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回次 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
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決算年月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
2024年12月 |
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営業収益 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
(千円) |
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包括利益 |
(千円) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純利益 |
(円) |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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(注)1.第20期、第21期、第22期及び第23期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。また、第24期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2.第20期及び第21期の株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
3.従業員数は就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。委任型・雇用型の執行役員を含む。)であり、臨時雇用者数(嘱託社員、パートタイマー社員、パートナー社員、契約社員)は年間の平均人員を( )に外数で記載しております。
4.当社は、2021年8月13日開催の取締役会決議により、2021年9月7日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第20期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産額」及び「「1株当たり当期純利益」を算定しております。
5.第24期における営業収益、総資産額並びに現金及び現金同等物の期末残高の大幅な増加は、ファイナンシャル・ジャパン株式会社の連結子会社化によるものであります。
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回次 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
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決算年月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
2024年12月 |
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営業収益 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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当期純利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益 |
(円) |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:配当込みTOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
- |
- |
635 |
1,810 |
1,650 |
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最低株価 |
(円) |
- |
- |
475 |
496 |
941 |
(注)1.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。
2.第20期、第21期、第22期及び第23期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。また、第24期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
3.第20期から第21期までの株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
4.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。委任型・雇用型の執行役員を含む。)であり、臨時雇用者数(嘱託社員、パートタイマー社員、パートナー社員)は年間の平均人員を( )に外数で記載しております。
5.当社は、2021年8月13日開催の取締役会決議により、2021年9月7日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第20期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産額」及び「1株当たり当期純利益」を算定しております。
6.2022年12月22日付をもって名古屋証券取引所メイン市場に株式を上場いたしましたので、第20期から第22期までの株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。第23期及び第24期の株主総利回り及び比較指標は、2022年12月期末を基準として算定しております。
7.最高株価及び最低株価は名古屋証券取引所メイン市場におけるものであります。
なお、2022年12月22日付をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。
当社グループは、現代表取締役社長一戸敏が、1996年2月に個人代理店として創業したことに始まります。1996年当時は大規模な金融制度改革(金融ビッグバン)が始まる年であり、金融業界は大きな盛り上がりを見せていた中、マイナスを補填する機能とお金を増やす機能の両面を持つ、唯一の金融商品である「保険」のビジネスに、新しい価値を創造するチャンスがあると考え創業し、現在は全国への拠点開設、海外進出を行いながら事業を拡大しております。
