第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来一貫して、良品廉価・顧客本位、製品をもって世に問うというヤマザキの精神を具現化すべく、今日到達しうるベストクオリティー・ベストサービスを追求することをめざし、パン、和・洋菓子、製菓類、調理パン・米飯類の製造販売事業に携わり、常に積極果敢に技術革新に取り組み、高品質な製品を全国各地に安定的に供給することを通じて社会の負託に応え、業績の向上につとめてまいりました。

また、当社グループは、西暦2000年以来、特に「食の安全・安心」を社会の要請と積極的に受けとめ、徹底した食品安全衛生管理体制の確立をはかり、さらに、食品安全衛生管理体制の上に築き上げる事業経営手法として、部門別製品施策、営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を取り上げ、積極的に部門別製品開発、技術開発に取り組み、お客様に喜ばれる製品とサービスの提供に万全を期してまいりました。

今般、当社は、21世紀の事業環境と社会の変化に対応するため、「企業経営を通じて社会の進展と文化の向上に寄与することを使命とし、自主独立の協力体制を作り、もって使命達成に邁進する」という顧客本位の精神で、潜在需要に着目しイノベーション(技術革新)によって需要を創造するという、前向き積極的なピーター・ドラッカー博士の経営理論に導かれる山崎製パン株式会社の「経営基本方針(綱領および具体方針)」を改めて高く掲げると同時に、これを補完するものとして、「ヤマザキパンの中に神のみこころにかなう会社の実現を期す」という飯島藤十郎社主の祈りに導かれ、「日々、お取引先からご注文いただいた品は、どんな試練や困難に出会うことがあっても、良品廉価・顧客本位の精神でその品を製造し、お取引先を通してお客様に提供する」という新しいヤマザキの精神に導かれ、科学的根拠の上に立った食品安全衛生管理体制の上に築き上げる科学的・合理的・効率的な事業経営手法として、「いのちの道の教え」に従ったすべての仕事を種蒔きの仕事から開始する部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を実践、実行、実証することで、新しい価値と新しい需要を創造し、社会の負託に応え社業を前進させることを21世紀のヤマザキの経営方針といたします。

事業経営の具体的遂行に当たっては、経営陣、管理職は、本物の5S・全員参加の5Sとピーター・ドラッカー博士の5つの質問を連動させる「2本立ての5S」を行うとともに、「いのちの道の教え」に従った部門別製品施策・営業戦略をピーター・ドラッカー博士の5つの質問と連動させ、「私たちの使命は何ですか」(What is our mission?)と問うだけでなく「私の使命は何ですか」(What is my mission? )と問い、生産部門・営業部門一体となった業務を推進するとともに、内部管理体制を充実・強化して、各部門毎の自主独立の協力体制を構築いたします。また、「良品廉価・顧客本位の精神で品質と製品、サービスをもって世に問う」というヤマザキの精神と「知恵と知識によって変化に挑戦し、新しい価値と新しい需要を創造する」という「いのちの道」を導く言葉によって日々の仕事の実践、実行、実証に励み、業績の着実な向上を期してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、積極的な設備投資を継続するとともに、財務基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組んでまいります。具体的には業界における競合に耐え抜くことに重点を置きつつ、連結売上高経常利益率4%以上の達成を経営目標とするとともに、連結ROEを重要な経営指標として位置付け、7%以上の達成を経営指標として効率的な事業経営に取り組んでまいります。また、株主還元に関しましては、連結配当性向30%を目標に安定した配当を継続することを基本方針としております。今後も収益の向上を通じて増配をめざすとともに、自己株式取得を機動的に行ってまいります。

 

(3) 食品安全衛生管理体制の強化

当社グループは、従来から全社的組織で取り組んでおります細菌面における食品衛生管理システム、表示の適正管理システムに加え、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく教育指導・監査システムを活用し、異物混入防止対策を含む科学的根拠の上に立った総合的な食品安全衛生管理体制を整備し運用しております。当社グループは、一般社団法人日本パン技術研究所によるAIBフードセーフティ監査を受けるとともに、自主監査によって各工場の食品安全衛生管理体制の充実強化をはかっております。また、当社の食品衛生管理センターが要注意製品群を定め、定期的な製品の市場買付による細菌検査を通じて安全性の検証を行うとともに、当社の食品安全衛生管理本部の食品衛生管理課が専任の部署として、製品表示のチェックシステムにより原材料の成分管理やアレルゲン表示管理を含め製品表示の管理徹底をはかっております。

今後、なお一層、食品安全衛生管理体制の強化につとめてまいる所存でございます。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しといたしましては、わが国経済は、個人消費が持ち直し、内需主導で景気は緩やかに回復していくことが期待されますが、当業界におきましては、お客様の節約志向や低価格志向が根強い中で、チョコレートや包材等の原材料価格の高騰に加え、人件費や物流費等の上昇もあり、厳しい経営環境になるものと思われます。

このような状況下にありまして、当社は、2025年1月1日出荷分から、一部の食パン、菓子パンならびに和洋菓子製品の価格改定を実施しました。価格改定に際しましては、主力製品の品質向上や規格の充実とともに下支え製品を充実強化して隙のない製品対応をはかっており、「春のパンまつり」等の消費者キャンペーンをも活用し、販売数量の確保につとめてまいります。

当社グループは引き続き、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、新規技術を活用した品質向上をはかり、2極化・3極化戦略によって、変化するお客様のニーズに対応した隙のない製品対応を推進し、新しい価値と新しい需要の創造に取り組むとともに、2本立ての労働安全衛生管理体制の整備・充実強化をして働く職場の安全安心の実現にも取り組み、着実な業績向上をはかってまいります。

また、デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて、日次管理・週次管理・時間管理の経営手法を徹底し、日々の仕事の精度向上をはかるとともに、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携した女性製品開発担当者による商品開発を推進し、業績向上をめざしてまいります。

食パンは、本年1月から新規技術を活用して品質を向上させた「ロイヤルブレッド」について品質訴求や売り場づくりの推進により更なる売上拡大をはかるとともに、「ダブルソフト」については3枚入り、2枚入りを活用し、健康志向製品の「ダブルソフト 全粒粉入り」と併せて売上拡大をはかってまいります。また、「超芳醇」は健康志向製品の「減塩食パン」や2月発売の「ライ麦入り食パン」を活用し、シリーズとして取扱店数の拡大をはかってまいります。

