当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、2022年8月に発表し、2024年7月に修正した中期経営計画(2023/12~2025/12)において、「デジタル社会に、リアルな絆を」というビジョンを掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、SMS市場のリーディングカンパニーとしてメッセージングサービス事業を中心に事業展開しており、中長期的には「安心」、「安全」、「信頼」につながる「リアルな絆」を創出してまいりました。
しかしながら、当社を取り巻く市場環境の変化、事業体制の立ち遅れ等により、当初の計画を達成するに至らず、経営及び事業への取組み体制を刷新し、新たな経営体制への移行を行いました。また、新体制による新たな中期経営計画(2025/12~2027/12)の策定を行いました。
当社はSMS事業においては業界のパイオニアとして「通数」において今期もトップシェア争いを続けており、今後も一定のシェアを確保した事業展開は可能であると判断しておりますが、競争の激化、不安定な国際情勢や社会情勢、それに伴う為替市場の混乱や物価の高騰など、事業環境は大きく変化しており、当社においても SMS 事業での単価の下落は収益を直撃しており、通数の伸びが収益に直結しない事態となっております。こうした事業環境の変化に対する対応策、事業リスクに関する管理について、徹底した「構造改革」に取組み、収益構造改革を具現化してまいります。
(2) 経営環境及び経営戦略
当社グループの事業は、国内市場にて事業活動を行う当社及び国内子会社2社、海外市場にて事業活動を行う海外子会社1社がそれぞれ各市場に適した経営戦略を立案し、事業活動を展開しておりますが、SMS事業に依存した事業体制から、事業領域の拡大と新たな柱となる事業構築、M&Aを含む組織再編を図る事業方針として、コミュニケーション事業、ソリューション事業、投資・インキュベーション事業の3つの事業セグメントを設定し、M&Aを含む組織再編・新たな事業領域を構築いたしました。
こうした事業多角化戦略により、「収益」、「企業」及び「事業」の改革を進め、新たな企業価値の創造と向上を図ってまいります。
①コミュニケーション事業
当社グループの主たる事業であるメッセージングサービスの市場環境は、配信通数の伸びが見込まれるものの、競合他社参入による価格競争のため配信単価の下落傾向が続いており、営業利益については厳しい環境となっており、海外アグリゲーター経由のサービスを含め、速やかに対策を講じることが当社グループの課題であると認識しております。
当連結会計年度において、SMS配信サービス市場の拡大が予測される中、SMS配信プラットフォーム「SMSコネクト」を主力サービスとして展開しつつ、セキュリティサービスにおけるソリューション開発、新たな認証領域の用途提案などでマーケットの拡大に注力するとともに、新たな事業展開として、RCS(リッチコミュニケーションサービス)メッセージ市場、SNSメッセージングサービスへの取組みなど、より幅広い顧客ニーズに対応するマーケティング活動を展開し、新たな事業アライアンスの構築に取り組んでまいりました。
②ソリューション事業
「新たな収益源となる新規事業」をソリューション事業として、次代のアクリートへの転換の為の事業多様化戦略の下、当社の営業資産を活用して、既存事業に関連・派生する事業と成長因子の代表であるAIをキーワードとしたビジネスモデルやサービス提供などを中心に取り組んでまいりました。
国内だけでなく、アジア全体、世界全体に目を向け信頼性の高いAIサービス事業者との連携に加え、安価なクラウドサービス、ハードウェア、データセンターを提供出来る事業者と連携することにより、ソリューションとしてのサービス提供を模索してまいりました。
③投資・インキュベーション事業
次代へ向けた取り組みとして、投資部門を新設し、当社とのシナジーのある技術・テクノロジーを発掘して投融資を行い、事業アライアンス及び子会社化後のインキュベーションを実施してまいります。有望な開発系やAIベンチャーへの投資を通して、当社でのリソース活用やインキュベーションを行なう事で投資先の事業育成支援並びに事業収益面の取込みを目指しました。これまでも当社のSMSメッセージングサービスのソリューションとしてSMS付帯サービスとなる可能性のある投資先候補を発掘しております。
また、「技術はあるが営業が弱い」「資金調達に苦労している」スタートアップ企業やベンチャー企業を先行投資対象先として、事業成果を求めてまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、以下の事項を今後の事業展開における重要な課題として認識し、取り組んでまいります。
① コミュニケーション事業を取り巻く事業環境の変化
当社はこれまで社会変化とともに現れる前例のない情報社会の課題や変革、DX化やそれに伴う個人情報の
扱いなど、激変するデジタル社会において、解決策を提供していくことが当社の成長ドライバーになり得ると認識しており、メッセージングをコミュニケーションサービスとして再フォーカスし、新たな可能性を追求する姿勢で、「セキュリティ×コミュニケーション×行動変容」を軸に、SMSをはじめとしたメッセージ手段を用いた社会課題解決への取り組みを推進していく事で利用用途の拡大を推進してまいります。
② 多様なメッセージングチャネルとの連携強化
新たな事業セグメントである「ソリューション事業」及び「投資・インキュベーション事業」と連動して、RCS(リッチコミュニケーションサービス)、SNSメッセージ市場など、より幅広く顧客ニーズに対応することで新たな市場を開拓し、独自のマーケットのシェアを確保することが増収益に繋がるものと考えております。連携を一層強化することにより、SMS配信サービスの営業体制を強化し、市場拡大とシェア拡大を図ることが重要な成長戦略であると認識しております。
③ 「ソリューション事業」における新サービス開発や新事業領域への進出
SMS事業との親和性を図りながら、当社の営業資産を活用して事業の多様化を図ってまいります。「ハード・アンド/プラス・サービス」を継続展開し、生成AIサービスの取り扱い開始することで、「コミュニケーション事業」、「投資・インキュベーション事業」に関連・協業可能な事業領域の拡大に取り組みます。
社内プロジェクトやグループ会社によるメディアミックス事業の推進、SMS関連のソリューションの開発など、他事業との連携・協業による相互補完体制を構築することが当社の成長因子となるものと認識しております。
