【連結財務諸表注記】
1.報告企業
ナブテスコ株式会社(以下、「当社」という。)は日本に所在する企業です。当社の連結財務諸表は2024年12月31日を期末日とし、当社及び子会社(以下、「当社グループ」という。)、並びに関連会社に対する持分により構成されます。当社グループの主な事業内容は「コンポーネントソリューション事業」、「トランスポートソリューション事業」、「アクセシビリティソリューション事業」です。詳細は注記「5.事業セグメント」に記載しています。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
本連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2第1号に定める「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、同第312条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。
本連結財務諸表は、2025年3月26日に当社取締役会によって承認されています。
(2) 測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は、下記の注記「3.重要性のある会計方針」で記載のとおり、公正価値で測定する金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成されています。
(3) 機能通貨及び表示通貨
当社グループの連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円を表示通貨としています。
3.重要性のある会計方針
本連結財務諸表において適用する重要性のある会計方針は、特段の記載がない限り、この連結財務諸表に記載されているすべての期間について適用された会計方針と同一です。
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、連結財務諸表に含まれます。子会社の会計方針は、当社グループが適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて変更されています。
子会社に対する所有持分の変動で支配の喪失とならないものは、資本取引として会計処理しています。非支配持分の修正額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されています。
当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
決算日が異なる子会社については、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しています。
② 関連会社に対する投資
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配はしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%以上を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定しています。
関連会社に対する投資は、持分法を用いて会計処理し、取得時に取得原価で認識します。持分法では、投資日における投資とこれに対応する被投資会社の資本との間に差額がある場合には、当該差額はのれんとして投資の帳簿価額に含めています。
連結財務諸表には、重要な影響力を有した日から重要な影響力を喪失する日までの純損益及びその他の包括利益の当社グループの持分を認識し、投資額を修正しています。
関連会社の損失に対する当社グループの持分相当額が当該会社に対する投資持分を超過するまで、当該持分相当額は純損益に計上しています。さらなる超過額は、当社グループが関連会社に代わって債務(法的債務又は推定的債務)を負担する、又は支払いを行う場合を除き、損失として認識していません。
持分法の適用にあたっては、持分法適用会社の会計方針を当社グループの会計方針に整合させるために必要な調整を行っています。また、連結財務諸表には、他の株主との関係等により決算日を当社の決算日に統一することが実務上不可能であるため、当社の決算日と異なる日を決算日とする関連会社への投資が含まれています。決算日の差異により生じる期間の重要な取引又は事象については調整を行っています。
持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、被投資企業に対する当社グループの持分を上限として投資から控除しています。
企業結合は、取得法を用いて会計処理をしています。被取得企業における識別可能な資産及び負債は取得日の公正価値で測定しています。
のれんは、企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しています。
取得関連費用は発生した期間にて費用として処理しています。
また、共通支配下における企業結合取引に関して、当社は企業結合取引の発生前の帳簿価額に基づいて会計処理を行っています。
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループの各会社の財務諸表は、その企業が事業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨で作成しています。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としています。
② 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レートで機能通貨に換算しています。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しています。
取得原価で測定する外貨建非貨幣性資産及び負債は、取引日の為替レートで機能通貨に換算しています。
公正価値で測定する外貨建非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の測定日における為替レートで機能通貨に換算しています。換算によって発生した為替差額は、純損益として認識しています。ただし、公正価値で測定しその変動をその他の包括利益として認識する金融商品の換算により発生した差額については、その他の包括利益に計上しています。
③ 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は、期末日の為替レートで日本円に換算しています。在外営業活動体の収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合を除き、平均為替レートを用いて日本円に換算しています。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額はその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素に含めて計上しています。また、在外営業活動体が処分される場合には、換算差額を純損益に振り替えています。
現金及び現金同等物は、手許資金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資等が含まれます。
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定しています。棚卸資産の取得原価は主として総平均法に基づいて算定しており、棚卸資産の取得に係る費用、製造費及び加工費、並びに当該棚卸資産を現在の場所及び状態とするまでに要したその他の費用が含まれています。
正味実現可能価額は、通常の営業過程における予想販売価格から完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除した額です。
① 非デリバティブ金融資産
当社グループは金融資産を、当社グループがその金融商品に関する契約の当事者となった取引日に当初認識しています。
金融資産は、公正価値により当初測定しています。当初認識後に純損益を通じて公正価値で測定するものではない金融資産については、その金融資産の取得のために直接要した取引費用を当初測定金額に含めています。
a 償却原価で測定する金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合に償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当初認識後の測定は、実効金利法による償却原価で行っています。
償却原価で測定する金融資産に係る予想信用損失に対する損失評価引当金を認識しています。
当社グループは、期末日ごとに、金融資産の信用リスクを期末日現在と当初認識日現在で比較し、金融資産に係る信用リスクの著しい増加の有無を評価しています。
金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増加している場合には、当該金融資産に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定し、著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しています。なお、上記にかかわらず、重大な金融要素を含んでいない営業債権及び契約資産については、損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。金融資産に係る損失評価引当金の繰入額は、純損益で認識しています。損失評価引当金を減額する事象が発生した場合は、損失評価引当金の戻入額を純損益で認識しています。
b その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループは、当初認識時に、資本性金融商品のうち売買目的で保有するもの以外のものについて、原則としてその公正価値の変動をその他の包括利益に認識することを選択しています。その他の包括利益を通じて認識することを選択する場合には、その指定を行い、取消不能なものとして継続的に適用しています。当初認識後の測定は、その他の包括利益を通じて公正価値で行っています。
当該金融資産を売却する場合には、認識されていた累積利得又は損失は、売却時にその他の包括利益から利益剰余金に振り替えています。当該金融資産からの配当金については純損益として認識しています。
c 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループは、償却原価で測定する金融資産又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。当初認識後の測定は、純損益を通じて公正価値で行っています。
当社グループは、キャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅したか、譲渡されたか、又は実質的に所有に伴うすべてのリスクと経済価値が移転した場合に金融資産の認識を中止しています。
② 非デリバティブ金融負債
当社グループは、発行する負債証券をその発行日に当初認識しています。その他の金融負債はすべて、当社グループが当該金融商品の契約の当事者になる取引日に認識しています。
a 償却原価で測定する金融負債
当社グループは、償却原価で測定する金融負債は、公正価値に直接取引費用を加味して当初測定しています。当初認識後は、実効金利法を用いた償却原価により測定しています。
b 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
当社グループは、償却原価で測定する金融負債以外の金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しています。当初認識後の測定は、純損益を通じて公正価値で行っています。
当社グループは、契約上の義務が免責、取消し又は失効となった場合に金融負債の認識を中止しています。
③ デリバティブ金融商品
