第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。また、国内子会社の決算期も3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)と、比較対象となる前連結会計年度(2020年4月1日から2020年12月31日まで)の期間が異なるため、対前期増減率については記載しておりません。

(1) 経営方針、経営戦略等

当社は「JINUSHIビジネスを通じて安全な不動産金融商品を創り出し、世界の人々の資産を守る一翼を担う。」ことを経営理念として掲げ、安定的な収益が長期にわたって見込め、追加投資のかからない独自の不動産投資手法「JINUSHIビジネス」を基本戦略に事業を展開しております。また、不動産で資金を運用する機関投資家の皆様のニーズに応えることで社会に貢献し、結果として、高い成長と企業価値の向上を実現し、あらゆるステークホルダーの信頼を得られるよう努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、株主価値を最大化する立場で収益性の高い事業展開を目指しております。そのため、売上高総利益率、売上高経常利益率、総資産利益率(ROA)、総資産回転率、自己資本比率、自己資本利益率(ROE)といった経営の収益性及び効率性に関する指標を重視した事業運営に留意しております。

 

前期(2020年12月期)

当期(2021年12月期)

売上高総利益率

16.8%

16.5%

売上高経常利益率

7.2%

8.9%

総資産利益率(ROA)

2.3%

4.0%

総資産回転率

0.41回

0.71回

自己資本比率

34.9%

32.2%

自己資本利益率(ROE)

6.8%

11.9%

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、不動産投資事業、サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業、企画・仲介事業の3つの事業セグメントを展開しております。

「土地を買う。土地を貸す。貸している土地を売る。」低リスクで長期に安定した収益をもたらす安全な不動産金融商品を投資家に提供するという基本戦略「JINUSHIビジネス」を事業の成長エンジンに据え、引き続き事業用

定期借地権を使って、建物を所有せず、土地のみに投資し、安全な不動産投資を実現する不動産投資事業をメイン

に行ってまいります。

サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業では、安定収益を実現してまいります。

企画・仲介事業では、手数料収入を確保してまいります。

財務戦略としましては、リーマンショックの教訓を活かし、借入金の返済期間は概ね5〜30年超の長期借入金であり、開発案件にかかる借入金は財務制限条項が付いておらず、途中弁済(約定弁済を除く)も求められません。なお、当社グループにおける当連結会計年度末の現金及び預金残高(連結)は17,264百万円であり、常に積極的な土地の仕入活動を行うために、手元流動性を高めてまいります。

また、「中期経営計画(2022-2026)」を公表し、2026年12月期の計画数値を開示いたしております。

(2026年12月期の計画数値)

売上高

1,000億円

当期純利益

70億円

地主リート資産規模

3,000億円程度

ROE

13%程度

自己資本比率

30%以上

 

 

(4) 経営環境及び会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く経営環境は、足下では新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対して、個人消費は減少し、一部の企業の経済活動が停滞をきたすなど、景気の先行きについては引き続き慎重な姿勢がみられます。

不動産及び不動産金融業界におきましては、一部の商業施設や宿泊施設においては引き続き収益が低迷し、オフィスの空室率も高い水準で推移したものの、不動産投資マーケット全体では、低金利等を背景に、投資家の旺盛な投資マインドが継続し、引き続き安定した市場を形成しております。

 このような経営環境のもと、当社グループの翌連結会計年度の方針としましては、引き続きJINUSHIビジネスを中心に新規販売用不動産の仕入に注力してまいります。

今回の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う個人消費の顕著な例として、生活必需品を取扱う業種の業績は好調に推移したことを踏まえて、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアや物流施設をテナントとして誘致し、底地マーケットの拡大を行ってまいります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大によって、当社グループの連結業績予想に影響を与えるような事象は生じておりません。

不動産市況が悪化した場合の対応(売却活動)につきましては、現在、日本の不動産市場において底地マーケットは既に確立されており、自然災害と収益ボラティリティに強く、長期にわたり安定した収益を得ることができる当社商品(販売用不動産)の売却は、十分に可能と考えております。

今回のコロナ禍でも当社のJINUSHIビジネスの商品性が投資家から再認識されており、リーマンショック時と同様に、JINUSHIビジネスの商品性は他のアセットタイプと異なり、自然災害に強く、収益ボラティリティが低く安定しているということをさらに認識していただけるよう引き続き努めつつ、新型コロナウイルス感染症の影響による金融資本市場の変動等を注視しながら、安定的な不動産投資手法であるJINUSHIビジネスの特徴を生かし、販売用不動産の売却を進めてまいります。

