第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営環境

 創業以来の繊維(麻)事業から業態転換を進めていた当社は、阪神淡路大震災を契機として、消防防災(官需防災)を顧客基盤とする防災事業へと一気に業態転換を図ることとなりました。また、東日本大震災以降は、国による国土強靭化政策をはじめとする防災関連政策の推進を背景に、原子力発電所の再稼働にあたりシビアアクシデントに対応する安全対策を必須とする電力会社向けや石油コンビナート施設を保有しBCPの観点から自主防災の強化に取り組む石油精製会社向けなど、民需防災事業への進出を果たし、さらにN.Y.同時多発テロ発生等によりセキュリティ対策が急務となった空港施設・航空会社を対象とするセキュリティ事業分野にも顧客基盤を拡げてまいりました。

 この間、当社は2007年に創立100周年を迎え、2008年度以降、中期経営計画(3ヵ年計画)を策定し、収益力の持続的強化を目指し、グループ一丸となって中期経営計画に掲げるテーマに取り組んでまいりました。さらに、2023年には、10年に亘り取り組み、防災業界におけるリーディングカンパニーへの進化を目指す「テイセン未来創造計画」を策定いたしました。同計画は、「人を創る」「仕事を創る」「人と仕事を繋ぐ企業文化を創る」をテーマに掲げ、「防災のテイセン」としての未来を切り拓き、世界に通用する防災企業として、名実ともに社会及びステークホルダーの皆様から絶対的な信任を頂くことを目指してまいります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 「テイセン未来創造計画」では、2023年からの3年間を第1フェーズと位置付け、第1フェーズにおける中期経営計画(テイセン2025/未来への基盤作り)を策定しております。

 中期経営計画「テイセン2025/未来への基盤作り」の内容は以下のとおりであります。

 

  ≪先進的防災事業を確立・発展させ

       多発化・激甚化・多様化する各種災害の脅威から

                  社会や事業の安心・安全を守る≫

 

 を旗印に、以下のテーマを推進し、防災ビジネスの拡がりと深みを追求してまいります。

 

 1.市場開拓の強化と圧倒的市場競争力の確立

   (1)送排水ビジネスの拡大

   (2)セキュリティビジネスの開拓

   (3)防災特殊車輌ビジネスの創造

   (4)メンテナンス業務の事業化

   (5)基盤事業(ホース・機材・車輌・防火衣)の一層の磨き上げ

 2.営業を支える下野・鹿沼両工場の機能拡充・強化

   (1)コスト・品管センターとしての役割徹底

   (2)技術・開発センターとしての能力強化

   (3)教育、訓練、実証実験等の幅広い分野での施設充実と活用

 3.持続的収益力の強化

    新たな事業基盤の確保による収益基盤の強化

 

 同時に、「テイセン未来創造計画」では、事業発展を支える人材育成(「人を創る」)及び永続的な企業の成長の土台となる新たな企業文化の創造(「人と仕事を繋ぐ企業文化を創る」)にも取り組んでまいります。

また、企業の社会的責任として、「環境(E)」、「社会(S)」、「ガバナンス(G)」への更なる取り組みも推進してまいります。

 

数値目標

連結営業利益水準

50億円以上

連結経常利益水準

60億円以上

配当性向

40%程度

 中期経営計画「テイセン2025」においては、送排水ビジネス、セキュリティビジネス及び防災特殊車輌ビジネスを拡大、開拓、創造し、数値目標の達成を図るとともに、原子力ビジネスに続く新たな中核事業基盤として磨き上げ、確立することにより収益基盤の更なる強化を目指してまいります。

≪市場開拓の強化と圧倒的市場競争力の確立≫

 <送排水ビジネスの拡大>

 大量送水システムの大口需要家である大手石油精製企業をはじめとするコンビナート関連企業のBCP対策としての需要が引き続き活発であり、加えて、既存消火設備の代替としてハイドロサブシステムを組み込む動きも出て来ており、益々市場の拡大、需要の増加が期待されております。また、大口需要先の一つである原子力発電所向け需要はここ数年端境期にあるものの、今後の大口需要として期待されている更新需要が動き始めています。