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年月 |
概要 |
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2001年6月 |
株式会社サンインシュアランスデザインを東京都品川区に設立(資本金1,000万円) |
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2002年4月 |
札幌支店を新設 |
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2004年7月 |
株式会社エージェントに商号を変更し、本社を東京都港区に移転 |
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2008年3月 |
神奈川支店を新設 |
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2010年4月 |
仙台支店を新設 |
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2011年4月 |
リフォーム・リノベーションの設計・施工管理を行うことを目的とする株式会社CONCEPTの全株式を取得し、子会社化 |
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2013年2月 |
株式会社CONCEPTを吸収合併し、住宅事業部門「CONCEPT」を川崎市高津区に新設 |
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2013年4月 |
保険、住宅サービスをワンストップで提供する来店型ショップを新ブランド「FIND」として 営業展開を開始 |
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2013年11月 |
東京海上日動あんしん生命保険株式会社と資本提携 |
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2015年3月 |
別府支店を新設 |
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2015年7月 |
鹿児島支店を新設 |
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2015年11月 |
ロサンゼルスの保険ブローカー「Shinseiki Insurance Group, Inc.」の全株式を取得して子会社化し「Agent America, Inc.」に商号変更 飲食事業の展開開始 |
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2016年7月 |
神奈川北支店を新設 |
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2016年9月 |
大分支店を新設 |
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2017年9月 |
子会社 株式会社FINDを設立 |
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2018年1月 |
株式会社FINDへ住宅事業及び飲食事業を吸収分割し、株式会社FINDの全株式を株式会社エージェントホールディングス(創業者の資産管理会社、現:株式会社ザ・ファーストドア)及び株式会社FIND経営陣へ譲渡 Agent America, Inc.の全株式を株式会社エージェントホールディングスへ譲渡 住友生命保険相互会社と資本提携し、同社の持分法適用関連会社となる |
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2018年4月 |
本社を現在の東京都新宿区に移転 東京支店、川崎支店、横須賀支店を新設 |
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2018年11月 |
宮城北支店を新設 |
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2018年12月 |
中津支店を新設 |
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2019年5月 |
春日部支店を新設 |
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2019年9月 |
株式会社保険ショップエージェント(連結子会社)を新規設立 |
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2019年10月 |
横須賀支店を神奈川支店へ統合 |
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2019年11月 |
鹿児島南支店を新設 |
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2020年1月 |
別府支店・大分支店を統合し、別大支店を新設 |
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2020年3月 |
東京海上日動火災保険株式会社と資本提携 東京支店を本社営業部へ統合 株式会社エージェントホールディングスからAgent America, Inc.の全株式を取得して子会社化 |
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2020年7月 2020年9月 |
東京西支店を新設 茨城支店を新設 |
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2021年4月 2021年5月 2021年7月 2021年9月 2021年11月 2021年12月 |