④ 「投資・インキュベーション事業」からの企業構造改革・収益構造改革
新たな企業グループの構築、既存子会社の組織改革・統廃合、戦略的M&A、新サービス開発、事業提携を遂行してまいります。事業の多様化戦略のもと、係る資金調達の実施を含め、積極的な投融資とインキュベーションに取り組み、企業構造改革を図ります。新たな企業体制の構築が当社グループの業容拡大、企業価値向上に寄与するものと認識して、機動的な事業活動を展開してまいります。
⑤ 人員体制の強化
営業部門においては、新規顧客獲得や新サービスの開発・推進などセールスマーケティング体制の強化、及び既存顧客や新規顧客予備軍に対するカスタマーサポート体制の強化、システム開発部門においては、新サービスの開発や新事業領域への進出のための技術開発力の強化、事業開発部門においては、投資・インキュベーション事業拡大のためのM&Aや事業提携、新事業領域へ進出するためのマーケティング調査・研究開発力の強化、並びに経営管理部門では、企業規模の拡大の基礎となる経営管理体制の充実とコーポレート・ガバナンスの強化が必要であると認識しております。
各部門での課題を解決・対応するための人材の確保や育成に努めてまいります。
また、グループシナジーの創出や子会社事業の成長戦略など、子会社経営を任せられる人材の確保や育成についても今後の当社グループの持続的な成長において重要な課題であると認識しております。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
成長性と収益性及び企業価値の向上が経営上の重点課題と認識しており、成長性につきましては売上高対前年比率、収益性につきましては売上高経常利益率等の経営指標を重視しております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、中長期的な企業価値の向上のため、サステナビリティを巡る課題への対応は経営の重要課題と認識しておりますが、現状、基本方針を定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続き等の体制をその他のコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。
当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「
(2)戦略
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクも含め会社の経営に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、これらに対して適切な対策を講じ、リスクを減らすべく、取締役会並びに経営会議で審議・決定致します。
また、必要に応じて弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家の助言を受けられる体制を構築するとともに監査等委員会監査及び内部監査を通じて、潜在的なリスクの早期発見及び未然防止によるリスク軽減に努めております。
なお、当社グループが認識する事業等のリスクに関する詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループは、人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関し、現在のところ具体的な指標及び目標は設定しておりませんが、性別や年齢、国籍に関わらず、能力や適性に応じて、管理職への登用も含め適材適所で配置しており、優れた人材を確保し、定着させるために、積立有給休暇制度や団体長期障害所得補償保険、企業型確定拠出年金制度の導入、在宅勤務制度や遠隔地勤務制度による柔軟な働き方を実現するなど、一定の環境整備を行っております。今後も最も重要な経営資源である人材の育成及び社内環境の整備を推進してまいります。
また、当社グループのサステナビリティに関する指標及び目標は現時点では設定しておりません。今後、ホワイト企業認定に関する取組み他、企業価値向上に向けたサステナビリティに関する指標及び目標については、社内で議論を深めてまいります。
なお、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異については、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスクについて
① SMS配信サービス市場について
SMS配信サービス市場は、2023年以降、コロナ特需とは別のSMS利用用途の拡大により、利用企業数、配信通数ともにその後も継続的に成長しておりますが、今後、新たな法的規制の導入、SMS配信が縮小するまたは不要となる技術革新、携帯電話事業者の方針変更等により、当社の想定どおりSMS配信サービス市場が発展しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合企業について
携帯電話事業者が認める正規配信ルートによりSMS配信サービスを提供するためには、すべての携帯電話事業者と直接接続契約を締結する必要があるため、現状、国内におけるSMS配信サービス市場は当社を含む4社により市場の大半を占めております。しかしながら、今後、市場規模が拡大することで、新規参入企業が増加する可能性は否定できず、競合企業の増加により競争が激化した場合には当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ SMS配信サービスの利用用途及び健全性と一般ユーザーの動向について
当社では、配信コンテンツの利用用途及び健全性について事前審査を行うとともに、「迷惑メール対策推進協議会」構成員及び「フィッシング対策協議会」正会員として、企業と一般ユーザーとの双方にメリットのあるSMS配信を促進することで健全な市場育成を目指しております。しかしながら、競合他社及び正規ルート以外でのSMS配信業者等により、一般ユーザーに受け入れられない迷惑SMSの配信が横行し、SMS配信そのものの信頼性が損なわれるような状況となった場合には、市場の発展が阻害され、当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスクについて
① 携帯電話事業者との契約関係について
当社は、SMS配信サービスを提供するために、現在、主要な携帯電話事業者4社と直接接続契約を締結しており、当社では事業者から依頼された配信コンテンツを当社システムから携帯電話事業者のSMS配信ルートを利用して、一般ユーザーに配信しております。