当社グループは、為替及び金利の変動リスクを回避、軽減する目的等でデリバティブ金融商品を保有しています。
デリバティブは公正価値で当初認識し、関連する取引費用は発生時に純損益として認識しています。当初認識後の測定は、純損益を通じて公正価値で行っています。
① 認識及び測定
有形固定資産は、原価モデルを適用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しています。
取得原価には資産の取得に直接関連する以下の費用が含まれています。
・資産の製造により直接生じる従業員給付及び組立、据付等の費用
・資産の撤去及び除去の義務を負う場合、その解体及び除去費用の見積り
・資産計上された借入費用
② 減価償却
有形固定資産は各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法に基づいて減価償却しています。
減価償却費は償却可能価額をもとに算定しています。償却可能価額は、資産の取得価額から残存価額を差し引いて算出しています。
見積耐用年数は以下のとおりです。
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末日に見直しを行い、必要に応じて改定しています。
① のれん
当初認識時点における測定は、「(2) 企業結合」に記載しています。
当初認識後、のれんの取得原価から、減損損失累計額を控除して表示しています。のれんは償却を行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。なお、のれんに関連する減損損失は戻入れません。
② 研究開発費
新規の科学的又は技術的な知識及び理解を得る目的で実施される研究活動に関する支出は、発生時に純損益として認識しています。
③ その他の無形資産
その他の無形資産は、原価モデルを適用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しています。
また、企業結合において、のれんと区分して識別した無形資産は、取得日の公正価値をもって取得原価として測定しています。
当該資産が使用可能な状態になった日から見積耐用年数にわたり、定額法に基づいて償却しています。
償却費は償却可能価額をもとに算定しています。償却可能価額は、資産の取得価額から残存価額を差し引いて算出しています。
見積耐用年数は以下のとおりです。
償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末日に見直しを行い、必要に応じて改定しています。
なお、耐用年数を確定できない無形資産については、取得原価から減損損失累計額を控除して表示しています。また、償却は行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。
① リース負債
リース負債は、リースの開始日より認識し、支払われていないリース料の現在価値で測定しています。割引率は、リースの計算利子率又は計算利子率を容易に算定できない場合には当社グループの追加借入利子率を用いています。開始日後は、リース負債に係る金利やリース料の支払いにより増減します。
② 使用権資産
使用権資産は、リースの開始日よりリース負債の当初測定額に、当初直接コスト、前払リース料等を調整した取得原価で測定しています。開始日後においては、原価モデルを適用して、減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しています。リースの開始日から使用権資産の耐用年数又はリース期間の終了時のいずれか短い期間にわたり定額法にて償却しています。
また、短期リース及び原資産が少額であるリースについては、認識の免除を適用し、使用権資産及びリース負債を認識せず、リース期間にわたり定額法により費用として認識しています。
投資不動産とは、賃料収入又はキャピタル・ゲイン、もしくはその両方を得ることを目的として保有する不動産です。投資不動産の測定及び減価償却方法は、有形固定資産に準じています。なお、投資不動産の見積耐用年数は5~60年です。
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末日に見直しを行い、必要に応じて改定しています。
棚卸資産、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く、当社グループの非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っています。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の公正価値のうちいずれか大きい金額としています。使用価値の算定において、見積り将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いています。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に認識します。
のれん以外の資産について、過去に認識した減損損失は、各期末日において、損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を評価しています。回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻入れます。戻入れる金額は、減損損失を認識しなかった場合の減価償却費控除後の帳簿価額を超えない金額を上限としています。
なお、のれんに関連する減損損失の取り扱いは、「(8) のれん及び無形資産 ① のれん」に、耐用年数を確定できない無形資産に関連する減損損失の取り扱いは、「(8) のれん及び無形資産 ③その他無形資産」に記載しています。
① 退職後給付
当社グループは、従業員の退職後給付制度として、退職一時金及び年金制度を設けています。これらの制度は確定拠出制度と確定給付制度に分類されます。
a 確定拠出制度
確定拠出制度の退職後給付に係る費用は、従業員がサービスを提供した期間に、費用として認識しています。
b 確定給付制度
確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて個々の制度ごとに算定しています。割引率は、将来の給付支払までの見込期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しています。確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除して算定しています。確定給付資産又は負債の純額の再測定は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、利益剰余金へ振り替えています。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しています。
賞与については、当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的及び推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合にそれらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しています。
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、合理的に見積り可能である法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高い場合に認識しています。引当金は、貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積り将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いています。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しています。
製品保証引当金は、製品の引渡後に発生する補修費用等の将来における支出に備えるため、当該費用の発生額を個別に見積って計上しています。
受注損失引当金は、受注契約に係る将来の損失に備えるため、期末日現在における受注契約に係る損失見込額を個別に見積って計上しています。
期末日現在において発生可能性のある債務を有し、それが期末日現在の債務であるか否か確認ができないもの、又は引当金の認識基準を満たさないものがある場合は、偶発負債として注記しています。
① 普通株式
普通株式は資本として分類しています。普通株式及びストックオプションの発行に直接関連する追加費用は、税効果考慮後の金額を資本の控除項目として認識しています。
② 自己株式
自己株式を取得した場合は、税効果考慮後の直接取引費用を含む支払対価を、資本の控除項目として認識しています。自己株式を処分した場合、受取対価と自己株式の帳簿価額の差額は、資本として認識しています。
③ 株式報酬取引
a ストックオプション制度
当社は、2017年3月まで当社の取締役及び執行役員(社外取締役を除く。以下、「取締役等」という。)に対して、当社株式を購入する権利を行使できる株式報酬型ストックオプション制度を導入しています。当制度ではストックオプションは株式に基づく報酬の付与日に権利が確定することから、付与日における公正価値で見積り、付与日において、一括で費用として認識し、同額を資本として認識しています。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズ・モデルにより算定しています。当制度は2017年3月で廃止(ただし、取締役等に対しすでに付与した株式報酬型ストックオプションとしての新株予約権のうち未行使のものは今後も存続)しています。
b 株式給付信託制度(持分決済型)
当社は、2017年5月より当社の取締役等に対して、信託を通じて自社の株式等を交付する株式報酬制度を導入しています。株式報酬は受領した役務及びそれに対応する資本の増加を付与日における(資本性金融商品の)公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用として計上され、同額を資本の増加として認識しています。
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
① 一時点で充足される履行義務
当社グループは、産業用ロボット部品、建設機械用機器、鉄道車両用ブレーキ装置・自動扉装置、航空機部品、自動車用ブレーキ装置・駆動制御装置、舶用制御装置、建物及び一般産業用自動扉装置、プラットホーム安全設備等の製造販売を主な事業としています。これらの製品の販売については、多くの場合、製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、主として当該製品の引渡時点で収益を認識しています。また、収益は顧客との契約において約束された対価から値引き、割戻及び返品等を控除した金額で測定しています。
② 一定期間にわたり充足される履行義務
当社グループは、次の要件のいずれかに該当する場合は、製品又は役務に対する支配が一定期間にわたり移転するため、一定期間にわたり履行義務を充足し収益を認識しています。
a 顧客が履行によって提供される便益を、履行するにつれて同時に受け取って消費する。
b 履行が、資産を創出するか又は増価させ、顧客が当該資産の創出又は増価について支配する。
c 履行が、他に転用できる資産を創出せず、かつ現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を有している。
当社グループにおいて、一定期間にわたり充足される履行義務に関する収益としては、プラットホーム安全設備等の履行義務があります。プラットホーム安全設備等の収益は進捗度を見積り認識しています。進捗度は、見積原価総額に対する実際原価の割合で算出しています(インプット法)。
当社グループは、政府補助金について補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領することに合理的な保証が得られた場合に、公正価値で認識しています。