菓子パンは、主力製品の品質向上や規格の充実をはかり、高級シリーズやコッペパンなどラインアップの充実をはかるとともに、2極化・3極化に対応した新製品開発を推進してまいります。また、薄皮シリーズでは惣菜製品の更なる充実をはかるとともに、ランチパックでは新規技術により品質を向上させた食材食パンを活用し品質訴求とともにアソート製品の開発や価格帯毎のラインアップの充実強化をはかり、売上拡大につなげてまいります。

和菓子は、新規技術の活用による主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略を推進し、女性製品開発担当者を中心に、和洋折衷製品やチルド対応製品など市場動向やお客様のニーズに対応した新製品開発に取り組み、売上拡大をはかってまいります。

洋菓子は、2個入り生ケーキのアソート製品の充実やプレミアムスイーツの規格充実をはかるとともに、スイスロールやスナックケーキにおいて新規技術の活用による主力製品の品質向上をはかってまいります。また、価格帯毎にラインアップの充実をはかるとともに、コンビニエンスストア向け製品を含め女性製品開発担当者による新製品開発を推進し、売上拡大をはかってまいります。

調理パン・米飯類は、変化するお客様のニーズに対応した製品開発を推進するとともに、新規技術により品質を向上させた食材食パンを活用したサンドイッチの開発やおにぎりの品揃えの強化、また和紙バーガーやこだわりシリーズなど主力製品の取扱店数の拡大に取り組み、売上拡大をはかってまいります。

製菓・米菓・その他商品類は、グループ各社の特徴ある製品群を活用した部門別のブランド戦略を推進し売上拡大をはかってまいります。デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、「いのちの道」の教えに従った、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する仕事を徹底し、運営部・商品部が一体となって新しい価値と新しい需要の創造に取り組み、業績回復をめざしてまいります。また、デイリーヤマザキ本部が中心となって、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携し、デイリーヤマザキ独自の競争力のある商品開発に取り組むとともに、既存店の改装によるヤマザキらしい店づくりなど各工場とも連携して着実に推進し、デイリーヤマザキ1店1店の店舗収益の改善をはかってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、大変早い速度で回転し変化する事業経営に対応して、その実態を素早く把握し適切に対処することを求められており、そのため生産部門、営業部門、総務・人事部門、経理部門それぞれの部門を統括する取締役並びに執行役員が選任されており、事業遂行上積み重ねた経験をもって事業経営に当たっています。

当社の取締役会は、法定事項および経営上の重要事項について判断・決定しており、業務執行の実務の検討は、各部門の統括的な責任者である役付役員を構成員とする常務会で審議し、また、常務会の下部機関のコーポレートガバナンス(企業統治)小委員会、営業生産合同(現業)小委員会、関係会社小委員会で協議検討するなど、社内外の問題課題への対応について方向付けを行い、その中の重要事項については常務会、取締役会で決議し、山崎製パン株式会社の「経営基本方針(綱領および具体方針)」および「21世紀のヤマザキの経営方針」に則り、「いのちの道」の教えに従って、適切な対応を期しています。

サステナビリティについても、同様な対応をしております。また、コーポレートガバナンス小委員会の下部のESG小委員会において検討を行うとともに、重要度に鑑みて、代表取締役社長が委員長を務めるコーポレートガバナンス小委員会に適切に報告され、審議・検討が行われます。

 

(2)リスク管理

当社グループは、「山崎製パングループリスク管理規程」に基づき、リスクを事業経営上または業務遂行上の対処すべき課題・問題として捉え、リスクに対処するためのあるべき姿を求めて努力を傾注しています。規程に基づき常勤取締役をはじめ経営幹部で構成するリスク管理委員会を定期的に開催し、子会社を含め発生したリスクへの対応状況および想定されるリスクへの対策などを協議・検討し実施する管理体制を整備・運用するとともに重要な事項については、取締役会に報告する体制を構築しています。

サステナビリティ関連のリスクを含む当社事業等のリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を併せて参照ください。

 

(3)戦略ならびに指標及び目標

①環境に対する取り組み

地球規模の環境問題である気候変動の緩和につきまして、当社は、生産・物流それぞれにおいて設備投資や日常活動を通じ省エネルギー化を推進し、CO2排出量の削減に取り組むとともに、食品産業全体の課題である食品ロス削減やプラスチック容器包装削減の取り組みについても、一般社団法人日本パン工業会と連携を図り、さらなる環境負荷低減に努めてまいります。

 

a 環境マネジメント

環境管理体制

当社は、環境管理活動を効果的に行うために、事業活動の中心である工場に「工場環境推進会議」を設置し、本社と連携しながら、それぞれの工場の実態に即した環境への取り組みを推進することで、継続的な環境負荷の低減を図っています。特にCO2排出量の削減、食品ロスやプラスチック使用量の削減に工場と本社が一体となって取り組んでいます。

 

b 気候変動への対応

TCFD提言に基づく情報開示

当社は、金融安定理事会により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同するとともに、TCFDの枠組みに基づいた情報開示に取り組んでいます。

当社は、気候関連のリスクについて、当社への影響を定性的に把握するとともに、その中ですでに顕在化しているリスクや重要度が高いと考えられるリスクについて、国際機関が示す長期的な気候変動シナリオを用いて、将来(2050年)における影響額をシナリオ分析によって試算しました。

 

主要原料の小麦粉については、4℃上昇シナリオでは2℃上昇シナリオよりも価格が上昇するものの、中期的な将来において、小麦の主要調達国の収量が大幅に減少する可能性は低いと想定されます。また、4℃上昇シナリオでは、洪水および高潮による事業所被害額や物流障害による被害額が2℃上昇シナリオの2倍となることが想定され、2℃上昇するシナリオでは、炭素税導入による影響が想定されます。いずれの結果をみても、CO2排出量削減の取り組みを強化していくことが重要であると考えられます。

当社は、一般社団法人日本パン工業会が策定した「低炭素社会実行計画2030」の目標値以上の改善が図れるよう、CO2削減対策に取り組んでいます。また、日本政府が掲げる目標の達成に貢献するとともに、地球温暖化の緩和に寄与するため、技術革新の進展に鑑みて、CO2削減目標を適時更新してまいります。

