文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営方針
当社グループは、「レンティアグループは 顧客を創造し 社業発展 進歩を図り 社会に貢献する」ことをグループ理念に掲げ、それを実現するため長期的な目標として、「人的資本の充実を通じて、自律した事業を確立し、企業価値向上を図るとともに、事業の進化によって社会・環境の持続的な発展に寄与する。」ことをグループビジョンとしております。
また、2023年にはサステナビリティ基本方針を作成し、事業運営において積極的にサステナビリティの考えを取り入れてまいりました。
(2) 中期経営計画と経営戦略
当社グループは2024年を初年度とする3カ年の中期経営計画「Next Evolution26」を策定いたしました。
この中期経営計画は、これまでのグループ理念体系に新たにサステナビリティ推進の考え方を加えた上で、今後3年間で理念を具現化するための戦略と施策と位置付け、「ESG経営を深化する新規事業の創出と経営基盤の強化に取り組むとともに、将来に向けた人的資本の充実を着実に推進する。」ことを基本方針としております。
(重点項目)
・新規事業の創出
DX関連商品・サービスを拡充し、建設現場のニーズに対応
得意とするFF&Eを活用し、常設オフィスに対するソリューションを拡大
ICT関連のアライアンスパートナーの拡大
常設オフィス向けの拡大(市場軸)と、ICT関連商品でのシェア拡大(商品・サービス軸)を重点戦略として掲げる。
・経営基盤の強化
物流のDXの推進
AIを活用したスマートロジスティクスの最適化
バックオフィス業務の簡素化、デジタル化
リスクマネジメントの徹底、コンプライアンス意識の向上
・人的資本の充実
人事制度再構築
教育体系整備
誰もが働きやすい環境・風土の醸成
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画の重点施策を通して事業拡大を図ります。
一方で、事業の拡大は戦略商品の購入増加を伴い、営業利益率にはマイナスに影響するものと考えています。
これらのことを踏まえ、2026年を最終年度とする中期経営計画では目標指標を「売上高営業利益率」と「自己資本当期純利益率」の2つに定め、「売上高営業利益率9.1%」、「ROE12%以上の確保」を目標値として設定しております。
(4) 経営環境
経営環境につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、ESG経営を深化させ事業を通して持続可能な社会に貢献するため、中期経営計画において次の事項を対処すべき課題に掲げ取り組んでまいります。
(新規事業の創出)
・成長市場への積極的進出
変化の激しい現代において、顧客ニーズの多様化と技術革新の加速は、レンタル業に新たな成長機会をもたらしています。成熟市場で埋もれがちな潜在需要を掘り起こし、先進的なサービスや商品を提供することで、競争優位性を確立し、持続的な成長を実現することが可能となります。
そのため成長が見込まれる新たな市場や商品・サービスに対し、集中的に資源を投下し開拓しております。
・DX人材の育成
昨今のDXを活用した業務効率化のニーズの高まりに対応するため、DX関連商品・サービスの拡充を重点項目に掲げています。しかし、DXを推進するには、専門知識を持つ人材が不可欠です。そこで、当社グループでは、DX教育による資格取得支援やAI教育を全社員向けに実施し、DX人材の育成を強化しております。
・効率的な商品調達の推進
当社グループは100万点以上の豊富な商品を保有し、その稼働率は損益に大きく影響します。近年、付加価値の高い商品へのニーズが高まっており、当社は戦略的に商品の調達量を増加させています。
しかし、商品の増加は収益力強化に繋がる一方で、調達初期における償却費の増加に加え、継続的な商品管理業務の負荷拡大という課題が発生します。
これらの課題に対応するため、調達先との連携強化やKPI管理により、柔軟かつ効率的な商品調達に努めています。
(経営基盤の強化)
・ロジスティクス機能の拡充
当社グループは、多数の商品を保有しており、今後も付加価値の高い商品を中心に調達する計画です。
そこで、今後も増加することが予想される商品を効率的に管理するため、それを支えるロジスティクス機能の拡充が、上場来の課題であるとともに、物流の2024年問題への対応にもつながるものと考えています。
当社は、この課題に対応すべく、2023年に物流のDX推進を念頭に社内プロジェクトを発足し、千葉県にある自社倉庫の具体的な拡充の検討を始めました。
・内部管理体制の強化
これまでコンプライアンスに関する啓発活動やリスクコンプライアンス委員会の開催等、内部管理体制の強化に努めてまいりました。しかし、近年では法令遵守にとどまらず、より広い規範の遵守やリスク管理への取り組みが求められております。
こうした社会的要請に対応するため、今まで以上に内部統制の実効性を高め、コーポレート・ガバナンスを充実していくことで内部管理体制の強化を図るとともに、リスク管理を徹底し強固なコンプライアンス体制の構築に取り組んでまいります。