今後の土地の仕入れ活動につきましては、社会的ニーズも高い生活必需品を取扱うテナントを主とし、転用性の高い案件を慎重に選別しながら仕入れを行う方針です。

コロナ禍における資金繰りへの影響につきましては、当社グループが展開するJINUSHIビジネスは多くの金融機関にご理解並びに支持を頂いていることもあり、資金調達は順調に行えております。また、自己資金の活用により、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品を長期保有し、安定的な賃料収入を得る長期賃貸事業を拡大させることにより、将来の予期せぬマーケット環境の変動に備えた安定した事業構造への変革を推し進めてまいります。

当社の2021年12月末時点における現金及び預金残高は17,264百万円と手元資金に不安はなく、加えて複数の金融機関との間で総額10,000百万円のコミットメントライン契約、及び総額29,600百万円の借入枠設定契約を締結していること、借入金について財務制限条項が付かず、5年から30年超の長期借入を実現していることから、当社の財務体質は極めて健全かつ盤石であります。

引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響等により、世界経済は不透明感が増すなか、不測の事態に備えるべく、金融機関とコミットメントライン契約を締結していることに加え、借入枠設定契約を締結し、さらに強固な財務体質の構築を進めてまいります。

なお、当社は新型コロナウイルスの感染防止対策を含む、危機管理の一環として地震等の災害マニュアルを作成して万一の事態に備えております。

例えば、会社の対応として、対策本部の設置、社員の安否確認、取引先等の被害情報の把握等であり、社員の行

動要領として、会社への安否の連絡、自宅待機、避難等の対策を実施しております。

新型コロナウイルスの感染防止対策としまして、2020年3月11日から時差出勤の導入、同年3月末から在宅勤務を導入し、恒常的に全役員・従業員が在宅勤務の出来る体制を整えましたので、災害時等で会社に出社が出来ない場合においても必要な業務の継続が可能となっております。また、37度以上の発熱が見られた場合の措置、全社員へのマスク及びウイルス検査キットの配布、マスクの着用、消毒液の設置、全ての事業所における除菌コーティング作業の実施など、社員の健康第一及び事業活動の継続を図れるように対応し、感染防止の対策を行っております。

2【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努める方針でありますが、当社グループの株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 事業について

①  事業環境について

当社グループは、自らが土地を買って、建物建設を望むテナントを誘致し、事業用定期借地権により長期に賃貸し、当該テナントから賃貸収入を確保したうえで、その土地を不動産金融商品として地主リート等に売却するというJINUSHIビジネスをメインに事業展開を行っております。

当社グループが展開する事業は、景気あるいは不動産市況の変動、金利の上下動等の諸情勢の変化によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、今般の新型コロナウィルスの感染症の影響及び対応策につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。

 

②  競合について

当社グループは、従来、一定の人口集積があり、住宅地として価値の高い地方都市や大都市近郊の物件を取扱い対象としておりましたが、現在は東京圏・大都市近隣の物件をターゲットにするよう努めております。

当該東京圏・大都市近隣は特に大手デベロッパー等との厳しい競合が考えられ、当社グループが優良な物件を取得できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、不動産を取得する際には、その土地の立地条件・周辺環境・地盤・土壌汚染・価格等について調査・検討を行い、その結果に基づいて適正な条件で不動産を取得しております。しかしながら、適正な条件により不動産を取得できなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③  資産の取得及び売却について

当社グループは不動産投資事業において、不動産保有リスクの低減を図るために、誘致するテナントとの間で事業用定期借地権設定予約契約の締結を行い、事業会社や不動産ファンド等の売却先とは購入意向を確認した上で不動産を取得することを原則としております。

また、安定的な売却先を確保し、また当社の今後の成長を見据えて、2016年11月10日付で、当社と「地主リート」及び当社の100%子会社である地主AMの3社間で「スポンサーサポート契約」を締結しております。

そのほか安定的な売却先を確保するために、2014年10月3日付で、当社とケネディクス株式会社、三井住友ファイナンス&リース株式会社及び株式会社ピーアンドディコンサルティングの4社間で「REIT事業に係る基本協定書」を締結しております。

また、当社及び地主AMは、2019年11月18日付で三井住友ファイナンス&リース株式会社の100%子会社であるSMFLみらいパートナーズ株式会社と、2019年12月10日付でみずほリース株式会社の100%子会社であるエムエル・エステート株式会社とそれぞれ、販売用不動産(信託受益権を含む)の包括的な売買取引に係る枠を設定する旨の基本協定書を締結しております。

しかしながら、テナントの出店方針に合致した土地の確保ができない場合、又は上記スポンサーサポート契約、基本協定書の内容に変更が生じ、不動産の売却先が確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④  災害等のリスクについて