資産に関する政府補助金は、繰延収益として認識し、関連する資産の耐用年数にわたって規則的に純損益で認識しています。収益に関する政府補助金は、関連する費用を認識した期に純損益で認識しています。
金融収益は、受取利息、受取配当金、投資有価証券評価益、為替差益等から構成されています。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しています。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した時点で認識しています。
金融費用は、支払利息、デリバティブ評価損、投資有価証券評価損等から構成されています。
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されています。これらは、その他の包括利益で認識される項目、資本に直接認識される項目及び企業結合によって認識される項目を除き、純損益で認識しています。
当期税金は、当期の課税所得に、期末日時点において施行又は実質的に施行される税率を乗じて算定しています。
繰延税金は、資産及び負債の財務諸表上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異について認識しています。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しています。
なお、以下の場合には、繰延税金資産又は負債を計上していません。
・企業結合以外の取引で、かつ会計上の利益又は税務上の課税所得のいずれにも影響を及ぼさない取引における資産又は負債の当初認識
・予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合の子会社及び共同支配に対する投資に係る差異
・のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異
繰延税金は、期末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しています。
繰延税金資産・負債は、当期税金資産・負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しています。
基本的1株当たり当期利益は、当社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しています。希薄化後1株当たり当期利益は、すべての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響を調整して算定しています。当社の潜在的普通株式には、ストックオプションがあります。
基準書及び解釈指針の新設又は改訂のうち、2024年12月31日時点で当社グループが早期適用していない主なものは、以下のとおりです。当該基準書の適用による当社グループへの影響は検討中であり、現時点で見積もることはできません。
4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を設定することが義務付けられています。実際の結果はこれらの見積りとは異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの変更は、見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。
主な会計上の判断、見積り及び仮定は以下のとおりです。
(1) 棚卸資産の評価
当社グループでは、棚卸資産について注記「3.重要性のある会計方針」に従って、正味実現可能価額の算定において完成までに要する原価及び販売費用について仮定を設定しています。
これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定していますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
棚卸資産の評価減の金額は注記「8.棚卸資産」に記載のとおりです。
(2) 非金融資産の減損テストにおける割引キャッシュ・フロー予測の計算に用いた重要な仮定
当社グループでは、有形固定資産、無形資産、使用権資産及びのれんについて注記「3.重要性のある会計方針」に従って、減損テストを実施しています。当連結会計年度においては、以下の非金融資産について、減損テストを実施しています。のれんの減損テストについては注記「10.のれん及び無形資産」、のれんを含む非金融資産の減損については注記「11.非金融資産の減損」に記載のとおりです。
① Gilgenグループののれん
アクセシビリティソリューション事業に属する連結子会社Gilgen Door Systems AG及びその子会社(以下、「Gilgenグループ」という。)に係るのれん(帳簿価額 17,251百万円)について、注記「3.重要性のある会計方針」に従って年次の減損テストを行いました。その結果、当該のれんについて、使用価値が帳簿価額を上回ったため、減損損失は計上していません。
Gilgenグループに係る非金融資産の回収可能価額は使用価値により測定しています。使用価値は、当該事業の事業計画を基礎として算定された将来キャッシュ・フローを加重平均資本コストによる割引率で割引いて算定しています。使用価値の見積りには事業計画における売上高及び営業利益率の予測、事業計画期間以降の成長率の予測、加重平均資本コストによる割引率といった重要な仮定が含まれています。
これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定していますが、主要な市場環境の需要予測等には高い不確実性が伴うため、事業の収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する非金融資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② パワーコントロールカンパニーののれん
コンポーネントソリューション事業に属するパワーコントロールカンパニーに係るのれん(帳簿価額 2,582百万円)について、注記「3.重要性のある会計方針」に従って年次の減損テストを行いました。その結果、当該のれんについて、使用価値が帳簿価額を上回ったため、減損損失は計上していません。
パワーコントロールカンパニーに係る非金融資産の回収可能価額は使用価値により測定しています。使用価値は、当該事業の事業計画を基礎として算定された将来キャッシュ・フローを加重平均資本コストによる割引率で割引いて算定しています。使用価値の見積りには事業計画における売上高の予測、事業計画期間以降の成長率の予測、及び加重平均資本コストによる割引率といった重要な仮定が含まれています。
これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定していますが、主要な市場環境の需要予測等には高い不確実性が伴うため、事業の収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する非金融資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ Deep Sea社ののれん
トランスポートソリューション事業に属する連結子会社R.K. DEEP SEA TECHNOLOGIES LIMITED及びその子会社1社(以下、「Deep Sea社」という。)に係るのれん(帳簿価額 4,420百万円)について、注記「3.重要性のある会計方針」に従って年次の減損テストを行いました。その結果、当該のれんについて、使用価値が帳簿価額を上回ったため、減損損失は計上していません。
Deep Sea社に係る非金融資産の回収可能価額は使用価値により測定しています。使用価値は、当該事業の事業計画を基礎として算定された将来キャッシュ・フローを加重平均資本コストによる割引率で割引いて算定しています。使用価値の見積りには事業計画における売上高及び営業利益率の予測、事業計画期間以降の成長率の予測、加重平均資本コストによる割引率といった重要な仮定が含まれています。
これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定していますが、主要な市場環境の需要予測等には高い不確実性が伴うため、事業の収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する非金融資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 引当金及び偶発負債
当社グループは、製品保証引当金等の引当金を連結財政状態計算書に計上しています。これらの引当金は、期末日における債務に関するリスク及び不確実性を考慮に入れた、債務の決済に要する支出の最善の見積りに基づいて計上しています。
債務の決済に要する支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定していますが、予想しえない事象の発生や状況の変化によって影響を受ける可能性があり、実際の支払額が見積りと異なった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
また、偶発負債がある場合は、期末日におけるすべての利用可能な証拠を勘案し、その発生可能性及び金額的影響を考慮した上で開示しています。
引当金の内容及び帳簿価額については注記「16.引当金」、偶発負債については注記「33. 偶発負債」に記載のとおりです。
(4) 確定給付制度債務の測定
当社グループは、確定給付型を含む様々な退職給付制度を有しています。これらの各制度に係る確定給付制度債務の現在価値及び関連する勤務費用等は、割引率や死亡率等の数理計算上の仮定に基づいて算定されています。数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定していますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
確定給付制度債務及び制度資産の金額、使用された仮定に関する詳細については、注記「19.従業員給付」に記載のとおりです。
(5) 法人所得税
当社グループは、複数の租税区域の法人所得税の影響を受けます。世界各地における法人所得税の見積額を決定する際には、重要な判断が必要です。取引及び計算方法によっては、最終的な税額に不確実性を含むものも多くあります。当社グループは追加徴収の見積りが求められる場合は、予想される税務調査上の問題について負債を認識しています。これらの問題に係る最終税額が当初に認識した金額と異なる場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
また、繰延税金資産は、将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しています。繰延税金資産の認識に際しては、課税所得が生じる可能性の判断において、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定しています。
課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
繰延税金資産の主な原因別の内訳については、注記「20.法人所得税」に記載のとおりです。
(6) 金融商品の評価
当社グループは、特定の金融商品の公正価値の評価をする際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いて行っています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動等により影響を受けます。当該インプットの見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
特定の金融商品の公正価値の評価については、注記「21.金融商品」に記載のとおりです。
(7) 企業結合により取得した資産及び引き受けた負債の公正価値