 排水ビジネスにおいては、異常気象が続く中、線状降水帯やゲリラ豪雨などによる水害や浸水被害が全国各地で多発しており、各県や市町村はその責任部署として対応に追われています。国交省のテックフォース部隊だけでは対応に限りがあり、当社の小型ハイドロサブシステムの需要が急速に伸長しています。特に、排水性能の大きさに比べ、小型で使いまわしの良さが評価され、地方都市の内水氾濫等に利用され始めています。

 

 <セキュリティビジネスの開拓>

 前中期経営計画においては、高まるセキュリティニーズを捉え、民間市場の開拓および鉄道等ソフトターゲット市場の開拓に向け、営業活動を積極的に展開させました。その結果、訪日外国人の増加に伴う、大型クルーズ船対策等各種ニーズの高まりから需要の拡大が期待されるボディスキャナー等は、官公庁向け需要に止まらず、民間セキュリティマーケットでも注目される商材に成長しており、商材開発によるセキュリティ機材のラインアップも一層拡充されています。訪日外国人の増加に伴うテロへの対策、及び社会不安を引き起こしている各種事件・事故の増加に伴う対策等、今後のセキュリティニーズの高まりによるセキュリティ市場の拡大を見込み、引き続き、商材の優位性を訴求する中で、広範なセキュリティニーズを取り込み、セキュリティビジネスの開拓を進めてまいります。

 

 <防災特殊車輌ビジネスの創造>

 製造・開発・実証実験を担う下野工場のインフラを整える等、次世代型防災特殊車輌に関する企画・設計・開発・生産に至る一連の開発体制の構築が進んでいます。災害の多様化、技術革新及び省人化ニーズに対応し、新たな価値を提供する次世代型防災特殊車輌の開発・製造は、日本の人口減少とともに現実味を帯びて来ている消防職員の絶対的不足等、未来の消防防災の在り方を見据えた重要なテーマとなっています。市場のニーズを掘り起こし、防災特殊車輌ビジネスの創造を推進してまいります。

 

 <メンテナンス業務の事業化>

 近年の営業活動の成果として、原子力施設及びコンビナート等に納入しているハイドロサブシステムや空港施設に納入している空港用化学消防車の納入台数は急速に増加しています。また、現在展開中の自治体向け送排水ビジネスにおいても、ハイドロサブシステムはさらに増加が見込まれます。セキュリティビジネスにおいても、その拡大に併せ、各種セキュリティ機材の納入台数も急激な増加が見込まれます。これら著増する機材のメンテナンスのニーズに対処し、その事業化に取り組むことで、収益基盤の強化に努めてまいります。

 

 <基盤事業(ホース・機材・車輌・防火衣)の一層の磨き上げ>

 消防防災における消防ホース・防災車輌・資機材・防火衣等特殊被服は、当社防災事業の根幹をなす基盤事業です。災害の多様化、省人化、環境負荷軽減等の刻々と変化するニーズに対応すべく、付加価値の高い新たな商材を投入する等市場のニーズを掘り起こすことにより、業界№1の地位を確固たるものにすることを目指します。

 

≪営業を支える下野・鹿沼両工場の機能拡充・強化≫

 当社グループの生産拠点の鹿沼・下野両工場においては、製品に関する品質の維持・向上に努めること、技術・開発能力を高め、社会・顧客が必要とする製品を臨機に製造すること、さらには製造コスト低減を図り、収益力を高めることに引き続き取り組んでまいります。また、新設した下野工場並びに新ラインを増設した鹿沼工場では、製造・開発に向けた設備・インフラを整備充実いたしました。特に、下野工場では、実証実験、デモ及び研修の施設を活用し、消防および民間企業の方々にご来場いただき、当社の防災事業へのご理解を通じ、当社の発展及び社会への貢献に役立ててまいります。

 

持続的収益力の強化

 当社グループは、これまで収益力の強化に努め、収益水準を継続して向上させて来ました。連結営業利益及び連結経常利益の水準はそれぞれ40億円、50億円まで拡大しております。引き続き収益力の強化に取り組み、その水準をさらに引き上げてまいります。

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは、3「事業等のリスク」に述べる各項目の影響を受けますが、当社経営者は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上で、以下の指標が重要であると考えます。

 

