当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「創造」「実行」「苦労・克服」の精神のもと、お客様へ最高の価値を提供し、「未来を創る」企業としてものづくりを通して社会の持続的な発展に貢献することを基本理念とし、その実現に向け取り組んでおります。自動車や通信分野をはじめとした技術革新、省人化ニーズの高まり、カーボンニュートラル・持続可能な開発目標(SDGs)の促進を背景に、ものづくりの現場においても、更なる高精度化、高速化、自動化はもとより、操作性の向上、電力使用量や廃棄物の削減、工程集約、IoT・AI技術への対応等が求められております。これらの「進化するものづくりへの貢献」を重要な経営課題と捉え、新製品開発の促進、トータルソリューションの展開、アフターサービスの充実、IoT・AI技術を活用した付加価値の提供等、事業の拡大とサステナビリティの取り組みを一体で推進しております。
① 構造改革の実施
当社は、収益性の改善を喫緊の経営課題と認識し2023年より、「中国市場依存からの脱却」、「バランスシートの改善」、収益性の改善と向上を目的とした「選択と集中」、「生産、販売体制をグローバルで再構築」の方針のもと、構造改革を推し進めております。
② 構造改革の基本方針
|
1 |
中国依存脱却 |
中国の2工場の生産を1工場に集約したうえで国内製造の組織再編・生産品目拡充 |
|
2 |
選択と集中 |
市場動向、競合環境等を踏まえた事業・製品の再編成により収益性を改善 |
|
3 |
生産・販売体制の再構築 |
円安や需要の変化に応じた生産、販売体制をグローバルで再構築 |
|
4 |
バランスシート改善 |
キャッシュコンバージョンサイクルの改善、長期滞留在庫の圧縮 非効率な固定資産の圧縮等によるキャッシュ・フローの改善 |
③ 中期経営計画(2025年12月期-2027年12月期)
構造改革を断行することで今後の成長に向けた経営基盤を確立し、中期経営計画のもとで高収益体質への転換を推し進めてまいります。
|
目標(2027年12月期) |
|||||
|
業績 目標 |
売上高 |
885億円 |
財務 方針 |
資本効率 |
ROE 8%以上(5年平均) |
|
営業利益 |
70億円 |
財務健全性 |
自己資本比率50%以上 |
||
|
|
|
|
株主還元 |
DOE 2%以上※1 かつ 総還元性向※2 40%以上 |
|
※1 1株当たり配当金26円以上(2024年12月期期首・期末平均の株主資本×DOE 2%から計算)
※2 当社における総還元性向の計算式:
|
総還元性向 |
= |
((n年度の配当)+(n+1年度の自己株式取得額)) |
|
n年度の当期純利益 |
n年度の総還元性向実績の計算式:
|
n年度の総還元性向実績 |
= |
((n年度の配当)+(n年度の自己株式取得額)) |
|
n年度の当期純利益 |
事業別の事業計画及び具体的な施策は以下のとおりです。
|
工作機械事業 |
|
2024年実績 |
2027年計画 |
||
|
売上高 |
51,355百万円 |
59,900百万円 |
|||
|
セグメント利益 |
3,447百万円 |
7,100百万円 |
|||
|
工作機械事業は放電加工機の競争力を強化しつつ、収益性の改善を図ります。 ●生産体制の最適化 蘇州工場の生産を厦門工場に集約し、中国の生産規模を適正化。蘇州工場はテクセンター機能を拡張し、中国ユーザーサポート強化 国内生産の増強により、為替環境に適合したグローバル3地域生産体制へ 人件費を中心に固定費を削減し、自動化設備の導入等で生産性を高めて収益力を回復 ●保守サービス・消耗品販売の強化 安定的かつ収益性の高いアフター事業(消耗品販売、保守)を強化し、機械販売からアフターまで一気通貫で顧客のニーズに対応 ●脱中国依存 新興市場(メキシコ、インド等)での販売を強化 先端技術関連の国内及び欧米への生産回帰に柔軟に対応
また、中長期的には、今後成長が期待できる金属3Dプリンタやレーザー加工機の拡大を目指します。金属3Dプリンタについては、当社の強みを活かした製品展開の加速や主戦場である欧州・米国への本格展開に加え、新エネルギー車関連でのギガキャスト金型への対応強化により他社との差別化を図り販売を拡大させます。レーザー加工機については、従来にない加工性能の提供はもとより、他社とのアライアンスも含めた事業拡大やニッチ分野における事業展開を目指します。 |
|||||
|
産業機械事業 |
|
2024年実績 |
2027年計画 |
||
|
売上高 |
9,560百万円 |
12,400百万円 |
|||
|
セグメント利益 |
823百万円 |
1,000百万円 |
|||
|
産業機械事業は生産体制・製品ラインアップ見直しによる収益構造の改善を図り、販売台数・市場シェア拡大を目指します。 ●脱中国依存と生産体制の集約 厦門工場での生産を停止し、国内生産増によりコスト削減 ●収益性の高いモデルの販売へシフト 市場ニーズを精査し付加価値のある機種ラインアップに見直し ●自動化ソリューションの提供 子会社の株式会社ソディックエフ・ティとの連携を通じ、金型から成形品まで一気通貫した製造自動化ラインを販売 ●欧州市場への参入 競争力のある医療分野について、米国から欧州市場へ対象地域を拡張 |
|||||
|
食品機械事業 |
|
2024年実績 |
2027年計画 |
||
|
売上高 |
7,695百万円 |
10,000百万円 |
|||
|
セグメント利益 |
969百万円 |
1,100百万円 |
|||
|
食品機械事業は、アジア地域での売上拡大と事業領域の拡大により、グローバルな総合食品機械メーカーとなることを目指します。 ●海外販売拡大 アジア地域において製麺機や米飯製造装置の営業体制を強化することで海外売上を増加 ●既存製品の改良 省エネルギー化、生産性向上、小型化、多機能化の観点から既存製品の改良を図る ●新規開発及び受託生産 食品機械の開発や受託生産等により事業領域拡大 |
|||||
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
「サステナビリティ基本方針」
当社グループは、「創造」「実行」「苦労・克服」の精神をもとに、お客様へ最高の価値を提供し、「未来を創る」企業として社会の持続的な発展に貢献することを基本理念としております。
その実現に向けて「ソディック・グループ企業倫理憲章」、「企業行動基準(コンプライアンス指針)」に則り、誠実な事業活動の実践を基本に「進化するものづくりへの貢献」、「環境マネジメントへの対応」、「人材の多様性の促進」、「ガバナンスの強化」のサステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値向上の観点から積極的に取り組んでおります。
(1)ガバナンス
当社グループはサステナビリティ委員会を設置し、グループ全体でサステナビリティの取り組みを推進しております。本委員会は代表取締役を委員長とし、年4回の頻度で開催され、気候変動・人的資本への対応を始めとする重要議題について議論し、本委員会と各部署が連携し、PDCAサイクルを回すことで、長期的かつ計画的にサステナビリティ活動を推進しております。決定した内容は年1回以上取締役会に報告され、必要に応じてその内容について審議され、グループ全体の経営に反映されております。