 

日本パン工業会「低炭素社会実行計画2030」

①CO2削減対策

  1)工場・事業場関連

2013年を基準年とし、生産高10億円あたりのCO2排出量原単位を2017年から2030年の間に年率1%削減する

  2)物流関連

2013年を基準年とし、売上高10億円あたりのCO2排出量原単位を2021年から2030年の間に年率1%削減する

 

 

c 循環型社会の形成、廃棄物の削減

1)循環型社会への考え方

食品産業は地球環境の恵みによって成り立っており、当社が製造するパンや和洋菓子は、小麦や卵、砂糖、パン酵母など、豊かな自然の恩恵を受けた原料から生まれています。当社は、原材料調達から輸送、製造、販売、消費に至るバリューチェーン全体で、森林、土壌、水、大気、動物、植物などの自然資本や生物多様性に依存し、影響を及ぼしていることを認識するとともに、限りある資源の効率的な利用やリサイクルを進めることにより自然環境への負荷を低減させるという循環型社会の形成は、当社にとって重要な課題と考えています。

当社は、日本パン工業会の「循環型社会形成自主行動計画2030」に則り、食品ロスの削減と再資源化およびプラスチック容器包装の削減に取り組んでまいります。

 

2)食品ロスの削減と有効活用に向けての考え方

当社は日々の生産活動において、食品ロスを発生させないことを第一に取り組んでおり、製造現場での「なぜなぜ改善活動」や「5S活動」を通じて、製造過程で発生する食品ロスの削減に努めています。そのうえで、やむを得ず発生してしまう、製造過程でカットした食パンの耳などは貴重な資源と考え、適正な品質管理を行うことで、菓子やパン粉などの食品原料への利用を進めるとともに、食品リサイクル法に基づき飼料化を最優先に再生利用を行っています。また、全国各地の工場において、地域の未利用農産物を有効活用した製品開発に取り組むことにより、産地における食品ロスの削減を図っています。さらに、科学的根拠に基づいた消費期限の延長に取り組み、流通や家庭など消費段階での食品ロスの発生抑制につなげています。

 

3)プラスチック製容器包装軽量化への考え方

当社は、食品の安全衛生の確保と品質の保持を第一に考え、容器包装の企画と選定を行っています。そのうえで、(一社)日本パン工業会が制定した「循環型社会形成自主行動計画2030」で定める「容器包装の環境配慮設計指針」に基づき、可能な限り、当社の容器包装の9割以上を占めるプラスチック製容器包装の簡素化・軽量化を図るとともに、環境に配慮された容器包装を利用することによる、資源の節減と家庭での廃棄物の発生抑制に努めています。

 

日本パン工業会「循環型社会形成自主行動計画2030」

①廃棄物対策

  1)総廃棄物の
    再資源化率

2021年~2030年の期間、個別会員では70%を最低基準とし、全体では90%以上とする

  2)食品廃棄物の
    再資源化率

2021年~2030年の期間、個別会員では85%を最低基準とし、全体では95%以上とする

②プラスチック容器
  包装削減対策

2004年を基準年とし、2030年までに生産高10億円あたりのプラスチック容器包装排出量を25%削減する。

 

 

 

②人的資本に関する取り組み

人材面においては、日本社会における人口減少・高齢化の進展の中で、女性の活躍推進をはじめとして、多様な人材が活躍できる仕組みづくりに取り組むとともに、人的資本への投資として、中央研究所・総合研修所・飯島藤十郎社主記念LLCホール・宿泊施設からなる複合施設「山崎製パン総合クリエイションセンター」を21世紀のヤマザキの前進基地として積極的に活用し、当社グループの将来を担う人材の育成と、ヤマザキの精神の継承と醸成に力を尽くしてまいります。

 

a 人的資本マネジメント

人的資本および人材育成に関する考え方

当社は、「新しい価値の創造」の実現を継続し、社会に貢献し続けることにより、持続的な企業成長と中長期的な企業価値の向上を期しています。「新しい価値の創造」には、新製品開発の取り組みが重要となりますが、当社では、本社だけでなく全国各工場の製造各課がそれぞれのラインの特性や地域ニーズに合わせた新製品開発に取り組む体制づくりをしています。このシステムが有効に機能した事業経営が行われており、人的資本マネジメントの中核になるものと考えています。

全国各地の工場間や製造各課同士が、日々の業務として新製品開発を競い合い、切磋琢磨し、お客様に喜ばれる製品を提供していく取り組みの中で、そこに従事する従業員は、やりがいを持ち、仕事に喜びを見い出し、その結果として、従業員エンゲージメントが高まり、会社の業績向上につながっています。近年は、女性従業員による新製品開発を促進する取り組みを強化しており、着実に成果が現れています。

また、当社は、2016年に創業の地である千葉県市川市に、21世紀のヤマザキの前進基地とし竣工した「山崎製パン総合クリエイションセンター」を人材育成の拠点として活用しています。同センターは、中央研究所、総合研修所、飯島藤十郎社主記念LLCホールならびに宿泊施設からなる複合施設です。パン、和菓子、洋菓子それぞれの研修室を備えており、長年にわたり当社の製造現場に従事したスタッフが後進へ製造理論や技術を伝承しています。また、管理職を中心として、21世紀のヤマザキの経営手法の研修を通して、創業者飯島藤十郎社主の心であるヤマザキの精神を継承し醸成し、ヤマザキパングループの将来を担う人材の育成を図っています。

さらに、当社は、多様な人材が活躍できる職場環境づくりを推進するとともに、管理職と従業員のコミュニケーションの活性化に取り組み、人材の定着につなげています。

 

b 人材の多様性(ダイバーシティ)の尊重

1)多様性尊重に関する考え方

当社では、基本的人権尊重の考えに基づき、国籍や人種、思想、信条、性別、性的指向、障がいの有無、年齢などによる差別のない、従業員同士が多様な個性を認め合う職場風土の醸成に努めています。ダイバーシティの推進によりさまざまな背景、経験、価値観を持つ人材が集まることで、多様な意見交換が可能となり、均一的な組織からは生まれにくい柔軟で新しいアイデア創出の可能性を高めます。また、多様な価値観を持った人材の採用は、従業員が生き生きと働くことのできる職場づくりにつながり、優秀な人材の獲得と離職防止の効果が見込めると考えています。多様な人材が新たな価値を創造することが企業の持続的成長の源泉となると考え、すべての従業員が意欲を持って働くことのできる環境を整備していきます。