(人的資本の充実)
・人的資本投資の推進
近年、労働市場における人材不足が深刻化しており、優秀な人材の確保が困難になっています。
当社グループにとっても、持続的な成長と企業価値向上には、優秀な人材の採用、定着、育成、活用の人事サイクルの確立が不可欠と考えております。
こうした背景を踏まえ、当社グループは人的資本の充実を中期経営計画の重点項目に掲げ、人事制度の再構築、教育体系の整備、働きやすい環境・風土の醸成に取り組んでいます。
2024年には全社員を対象としたエンゲージメントサーベイを実施し、その結果を参考に改善策を推進するなど、PDCAサイクルによる継続的な実効性向上に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは持続可能な社会の実現に貢献し、持続的に成長することを目的として、2023年4月13日開催の取締役会において、「サステナビリティ規程」を制定すると共に、サステナビリティ経営の推進及び統括のため、代表取締役社長が任命した当社取締役が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置しました。同委員会は、サステナビリティに関する基本方針や重要課題(以下「マテリアリティ」という。)の作成と見直し、マテリアリティに対する進捗管理やその評価、検証、個別施策の審議、監督、取締役会への定期的な報告、提言等を行うことで、全社的なサステナビリティへの取組を推進してまいります。
(2)リスク管理
サステナビリティに関するリスクは、サステナビリティ委員会において各種リスクを識別・評価し、その対応策について検討を行ってまいります。
サステナビリティ委員会は、当社グループにおける各種リスクの特定を行い、リスクを識別し、識別されたリスクについては、取締役会に報告してまいります。
取締役会は、サステナビリティ委員会から定期的な報告を受け、各種リスクに関し管理・監督を行ってまいります。
(3)戦略
当社グループは、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上に向けて、サステナビリティ基本方針を策定し、取り組むべきマテリアリティを特定しております。また、サステナビリティ委員会において現状のマテリアリティを含むサステナビリティに関する取組を推進してまいります。
①サステナビリティ基本方針
当社グループは、ESG経営を通じて地球環境や社会課題への対応など、持続可能な社会に貢献することが、企業の持続可能性の向上や企業価値の向上につながるものと認識しております。グループ全体でサステナビリティ(持続可能な発展)への取組を推進し、企業の持続的成長を実現することを目的として事業活動を推進してまいります。
②マテリアリティ
当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、マテリアリティを次のとおり特定しております。
・限られた資源を有効活用する循環型事業の拡大
・事業活動により排出されるCO₂削減で脱炭素社会に貢献
・働き続けたい!を実現する社員エンゲージメントの向上
・クリエイティブ(レンタル)カンパニーを実現する。
・様々な協力会社との共創でお客様に価値ある商品・サービスの提供を実現するサステナブル調達
・ステークホルダーへの公共性維持を実現するリスクマネジメント
・社会から信頼される企業を実現するコンプライアンスの推進
当社グループでは、事業活動における様々な取り組みや、直接または間接的なサプライチェーン全体における温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、2)を、2009年より「環境経営レポート」を通じて毎年公表しておりました。今回2024年より開始した中期経営計画「Next Evolution26」におけるESG経営を深化するための施策として、GHG排出量に関わるScope3(2023年度実績分)の算定を開始しました。今後も当社グループは環境に与える負荷を可視化し、持続可能な社会の実現に貢献するため、継続的にScope3の算定および開示に取り組んでまいります。
また、人材の育成及び社内環境整備に関する方針は次のとおりであります。
当社グループは、「人的資本の充実を通じて、自律した事業を確立し、企業価値向上を図ると共に、事業の進化によって社会・環境の持続的な発展に寄与する。」ことをグループビジョンに掲げており、人的資本の充実を主眼として、継続的な事業の成長と企業価値向上の実現を目指しております。
人的資本の充実に関しては、「人事制度再構築、教育体系整備、誰もが働きやすい環境・風土の醸成を中心とし、専門性や事業に係る視座の高い自律した人材の育成やエンゲージメント向上につながる人的資本投資を実施し、生産性の向上を図る。」ことを基本方針に、その具現化に向け着実に推進していきます。
人的資本の充実に向けての具体的な取組は以下のとおりです。
・より公平で納得度の高い人事制度の再構築
