文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、予防医療を切り口としたヘルスケアDXを通じて健康寿命の延伸(+8Y)に寄与し、一人一人が健康で幸せに過ごせる時間を創造することを目指しております。
厚生労働省の第4回 健康日本21(第三次)推進専門委員会資料(2024年12月24日)によると、2022年における日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性87.09歳であり、健康寿命は男性が72.57歳、女性が75.45歳とされています。すなわち男性で8.49年、女性で11.63年、全体で約10年の平均的療養期間があります。そこで、当社は健康寿命の8年延伸(+8Y)を目指し、予防医療にアクセスしやすい環境を創ることで「健康長寿イノベーション」を実現してまいります。
当社グループを取り巻く経営環境としては、以下の通り考えております。
国内では、少子高齢化の進展に伴う労働人口減少により、社会保険財政の健全化と医療費適正化が課題となる中、「重症化した後の治療」から、「予防や早期診断・早期治療」への予防・健康管理への重点化を通じた健康寿命延伸のための予防医療の推進等に対する各種取り組みが実行されております。
これらの各種取り組みとともに、「人生100年時代」の到来やコロナ禍を通じた人々の健康寿命への関心の高まりもあり、未病の状態のうちに定期的な人間ドック・健診を受診することによる健康チェックの重要性が改めて認識されております。人間ドック・健診市場は、2022年度において20歳以上の対象者のうち29.9%が人間ドック・健診の未受診者(出典:厚生労働省「2022年度国民生活基礎調査」)となっております。また、2023年度の同市場規模は9,440億円(予測値。健診の受診金額ベース。但し地方自治体や健康保険組合からの補助金も含み、特定保健指導に関する費用は含まない。矢野経済研究所「健診・人間ドック市場に関する調査を実施(2023年)」)とされておりますが、中長期的には当該市場の拡大余地も十分に見込まれるものと考えております。
健康寿命延伸のための予防医療の提供を行う医療施設が属する医療・福祉サービス業では、ITを活用した情報基盤の構築等によるDX比率は約22%と遅延している状況(出典:総務省「令和3年版情報通信白書」)にあります。業務システムの中心となる電子カルテやオーダリングシステムの普及率は50%を超えている(出典:厚生労働省「医療施設調査」)ものの、その他各種業務のIT化は中小の医療施設を中心に未整備な施設が多く、人間ドック・健診の予約管理業務においては、受診希望者から医療施設への受付や電話による多くの問合せを事務担当者が手作業で予約調整を行っていることが実情であり、IT化を通じた業務効率を高める施策としてのDXは重要な課題となっております。
また、市町村を中心とする地方自治体では、行政サービスとしての公共施設予約のオンライン予約比率は34%にとどまっており(出典:総務省「自治体DX・情報化推進計画」)、地域住民への利便性としても不十分な状況にあります。
このような状況を受けて、政府方針に基づき、デジタル庁を中心に関連省庁よりDX推進の各種取り組みが進展しており、医療施設や地方自治体へのデジタル化推進に伴うDXの取り組み拡大が期待されております。
当社グループは、ヘルスケア・プラットフォーマーへ向けて、DXを推進し、アナログ業務からデジタル業務へ移行することで個人・法人・行政・医療施設をつなぎ、予防医療をアップデートする事業を展開しております。さらに、DXの推進によって、アナログ業務からデジタル業務への移行を支援し、組織間の垣根を越えて治療偏重から予防医療の強化へのシフトを促すことで、医療費問題の解決や持続可能な医療制度の確立に貢献してまいります。

当社は、以下2つの主要サービスを展開しております。
予約サービス
人間ドック・健診予約サイト「MRSO.jp」を通じて、医療施設の予約数拡大に向けたマーケティング支援を行うほか、利用者に対する人間ドック・健診予約の促進に向けた情報提供など、様々な付加価値サービスを提供しております。
DXサービス
医療施設、法人、自治体などを対象に、主に業務効率化を目的としたWEB予約システムの提供を行い、業務プロセスのデジタル化を支援しております。
当社が注力する人間ドック・健診市場は、2023年度における市場規模が9,440億円と見込まれております(矢野経済研究所「健診・人間ドック市場に関する調査を実施(2023年)」)。しかし、現状では医療施設における人間ドック・健診の受診予約において、WEB予約よりも電話やFAXでの予約が多くを占めているのが実情です。 こうした市場環境を踏まえ、当社グループは、WEB予約の普及と医療施設におけるデジタル業務への移行を促進することが、今後の成長における重要課題と位置づけております。 この課題解決に向け、当社は資本業務提携を行った大手健診代行機関との共同プロジェクトを推進し、市場の約60%を占める企業や健康保険組合(健保)などの団体向け営業を強化しております。業界初となる、法人健診をワンストップで効率的に支援する「ビジネス・ヘルスケア・プラットフォーム」の構築を目指し、企業および医療施設双方の準備を進めております。 今後は、法人予約による市場シェアの獲得と、約4,500の医療施設に対する継続的なアプローチを通じて、WEB予約システム導入の拡大および医療施設の業務プロセスのDXを一層推進してまいります。 これらの取り組みを通じて、当社グループはヘルスケア分野におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立し、企業価値の最大化を目指してまいります。