① 連結営業利益、連結経常利益

 当社及び連結子会社の経営成績を把握する指標として、連結営業利益及び連結経常利益を重視しております。ただし、当社は大型案件の受注獲得有無及びその売上計上時期により業績が上下するため、単年度における利益額ではなく、3年程度の中期的なレンジでその水準を拡大させることを目指しております。「テイセン2025」では、「連結営業利益水準50億円以上、連結経常利益水準60億円以上」を数値目標として掲げております。

② 受注残

 当社のビジネスは受注先行型であり、前期末の受注残が、翌期の売上の先行指標として有用であり、かかる指標を重視しています。また、各々の事業分野で、毎期確実かつ安定的に受注残を確保することを目指しております。

③ 配当性向

 利益配分につきましては、収益に応じた配当を行うことを基本としつつ、企業体質の一層の強化及び将来の事業展開に備えるための内部留保の充実を併せて図る方針としております。このような観点から、「テイセン2025」では、利益配分方針に関し、「配当性向40%程度」を数値目標として掲げております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

 帝国繊維(テイセン)グループは、「防災事業を通じ、社会や事業の安心・安全を守る」を企業理念とし、事業を通じた社会課題の解決に日々取り組んでおります。持続可能な社会の実現に向け、当社経営、社会、ステークホルダーの視点から当社が優先的に取り組むべきマテリアリティを設定いたしました。防災事業による企業価値向上に取り組むとともに、持続可能な社会の実現に向け、実効性を高めてまいります。

 

ESG

マテリアリティ

実施事項、目標

共通
(ESG)

防災事業を通じた防炎・減災・縮災

商材開発、用途開発

環境(E)

1.温室効果ガス

2.環境負荷軽減
(リデュース、リサイクル、

リユース、EV化)

1.CO2削減目標 2025年15%、2030年30%削減

太陽光パネルの設置他

2.産業廃棄物削減

ホース樹脂製金具

消防ホース、大口径ホースのリユース

防災機材のリサイクル

防災車輌のEV化対応、EV車輌火災への対応

天然繊維である麻(リネン)の拡販

社会(S)

1.地域社会への貢献

2.人権尊重

3.人材育成・企業理念の浸透

4.社員の幸福・健康

1.①下野工場における消防向け研修会等

②鹿沼・下野両工場への小・中学生見学を通じた防災

 意識向上

③企業消防団(本社)による地域社会への防災活動

2.企業憲章、サプライチェーン各社への要請

3.社員間の対話活性化、各種研修会、人材交流、経営陣との対話機会、成長につながる企業文化

4.労働安全衛生、思いやりある働きやすい企業文化

①目標:労働災害ゼロ、定期健康診断受診100%

②施策:安全衛生教育の実施

    安全文化の浸透促進

    安全確保のための装備・備品の充実

    長時間労働の低減

    年休取得の推進

③従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ

 導入

ガバナンス(G)

1.品質維持・向上

2.コンプライアンス

3.事業継続性(BCP計画)

4.コーポレートガバナンス強化

5.情報セキュリティ強化

 

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関する様々な課題に取り組んでいるなか、その活動をより体系的に推進することを目的として「サステナビリティ推進委員会」を運営しております。重要課題や各種方針の設定、活動の方向付けを行い、活動状況のフォロー及び取締役会への報告などを通じてサステナビリティへの取り組みを強化しております。

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(2)戦略

<気候変動への対応>

当社グループでは、防災事業を通じて、巨大地震などによる大規模自然災害や地球温暖化に伴う急激な気候変動の脅威から社会や事業の安全・安心を守ることを目標に、持続可能な社会の発展とSDGsの達成に向け、日々取組んでおります。2023年3月、環境保全にかかわるマテリアリティを特定するとともに、環境基本方針を策定いたしました。持続可能な社会の実現に向け、グループを挙げて環境活動を計画的かつ効果的に進めてまいります。

 

・環境基本方針

当社グループは、地球環境が重大な局面を迎えていることを認識し、人々の健康で豊かな生活に貢献する企業として、そのすべての事業活動を通じて環境保全と循環型社会形成に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現のために全力を尽くします。

