第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「テクノロジーで、住宅を変え、世界を変えていく。」という経営理念のもと、AI・IoT等の先端技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)による不動産領域の様々なサービスを通じて多様化する生活スタイルに相応しい利便性の高いサービスを提供していくことで、経営理念を実現すべく事業展開を行ってまいります。
 当社グループがこれまで培ってきたリアル領域とテック領域のノウハウをベースとし、「リアル×テクノロジー」の知見をDX領域へと展開し企業価値の向上を目指すものであります。
 

(2)経営環境

当社グループをとりまく経営環境は、個人消費・設備投資の改善や、雇用情勢・所得環境の改善等により、緩やかな景気回復基調が見られる一方で、世界的金融引き締めに伴う影響や、日本銀行の金融緩和政策の変更、資材・エネルギー価格の高騰等、依然として先行きが不透明な状態が続いております。
 このような状況の下、当社グループは、AI・IoT等の先端技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進、及びそれら技術を活用した、賃貸経営プラットフォーム「robot home」を継続的にアップデートしております。不動産オーナーに向けた新築‧中古物件の供給から、賃貸管理の受託、売却・再投資を経て、プラットフォーム内の流通が更に拡大するという好循環成長サイクルを生み出し、安定的にストック収入を拡大してまいりました。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中長期的な視点でDX企業としてのさらなる成長に向けて、AI・IoT×不動産のリーディングカンパニーを目指しております。
目標の達成に向けて、賃貸経営プラットフォーム「robot home」を強化し、さらなるDXの強化を進めてまいります。加えて、IT人員の採用と育成を進め、プロパティマネジメント領域におけるDXプラットフォームをさらに強化するとともにデータドリブンによる革新的サービスを既存・新規領域において創出してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

上記の経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

 

①コーポレートガバナンスの強化

当社グループは、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、経営の透明性・客観性の確保のため、コーポレートガバナンスの強化が重要な課題であると認識しております。そのため、経営の意思決定の迅速化及び機動的な業務執行の実現を図るとともに、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離することで、経営の透明性・客観性の向上を図ってまいります。

また、指名・報酬委員会の設置により、取締役の報酬額についての客観性・透明性を高めるとともに、取締役会の実効性について、各取締役へのヒアリング等を通じて分析・評価を行っております。

 

 

②コンプライアンス・リスク管理体制の強化

当社グループは、コンプライアンス・リスク管理体制の強化が非常に重要な課題であると認識しております。そのため、当社グループのコンプライアンス・リスク管理を統括するコンプライアンス統括本部を設置し、コンプライアンス委員会の実効性を確保するとともに、取締役会、監査等委員会、内部監査室とも連携し、コンプライアンス・リスク管理体制の強化に取り組んでおります。

また、コンプライアンス統括本部内に事務課を設置することによる営業社員とは独立した部署での顧客との契約適合性の厳格な審査を行うとともに、内部通報制度の充実などにも引き続き取り組んでまいります。

 

③IT人材の確保と育成

当社グループの持続的企業価値向上の実現に向けて、優秀なIT人材を採用し、さらなるDX体制を加速することが重要であると認識しております。

また、積極的な採用活動を推進していく一方で、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備、人事制度の構築やDX教育研修等を進めてまいります。

 

④robot home事業の拡大及び今後の拡充

当社グループは、自社開発したIoTの強みと賃貸住宅販売の双方を通じて管理受託を強化することにより、IoT賃貸住宅管理戸数をさらに拡大すると同時に、自社物件のIoT導入シェアの向上を図ってまいります。また、株式会社rh maintenanceにおけるメンテナンス事業及び株式会社rh warrantyにおける保証サービスの受託も強化してまいります。

加えて、上記の施策の中で、賃貸経営を自動化するプラットフォーム「robot home」の導入によりrobot home事業のコスト構造を改革し、収益力をアップしてまいります。
また、今後の収益基盤の安定化に向けた取り組みを強化するとともに、不動産投資マーケットをさらに活性化すべく、テクノロジーを活用した、新たなマーケットプレイスを構築してまいります。

 