当社グループでは、ミッションを実現し、継続的な企業価値向上を達成するための重要な経営指標として、売上高と営業利益を設定しております。また、これらを実現するための重要なKPI(Key Performance Indicators)として、各サービス形態等に応じて、①当社ヘルスケアプラットフォームとしての価値向上に資する「MRSO.jp」及び「MRS」を通じた人間ドック・健診の「予約取扱高」、②「予約取扱高」の母集団形成の基礎となる「MRSO.jp」の「掲載医療施設数」・「会員数」、③医療施設・法人・行政向けに提供している各種DXサービス等の利用に関する契約締結数(以下、「契約アカウント数」)を定めております。
当社がHCPFサービスとして提供している人間ドック・健診の予約メディアである「MRSO.jp」は、掲載医療施設数において国内No.1でありますが、「MRSO.jp」を通じた予約取扱高は、人間ドック・健診市場全体のうち僅かな比率であるのが実情です。人間ドック・健診を実施する医療施設では、DXの取り組みが遅延しており、現状でも電話・FAX中心の受診予約が行われております。また、一部の大企業を中心とした健保では、健診代行企業の活用がなされておりますが、当該健診代行企業を通じた人間ドック・健診予約においても電話等による予約が中心となっているところも多いことから、今後、健保・企業健診を中心とした法定健診領域の更なる取り込み拡大を通じた大きな成長余地が残っております。
このため、今後は、大手保険会社との提携効果やシステム利用者となる健保・企業の利便性を向上させるサービス機能拡充、「MRSO.jp」掲載医療施設の法定健診予約枠拡大、企業の健診業務仲介等の健康管理サービスを提供する健診代行機関や他サービスを提供する会員保有企業との提携等も視野に入れ、法定健診領域の取り込み拡大に努めてまいります。
当社は現在、未病における人間ドック・健診の業務DXを推進し、ヘルスケア領域に特化したサービスを提供しております。多くの医療施設では、いまだに紙やFAX、電話を用いた業務が残っており、非効率な運用が課題となっています。
こうした課題を解決するため、当社は業務プロセス全般のデジタル化を支援し、実績管理やデータ活用の高度化に貢献するサービスを開発・提供してまいります。今後も、医療施設のニーズに応じたDXソリューションを継続的に拡充し、より効率的で利便性の高い仕組みの構築を目指してまいります。
当社は24名(2024年12月末現在)の小規模な組織であることから、更なる有効な事業展開による継続的な成長を実現するためには、エンジニア等の優秀な新規人材採用及び既存社員の能力及びスキルの向上等による人材育成が重要な課題であると考えております。
当社は、ソーシャルメディアの活用等、採用方法の多様化による採用強化を図るとともに、計画的に社員に対して多様かつ有益な研修体制を整備するとともに、公正な評価制度に基づく人事制度の構築に取り組み、人材の確保と能力の向上に努めてまいります。
当社が運営する「MRSO.jp」や提供する各種クラウドサービスは、サービス提供にかかるシステムの安定稼動及びセキュリティ管理が重要な課題であると考えております。
当社は、既にISMS及びQMS、プライバシーマークの認証を取得・更新しておりますが、市場環境の変化に応じて、随時PDCAサイクルの見直しを行い、高いセキュリティ水準を維持していくとともに、新たな技術に関する教育や研修等を通じて技術レベルの向上を図り、堅牢なサービス提供体制の構築に取り組んでまいります。
当社では、事業規模の拡大により従業員の増員を計画しております。このため、事業環境の変化に適応しつつ、持続的な成長を目指していくためには、業務の効率化や内部管理体制の更なる整備強化が重要な課題であると考えております。
バックオフィス業務の整備を通じた業務の標準化による効率性の追求、組織的なマネジメント活動を支援する堅牢な内部統制確立のための人員増強等を図っていくことで、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制の更なる強化に取り組んでまいります。
当社は海外子会社を設立し、開発体制の強化に着手しました。設立初期の子会社管理では、現地法規制の遵守と円滑な運営体制の構築が重要です。
また、業務で取り扱うデータやシステムの保護も不可欠です。外部からの不正アクセスや情報漏えいを防ぐため、セキュリティ対策を強化し、安全な運用環境を整えてまいります。
さらに、財務管理体制を強化し、不正防止のための内部統制を徹底することで、透明性の高い経営を推進します。これらを通じ、海外子会社の安定した運営と企業価値の向上を目指してまいります。
現状においては、安定的に利益を計上のもとキャッシュ・フローを創出しており、事業継続に支障を来たすような財務上の課題は認識しておりません。今後、資金需要が生じた場合は自己資金を充当する方針でおりますが、金融機関からの借入やエクイティファイナンスも選択肢として対応してまいります。また、収益基盤の維持・拡大を図るためには、手許資金の流動性確保や自己資本の充実に基づく金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。各種費用対効果の検討を継続的に実施のうえ、財務健全性の確保に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、持続的な成長による企業価値向上を実現するためには、企業経営の健全性及び透明性を図り、株主をはじめとした全てのステークホルダーからの信頼を得ることが不可欠であることから、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでおります。