企業結合により取得した資産及び引き受けた負債は、当初取得日の公正価値で測定されます。公正価値の算定の基礎となる将来キャッシュ・フローには、貨幣の時間価値及び当該資産の固有リスク等を割引率として反映しています。また、当公正価値の算定は経営者による最善の見積りにより行っていますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。これによって、無形資産及びのれんの評価額に重要な影響を生じさせるリスクがあります。
(8) 子会社の範囲
当社グループは、保有する議決権が50%以下の特定の企業について、実質的に支配していると判断していることから、子会社と判断しています。
特定の企業については、注記「30. 子会社」に記載のとおりです。
5.事業セグメント
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、ビジネスモデルの類似性に基づき、事業セグメントを集約した上で、「コンポーネントソリューション事業」、「トランスポートソリューション事業」、「アクセシビリティソリューション事業」の3報告セグメントに区分しています。
各報告セグメントの区分に属する主な事業内容は以下のとおりです。
(2) 報告セグメントに関する情報
報告セグメントの会計方針は、注記「3.重要性のある会計方針」で記載している当社グループの会計方針と同じです。
セグメント間の内部売上高及び振替高は市場実勢価格に基づいています。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、包装機械、立体モデル作成装置、工作機械等及びこれらの部品の設計、製造、販売、保守、修理を行う事業で構成されています。
2 売上高の調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
3 セグメント利益(営業利益)の調整額は、各セグメントに配賦されない全社損益等です。
4 減価償却費及び償却費の調整額は、各セグメントに配賦されない全社資産に係る減価償却費及び償却費です。
5 セグメント資産の調整額には、各セグメントに配賦されない全社資産81,215百万円が含まれており、その主なものは、当社における余資運用資金(現金及び現金同等物)、長期投資資金(投資有価証券等)です。
6 有形固定資産及び無形資産の増加額の調整額は、各セグメントに配賦されない全社資産の設備投資額です。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、包装機械、立体モデル作成装置等及びこれらの部品の設計、製造、販売、保守、修理を行う事業で構成されています。
2 売上高の調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
3 セグメント利益(営業利益)の調整額は、各セグメントに配賦されない全社損益等です。
4 減価償却費及び償却費の調整額は、各セグメントに配賦されない全社資産に係る減価償却費及び償却費です。
5 減損損失の調整額は、各セグメントに配賦されない全社資産に係る減損損失です。
6 セグメント資産の調整額には、各セグメントに配賦されない全社資産82,654百万円が含まれており、その主なものは、当社における余資運用資金(現金及び現金同等物)、長期投資資金(投資有価証券等)です。
7 有形固定資産及び無形資産の増加額の調整額は、各セグメントに配賦されない全社資産の設備投資額です。
(3) 主要な製品及び役務からの収益
「(1) 報告セグメントの概要」、「(2) 報告セグメントに関する情報」、及び注記「23. 顧客との契約から生じる収益」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しています。
(4) 地域別情報
売上高
(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。
非流動資産
(注) 非流動資産は資産の所在地によっています。また、金融資産、繰延税金資産、退職後給付資産等を含んでいません。
(5) 主要な顧客に関する情報
特定の顧客の売上高が連結損益計算書の売上高の10%に満たないため、主要な顧客に関する情報の記載を省略しています。
6.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は以下のとおりです。
(注) 連結財政状態計算書における「現金及び現金同等物」の残高と連結キャッシュ・フロー計算書における「現金及び現金同等物」の残高は一致しています。
7.営業債権及びその他の債権
(1) 営業債権
営業債権の内訳は以下のとおりです。
(2) その他の債権
その他の債権の内訳は以下のとおりです。
8.棚卸資産
棚卸資産の内訳は以下のとおりです。
(注) 売上原価に計上された棚卸資産の評価減の金額について、前連結会計年度において重要な評価減はありません。当連結会計年度において178百万円です。なお、売上原価に計上された棚卸資産の評価減の戻入について、前連結会計年度において重要な評価減の戻入はありません。当連結会計年度において148百万円であり、正味実現可能価額が増加したことによるものです。
9.有形固定資産
(1) 帳簿価額の調整表
(注)1 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれています。
2 有形固定資産の減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれています。
3 投資不動産への勘定振替4,487百万円です。
(2) 取得原価
(3) 減価償却累計額及び減損損失累計額
10.のれん及び無形資産
(1) 帳簿価額の調整表
(注)1 耐用年数を確定できない重要な無形資産はありません。
2 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれています。
3 のれん、顧客関連資産、及び技術資産の減損損失は、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」及び「その他の費用」に含まれています。
(2) 取得原価
(3) 償却累計額及び減損損失累計額
(4) 減損テスト
各資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額は以下のとおりです。
当社グループでは、のれんについて注記「3.重要性のある会計方針」に従って減損テストを実施しています。のれんは償却を行わず、減損の兆候がある時又は減損の兆候の有無に関わらず毎期一回減損テストを実施し、のれんを含む各資金生成単位グループの帳簿価額と回収可能価額を比較し、回収可能価額まで減損損失を認識しています。
回収可能価額は使用価値により測定しています。使用価値は、経営者によって承認された事業計画を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いています。事業計画は4年を限度としており、業界の将来の趨勢に関するマネジメントの評価と過去のデータを反映したものであり、外部情報及び内部情報に基づき作成しています。また、事業計画最終年度以後の成長率は、資金生成単位が属する国のインフレ率をもとに算定しています(1.5%~2.0%)。
前連結会計年度末において、資金生成単位の税引前加重平均資本コスト(9.4%~19.7%)により現在価値に割り引いてのれん減損テストを行った結果、一部ののれんについて減損損失を認識しています。当該減損損失については、注記「11. 非金融資産の減損」に記載しています。また、減損テストに用いた主要な仮定が変更された場合に減損が発生するリスクがあります。仮に税引前加重平均資本コストが1.5%上昇した場合、減損損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度末において、資金生成単位の税引前加重平均資本コスト(8.0%~17.2%)により現在価値に割り引いてのれん減損テストを行った結果、一部ののれんについて減損損失を認識しています。当該減損損失については、注記「11. 非金融資産の減損」に記載しています。また、減損テストに用いた主要な仮定が変更された場合に減損が発生するリスクがあります。仮に税引前加重平均資本コストが2.2%上昇した場合、減損損失が発生する可能性があります。
11.非金融資産の減損
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
前連結会計年度における非金融資産の減損につきまして、主な内容は以下のとおりです。
当社の連結子会社であるGilgen Door Systems AG及びその子会社に係る資金生成単位に配分されたのれんについて減損テストを実施したところ、回収可能価額が帳簿価額を下回ったことから、当該のれんに係る減損損失を認識しています。
当該減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれており、アクセシビリティソリューション事業において認識しています。回収可能価額は使用価値により測定しています(税引前の割引率:9.4%)。
当社の連結子会社であるOVALO GmbH及びその子会社に係る資金生成単位の固定資産について減損テストを実施したところ、回収可能価額が帳簿価額を下回ったことから、当該固定資産に係る減損損失を認識しています。
当該減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれており、トランスポートソリューション事業において認識しています。回収可能価額は使用価値により測定しています(税引前の割引率:18.0%)。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
当連結会計年度における非金融資産の減損につきまして、主な内容は以下のとおりです。
当社の連結子会社であるEngilico Engineering Solutions NV及びその子会社に係る資金生成単位ののれんについて減損テストを実施したところ、回収可能価額が帳簿価額を下回ったことから、当該のれんに係る減損損失を認識しています。
当該減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれており、その他事業において認識しています。回収可能価額は使用価値により測定しています(税引前の割引率:14.6%)。
事業環境の変化等に伴う収益性の低下により、愛媛県松山市所在の投資不動産から見込まれる処分コスト控除後の公正価値を算定した結果、回収可能価額が帳簿価額を下回ったことから、当該投資不動産に係る減損損失を認識しています。
当該減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれており、報告セグメントに帰属しない調整額として認識しています。処分コスト控除後の公正価値は、独立した不動産鑑定の専門家によるマーケットアプローチを用いた評価額に基づいており、観察可能な類似資産の市場取引価格等に基づいています。その評価額は公正価値ヒエラルキーのレベル3に該当します。
12.リース
(1) 使用権資産の残高及び損益の内訳
使用権資産の残高及び損益の内訳は以下のとおりです。
なお、当社グループは、リースの原資産を主として事業活動に使用しています。
(2) 延長オプション及び解約オプション
延長及び解約のオプションは、当社グループの個々のリースに含まれています。各リースは、グループ各社の経営者が管理しており、その条件は個々に交渉され、幅広い契約条件を含んでいます。リースに含まれる延長及び解約のオプションは、行使が可能であり、かつ当該リース期間を使用することが合理的に確実である場合にのみリース負債に含まれます。
リース負債の満期分析については、注記「21. 金融商品 (2) 流動性リスク管理」に記載しています。
13.投資不動産
(1) 投資不動産の概要
当社グループは、東京都及び愛媛県において賃貸用の土地及び建物等を有しています。
(2) 帳簿価額の調整表