⑤技術革新への対応

当社グループは、これまでIT技術を早期に導入することで、コスト優位性を確保し、サービスやデザイン性の分野で差別化を図ってまいりましたが、ITの技術革新のスピードは速く、今後もその環境変化へ対応することが重要であると考えております。そのため、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築してまいります。

 

⑥システムトラブルへの対応

当社グループの事業のコアは、ITの技術であり、地震、火災などの自然災害、事故、停電など予期せぬ事象の発生によって、当社グループ設備又は通信ネットワークに障害が発生した場合や、外部からの不正な手段によるサーバーへの侵入などの犯罪や役職員の過誤によるネットワーク障害が発生した場合は、当社グループの営業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。このため、自社内において、万全の情報セキュリティ対策や事業の安定的な運用のためのシステム強化を行っております。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は「テクノロジーで、住宅を変え、世界を変えていく。」を理念として、当社を取り巻くあらゆる社会環境や地方創生、 労働環境の改善などを取り組むべき課題と認識し、企業価値向上に努めてまいります。

 

(1)ガバナンス

私たちrobot homeグループは、法令遵守のもと、株主その他のステークホルダーからの信頼確保並びに企業価値の持続的な向上のために、経営の効率性、透明性、健全性を確保できる経営体制を確立することをコーポレート・ガバナンスの基本としております。当社のコーポレートガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りであります。

 

(2)戦略

当社グループは、自社開発したIoTの強みと賃貸住宅販売の双方を通じて管理受託を強化することにより、IoT賃貸住宅管理戸数をさらに拡大すると同時に、自社物件のIoT導入シェアの向上を図ってまいります。また、株式会社rh maintenanceにおけるメンテナンス事業及び株式会社rh warrantyにおける保証サービスの受託も強化してまいります。
 加えて、上記の施策の中で、賃貸経営を自動化するプラットフォーム「robot home」の導入によりrobot home事業のコスト構造を改革し、収益力をアップしてまいります。

また、購入、資産形成、売却におけるサポートのさらなる充実により、プラットフォーム内での流通を促進。今後の収益基盤の安定化に向けた取り組みを強化するとともに不動産投資マーケットをさらに活性化すべく、テクノロジーを活用した新たなサービスの提供に取り組んでまいります。

 

(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループの持続的企業価値向上の実現に向けて、優秀なIT人材を採用し、さらなるDX体制を加速することが重要であると認識しております。

また、積極的な採用活動を推進していく一方で、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備、人事制度の構築やDX教育研修等を進めてまいります。

 

(4)リスク管理

当社は、コーポレート・ガバナンスの強化を図りながら、サステナビリティ関連のリスクの管理を取締役会主導で実施しております。取締役会やコンプライアンス委員会を通じて発見・分析されたサステナビリティ関連のリスクは、経営会議にも共有され、当該リスクに関連する部門の執行役員が具体的にその対応を実施しており、必要に応じて取締役会への報告も行われております。

 

(5)指標及び目標

当社グループのダイバーシティの推進については、当社ホームページにて公開しています。

 

https://corp.robothome.jp/company/sdgs

 

 

また、当社では女性活躍に向けた取組を進めており、「女性活躍推進法・次世代育成支援対策推進法における一般事業主行動計画」(計画期間:2022年4月1日~2025年3月31日)において以下4点を掲げています。

 

(目標)

女性管理職の割合を40%まで引き上げる

 

(採用に関する事項)

女性が活躍できる職場であることについての求職者に向けた積極的広報

 

(継続就業・職場風土に関する事項)

育児休業からの復職者を部下に持つ上司に対する適切なマネジメント・育成等に関する研修等

 

(長時間労働の是正に関する事項)

組織全体・部署ごとの数値目標の設定と徹底的なフォローアップ

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項について、以下のとおりに記載しております。また、当社グループとしては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該リスクによる影響が最小限となるよう対応に努める方針でありますが、当社株式に対する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 不動産市況の動向について

当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向、地価動向及び税制改正等の経済市況の影響を受けやすく、特に、入居率の悪化、家賃相場の下落による賃貸料収入の減少や金融情勢の変化による金利負担増等、オーナーのアパート経営に支障をきたす可能性があります。その場合、アパート経営への不安感を与えることとなり、このような不動産市況の変動が、不動産投資への障壁となる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合について