株主総会、取締役会、監査等委員会に加え、経営及び業務執行に関する協議・諮問機関として経営会議やリスク管理委員会を設置し、サステナビリティに関する事項を含む重要事項の審議・検討を通じてガバナンス向上を図っております。
当社グループは、サステナビリティに関する取組みのうち、人材の多様性の確保を含む人材の採用・育成に関する取組みは経営上重要であると考えております。
多様な人材がワークライフ・バランスを充実させながら、高いモチベーションのもと自己能力を有効に発揮することのできる職場環境の整備に努めております。
また、定期的な研修を実施する等自己研鑽の機会を設けるとともに、従業員の能力を高めることができる業務体制、年齢・国籍・性別等を区別することなく意欲と能力のある従業員を平等に育成・登用する方針としております。
当社グループは、役職員が全社的なリスクマネジメントについて適切に認識し、円滑な会社運営を遂行することを目的として、「リスクマネジメント規程」を制定し、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しております。当委員会では、サステナビリティに係るリスクも含めた全ての事業活動に関わる重要なリスクを抽出、評価のうえ、各リスクに応じた必要な対応を図っております。当委員会は原則として四半期毎に定期開催するほか、必要に応じて随時開催することとしており、継続的なリスク管理体制を構築しております。
当社グループは、少人数規模での運営体制であることから、現時点では、人材の多様性の確保を含む人材の採用・育成に関する取組みへの定量的な指標等は定めておりません。今後、人員の拡充に伴い、当社グループにとって適切な指標及び目標の設定に向けて検討を進めてまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を伴うことから実際の結果は異なる可能性があり、また、全てのリスク要因が網羅されているわけではありません。
当社の主要市場である人間ドック・健診市場は、人生100年時代が到来する中、政府及び地方自治体による予防医療推進の取り組みや人々の健康意識の向上に伴い、一定の継続的な成長が見込まれております。
しかしながら、人間ドック・健診の担い手である医療施設の動向や政府・地方自治体における社会保険財政の状況と使用方針等により、人間ドック・健診市場の減退、若しくは市場環境が変化するような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、ヘルスケア領域に限定せずに、行政実務全般に関するDXを推進する新たなサービス展開を開始しております。
人間ドック・健診関連市場は、企業を中心に従業員の健康管理の一環として需要が高まっており、健診代行機関やクラウドサービスをベースとした健康管理支援システムを提供する企業を中心に新規参入事業者が増加してりおります。
今後、これらの事業者がシステムを活用した人間ドック・健診に関する予約サービス提供業務へ進出してきた場合、競争の激化により当社の市場における競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、当社はHCPFとDXの両サービスを提供することで参入障壁を高めております。また、医療施設のデジタル化は時間とコストが相応にかかり、費用対効果の点で先行者の後塵を拝すことが見込まれることから、当該事業者との関係では、相互連携による両社の利益追求も合理的な選択肢となることから、発生可能性は低いものと認識しております。
ヘルスケア関連の事業領域は、グローバルで潜在的に高い成長可能性が見込まれるため、ベンチャー企業からグローバル展開する大企業までが大小問わず事業を推進し、クラウドを中心に様々なシステムやツールが開発されております。
今後、技術革新等による技術トレンドやユーザーニーズの変化に十分に対応できない場合は、当社サービスの優位性が損なわれ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、最新のテクノロジーの知見やノウハウ、ユーザーニーズの蓄積等により、継続的な開発力の向上を図ってまいります。
当社は、Amazon Web Service(AWS)を中心に海外事業者が提供するサービスを利用しておりますが、為替リスクヘッジは特段実施しておりません。そのため、想定以上に為替相場が円安傾向となった場合は、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社における為替リスクのある取引高の割合は低い状況ですが、今後当該割合が高まる場合は、金融機関等とも相談のうえリスクヘッジ手段を用いることも検討してまいります。
当社が提供するサービスは、主にSaaS型のクラウドサービスとして提供しております。したがって、当社事業に関する各種サービスはコンピューターシステム及び通信ネットワークに依存しております。
このため、予期せぬ自然災害や不慮の事故により当社が管理するコンピューターシステムで障害が発生した場合や、想定を超える急激なアクセス増加等の一時的な過負荷やシステム障害によってコンピューターシステムや通信ネットワークが動作不能に陥り、サービスが停止した場合、当社に対する訴訟や損害賠償の実損害や当社に対する信用棄損を通じた無形の損害等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスク低減を図るため、システムの冗長化やサーバーの負荷分散、定期的なバックアップの実施等により、システム障害等のトラブルの発生の防止及び回避を図っております。