資格等級制度、評価制度、処遇制度等の基幹制度をはじめとする人事諸制度について、今後の事業展開を見据え、グループ各社の事業特性、社員の職位、職務内容等に基づく、より公平で納得度の高い人事制度の再構築を進めてまいります。
・教育体系の整備と実施内容の充実
人材育成はOJTとOFF-JTを両輪として、これに自己啓発を加え、知識・技能と経験の融合を図っていくことが必須と考えております。人材育成の基軸となる教育体系の整備を進めると共に、階層別教育の充実、課題対応教育の実施、キャリア開発支援制度や自己啓発支援制度の導入等、適時適切に実施してまいります。
・誰もが働きやすい環境・風土の醸成
年齢、性別、雇用形態、障がい等の有無に関係なく、多様な人材が成長し活躍できる職場環境・社内風土づくり(ダイバーシティ&インクルージョン)を目指しております。また、リモートワークの導入、長時間労働の削減、社員の健康保持・増進、育児休業取得率の向上と介護離職率の低減、障がい者雇用率の向上等の施策を着実に展開してまいります。
(4)指標及び目標
<気候変動>
当社グループは、環境ポリシーとして「FF&Eのレンタル・販売を核とした環境創造型企業として、企業活動及び社員の行動を通し環境保全に努め、環境に配慮した商品を提供するとともに環境法令を遵守し資源節減・環境負荷低減を実施し、継続的改善により未来への共生を図ります。」を掲げています。今後は、Scope3の集計結果に基づき削減目標を設定し、レンタル製品の使用時や、配送および調達プロセスにおける環境負荷低減を図り、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減に貢献してまいります。
<人的資本経営>
当社では、上記「(3)戦略」において記載した、人材の育成及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理と共に、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社単体のものを記載しております。
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指標 |
目標 |
実績 |
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管理職に占める女性労働者の割合 ・初級管理職(係長クラス) |
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管理職に占める女性労働者の割合 ・中級管理職(課長クラス) |
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毎年改善 |
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(注)エンゲージメントスコアに関しては、2024年度より調査を開始したもので、その結果(7点満点)となります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの業績及び財政状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性がある主要なリスクには以下のものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
当社グループは、リスクマネジメント規程を定め、推進体制として当社代表取締役を委員長とした「リスク・コンプライアンス委員会」を四半期毎に開催しております。当該委員会において、以下のリスクを含めた重要リスクについて、リスクアセスメントを推進、各取り組みを共有し、リスクの未然防止に努めております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.事業環境に関するリスク
①国内市場の変化による業績の変動
当社グループは国内で事業を行っております。国内人口が減少傾向にある中、当社グループの既存事業領域である建設市場やマンション市場は底堅い成長が見込まれておりますが、今後、レンタルサービスにおいて、競争が激化した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
〔対策〕
当社グループでは、2024年度からスタートした中期経営計画NE26の重点戦略である「新規事業の創出」への取り組みを行っております。実行施策であるレンタル市場の拡大及びDXの推進等を遂行し、事業領域の拡大を図り、影響の回避に努めてまいります。
②市場動向の変化による商品管理
当社グループは、100万点を超えるレンタル商品を保有し、商品稼働率は近年の旺盛なレンタル需要によって、高い数値を維持しております。今後もレンタル需要に応えるため、継続的に商品調達を行ってまいりますが、需要が想定を超えて増加した場合には、商品不足による機会損失が発生する可能性があります。また、需要が想定を超えて減少した場合には、過剰在庫により、在庫保管のための施設不足が発生する可能性があります。
〔対策〕