従いまして、当社では携帯電話事業者との契約は当社の事業活動の前提となる契約であると考えており、現在、携帯電話事業者と当社の間の契約の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、携帯電話事業者の新規参入があり、当該携帯電話事業者との契約が想定どおり進捗しなかった場合、携帯電話事業者によりSMSの送信単価の引き上げが実施された場合、その他何らかの事情により当社といずれかの携帯電話事業者との契約の変更もしくは継続ができなくなった場合には、当社グループの事業運営及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
② 海外SMSアグリゲーターの動向について
当社は海外SMSアグリゲーター向けに、SMPP国際ゲートウェイサービスを提供しており、グローバル企業が海外SMSアグリゲーターに委託したSMS配信のうち国内ユーザー向けの配信の受託を行っております。
複数の海外SMSアグリゲーターとの取引で1社への依存度を下げること、各社との良好な関係を保つことにより各社の動向をタイムリーに把握するような営業体制を構築することでリスクが最小限にするよう対策をしておりますが、大手グローバル企業が委託する海外SMSアグリゲーターを変更することで、当社が国内ユーザー向けの配信の受託ができなくなる、もしくは当該理由により国内ユーザー向けの配信が著しく減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、現在のところ海外SMSアグリゲーターは、システムの安定性並びに日本特有のSMS配信ビジネスに関連する法令(電気通信事業法、迷惑メール防止法)の遵守等の理由で当社サービスの利用を継続的に行っておりますが、当社のゲートウェイサービスを利用してSMS配信を行っている海外SMSアグリゲーターが独自で国内SMS配信サービス市場に参入した場合もしくは他の配信ルートを利用することとした場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 販社・代理店の営業活動について
当社はSMS配信サービスの事業拡大のため、直接販売だけではなく、コールセンター、システム開発会社等と協業して、国内での市場開発及び営業活動を連携して行っております。しかしながら、これらの販社・代理店が当社の想定する営業活動を推進しなかった場合、また、何らかの事情により営業活動が制限され新規取引先の獲得ができなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新規事業について
当社グループは、引き続き積極的に新サービス、新規事業開発に取り組んでまいりますが、これにより人材の採用や開発費用、プロモーション費用、研究調査等の先行投資等に追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性(内的要因)があります。
また、他にも消費者ニーズの変化やトレンドの変化、新たな規制の導入、予期せぬ競合の出現といった競争状態の変化、販売ライセンスの取得、為替変動といった外的要因の影響によって事業推進遅延が起こる場合もございます。新サービスや新規事業の拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ カントリーリスクについて
当社グループはベトナムに在外連結子会社を有していることから海外各国の独自のビジネス環境を前提として事業を展開しております。海外でのビジネスには、各国の政治、経済の諸条件の変更、各種法制度の見直し等、ビジネスに大きな変動が生じる恐れがあります。当社グループは、こうした事業遂行上の環境変化に対して各国の行政窓口、取引先、各種専門家等から常に最新の情報を収集するよう努めておりますが、予期できない政治、経済の変化や自然災害、紛争の勃発などが生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ システムの安定性について
当社が提供するサービスは、当社が開発したSMS配信システムにより提供されております。当社では、システムトラブルが発生しないよう24時間体制での監視を行うとともに、大量配信による負荷、セキュリティ対策、自然災害等を想定したシステム運用を行うことで、システムダウンや重大なシステム障害等を防止する体制を維持・改善することを重大な経営上の課題と認識しておりますが、何らかのトラブルによりシステムダウンやシステム障害等が発生した場合には、当社の社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティーリスクについて
当社グループでは、サービス提供において、業務上、顧客企業が保有する個人情報や顧客企業の機密情報を知り得る場合があります。このため、当社グループでは情報セキュリティ体制の強化に努めるとともに、2014年10月にISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメント)、2020年1月にISO/IEC 27017(クラウドサービスセキュリティ)の規格に適合する証明を取得しております。しかしながら、コンピュータウイルス、不正アクセス、人為的過失、あるいは顧客システムの運用障害、その他の理由により、これらの機密情報の漏洩が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社の信用失墜の事態を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産権の侵害について
当社グループは、第三者の知的財産権に関して、外部の弁護士、弁理士を通じて調査を行い、権利侵害がないよう留意することでリスクの回避を行っておりますが、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性や今後第三者により知的財産権が成立する可能性があります。
万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者により損害賠償請求、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払請求等が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが事業活動において使用している一部の技術に関し、第三者の知的財産権が成立しているものが存在していることを確認しておりますが、当社グループでは当該知的財産権が成立する以前から当該技術を使用しており当社グループは先使用権を有していると認識しており、当該知的財産権に関する侵害はないものと考えております。