当社は、受診者や顧客企業の従業員の健診結果データである要配慮個人情報を含む大量の個人情報を保有していることから、個人情報の適切な管理は、極めて重要な責務と認識しております。
このため、万が一事故若しくは自然災害、悪意のある者による意図的な外部攻撃等によって当社の通信・ネットワークセキュリティに障害が発生した場合、又は、関係者等による人為的な事故若しくは悪意による情報の漏洩が発生した場合は、当社の情報管理に多大な支障をきたし、当社に対する訴訟や損害賠償の実損害や当社に対する信用棄損を通じた無形の損害等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスク低減を図るため、個人情報保護法及び関連する法令等に遵守するための体制を整備しております。また、2016年3月にISMS(ISO27001:情報セキュリティマネジメントシステム)の認証、2017年1月にプライバシーマークの認証を取得し、これらの認証に基づいた各種情報セキュリティに関する規程等を定めて、情報の機密性、完全性、可用性の確保に努めるとともに、提供する各サービスについては、定期的に脆弱性診断を実施し、継続的な情報セキュリティレベルの改善及び向上活動を行っております。
これらにより、入室制限及び書類保管等の物理的な対処はもちろん、ランサムウェア攻撃等によるウィルス対策や外部からのアクセス遮断、社内でのアクセス権限設定等のアクセス管理の実施等、細心の注意を払い、情報漏洩防止に取り組んでおります。
当社は、人間ドック・健診の予約メディアである「MRSO.jp」上にて、人間ドック・健診を提供する医療施設の紹介及び予約プラン等を掲載しております。このような医療関連メディアの運営を行う上では、医療施設に関する虚偽表示や誇大表示による広告等を禁止するための指針とされる「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(厚生労働省)の規制を受けております。
また、上記の他にも「個人情報保護法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「資金決済に関する法律」等の各種法的規制のもと運営を行っております。
このため、将来的に当社事業に関連する分野において、これらの法令等の改正や新たな法律等の制定・施行により事業運営上の制約を受けたり、新たな対応を余儀なくされたりする可能性があります。このような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、規制改定等に関する情報を迅速に把握対応し、これらを遵守すべく、適宜顧問弁護士等とも確認を行い体制整備に努めるとともに、適切な社員教育を行うことで法令遵守体制の整備・強化を図っております。
当社が運営している「MRSO.jp」への集客は検索サイトを経由したものが一定数を占めており、検索エンジンの表示結果に影響を受けております。
このため、外部検索エンジンを運営するプラットフォーム事業者のアルゴリズム(表示順位判定基準)変更等により、当社のSEO対策の有効性が低下し、検索結果が当社にとって優位に働かない状況が生じた場合には、集客効果が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、検索エンジンからの集客を高めるための検索エンジン最適化(SEO対策)を実施し、定期的に広告宣伝効果を測定しつつ最適な広告宣伝を実施するよう努めております。
当社は、「MRSO.jp」、「人間ドックのミカタ」等、医療施設による人間ドックのプランや自社による人間ドック・健診を中心とした医療記事等を掲載するWEBメディアを運営しております。また、これらのWEBメディア上では、運営者として、医療施設や一般企業からの広告を掲載しております。
このため、ユーザーがこれらの情報に基づき一定の判断をした結果として、何らかの不利益が発生した場合や人為的な要因等により掲載した内容に瑕疵があった場合等において、WEBメディア運営者として当社に何らかの責任が問われることにより、又はWEBメディアに対するユーザー等の支持低下や当社の社会的信頼性の毀損により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、掲載される医療情報・医療記事・広告記事については、社内ガイドライン・掲載基準に従って確認を実施しており、法令違反や公序良俗に反する内容を排除するような体制構築に努めております。
当社が提供するクラウドサービスは、安全性、安定性、拡張性及び価格等を総合的に勘案し、Amazon Web Services, Inc.が提供しているクラウドコンピューティングサービス「AWS」を基盤として運営されています。
このため、AWSのデータセンター処理能力が当社の求める処理能力を満たさない場合やAWSに障害が生じた場合には、当社が提供する各種クラウドサービスへのアクセスが中断又は遅延する等、顧客からの信用が損なわれ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、同社による経営戦略の変更、又は、利用料改定を含む各種取引条件の変更等が行われた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、AWS以外のサーバー提供事業者の提案等も定期的に収集確認しており、継続的にAWSとの比較検討を行い、AWSの継続利用が困難に陥った場合等の代替事業者への円滑な移行に向けた検討を行ってまいります。