当社グループでは、商品や納品現場、配送に関する情報をシステムにより一元管理し、効率的な商品運用を行っております。また、中期経営計画の重点戦略である「経営基盤の強化」の施策の一つである「物流のDX推進」を進め、影響の回避に努めております。
③災害等による影響
当社グループにおいて、地震、火災、台風、洪水、伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック)等の発生時、当該災害が想定を超えた規模であった場合、事業を適切に遂行出来ず、当社グループの事業展開、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
〔対策〕
当社グループでは、当該リスクの対応において、事業の継続性を確保するために、事業継続計画(BCP)を整備しております。2024年度は、BCP訓練の実施及び関連規程の見直しを行い、影響の回避に努めております。
2.組織体制に関するリスク
①事業拡大のための人材確保
当社グループが継続して事業拡大を進めていくには、優秀な人材の採用、定着、育成、活用の人事サイクル確立が必要であると考えております。国内労働力人口が減少する中、人材の獲得競争は年々激しさを増しており、かかる状況で優秀な人材を十分に確保できず、あるいは在職中の従業員が退職するなどした場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
〔対策〕
当社グループでは、中期経営計画NE26の重点戦略の一つである「人的資本の充実」への取り組みを行っております。2024年度は本取り組みの一環として「エンゲージメントサーベイ」と人事制度の再構築に向けての検討等を実施し、優秀な人材の採用、定着、育成、活用の人事サイクル確立に向けての対応を着実に進めております。
②情報管理体制
当社グループのネットワークシステムは各種対策を講じておりますが、自然災害等によりインターネットが遮断された場合や、サーバーダウンの際には、サービス提供等に支障が生じる場合があります。また、不正アクセス等によって、当社システムに大規模な障害が発生した場合等には、当社の業績及び事業運営に重要な影響を及ぼす可能性があります。
〔対策〕
当社グループでは、ネットワークシステムに関する災害等による回線不通リスクの対策として、本社地区以外にDRサイト※を構築し、当該リスクの回避に努めております。また、情報セキュリティに関するコンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入リスクの対策として、ファイアウォールやウイルス対策ソフトにより外部からの通信を遮断する等の対策を講じております。(※ディザスタリカバリサイト:緊急の代替拠点として使用する設備)
③内部管理体制
ステークホルダーの期待と信頼に応えるため、リスクマネジメントやコンプライアンス推進等の内部管理体制の強化は、当社グループにおける重要な課題の一つであると位置付けております。しかし、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない場合、適切な事業運営が困難となり、当社グループの業績及び各事業の運営に影響を及ぼす可能性があります。
〔対策〕
当社グループでは、リスクマネジメントへの取り組みとして、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクの再発防止及び未然防止の仕組みを徹底すると共に、従業員に対しては、コンプライアンス研修を毎年開催し、従業員一人一人のコンプライアンスの啓発に努めております。また、万が一、不正や不法行為又は疑義ある行為を発見した場合は、従業員が速やかに通報・相談できるよう、社内及び外部(弁護士事務所)を窓口とした内部通報制度を整備しております。
3.法的規制に関するリスク
①法的規制に関するリスク
当社グループは、会社法及び金融商品取引法の他、建設業法、宅地建物取引業法、古物営業法、産業廃棄物処理法、個人情報保護法など各種法的規制のもとで業務運営を行っておりますが、今後、これらの法的規制の改廃や、当社グループの業務運営上不利となるような新たな法的規制が設けられた場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
〔対策〕
当社グループでは、法改正、法的規制に関する動きがあった場合、いち早く対応できるよう、グループウェアから当該情報を配信する仕組みを整えております。また、毎月10日を「コンプライアンスの日」とし、法的規制やコンプライアンス情報について、従業員一人一人が学べるよう、定期的に情報発信を行っております。
②訴訟、不祥事及びレピュテーション等に係るリスク
当社グループはコンプライアンス(法令遵守)を重視した事業活動を行っておりますが、クライアント企業等を相手方とする各種クレームの発生、訴訟、係争、また、これらに起因する損害賠償請求の当事者となる可能性があります。これらの法的手続によって当社グループに不利な司法判断がなされ、さらに、不測の費用等を支出した場合には、当社グループの業績及び社会的信用に悪影響を与える恐れがあります。