JINUSHIビジネスは経年劣化の無い土地のみを主に取扱い、事業用定期借地契約により、変動のない長期安定収益が見込めるため、自然災害と収益ボラティリティに強い特徴があります。

しかしながら、当社グループが保有する不動産が火災、テロ、暴動、地震、津波等の不測の事故・自然災害により滅失、劣化又は毀損した場合、賃貸料収入の激減及び突発的な修繕のための支出が必要となるという事態が発生する可能性があります。このため、当社グループは、かかるリスクを可能な限り回避するため、火災保険等を付しておりますが、保険事故に該当しない事由により不動産が滅失、劣化又は毀損した場合や、保険事故に該当する事由により不動産が滅失、劣化又は毀損したときでも保険金によって損失を補填できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤  土壌汚染及び地中埋設物の対策について

当社グループが不動産を取得する際には、土壌汚染及び地中埋設物による当社グループの費用負担や建築スケジュールへの影響を回避するために、原則売主負担による土壌汚染及び地中埋設物の調査及び除去をしております。土壌汚染及び地中埋設物が確認された場合は、当該不動産の取得中止又は専門業者による土壌汚染及び地中埋設物の除去等を売主の負担で実施した後に取得しておりますが、上記の調査によっても土壌汚染及び地中埋設物の状況について事前にすべてを認識及び除去できないことがあります。そのため、取得した不動産に土壌汚染及び地中埋設物が発見された場合、当初の事業スケジュールの変更や追加費用等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥  海外事業について

イ.海外における事業

 当社グループは、米国、オセアニアで事業を行っております。当該各国の経済、政情や政府による規制等に起因した予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

ロ.為替レートの変動

当社グループは、各地域における現地の財務諸表等を、連結財務諸表作成のために円換算しております。換算時の為替レートが変動した場合には、もとの現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値に影響を与える可能性があります。

 

⑦  感染症等の流行発生に係るリスク

 当社グループは新型コロナウイルス等の感染症の流行により、不動産市況の悪化や当社が保有する販売用不動産におけるテナントの一時的な賃料減額が発生した場合には、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 なお、今般の新型コロナウイルス感染症による当社グループへ与える影響につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。

 

(2) 経営成績、財政状態について

①  経営成績の変動について

 当社グループは、2004年3月期から不動産投資事業を本格的に開始しましたが、投資案件1件当たりの取引金額が多額であること、またテナントによる店舗建築に係る許認可・工期等に相当の期間を要し、当初の売却スケジュールが変更になる等により、投資案件の売上計上時期等が変更される可能性があります。そのような場合、各期の経営成績が大きく変動するため、過年度の財政状態及び経営成績だけで今後の当社グループの業績を判断するには不十分な面があります。

 なお、当社グループの主要な経営指標等の推移は次のとおりであります。

 

回次

第18期

(連結)

第19期

(連結)

第20期

(連結)

第21期

(連結)

第22期

(連結)

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2020年12月

2021年12月

売上高合計(百万円)

31,260

39,834

74,187

29,886

56,177

 

不動産投資事業

30,401

38,676

73,533

29,455

55,157

 

サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業

480

555

647

415

996

 

企画・仲介事業

21

195

6

16

23

 

その他

356

406

営業利益(百万円)

3,684

4,446

5,244

2,420

5,475

経常利益(百万円)

3,044

4,327

4,599

2,157

5,002

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

1,958

2,684

3,177

1,644

3,124

純資産額(百万円)

20,304

21,611

23,870

24,841

27,781

総資産額(百万円)

67,251

99,597

75,054

71,220

86,337

  (注)1.売上高には消費税等は含まれておりません。

        2.セグメント別の業績につきましては、従来、「不動産投資事業」、「サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業」及び「企画・仲介事業」の3区分としておりました。第17期から第19期についてはニューリアルプロパティ株式会社を連結の範囲に含めたことにより、報告セグメントを従来の3事業に「その他事業」を追加し、4事業としておりましたが、第20期から当該「その他事業」は重要性が乏しくなった為、セグメントの区分を見直し、「その他」の区分にしており、報告セグメントを3事業としております。連結会計年度の経営指標等の推移は変更後の区分に基づいております。

3.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号  平成30年2月16日)を第19期連結会計年度より適用しており、第18期以前の連結会計年度の金額は組替え後の金額で表示しております。

4.第21期より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。また、国内子会社の決算期も3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる第21期は、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となります。当社及び国内子会社は4月1日から12月31日までの9ヶ月間、12月決算の海外子会社は1月1日から12月31日までの12ヶ月間であります。

5.第22期より金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。なお、比較を容易にするために、第18期から第21期についても、金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。

 