⑨ 為替相場の変動について
当社の海外SMSアグリゲーター向けのSMPP国際ゲートウェイサービスは外貨建てとなっている取引もあるため、円建ての取引に変更してもらうなど為替相場の影響を受けないよう対策をしておりますが、急激な為替相場の変動により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループはベトナムに在外連結子会社を有しております。為替相場の変動は、連結決算における海外連結子会社財務諸表の円貨換算額に影響を与えるため、為替相場に著しい変動が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 資産の減損損失について
当社グループが保有する固定資産において将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する必要があります。当社グループが保有する固定資産において減損損失を計上する必要が生じた場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ M&Aについて
事業活動を行っている子会社である株式会社テクノミックス、株式会社ズノー・メディアソリューション及びVietGuys J.S.C.は、当社グループの業績に貢献するものと見込んでおります。しかしながら、事業環境の変化等により当初の想定を下回る場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 訴訟等について
当社グループでは、これまでに訴訟は発生しておりません。しかしながら、将来において予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や賠償金額によって、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 組織体制に関するリスクについて
① 小規模組織体制及び人材の確保・育成について
当社グループは、当連結会計年度末現在、従業員98名と子会社3社を含めてもいまだに小規模組織であり、現状、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。現在、市場の成長に伴い、当社グループも大きく成長段階にあり、事業拡大に応じた採用活動を行っていくとともに従業員の育成を行い、人員増強を引き続き進める方針でありますが、優秀な人材を獲得することがタイムリーにできなかった場合、当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制の強化について
当社グループでは、企業価値の継続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備及び運用、法令遵守を徹底してまいりますが、人材の確保の遅れ等により、十分な内部管理体制の構築ができない状況となった場合、適切な業務運営が困難となる可能性があります。
(4) 法的規制に関するリスクについて
当社グループは、会社法、金融商品取引法、労働基準法、個人情報保護法、法人税法等の一般的な法令に加え、電気通信事業法、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(俗称:迷惑メール防止法)の規制を受けております。また、将来的に同法の改正や事業に関する分野を規制する法令等の制定、あるいは自主的な業界ルールの制定等が行われた場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
① 電気通信事業法
当社及び各連結子会社は、電気通信事業者として総務省に届出を行い登録されています。従って、電気通信事業法及び関連する省令等を遵守する必要があります。
同法においては、電気通信事業者の取扱い中にかかる通信の秘密を侵す行為及び電気通信事業に従事する者またはかつて従事した者が、電気通信事業者の取扱い中にかかる通信に関して知り得た他人の秘密を漏らす行為が規制されております。当社は、同法で規定される通信の秘密等の原則を徹底し、法令違反が発生しない体制での事業運営を行っており、現在まで同法に抵触した事実はございません。しかしながら、万一法令違反が発生した場合、業務改善命令もしくは罰則を受け、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。
② 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律は、一時に多数の者に対してなされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることを鑑み、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的としており、当社が配信している事業者から個人向けのSMS配信も対象となっております。
当社では、同法で規定されるあらかじめ同意したユーザーのみへの広告宣伝SMS配信を行うオプトイン方式、同意を証する記録の保存、表示義務を遵守していることを当社の顧客である配信元事業者等に確認を行うことで、SMS配信審査の中で法令違反が発生しない体制での事業運営を行っておりますが、万一当社の顧客が法令違反をし、業務改善命令もしくは罰則を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 大株主に関するリスクについて
当社の大株主であるBANA1号有限責任事業組合は、当社の分割法人であるインディゴ株式会社の取締役4名が組合員であり、当社株式保有を目的として設立された有限責任事業組合であります。当社とインディゴ株式会社及びBANA1号有限責任事業組合との間には、取引関係はなく、2024年12月末においては、組合員4名が当社の取締役および取締役監査等委員を兼務しておりました。
2024年12月末現在、BANA1号有限責任事業組合は、当社発行済株式総数(自己株式を除く。)の24.19%を保有しておりますが、何らかの事情により、長期的な株式保有の方針が変わる可能性があります。それに伴い、当社株式が売却された場合、当社株式の市場価格や流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) その他のリスクについて