 

2)女性の活躍推進

当社では、性別にかかわらず個人の能力や適性に応じた適材適所の人材配置を基本としています。女性も安心して生き生きと活躍することのできる環境を整備するため、積極的な女性の採用と役職登用を推進するとともに、結婚・出産・育児というさまざまなライフイベントの中、継続して勤務することのできる両立支援制度の拡充を図り、研修の実施や積極的な広報による制度の周知に取り組んでいます。また、当社の製品には女性消費者も多く、女性目線での積極的な製品開発にも取り組んでおり、業績の向上に寄与しています。

 

当社は、提出日現在において、人材育成方針や社内環境整備方針に関する具体的な指標及び目標は設定しておりません。具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として検討してまいります。

管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 食品安全衛生

近年、食品業界におきましては、原材料や製品の消費又は賞味期限管理の問題、製品の規格や農畜水産物の産地の偽装、輸入食品の安全対策等、食品の品質、安全性に関わる問題が発生しております。当社グループは、製品の安全性確保と今後発生が予見されるリスクへの予防措置を講ずる目的から、当社本社内に食品安全衛生管理本部を設置し、下部組織として食品衛生管理センター(微生物、表示業務)、食品品質管理部(異物混入防止業務)、お客様相談室を設け、更に各工場において食品衛生管理センター分室(微生物、表示業務)、食品品質管理センター分室(異物混入防止業務)を設置するとともに、工場長を委員長とする食品衛生委員会を設け、日々の管理の万全を期しております。さらに、中央検査室において、食品衛生事故の防止のための研究をいたしておりますが、社会全般にわたる品質問題等、上記の取組みの範囲を超えた事象が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

食品安全衛生へのリスクに対応するため、微生物に関する安全性確保の手段としてHACCPに基づく衛生管理を行い、JFS-B規格を取得し、当社グループの各工場において日々の細菌検査による衛生管理を検証するとともに、本社食品衛生管理センターにおいて要注意製品を定めて各工場毎に月次で市場買付による細菌検査を実施、全工場の衛生管理体制の検証を行っています。さらに、異物混入防止対策としてAIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」による指導・監査システムを導入し、関係会社を含む全工場に管理を徹底するとともに順次監査を実施しております。また、表示に関しましては、当社及びグループ各社が発売する製品について、食品衛生管理センターの表示確認決定システムにより管理を徹底しております。

 

(2) 原材料の調達及び価格高騰

当社グループの食品事業の主要原料は、小麦粉、砂糖、油脂等農産物の一次加工品であり、卵、レーズン、苺等の農産物も原料として多量に使用しております。これらは生産地域の地球温暖化などの影響に伴う異常気象等による収穫量の減少や消費量の急激な増加のために需給が逼迫することがあり、また、投機資金の流入によって穀物等の国際相場が攪乱されることがあります。特に、輸入原料の場合は紛争発生や感染性疾病の流行により特定地域からの輸入が停止される可能性があります。また、原油価格の上昇等により、軽油、重油等の燃料や石油製品である包装材料、容器類の価格上昇が生じる可能性があります。

当社グループでは、調達先の多様化によるリスク分散や市場原理に沿った様々な対応策を講じておりますが、突発的事情により原材料の安定的調達ができなくなった場合、又は仕入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

原材料の調達及び価格高騰へのリスクに対応するため、この様なリスクは常に発生する可能性があるとの認識を持ち、原材料に係る情報の積極的な収集に努めるとともに、複数社による調達、国や産地の分散化、代替原材料の検討、諸外国との経済連携協定等の活用、生産販売部門との情報の共有などにより、サプライチェーンとの信頼関係の下、コストの削減及び安定供給に努めております。

 

(3) 自然災害

当社グループは、生産拠点として国内外に多数の工場を有しており、地震や台風等の自然災害が発生し、重大な被害を受けた工場が操業停止となった場合、当該工場の生産分を他の複数工場の増産とグループ会社を含めた自社物流網を活用して緊急的に製品を供給し事業継続する体制を構築しておりますが、万一、当社グループの危機管理対策の想定範囲を超えた大規模な災害が発生した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、地震や洪水等の自然災害時において、ライフラインが停止した状況でも直ぐに利用できるパンや米飯・調理パンは緊急食糧に適しており、多くの場合被災地の自治体から緊急食糧の供給要請があります。当社は緊急食糧の供給を含め、安定した食料供給は食品企業としての当社の社会的使命と考え、過去に発生いたしました阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震などの大規模自然災害に際しましてもグループの総力を上げて対応してまいりました。

今後も自然災害に際し、直ちに本社および被災地に緊急対策本部を設置し、本社支援チームの速やかな現地派遣等により連携して早期復旧にあたる体制の強化、災害時通信網の整備、非常用発電装置の配備、情報システム2拠点化など、自然災害へ対応する事業継続体制整備へ向けて、さらに精度を上げた取り組みを推進してまいります。

 

(4) 取引先の経営破綻

当社グループは、各社が連携して調査機関や業界からの情報収集に基づき取引先の与信管理を徹底し、債権保全に万全を期しておりますが、当社グループの主要な得意先である広域営業の量販店、コンビニエンスストアチェーンにつきましては、取引金額が多額であることもあり、万一、経営破綻が発生し売掛債権が回収不能になった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

取引先の経営破綻のリスクに対応するため、債権管理システムを活用した入金遅延情報の早期把握や、店頭情報及び同業他社からの情報収集の強化を図り、経営破綻の兆候を発見するとともに、信用調査を定期的に実施し、支払条件の短縮及び保証金預りの交渉等の対策により、売掛債権の回収不能防止に取り組んでおります。

 

(5) 退職給付費用及び債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算定されておりますが、前提条件が変更され数理計算差異が発生した場合や企業年金基金の運用成績が著しく悪化した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