(注)1 有形固定資産からの勘定振替4,487百万円です。
2 前連結会計年度において、アクセシビリティソリューション事業の国内連結子会社が保有する土地建物の交換に伴い、交換で取得した投資不動産を公正価値で測定したことによる差益が生じています。
3 投資不動産の減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれています。
(3) 取得原価
(4) 減価償却累計額及び減損損失累計額
(5) 公正価値
投資不動産の公正価値は、主として独立した不動産鑑定の専門家による評価額に基づいており、観察可能な類似資産の市場取引価格等に基づいています。その評価額は全額が公正価値ヒエラルキーのレベル3に該当します。公正価値ヒエラルキーのレベルについては、注記「21.金融商品」に記載しています。
14.持分法で会計処理されている投資
(1) 当社グループの主要な持分法適用関連会社
当社グループの主要な持分法適用関連会社は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(2) 当社グループにとって重要性のある関連会社に対する投資
該当事項はありません。
(3) 当社グループにとって重要性のない関連会社に対する投資
(4) 関連会社の決算日
関連会社1社の決算日は3月31日、関連会社1社の決算日は6月30日、関連会社1社の決算日は11月30日であり、当社グループと決算期を統一することが実務上不可能なことから、連結決算日の12月31日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しています。
15.営業債務及びその他の債務
(1) 営業債務
営業債務の内訳は以下のとおりです。
(2) その他の債務
その他の債務の内訳は以下のとおりです。
16.引当金
(1) 引当金の内訳
引当金の内訳は以下のとおりです。
(2) 引当金の増減
(3) 引当金の概要及び経済的便益の流出が予測される時期等
① 製品保証引当金
製品保証引当金は、製品の引渡後に発生する補修費用等の将来における支出に係るものです。当該金額は個別に見積って計上しています。経済的便益の流出が予測される時期は、1年以内であることが見込まれます。
② 受注損失引当金
受注損失引当金は、受注契約に係る将来の損失に対するものです。当該金額は個別に見積って計上しています。経済的便益の流出が予測される時期は、1年以内であることが見込まれます。
17.政府補助金
当連結会計年度末において認識した資産に関する政府補助金に係る繰延収益は、連結財政状態計算書にて以下の勘定科目に含めて表示しています。また当連結会計年度において、資産に関する政府補助金について、純損益で認識した金額は115百万円であり、連結損益計算書の「その他の収益」に含めて表示しています。
(注) 当連結会計年度において受領した政府補助金は、当社の浜松工場用地及び建設助成等に関連するものです。
18.社債、借入金及びリース負債
(1) 借入金の内訳
借入金の内訳は以下のとおりです。
(2) 社債
該当事項はありません。
(3) 借入金
当連結会計年度における「短期借入金」、「1年内返済予定の長期借入金」及び「長期借入金」の加重平均利率は、それぞれ1.56%、0.67%、及び0.42%です。「長期借入金」の返済期限は2026年~2029年です。
(4) 財務活動から生じた負債の変動
財務活動から生じた負債の変動は以下のとおりです。
(注)1 長期借入金は、1年内返済予定の長期借入金を含んでいます。
2 リース負債は、1年内返済予定のリース負債を含んでいます。
3 デリバティブは、外貨建て借入金の為替及び金利の変動リスク等をヘッジする目的で保有しているものです。
19.従業員給付
(1) 採用している退職後給付制度の概要
当社及び連結子会社の一部は、従業員の退職後給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度及び確定拠出制度を採用しています。確定給付制度では、職位と勤務期間に基づいた一時金又は年金を支給しています。
積立型の確定給付制度は、法令に従い、当社グループとは切り離された年金基金等により運営されており、将来の給付に備え、賃金及び給与の一定比率により年金数理計算したものを掛金として拠出し、積み立てています。年金基金の理事会及び年金運用受託機関は、制度加入者の利益を最優先して行動することが法令によって定められており、所定の方針に基づき制度資産の運用を行う責任を負っています。
(2) 確定給付制度
当社グループは、確定給付制度を設けています。給付額は勤続年数、職能・職務等級、役職等の評価要素に基づき決定されます。
① 確定給付制度に関するリスク
当社グループは、確定給付制度について様々なリスクに晒されています。主なリスクは以下のとおりです。なお、当社グループは、制度資産に関して重大な集中リスクには晒されていません。
② 連結財政状態計算書上の金額
③ 確定給付制度債務の現在価値の変動
確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、前連結会計年度及び当連結会計年度においてそれぞれ12.6年及び13.2年です。
④ 制度資産の公正価値の変動
当社グループは、翌連結会計年度において、確定給付制度へ2,167百万円拠出する予定です。
⑤ 制度資産の公正価値の項目ごとの内訳
制度資産は、確定給付制度の持続可能性を確保する目的で運用しています。制度資産への投資によるリスクとリターンの目標は方針として作成されており、投資の成果は適切にモニタリングされ、定期的に方針の見直しを行っています。
⑥ アセット・シーリングによる調整額の変動
⑦ 連結損益計算書上の金額
⑧ 主な数理計算上の仮定
また、上記の数理計算上の仮定の変動が確定給付制度債務に与える影響の感応度分析は以下のとおりです。この感応度分析は、他のすべての変数が一定であることを前提としていますが、実際には他の数理計算上の仮定の変動が影響する可能性があります。
⑨ 採用している資産・負債のマッチング戦略
中長期的な運用上の期待リターンが割引率を上回るように設定し、資産・負債のミスマッチを抑制するような投資戦略としています。投資戦略は主に、収益を最大化させるのではなく、下落リスクの管理強化に重点を置いています。この投資政策は、長期契約を履行できる収益を生み出すことができると予想されます。
(3) 確定拠出制度
20.法人所得税
(1) 法人所得税
① 純損益で認識される法人所得税
当社グループは、経済開発協力機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税制により生じる法人所得税に対するエクスポージャーの評価を実施しています。第2の柱モデルルールの法人所得税に対するエクスポージャーに重要性はありません。
② 法定実効税率と実際負担税率の調整表
当社グループの法定実効税率と実際負担税率との調整は以下のとおりです。実際負担税率は税引前当期利益に対する法人所得税費用の負担割合を表示しています。
(2) 繰延税金
① 繰延税金資産及び負債の変動の内訳
繰延税金資産及び負債の変動の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
(注)1 純損益で認識した額の繰延税金資産(負債)の純額と、「(1) 法人所得税 ① 純損益で認識される法人所得税」に記載の繰延税金費用合計との差額は、為替の変動等によるものです。
2 当社グループは、「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金(IAS第12号の改訂)」を適用しており、比較情報については遡及適用後の金額で記載しています。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(単位:百万円)
(注)1 純損益で認識した額の繰延税金資産(負債)の純額と、「(1) 法人所得税 ① 純損益で認識される法人所得税」に記載の繰延税金費用合計との差額は、為替の変動等によるものです。
2 当社グループは、「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金(IAS第12号の改訂)」を適用した金額で記載しています。
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異、繰越欠損金の一部又は全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩し、予測される将来課税所得及びタックスプランニングを考慮しています。認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税務便益が実現する可能性は高いと判断しています。なお、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の繰延税金資産のうち、損失が生じている納税主体に帰属しているものは、それぞれ651百万円及び1,804百万円です。
② 繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金は以下のとおりです。将来減算一時差異は現行の税法上は失効することはありません。これらの項目に係る繰延税金資産は、当社グループがその便益を利用するために必要となる将来の課税所得が発生する可能性が高くないため、認識していません。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効予定は以下のとおりです。
21.金融商品
当社グループは、事業活動に伴う財務上のリスク(信用リスク、流動性リスク、市場リスク)を回避又は低減するために、以下のとおり、財務上のリスクを管理しています。
(1) 信用リスク管理
信用リスクは、取引先の債務不履行により、当社グループが財務上の損失を被るリスクです。
現金及び現金同等物、及びその他の金融資産(流動)に含まれている3ヶ月超の定期預金については、当社グループは信用力の高い金融機関のみと取引を行っているため、信用リスクは限定的であると判断しています。
営業債権、契約資産及びその他の債権は取引先の信用リスクに晒されています。営業債権である受取手形及び売掛金、並びに契約資産については、当社グループは与信管理規程に基づき、取引先に対して与信限度額を設定し管理しています。与信限度額については、新規取引先については取引開始時、既存の取引先については定期的に信用状況を確認し、社内での審議・承認手続きを経て設定しています。信用状況がおもわしくない取引先に対しては、必要に応じて保証金や担保を取得する等の措置を講じています。これらの信用管理実務から入手される取引先等の取引状況や財務情報のほか、企業倒産数等マクロ経済状況の動向も勘案し、予想信用損失の認識や測定を行っています。その他の債権である未収入金については、取引先の信用リスクに晒されていますが、そのほとんどは短期間内で決済が予定されているものであり、信用リスクは限定的であると判断しています。
当社グループでは営業債権、契約資産及びその他の債権等に区分して、損失評価引当金の金額を算定しています。
営業債権及び契約資産については、常に全期間の予想信用損失と同額で損失評価引当金を計上しています。営業債権及び契約資産以外のその他の債権等については、原則として12ヶ月の予想信用損失と同額で損失評価引当金を計上していますが、信用リスクが著しく増加している場合は全期間の予想信用損失を個別に見積って当該金融商品に係る損失評価引当金を計上しています。信用リスクが著しく増加しているか否かは、金融資産が当初認識以降に債務不履行となるリスクの変化の有無に基づいて判断しています。債務不履行となるリスクの変化の有無を評価するにあたっては、以下を考慮しています。
・取引先の業績の悪化等による財政困難
・債権の著しい回収遅延
・外部信用機関による格付の著しい引下げ
いずれの金融資産においても、その全部又は一部について回収ができない、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行と判断し、信用減損金融資産として取り扱っています。