①省資源、省エネルギー、温室効果ガス排出量削減、廃棄物削減等に取り組み、環境負荷の少ない事業活動を推進します。

②ライフサイクルの全過程(調達、生産、販売、流通、使用、廃棄、輸送)を通じて環境負荷が少ない製品と技術の開発に努めます。

③環境マネジメントシステムを運用し、環境関連法令等を遵守し、環境汚染を防止します。

④教育と啓発活動を行い、全員参加で環境保全に取り組みます。

⑤サプライヤーを含むビジネスパートナーに環境保全の働きかけを行います。

⑥環境情報を公開し、ステークホルダーとの対話を推進します。

 

また、サプライチェーン全体で持続可能な社会の発展を支え、SDGsの達成に貢献するため、調達にあたっての方針を策定いたしました。

 

・サプライチェーンCSR調達方針

1.環境

①継続的な環境保全活動を推進すること(ISO14001取得など)やエネルギーの利用における効率向上など、資源の有効活用や省エネに努めること

②大気、水、土壌への汚染物質の排出を抑制すること

③廃棄物について3Rを推進すること

(リデュース:廃棄物の発生抑制、リユース:再利用、リサイクル:再資源化)

④グリーン調達、グリーン購入を推進し、環境負荷低減に努めること

⑤温室効果ガス(CO2など)の排出削減に努め、気候変動の緩和に取り組むこと

⑥自然保護など生物多様性保全のための取り組みを推進すること

 

2.人権・労働

①人権を尊重すること

②児童労働、強制労働、虐待、人身売買など非人道的行為を禁止すること

③性別、国籍、人種、信条、年齢、障がいの有無、LGBTQなど、あらゆる差別を禁止すること

④個人の尊厳を傷つけるハラスメント(セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなど)を防止すること

⑤外国人技能実習生を含む外国人労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を整備すること

⑥紛争鉱物規制に対し、責任ある調達を推進すること

 

⑦労働安全衛生について、活動を展開する国や地域の法令を順守すると共に、従業員の健康を留意し、健康経営への取り組みも通じて、安全で働きやすい職場の実現に努めること

⑧労働時間に関し、活動を展開する国や地域の法令に従い、過度な労働時間について削減に取り組むこと

⑨賃金について、活動を展開する国や地域の法令に従い、最低賃金を超える適切な賃金を支払うこと

⑩労働者の結社の自由に関し、活動を展開する国や地域の法令に従い、権利を支持・尊重すること

⑪労働者の団体交渉権などに関し、活動を展開する国や地域の法令に従い、権利を支持・尊重すること

⑫動物実験などについて、動物福祉に配慮すること

 

人的資本経営>

当社グループでは、2023年3月に公表した「テイセン未来創造計画」において、「人を創る」「仕事を創る」「企業文化を創る」ことを掲げております。なかでも「人を創る」ことにおいては、人材育成を成長への投資と考え、「人を育む企業文化の下、自立・自律する人材を育てる」ことを推進しております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、「リスク管理委員会」を通じて業務遂行に係るリスクを的確に評価・認識し、当社及びグループ各社におけるリスク管理について審議するとともに、重要なリスク案件についてもモニタリングしております。取締役会はESGリスクやサステナビリティに関する取組みについて、その重要事項に関する報告を受け、議論することを通じて監督しています。

 

(4)指標及び目標

当社グループではCO2排出量削減目標として、2021年度対比で2025年までに15%、2030年までに30%削減することを掲げ、使用エネルギー量の削減に加え、使用燃料の代替、クリーンエネルギーへの切替え、廃棄物の削減などによる対応を進めております。2024年度は、2021年度対比で12.9%削減となりました。

 

<CO2排出量>

 

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

Scope1

t-CO2

741

790

650

770

Scope2

t-CO2

2,333

2,063

1,937

1,907

 

また、当社グループでは「テイセン未来創造計画」において「人を創る」ことをテーマの一つとし、人を育む企業文化の下、自立・自律する人材を育成することを掲げており、

・外部講師を招くなどして開催するセミナー

・管理職、管理職以外など階層ごとに分けて実施する研修

・全社員必須のコンプライアンス研修

など、様々な研修プログラムを設定しております。

現時点では、人的資本経営に関して下記に示します「安全衛生に関する研修の受講社員数」「男性育児休暇取得率」以外は、その具体的な指標や目標などは定まっておらず、今後の課題として検討してまいります。

 