退職給付費用及び債務のリスクに対応するため、年金資産運用の情報収集を行うとともに、年金資産運用受託機関からの詳細な情報を得て運用状況の改善に努めております。

 

(6) 海外事業

当社グループは、海外10ヶ国・地域において現地法人18社を有し、16ヶ所の製パン等の工場を運営するとともに、当社独自の冷凍生地技術を活用して254店のベーカリーを展開しております。海外事業のリスクとしては、次のような事業展開地域の政治、経済、社会情勢の変化等に起因する事業上の不利益要因が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

①予期しない法的規制・制度の変更(外資規制、営業許可制度、関税・輸出入規制等)

②他社による類似商標、看板の使用等、知的財産権の侵害

③自然災害、紛争、テロの発生

④為替・金利変動

なお、為替変動のリスクについては、海外子会社の資金調達における金利負担軽減のため、親会社である当社から直接貸付を行う場合があり、為替の変動によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

海外事業のリスクに対応するため、当該政府、金融機関、監査法人、弁護士等から情報収集を行い、予防、回避に努めております。上記のリスクが発生した場合に備え、事業の継続を念頭に対応策を早期に検討し実施する体制を構築しております。また、紛争、テロ等が発生した場合は従業員とその家族の安全確保を第一とし、状況により出向者及び家族の一時退避等の対策を実施いたします。

 

(7) 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動においてITシステムを幅広く活用しております。このため、サイバー攻撃やシステム運用上のトラブル等によって、ITシステムの停止や重要情報の漏洩・喪失が発生した場合には、事業の中断、損害賠償請求、セキュリティ対策費用の増加等により、事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

上記のリスクに対応するため、当社グループは、基幹系システム等の重要システムを堅牢性の高いデータセンターで管理しており、外部からのサイバー攻撃に対する多層的な防御・監視を24時間365日体制で運用しております。データセンター内のITシステムは二重化しており、非常時はバックアップシステムに切り替えることにより事業を継続可能な構成としております。また、サイバー攻撃やシステム運用上のトラブル等によって発生しうる損害賠償に対応するため「サイバー保険」に加入しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当期におけるわが国の一般経済環境は、雇用・所得環境の改善が進み、設備投資が堅調に推移するなど景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、実質賃金の伸び悩みもあり、個人消費は力強さを欠きました。

当業界におきましては、物価上昇によりお客様の生活防衛意識が高まり、節約志向や低価格志向が強まる中で、油脂や乳製品、包材等原材料価格の高止まりに加え、人件費や物流費等の上昇もあり、厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流回復やインバウンドの増加により売上の回復が続き焼きたてパンやおにぎり等が好調に推移しましたが、人件費等のコスト上昇もあり、厳しい経営環境となりました。

このような情勢下にありまして、当社グループは、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格製品を充実する一方で、女性製品開発担当者を中心に付加価値を付けた製品開発に取り組むなど、変化するお客様のニーズに対応した隙のない製品対応を推進し、業績向上をはかりました。

前期7月にパン類の価格改定を実施し、その効果が一巡することを見据えた種蒔きの仕事として、主力の「ダブルソフト」において抜本的な品質改善につながる新しい技術を見いだし、1月にリニューアル発売しました。「ダブルソフト」の売上は伸長し、お客様の好評を得たため、この技術を広く活用し、「超芳醇」や「モーニングスター」、「スイートブレッド」、食材食パンのほか、パン類以外の饅頭、ホットケーキ、中華まん等にも活用し、売上拡大をはかりました。

また、当社グループは、科学的根拠をもった食品安全衛生管理体制の上に行う新型コロナウイルス感染防止対策を継続し製品の安定供給につとめるとともに、労働安全衛生管理体制の充実強化をはかりました。本社において労働安全衛生推進基本会議を設置し、労働安全衛生に関する問題課題を把握するとともに、その問題課題の原因を追究して対処対応する具体案を協議決定し、本社・各工場一体となって問題課題の解決をはかる体制といたしました。また、従来は、各工場の安全日誌を活用し、従業員からのチョコ停・トラブル、ヒヤリハット等を日次・週次・月次で管理し改善しておりましたが、これに加え、本社ならびに各工場における機械設備のリスクアセスメントによるリスクの排除と軽減とともに、各工場における管理・監督職による日々の安全パトロールや安全教育を行う、2本立ての労働安全衛生管理体制を整備し、業績向上対策とともに、働く職場の安全安心の実現に取り組みました。

デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて、日次管理・週次管理・時間管理の経営手法により、問題課題を正確に把握して原因を追究し対応策を推進するなど、日々の仕事の精度向上をはかりました。また、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携した女性製品開発担当者による商品開発を推進して収益の改善をはかるとともに、新規技術による冷凍生地を活用した品質向上に取り組むなど、業績向上をはかりました。

当期の連結業績につきましては、売上高は1兆2,444億88百万円(対前期比105.9%)、営業利益は518億73百万円(対前期比123.6%)、経常利益は563億5百万円(対前期比123.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は360億15百万円(対前期比119.4%)となりました。山崎製パン㈱単体の菓子パンを中心に業績が好調に推移するとともに、連結子会社の業績が改善したこともあり、増収増益を達成することができました。

 

 


 

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

比較増減

金額(百万円)

金額(百万円)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

売  上  高

1,175,562

1,244,488

68,925

105.9

営 業 利 益

41,962

51,873

9,911

123.6

経 常 利 益

45,526

56,305

10,778

123.7

親会社株主に帰属
する当期純利益

30,168

36,015

5,847

119.4

 

 