当社は、当社提供のサービス名等について商標登録を行っております。当社が使用する知的財産について、現時点においては、第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。
しかしながら、当社事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であるため、意図せず他社の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。この場合、特許権侵害や商標権侵害を理由とする損賠賠償請求や差止請求、知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、今後の事業活動においても第三者の特許権、商標権等の知的財産権を侵害することがないように外部専門家と連携し、適切な管理に努めてまいります。
当社は、コンプライアンス規程を制定し、法令を遵守した事業活動を行うべく、従業員に対しても法令遵守への意識向上を図っております。
現時点においては、当社は係争中の訴訟を有してはおりませんが、事業活動の遂行において、意図しない法令違反や不適正行為、契約を巡る紛争や損害賠償等、第三者からの訴訟その他法的手段の提起等がなされた場合には、金銭的な負担に加え、企業イメージの悪化等、社会的なレピュテーションの低下により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、法令改正等に関する情報を専門誌の購読等を通じて迅速に把握し、対応が必要な場合は、速やかな体制整備に努めてまいります。また、法的手段等の提起がなされた場合には、適宜顧問弁護士等とも協議のうえ適切な対応を図ってまいります。
代表取締役社長である西野恒五郎は、当社の創業者の一人であり、2017年3月以降は代表取締役社長を務めており、当社の経営方針や事業戦略構築、信用力の向上等において重要な役割を果たしております。
このため、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難となった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、取締役会等の会議体等を通じて役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に依存しない経営体質の構築を進めてまいります。
当社グループは従業員数が24名(2024年12月末)と小規模な組織であり、更なる成長のため、優秀な人材確保及び人材育成が不可欠であると認識しております。また、人員拡大とともに内部管理体制の更なる強化を併せて図っていく予定であります。
このため、人員採用計画等が何らかの事情により想定通り進まなかった場合、又は既存人員の人材流出が進んだ場合には、競争力低下やリソース不足により事業が計画通りに進まない可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスク低減を図るため、採用方法の多様化を図り、当社の企業風土にあった人材の登用を進めるとともに、内部管理事項を含む各種研修の実施等により、各人の能力底上げを行ってまいります。
当社グループは、ベトナムにおいて、システムの開発および保守・運用を担う海外子会社を保有しており、親会社は同子会社に一部の開発業務等を委託しております。このため、ベトナムにおける政治・経済・法規制の変更、テロなどの社会的混乱、または労働環境の急激な変化等が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに対して現地従業員を中心とした現地管理体制の強化に努めるとともに、事業環境および経営状況を常時把握しております。また、必要に応じて当社取締役会等においてリスク状況を適宜協議・モニタリングし、安定した業績および健全な財政状態の維持に努めております。
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現在は事業拡大過程にあり、財務体質の強化に加えて更なる事業成長のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化及び収益力強化のための投資に機動的に充当していくことが株主への最大の利益還元につながるものと考えております。
将来的には、経営成績等を勘案しながら株主への配当還元を検討していく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。
当社は、東京証券取引所グロース市場への上場しておりますが、2024年12月末時点での流通株式比率は27.0%にとどまっております。
このため、株式市況等の要因により流通株式比率が向上しない、あるいは低下する可能性があり、これらの場合には当社株式の市場売買が停滞すること等により当社株式の需給関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスク低減を図るため、今後は、既存大株主への一部売出しの要請、新株予約権の行使等による流通株式数の増加に努め、流動性の向上を図ってまいります。
当社は、役員、従業員及び社外協力者に対して、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権の権利行使の可能性や時期について正確に予測することはできませんが、将来の権利行使時点において当社株式が新たに発行され、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化される可能性があります。
