT投資行動の変化や経営変動、特定業種における事業環境の急変、制度変更等によって当社グループの経営成績や営業活動に影響を与える可能性があります。
③ 海外での事業活動について
当社グループは経営戦略の一環として海外での事業拡大に取り組んでおり、当社グループの業績に占めるその割合も拡大しています。海外での事業活動は、各地域における政治や経済、為替等の動向、様々な法的規制、商習慣、社会的混乱等、様々な影響下にあり、これらにより海外での事業活動が悪影響を被った場合は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 投資有価証券の投資先の経営成績や財政状態の悪化等に伴う影響について
当社グループが保有している投資有価証券は、特定の取引先及び資本・業務提携先の株式が過半を占めており、投資先企業の業績や財政状態の急激な悪化等による実質価額の下落リスクが内在しています。
今後、投資先が属する業界の景気動向や経営環境の変化等によって当該株式の実質価額が著しく下落した場合には、保有株式の減損処理の実施によって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報セキュリティについて
当社グループは、業務遂行上、顧客が保有する様々な機密情報を取り扱う機会が多く、慎重な対応と、より厳格な情報管理体制の構築、徹底が求められています。
このような機密情報に関し、万一、何らかの理由で紛失、破壊、漏洩等が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下あるいは失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの経営成績や財政状態、事業活動等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ プロジェクト管理について
一括請負契約のシステム開発では、想定以上に開発工数が超過した場合、売上原価率の悪化により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。特に近年は、ビジネスの必要性に即した短納期化、及び技術の複雑化が進み、開発の難易度が増大してリスクが高まる傾向にあります。
当社グループでは、全社レベルのプロジェクト管理組織を設置するなど不採算プロジェクトの発生防止や早期発見のための対策を導入しています。しかし、これらの取組みによっても、不採算プロジェクトの発生を完全には防止できない可能性があります。
⑦ サービス提供中断の可能性について
システム障害や自然災害、パンデミック等により、当社グループが提供している各種ITサービスが中断する可能性があります。
このような事態が起きた際に速やかな復旧が可能となるよう、当社グループでは施策の整備を図っております。しかしながら、想定を超える障害や災害の発生等により当社グループのサービス提供が滞った場合、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
⑧ 人材の確保・育成について
当社グループの事業展開においては、専門的な情報技術や業務知識を有する優秀な人材を確保することが重要です。しかしながら、現在の情報サービス産業では他産業との人材の獲得競争が激しく、人材の確保・育成が計画通りに進まない可能性があります。その場合、事業推進に制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 経営成績
当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)の売上高については、インド子会社の金融向け大型案件の反動減や国内IT事業における連結除外の影響があった一方、中核子会社の伸長やM&Aによる新規連結、円安効果等により、前年度比3.0%増加の520億63百万円となりました。営業利益については、2022年度より開始した中期経営計画に基づく成長投資や国内IT事業におけるM&Aによる新規連結関連諸費用の計上、連結除外の影響等があったものの、経営効率化の推進や原価率の改善等により、同2.0%増加の33億94百万円となりました。経常利益は同7.8%増加の33億61百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益に計上したこと等から同25.2%増の30億96百万円となりました。また、当社グループが重要な経営指標としている調整後EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用)は、同10.3%増加の45億70百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。売上高につきましては、外部顧客への売上高を表示しています。利益につきましては、当連結会計年度より調整後EBITDAの数値を記載しています。
売上高 (単位:百万円)
調整後EBITDA (単位:百万円)
<国内IT>
子会社1社を連結範囲から除外したこと(2023年12月期第1四半期末)による減収があったものの、中核子会社における金融・製造顧客向けの伸長やM&Aによる新規連結寄与等により、売上高は388億66百万円(前年度比8.2%増)となりました。調整後EBITDAは、成長基盤の醸成に向けた人的資本投資や新規事業開発への投資、新規連結にかかる諸費用が増加した一方、増収効果や経営効率化を推進したこと等から38億89百万円(同4.9%増)となりました。
<海外IT>
円安効果に加え、中国、米国での案件が伸長したものの、前年度に計上したインドでの大型案件の反動減等から、売上高は131億96百万円(前年度比9.8%減)となりました。調整後EBITDAは、インドにおける減収影響を受けつつも、中国、米国等をはじめとする子会社の増収に伴う利益増等により、18億72百万円(同0.5%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は売上原価で表示しております。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて62億1百万円増加して、547億33百万円となりました。
流動資産は3億12百万円減少して、250億95百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金が18億30百万円増加した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が21億22百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は65億13百万円増加して、296億37百万円となりました。主な変動要因は、新規連結子会社取得によりのれんが20億93百万円増加、投資有価証券が時価評価等により43億12百万円増加、繰延税金資産が1億70百万円増加したこと等によるものです。
セグメント別の資産の状況は次のとおりです。
<国内IT>
セグメント資産は、M&Aにより新たに子会社2社を連結の範囲に含めた影響等により、193億24百万円(前年度比53億71百万円増加)となりました。
<海外IT>
セグメント資産は、前年度に計上したインド金融機関向け大型案件の売掛金が回収により減少した影響等により、100億19百万円(前年度比31億63百万円減少)となりました。
<全社資産>