〔対策〕
当社グループでは、ISOマネジメントシステムを導入しております。当該マネジメントシステムにおいて、事後のクレーム対応のみならず、日々の業務における予防・改善へ取り組み、商品・サービスにかかわる事故やクレーム等の未然防止及び業務改善活動を推進しております。また、会社規程において、クレーム、セキュリティインシデント、不正、不法行為等、各事象に応じた各種委員会等を規定し、速やかに当該事象に対応できるよう、体制を整えております。
(1)経営成績等の状況と概要
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業の設備投資や個人消費の拡大に加え、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな景気の回復基調が続きました。しかし、原材料費の高騰や物価の上昇に加え、日本と欧米における金利差による円安の進行や世界的な地政学的リスクの高まり等、景気の先行きには不透明な要因が多く存在しております。
当社グループの既存事業領域において、主力の建設現場向け市場は、堅調な成長が見込まれておりますが、長期的には成熟市場への移行が予想されます。建設業界においては、人手不足、延いては生産性向上という課題に対して、DX化の需要が拡大する余地があり、建設現場向け市場におけるICT商材の拡充が求められています。また、多様な働き方の広がりに伴い、常設オフィスにおいて、これまでにない新しい需要が拡大しています。加えて、市場を問わず、業務の効率化やコスト削減、労働力不足や長期的な成長戦略における必要性から、AIを活用したサービスへの投資が活発に行われることが予測されています。
このような状況の中、当社グループは、中期経営計画の達成に向けて、ESG経営を深化する新規事業の創出と経営基盤の強化に取り組むとともに、将来に向けた人的資本の充実を着実に推進しております。
当連結会計年度における売上高は31,861百万円(前期比2.9%増)、営業利益は2,081百万円(前期比14.8%減)、経常利益は2,133百万円(前期比13.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,549百万円(前期比3.4%減)となりました。売上高総利益率は前期比で0.9ポイント減少し39.6%となりました。また、売上高販管費比率は前期比で0.5ポイント増加し33.1%となりました。
セグメント別の概要は次のとおりであります。
(レンタル関連事業)
建設現場向け市場では、東京を中心とした大規模再開発案件や地方における半導体関連の工場建設案件が堅調に推移し、さらに2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)関連の受注が業績に大きく貢献しました。建設コストの高騰により、一部の大型案件が延期や中止となったものの、既存の大型案件の工事進捗に伴う旺盛な需要が寄与し、年間を通じて業績は高水準で推移しました。
イベント向け市場では、対面型(リアル)イベントの再開・拡大が業界に活力をもたらし、当社のイベント事業を取り巻く市場環境も改善しています。一方で、案件数は前期を上回ったものの、昨年度の大型案件の反動を吸収するまでには至らず、併せて複数の受注見込み案件の失注が影響し、売上は前期比で減少しました。
法人向け市場では、コロナ関連の大型BPO案件が徐々に終了したことに加え、その他の大型案件の失注が影響し、売上は厳しい状況となりました。特に下期は上述の案件の終了・縮小が想定を上回るペースで進み、その減少分を補うべくレンタル以外の需要で活路を見出しましたが、売上の落ち込みをカバーするには至らず、業績は低調に推移しました。また、競合他社の攻勢が強まり、価格競争が激化する中で苦戦が続いております。
常設オフィス向け市場では、ファシリティ・マネジメントサービス(オフィスや工場、病院等の移転業務)において、首都圏での案件獲得が伸び悩みました。その一方で、売上は前年実績を上回り、常設オフィスにおけるレンタル需要の開拓に実績を残すことが出来ました。また、リユース販売では、個室ブース等の高額なリユース品販売に注力するとともに保管・組立を含む独自性の高いサービスを付加させた結果、売上は前年実績を上回りました。
事業全体の利益面では、建設市場の旺盛な需要に対応するため、営業戦略に基づく商品を調達したことにより、減価償却費が増加したほか、2024年問題に起因する配送料金の上昇も影響し売上原価が増加しました。また、将来の経営基盤強化に資する人的投資に係る費用、DX推進に向けたシステム導入費用等で販管費が増加したため、前期比で減益となりました。
この結果、当事業セグメントの売上高は18,643百万円(前期比1.5%増)となりました。また、セグメント利益は1,618百万円(前期比9.0%減)となりました。
(スペースデザイン事業)