(2)戦略
(a)気候変動
当社グループは、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会について気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく検討を行い、様々な対応策を講じるとともに継続的な情報開示に努めております。
(b)人的資本・多様性
当社グループは、人財こそが中長期的に企業価値を向上する重要な資本と考えており、従業員が会社と共に成長し、性別や国籍、新卒・中途等の多様性を認め合い、全従業員が活躍できる職場環境・企業文化づくりを目指しております。
グローバルな事業展開や多様な市場ニーズに対応した新規ビジネスの開発、付加価値の創造等の事業環境の変化へ対応するためには、多様な視点や価値観を尊重することが重要であり、「一体感のある人財マネジメントの推進」、「人財の多様性を重視した採用と登用の継続」、「働きやすい社内環境整備、キャリア支援」の方針のもと、社員は専門性を高め、国内外の多様な人材との交流により人脈とキャリアを形成し、さらに様々な分野で経験・技能・キャリアが異なる人材を積極的に採用し、相互に融合することが新たな価値創造の源泉となると考えております。
(3)リスク管理
当社グループは、当社事業に関するリスクを管理するため、リスク管理委員会を設置しております。気候変動に関連するリスクについても、リスク管理委員会が統括する全社的なリスク管理に統合されており、四半期に1回子会社及び各部門からリスク情報が報告され、特定されたリスクは発生可能性と影響度の2軸で評価しております。特に重要なリスクについては、対応方針や施策を検討し、取締役会へ報告・審議された後に、事業戦略へ反映されております。
(4)指標及び目標
(a)気候変動
当社グループは、気候変動によるリスクと自社の環境経営推進を評価・管理する指標に、温室効果ガス排出量(Scope1,2)を設定しており、2030年に2017年比46%削減を目標として掲げております。また、今後は、Scope3を含めた全体での温室効果ガス排出量削減への取り組みを推し進め、2050年までのカーボンニュートラルを目指してまいります。今後、目標達成のため、自社施設への太陽光発電設備の設置拡張など積極的な再生可能エネルギーの導入の推進に加えて、社会全体の脱炭素化に向けた、自社製品の環境負荷低減の性能向上への技術開発に取り組んでまいります。
(b)人的資本・多様性
当社グループは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、下表の指標を用いております。
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<エンゲージメントについて>
当社は、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、更なる成長へチャレンジが続けられるよう、職場環境の改善と健康づくりを積極的に推進し、会社と従業員の健全な成長の維持がモチベーションアップにつながり、会社全体の生産性向上、企業業績の向上につながると考えております。
これらを実現するためには、現状の課題を把握する必要があります。客観的なデータを取得するため、従業員満足度調査を実施しており、会社全体の状態や、従業員が「期待していること」、「求めていること」を把握しながら改善し、従業員一人ひとりも当事者として組織に向き合い、より良い組織づくりを目指しながら健康経営も実現させていきます。
また、エンゲージメント向上がもたらすメリットとして主に次の5点を挙げております。
|
労働生産性の向上 |
「エンゲージメントスコア」と「労働生産性」には正の相関が見られ、スコアの上昇に伴い労働生産性も上昇すると考えている。 |
|
営業利益率の向上 |
「エンゲージメントスコア」と「当期の営業利益率」にも正の相関が見られ、スコアの上昇に伴い営業利益率も上昇すると考えている。 |
|
退職率の低下 |
「エンゲージメントスコア」が高い組織ほど、「退職率」は下がる傾向が見られ、また、特にミドル層の退職率低下にも寄与すると考えている。 |
|
顧客満足度の向上 |
「エンゲージメントスコア」が高いと、遅刻や早退の減少、事故の減少、商品欠品の減少、顧客満足度の上昇などに効果があると考えている。 |
|
株価の向上 |
「エンゲージメントスコア」の向上に伴い、営業利益やROE(自己資本利益率)も向上すると考えている。 |
全社的にエンゲージメントスコアを上げるためには、不満に繋がる「衛生要因(制度待遇等)」と満足感を与える「促進要因(組織風土等)」の両方を並行してアプローチする必要があると考え、当社では、まず2022年下期に賞与の見直しと大幅なベースアップを実施しました。昨今の賃上げ機運もあり、今後も継続的にベースアップを検討するとともに、職場環境改善に迅速対応し、組織風土を変えていく仕掛けを作り、「衛生要因」と「促進要因」の両方にアプローチすることで、エンゲージメントスコアを目標値まで上げていきます。
また、持続的にイノベーションを起こして継続的に業績を上げるためには従業員のやりがいを高めることが大事であり当社の最重要課題と認識し、2024年4月よりESスコアが役員報酬に連動する仕組みを導入いたしました。
<人材育成について>
当社の基本理念である、お客様へ最高の価値を提供し、「未来を創る」企業として社会の持続的な発展に貢献するためには、人が成長できる企業となり、従業員一人ひとりの成長機会を創出する必要があると考え、当社は持続的な成長に向け、2020年に人材育成チームを結成し、「全員挑戦者」を掲げ、全社一丸となって未来を先取りし、果敢に挑戦していく人材を育成することを教育理念としながら取り組んでおります。
■主な研修体系
|
研修 |
内容 |
|
階層別研修 |
等級ごとに期待するキーワードを抽出し、研修の狙いや重点テーマを設定して毎年昇格者を対象中心に運用。 |
|
テーマ別研修 |
階層別研修の重点テーマに入らなかったキーワードのうち、特にニーズの高いものや、会社戦略に合わせたテーマについて、Eラーニングを中心に運用。 |
|
その他当社独自の施策 としての動画配信 |
ESスコアで当社の弱みとして出ている「階層間の意思疎通」や「経営陣への信頼」の期待に対する満足度を上げる施策として「経営層インタビューリレー」を収録した動画配信や、コミュニケーション活性化のヒントを収録したショート動画を配信し、結節点を強化している。 |
|
自己啓発 |
福利厚生の一環で多数用意されている研修メニューから従業員主体で学びを広げるもの。 |
当社の組織課題の1つとして硬直的なマネジメントスタイルがあり、環境変化の激しい時代に迅速かつ的確に現場やメンバーと一体となって課題解決できるように、2024年より共創型マネジメントへのアップデートを目的に部課長層を中心に研修を開始しました。2025年は次世代管理職候補である課長代理クラスにも展開、約1年かけてフォローアップしながら現代に合うマネジメントスタイルへの変化を図っております。
