独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2025年3月28日

 

株式会社電通グループ

取締役会 御中

 

 

有限責任 あずさ監査法人

 東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

神   塚     勲

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

江  澤   修  司

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

林   健  太  郎

 

 

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社電通グループの2024年1月1日から2024年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条により規定された国際会計基準に準拠して、株式会社電通グループ及び連結子会社の2024年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

Americas及びEMEAののれんの評価における回収可能価額の見積りの合理性

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

連結財務諸表注記「15.のれん及び無形資産」に記載のとおり、会社は当連結会計年度の連結財政状態計算書において、のれん697,052百万円(総資産の20%)を計上している。これには、Americas及びEMEAののれん(減損損失計上後)が、それぞれ569,614百万円及び101,978百万円が含まれている。

会社は連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針(10)非金融資産の減損」に記載のとおり、のれんについては、年次の減損テストに加えて減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施している。のれんの減損テストにおける回収可能価額は、資産又は資金生成単位グループの処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方を採用し、帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損損失を認識する。

当連結会計年度において、当該資産から生じる実際のキャッシュ・フローが予算に対して悪化しており、Americas及びEMEAののれんを含む資金生成単位グループについて減損の兆候が認められている。このため、会社は当連結会計年度末において、それぞれの資金生成単位グループについて減損テストを行った結果、Americas及びEMEAにおいてのれんの減損損失を57,091百万円及び153,071百万円を計上している。

会社はAmericas及びEMEAののれんが配分された資金生成単位グループの減損テストにおける回収可能価額を、経営者により承認された翌連結会計年度の予算を含む翌期以降5ヵ年の業績予想を基礎とする使用価値に基づき算定している。

経営者が使用価値の算定に当たって基礎とした主要な仮定には、オペレーティング・マージン、売上総利益の成長率、継続成長率、割引率、正味運転資本及び全社費用の各資金生成単位グループへの配賦率が含まれる。これらの仮定は過去の実績、経営者により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定されているが、事業戦略の変更、市場環境の変化等により影響を受ける可能性があるため、不確実性を伴うものであり、経営者による見積りと判断が使用価値の見積りに重要な影響を及ぼす。また、割引率の見積りにおけるインプットデータの選択等には、評価に関する高度な専門知識を必要とする。

以上から、当監査法人は、Americas及びEMEAののれんの評価における回収可能価額の見積りの合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

当監査法人は、Americas及びEMEAののれんの評価における回収可能価額の見積りの合理性を評価するため、主として以下の監査手続を実施した。

●経営者が回収可能価額の算定に当たって基礎とした主要な仮定の適切性を評価するため、その根拠について経営者及び事業計画の責任者に対して質問をした。

●各資金生成単位グループの回収可能価額の見積りの基礎となる主要な仮定を検討するために、主に以下の手続を実施した。

・オペレーティング・マージンについて、過去の事業計画の達成状況及び差異要因を分析の上、経営者及び事業計画責任者と討議し、当該差異要因が当該仮定に適切に加味されていることを確認した。

・売上総利益の成長率について、その合理性を確かめるために経営者及び事業計画責任者と討議するとともに、過去の実績値の趨勢分析並びにアナリストレポートの将来予測との比較分析を実施した。また、翌期の一部の顧客に係る売上総利益予算について関連資料と整合していることを確認した。

・継続成長率について、外部の機関等が開示するデータとの照合により当該仮定の適切性を評価した。

・割引率について、監査人が属するネットワークファームの評価の専門家を利用し、当該専門家が外部情報等に基づき独自に見積った割引率との比較により当該仮定の適切性を評価した。

・正味運転資本について、過去の月次推移分析結果と比較し、当該仮定の適切性を評価した。

・全社費用の各資金生成単位グループへの配賦率について、全社費用の明細を入手し、各費用と資金生成単位グループレベルのキャッシュ・インフロー生成の関連に係る分析を通じ、当該仮定の適切性を評価した。

 

 

オフィスビルのリース契約に係る使用権資産の評価における回収可能価額の見積りの合理性

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

連結財務諸表注記「16.リース取引」に記載のとおり、会社は当連結会計年度の連結財政状態計算書において、使用権資産128,348百万円(総資産の4%)を計上している。これには、会社の構造改革の一環で不動産の適正化の対象となった、2019年11月に借手として契約した米国ニューヨークのオフィスビルのリース契約に関する使用権資産21,827百万円が含まれており、リース期間は2038年7月末までとなっている。

当該使用権資産の評価における回収可能価額の見積りについては将来のサブリースの活用を見込んでいるが、将来のサブリース収入を加味してもなお回収可能価額が帳簿価額に満たないと見込まれることから、会社は、当該使用権資産を回収可能価額で連結財政状態計算書に計上し、帳簿価額に満たない額、すなわち6,690百万円の減損損失を構造改革費用として連結損益計算書に計上している。

経営者が使用権資産の評価における回収可能価額の測定に当たって採用した主要な仮定には、基本サブリース料及び空室期間が含まれる。これらの仮定は決算日における不確実性を考慮しており、市場環境の変化や予測不能な事象の発生等により影響を受ける可能性があるため、経営者による見積りと判断が会計上の見積りに重要な影響を及ぼす。

以上から当監査法人は、当該オフィスビルのリース契約に係る使用権資産の回収可能価額の見積りの合理性が当連結会計年度の連結財務諸表において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

当監査法人は、当該オフィスビルリース契約に係る使用権資産の評価における回収可能価額の見積りの合理性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。

●当該使用権資産の回収可能価額の見積りの合理性について、当監査法人は、連結子会社であるDentsu International Limitedの監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主として以下の監査手続を実施した。

・回収可能価額の算定に当たって採用された主要な仮定が適切かどうかについて評価するため、その根拠について、経営者及び経営者が利用した専門家に対して質問した。

・主要な仮定である基本サブリース料及び空室期間について、入手可能な外部の調査機関の情報又は監査人が属するネットワークファーム不動産評価の専門家を利用し入手した市場データとの整合性を検証した。  

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任

経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社電通グループの2024年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、株式会社電通グループが2024年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

内部統制報告書に対する経営者及び監査委員会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

    

(注)

上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

 

XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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