首都圏分譲マンション市場における2024年の供給戸数は、東京都での着工減少等の影響を受け、23,003戸となり、前年と比較して14.4%減少しました。この結果、供給戸数は1973年以降、最も少ない件数となりました((株)不動産経済研究所調べ)。
このような市場環境の中、ファニチャーレンタル業務(マンションギャラリー内のFF&E提供サービス)では、九州地区での大口案件の獲得等が功を奏し、業績は堅調に推移しました。また、顧客への値上げ交渉を継続的に実施したことや新カタログ及びデジタルカタログの活用が販売活動において効果を発揮し、業績の向上に寄与しました。
販売センターのビルダー業務では、主要顧客の物件数の減少が影響し、苦戦を強いられましたが、新規案件の獲得に注力した結果、売上は前年実績を上回りました。
映像・音響業務では、LEDビジョンを活用した映像音響演出サービスが順調に推移し、業績は前年に引き続き好調を維持しています。
ライフデザイン業務(インテリアオプション販売等)では、新築分譲マンション市場の新規供給戸数が減少傾向にあり、厳しい市況環境が続きましたが、付加価値の高い商品の販売に注力し、収益力強化に努めました。
また、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に出展するパビリオン関連売上が増収に大きく寄与しました。
事業全体の利益面では、仕入原価の上昇による売上原価の増加に加え、人件費を始めとする販管費の増加により前期比で減益となりました。
この結果、当事業セグメントの売上高は6,120百万円(前期比22.8%増)となりました。また、セグメント利益は175百万円(前期比2.2%減)となりました。
(物販事業)
郵政関連向け市場では、前期の特需案件に伴う反動減が見られたものの、郵政グループ各社への拡販活動や上期の新紙幣対応の現金自動出入金機関連の販売が売上高に寄与しました。
官公庁向け市場では、省庁関連施設における事務棟移設作業や地方自治体の庁舎移転に伴うサービスが好調に推移しました。
民間、文教向け市場では、一定の需要はあるものの、民間企業への営業を担う人材の不足等により、低調な結果となりました。
事業全体の利益面では、前期の郵政関連向け市場における特需案件の反動減の影響が大きく、前期比で減益となりました。
この結果、当事業セグメントの売上高は3,033百万円(前期比18.1%減)となりました。また、セグメント利益は41百万円(前期比43.1%減)となりました。
(ICT事業)
レンタルサービスでは、ICT関連商品の売上が堅調に推移したものの、特定顧客向け案件の縮小により、全体の売上は伸び悩みました。
工事、運搬サービスでは、既存の業務提携先案件への対応強化及び新規取引先の獲得等により、売上高の増加につながりました。
コピーカウンターサービスでは、コピー機市場の需要の低迷の影響を受けて、売上高は低調に推移しました。
事業全体の利益面では、パソコンの調達原価の上昇等により売上原価が増加したことやレンタル商品の稼働率の減少により利益率が低下したことが大きく影響し、前期比で減益となりました。
この結果、当事業セグメントの売上高は4,063百万円(前期比3.8%増)となりました。また、セグメント利益は246百万円(前期比40.5%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前連結会計年度末に比べ957百万円減少の18,305百万円となりました。
(流動資産)
流動資産は前連結会計年度末に比べ1,015百万円減少の8,241百万円となりました。主な内訳は、受取手形及び売掛金が343百万円、現金及び預金が826百万円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
固定資産は前連結会計年度末に比べ57百万円増加の10,063百万円となりました。主な内訳は、賃貸用備品が62百万円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,245百万円減少の7,241百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べ2,144百万円減少の6,566百万円となりました。主な内訳は、電子記録債務が781百万円、支払手形及び買掛金が409百万円、未払い法人税等が522百万円、1年内返済予定の長期借入金が447百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
固定負債は前連結会計年度末に比べ101百万円減少の675百万円となりました。主な内訳は、退職給付に係る負債が122百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)