当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは、連結財政状態計算書に表示されている金融資産の帳簿価額になります。また、当社グループに、特定の取引先に対する過度に集中した信用リスクのエクスポージャーはありません。
信用リスクに対するエクスポージャー
営業債権と損失評価引当金の増減額は以下のとおりです。
前連結会計年度 (2023年12月31日)
営業債権以外の契約資産及びその他の債権等に係る損失評価引当金の金額については、重要性が乏しいため記載していません。
損失評価引当金の繰入額及び戻入額は、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されています。
当連結会計年度 (2024年12月31日)
営業債権以外の契約資産及びその他の債権等に係る損失評価引当金の金額については、重要性が乏しいため記載していません。
損失評価引当金の繰入額及び戻入額は、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されています。
(2) 流動性リスク管理
流動性リスクは、当社グループが期限の到来した金融負債を決済するにあたり、その支払を実行できなくなるリスクです。
当社グループは、各部署からの報告に基づき、経理部が適時に資金計画を作成・更新し、手許流動性の状況を把握したうえで、適切な水準の手許資金を確保することにより、資金調達に係る流動性リスクを管理しています。また、一部地域では各地域統括会社等にて当該地域に所在するグループ資金を集中的かつ効率的に管理するキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、流動性リスクの低減に努めています。
当社グループの金融負債の満期日分析については以下のとおりです。
(3) 市場リスク管理
① 為替リスク
当社グループは、グローバルに事業展開を行っており、当社グループが製造した製品等を海外にて販売しています。このため、当社グループは機能通貨以外の通貨で行った取引から生じる外貨建営業債権債務等を報告期間末日の為替レートを用いて、機能通貨に換算替えすることに伴う、為替相場の変動リスク(以下、「為替リスク」という。)に晒されています。
当社グループでは、外貨建営業債権債務等について、為替リスクに晒されていますが、通貨別月別に残高を把握し、原則としてこれをネットしたポジションについて先物為替予約等を利用することで、当該リスクをヘッジしています。また、外貨建借入金については通貨スワップをデリバティブ取引することにより、為替リスクをヘッジしています。そのため、当社グループにおける為替リスクに対するエクスポージャーは限定的であると判断しています。
デリバティブ
当社グループの実施している為替リスクを抑制するための主なデリバティブの概要は以下のとおりです。
ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
(注) ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引はありません。
為替感応度分析
当社グループの決算期末日の為替相場において、機能通貨に対して、機能通貨以外の各通貨が1%増価する場合、税引前当期利益及び資本に対する影響は以下のとおりです。
なお、当該分析は、為替差額を純損益で認識する外貨建金融商品(内部取引を含む)の換算から生じる影響を示しており、外貨建ての収益及び費用の換算による影響は含まれていません。また、この分析は期末日時点で当社グループが合理的な可能性があると考える為替相場の変動に基づいており、その他の要因は変動しないことを前提としています。
(注) 日本円の影響額は、在外営業活動体が保有する円建ての金融資産及び金融負債に係るものです。
② 金利リスク
金利リスクは、市場金利の変動により、金融商品の公正価値もしくは金融商品から生じる将来キャッシュ・フローが変動するリスクとして定義されています。当社グループの有利子負債の一部は変動金利の借入金であり、その利息の金額は市場金利の変動の影響を受けるため、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクに晒されています。
当社グループは、変動金利の借入金を超える額の余剰資金を短期的な預金等で運用しており、将来、金融市場環境の変化により金利が上昇した場合、当該余剰資金を返済原資として有利子負債を圧縮する方法及び金利スワップ契約等を利用することにより、将来発生する資金調達コストを抑えることが可能です。
したがって、当社グループにとって、期末日時点の金利リスクは重要ではないと考えています。当社グループにおける金利リスクに対するエクスポージャーは限定的であると判断しています。
③ 価格リスク
当社グループは、主に資本性金融商品(株式)から生じる市場価格の変動リスクに晒されています。当社グループが保有する資本性金融商品は、主に株式で定期的に公正価値や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を見直しています。
当社グループの決算期末日の株式市場において、各株式の株価が1%増価する場合、その他の包括利益に対する影響は以下のとおりです。なお、税引前利益に対する影響はありません。
(4) 金融商品の公正価値
① 公正価値の測定方法
a 償却原価で測定する金融資産
その他の金融資産
その他の金融資産の公正価値については、主に、一定の期間ごとに区分して、信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値に基づいて評価しています。
b 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
ⅰ ゴルフ会員権
ゴルフ会員権の公正価値については、相場価格等に基づいて評価しています。なお、ゴルフ会員権は、連結財政状態計算書における「その他の金融資産」に含まれています。
ⅱ デリバティブ金融資産
為替予約の公正価値については、先物為替相場等に基づき算定しています。なお、デリバティブ金融資産は、連結財政状態計算書における「その他の金融資産」に含まれています。
ⅲ 投資有価証券
主に売買目的以外で保有する社債で構成される負債性金融商品であり、類似会社の市場価格に基づく評価技法等を用いて算定しています。なお、投資有価証券は、連結財政状態計算書における「その他の金融資産」に含まれています。
c その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
投資有価証券
主に売買目的以外で保有する株式で構成される資本性金融商品であり、上場株式については取引所の市場価格、非上場株式については類似会社の市場価格に基づく評価技法及び純資産価値に基づく評価技法等を用いて算定しています。なお、投資有価証券は、連結財政状態計算書における「その他の金融資産」に含まれています。
d 償却原価で測定する金融負債
借入金
借入金の公正価値については、元利金の合計額を、新規に同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しています。
e 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
ⅰ デリバティブ金融負債
通貨スワップ契約及び金利スワップ契約の公正価値については、取引先金融機関等より提示された価格に基づき算定しています。為替予約の公正価値については、先物為替相場等に基づき算定しています。なお、デリバティブ金融負債は、連結財政状態計算書における「その他の金融負債」に含まれています。
ⅱ 条件付対価
条件付対価に係る金融負債の公正価値については、主に業績の予想等を基礎として、モンテカルロ・シミュレーションを用いて算定した将来支払額の現在価値により算定しています。なお、条件付対価に係る金融負債は、連結財政状態計算書における「その他の金融負債」に含まれています。
② 金融商品の分類ごとの帳簿価額と公正価値
金融資産及び金融負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と公正価値は以下のとおりです。
なお、当初認識時に、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及び金融負債として指定する取消不能な選択を行った金融資産及び金融負債は保有していません。償却原価で測定する金融商品である現金及び現金同等物、営業債権、契約資産、その他の債権、営業債務、及びその他の債務については、短期間で決済されることから帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっているため、上表には含めていません。
③ 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類
金融資産及び金融負債に関する経常的な公正価値については以下のとおり、測定・分析しています。これらの公正価値の金額は、用いられる評価技法へのインプット(入手可能な市場データ)に基づいて、3つの公正価値ヒエラルキー(レベル1~3)に区分されています。それぞれのレベルは、以下のように定義付けられています。
レベル1:活発に取引される市場で公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接、又は間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法から算出された公正価値
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、振替を生じさせた事象又は状況の変化が生じた日に認識しています。
経常的に公正価値で測定する金融資産及び金融負債の公正価値ヒエラルキーは以下のとおりです。
「② 金融商品の分類ごとの帳簿価額と公正価値」で開示している、償却原価で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは、主としてレベル3で区分しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル1と2及び3の間の振替はありません。
なお、前連結会計年度末、当連結会計年度末において、非経常的に公正価値で測定された重要な資産及び負債はありません。
④ レベル3に区分される公正価値測定に関する情報
a 評価技法及びインプット
レベル3に区分されたその他の金融資産及びその他の金融負債は、主に非上場株式及び条件付対価です。非上場株式の公正価値は、類似会社の市場価格に基づく評価技法及び純資産価値に基づく評価技法等を用いて算定しています。条件付対価に係る金融負債の公正価値については、主に業績の予想等を基礎として、モンテカルロ・シミュレーションを用いて算定した将来支払額の現在価値により算定しています。
b 評価プロセス
レベル3の金融商品に係る公正価値の測定は、関連する社内規程に従い実施しています。公正価値の測定に際しては、対象となる金融商品の性質、特徴及びリスクを最も適切に反映できる評価技法及びインプットを用いています。
c レベル3に区分される経常的な公正価値測定の感応度情報
経常的に公正価値で測定するレベル3に分類される金融商品の公正価値の測定に関する重要な観察可能でないインプットは、財務予測に基づいて算定したEBIT倍率、非流動性ディスカウント等です。公正価値はEBIT倍率の上昇(低下)により増加(減少)し、非流動性ディスカウントの上昇(低下)により減少(増加)します。
レベル3に分類される金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の公正価値の増減は重要ではありません。
d レベル3に分類された金融商品の期首残高から期末残高への調整表
(注)1 純損益に認識した利得及び損失は、主に当連結会計年度に保有している金融商品にかかる評価損益であり、連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