②  引渡し等に係る業績変動について

不動産の販売における売上は、売買契約を締結した時点ではなく、不動産の引渡し時点において計上されます。そのため、何らかの理由により、引渡し時期が決算期末を越えて遅延した場合には、各期の当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③  有利子負債への依存について

当社グループはJINUSHIビジネスを基本戦略に据えた事業展開に注力しており、その不動産取得資金については、ほぼ全額を金融機関からの借入により調達していることから、有利子負債残高及び総資産に占める有利子負債の占める割合(有利子負債依存度)は、他業種・業界と比べて高くなっております(当社グループの有利子負債残高及び有利子負債依存度等は、下表のとおりであります)。そのため、今後、金融市場や金融政策の動向等に変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは資金調達にあたって、特定の金融機関に集中しないように努めておりますが、何らかの理由により資金調達が不調に終わった場合には、不動産の取得や開発等に支障が生じ違約金等が発生することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は手元流動性を高めるとともに(2021年12月末時点における現金及び預金残高(連結)は17,264百万円)、複数の金融機関との間で総額10,000百万円のコミットメントライン契約、及び総額29,600百万円の借入枠設定契約を締結することにより、当該リスクに備えております。

 

回次

第18期

(連結)

第19期

(連結)

第20期

(連結)

第21期

(連結)

第22期

(連結)

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2020年12月

2021年12月

有利子負債残高

(百万円)

41,063

73,762

46,564

43,300

49,812

総資産額

(百万円)

67,251

99,597

75,054

71,220

86,337

有利子負債依存度

(%)

61.06

74.06

62.04

60.80

57.7

(注)1.有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定額を含む。)及びリース債務の合計額であり

    ます。

  2.第22期より金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。なお、比較を容易にするため

    に、第18期から第21期についても、金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。

 

④  保有不動産に評価損等が生じる可能性について

  当連結会計年度におきましても、販売用不動産の総資産に占める割合は高く、さらにJINUSHIビジネスの拡大に伴い、販売用不動産は今後も増加するものと考えております。

  当社グループは、不動産投資事業において、過去の実績や経験等を活かし、在庫リスクの削減に努めておりますが、不動産取得から販売まで長期間を要し、その間に土地価格等が変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

  また、当連結会計年度末日において、業績に重要な影響を与えるような減損が生じる可能性は低いものと判断しておりますが、今後の経済情勢の悪化等により、減損処理が必要となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制等について

①  法的規制について

当社グループの事業は、「宅地建物取引業法」「大規模小売店舗立地法(以下、「大店立地法」という。)」「都市計画法」「国土利用計画法」等の多岐にわたる法的規制を受けております。当社グループはこれらの法令等を遵守して事業活動を行っておりますが、将来において法令等の改正が行われた場合又は新たな法的規制が設けられた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、主要な事業活動に関して、下記の許認可を受け、登録を行っております。当社グループは当該許認可及び登録の諸条件や関係法令の遵守に努めており、現時点において許認可及び登録が取消しとなる事由の発生は認識しておりません。しかしながら、将来何らかの法令違反等により、当該許認可もしくは登録が取り消された場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

許認可の種類

有効期間

関係法令

許認可等の取消し、解約事由等

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣(4)第7373号

2021年11月16日から2026年11月15日まで

宅地建物取引業法

宅地建物取引業法第66条(免許の取消し)、第67条及び第67条の2(許可の取消し)

第二種金融商品取引業(*1)

近畿財務局長(金商)第184号

金融商品取引法

金融商品取引法第52条(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

投資助言・代理業(*1)

近畿財務局長(金商)第184号

金融商品取引法

金融商品取引法第52条(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

取引一任代理等認可(*2)

国土交通大臣 認可第109号

宅地建物取引業法

宅地建物取引業法第66条及び第67条(免許の取消し)、第67条の2(認可の取消し)

金融商品取引業(投資運用業)登録(*2)

関東財務局長(金商)第2951号

金融商品取引法

金融商品取引法第52条(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第二種金融商品取引業(*3)

関東財務局長(金商)第3136号

金融商品取引法

金融商品取引法第52条(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

宅地建物取引業者免許(*4)

東京都知事(1)第105420号

2020年10月17日から2025年10月16日まで

宅地建物取引業法

宅地建物取引業法第66条(免許の取消し)、第67条及び第67条の2(許可の取消し)

 

(*1)金融商品取引法施行前の信託受益権販売業及び投資助言・代理業に相当いたします。

(*2)当社連結子会社である地主アセットマネジメント株式会社が私募リートの運用開始にあたり認可を受け、また登録したものであります。

(*3)当社連結子会社である地主フィナンシャルアドバイザーズ株式会社が集団投資スキーム持分の募集及び私募を行うため認可を受け、また登録したものであります。

(*4)当社連結子会社である地主フィナンシャルアドバイザーズ株式会社が認可を受け、また登録したものであります。

 