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。
 
〔食品事業〕

a 食パン部門(売上高1,140億88百万円、対前連結会計年度比105.1%)
  食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」が伸長するとともに、1月に新規技術により品質を向上させた「ダブルソフト」が大きく伸長しました。さらに、「スイートブレッド」、「モーニングスター」等の低価格食パンや主力製品のハーフサイズ食パンが伸長し、前期の売上を上回りました。

b 菓子パン部門(売上高4,648億44百万円、対前連結会計年度比107.3%)
  菓子パンは、「コッペパン」や「まるごとソーセージ」、「ミニスナックゴールド」等の主力菓子パンが伸長し、「ドーナツステーション」や「ずっしり」シリーズ等の低価格製品が伸長するとともに、「薄皮たまごぱん」等の惣菜製品を新たにラインアップしたミニパンの薄皮シリーズが伸長し、前期の売上を大きく上回りました。

c 和菓子部門(売上高766億27百万円、対前連結会計年度比103.8%)
  和菓子は、串団子や饅頭が堅調に推移するとともに、主力の「北海道チーズ蒸しケーキ」の伸長や低価格製品の「やまざき蒸しパン」シリーズの寄与もあり蒸しパンが伸長しました。さらに、「クリームたっぷり生どら焼」などのチルド和菓子が伸長し、前期の売上を上回りました。

d 洋菓子部門(売上高1,572億51百万円、対前連結会計年度比103.5%)
  洋菓子は、主力の2個入り生ケーキや「まるごとバナナ」が伸長するとともに、「イチゴスペシャル」等のスナックケーキや「5つに切ったロールケーキ」等のスイスロールが好調に推移しました。さらに、コンビニエンスストア向け製品が好調に推移し、前期の売上を上回りました。

e 調理パン・米飯類部門(売上高1,580億22百万円、対前連結会計年度比103.3%)
  調理パン・米飯類は、㈱サンデリカを中心におにぎりやサンドイッチが伸長するとともに、大徳食品㈱において調理麺が好調に推移したこともあり、前期の売上を上回りました。

 

f 製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,826億70百万円、対前連結会計年度比105.5%)
  製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「カントリーマアム」やヤマザキビスケット㈱の「チップスター」、㈱東ハトの「ポテコ」等、各社の主力品が好調に推移し、前期の売上を上回りました。

  以上の結果、食品事業の売上高は1兆1,535億4百万円(対前連結会計年度比105.5%)、営業利益は497億96百万円(対前連結会計年度比122.3%)となりました。

 

     [食品事業 前期比較]

 

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

売  上  高

1,093,762

1,153,504

59,741

105.5

営 業 利 益

40,704

49,796

9,092

122.3

 

 

〔流通事業〕

 デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して、デイリーホット商品や「ランチパック 大盛り」シリーズ等、女性製品開発担当者による競争力のある商品開発を推進し、お客様に喜ばれるヤマザキ独自のコンビニエンスストアチェーンをめざしました。また、松戸・杉並ドミナントプロジェクトにおいて、デイリーホットを中心に収益の改善をはかるとともに、新規技術による冷凍生地を活用したデイリーホットの品質向上や店舗改装によるヤマザキらしい店づくりに取り組みました。この結果、当期は、チェーン全店売上高が前期を上回るとともに、営業総収入は直営店舗数の増加もあり増収となりました。

 当期末の店舗数は、「デイリーヤマザキ」1,004店(2店減)、「ニューヤマザキデイリーストア」277店(21店減)、「ヤマザキデイリーストアー」9店(2店減)、総店舗数1,290店(25店減)となりました。

  以上の結果、流通事業の売上高は762億円(対前連結会計年度比112.1%)、営業損失は12億35百万円(前連結会計年度は17億89百万円の営業損失)となりました。

 

[流通事業 前期比較]

 

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

売  上  高

67,952

76,200

8,248

112.1

営 業 利 益

△1,789

△1,235

553

 

 

〔その他事業〕

   その他事業につきましては、売上高は147億83百万円(対前連結会計年度比106.8%)、営業利益は30億17百万円(対前連結会計年度比112.5%)となりました。

 

     [その他事業 前期比較]

 

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

売  上  高

13,847

14,783

935

106.8

営 業 利 益

2,682

3,017

335

112.5

 

 

 

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は8,651億5百万円で、前連結会計年度末に比べ630億70百万円増加しました。

当連結会計年度末の負債合計は4,046億18百万円で、前連結会計年度末に比べ487億15百万円増加しました。

当連結会計年度末の純資産合計は4,604億86百万円で、前連結会計年度末に比べ143億54百万円増加しました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,459億39百万円となり、前連結会計年度に対しては163億57百万円の増加となりました。

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益556億36百万円に加え、減価償却費418億63百万円などにより739億74百万円のプラスとなりました。前連結会計年度に対しては2億85百万円収入が増加しました。
  (投資活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより434億92百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度に対しては21億67百万円支出が減少しました。
  (財務活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得、借入金の返済、配当金の支払などにより150億38百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度に対しては新規借入もあり、37億95百万円支出が減少しました。

 


 

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

増  減

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

73,689

73,974

285

投資活動によるキャッシュ・フロー

△45,659

△43,492

2,167

財務活動によるキャッシュ・フロー

△18,834

△15,038

3,795

現金及び現金同等物に係る換算差額

827

308

△518

現金及び現金同等物の増減額
(△は減少)

10,022

15,753

5,730

現金及び現金同等物の期首残高

119,559

129,582

10,022

新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額

604

604

現金及び現金同等物の期末残高

129,582

145,939

16,357

 

 

④生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

食品事業

1,009,086

1,064,440

55,354

105.5

その他事業

118

117

△1

98.5

合計

1,009,205

1,064,557

55,352

105.5

 

 

 

b 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

金額(百万円)

金額(百万円)

食品事業

56,674

55,715

△958

98.3

流通事業

28,007

31,273

3,266

111.7

合計

84,681

86,989

2,307

102.7

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c 受注状況

当社グループの食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先からの日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残はありません。

 

d 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメント
の名称

区分

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

2024年12月31日)

比較増減

金額(百万円)

金額(百万円)

前年

同期差

(百万円)

前年

同期比

(%)

食品事業

食パン

108,569

114,088

5,518

105.1

 

菓子パン

433,362

464,844

31,482

107.3

 

和菓子

73,793

76,627

2,833

103.8

 

洋菓子

151,918

157,251

5,332

103.5

 

調理パン・
米飯類

152,962

158,022

5,060

103.3

 

製菓・米菓・
その他商品類

173,156

182,670

9,514

105.5

 

食品事業計

1,093,762

1,153,504

59,741

105.5

流通事業

 

67,952

76,200

8,248

112.1

その他事業

 