① 配当政策について
当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と認識し、業績に応じた配当の支払いを安定的、継続的に実施することを基本方針としております。
しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性があります。
② 新株予約権について
2024年12月末現在、新株予約権による潜在株式数は1,333,000株であり、発行済株式総数5,977,500株の22.3%に相当しております。なお、新株予約権の詳細は、後記「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご参照ください。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
資産、負債、純資産別の財政状態は以下のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べて622,798千円減少し、3,588,561千円となりました。これは主に、売掛金208,165千円の増加、現金及び預金353,843千円、顧客関連資産468,243千円の減少によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べて567,191千円減少し、1,497,305千円となりました。これは主に、これは主に買掛金77,750千円、長期借入金354,431千円、繰延税金負債97,420千円の減少によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて55,606千円減少し、2,091,256千円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加73,498千円、新株予約権の行使に伴う資本金450千円及び資本剰余金450千円の増加に対して、非支配株主持分167,420千円の減少によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善は進み、緩やかながら回復基調に向かいつつありましたが、ウクライナ並びに中東地域での紛争や金融資本市場の変動、円安進行などの影響から、資源価格の高騰などにより、物価上昇は継続状況にあり、給与水準の伸び悩みや消費活動の停滞が続く中で、依然として経済環境の先行きの不透明感は払拭できず、楽観できない状況が続いております。
当社が法人向けSMS配信事業を2010年に開始して以降、15年間にわたって日本で法人向けSMS配信市場を創造し、牽引してきたパイオニアとして、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションの実現に取り組み、現在では5,000社を超えるグローバルIT企業や国内大手企業など様々な企業の方々にご利用いただいており、SMS市場ではトップシェアを競う企業に成長してまいりました。また、2021年より「アジアのアクリート」を掲げての事業国際化とSMS以外の領域への進出による新たな成長を目指して、株式会社テクノミックス、株式会社Xoxzo、VietGuys JSC.(以下、VGS社という)を傘下に加え、2022年8月にお知らせした中期経営計画に沿った事業活動を行ってきました。しかしながら、当社の事業に係る事業環境の大きな変化、当社の経営・事業体制の立ち遅れと脆弱さなどにより、中期経営計画の見直しが必須となり、2024年3月の定時株主総会にて新たな経営体制への移行を行い、新たな経営陣により、当連結会計年度の7月に「中期経営計画の修正に関するお知らせ」を発表し、従来の報告セグメントを、①「コミュニケーション事業」、②「ソリューション事業」、③「投資・インキュベーション事業」の3つのセグメントへ変更し、当社の事業の新たなステージに向けた取り組みを進めることとなりました。新たな取り組みの一環として当連結会計年度にSMS配信事業の新たな収益機会を引き出し、ソリューション事業の効率的かつ合理的な展開のために株式会社ズノー・メディアソリューション(以下ZMS社という)を新たに子会社化しました。しかしながら一方で、新たな事業構想から外れた株式会社Xoxzoについては、全株式譲渡を実施しております。
このような事業環境と中期経営計画の修正の下、3つの報告セグメントによる当連結会計年度の売上高は対前年同期比16.8%増の6,347,970千円となりました。
売上高については当社グループの主たる事業である「コミュニケーション事業」が競合他社との厳しい価格競争もありながらも、5,806,290千円と国内SMS配信通数と海外アグリゲーター経由でのSMS配信通数がともに増加しており、安定した売上高を計上しております。新たなセグメントである「ソリューション事業」はその本格的な事業開始が当期第3四半期からであったこともあり、445,454千円となっており、「投資・インキュベーション事業」についても、やはり事業開始時期が当期第3四半期であったことから138,800千円でした。
事業利益に関しては当連結会計年度では、アクリートにおける採用活動の抑制による人件費削減が見られたものの、新セグメントにおける初期準備・導入コストの計上や、配信数増加にともなう仕入原価の増加等の要因もあり、営業利益は対前年同期比で6.9%増ではありますが、営業利益率は5.2%という結果となりました。
以上の結果をまとめますと、当連結会計年度の業績は、売上高6,347,970千円(前年同期比16.8%増)、営業利益331,881千円(前年同期比6.9%増)となり、経常利益331,350千円(前年同期比8.3%増)となりました。また、後述の減損損失などの理由により、特別損失455,461千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は73,498千円(前年同期比119.9%増)となりました。
なお、売上高については事前に想定していた株式会社ズノーの連結子会社化の時期が予定よりもずれ込み、翌連結会計年度となったために連結売上高において計画と実績数値に差異が生じたこと、親会社株主に帰属する当期純利益においては、VGS社にて顧客関連資産における減損損失を計上することとなったことから当社は業績予想の修正を行っております。