なお、本研修につきましては可能な限り集合研修に拘り、同階層間のコミュニケーションを活性化することで一体感醸成の効果も狙っております。
■女性活躍推進
当社では、多様な視点や価値観を尊重する上で女性の活躍も重要であると考えております。全女性従業員を対象としたアンケートを実施した結果から当社において管理職の魅力不足を大きな課題と捉えており、働きやすい社内環境を整備しながら、管理職を目指している方への教育研修だけでなく、女性従業員全体の底上げに寄与する施策として、女性ワーキンググループと人材育成チームで連携し、長期的なキャリアを想起しやすい環境づくりに取り組みます。
■当社独自の施策
ESスコアで特に弱みとして出ている「階層間の意思疎通」の項目については、当社独自の施策として、2024年に「職場環境を変えていきたい」という思いを強く持っているメンバーを集め、部門の垣根を越えたワーキンググループ「Be The Player」を結成し、議論を重ねて課題の洗い出しから施策案を検討する取り組みを行いました。そのポジティブ層の波及効果により、他部門からの連携要請が見られるなど、職場改善意識が徐々に広まりつつあります。
本年4月以降は、新経営陣によるタウンホールミーティングを実施し、経営層と現場の結節点を増やし、スピード感を持ちながら職場改善を図ります。また、経営陣の考えなどを積極的に従業員へ配信することで経営陣への信頼度を上げていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループとしては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本書中の本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行う必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点はご留意ください。
なお、文中における将来の事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業戦略リスク
|
景気変動に関するリスク |
発生可能性 |
高 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループの工作機械事業及び産業機械事業の製品受注は顧客の設備投資活動に直接結びついているため、景況に対して極めて敏感であり、自動車、電気・電子部品、半導体、航空宇宙、医療機器、その他の業界の業績、設備投資動向に大きく影響を受ける傾向があります。また、世界同時不況のような状況に陥った場合は、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性があります。
<当社の対応> 当社グループでは、景気変動による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図っております。さらに、研究開発の成果によって新しい事業を興し、リスク分散を図り安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。 また、定期保守サービスや消耗品・サプライ品の販売拡大のほか、自動化や省人化に貢献できるソリューション提案の推進などを通して、製品販売の増減に影響されない安定した収益の獲得を図ります。 さらに、地道な原価低減活動や調達先の見直し等を継続するとともに、自動化・省人化などの生産技術を積極的に展開し、最先端の技術を取り入れながら、市場の変化により柔軟かつ効率的に対応できる生産体制の構築を目指しております。 |
||
|
新規事業に関するリスク |
発生可能性 |
中 |
|
影響度 |
小 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループは、『世の中にないものは自分たちで創る』という開発理念のもと、お客様のご要望に耳を傾け、どんな困難な技術課題にも挑戦して克服し、ご要望に対応しており、創業以来放電加工機や高精度マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、レーザー加工機、独自技術のV-LINE®方式を用いた射出成形機、製麺機、無菌包装米飯製造システム、加圧加熱殺菌装置などの食品機械など様々な製品を開発してきました。技術革新及び市場のニーズへの対応や将来の持続的成長に向けて、今後も常に新製品を市場に投入する必要があります。
<当社の対応> 当社では、世界最高水準の加工精度、加工速度とお客様が求める多様な機能の拡充を目指して、日本・中国・北米の世界3極の研究開発体制を敷き、最先端技術の研究及び市場動向のマーケティングを行うほか、大学、研究所、学識経験者とも協働して、技術開発・新製品開発に取り組んでおります。2023年にはレーザー加工機事業を立上げフェムト秒レーザー加工機の販売を開始しました。また、サステナビリティに関する取り組みとして、省エネルギー・省資源・脱プラスチック・フードロス削減等に貢献する環境配慮型製品の開発を積極的に推進しております。 |
||
|
人材の確保及び育成に関するリスク |
発生可能性 |
中 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループが今後も成長を続けていくためには、高度な専門技術を持ったエンジニアや、経営戦略やグローバルな組織運営等のマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が重要であると考えております。また、従業員の世代交代が進む中、当社グループにて長年培ってきた高度な技術・技能を有する人材から次世代を担う若手技術者へのコア技術の伝承も非常に重要な課題だと認識しております。しかし、必要な人材を継続的に獲得し、定着させるための競争は厳しく、日本国内では少子高齢化や労働人口の減少、また中国やタイ等の海外拠点においても雇用環境が急速に変化するなど、当社が求める人材の獲得及び育成が計画通りに進まなかった場合、当社グループの将来の成長に影響を及ぼす可能性があります。
<当社の対応> 高度な専門技術を持ったエンジニアや、経営戦略やグローバルな組織運営等のマネジメント能力に優れた人材の確保・育成においては、積極的な採用活動を行い優秀な人材の獲得に努めるほか、入社後の体系的な人材育成や幹部研修、階層別研修等を通した人材育成にも注力しております。 また、当社はマテリアリティの一つとして「人材の多様性の促進」を掲げており、多様な社員が働きがい・働きやすさを感じ活躍できる企業風土の促進を図っております。 さらに、会社の持続的成長には従業員一人ひとりの心身の健康が重要との考えのもと、「ソディック 健康経営宣言」を制定し健康保持・増進に向けて取り組んでおります。その一環として、従業員エンゲージメントを高めるために、従業員満足度調査を実施し、その結果を踏まえた個別課題を抽出し、具体的な改善策を実行することで、従業員のやりがい及びモチベーションの向上や優秀な人材の確保及び定着を図ってまいります。 |
||
|
為替相場の大幅な変動によるリスク |
発生可能性 |