大阪支店を新設 東京北支店を新設 株式会社エージェント・インシュアランス・グループに商号変更 一般社団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)よりプライバシーマークを取得 別大支店 日田支社を新設 Agent America, Inc. にてOrange OfficeをLos Angeles Officeへ統合 |
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年月 |
概要 |
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2022年1月 2022年5月 2022年6月 2022年7月 2022年10月 2022年12月 |
春日部支店を本社営業部 春日部支社として支社化 本社営業部 東京東支社、仙台支店 福島支社を新設 鹿児島南支店を鹿児島支店へ統合 中津支店を別大支店 中津支社として支社化 仙台支店 仙台南支社を新設 名古屋証券取引所メイン市場に株式を上場 |
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2023年2月 2023年5月 2023年10月 2024年1月 2024年2月 2024年4月 |
別大支店 愛媛支社を新設 愛知支店を新設 仙台支店 仙台南支社を仙台支店へ統合 Agent America, Inc. Atlanta Officeを新設 本社営業部 東京東支社を東京東支店として支店化 ファイナンシャル・ジャパン株式会社を子会社化 |
当社グループは、当社及び連結子会社3社(株式会社保険ショップエージェント、Agent America, Inc.、ファイナンシャル・ジャパン株式会社)の計4社より構成されており、個人及び法人のお客様に向けて損害保険・生命保険の販売を行う保険代理店事業を展開し、保険契約の取次からアフターフォロー(保全業務)にいたるまで一貫したサービスを提供しております。
販売地域を基礎とした「国内事業」及び「海外事業」の2つの事業に分類しており、事業の区分は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
(1)グループコンセプト
当社グループは、「お客様の利益創出に最善を尽くす~Doing Our Best On Your Behalf~」を企業理念に掲げ、「企業が売りたい商品・サービス」ではなく、「お客様にとって本当に必要な商品・サービス」を提供することを軸に事業を行っております。「保険の「あんしん」は人で完成する。」というブランドメッセージのもと、お客様が「あんしん」して保険に加入し続けられる社会の実現を目指しております。
当社グループは、常にお客様の声に耳をかたむけ、人々の生活に「あんしん」をもたらす商品・サービスを提供し続けることを使命とし、事業を行ってまいります。
(2)国内事業について
①事業概要
当社及び国内子会社の主な事業内容は、国内の個人及び法人に向けて損害保険・生命保険を販売する保険代理店事業です。保険会社はあらゆる保険商品を作るメーカーとしての役割を担う中、当社及び国内子会社は保険代理店として保険会社が作る数多くの商品から、お客様のニーズにあった商品を第三者の立場で選択し、保険会社に代わって販売する役割を担っております。子会社である株式会社保険ショップエージェントにおいても同様の役割を担っておりますが、九州エリアにおける当社グループのさらなる経営基盤の構築を目的に事業を行っております。
2024年12月31日現在において、当社は合計38社(損害保険会社10社・生命保険会社27社・少額短期保険会社1社)、国内子会社であるファイナンシャル・ジャパン株式会社は合計47社(生命保険会社31社・損害保険会社15社・少額短期保険会社1社)、株式会社保険ショップエージェントは合計13社(損害保険会社4社・生命保険会社9社)の保険会社と保険代理店委託契約を締結しており、個人のお客様に対しては、ライフスタイルやライフプランに応じた保険コンサルティングサービスを、法人のお客様に対しては、財務状況や法人リスクに応じた保険コンサルティングサービスを提供しております。
また、ビジネスモデルとして、保険代理店のM&A及び事業承継を推進しております。経営の存続が難しい中小保険代理店を積極的に受け入れ、「保険代理店支援プラットフォーム」という仕組みを通じて、営業・事務両面からのサポート体制、勉強会の開催、E-Learningを活用した研修支援、FP・AFP資格を持った営業社員による同行支援等を行い、保険業法や各保険会社の規則に則った保険契約更新や募集行為の継続をサポートしております。
当社の取扱保険会社一覧
損害保険(五十音順)
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
AIG損害保険株式会社
スター・インデムニティ・アンド・ライアビリティ・カンパニー
セコム損害保険株式会社
損害保険ジャパン株式会社
Chubb損害保険株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
日新火災海上保険株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
楽天損害保険株式会社
(計10社)
生命保険(五十音順)
アクサ生命保険株式会社
朝日生命保険相互会社
アフラック生命保険株式会社
SBI生命保険株式会社
エヌエヌ生命保険株式会社
FWD生命保険株式会社
オリックス生命保険株式会社
ジブラルタ生命保険株式会社
住友生命保険相互会社
ソニー生命保険株式会社
SOMPOひまわり生命保険株式会社
大樹生命保険株式会社
第一生命保険株式会社
第一フロンティア生命保険株式会社
大同生命保険株式会社
チューリッヒ生命保険株式会社
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
なないろ生命保険株式会社
ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
ネオファースト生命保険株式会社
はなさく生命保険株式会社
マニュライフ生命保険株式会社
三井住友海上あいおい生命保険株式会社
明治安田生命保険相互会社
メットライフ生命保険株式会社
メディケア生命保険株式会社
(計27社)
少額短期保険
株式会社アシロ少額短期保険
(計1社)
国内子会社 ファイナンシャル・ジャパン株式会社の取扱保険会社一覧
損害保険(五十音順)
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