当社の業容につきましては、主たる事業である「コミュニケーション事業」の内、SMS配信サービスの市場環境は、2024年度から2029年度までの年平均成長率は24.8%増と見込まれ、(「ミックITリポート2024年11月号」(デロイトトーマツミック経済研究所株式会社))、今後も成長を続けると予想されていますが、競合他社との価格競争は依然として継続しております。そのような市場環境のなか、当社では国内SMS配信通数と海外アグリゲーター経由でのSMS配信通数がともに増加しており、グループ全体の安定した事業成長を牽引しております。特に海外アグリゲーター経由でのSMS配信は、配信単価が下落傾向にありましたが、当第3四半期に続き、当第4四半期においても対前年同四半期比で116%と順調に配信数を伸ばし売上に大きく寄与しました。つぎに、新たな収益源の確立となるべく「ソリューション事業」では、GPUサーバーの売上が当第4四半期には計上ができず、収益獲得が2025年以降へ持ち越されることとなりました。また、「投資・インキュベーション事業」では、新たなシナジー効果を期待し、ZMS社をグループ会社として新たに迎え入れ、当第4四半期から連結業績に反映することになりました。
当社は2025年2月10日に「事業多様化と構造改革」をテーマとした中期経営計画[2025-2027]を発表いたしました。中期経営計画[2025-2027]では、「超情報化社会におけるコミュニケート・プラットフォームカンパニー」の実現に向けたSMS単一事業展開からの脱却を図り、前述した3つの事業セグメントでの事業領域拡大を図ることでの収益構造改革を行ってまいります。そのテーマの中心として、「AIテクノロジー」をフックとしたビジネスポジションの構築、さらにもう1つの成長因子として「海外企業との提携/協業を行うなどの事業国際化」を進めてまいります。さらには新たなマーケティングによる事業領域の拡大による経営の活性化や事業体制改編を行い、多様なメッセージサービス展開への挑戦やAI技術を含む独自のソリューションにも取り組んでまいります。
各セグメントの業績は以下のとおりとなります。
① コミュニケーション事業
コミュニケーション事業はSMSをはじめとするメッセージングサービス事業活動を行う当社及び子会社
にて構成されております。当セグメントにおける、各サービスの概況は以下のとおりであります。
a.国内SMS配信サービス
当連結会計年度において、まず国内SMS市場では競合他社との価格競争による販売単価については下落
傾向が続いておりますが、SMS配信数は対前年同期比109%と引き続き増加しております。今後はSMS
市場の通数での優位性を活用し、RCS(+メッセージ)市場やSNS系メッセージにおいても通数のトッ
プシェアを目指すことで増収・増益を目指していく方針です。また、海外SMSアグリゲーター経由でのS
MS配信についても、引き続き国内SMS市場同様に競合他社との価格競争が続いている中で、SMS配信
数も対前年同期比116%と増加しておりますが、当連結会計年度第3四半期より順調に配信数を伸ばし、回
復傾向にあります。また、当第3四半期連結会計期間において新たな取り組みとして業務提携を発表した中
国Techown社に加え、新たな海外企業との業務提携を推進し、収益拡大に努めてまいります。
b.海外(ベトナム)におけるメッセージングサービス
海外メッセージングサービスにつきましては現在ベトナムにおけるメッセージングサービスを行う子会社で
あるVGS社にて展開しております。ベトナムを含めた東南アジアにおいては、メッセージ手段の多様化に
伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であります。VGS社は、
CDP(Customer Data Platform)サービスを軸として、ベトナム国内におけるメッ
セージングサービスのオムニチャネル化を推進し、SMS以外のサービス拡充や他社との提携を推進するこ
とにより、事業拡大と収益率向上に取り組んでおります。なお、当グループにおける海外展開については、
その他のアジア各国においても新経営陣の持つ海外ネットワークを活用して当社の業容拡大を推進してまい
ります。
c.メール配信サービス
子会社であるテクノミックス社により、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間
の連絡をスムーズに行うための手段である「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急
連絡システム「自治体安心メール」等を展開しております。メール配信サービスの利用顧客は、当連結会計
年度からは、当社及び販売代理店との連携強化による顧客拡大に注力しておりますが、少子化の影響を受け
提供対象となる学生数の減少に伴い、配信通数が減少傾向にあります。
以上の結果、当セグメントの売上高は5,806,290千円(前年同期比8.2%増)、セグメント利益は604,042千円(前年同期比88.8%増)となりました。
② ソリューション事業
ソリューション事業は、SMS以外において領域の拡大を図っていきます。具体的にはGPUサーバーの
取扱い開始を契機とする「ハード・アンド/プラス・サービス」という新たな事業カテゴリーの商品販売の
企画展開と、当社グループおよび外部企業との連携・協業による「AI系ソリューション」で構成されてお
ります。当連結会計年度において、GPUサーバーの売上を計上したことを受け、翌連結会計年度以降も引
き続き取り組んでまいります。また、GPUサーバー以外にも、「ハード・アンド/プラス・サービス」、
および音声・顔分析技術活用の「ANOTHER AI(アナザーアイ)」、行動変容生成AI「Nudg
eMaker®for SMS」、IoTエッジデバイス「SchooMy」プロジェクトなど「AI系ソリ
ューション」においても領域拡大を図ってまいります。なお、スクーミー社が提供するIoTエッジデバイ
ス「SchooMy」の総販売代理店事業はすでに開始しており、翌連結会計年度より実績が計上される見
通しです。
以上の結果、当セグメントの売上高は445,454千円、セグメント損失は34,587千円となりました。
③ 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業は、有望な開発系やAIベンチャーへの投資を図ることで当社での社内活用やインキュベーションを通じた投資先の事業育成支援を行いつつ、事業収益面での取り込みを目指してまいります。当連結会計年度において、ZMS社は第4四半期より連結業績に反映いたしました。また、翌連結会計年度に株式会社ズノーを迎えいれ、両社のクリエイティブ力やリソースを活用し、SMS配信事業の新たな収益機会とソリューション事業の効率的展開を目指してまいります。一方で株式会社Xoxzoについては、中期経営計画[2025-2027]における事業構想から外れたことから、当連結会計年度にて株式譲渡を実施することとなりました。今後も引き続き、当社にとって親和性・事業シナジーのあるような、有益と判断した投資や国内外企業との提携・協業を推進してまいります。