②  大型店舗開発に要する期間、規制について

大型店舗開発をする場合は、用地選定、用地確保に向けた地権者との交渉から法的手続、テナント誘致、土地賃貸借あるいは店舗建築、建物賃貸借までの手続に長期間を要することがあります。また、店舗が一定規模(売場面積1,000㎡超)以上の場合は、「大店立地法」の適用を受け、生活環境に配慮した開発計画等の指導や届出手続に時間を要する等の制約を受ける可能性があります。このように、店舗の開発規模によっては手続に長期間を要する場合又は大店立地法等による制約を受ける場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③  都市計画法の改正について

「都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律」により、延べ床面積1万㎡以上の商業施設の建設可能となる用途地域が、従来の6用途地域から原則3用途地域に変更されています。当社グループは、主に対象とならない規模の開発や、商業施設以外の施設の開発等を行う方針ですが、当該法律の施行により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④  土壌汚染対策法の改正について

「土壌汚染対策法の一部を改正する法律」により、一定規模(3,000㎡)以上の土地の形質変更の届出の際に、土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき等で土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合は土地の形質変更の原則禁止がなされる等、規制が厳格になりました。

当社グループは、一定規模以上の土地を取得する場合、今後とも、「2 事業等のリスク (1) 事業について⑤土壌汚染及び地中埋設物の対策について」に記載しておりますとおり、リスクを回避するための対策を講じますが、事前の調査においても認識されていなかった土壌汚染等が発見されたことにより当該土地の形質変更が禁止になる場合は事業スケジュールの変更や追加費用等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 組織について

①  特定の人物への依存について

当社の代表取締役社長である松岡哲也(本報告書提出日現在:代表取締役会長CEO)は、当社設立以来の最高経営責任者であり、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは、適切な権限委譲や合議制による意思決定等を行うことによって、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの経営に関与することが困難になった場合には、当社グループの今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。なお、本報告書提出日現在、代表取締役社長COOに西羅弘文が就任しており、代表取締役は複数名体制であります。

 

②  人材確保について

当社グループの主力事業である不動産投資事業においては、その事業活動において複雑な権利調整や近隣対策等の高度な知識や経験が要求される場合があります。当社グループは組織的に蓄積したノウハウをもって既存従業員各人の能力を向上させるとともに、外部から優秀な人材を採用することで、より効率的な事業運営の実現に努める方針であります。しかしながら、これらの人材の育成・採用が予定通りに進まない場合や、在籍している人材が流出した場合には、当社グループの今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) その他

   重要な訴訟事件等の発生及び発生の可能性

当社グループは、現時点において重要な訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、当社グループが売却した物件における瑕疵の発生、当社グループが管理する物件における管理状況に対するクレーム又はこれらに起因する訴訟、その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社は、2020年12月24日開催の臨時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。また、国内子会社の決算期も3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)と、比較対象となる前連結会計年度(2020年4月1日から2020年12月31日まで)の期間が異なるため、当連結会計年度の経営成績に関する前期比較の記載は省略しております。

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

a.財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ15,116百万円増加の86,337百万円となりました。これは主に大手リース会社等への販売用不動産の売却を進めた中、順調に仕入れを行い、保有する販売用不動産の残高が3,607百万円増加したこと、長期賃貸事業を推し進めるべく有形固定資産(土地)を新規取得したことから14,111百万円増加したこと等によります。

負債の部は、前連結会計年度末に比べ12,176百万円増加の58,555百万円となりました。これは主に販売用不動産の仕入に伴い、借入金の総額が6,541百万円増加したこと、未払法人税等が3,747百万円増加したこと、繰延税金負債が766百万円増加したこと等によります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ2,940百万円増加の27,781百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益3,124百万円を計上したこと及び剰余金の配当457百万円を実施したこと等によります。

なお、当連結会計年度末の自己資本比率は32.2%となりました。

b.経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が、長期間に渡って継続されたことにより、依然として厳しい状況でありましたが、新型コロナウイルスワクチンの普及により個人消費や企業収益、経済活動などに持ち直しの動きもあり、一部に明るい兆しもみられました。一方で一部の国でロックダウンが実施されたほか、半導体や電子部品をはじめとする材料の供給が国際的にひっ迫し、物流も滞ったことで、全体としては先行きへの不透明感が未だ残る中で推移いたしました。