<安全衛生に関する研修の受講社員数>

消防用ホース、救助工作車などのモノづくりの会社として、安全衛生管理はその根幹をなすものであり、現在当社では入社時の研修プログラムで安全教育を実施するほか、全社員を対象に安全衛生教育を実施しております。今後、安全衛生に対する意識の強化・維持を目的に、社員が安全衛生に関する研修プログラムを定期的に実施するよう改めてまいります。当該業務に携わる社員全員が研修を受講することを目標と定め、その意識を高めてまいります。

 

<男性育児休業取得率>

男女がともに仕事と育児を両立しワークライフバランスを実現するため、男性の育児休業取得を促進しており50%取得を目標としております。2024年度実績の取得率は100%(対象3名)でした。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりでありますが、リスクを不確実性と捉え、機会とリスクに分け記載しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

項目

機会(〇)とリスク(●)

主要な取組み

◎品質リスク

製品の欠陥

●品質クレーム・トラブルによる
信用失墜と市場の喪失

設計力向上と品証体制の充実等を対応、財務基盤の充実

◎コンプライアンスリスク

独占禁止法
下請法

会社法等

●法令違反等の場合、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁・信用失墜

リスク管理体制強化と従業員への研修等により、コンプライアンスを徹底

市場リスク

消防等の予算・補助金

〇予算・補助金の増額

●予算・補助金の削減

必要不可欠な幅広い商材の提供・民需等への展開

法律・基準の改正等

○規制強化等により当社が新たな
市場を開拓できる可能性

●規制強化等に対応できないこと等による市場喪失の可能性

情報収集と高機能・高性能商材の提供

競合出現

●当社が優位な市場への他社参入

性能の向上等により優位性を確保

新商材・新技術

○新たな商材・技術による当社が新たな市場を開拓できる可能性

●新たな商材・技術による他社から当社優位市場が侵食される可能性

海外サプライヤーとの連携強化により、最先端の商材・技術を準備・提供する

災害

○新たな防災ニーズが顕在化
●社会的混乱、経済的損失

防災・減災に向けた商材の準備、財務基盤の充実

その他

為替

●為替変動による仕入価格上昇

為替予約にてリスク低減

主要原材料価格

●天候・需給関係による仕入価格上昇

販売価格への転嫁など

生産設備の被災

●水害・火災・地震等による被害

生産拠点の防災体制の強化、保険等の活用

サプライチェーン

●災害等によるサプライチェーンの毀損・寸断

情報交換、リスクへの協働
商材調達先の多角化・拡充

人材確保・育成

●人材確保の不調

○優秀な人材による事業の深化・拡大

人材獲得手法を多角化
社員教育の充実

特に重要なリスクについては、項目の前に◎を付しております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の概要

 当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復に遅れがみられたものの回復基調を維持し、3月にはマイナス金利が解除され、日経平均株価は史上最高値を更新、地価上昇率や賃上げ率に見る如く日本経済は幅広い分野でデフレから脱却しつつあります。然しながら、国内では雇用需給の逼迫や継続的な円安の状況などに加え、米国では米国第一主義を唱えるトランプ政権が発足し、ロシアによるウクライナ侵略の継続、中東における紛争等地政学的な危機が増大しており、先行きについては予測が極めて困難な状況にあります。

 防災事業の分野では、年初に発生し甚大な被害をもたらした能登半島地震をはじめ、8月には宮崎県の日向灘を震源とする地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されるなど、巨大地震の脅威が益々現実味を帯びております。また、今年も各地で河川の氾濫や土砂災害等深刻な被害が発生しており、各種災害に対する「備え」の強化が正に喫緊の課題となってきています。政府でも令和8年度中の「防災庁」の設置に向けて準備室を立ち上げるなど官民連携体制の構築の飛躍的な前進が期待されています。自然災害以外の分野では、年初に羽田空港において航空機衝突事故発生の際、当社が羽田空港に納入した空港用化学消防車が活躍し、日航機乗客乗員全員の無事脱出に大きく貢献することができましたが、災害に対する日頃からの「備え」の大切さが改めて認識されることになりました。特殊災害の分野においても、世界各地で発生するテロにより多くの人命が奪われており、わが国や米国でも要人に対する襲撃事件が発生するなど、リスク領域は広範な拡がりを見せており、多発化・激甚化・多様化する様々な災害に対する官民挙げての防災体制の確立がますます重要となっております。