以上の結果、当セグメントの売上高は138,800千円(前年同期比37.6%増)、セグメント利益は2,416千円(前年同期は損失9,054千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、1,471,151千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、214,954千円の収入(前年同期は191,139千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、非資金項目の減価償却費112,674千円、減損損失439,943千円の調整、売上債権の増加150,776千円、仕入債務の減少123,137千円であり、支出の主な内訳は、税金等調整前当期純損失115,246千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、104,678千円の支出(前年同期は95,151千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出24,807千円、投資有価証券の取得による支出60,000千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出24,312千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、473,338千円の支出(前年同期は461,793千円の支出)となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入100,000千円、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出100,000千円、長期借入金の返済による支出421,284千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出62,000千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
|
金額(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
|
コミュニケーション事業 |
5,873,837 |
108.2 |
|
ソリューション事業 |
445,454 |
- |
|
投資・インキュベーション事業 |
138,678 |
137.6 |
|
調整額 |
△42,575 |
- |
|
合計 |
6,347,970 |
116.8 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであり
ます。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Telesign Corporation |
707,859 |
13.03 |
250,168 |
3.94 |
|
Twilio Inc. |
375,322 |
6.91 |
516,575 |
8.14 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」にも記載しておりますが、売上高は6,347,970千円(前年同期比16.8%増)となりました。これは主に、当社グループの主たる事業であるコミュニケーション事業が競合他社との厳しい価格競争もありながらも、5,806,290千円と国内SMS配信通数と海外アグリゲーター経由でのSMS配信通数がともに増加しており、安定した売上高を計上しております。新たなセグメントであるソリューション事業はその本格的な事業開始が当期第3四半期からであったこともあり、445,454千円となっており、投資・インキュベーション事業についても、事業開始時期が当期第3四半期であったことから138,800千円となり、通期で業績貢献したことが要因となっております。
売上原価は、4,785,787千円(前年同期比24.5%増)となりました。これは主に、当社において、国内SMS配信数増加に伴う携帯電話事業者からの仕入高増加によるものが増加要因となっております。
販売費及び一般管理費は、1,230,301千円(前年同期比3.7%減)となりました。これは主に、広告及び販促費用を見直し及びWeb会議等活用し出張旅費の低減化が減少要因となっております。
以上の結果、営業利益は331,881千円(前年同期比6.9%増)となりました。
経常利益は、貸付による受取利息1,232千円、為替差益4,642千円及び借入による支払利息6,427千円により、331,350千円(前年同期比8.3%増)となり、株式会社Xoxzoの株式売却による関係会社株式売却益による特別利益8,865千円、投資有価証券評価損及び顧客関連資産等の減損損失などの特別損失455,461千円を計上した結果、税金等調整前当期純損失は115,246千円(前年同期は11,652千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は73,498千円(前年同期比119.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウエアの開発資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、事業開発に伴うM&Aによる株式取得費用や、新事業領域への進出を見据えた研究開発費用等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