不動産及び不動産金融業界におきましては、一部の商業施設や宿泊施設においては引き続き収益が低迷し、オフィスの空室率も高い水準で推移したものの、不動産投資マーケット全体では、低金利等を背景に、投資家の旺盛な投資マインドが継続し、引き続き安定した市場を形成しております。

なお、当社が展開するJINUSHIビジネスのテナントは、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアをはじめとした生活必需品を取扱う業種(物流を含む)で約8割を構成しており、このようなテナントは、コロナ禍でも概ね経営成績は好調に推移いたしました。

このような状況のもと、当社グループにおきましては、2021年5月に優良な不動産を所有する株式会社ツノダの発行済株式の全てを取得して子会社化するなど、販売用不動産の仕入を推し進めました。また、コロナ禍でもテナントの退店や賃料の減額などが発生していない長期安定収益を生み出すJINUSHIビジネスに対する評価が、金融機関や投資家を中心に高まり、販売用不動産の包括的な売買取引に係る枠を設定する基本協定書(以下、「包括的売買枠」といいます。)に基づき、大手リース会社等への売却が進みました。

財務戦略といたしましては、リーマンショックの教訓を活かし、借入金の返済期間は概ね5〜30年超の長期借入金であり、開発案件にかかる借入金は財務制限条項が付いておらず、途中弁済(約定弁済を除く)も求められません。なお、当社グループにおける当連結会計年度末の現金及び預金残高(連結)は17,264百万円であり、常に積極的な土地の仕入活動を行うために、手元流動性を高めております。

また、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品の一部を、自己資金の活用により、売却せずに保有することで、安定的な賃料収入を得る長期賃貸事業を拡大し、当連結会計年度末の固定資産(土地)残高(連結)は16,994百万円となりました。当社は独自の不動産投資手法「JINUSHIビジネス」により、追加投資がかからず、安定的な収益が長期にわたって見込める不動産金融商品を開発し、売却する、いわゆるフロービジネスによって大半の売上、利益を計上してきました。自然災害やマーケットボラティリティに強く、長期にわたり安定的に収益を得ることができる当社商品へのニーズは根強く、底地マーケットは更に拡大していくものと考えております。一方、将来の予期せぬマーケット環境の変動に備え、より安定した事業構造への変革を図る必要があると考え、保有する現預金を一部活用することで、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品を長期保有し、安定的な収益の拡大により事業構造の安定化を推し進めてまいります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は56,177百万円、営業利益は5,475百万円、経常利益は5,002百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,124百万円となりました。

当社は、地主アセットマネジメント株式会社及び地主プライベートリート投資法人(以下、「地主リート」といいます。)との間でスポンサーサポート契約を締結しており、地主リートのスポンサー会社であります。このスポンサーサポート契約に基づいて、地主リートへ2022年1月7日にJINUSHIビジネスによる不動産金融商品を3物件売却(売却価格4,915百万円)しております。

地主リートは、機関投資家を対象とした第6回目の増資で25物件を取得し、運用資産規模は1,515億円となりました。今後は中期で3,000億円以上の規模を目指していきます。

当社の新しいブランディングといたしまして、2022年1月10日付で商号を「日本商業開発株式会社」から「地主株式会社」へ変更いたしました。テレビCMの制作及び放映、新聞広告を掲載するなど、引き続き市場において、自然災害やマーケットボラティリティに強く、長期にわたり安定的に収益を得ることができるJINUSHIビジネスをより一層広めてまいります。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

不動産投資事業

当連結会計年度も優良案件の仕入れを順調に拡大させ、包括売買取引契約に基づいて大手リース会社をはじめとする機関投資家等へ案件を売却し、安全な不動産金融商品を提供してまいりました。

不動産投資事業におきましては、売上高は55,157百万円、セグメント利益は8,319百万円となりました。

 

サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業

サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業におきましては、安定した資産管理フィーが売上に寄与し、売上高は996百万円、セグメント利益は656百万円となりました。

 

企画・仲介事業

企画・仲介事業におきましては、企画業務が売上に寄与し、売上高は23百万円、セグメント利益は15百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当社グループは、常に積極的な土地の仕入活動を行うために、手元流動性を意識した経営をしております。当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、大手リース会社を主な売却先として販売用不動産を順調に売却したこと、優良案件の仕入や長期賃貸事業を目的とする有形固定資産の取得に伴う金融機関からの資金調達が引き続き順調に行えたこと等により、17,178百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果、税金等調整前当期純利益が4,927百万円となり、販売用不動産が5,364百万円減少したこと等により、増加した資金は11,373百万円となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、有形固定資産や子会社株式の取得による支出等により、減少した資金は17,513百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、保有する販売用不動産の売却により長期借入金の返済による支出は35,078百万円となり、一方で新規販売用不動産の仕入に伴う資金調達を順調に行った結果、増加した資金は2,363百万円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