2 その他の包括利益に認識した利得及び損失は、連結包括利益計算書上の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の純変動」に含まれています。
(5) その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は以下のとおりです。
当社グループが保有している投資有価証券は主に株式で構成される資本性金融商品です。売買目的で保有する投資有価証券については、純損益を通じて公正価値で測定しています。それ以外の投資有価証券については、主に取引関係等の円滑化を目的に保有しているため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定しています。
主な投資とその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の内訳は、以下のとおりです。
当社グループは定期的に資本の効率的な活用と業務上の取引関係を見直しています。これにより、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融商品の一部について認識の中止を行っています。認識の中止におけるその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は以下のとおりです。
当社グループはその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融商品に係る累積利得又は損失はその他の資本の構成要素として認識しています。金融商品を処分して認識を中止した場合、又は、公正価値が明らかに低下した場合、その他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。利益剰余金へ振り替えたその他の包括利益の累積利得又は損失(税引後)は、前連結会計年度及び当連結会計年度においてそれぞれ529百万円及び112百万円です。
22.資本及びその他の資本項目
(1) 授権株式総数及び発行済株式総数
授権株式総数及び発行済株式総数は以下のとおりです。
(注) 1 当社の発行する株式は、無額面普通株式です。
2 発行済株式は、全額払込済となっています。
(2) 資本剰余金
資本剰余金は、資本取引から発生した金額のうち、資本金に含まれない金額により構成されています。
日本における会社法(以下、「会社法」という。)では、株式の発行に対しての払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されています。また、会社法では、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
(3) 利益剰余金
利益剰余金は、利益準備金とその他の利益剰余金により構成されます。その他の利益剰余金は、主に当社グループの稼得した利益の累積額です。
会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されています。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
(4) 自己株式
自己株式数及び残高の増減は以下のとおりです。
(注) ストックオプション、株式給付信託(BBT)の詳細については注記「27.株式報酬」に記載しています。なお、株式給付信託(BBT)が保有する当社株式を、資本にて自己株式として表示しています。当連結会計年度末における当該自己株式の帳簿価額は1,740百万円、株式数は517,230株です。
(5) その他の資本の構成要素
① 確定給付負債(資産)の純額の再測定
確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(制度資産に係る利息収益の金額を除く)等で構成されています。
② その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の純変動
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の公正価値の変動額です。
③ 在外営業活動体の換算差額
外貨建てで作成された在外営業活動体の財務諸表を連結する際に発生した換算差額です。
(6) 配当金
配当金支払額は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注)1 2023年3月23日定時株主総会決議による配当金の総額には、株式給付信託(BBT)に係るみずほ信託銀行㈱の信託口(再信託受託者:㈱日本カストディ銀行(信託E口))が保有する当社株式に対する配当金12百万円を含んでいます。
2 2023年7月31日取締役会決議による配当金の総額には、株式給付信託(BBT)に係るみずほ信託銀行㈱の信託口(再信託受託者:㈱日本カストディ銀行(信託E口))が保有する当社株式に対する配当金12百万円を含んでいます。
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
(注) 2024年3月26日定時株主総会決議による配当金の総額には、株式給付信託(BBT)に係るみずほ信託銀行㈱の信託口(再信託受託者:㈱日本カストディ銀行(信託E口))が保有する当社株式に対する配当金24百万円を含んでいます。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注)1 2024年3月26日定時株主総会決議による配当金の総額には、株式給付信託(BBT)に係るみずほ信託銀行㈱の信託口(再信託受託者:㈱日本カストディ銀行(信託E口))が保有する当社株式に対する配当金24百万円を含んでいます。
2 2024年7月31日取締役会決議による配当金の総額には、株式給付信託(BBT)に係るみずほ信託銀行㈱の信託口(再信託受託者:㈱日本カストディ銀行(信託E口))が保有する当社株式に対する配当金21百万円を含んでいます。
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
(注) 2025年3月26日定時株主総会決議による配当金の総額には、株式給付信託(BBT)に係るみずほ信託銀行㈱の信託口(再信託受託者:㈱日本カストディ銀行(信託E口))が保有する当社株式に対する配当金21百万円を含んでいます。
(7) その他の包括利益
その他の包括利益の各項目別の当期発生額及び純損益への組替調整額、並びに税効果の影響は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) 上記の各項目から生じた組替調整額はありません。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 上記の各項目から生じた組替調整額はありません。
(8) 資本管理
当社グループは、株式価値を維持向上するために、総資産当期利益率(ROA)及び親会社所有者帰属持分利益率(ROE)の目標水準に配慮した経営を行っています。また、経済環境の急激な変化に備え、金融情勢によらず資金調達が可能な高格付けを維持できる親会社所有者帰属持分比率を目標としています。
当社グループのROA、ROE及び親会社所有者帰属持分比率は以下のとおりです。
23.顧客との契約から生じる収益
(1) 収益の分解
当社グループの事業は、コンポーネントソリューション事業、トランスポートソリューション事業、アクセシビリティソリューション事業及びその他の事業により構成されており、当社の取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループでは、これらの事業を通じて得られる収益を売上高として表示しています。また売上高は、主要な製品別に分解しています。これらの分解した売上高と注記「5.事業セグメント」で記載しているセグメント別の売上高との関連は、以下のとおりです。
なお、当社グループの代理人としての履行義務はありません。
(注) 金額は、外部売上高で表示しています。
(2) 契約残高
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債に関する情報は以下のとおりです。
契約資産は主に、一定期間にわたり充足した履行義務に係る対価に対する当社グループの権利であり、支払いに対する権利が無条件になった時点で債権に振り替えられます。顧客との契約から生じた債権は、履行義務の充足後、別途定める支払条件により、主として1年以内に対価を受領しています。また、当社グループの顧客との契約から生じた債権に重要な金融要素はありません。
契約負債は主に、製品の引渡前に当社グループが顧客から受け取った対価です。
当連結会計年度に認識した収益のうち、期首時点で契約負債に含まれていた金額は6,460百万円です。また過去の期間に充足(又は部分的に充足)した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
なお、当連結会計年度において、顧客との契約から生じた債権について認識した減損損失(損失評価引当金の新規認識による増加額)は51百万円、契約資産について認識した減損損失はありません。
(3) 残存履行義務に配分した取引価格
残存履行義務の充足時期ごとの取引価格は以下のとおりです。本取引価格の中に変動対価の金額の見積りは含めていません。なお、実務上の便法を使用しているため、以下の金額には個別の予想契約期間が1年以内の取引金額を含めていません。
(4) 顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産
当連結会計年度において顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産はありません。なお、認識すべき資産の償却期間が1年以内である場合には、実務上の便法を使用し、契約の獲得の増分コストを発生時に費用として認識しています。
24.費用の性質別内訳
売上原価、販売費及び一般管理費の内訳は以下のとおりです。
(注)1 従業員給付費用には、当社グループの取締役及び監査役に対する給付費用が含まれています。
2 研究開発費には、研究開発に係る従業員給付費用、減価償却費及び償却費が含まれています。
3 減損損失については、注記「11. 非金融資産の減損」に記載しています。
25.その他の収益及びその他の費用
(1) その他の収益
その他の収益の内訳は以下のとおりです。
(注)1 土地建物交換差益については、注記「13.投資不動産」に記載しています。
2 前連結会計年度においてティーエス プレシジョン株式会社の株式を譲渡したことによるものです。
(2) その他の費用
その他の費用の内訳は以下のとおりです。
(注) 減損損失については、注記「11. 非金融資産の減損」に記載しています。
26.金融収益及び金融費用
(1) 金融収益
金融収益の内訳は以下のとおりです。
(注) 前連結会計年度において、売却完了した株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ(以下、「ハーモニック社」という。)株式について、売却期間中の各日におけるVWAPの平均値による売却総額と前々連結会計年度末の公正価値との差額等です。
(2) 金融費用
金融費用の内訳は以下のとおりです。
27.株式報酬
(1) 株式報酬型ストックオプション制度
① 株式報酬型ストックオプション制度の概要
当社は、当社の取締役及び執行役員(社外取締役を除く。以下、「取締役等」という。)に対して、当社株式を購入する権利を付したストックオプションを付与しています。本制度に権利確定条件は付されていません。なお、当社は、2017年3月28日開催の第14回定時株主総会による承認を得て、本株式報酬型ストックオプション制度を廃止(ただし、取締役等に対しすでに付与した株式報酬型ストックオプションとしての新株予約権のうち未行使のものは今後も存続)しています。ストックオプションは行使に際し、1個当たり普通株式100株に換算されます。
ストックオプションの内容は以下のとおりです。