今後のさらなる成長の為に、SMSを活用した付加価値の高いサービスの開発や、SMS配信サービスの営業体制強化のためのプロモーション、また、市場シェア拡大のためのM&A、新事業領域への進出を見据えた研究開発等に取り組む方針です。これらの事業活動に必要となる資金は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は502,371千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,471,151千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しておりますが、当連結会計年度における当社グループの売上高の29.9%を占める海外アグリゲーター経由のSMS配信サービスの海外アグリゲーターの動向、競合企業の動向及び携帯電話事業者との契約関係は、当社の経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、法人向けSMS配信事業を2010年に開始して以降、15年間にわたって日本で法人向けSMS配信市場を創造し、牽引してきたパイオニアとして、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションの実現に取り組み、現在では5,000社を超えるグローバルIT企業や国内大手企業など様々な企業の方々にご利用いただいており、SMS市場ではトップシェアを競う企業に成長してまいりました。しかしながら、当社の事業に係る事業環境の大きな変化、当社の経営・事業体制の立ち遅れと脆弱さなどにより、2022年8月にお知らせした中期経営計画の見直しが必須となり、2024年3月の定時株主総会にて新たな経営体制への移行を行い、新たな経営陣により、当連結会計年度の7月に「中期経営計画の修正に関するお知らせ」を発表し、従来の報告セグメントを、①「コミュニケーション事業」、②「ソリューション事業」、③「投資・インキュベーション事業」の3つのセグメントへ変更し、当社の事業の新たなステージに向けた取り組みを進めることとなりました。
新たな取り組みの一環として当連結会計年度にSMS配信事業以外の新たな収益機会を引き出すことを目的に、「ソリューション事業」として効率的かつ合理的な展開と事業領域の拡大を図っております。具体的にはGPUサーバーの取扱い開始を契機とする「ハード・アンド/プラス・サービス」という新たな事業カテゴリーの商品販売の企画展開と、当社グループおよび外部企業との連携・協業による「AI系ソリューション」で構成されております。新たなセグメントとして開始した当連結会計年度において、GPUサーバーの売上を計上したことを受け、翌連結会計年度以降も引き続き取り組んでまいります。また、GPUサーバー以外にも、「ハード・アンド/プラス・サービス」、および音声・顔分析技術活用の「ANOTHER AI(アナザーアイ)」、行動変容生成AI「NudgeMaker®for SMS」、IoTエッジデバイス「SchooMy」プロジェクトなど「AI系ソリューション」においても領域拡大を図ってまいります。なお、スクーミー社が提供するIoTエッジデバイス「SchooMy」の総販売代理店事業はすでに開始しており、翌連結会計年度より実績が計上される見通しです。
「投資・インキュベーション事業」においては、有望な開発系やAIベンチャーへの投資を図ることで当社での社内活用やインキュベーションを通じた投資先の事業育成支援を行いつつ、事業収益面での取り込みを目指してまいります。当連結会計年度において、ZMS社は第4四半期より連結業績に反映いたしました。また、新たに株式会社ズノー社を迎えいれ、両社のクリエイティブ力やリソースを活用し、SMS配信事業の新たな収益機会と「ソリューション事業」の効率的展開を目指してまいります。一方で株式会社Xoxzoについては、中期経営計画(2025/12~2027/12)における事業構想から外れたことから、当連結会計年度にて株式譲渡を実施することとなりました。今後も引き続き、当社にとって親和性・事業シナジーのあるような、有益と判断した投資や国内外企業との提携・協業を推進してまいります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、「デジタル社会に、リアルな絆を」を会社のビジョンとして掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、メッセージングサービス事業を展開しております。
2025年2月に中期経営計画(2025/12~2027/12)を発表し、中期テーマとして「事業多様化と構造改革」を掲げ、「超情報化社会におけるコミュニケート・プラットフォームカンパニー」となることを目指します。超情報化社会でのキープレイヤーたることが当社グループの価値創出につながるという考えのもと、幅広いマーケットへ事業拡大を目指してまいります。
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(1)携帯通信事業者との契約
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相手方の名称 |
契約または申込の名称 |
契約期間または申込日 |
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(提供者) 株式会社NTTドコモ (代理人) 株式会社ドコモビジネスソリューションズ※ |
電気通信サービスの提供に関する契約書 |
契約期間 2025年3月1日から2026年2月28日まで |
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KDDI株式会社 |
SMS(Cメール)配信システム使用契約書 |
当初契約期間 2013年8月1日から2014年7月31日まで (以後1年毎の自動更新) |
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ソフトバンク株式会社 |
データ通信網サービス接続サイト申込 |
利用開始申込日 2013年10月15日 |
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楽天モバイル株式会社 |
楽天SMS配信サービス申込書 |
利用開始申込日 2019年9月19日 |
※ 株式会社NTTドコモと締結した前契約の期間満了に伴い、契約先及び契約期間を変更して新たに締結しました。
当社グループは、「コミュニケーション事業」において、現在国内展開している電話番号を使ったSMS配信サービスから、「セキュリティ×コミュニケーション×行動変容」を軸に、電話番号にとらわれない新事業領域の研究開発に取り組んでおり、多要素認証サービスやナッジAIなど多様なコミュニケーション基盤の開発を進めております。また、新たな事業展開のため、SMSを応用、活用したサービス機器の開発などに取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は