高 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループにおける海外売上高の連結売上高に占める割合は約70%を占めており、それぞれの国の経済状況に大きく依存します。また、海外との取引は米ドル、ユーロ、人民元等で決済されており、為替変動によっては、業績に影響を与える場合があります。特に工作機械事業において主要製品の約40%をタイ国の現地法人が製造しているため、タイバーツにおける対円・対米ドル為替相場の大幅な高騰が発生すると製品の製造コストの増大につながり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
<当社の対応> 当社グループでは、従来より主要製品等の海外生産を進め、為替変動による利益面への影響は、収益と費用の相殺効果により限定的となる生産・販売体制を取っておりますが、昨今の円安局面における厳しい経営環境を踏まえ国内生産の拡大等、中長期的な為替変動への対応のため生産体制の見直しに取り組んでおります。 また、米ドル、ユーロなどの主要通貨に対しては為替予約による為替ヘッジを行うなど、為替レート変動の影響低減に向けた取り組みを推進しております。また、当社における外貨建の商流等を精査した上で、必要に応じて為替予約の適用範囲を拡大してまいります。 |
||
|
海外事業におけるリスク |
発生可能性 |
中 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループはグローバルに事業を展開しており、主要製品の大半を海外にて生産しており、海外売上高比率も約70%を占めております。特に中国市場における売上高は約30%を占めるなど同市場への依存度は高い状況です。また、昨今の国際情勢は変動が非常に激しく、米中貿易摩擦、台湾有事懸念、ロシア・ウクライナ情勢、各国の経済安全保障法制の強化など地政学リスクが非常に高まっております。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予期しない法律または規制の変更、不測の政治体制または経済政策の変化、テロ・戦争・天災・感染症の流行・その他の要因による社会混乱などが発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。 <当社の対応> 当社グループでは、国際情勢の動向や各国の法規制の改正等を注視しつつ、状況の変化に迅速に対応できる社内体制を構築し、情報の共有及び対応策を実施しております。 また、特に中国市場に対しては、当社では他社に先駆け中国へ進出し、販売網や生産工場の拡充を行ってまいりましたが、中国国内販売は中国国内生産にて賄うなど地産地消の体制を整備して、中国並びに他国の通商政策等による影響低減に加え、蘇州工場の移転に伴う厦門工場への生産の集約化等、生産体制の見直しを図っております。 その他の地域につきましては、今後シェア拡大を目指す欧米地域ではテクセンターを活用した販売体制及び顧客サポートの強化を進めます。また、成長が期待できる東南アジア地域、インド、メキシコなどの新興国でも販売を推進し、地域別売上高比率の最適化による中国市場への依存度の低減を目指してまいります。 |
||
|
法的規制のリスク |
発生可能性 |
低 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループの技術及び製品(以下、「製品等」という)については、外国為替及び外国貿易法第25条及び第48条により、輸出等が規制されております。万が一、製品等が懸念される国や需要者等へ違法に販売された場合、法的な制裁や社会的な信用の失墜などで業績に影響を与える可能性があります。 <当社の対応> 当社グループとしては、輸出管理室において製品等が違法に輸出されないよう常に十分な注意を払い、管理しております。また、その他の法的規制の動向に関しても情報収集を行い、社内共有等を通じて法令遵守の徹底に努めております。 |
||
|
企業の社会的責任に関するリスク |
発生可能性 |
中 |
|
影響度 |
中 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループは、社会の持続可能な発展のために、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しております。しかしながら、事業活動において、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または特定の労働者への差別やハラスメント等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。 <当社の対応> 当社グループでは、社会的要請の変化を踏まえ、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、体系的にコンプライアンス、社会貢献、人材育成、品質管理、環境などサステナビリティ関連の重要なテーマに対する取り組みを推進しております。 特に、働きやすい職場づくりを実現するために働き方改革を進めております。しっかり休んでリフレッシュし、また意欲的に仕事に取り組むという好循環を生むため、有給休暇促進日を定め有給休暇の取得を推進するほか、時間外労働の削減についても業務効率化やシステムを利用した労働時間管理の厳格化、管理職研修などを実施し、徹底を図っております。また、コンプライアンスの観点においては、「ソディック・グループ企業倫理憲章」・「企業行動基準(コンプライアンス指針)」を定め、全ての役員及び従業員が当社グループを取り巻く環境と社会的責任を自覚し、人権の尊重や関係法令及び規則の順守、社会倫理に則した行動を実践しております。人権・コンプライアンス通報窓口及び社外通報窓口の設置や従業員へのハラスメント研修の実施などにより働きやすい環境づくりに取り組んでおります。 また、環境への取り組みについては、EVや車両の軽量化、脱プラ、フードロス削減など環境負荷低減に向けたものづくりにも積極的に関与することで、地球環境に配慮したものづくりを通し、サステナブルな社会に寄与する事業展開を推進しております。また、事業運営においても、専門部署にて、カーボンニュートラルや省エネルギー、CO2排出削減等、気候変動に対する取り組みを推進しております。 |
||
|
競合環境に関するリスク |
発生可能性 |
高 |
|
影響度 |
中 |
|
|
<リスクの内容> 国内外に競合企業が存在する中で、他社の技術により当社グループの技術でカバーできる範囲を大きく超えた製品が開発された場合、当社は市場占有率を失う可能性があります。また、当社グループに関しましては、競合他社とは、技術力で差別化する戦略をとっておりますが、他社の値下げ攻勢により、当社グループ製品の販売価格も引き下げざるを得ない状況になった場合、利益を圧迫する可能性があります。
<当社の対応> 当社グループでは、競合他社に対し技術力で差別化する戦略をとっており、工作機械事業においては、NC装置やリニアモータ、セラミックスなど製品の重要な基幹部品を内製化することにより、機械の性能を最大限向上させてまいりました。また、納入後の保守サービス、消耗品販売の強化やデジタル技術を活用したソリューション提供等によりお客様のものづくりを一貫してサポートできる体制を展開しております。 |