当社グループが属する不動産業界は、大手企業を含む事業者が多数存在しておりますが、当社グループが事業展開するプラットフォームを利用した不動産マッチングビジネスに関しては、大手事業者等の他社の本格的な参入及び展開が現時点では限定的であると認識しており、この事業分野については当社グループが優位性を保持しているものと考えております。
 ただし、今後、この分野に関して、他社の本格参入が生じ、会員獲得競争が激化した場合には、価格競争や会員獲得コストの増加等によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 技術革新への対応について

当社グループはITの技術を早期に導入することでコスト優位性を確立し、会員や市場のニーズに対応した競争力のあるサービスの提供や提案するアパートのデザイン性を高めることで、差別化を図り成長してまいりました。そのため、引き続きIT技術の進展に対応し、新たなサービスの提供を行うことが事業展開の基本条件であると考えております。

しかしながら、予想以上の急速な技術革新や依存する技術標準・基盤の変化等により新たなサービス等の開発を適切な時期に行えない場合、新たなサービスの投入による効果を十分に得ることができず、競争力が当社グループの想定どおりに確保できない可能性もあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、今後もITの技術革新が進むものと想定しておりますが、新たな法的規制の導入等により技術革新の遅れが生じた場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 優良な土地情報について

当社グループのrobot home事業の会員は、通常、土地を所有しておりません。そのため、当社グループは、広範な土地情報を収集し、高い入居率が見込める好立地の土地情報を厳選し、会員へ提案しております。

しかし、地価の上昇や他社との競合等により、優良な土地情報を計画的に入手することが困難になった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 外注委託について

当社グループの設計・建築工事業務等については、設計・施工等の能力、工期、コスト及び品質等を勘案し、外部の事業者に委託しております。販売戸数の増加に伴い発注量が増大し、外注先での対応の遅れによる工期遅延や外注費の上昇が生じた場合には、当社グループの事業推進に影響が生じ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 住宅瑕疵担保責任保険について

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、住宅供給者は新築住宅の構造上主要な部分並びに雨水の浸水を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任を負っております。当社グループは、販売した物件に意図せざる瑕疵が生じた場合に備えるため、住宅瑕疵担保責任保険に加入しております。

しかしながら、販売件数の増加に伴い、当社グループの品質管理に不備が生じた場合には、クレーム件数の増加や保証工事の増加等により、賠償額がかかる住宅瑕疵担保責任保険の補償金額を上回る可能性もあることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 不測の事故・自然災害等による業績変動について

当社グループの取り扱う不動産は、首都圏、九州圏、関西圏、東海圏を中心に全国各都市に所在しておりますが、当該エリアにおいて、火災、暴動、テロ、地震、噴火、津波等の不測の事故や自然災害及び新型コロナウイルス感染症に代表される未知の感染症によって大きな被害が発生した場合、不動産の資産価値が低下し、不動産投資に対する投資マインドが冷え込み、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人材の育成・確保について

当社グループの将来の成長は優秀な人材をはじめとする人的資源に大きく依存するため、人材採用及び人材育成は重要な経営課題であります。特に、不動産業界で、ITの技術力を通じて、イノベーションを創造すべく、不動産における高い専門性を有する人材とITに関する最新の技術を保持する技術者とを有機的に連携させる必要があると考えております。

そのため、今後も事業の拡大に伴い、積極的に優秀な人材を数多く採用していく方針でありますが、そうした人材が十分に確保できない場合や、現在在籍している人材が流出していく場合には、事業の展開や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 新規サービスや新規事業について

当社グループは、今後の事業規模の拡大と収益の多様化を図るため、積極的に新規サービスや新規事業に取り組んでいく考えであります。これにより人材、システム投資や広告宣伝費等の追加投資的な支出の発生や、利益率の低下の可能性があります。また、新サービスや新規事業が計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 法的規制等について

当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」、「建設業法」、「建築基準法」、「国土計画利用法」、「都市計画法」、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」等の法的規制があります。