AIG損害保険株式会社
SBI損害保険株式会社
キャピタル損害保険株式会社
スター・インデムニティ・アンド・ライアビリティ・カンパニー
セコム損害保険株式会社
ソニー損害保険株式会社
損害保険ジャパン株式会社
Chubb損害保険株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
日新火災海上保険株式会社
ニューインディア保険会社
現代海上火災保険株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
楽天損害保険株式会社
(計15社)
生命保険(五十音順)
アクサ生命保険株式会社
朝日生命保険相互会社
アフラック生命保険株式会社
イオン・アリアンツ生命保険株式会社
SBI生命保険株式会社
FWD生命保険株式会社
エヌエヌ生命保険株式会社
オリックス生命保険株式会社
ジブラルタ生命保険株式会社
住友生命保険相互会社
ソニー生命保険株式会社
SOMPOひまわり生命保険株式会社
第一生命保険株式会社
第一フロンティア生命保険株式会社
大同生命保険株式会社
T&Dフィナンシャル生命保険株式会社
チューリッヒ生命保険株式会社
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
なないろ生命保険株式会社
ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
ネオファースト生命保険株式会社
はなさく生命保険株式会社
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社
マニュライフ生命保険株式会社
三井住友海上あいおい生命保険株式会社
みどり生命保険株式会社
明治安田生命保険相互会社
メットライフ生命保険株式会社
メディケア生命保険株式会社
楽天生命保険株式会社
(計31社)
少額短期保険
ぜんち共済株式会社 (長岡支社のみの取扱)
(計1社)
国内子会社 株式会社保険ショップエージェントの取扱保険会社一覧
損害保険(五十音順)
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
損害保険ジャパン株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
(計4社)
生命保険(五十音順)
アクサ生命保険株式会社
エヌエヌ生命保険株式会社
FWD生命保険株式会社
ジブラルタ生命保険株式会社
SOMPOひまわり生命保険株式会社
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
三井住友海上あいおい生命保険株式会社
メディケア生命保険株式会社
(計9社)
また、当社グループは日本全国に74ヶ所の拠点を設置しており、訪問営業を主軸としておりますが、近年ではオンラインを活用したご提案も多くなってきております。
当社グループの拠点一覧(2024年12月31日現在)
保険コンサルティングサービスの内容の例は以下のとおりです。
②事業環境
年々縮小傾向にあった生命保険市場規模は、改善傾向にあり、2023年度に43兆円規模へ成長しております。これは、国策の影響でNISAやiDeCo等をはじめ投資に興味を持つ人の割合が増加したことが要因の一つとなっております。また、損害保険市場規模は毎年増加しており、2023年度では9兆円を突破しています。一方、損害保険代理店数は1996年以降大幅に減少し、2024年3月末時点で150,652店であり(一般社団法人 日本損害保険協会 2023年度代理店統計より)、今後も減少し続ける傾向にあると考えております。このように、損害保険代理店業界では、代理店の再編が積極的に行われており、代理店1店当たりの規模の大型化が進んでおります。この背景には保険業法の改正等に伴う体制整備の向上が求められていることで、中小規模の保険代理店の単独での事業運営が困難となっていることがあげられます。
1996年に新保険業法が施行されて以降、金融自由化の流れの中で保険業界における自由競争が進み、保険商品の多様化等が起こりました。一方で、昔ながらの募集方法は変わらず、募集時の不十分な説明や不適切な募集が発生する状況が続いていました。また、2005年に保険金不払い問題が発生し、複数の保険会社に業務改善命令が出されたことをきっかけに、金融審議会等を通じて本質を踏まえた保険募集のあり方が検討されるようになりました。そして、2016年には改正保険業法が施行されて、募集上の基本的なルール、募集管理等について、①情報提供義務、②意向把握義務、③保険募集人(生命保険及び損害保険に係る募集資格を有する者。それぞれ保険募集を行うための試験に合格し、保険会社の商品を募集することを認められた者をいいます。)に対する体制整備義務の3つの義務が導入されました。
結果として、保険募集人には厳格なルールに則った適切な募集行為が求められると同時に、保険代理店は所属する保険募集人に対する管理、指導、教育を徹底することができる体制を整備することが義務付けられました。この改正保険業法に対応するには、保険代理店として、経営管理、コンプライアンス、保険募集管理、顧客情報管理、顧客サポート管理、外部委託先管理、内部監査等の体制が整った組織としての機能が不可欠になります。これは全国の大小様々な保険代理店にとって容易なことではなく、このレベルを満たすことができない代理店が急速に増えました。
また、損害保険代理店数減少を加速させる要因のもう一つに、損害保険業界における保険代理店事業主及び従業員の高齢化の現象があります。一般社団法人 日本損害保険代理業協会が2022年3月に発表した代協正会員実態調査によると、回答者全7,115社(人)のうち、代理店主の年齢が20代であるのは7社(人)しかおらず、60代以上の代理店は2,889社(人)と全体の約41%を占めています。保険代理店主の高齢化は、上述のとおり保険代理店として求められるレベルが高まる現在、深刻な課題であると認識しております。
このような業界背景のもと、当社グループではM&A及び事業承継を推進し、存続が困難である保険代理店及び保険募集人を「パートナー社員」もしくは「勤務型代理店」として受け入れ支援する、「保険代理店支援プラットフォーム」を構築しております。
具体的には、営業・事務両面からのサポート体制、勉強会の開催、E-Learningを活用した研修支援、FP・AFP資格を持った営業社員による同行支援等を通じて、保険業法や各保険会社の規則に則った保険契約更新や募集行為の継続をサポートし、合流した「パートナー社員」もしくは「勤務型代理店」が「あんしん」して働ける環境を創出しております。