当社グループは、不動産投資事業、サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業及び企画・仲介事業を行っており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

 c.販売実績

当連結会計年度における各セグメントの売上高は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

前期増減比(%)

不動産投資事業(百万円)

55,157

サブリース・賃貸借・

ファンドフィー事業(百万円)

996

企画・仲介事業(百万円)

23

合計(百万円)

56,177

  (注)  1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

  2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

  3.前連結会計年度は、決算期の変更により2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前期増減比については記載しておりません。

 

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

  至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

  至  2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

エムエル・エステート株式会社

10,023

33.5

芙蓉総合リース株式会社

7,182

24.0

株式会社九州リースサービス

4,014

13.4

地主プライベートリート投資法人

13,161

23.4

DREAMプライベートリート投資法人

8,790

15.6

SMFLみらいパートナーズ株式会社

7,480

13.3

 4.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。

 5.前連結会計年度における地主プライベートリート投資法人、DREAMプライベートリート投資法人、SMFLみらいパートナーズ株式会社については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 6.当連結会計年度におけるエムエル・エステート株式会社、芙蓉総合リース株式会社、株式会社九州リースサービスについては、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社グループによる会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。当社グループは、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

また、当社グループが採用する会計方針は、「第5  経理の状況  1.連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

特に、収益性の低下により、投資額の回収が見込めなくなった資産の帳簿価格については、正味売却価額まで減額する会計処理を適用しております。

なお、今般の新型コロナウィルスの感染症の影響につきまして、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、当社の業績は順調に推移しているため、その仮定に基づいて見積りをしております。

② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

財政状態の分析

(資産)

総資産は、前連結会計年度末に比べ15,116百万円増加の86,337百万円となりました。これは主に大手リース会社等への販売用不動産の売却を進めた中、順調に仕入れを行い、保有する販売用不動産の残高が3,607百万円増加したこと、長期賃貸事業を推し進めるべく有形固定資産(土地)を新規取得したことから14,111百万円増加したこと等によります。

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べ12,176百万円増加の58,555百万円となりました。これは主に販売用不動産の仕入に伴い、借入金の総額が6,541百万円増加したこと、未払法人税等が3,747百万円増加したこと、繰延税金負債が766百万円増加したこと等によります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ2,940百万円増加の27,781百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益3,124百万円を計上したこと及び剰余金の配当457百万円を実施したこと等によります。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は32.2%となりました。

 

経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、56,177百万円となりました。これは主に地主リートほか、包括売買取引の契約に基づいて大手リース会社等へ販売用不動産を売却したことによります。

セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は、9,263百万円となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、3,788百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は5,475百万円となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、285百万円となりました。営業外費用は、758百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は5,002百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益はありません。特別損失は、子会社整理損により73百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,124百万円となりました。

 

キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループは、当連結会計年度におきましても、販売用不動産や長期賃貸事業を目的とする有形固定資産を新規取得するために自己資金を戦略的に活用するとともに、資金の機動的かつ安定的な調達に資する金融機関5行とコミットメントライン契約10,000百万円、及び金融機関3行と借入枠設定契約29,600百万円をそれぞれ締結しております。これにより大口の不動産投資案件にも対応できるため、取得の幅を広げるとともに、また、取得への高い機動性を確保しております。

また、前連結会計年度に引き続き、金融機関や投資家を中心としたJINUSHIビジネスへの高い評価の裏付けとして、大手リース会社等への物件売却が進展しております。一方、取得も順調であることから、資金調達は好循環を継続しており、健全な財務基盤を維持しております。

この結果、当連結会計年度においては複数の有力金融機関から総額48,593百万円の借入を行ったことに加え、株式会社ツノダの連結子会社化があった一方で、総額45,743百万円の借入を返済しており、当期末における当社グループの借入金総額は49,730百万円と、前期末比6,541百万円の増加となりました。

なお、当連結会計年度末における現金及び預金は17,264百万円となっております。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

当連結会計年度の進捗状況は以下のとおりです。

2020年12月24日に開催の臨時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、2020年12月期より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。また、国内子会社の決算期も3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)と、比較対象となる前連結会計年度(2020年4月1日から2020年12月31日まで)の期間が異なるため、対前期増減率については記載しておりません。なお、前連結会計年度は、当社及び国内子会社は4月1日から12月31日までの9ヶ月間、12月決算の海外子会社は1月1日から12月31日までの12ヶ月間を連結対象期間としておりました。

売上高総利益率は16.5%、経常利益率は8.9%、ROEは11.9%となりました。

 

 