||
|
原材料・部品の調達に関するリスク |
発生可能性 |
高 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 機械の主要構造体である鋳物や加工タンクなどに使用されるステンレス材、消耗品等に使われる真鍮や銅等の価格の高騰が長期化した場合、当社製品の原価に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、受注の一時的集中や天災等の影響による仕入先の部材供給能力低下などのサプライチェーンの混乱により、部材の需要量が供給量を大きく超えた場合、生産数量の不足から受注機会の損失が生じる可能性があります。なお、棚卸資産の保有期間が長期化する場合には、販売及び消費可能性が低下し、棚卸資産の廃棄や評価減等が発生するリスクがあります。
<当社の対応> 当社グループでは、調達基本方針を定めており、サプライヤー様との相互理解と信頼関係を構築した上で、品質・価格・安定性など適正な基準に基づき、最適な部品をグローバルに調達しております。安定した部材調達を目指すべく、国内外の複数の調達ルート・サプライヤー様を確保することで調達先を分散し部材の供給不足や材料費・物流費等の高騰へのリスクに対応しております。また、在庫については、定期的にチェックを行い、規則的に簿価を切り下げており、不良棚卸資産発生と長期在庫化のリスク回避に努めております。 さらに、サプライチェーン全体のリスクを把握するため、サプライヤー様の事業継続計画(BCP)策定状況を調査しており、その調査結果を踏まえた上で、当社のBCPの診断・維持・更新を行っております。 足元では、エネルギー価格・輸送コストの上昇及び原材料等の高騰などが継続しており、グループ全体での効率的な調達体制の整備を進めております。 |
||
② 財務関連リスク
|
有利子負債のリスク |
発生可能性 |
低 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 2024年12月末現在の有利子負債残高は383億26百万円となっております。事業資金の調達及び返済は、金利情勢その他の外的環境に左右されるため、金利が上昇するなどした場合には業績に影響が及ぶ可能性があります。また、当社の業績が著しく悪化した場合には、金融機関からの資金調達が困難になる可能性があります。 なお、2024年12月末現在で、現金及び預金は477億62百万円で、短期融資枠(コミットメントライン)100億円から段階的に200億円を設定することで十分な流動性を確保しておりますが、借入契約の一部には財務制限条項が付されており、今後、抵触等があった場合は当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。
<当社の対応> 当社グループでは、事業活動に必要な資金を銀行からの借入金や売掛債権の流動化、グループ会社との資金融通など多様な手段により調達のうえ最適配分を進めております。 固定金利での長期資金調達により金利上昇リスクを低減させるほか、設備投資・投融資の優先順位見直し、適切な棚卸資産管理によるバランスシート効率化などを通じて有利子負債を管理・削減し、資金効率を高めた財務運営に取り組んでおります。 |
||
|
固定資産に関する減損リスク |
発生可能性 |
中 |
|
影響度 |
小 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループは、自社製品の内製化を進めてきたことから、機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品、ソフトウエアなどの固定資産等を保有しております。これらの固定資産等について、景気変動等の影響による設備投資の抑制及び需要の減退や当該事業の収益性低下等により帳簿価額が回収できない場合、必要な減損処理を実施することになり、将来の当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。 <当社の対応> 当社グループにおいては、事業計画や予実管理を通して、継続的な業績のモニタリングを行っており、早期に減損の兆候の把握に努めております。特に減損リスクの高い事業につきましては、業績改善計画の進捗を確認し、事業部門とコーポレート部門が連携し、事業収益性の改善の可能性を検討します。 |
||
|
工事原価見積りのリスク |
発生可能性 |
中 |
|
影響度 |
中 |
|
|
<リスクの内容> 当社の食品機械事業においては、麺製造プラント、製麺機、包装米飯製造装置などの開発・製造・販売を行っておりますが、各案件の個別性が高く、かつ受注から検収までの期間が長期になる傾向があります。食品機械事業の売上の大半は、履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する収益認識基準を適用しており、具体的な工事進捗度の見積りにおいては、当連結会計年度末までに発生した工事原価が工事原価総額に占める割合を工事進捗度とするコストに基づくインプット法を採用し、その見積りに基づき、進捗部分の確実性が認められる場合に収益を認識しております。しかしながら、工事内容の変更による契約金額の変更や原材料価格の変動等によりこれらの見直しが必要になった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 <当社の対応> 当社は案件ごとに継続的に工事原価総額や予定工事期間の見直しの必要性を確認し、変更が必要と認められた場合には工事原価総額を即時修正するなど、適切な原価管理によって工事原価総額の見積りの精度向上を図っております。 |
||
③ オペレーションリスク
|
情報セキュリティのリスク |
発生可能性 |
中 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループは、事業活動を通して個人情報を入手することがあるほか、営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの情報に関して、サイバー攻撃、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、インフラ障害、情報システムの不具合などにより情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止など不測の事態が生じた場合には、当社グループに対する社会的信用の低下や事業活動の中断、対策費用の発生、多額の課徴金の支払い、取引の停止などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 <当社の対応> 当社グループでは、適切なIT技術対策や社内体制の整備、従業員への教育などにより、営業上・技術上の機密情報の厳格な管理に努めております。社内標準端末としてシンクライアント利用の徹底に加え、IT資産管理・内部情報漏えい・サイバー攻撃等への対策として、総合型のセキュリティ管理ツールを導入するなどの対策を講じております。更なるセキュリティ体制強化に向け、定期的な第三者機関による脆弱性診断等も実施してまいります。また、テレワークやオンライン会議の増加に合わせて、引き続き情報セキュリティの強化に努めております。 |