 繊維事業の分野では、リネン(麻)においては、麻素材の市場定着が進む中、新型コロナウイルス感染拡大の影響から停滞していた市場が環境意識の高まりもあり、漸く反転の兆しを見せております。引き続きリネンの価値創造力を強化すると共に、近時の原料の高騰も踏まえ、他素材複合により機能性を高めた商品開発も進めてまいります。また、耐熱、耐切創、高強力など優れた機能を特徴とする高機能繊維につきましては、防護服分野の他、EV向けなど資材分野での新たな用途や市場の開拓に加え、酷暑対策服等新規商材の開発も鋭意進めてまいります。

 このような状況下、当社グループでは、2023年度より、今後10年間に亘る取り組みを通じて、防災業界におけるリーディングカンパニーへの進化を目指す「テイセン未来創造計画」を策定いたしました。同計画では、「人を創る」「仕事を創る」「人と仕事を繋ぐ企業文化を創る」をテーマに掲げ、「防災のテイセン」としての未来を切り拓き、世界に通用する防災企業として、名実ともに、社会及びステークホルダーの皆様から絶対的な信認をいただくことを目指しております。

 さらに、2023年度からの3年間を第1フェーズと位置づけ、第1フェーズにおける中期経営計画「テイセン2025/未来への基盤作り」を策定し、スタートいたしました。同計画では、

     ≪ 先進的防災事業を確立・発展させ

          多発化・激甚化・多様化する各種災害の脅威から

                   社会や事業の安心・安全を守る ≫

を旗印に、以下のテーマを推進し、防災ビジネスの拡がりと深みを追求してまいりました。

 1.市場開拓の強化と圧倒的市場競争力の確立

 (1)送排水ビジネスの拡大

 (2)セキュリティビジネスの開拓

 (3)防災特殊車輌ビジネスの創造

 (4)メンテナンス業務の事業化

 (5)基盤事業(ホース・機材・車輌・防火衣)の一層の磨き上げ

 2.営業を支える下野・鹿沼両工場の機能拡充・強化

 (1)コスト・品管センターとしての役割徹底

 (2)技術・開発センターとしての能力強化

 (3)教育、訓練、実証実験等の幅広い分野での施設充実と活用

 3.持続的収益力の強化

  新たな事業基盤の獲得による収益基盤の強化

 

 当連結会計年度では、ハイドロサブシステムで、コンビナートなどの民間基幹産業のほか、特に水害対策では地方自治体による導入が全国的に拡大し、新たなマーケットが広がり、BCP対策及び水害対策で高い評価を獲得することができました。セキュリティビジネス分野では、コロナ禍による渡航制限の解除に伴うインバウンドの急増に対応すべく、ボディスキャナーや爆物検知器などの商材開発を強化し、強固な営業基盤を構築いたしました。さらに、次世代型防災車輌の開発をはじめ、消防ホース・防災車輌・資機材・防火衣等特殊被服の4事業分野でも市場でのプレゼンスはますます高まっております。

 生産体制については、ホース工場としての鹿沼工場に次ぐ第二の拠点として、2021年に防災車輌の製造拠点となる下野工場を新設いたしました。更に2022年には、防災特殊車輌の開発・製造拠点機能拡充のための設備新設(第Ⅱ期工事)を行いました。また、鹿沼工場でも2023年にホース生産新ラインが稼働開始するなど、今後の当社事業を支える生産体制の刷新に努めてまいりました。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ36億4千5百万円増加し、828億5千万円となりました。

 負債は、前連結会計年度末に比べ20億8千6百万円増加し、163億1千3百万円となりました。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ15億5千9百万円増加し、665億3千6百万円となりました。

 

(経営成績)

 当連結会計年度の売上高は314億8千1百万円(前期比12.3%増)、営業利益は34億5千9百万円(前期比33.8%増)、経常利益は45億5千3百万円(前期比27.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は32億5千3百万円(前期比33.0%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 防災事業では、救助工作車や原子力発電関連の大型防災資機材の売上が減少した一方で、空港用化学消防車や空港用等のセキュリティ機材の売上が増加したことから、売上高は前期対比23億2千8百万円増加し、249億8千8百万円となりました。