今後、これらの法令等の改正や新たな法令等の制定により規制強化が行われた場合、また、法令違反が発生してしまった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業活動に際して、宅地建物取引業法に定める宅地建物取引業者免許及び建設業法に定める一般建設業許可を得ており、現在、これら許可要件の欠格事実はありません。しかしながら、今後何らかの事情により、免許又は許可の取消し等が生じた場合には、事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(許認可等の状況)

会社名

許認可等の名称

許認可登録番号

有効期間

許認可等の取消事由

㈱robot home

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣

(4)第7533号

 2022年7月21日~

 2027年7月20日

宅地建物取引業法

第66条

㈱robot home

賃貸住宅管理業

国土交通大臣

(01)第006902号

 2022年7月2日~

 2027年7月1日

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

第23条及び第24条

㈱rh maintenance

宅地建物取引業者免許

東京都知事

(1)第103711号

 2024年7月20日~

 2029年7月19日

宅地建物取引業法

第66条

㈱rh investment

宅地建物取引業者免許

東京都知事

(1)第107502号

 2022年3月12日~

 2027年3月11日

宅地建物取引業法

第66条

㈱rh investment

一般建設業許可

国土交通大臣

(般-4)第28547号

 2022年6月16日~

 2027年6月15日

建設業法
第29条

㈱アイ・ディー・シー

宅地建物取引業者免許

大阪府知事

(5)第47317号

 2025年1月6日~

 2030年1月5日

宅地建物取引業法

第66条

㈱アイ・ディー・シー

一般建設業許可

大阪府知事

(般-28)第146425号

 2021年12月2日~

 2026年12月1日

建設業法
第29条

㈱アイ・ディー・シー

賃貸住宅管理業

国土交通大臣

(02)第0003286号

 2022年1月7日~

 2027年1月6日

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

第23条及び第24条

 

 

(11) 個人情報の管理について

当社グループは、会員情報及びオーナー情報等、事業を通して取得した個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」等による規制を受けております。

これらの個人情報については、当社グループにて研修などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施し細心の注意を払って管理しておりますが、万一、当該情報が漏洩した場合、損害賠償請求を受けるリスクや社会的信用失墜による売上高の減少のリスクがあり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 訴訟等の可能性について

当社グループが企画開発、販売するアパートについては、当該不動産に係る瑕疵等に起因する訴訟、その他請求が行われる可能性があります。これら訴訟及び請求の内容及び結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 知的財産権等について

当社グループの事業分野で認識していない知的財産権等がすでに成立している可能性又は新たに第三者の著作権が成立する可能性があります。これらの場合、当社グループが損害賠償を含む法的責任を負う可能性があるだけでなく、当社グループ及び当社グループが提供するサービスに対する信頼性やブランドが毀損し、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14) 特定経営者への依存に係るリスクについて

当社グループは、当社の代表取締役である古木大咲の先見性及びリーダーシップが業務執行について重要な役割を果たしております。このため、同氏が何らかの理由によって退任、退職し、後任者の採用が困難となった場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度におきましては、個人消費・設備投資の改善や、雇用情勢・所得環境の改善等により、緩やかな景気回復基調が見られる一方で、世界的金融引き締めに伴う影響や、日本銀行の金融緩和政策の変更、資材・エネルギー価格の高騰等、依然として先行きが不透明な状態が続いております。
 このような状況の下、当社グループは、AI・IoT等の先端技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進、及びそれら技術を活用した、賃貸経営プラットフォーム「robot home」を継続的にアップデートしております。不動産オーナーに向けた新築‧中古物件の供給から、賃貸管理の受託、売却・再投資を経て、プラットフォーム内の流通が更に拡大するという好循環成長サイクルを生み出し、安定的にストック収入を拡大してまいりました。

これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高131億57百万円(前年同期比52.6%増)、営業利益10億43百万円(前年同期比39.4%増)、経常利益10億18百万円(前年同期比38.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9億12百万円(前年同期比3.0%増)となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメント及び事業セグメントの名称を一部変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

AI・IoT事業

AI・IoT事業におきましては、賃貸経営プラットフォーム「robot home」の継続的な開発・運用、及びサービスを提供してまいりました。入居者、オーナー、メンテナンス会社、賃貸仲介会社、賃貸管理会社の全てのプレーヤーをプラットフォーム上で繋ぎ、賃貸経営の自動化を目指してまいります。さらに、これまで蓄積された「リアル×テクノロジー」の知見をDX領域へと展開し、不動産業界のみならず、他業界に対する「DX総合支援サービス」を提供しております。