② ストックオプションの数及び加重平均行使価格
(注)1 期中に行使されたストックオプションの権利行使時点の加重平均株価は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ3,350円及び2,552円です。
2 期末日時点で未行使のストックオプションの権利行使価格は前連結会計年度末及び当連結会計年度末現在において、いずれも1円であり、加重平均残存契約年数は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ16.8年及び17.3年です。
③ 期中に付与されたストックオプションの公正価値及び仮定
該当事項はありません。
④ 株式報酬に係る費用
該当事項はありません。
(2) 株式給付信託制度(持分決済型)
① 株式給付信託制度の概要
当社は、株式報酬制度「株式給付信託(BBT(=Board Benefit Trust))」を導入しています。
本制度の導入は、従来の株式報酬型ストックオプション制度と比べて、取締役等の報酬と当社の業績及び株式価値との連動性をより明確にし、取締役等が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクまでも株主の皆様と共有し、また当社グループ全体の中長期的な業績向上、企業価値の増大への貢献意欲と株主重視の経営意識を一層高めることを目的としています。
本制度は、当社が拠出する金銭を原資として当社株式が信託を通じて取得され、取締役等に対して、当社が定める役員株式給付規程に基づき、毎年、役位や業績等に応じたポイント(以下、「株式交付ポイント」という。)が付与され、所定の時期に株式交付ポイントの数に応じて、当社株式及び当社株式の換価処分金相当額の金銭が信託を通じて交付又は給付される制度です。株式交付ポイントは当社の株式交付等に際し、1ポイント当たり普通株式1株に換算されます。
② 株式交付ポイントの数
本制度では当社株式及び当社株式の換価処分金相当額の金銭が信託を通じて交付又は給付されるため、権利行使価格はありません。
③ 期中に付与された株式交付ポイントの公正価値
公正価値は観察可能な市場価格を基礎として測定しています。予想配当については、付与日から権利行使日までの期間が短いため、考慮していません。付与されたポイントの加重平均公正価値は、前連結会計年度及び当連結会計年度においてそれぞれ3,253円及び2,776円です。
④ 株式給付信託制度に係る費用
株式給付信託制度に係る費用は、前連結会計年度及び当連結会計年度においてそれぞれ212百万円及び115百万円です。当該費用は連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」に含めています。
28.1株当たり当期利益
(1) 基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎
基本的1株当たり当期利益及びその算定上の基礎は以下のとおりです。
(2) 希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎
希薄化後1株当たり当期利益及びその算定上の基礎は以下のとおりです。
29.企業結合
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(Copas Systèmes SASの株式取得)
当社の連結子会社であるGilgen Door Systèms AG(以下、「Gilgen社」という)は、2023年1月3日付でCopas Systèmes SASの株式の100%を取得し、当社グループの完全子会社としました。
(1) 企業結合の概要
① 被取得企業の名称及び事業の内容
被取得企業の名称 Copas Systèmes SAS
事業の内容 自動ドア販売・施工・保守をフランス南東部で展開
② 企業結合の主な理由
当社は、自動ドア事業において、日本・欧州・北米・中国の世界4大市場をカバーする販売体制の強化を目指して、各市場での直販拠点の強化や代理店とのパートナーシップを通じてバリューチェーンを拡充、グローバルな自動ドアメーカーとしての地位確立に取り組んでいます。特に欧州市場においては、Gilgen社を軸に販売チャネル強化に向けたM&Aに取り組んできましたが、今般、フランス南東部で強力な顧客ネットワークを持つCopas Systèmes SASを完全子会社化したことでフランス市場のバリューチェーンを再構築し、欧州における事業基盤を更に強固なものとして発展させていきます。
③ 被取得企業の支配の獲得方法
現金を対価とする株式の取得
④ 取得日
2023年1月3日
⑤ 取得した持分比率
100%
(2) 取得対価及びその内訳
(3) 取得関連費用
取得関連費用は、35百万円であり、連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」に含めています。
(4) 取得資産及び引受負債
本企業結合について、第1四半期連結会計期間において暫定的な会計処理を行っていましたが、第2四半期連結会計期間において取得対価の取得資産及び引受負債への配分が確定しています。この暫定的な会計処理の確定に伴い、非流動資産が2,167百万円、非流動負債が542百万円増加し、のれんが1,625百万円減少しています。
取得日における取得資産及び引受負債は、以下のとおりです。
(注) 1 条件付対価はありません。
2 現金及び現金同等物177百万円が含まれています。取得した営業債権及びその他の債権の公正価値759百万円について、契約金額の総額は907百万円であり、回収不能見込額は147百万円です。
3 被取得企業において認識されていなかった顧客関連資産1,454百万円(耐用年数14年)、ソフトウェア712百万円(耐用年数16年)が含まれています。
4 のれんは主に超過収益力を反映したものであり、税務上損金計上されません。
(5) 当社グループの業績に与える影響
当連結会計年度の連結損益計算書上に認識している取得日以降の損益情報、及び企業結合が当連結会計年度期首である2023年1月1日に行われたと仮定した場合の連結財務諸表に与える影響の概算額は、重要性が乏しいため記載していません。
(R.K. DEEP SEA TECHNOLOGIES LIMITEDの株式取得)
当社は、2023年7月14日付でAIを活用したソリューションを提供するギリシャの事業会社であるDeep Sea Technologies SMPC(以下、「Deep Sea社」という)の100%親会社である、キプロスのR.K. DEEP SEA TECHNOLOGIES LIMITEDの発行済株式の85%を追加取得し、当社の完全子会社としました。
(1) 企業結合の概要
① 被取得企業の名称及び事業の内容
② 企業結合の主な理由
当社グループは2021年7月にコーポレート・ベンチャー・キャピタルである、Nabtesco Technology Ventures L.P.を通じてDeep Sea社に出資し、業界をリードする「船舶の状態監視(Cassandra)」及び「船舶最適航路選定(Pythia)」の船舶向けソリューションサービスを2022年から日本、中国、韓国で販売開始するとともに、船舶用制御システムの制御アルゴリズムの共同開発を同社と進めてきました。
今回の買収を通じて、同社が持つ世界最先端のAI技術による最適な航路・船速提案と当社の舶用エンジン制御システムを組み合わせることにより、海運業界におけるDX化や船舶向けソリューションサービスの開発と販売をより強力に推進していきます。さらに、AIに基づく数値モデル化技術を活用した最適運航制御アルゴリズムを活用し、船舶の自律運航と省燃費の実現に貢献していきます。
買収後もDeep Sea社は、ギリシャのアテネを拠点として存続し、当社グループ全体のAI研究開発センターとしても活動していきます。AI/IoTのスペシャリストやシステムエンジニア等DX人財を当社に迎えることにより、当社グループの最適制御や状態監視等のアプリケーション開発能力を高め、各事業分野におけるシステム化やDX化を加速させ、新たなイノベーションの創出を通して、お客さまへさらなる高付加価値製品の提供を目指します。
③ 被取得企業の支配の獲得方法
現金を対価とする株式の取得
④ 取得日
2023年7月14日
⑤ 取得した持分比率
(2) 取得対価及びその内訳
(3) 取得関連費用
取得関連費用は、72百万円であり、連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」に含めています。
(4) 取得資産及び引受負債
本企業結合について、第3四半期連結会計期間において暫定的な会計処理を行っていましたが、当連結会計年度において取得対価の取得資産及び引受負債への配分が確定しています。この暫定的な会計処理の確定に伴い、流動資産が210百万円、非流動資産が811百万円、非流動負債が178百万円増加し、条件付対価の公正価値が309百万円、流動負債が27百万円、のれんが1,179百万円減少しています。
取得日における取得資産及び引受負債は、以下のとおりです。
(注) 1 現金及び現金同等物153百万円が含まれています。取得した営業債権及びその他の債権の公正価値、及び契約金額の総額は34百万円であり、回収不能見込額はありません。
2 無形資産として、被取得企業において認識されていなかった商標権50百万円(耐用年数10年)、顧客関連資産500百万円(耐用年数19年)、技術関連資産82百万円(耐用年数10年)が含まれています。
3 のれんは主に超過収益力を反映したものであり、税務上損金計上されません。
(5) 条件付対価
条件付対価は、一定期間において被取得企業の業績が一定の金額を達成した場合に支払われるものであり、契約上、最大で2百万ユーロを支払う可能性があります。
(6) 段階取得に係る差益
当社が、取得日以前に保有していた15%の資本持分を取得日の公正価値で再測定した結果、当該企業結合により段階取得に係る差益を認識しています。この利益を、連結損益計算書上の「金融収益」にて9百万円、連結包括利益計算書上の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の純変動」にて39百万円含めています。
(7) 当社グループの業績に与える影響
当連結会計年度の連結損益計算書上に認識している取得日以降の損益情報、及び企業結合が当連結会計年度期首である2023年1月1日に行われたと仮定した場合の連結財務諸表に与える影響の概算額は、重要性が乏しいため記載していません。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
該当事項はありません。
30.子会社
当社グループの主要な子会社は以下のとおりです。
(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しています。
2 江蘇納博特斯克今創軌道設備有限公司は、当社が議決権の50%を所有していること、また当社の技術に依存していることから、当社が実質的に支配していると判断し、当社グループの連結の範囲に含めています。
31.関連当事者
(1) 関連会社との取引
関連会社に対する債権残高、債務残高及び取引高は以下のとおりです。
① 関連会社に対する債権残高及び債務残高
(注) 関連会社に対する担保・保証取引はありません。また、関連会社に対する債権残高に設定している損失評価引当金はありません。
② 関連会社に対する取引高
(注) 関連会社との取引については、市場価格等を勘案し決定しています。
(2) 経営幹部に対する報酬
当社の経営幹部に対する報酬は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 経営幹部は当社の取締役です。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 経営幹部は当社の取締役です。
32.コミットメント
有形固定資産の取得に関する契約上確約している重要なコミットメントは以下のとおりです。
(単位:百万円)
33.偶発負債
該当事項はありません。
34.重要な後発事象
該当事項はありません。