||
|
災害等に関するリスク |
発生可能性 |
中 |
|
影響度 |
大 |
|
|
<リスクの内容> 当社グループの工場、事業所などにおいて、大きな産業事故、地震・津波・水害等の自然災害、戦争・テロ・暴動等の人為的災害、感染症の流行など各種災害が発生した場合には、部材調達、生産活動、製品の販売活動などの遅延や中断などによって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 <当社の対応> 当社グループでは、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画(BCP)を策定し運用しております。生産拠点の分散化による災害に強い生産体制の構築、災害後の復旧活動早期化に寄与する安否確認システムの導入のほか、自然災害による経済的な損失に対しては各種保険に加入しております。 |
||
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、ウクライナ、中東等の地政学的リスクが継続しますが、原材料・エネルギー価格等の世界的なインフレは沈静化しつつあり、9月以降米国・欧州では金融引き締め緩和へ金融政策を転換、一方、日本では、3月にマイナス金利解除、7月に追加利上げを実施し、金融市場正常化に向かっています。日本と欧米で異なる金融政策実行過程で期中に円高局面もありつつも総じて円安基調が継続しています。
このような経済環境のもと、当社グループは、外部環境の変化に適応し、円安の環境下でも海外生産を主としながらも着実に収益を上げる企業体質に変革するため、「中期経営計画」を策定し、「中国依存脱却」、「選択と集中」、「生産、販売体制をグローバルで再構築」、「バランスシート改善」を方針として掲げ、構造改革に取り組みました。工作機械事業においては中国の蘇州工場の生産を厦門工場へ集約 、海外工場の生産調整に伴う人員適正化を実施、産業機械事業においては高付加価値機種販売に注力し、また全社的な経費削減や遊休資産の売却等に取り組みました。
地域別には、中華圏において工作機械中心に需要回復が寄与し、販売台数、売上高ともに前年同期比で大幅な増加となり、当社売上の全体を牽引しました。日本は軟調であるものの北南米やアジア地域は堅調に推移しました。
業種別では、自動車産業において日米欧でEV車および全体の生産調整・投資計画の見直しが長引き、投資が停滞し、本格回復が遅れています。自動車産業の設備投資動向に関しては引き続き注視していきます。
一方、電子部品、スマートフォン、航空部品、半導体、医療機器においては大口受注も発生し、堅調さを維持しています。特に生成AIの普及に伴い、データセンターへの設備投資が増加しており、光通信デバイス、光コネクタ(MTフェルール)等への需要が拡大しております。当社の工作機械および産業機械は、この光コネクタ向けの精密金型や精密部品加工に強みがあり、この需要を着実に獲得する取組を各地域で進めております。「ものづくりの高度化」、「高速・高精度加工」、「高精度・超精密」のニーズに応え、これらの成長領域での事業拡大に引き続き取り組んでいます。
食品機械事業は、製麺機と米飯製造装置を中心として国内及び中華圏、アジア地域中心に展開していますが、国内食品メーカーの更新・増設需要が継続的に発生、中華圏、アジアにおける新規需要も引き続き拡大しています。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高736億68百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益22億31百万円(前年同期は営業損失28億19百万円)、経常利益36億27百万円(前年同期は経常損失12億57百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益41億15百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失46億4百万円)となりました。
② セグメント別の状況
|
工作機械事業 |
売上高 |
51,355百万円 |
(前年同期比 |
10.0%増 |
) |
|
営業利益 |
3,447百万円 |
(前年同期比 |
2,648百万円増 |
) |
|
|
機械販売は、中華圏における需要回復が寄与し、販売台数、売上高ともに前年同期比で大幅に増加し、全体を牽引 しました。中華圏全体の市況は軟調ですが、NEV車、データセンター向け光コネクタ(MTフェルール)、半導 体、電子部品(車載、医療、家電)等の一部業界で堅調を維持しており、特に光コネクタ向け金型製造用として当社 放電加工機への需要が高い状態となっています。 日本は、自動車、半導体での投資停滞基調が長引く中、データセンター向け光コネクタ、電子部品、航空部品、医 療で堅調に推移し、ストックビジネス(保守サービス、消耗品販売)の伸長により前年同期比売上増となりました。 アジア地域は、全体的に堅調さを維持。特に、韓国やシンガポールで航空部品、韓国でコネクタ、半導体装置品、 モーターコア金型、インドで2輪、4輪関連、タイの車部品関連等は堅調を維持しています。 北米では航空機部品加工、発電、電子部品、医療機器は堅調に推移し前年同期比大幅な売上増となりました。AI関 連による半導体需要は増加中で、関連する光ケーブル、コネクタ部品の加工需要増を見込んでいます。欧州は航空部 品、医療機器は堅調に推移していますが、自動車関連の低迷長期化の影響等により前年同期比売上減となりました。 保守サービス、消耗品販売は、日本、北米中心に展開が進んでおりますが、その他の地域においても堅調に推移しています。今後さらに保守サービス、消耗品販売比率を高め、事業安定化を図っていきます。 セグメント利益は、生産構造改革として掲げた中国の生産集約化、人員配置の適正化を進め、さらに収益改善の施 策や生産台数増加により売上原価が低減し、34億47百万円となりました。 |
|||||
|
産業機械事業 |
売上高 |
9,560百万円 |
(前年同期比 |
10.8%増 |
) |
|
営業利益 |
823百万円 |
(前年同期比 |
1,301百万円増 |
) |
|
|
日本は全体の市況は軟調ですが、AIデータセンター向け光コネクタ、スマートフォン系電子部品、医療機器等の一 部の業界で需要が継続しています。特に光コネクタへの設備投資意欲は旺盛で、精密成形を得意とする当社としても 積極的に受注獲得を見込んでいます。補助金でプラスチックリサイクル向けAI-VENT(液状プラスチック噴出自動抑制 機能、乾燥レス成形)搭載射出成形機の需要が発生しました。国内自動車メーカーは、設備投資は依然として抑えて おり、総じて低調な傾向が継続しました。 中華圏も全体市況は軟調ですが、光コネクタ、スマートフォン向け高精度アクチュエーター等一部業界で堅調でし た。アジア地域は、タイは国内向け自動車が低調でしたが、韓国ではモバイル向けコネクタが堅調に推移しました。 セグメント利益は、構造改革による収益性の高いモデルの販売へシフトしたことや生産台数増加等により売上原価 低減も進み、8億23百万円となりました。 |