この結果、当連結会計年度における売上高は7億14百万円(前年同期比34.7%増)、営業利益2億62百万円(前年同期比8.5%増)となりました。

 

robot home事業

robot home事業におきましては、AI・IoT事業で構築した賃貸経営プラットフォーム「robot home」を活用し、不動産オーナーに向けた新築・中古物件の供給(フロー領域)から、賃貸管理の受託(ストック領域)、売却・再投資(フロー領域)を経て、プラットフォーム内の流通が更に拡大するという好循環成長サイクルの構築に努めてまいりました。
 ストック領域におきましては、AI・IoTなどのコアテクノロジーを活用した賃貸管理RPAシステム「robot home for PM」の導入により、業務効率化されたPM業務を実施し、安定したストック収入を拡大してまいりました。また、メンテナンス領域への事業領域拡大、及び自社保証のシェア拡大等による持続的な収益基盤の拡大に注力いたしました。
 フロー領域におきましては、購入サポートのみならず、資産形成サポート、売却サポートの更なる充実により、アプリ内での取引を活性化。プラットフォーム内の流通を促進することで、今後の収益基盤の更なる安定化に向けた取り組みに注力いたしました。

この結果、当連結会計年度における売上高は124億69百万円(前年同期比53.9%増)、営業利益24億10百万円(前年同期比42.5%増)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

① 生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

② 受注実績

該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高
(千円)

前年同期比
(%)

AI・IoT事業

688,654

131.5

robot home事業

12,469,080

153.9

合計

13,157,735

152.6

 

(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

① 資産の部

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて12億13百万円増加し、132億33百万円となりました。これは主に、現金及び預金が17億82百万円、有形固定資産が5億53百万円増加した一方で、販売用不動産が10億3百万円減少したことによるものであります。

 

② 負債の部

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて4億97百万円増加し、39億22百万円となりました。これは主に、長期借入金が5億39百万円増加した一方で、買掛金が1億57百万円減少したことによるものであります。

 

③ 純資産の部

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて7億15百万円増加し、93億10百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益9億12百万円を計上した一方で、剰余金の配当1億79百万円を実施したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて17億82百万円増加し、65億1百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、20億60百万円の収入となりました(前連結会計年度は10億43百万円の収入)。これは主に税金等調整前当期純利益9億98百万円、棚卸資産の増減額9億89百万円の増加要因があった一方、仕入債務の増減額1億57百万円の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、7億29百万円の支出となりました(前連結会計年度は4億88百万円の支出)。これは主に有形固定資産の取得による支出6億61百万円、無形固定資産の取得による支出65百万円の減少要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、4億47百万円の収入となりました(前連結会計年度は57百万円の支出)。これは主に長期借入れによる収入6億7百万円の増加要因があった一方、配当金の支払額1億79百万円の減少要因があったことによるものであります。

 

当社グループの資金需要は、主に運転資金、不動産の取得及び開発資金であり、これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入により資金調達する方針としております。

当連結会計期間末の現金及び現金同等物は65億1百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していくうえで必要な流動性を確保していると考えております。

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産及び負債または損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「テクノロジーで、住宅を変え、世界を変えていく。」という経営理念を掲げ、AI・IoT等の先端技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)による不動産領域の様々なサービスを通じて多様化する生活スタイルに相応しい利便性の高いサービスを提供することが必要であると考えております。
 これを踏まえて、賃貸経営の自動化プラットフォーム「robot home」の継続的な機能改善や、「robot home kit」の機能強化の一環として、パナソニック株式会社エレクトリックワークス社とrobot home kitアプリで開錠できる賃貸住宅向けインターホンシステムを共同開発するなど研究開発活動を進めております。

その結果、当連結会計年度における研究開発費は68,131千円となりました。なお、当連結会計年度に実施した研究開発費は、各事業セグメントに共通する部分が多く、セグメント別に明確な関連付けができないため、セグメント別の記載は行っておりません。