 繊維事業では、官公庁向け繊維資材の売上が増加したことから、売上高は前期対比11億1千8百万円増加し、59億2千3百万円となりました。

 不動産賃貸事業・その他は、順調に推移しており、売上高で5億6千9百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加したほか、売上債権が増加に転じた一方で、仕入債務も増加に転じたことから、19億5千1百万円の収入(前連結会計年度は9億3千2百万円の支出)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得やホース工場などへの設備投資が増加した一方で、定期預金の預入れが減少したことから、支出額は前期比7億6百万円減少し、1千1百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の増加や株式給付信託による自己株式の取得が減少したことから、支出額は前期比2億3千1百万円減少し、12億4千2百万円となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期比6億9千8百万円増加し、127億4千3百万円となりました。

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

防災(千円)

3,176,246

105.2

繊維(千円)

1,951,946

99.2

不動産賃貸(千円)

その他(千円)

合計(千円)

5,128,192

102.8

 (注)1.生産金額は製造原価にて記載しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額には外注による生産実績を含んでおります。

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

防災(千円)

15,145,096

103.0

15,719,658

116.0

繊維(千円)

2,325,271

57.6

2,708,760

81.7

不動産賃貸(千円)

その他(千円)

合計(千円)

17,470,368

93.2

18,428,418

109.2

 (注)金額は販売価額にて記載しております。

c.製品仕入実績

 当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

防災(千円)

11,137,423

95.1

繊維(千円)

2,433,443

117.5

不動産賃貸(千円)

その他(千円)

合計(千円)

13,570,867

98.5

 (注)金額は仕入価額にて記載しております。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

防災(千円)

24,988,534

110.3

繊維(千円)

5,923,221

123.3

不動産賃貸(千円)

529,548

100.0

その他(千円)

40,259

104.0

合計(千円)

31,481,564

112.3

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

官公庁

9,738,683

34.7

10,967,604

34.8

合計

9,738,683

34.7

10,967,604

34.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度末における資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える会計上の見積りを行っております。当該見積りに際しましては、過去の実績や状況に応じて、合理的と考えられる要因等に基づき行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性により、実際の結果は異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

  a.当連結会計年度の経営成績の分析

<連結経常利益>                                     (百万円)

 

2022年度

2023年度

2024年度

連結経常利益

5,296

3,569

4,553

 2023年には、今後10年に亘り取組みとして防災業界におけるリーディングカンパニーへの進化を目指す「テイセン未来創造計画」を策定いたしました。同計画では、当初2023年からの3年間を第1フェーズと位置付け、第1フェーズにおける中期経営計画(「テイセン2025/未来への基盤作り」)を策定し、取組むべき課題を掲げるとともに、数値目標(連結営業利益50億円以上、連結経常利益60億円以上、配当性向40%程度)を設定しております。その2年目にあたる2024年度においては、救助工作車等消防関連は減収ながら、空港化学消防車、セキュリティ関連ビジネス、総排水ビジネスの拡大により前期比増収増益となりました。今後とも「テイセン2025」に掲げる課題に取組むことにより、収益基盤の更なる強化を目指します。

 

<売上>                                         (百万円)

セグメント

2022年度

2023年度

2024年度

防災

24,732

22,659

24,988

繊維

4,606

4,804

5,923

不動産賃貸他

565

568

569

29,904

28,032

31,481

 

<受注残>                                        (百万円)

セグメント

2022年度

2023年度

2024年度

防災

11,100

13,556

15,719

繊維

1,576

3,315

2,708

12,676

16,872

18,428

 

 <防災>

 2024年度末の受注残高は2023年度を上回る水準となり、救助資機材、救助工作車、空港用化学消防車の受注が好調であったことに加え、2023年度からスタートした「テイセン2025」でも主要テーマと位置付けている大量送排水システム(ハイドロサブシステム)分野では、水害被害対策として各市町村から高い評価を獲得していることが受注拡大に結びついております。セキュリティビジネスにおいても、爆物検知器やボディスキャナーなどの商材開発を強化し、更新需要への対応を準備してきたことが奏功し、着実な受注を得られております。