各報告セグメントに配分していない全社資産は、主に当社が有する資産であります。全社資産は、保有資産の時価の増加に伴う投資有価証券の増加の影響等により、253億90百万円(前年度比39億92百万円増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて8億33百万円増加して、170億19百万円となりました。
流動負債は21億51百万円減少して、104億7百万円となりました。主な変動要因は、未払法人税等が9億5百万円増加、未払消費税等が6億58百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が16億24百万円減少、返済期限が到来したことにより、1年内返済予定の長期借入金が19億12百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は29億85百万円増加して、66億12百万円となりました。主な変動要因は、新たに資金調達を実施したこと等により長期借入金が17億13百万円増加、株式給付引当金が1億64百万円増加、繰延税金負債が17億13百万円増加した一方、退職給付に係る負債が6億62百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて53億67百万円増加して、377億14百万円となりました。主な変動要因は、利益剰余金が、親会社株主に帰属する当期純利益により30億96百万円増加、剰余金の配当により13億94百万円減少したことにより、17億1百万円増加、その他有価証券評価差額金が35億20百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、57億13百万円の収入となりました(前連結会計年度比51億18百万円の収入増)。これは主に、税金等調整前当期純利益が46億87百万円、減価償却費が5億98百万円、売上債権の減少額が25億53百万円、法人税等の還付額が6億54百万円あった一方、投資有価証券売却損益が19億81百万円、法人税等の支払額が9億67百万円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、13億28百万円の支出となりました(前連結会計年度は12億47百万円の収入)。これは主に、投資有価証券の売却による収入が28億47百万円あった一方、定期預金の増加額が1億90百万円、有形固定資産の取得による支出が1億36百万円、有価証券の増加額が8億91百万円、投資有価証券の取得による支出が3億97百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が25億62百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、28億55百万円の支出となりました(前連結会計年度比7億85百万円の支出増)。これは主に、短期借入金の減少額が4億54百万円、配当金の支払額が13億99百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式等の取得による支出が8億47百万円あったこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末においては、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比16億35百万円増加し、126億64百万円となりました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。その作成にあたっては、決算日における財政状態及び経営成績に影響を与える見積り、判断が必要になります。当社グループは、過去の実績又は現在の状況下で合理的と考えられる前提等に基づいて一貫した見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性が含まれるため、実際の結果が異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表等の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載のとおりであります。
③ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」ことで、持続的に成長し続ける企業グループとなることを目指しています。CAC Vision 2030の実現に向け、2022年度~2025年度までのフェーズ1においては、国内外における既存受託事業での安定した収益の確保と2026年度~2030年度までのフェーズ2に向けて継続的にデジタルプロダクト&サービスを生み出す仕組みの構築を行います。
これらに必要な資金につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応することを考えていますが、必要に応じ、資金調達(金融機関からの借入や各種社債の発行等)することも含めて対応してまいります。
⑥ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、2022年度から開始したフェーズ1での中期経営計画の最終年度となる2025年度の数値目標を、売上高580億円、調整後EBITDA 55億円、ROE10%以上、エクイティスプレッド2.5%以上、DOE5%としております。
当社の連結子会社である株式会社シーエーシーは、2024年3月28日付で株式会社シー・アイ・エム総合研究所の全株式を取得し、子会社化いたしました。
当社の連結子会社である株式会社シーエーシーは、2024年4月1日付で株式会社Rossoの全株式を取得し、子会社化いたしました。
詳細はそれぞれ「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。
当社グループは、「テクノロジーとアイデアで、社会にポジティブなインパクトを与え続ける企業グループへ」をビジョンに、積極的な研究開発活動を行っております。
研究開発活動は、主に株式会社シーエーシーにおけるR&D本部と新規事業開発本部で実施されております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
(R&D本部)
AI活用として SI(開発行為)・業務運用の高度化・自動化を、AIを活用したモノ付きのSI・業務運用を推進しています。
また、対象分野の拡大と深耕(特化)、AIの展開(提供)に必要となる機能の形式知化、AI開発者に至る育成機能の強化と適用によりAI開発人材の拡充を推進するなど、HCTechをコンセプトに、可能な限り深く幅広く、実践適用可能なAIモデル開発力の強化に取り組んでいます。
(新規事業開発本部)
プロダクト開発体制の確立に加え、開発した先進技術の実利用・効果検証を推進しております。素早く市場へ投入できるプロダクト開発・検証を行う方法論およびプロセス体制を確立、市場からのフィードバック重視の事業開発に取り組んでおります。
また、R&D本部と連携し、自社AIをベースとした製品の開発、市場展開にも注力しております。
さらに、感情解析、経営・秘書分野を特化させ、特定業種・業界でのビジネス深化を図るなど、市場ニーズをとらえプロダクトの価値を最大化し、プロダクト毎の販売戦略を実践しております。
他にもAIを中心とした技術イノベーションと事業開発に関する情報を発信するオウンドメディア「CAC Innovation Hub」を公開し、技術イノベーションや事業開発にかける想いやビジョン、提供するプロダクトやサービスの戦略を共有しております。