|||||
|
食品機械事業 |
売上高 |
7,695百万円 |
(前年同期比 |
11.5%増 |
) |
|
営業利益 |
969百万円 |
(前年同期比 |
93百万円増 |
) |
|
|
国内外における製麺機関連設備や無菌包装米飯製造装置等の需要は堅調に推移しており、売上高、セグメント利益 ともに前年同期比で増加しました。 日本の市況は堅調であり、米飯・製麺設備の更新需要が継続しております。米飯製造装置は新規設備に加え他社製 品の老朽化設備の更新需要や省力化需要も取り込み、安定的な売上を維持していきます。 海外(中華圏およびアジア)の市況も総じて堅調であり、中国での無菌包装米飯装置、中国・台湾・韓国で冷凍麺 設備を受注するなど、引き続き中華圏、アジアを中心とした食の高品質化やインフラの整備等による生麺、冷凍麺や 米飯の需要の対応を着実に進めています。 主力製品に加え、惣菜、製菓関連へも展開しています。 |
|||||
|
その他 |
売上高 |
5,057百万円 |
(前年同期比 |
2.5%増 |
) |
|
営業利益 |
△323百万円 |
(前年同期比 |
631百万円増 |
) |
|
|
精密コネクタなどの受託生産を行う金型成形事業とリニアモータやセラミックス製品、LED投光器等の販売を行う要素技術事業から構成されております。 金型成形事業は、主な需要先は自動車業界であり需要の回復が遅れています。要素技術事業の外販セラミックス製品は、主要顧客の半導体業界は下期にかけて徐々に回復傾向であり、FPDへの設備投資の増加を見込んでおります。また、半導体製造関連等の新販路拡大を目指しています。要素技術事業のLED投光器は、エネルギー価格高騰や環境問題への意識向上によりLEDの交換需要が高まりを見せておりますが、工期と検収の後ろ倒しにより売上未達となりましたが、今後、新製品での複数の大口案件の受注を見込んでおります。 以上の結果、金型成形事業の売上高は前年同期比で微増となり、要素技術事業のリニアモータやセラミックス製品の売上高は前年同期比増加し、LEDは減少となりました。セグメント利益は、構造改革や販管費削減等の効果により、前年同期比で営業損失は縮小しております。 |
|||||
③ 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ109億27百万円増加し、1,449億93百万円となりました。主な増加要因としては、現金及び預金の増加131億41百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加22億76百万円、建物及び構築物の増加19億59百万円、投資有価証券の増加11億77百万円などがあげられますが、長期預金の減少45億83百万円、減価償却累計額の増加38億1百万円などにより一部相殺されております。
負債は、前連結会計年度末に比べ36億29百万円増加し、605億66百万円となりました。主な増加要因としては、支払手形及び買掛金の増加13億89百万円、短期借入金の増加11億99百万円、電子記録債務の増加10億76百万円などがあげられます。
純資産は、前連結会計年度末に比べ72億98百万円増加し、844億27百万円となりました。主な増加要因としては、為替換算調整勘定の増加47億17百万円、利益剰余金の増加26億30百万円などがあげられます。以上の結果、自己資本比率は、58.2%となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、以下のキャッシュ・フローの増減により、前連結会計年度末に比べ92億63百万円増加し、当連結会計年度末の残高は425億69百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、99億69百万円(前連結会計年度は14百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益50億24百万円、減価償却費35億84百万円、棚卸資産の減少26億48百万円などによるものですが、売上債権の増加25億87百万円などで一部相殺されています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、16億32百万円(前連結会計年度は24億92百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出27億63百万円などによるものですが、定期預金の払戻による収入13億88百万円などで一部相殺されています。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、10億41百万円(前連結会計年度は14億21百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出92億91百万円などによるものですが、長期借入れによる収入94億5百万円などで一部相殺されています。
⑤ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(百万円) (2024年1月1日~2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
工作機械事業 |
37,848 |
107.4% |
|
産業機械事業 |
9,230 |
108.0% |
|
食品機械事業 |
6,917 |
115.0% |
|
報告セグメント計 |
53,996 |
108.4% |
|
その他 |
6,896 |
91.9% |
|
合計 |
60,892 |
106.2% |
(注)1.金額は、販売価格によって表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、サービス売上等の生産を伴わないものは含めておりません。
b. 受注実績
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
工作機械事業 |
37,613 |
119.1 |
7,946 |
96.7 |
|
産業機械事業 |
7,482 |
116.1 |
2,186 |
100.8 |
|
食品機械事業 |
6,688 |
143.8 |
5,090 |
102.4 |
|
合計 |
51,783 |
121.4 |
15,223 |
99.1 |
(注)上記の金額には、サービス・消耗品等の受注は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(百万円) (2024年1月1日~2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
工作機械事業 |
51,457 |
110.1 |
|
産業機械事業 |
9,606 |
110.6 |
|
食品機械事業 |
7,695 |
111.5 |
|
報告セグメント計 |
68,759 |
110.3 |
|
その他 |
6,697 |
106.5 |
|
計 |
75,457 |
109.9 |
|
調整額 |
△1,788 |
122.8 |
|
合計 |
73,668 |
109.7 |