なお、2024年12月末時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は253,370株であり、発行済株式総数 3,552,750株の7.1%に相当しております。
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が進んでいるものの、ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクを背景とした資源・原材料価格の高騰や、円安に伴う物価の上昇から個人消費への影響が懸念されており、引き続き景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経済環境の下、当社グループは、健康寿命の8年延伸を目指し『+8Y健康長寿社会の実現』をミッションに掲げております。そしてアナログ業務からデジタル業務へのDXを推進して、個人・法人・行政・医療施設をつなぎ、予防医療のアップデートの実現に向け、事業を展開しております。
当社グループのセグメントは、ヘルステック事業の単一でありますが、サービス提供内容に応じて、「予約」「広告」「DX」「ワクチン」に区分しております。
なお、当社グループは、当連結会計年度が連結初年度となるため、以下は当事業年度の経営成績を記載しております。
予約においては、人間ドック・健診予約サイト「MRSO.jp」を通じて、医療施設の予約数拡大に向けたマーケティング支援を行うと共に、利用者に対する人間ドック・健診の予約促進に向けた情報提供等の多様なサービス提供を行っております。当連結会計年度は、継続的な営業活動を通じた「MRSO.jp」の掲載医療施設数の拡大や、医療施設のWEB予約枠拡大に努めました。また、会員数拡大に向けた積極的なマーケティング活動を実施すると共に、引き続き業務提携先である生命保険会社等からの予約取扱高の増加もあり、「MRSO.jp」の予約取扱高は堅調に推移いたしました。医療施設向け人間ドック・健診WEB予約システムである「MRS」は、利用施設数の増加等により予約取扱高は堅調に推移いたしました。
広告においては、「MRSO.jp」トップページに設けた特集ページ等を通じた医療施設の露出量増加や企業との提携を通じた「MRSO.jp」でのプロモーション実施等を行っており、広告サービスの利用数拡大やその利用単価向上に取り組んでまいりました。
DXにおいては、医療施設や市町村を中心とする行政、法人に対して、主に業務効率化に資するWEB予約システムの提供を行っております。医療施設・法人向けDXは昨年並みの推移に加え、大規模開発案件により増加し、行政向けに提供している住民健診については昨年並みに推移いたしました。
ワクチンについては、新型コロナウイルスワクチン接種等に関する各種WEB予約システムについては、国の接種方針の大幅な変更にともない、一部を除き自治体のワクチン接種体制が終了したことから、システム利用が大幅に減少しております。また、大規模接種等サービスにおいては、国や都道府県が設置した各大規模接種会場の終了後も一部の職域接種会場でワクチン接種WEB予約システムを提供しておりましたが、第1四半期末をもってサービス提供を終了いたしております。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は1,333,059千円、営業利益は157,517千円、経常利益は157,412千円、親会社株主に帰属する当期純利益は101,004千円となりました。
なお、当社グループはヘルステック事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,106,396千円となり、その主な内訳は、現金及び預金1,809,396千円、売掛金250,633千円であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は150,416千円となり、その主な内訳は、投資有価証券60,034千円、差入保証金25,814千円、繰延税金資産57,588千円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は234,452千円となり、その主な内訳は、買掛金33,002千円、未払金51,802千円、未払法人税等31,432千円、営業預り金67,550千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は2,022,360千円となり、その主な内訳は、資本金122,351千円、資本剰余金329,541千円、利益剰余金1,573,995千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,809,396千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は77,625千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上157,412千円、売上債権の増加額55,860千円、法人税等の支払額50,774千円、契約負債の減少額159,436千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は59,685千円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出60,034千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は22,892千円となりました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴うオーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資による株式の発行による収入44,702千円、上場関連費用の支出13,703千円、長期借入金の返済による支出7,992千円よるものであります。