純資産は前連結会計年度末に比べ1,288百万円増加の11,064百万円となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,248百万円増加したこと等によるものであります。また、自己資本比率は60.1%、自己資本当期純利益率(ROE)は15.0%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ826百万円減少の2,104百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は2,345百万円(前連結会計年度は3,878百万円の獲得)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,180百万円、減価償却費2,134百万円の資金の増加と仕入債務の減少1,191百万円等、法人税等の支払額1,123百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は2,246百万円(前連結会計年度は1,956百万円の使用)となりました。主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出2,123百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は925百万円(前連結会計年度は1,369百万円の使用)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出534百万円、配当金の支払額300百万円、リース債務の返済による支出258百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
レンタル関連事業 |
18,643,834 |
101.5 |
|
スペースデザイン事業 |
6,120,434 |
122.8 |
|
物販事業 |
3,033,816 |
81.9 |
|
ICT事業 |
4,063,076 |
103.8 |
|
合計 |
31,861,162 |
102.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま
す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、連結決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況と概要」をご参照ください。
b.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況と概要」をご参照ください。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況と概要」をご参照ください。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、2026年を最終年度とする中期経営計画では、「売上高営業利益率9.1%」、「ROE12%以上の確保」を目標値として設定しております。当連結会計年度における売上高営業利益率は6.5%、ROEは15.0%となりました。引き続き企業価値を高め、持続的な成長を図ります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、資金の流動性確保の目的から貸出コミットメントライン契約を締結しております。当連結会計年度末における貸出コミットメントラインの総額は2,800百万円、その内1,800百万円は借入未実行残高であります。これを含め資金の流動性として、現金及び現金同等物の残高2,104百万円と合わせて3,904百万円を確保しております。
当社グループは、経常的にレンタル資産の調達や売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用に係る資金需要があり、引き続き効率的な資金運用と、安定的な資金調達手段の確保に努めてまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努めてまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を実現するため、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題について適切に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するための経営者の方針として、外部企業とのアライアンスを積極的に推進し、スピーディーなリソース確保及び事業補完を目指して取り組んでまいります。また必要な人材を安定的に確保するため企業のブランド力の強化を図ると共に、管理職への女性登用や海外人材の受け入れなどのダイバーシティ経営の促進等、次世代を担う経営幹部の育成のために人材基盤の強化を推進してまいります。
一方、レンタル業の事業特性として、購入した商品は原価費用が一定期間発生するために購入資金を回収するまでに一定期間を要します。安定的な企業活動を行うため、適切な運転資金の確保と過度に有利子負債に依存しない健全な財務体質にすべくバランスシートをマネジメントしてまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。