(注)金額にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来の事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
売上高につきましては、主に中華圏における工作機械の需要回復が寄与し、販売台数、売上高ともに前年同期比で大幅に増加した結果、前期と比較して9.7%増加の736億68百万円となりました。
利益面につきましては、構造改革による工場稼働率の上昇、海外工場の人員の適正化などに営業利益22億31百万円(前年同期は営業損失28億19百万円)となりました。また、円安進行による為替差益(約8億円)、蘇州工場の移転補償金(約17億円)などにより、親会社株主に帰属する当期純利益41億15百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失46億4百万円)となりました。
b. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④ キャッシュ・フローの状況」に詳細は記載しておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローで99億69百万円の資金を獲得し、設備投資など投資活動によるキャッシュ・フローで16億32百万円の支出となり、借入金の返済など財務活動によるキャッシュ・フローで10億41百万円の支出となりました。
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資などに対応するものであります。これらを自己資金、金融機関からの短期・長期借入金や社債により調達しており、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関とコミットメント契約を締結しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高(短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、1年内償還予定の社債、その他の流動負債に含まれるリース債務、社債、長期借入金、その他の固定負債に含まれるリース債務の合計)は383億26百万円であります。
d. 目標とする経営指標
当社の目標とする経営指標及び当該目標に対する当連結会計年度の達成度合は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(コミットメントライン・シンジケートローン契約の締結)
当社は、資金効率を高めた機動的な財務運用を実現すべく、資金の流動性確保を目的として、2024年3月8日開催の取締役会において、シンジケートローンによる総額200億円のコミットメントライン契約の締結について決議し、契約を締結いたしました。なお、融資枠は3年間で100億円から200億円にステップアップする条件にて組成しております。
その主な内容は、以下のとおりであります。
|
⑴ |
融資枠設定金額 |
総額200億円 |
|
|
|
|
2024年3月29日~2025年3月31日 |
100億円 |
|
|
|
2025年4月1日~2026年3月31日 |
160億円 |
|
|
|
2026年4月1日~2028年3月31日 |
200億円 |
|
⑵ |
借入人 |
株式会社ソディック |
|
|
⑶ |
契約日 |
2024年3月26日 |
|
|
⑷ |
契約満了日 |
2028年3月31日 |
|
|
⑸ |
借入形態 |
コミットメントライン |
|
|
⑹ |
資金使途 |
事業資金(株式取得資金は含まない) |
|
|
⑺ |
アレンジャー |
株式会社三井住友銀行 |
|
|
⑻ |
エージェント |
株式会社三井住友銀行 |
|
|
⑼ |
貸付人 |
株式会社三井住友銀行 |
|
|
|
|
株式会社みずほ銀行 |
|
|
|
|
株式会社横浜銀行 |
|
|
|
|
株式会社三菱UFJ銀行 |
|
(取得による企業結合)
当社は、2024年3月29日に締結したInvestment Agreementに基づき、2025年3月19日にPrima Additive S.r.l.の株式取得に関するコールオプションを行使し同社株式を追加取得し子会社化することについて決定いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
研究開発活動の拠点として、横浜本社技術研修センター研究開発棟に研究開発部門を置き、中国上海、米国カリフォルニア州シリコンバレーに研究開発子会社を開設しております。この世界3極体制のもと、技術研修センターを軸に、機械構造設計開発、放電加工機用電源の開発、放電加工機及びマシニングセンタなどの性能向上の研究を行っております。さらに中国上海、カリフォルニア州シリコンバレーなどの地域性を利用し、各種ソフトウエア開発、CNC装置開発、モーションコントローラ開発などの工作機械の基礎技術となる研究開発を実施しております。
なお、当連結会計年度の研究開発費総額は
当連結会計年度における主な研究開発の成果は、以下のとおりであります。
・リニアモータ駆動 超精密ワイヤ放電加工機「AX350L i Groove+Edition」(工作機械事業)
多様な高精度加工ニーズに柔軟に対応するため、従来機「AX350L」の性能を高め、ワイヤ回転機構や省エネ機能を搭し小型電子部品や金型部品から、モータコアに代表される中型自動車用駆動部品やプレートなど様々な高精度金型の高品質・高効率生産を実現します。
・リニアモータ駆動 フェムト秒レーザー加工機「LSP4040」(工作機械事業)
十数年にわたり研究分野向けに行ってきたフェムト秒レーザーの基礎研究をもとに開発した高機能、高硬度脆性材料など難加工材用の精密微細加工機であり、各産業で求められるレーザーの仕様に対応するため、お客様の要望に応じたレーザー発振器をカスタマイズ仕様として装置に組み込み対応することが可能になります。
・リニアモータ駆動 精密金属3Dプリンタ「OPM250L+」(工作機械事業)
金属粉末の溶融凝固による3D造形と、造形物への切削加工を1台の機械で行うことができる金属3Dプリンタであり、従来機「OPM250L」から大幅な機能向上を図り、「安全性強化」「高品質造形」「高速造形」「長時間連続造形」「メンテナンス性向上」「複数粉末対応」「トラブル未然回避」「視認性、操作性向上」に対応しました。
・竪型ロータリ式射出成形機「VR Gシリーズ」の大型機種「VR200G」(産業機械事業)
自動車部品など大型化するインサート成形品への対応が可能となるようワンサイズ上の金型が搭載可能になりました。ロータリテーブルの回転駆動を見直すことでテーブル回転速度が向上し、生産性向上を実現しています。「VR_Gシリーズ」が全ラインアップ揃うことで金型サイズに応じて最適な機種をお選びいただくことが可能となりました。
・射出成形機搭載型の溶融せん断粘度測定装置「Nendy-E」(産業機械事業)
高分子材料や複合材料などの溶融粘度を測定する装置であり、成形材料の粘度評価や管理を向上させ、成形品の品質の向上に貢献いたします。環境に優しい再生プラスチックの用途拡大に寄与するとともにSDGs推進に貢献します。