13,847

14,783

935

106.8

合計

1,175,562

1,244,488

68,925

105.9

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

a 貸倒引当金
  当社グループは、貸倒懸念債権等特定の債権について個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

b 投資有価証券の減損処理
  当社グループは、投資有価証券を所有しておりますが、その価値が50%以上下落した場合及び2ヶ年以上継続して30%から50%下落している場合は、減損処理を実施しております。将来の市況悪化や投資先の業績不振等によっては、更に減損処理が必要となる可能性があります。

c 繰延税金資産
  当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行なっておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。

d 退職給付費用及び債務
  退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は優良社債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づき決定しております。
  実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グル-プの当連結会計年度の経営成績は、売上高は1兆2,444億88百万円(前連結会計年度比5.9%増) で、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格帯製品や値頃感のある製品の品揃えを強化し、隙の無い製品対応をはかった事で、菓子パンを中心に好調に推移しました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業の業績も回復傾向となり、前連結会計年度を上回りました。営業利益は518億73百万円(前連結会計年度比 23.6%増)、経常利益は563億5百万円(前連結会計年度比23.7%増) で増収に加え、人件費率や販売コストのダウンもあり、営業利益、経常利益ともに増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、360億15百万円(前連結会計年度比19.4%増)で、前連結会計年度を上回りました。

当社グループは、引き続き「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、新規技術を活用した品質の向上をはかり、2極化・3極化戦略によって、変化するお客様のニーズに対応した隙のない製品対応を推進し、新しい価値の創造と新しい需要の創造に取り組むとともに、2本立ての労働安全衛生管理体制の整備・充実強化をして働く職場の安全安心の実現に取り組み、着実な業績向上をはかってまいります。

 

また、デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて、日次管理・週次管理・時間管理の経営手法を徹底し、日々の仕事の精度向上をはかるとともに、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発チームと連携した女性製品開発担当者による商品開発を推進し、業績向上をめざしてまいります。

今後も当社グル-プは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、財政基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組み、連結経常利益率4%以上、連結ROE7%以上を達成すべく全力を挙げて取り組んでまいります。

 

a 売上高

売上高を事業の種類別に見ますと、食品事業は新規技術により品質を向上させたダブルソフトが伸長するとともに、2極化・3極化戦略によって、低価格帯製品や値頃感のある製品を充実し、隙のない製品対応をはかったことで、食パン・菓子パン部門が好調に推移しました。和菓子部門は主力の串団子や饅頭が伸長し、洋菓子部門は主力の2個入生ケーキやまるごとバナナが伸長しました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流の回復やインバウンドの増加により、焼きたてパンやおにぎり等が好調に推移しました。製菓・米菓・その他商品類部門も㈱不二家の「カントリーマアム」、ヤマザキビスケット㈱の「チップスター」、㈱東ハトの「ポテコ」などの主力製品が伸長した事もあり、食品事業全体では1兆1,535億4百万円(前連結会計年度比5.5%増) で前期を上回りました。流通事業はデイリ-ヤマザキで、競争力のある商品開発とデイリーホットの品質向上、ヤマザキらしい店づくりに加え、直営店舗数の増加もあり、762億円(前連結会計年度比12.1%増)、その他事業は147億83百万円(前連結会計年度比6.8%増) でした。

なお、売上高の詳細については、「第2 事業の状況」「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載の通りです。

b 営業利益 

売上総利益率は、原材料費率の減少もあり、32.6%で前連結会計年度を0.4%上回りました。

販売費及び一般管理費は3,533億81百万円、売上高に対する比率は28.4%で、人件費率や広告販促費率等の販売コストの減少もあり、前連結会計年度を0.2%下回りました。
  以上の結果、営業利益は518億73百万円(前連結会計年度比23.6%増)となりました。

セグメント別では、食品事業の営業利益は増収と人件費率の減少もあり、497億96百万円(前連結会計年度比22.3%増)、流通事業は値入率の改善やロス率の低減等もあり、営業損失は 12億35百万円(前連結会計年度は17億89百万円の営業損失)と縮小、その他事業の営業利益は増収により30億17百万円(前連結会計年度比12.5%増)でした。

c 経常利益

  営業外収益面で、外貨建貸付金に係る為替差益や受取配当金の増加等により、経常利益は563億5百万円(前連結会計年度比23.7%増) となりました。なお、目標とする経営指標の連結売上高経常利益率4%以上に対し、当連結会計年度は4.5%で、前連結会計年度に対しては0.6%上回りました。

d 親会社株主に帰属する当期純利益

  固定資産除売却損等の特別損失計上後の税金等調整前当期純利益は556億36百万円(前連結会計年度比21.4%増) 、親会社株主に帰属する当期純利益は360億15百万円で、前連結会計年度に対し19.4%の増益となりました。当連結会計年度の1株当たり当期純利益は178円58銭で、前連結会計年度に比べ32円39銭増加しました。なお、目標とする経営指標の連結ROEの7%以上に対し、当連結会計年度は8.9%で、前連結会計年度に対しては1%上回りました。

 

 

③財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は8,651億5百万円で、前連結会計年度末に対し630億70百万円増加しました。主な要因は、流動資産が3,414億4百万円で、現金及び預金の増加等により266億16百万円増加したことと、固定資産が5,237億1百万円で、有形固定資産が110億10百万円増加し、年金資産の運用改善等もあり、退職給付に係る資産が323億98百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し364億53百万円増加したことによるものです。

負債は4,046億18百万円で、退職給付に係る負債や長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に対し487億15百万円増加しました。

純資産は4,604億86百万円で、自己株式の取得による減少はありましたが、利益剰余金が312億33百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し143億54百万円増加しました。なお、自己資本比率は47.6%で前連結会計年度に比べ2.3%の減、1株当たり純資産は2,072円34銭で前連結会計年度に比べ129円49銭の増となりました。

 


 

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

前期差

金額(百万円)

金額(百万円)

流 動 資 産

314,787

341,404

26,616

固 定 資 産

487,247

523,701

36,453

資 産 合 計

802,035

865,105

63,070

負 債 合 計

355,902

404,618

48,715

純 資 産 合 計

446,132

460,486

14,354

負 債 純 資 産 合 計

802,035

865,105

63,070

 

 