2021年12月期

(計画)

2021年12月期

(実績)

2021年12月期

(計画比)

売上高

51,000百万円

56,177百万円

5,177百万円

(10.2%増)

経常利益

4,200百万円

5,002百万円

802百万円

(19.1%増)

親会社株主に帰属する

当期純利益

2,900百万円

3,124百万円

224百万円

(7.8%増)

売上高総利益率

19.0%

16.5%

売上高経常利益率

8.2%

8.9%

自己資本利益率(ROE)

11.0%

11.9%

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①

財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 (1)私募リートに係るスポンサーサポート契約の締結

 当社は、2016年11月10日付で、当社と地主リート及び当社100%子会社である地主AMとの間でスポンサーサポート契約を締結しております。

 

①  本契約の目的

 当社が、地主リート及び地主AMに対してスポンサーサポート業務(その内容は次の「②本契約書の概要」を参照のこと。)を行うことで、地主リートの安定的かつ継続的な不動産等の取得の機会を提供し、また、地主リート及び地主AMの不動産運営管理を向上させ、地主リートの持続的な成長及び安定運用を図ることを目的とします。

 

②  本契約書の概要

有効期間    2026年11月9日迄

スポンサーサポート業務の主な内容

・優先的物件情報の提供及び優先的売買交渉権の付与

・売却先候補者等に関する情報の提供

・リーシングサポート業務の提供

・プロパティ・マネジメント業務の提供

・人材の派遣及びノウハウの提供

・その他の情報の提供等

 

 (2)J-REIT参画に関する基本協定書の締結

 当社は、2014年9月29日開催の取締役会で、当社とケネディクス株式会社、三井住友ファイナンス&リース株式会社及び株式会社ピーアンドディコンサルティングの4社間で商業施設特化型の「REIT事業に係る基本協定書」を締結することを決議し、2014年10月3日付で締結しております。

 

①  本協定書締結の目的

 当社は、ケネディクス株式会社の子会社が新設する商業施設特化型の投資法人である「ケネディクス商業リート投資法人(以下、本投資法人、という)」に参画し、本投資法人に対し、「JINUSHIビジネス」案件を売却すること等により本投資法人の成長をサポートいたします。

 この結果、当社は「JINUSHIファンド」に加え、より安定的な売却先を確保し、投資対象エリアの拡大等更なる投資機会の獲得につながります。

 

②  本協定書の概要

有効期間        2022年10月2日迄(以後1年ごとの自動更新)

提供するサポートの概要 ・パイプラインサポート(*)

                 ・リーシング業務の提供

                 ・JINUSHIビジネス関連商標の無償提供

(*)  パイプラインサポートとは、本資産運用会社(ケネディクス株式会社の子会社)に対し本投資法人の投資方針に合致する資産(適格不動産等)に関し、物件情報を提供する等のサポートをいいます。

 

 (3)包括的な売買取引に係る枠を設定する基本協定書の締結

 当社は、2019年11月12日開催の取締役会で、SMFLみらいパートナーズ株式会社、当社及び当社100%子会社の地主AMとの間で、販売用不動産(信託受益権を含む)の包括的な売買取引に係る枠を設定する基本協定書を締結することを決議し、2019年11月18日に締結しております。

 また、2019年12月10日開催の取締役会で、エムエル・エステート株式会社、当社及び当社100%子会社の地主AMとの間で、同基本協定書を締結することを決議し、同日付で締結しております。

 

①  本協定書締結の目的

  当社は本売買枠に係る基本協定書2件の合計600億円の売買枠を活用することにより、総資産回転率(不動産の仕入から売却までの期間の短縮)及び自己資本比率等財務指標の改善や有利子負債削減による新規資金調達力の拡大、並びに早期開発利益の獲得等を目的とした財務体質の更なる強化を図るとともに、地主リートの成長・資産規模の拡大を目指します。

 

②  本協定書の概要

 ・締結先 SMFLみらいパートナーズ株式会社

(1)売買枠設定額

  300億円

(2)売買枠設定期

  2019年11月18日~2025年1月31日まで

(3)備考

  SMFLみらいパートナーズ株式会社が売買枠にて取得する不動産を売却する際は、地主AMが指定する第三者(地主リートを想定するが、これに限らない。)が取得に係る優先交渉権を有します。

 

・締結先 エムエル・エステート株式会社

(1)売買枠設定額

  300億円

(2)売買枠設定期

  2019年12月10日~2025年1月31日まで

(3)備考

  エムエル・エステート株式会社が売買枠にて取得する不動産を売却する際は、地主AMが指定する第三者(地主リートを想定するが、これに限らない。)が取得に係る優先交渉権を有します。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。