<繊維>

 2024年度の売上は増加し、防衛予算の増加を背景に引続き官公庁向けの繊維資材の受注が好調に推移しました。リネン(麻)においては、麻素材の市場定着が進む中、環境意識の高まりもあり、漸く反転の兆しを見せております。近時の原料の高騰も踏まえ、他素材複合により機能性を高めた商品開発も進めてまいります。また、耐熱、耐切創、高強力など優れた機能を特徴とする高機能繊維につきましては、防護服分野の他、EV向けなど資材分野での新たな用途や市場の開拓に加え、酷暑対策服等新規商材の開発も鋭意進めてまいります。

 

 b.当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末の財政状態を概観いたしますと、総資産は受取手形、売掛金及び契約資産や棚卸資産が増加したことから、前連結会計年度末対比36億4千5百万円増加し、828億5千万円となりました。

 負債は、買掛金や未払法人税等が増加したことから、前連結会計年度末対比20億8千6百万円増加し、163億1千3百万円となりました。

 純資産は、利益剰余金の増加により、前連結会計年度末対比15億5千9百万円増加し、665億3千6百万円となりました。この結果、自己資本比率は80.0%となりました。

 

 c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第一部  企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

<キャッシュ・フロー>                               (百万円)

区分

2022年度

2023年度

2024年度

営業活動

9,446

△932

1,951

投資活動

1,471

△718

△11

財務活動

△2,852

△1,473

△1,242

8,065

△3,124

698

 

 当連結会計年度における営業活動による資金収入は、19億5千1百万円となりましたが、これは税金等調整前当期純利益が増加したほか、売上債権が増加に転じた一方で仕入債務も増加に転じたことなどによるものです。
 投資活動による資金の支出は、1千1百万円となりましたが、これは投資有価証券の取得やホース工場などへの設備投資が増加した一方で、定期預金の預入れが減少したことによるものです。
 財務活動による資金の支出は、12億4千2百万円となりましたが、これは長期借入金の増加や株式給付信託による自己株式の取得が減少したことによるものです。

 

 当社グループの運転資金及び投資資金は、営業活動によって生み出される自己資金を原資としております。

様々なリスクへの対処及び将来の事業展開への備えとして資金の確保により財務基盤の安定に努め、同時に収益に応じた配当を継続的に実施しつつ、中長期的な視点で時期を見極めた上で必要とされる投資活動を実施してまいります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

以下のとおり事業用借地権設定契約を締結しております。

契約者    イオンタウン㈱

内容     商業用施設敷地の賃貸

契約期間   20年間(2005年7月26日~2025年7月25日)

契約年月日  2005年7月25日

 

契約者    ㈱コロナ

内容     アミューズメント施設敷地の賃貸

契約期間   20年間(2005年12月17日~2025年12月16日)

契約年月日  2005年12月13日

 

以下のとおり賃貸借契約を締結しております。

契約者    アークランズ㈱

内容     商業用建物の賃貸

契約期間   20年間(2008年3月6日~2028年3月5日)

契約年月日  2008年3月6日

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社防災開発部および生産技術部を中心に各営業・生産部署(いずれも関係会社を含む)との連携のもとに、新製品・新商品の開発を進めると共に、中長期事業戦略に係る技術開発に取り組んでおり、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は185百万円であります。

 当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発の目的、主要課題、研究開発成果および研究開発費用は次のとおりであります。

(1)防災

 当社の主力商品であるホース商材については、加工設備の更新ならびに効率生産に向けた装置の研究開発、次期操法用ホースの開発など、当社独自の研究開発を引き続き進めております。また、危機管理システム等については、内外の有力提携先と共同で新商品の研究および開発を継続的に行っております。

 当連結会計年度においては、消防ホースでは、工程管理および生産管理システムの安定化・効率化を進めてまいりました。また、消防用途以外へのホースの製品展開を図るべく、国内企業との研究開発を行っております。

 防災車輌では、新たな次世代型防災特殊車輌の開発研究を行っております。

 防災機材では、海外の新規高度救助機材やテロ対策用検査機器の商品化を、また防災被服では、高機能防護服の開発と新型防火衣の製造工程に関わる改善・改良を引き続き進めております。

 当セグメントに係る研究開発費は173百万円であります。

(2)繊維

 高機能繊維については、用途開発を背景に、製造・加工技術をもって優れた素材特性を更に高めることで、各種特殊防護用製品の開発を進めております。

 当セグメントに係る研究開発費は11百万円であります。