当社グループ事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループ事業は、受注生産形態をとらない事業であることから、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、ヘルステック事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注) 1.当連結会計年度において、ワクチンの販売実績は著しい減少となりました。これは、新型コロナウイルスワクチン接種等に関する各種WEB予約システムについては、国の接種方針の大幅な変更にともない、一部を除き自治体のワクチン接種体制が終了したこと等から第1四半期末をもってサービス提供を終了したことによるものであります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本報告書提出日において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項については、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に関して情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりです。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は1,333,059千円となりました。売上高の分析・検討内容につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は304,266千円となりました。これは主に「MRSOワクチン」に係るサーバー費用が抑制されたこと等によるものであります。この結果、売上総利益は1,028,793千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は871,275千円となりました。これは主に「MRSO.jp」を通じた人間ドック・健診の予約取扱高増加に伴いリスティング広告費の増加や営業活動の外部委託を実施したこと等によるものであります。この結果、営業利益は157,517千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益として193千円、営業外費用として299千円を計上しました。この結果、経常利益は157,412千円となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は特別損益の計上はなく、法人税等が56,407千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は101,004千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資金需要のうち主なものは、システム開発投資や広告宣伝投資等が中心となりますが、これらの資金に関する財源は、自己資金及び金融機関からの借入により対応しております。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は1,809,396千円、有利子負債(借入金)残高は7,366千円となっており、資金流動性の改善が図られております。
今後の更なる業容拡大に対応するための資金に関しては、自己資金に加えて、株式上場時の調達資金を用いて、成長投資の実行とともに財務基盤の強化を図ってまいります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営戦略と経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、当社は売上高と営業利益を重要な経営指標として設定するとともに、これらの目標達成実現のための重要なKPIとして、サービス形態等に応じて、①「MRSO.jp」及び「MRS」を通じた人間ドック・健診の「予約取扱高」、②「予約取扱高」の母集団形成の基礎となる「MRSO.jp」の「掲載医療施設数」、③地方自治体等に提供する各種DXサービス等を利用する「契約アカウント数」(大規模接種等サービスに属する契約アカウント数を除く)を設定しております。
当連結会計年度は、売上高及び営業利益は減少した一方で、各KPIついて堅調に伸長しております。
該当事項はありません。
当社は、人間ドック・健診予約システム等の提供を通じて、顧客のマーケティング活動と業務効率化に資するヘルスケアDX実装カンパニーとして、クラウドサービスによる人間ドック・健診の予約プラットフォームの拡充と顧客のDX推進を目的に、新規サービスの開発及び既存サービスの機能拡充に向けて研究開発を行っております。
なお、当社はヘルステック事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当連結会計年度の研究開発活動は、主として法人向けDXサービスの開発によるものであり、研究開発費の総額は