④資本の財源及び資金の流動性について

当連結会計年度末の借入金残高は926億76百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループは将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
  また、当社グループは、第1に、手元流動性を極力最小限に抑える。第2に営業活動によるキャッシュ・フローは会社の維持発展に必要な設備投資に充当する。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況  3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。第3に余剰資金は金利負担の軽減をはかるため適宜借入金の返済に充当する。以上の3項目を目標にしてキャッシュ・フローの有効活用に努めます。株主還元につきましては、株主の皆様への安定配当を継続することを基本方針とし、連結配当性向30%を目標にしております。なお、当期の連結配当性向は25.2%であります。

 

⑤当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術受入契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

山崎製パン㈱

グラン・ムーラン・ド・パリ・エス・エイ社

仏国

パン用ミックス粉の製造技術

技術情報の提供
(注)1

2016年7月1日から
2026年6月30日まで

山崎製パン㈱

デリフランス・エス・エイ社

仏国

冷凍製品の製造技術

技術情報の提供
(注)1

2016年7月1日から
2026年6月30日まで

㈱ヴィ・ド・フランス

グラン・ムーラン・ド・パリ・エス・エイ社
デリフランス・エス・エイ社

(注)3

仏国

店舗、製品商標及び店舗運営ノウハウ

商標使用権及び運営ノウハウの提供
(注)2

2019年6月25日から
2029年6月24日まで

 

(注)  1  対価として一定額のロイヤルティを支払っております。
2  対価として一定料率のロイヤルティを支払っております。
3  デリフランス・エス・エイ社は、デリフランス・フランチャイズ・インターナショナル・エス・エイ社
    からの事業譲受により、2021年10月4日付けで本件契約を承継しております。

 

(2) 業務資本提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

出資額

契約内容

契約日

山崎製パン㈱

㈱不二家

日本

25,453百万円

1.当社及び㈱不二家が一体となって諸施策を実施し、㈱不二家の事業再生及び企業価値の向上をはかるための業務提携

(1)全社的経営管理体制の強化

(2)洋菓子事業、菓子事業、食品事業における共同製品開発、OEM相互商品供給、共同原材料調達、生産設備の整備・相互活用等

2.㈱不二家の第三者割当増資引受に関する資本提携

2008年11月7日

山崎製パン㈱

日糧製パン㈱

日本

615百万円

1.製品の品質・売上向上に関する具体策の実施、物流の効率化等に関する業務提携

2.日糧製パン㈱発行済株式総数の29.8%譲受けに関する資本提携

2009年8月3日

山崎製パン㈱

ミヨシ油脂㈱、
日清オイリオグループ㈱

日本

1,473百万円

  (注)

1.3社による製品開発、用途開発に関する業務提携

2.ミヨシ油脂㈱の第三者割当増資引受に関する資本提携

2009年10月26日

 

(注)  出資額は、当社のミヨシ油脂㈱に対する出資額であります。

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「良品廉価、顧客本位の精神で、製品と品質、サービスをもって世に問う」、「知恵と知識によって変化に挑戦し、新しい価値と新しい需要を創造する」という新しいヤマザキの精神に則り、社会の変化に対応し先取りする真に価値ある製品とサービスの提供を目指し、基礎研究、製品開発、品質の安定・向上に関する研究等に積極的に取り組んでおります。2016年に当社創業の地市川に完成した、21世紀のヤマザキの前進の基地となる総合クリエイションセンターを活用し、研究・開発・研修機能のさらなる充実・強化をはかっています。なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は9,313百万円であります。

 

セグメントごとの主な研究内容は、次のとおりであります。

(食品事業)

食品事業では、パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類、調理麺、製菓・米菓の各部門別に、主要原材料に関する基礎的分析・研究のさらなる充実をはかり、食の安全・安心という社会的要請に科学的に対処するとともに、原料選別、配合・工程の改善研究を中心とした製品の品質向上や、多様化する市場ニーズに的確に対応した製品の開発に積極的に取り組みました。

パン部門においては、ダブルソフトに採用された、新規素材を利用した品質向上技術を他の食パン製品や冷凍生地製品に応用したほか、特長を有した発酵種(ルヴァン種)の研究、新規酵素を用いた各種パン生地改良剤による品質向上の検討を進めると共に、食物繊維等を強化した健康志向製品の開発や焼成後冷凍製品等の品質向上等の取り組みを行ないました。

和菓子部門においては、餡の風味のさらなる向上のための製餡工程の見直し、中華まんや蒸しパン製品等でのダブルソフト技術を応用した品質向上、またデジタル技術を活用した新規焼菓子製品開発に関する研究等を進めました。

洋菓子部門では、クリスマス低糖質製品の品質向上、シュー製品の新規技術導入による品質安定化、スイスロール・スナックケーキ製品でのダブルソフト技術の応用による品質向上等に関する取り組みを進めました。

米飯・調理麺部門においては、チルド米飯並びにレンジ麺などの調理麺のさらなる品質向上に関する研究を、また加工食品部門では惣菜パン製品に使用するフィリング類の品質向上やジャム類の品質向上等の研究を精力的に行いました。

製菓部門においては、個食化や健康志向等消費動向の変化に対応した製品開発を進め、米菓製品の品質向上の研究等に取り組み、さらにグループ各社に対する機能性表示食品開発の技術的支援を行いました。

また、食品安全衛生に関しては、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく管理手法の工場への順次指導の継続実施を中心として、微生物関係食品事故防止体制の強化をはかるとともに、最新鋭分析機器の導入を積極的に進め、原材料や製品中の微量成分などの確認を行い、クレーム問題への的確かつ迅速な対応を行いました。

以上の結果、食品事業の研究開発費は8,824百万円となりました。

 

(流通事業)

コンビニエンスストア事業では、オリジナル規格として中具を2倍に増量した「特盛ランチパック」シリーズを「大盛」シリーズに続き展開したことや、高価格帯の商品ではありますが「ダブルバーガーチーズ」がファストフード店と比較し簡便に購入可能なこと、味や価格の優位性からそれぞれお客様からご支持をいただきました。店内調理では、定番10品の品質向上、女性開発員が女性目線で製品化した「空飛ぶフランスパン」「スイートチョコロール」「宝石デニッシュストロベリー」などの新製品の開発を進めてまいりました。

以上の結果、流通事業の研究開発費は338百万円となりました。