その結果として、2024年12月末時点で、累計593件の保険代理店のM&A及び事業承継を行い、当社としての規模も拡大してまいりました。
③保険代理店支援プラットフォーム
当社が展開する「保険代理店支援プラットフォーム」においては、以下の特色があります。
■人事戦略
保険募集人が「パートナー社員」もしくは「勤務型代理店」として合流する方式と、当該保険代理店が管理する保険契約に係る保険代理店としての地位を当社が一括で承継する方式があります。
「パートナー社員」は当社との間で雇用関係にあり、当社のコア社員(正社員、嘱託社員、パートタイマー社員)と同様に当社が取り扱う生命保険商品及び損害保険商品を取り扱うことができます。一方、「勤務型代理店」は保険募集人1名の個人代理店としての登録であるため、生命保険については複数保険会社の取扱いはできず1社のみ、損害保険については保険会社と委託契約書を結ぶことで複数社の商品を取り扱うことができます(保険業法第282条第1項により、原則生命保険募集人は他の生命保険会社から保険募集の委託を受けられないという制限があります。一方、保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして政令で定める場合には例外として複数社取り扱うことを保険業法第282条第3項にて認めており、当社グループはそれに準じています)。「勤務型代理店」は当社との間で雇用関係はないものの、当社が「統括代理店」として、従来は保険会社が担っていた「勤務型代理店」の教育・指導・管理を行います。
「パートナー社員」に対しては、個別の雇用契約に基づいた固定給と、実績に応じた報酬割合に基づく変動給の2種類の報酬を支払います。一方、「勤務型代理店」に対しては、活動実績に応じて保険会社より当社がいただいた代理店手数料をもとに、委託契約書に基づいた報酬割合を支払います。
なお、M&A及び事業承継で受け入れた保険募集人の人数(パートナー社員・勤務型代理店の合計)は、2020年末で240名、2021年末で288名、2022年末で311名、2023年末で345名、2024年末で368名と増加しております。
■サポート内容
「保険代理店支援プラットフォーム」を通じた主なサポート内容は以下のとおりです。
・保険料試算、見積書作成、申込書類作成等の事務全般
・FP・AFP資格取得社員による営業同行等を通じた営業支援
・お客様に対するリスクマネジメントの推進を通じたマーケット開拓サポート
・業務品質向上、法令遵守体制整備を目的としたサポート面談、報告会の実施
・PC・タブレット、保険代理店システム(当社開発)等のシステム提供
・Web面談の推進・実施を通じたDX推進サポート
・部支店勉強会の開催、E-Learning研修等を通じた育成支援
④収益構造
当社及び国内子会社は、損害保険と生命保険のクロスセルを行うことで収益の拡大を促進しております。損害保険の多くは年間契約の1年更新型であることから、契約を獲得した後に更新率を維持することで、継続的で安定した保険料収入が見込めるストック型ビジネスに分類できます。加えて、当社はM&A及び事業承継によりマーケットを拡大していくことで、継続的にお客様も増加しております。また、2024年4月に実施したファイナンシャル・ジャパン株式会社の株式取得により、お客様の数が大幅に増加しております。
お客様の数の推移
一般的に、生命保険は契約初年度手数料が最も大きく、新規の個人・法人のお客様への販売の状況により保険料収入が上下するフロー型ビジネスであることから、新規契約を開拓することが営業の主軸となります。しかし、当社及び国内子会社は損害保険のストック型ビジネスの強みを活かし、生命保険、損害保険の両方、安定的な収益の基盤ができております。また、既存のお客様の契約更新の機会や保全活動の際にお客様が抱えている潜在リスクを見つけ出し、お客様が必要とされるその他損害保険や生命保険へのアップセル・クロスセルも行うことで、更なる収益の拡大を見込むことができます。
取扱保険料の推移
当社の保険代理店支援プラットフォームの好循環成長モデル
⑤事業の特徴
a.保険会社からの高い評価
当社は、各保険会社との取引関係も良好であり、また各保険会社から高い評価を受けておりますが、特に東京海上日動火災保険株式会社においては、認定制度の刷新が行われた2018年度より継続して「TOP QUALITY代理店」制度の最上位ランクに位置する「ロイヤルエクセレント」の認定を受けております。「TOP QUALITY代理店」とは営業成績のみならず、経営理念、組織体制、コンサルティング力、経営の健全性、損害サービス対応力、体制整備、成長性など様々な選考基準をクリアした代理店のみが認定される制度であります。また、同社の「専業代理店年間優績表彰制度」には26年連続入賞を果たし、直近においても損害保険、生命保険・長期第三分野の部(クロスセル部門)では「最優績」の認定を受けております。以上のとおり、当社グループが保険代理店として各保険会社から高い評価を受けていることにより、経営の存続が難しい保険代理店のM&A及び事業承継案件や、事業会社や金融機関との提携案件を保険会社等より多数紹介いただいております。
b.ストック型、フロー型の収益構造
当社グループの国内事業においては、生命保険販売手数料が56.3%、損害保険販売手数料が43.7%となっており、サブスクリプションライクな損害保険で安定的な収入基盤を確保し、フロー型ビジネスの生命保険で事業拡大の底上げを図る構造となっております。
c.支社展開によるローコストオペレーション
当社グループでは、全国に拠点を展開する上で支店の他に支社も展開しております。支店に付属する形式で支社を展開することで、母体である支店のサテライトオフィスとして、支店よりも少ない人員によるローコストでのオペレーションが可能となりました。2024年12月31日現在、国内74拠点のうち52拠点が支社であります。今後もマーケット規模や人員体制に応じて支社形式での拠点展開を行い、効率的、合理的なオペレーション体制を目指してまいります。
d.人財育成への取組み
当社では、お客様に最適な保険サービスを提供できる人財の採用・育成にも取り組んでおります。中途採用のみならず、毎年定期的な新卒採用も行い次世代の保険代理店事業を担う人財の確保に努めております。新入社員研修など、入社後の研修も充実しております。2024年度新入社員研修では、約1ヶ月にわたる研修期間にて、企業理念や保険商品、マナーなど幅広い知識の習得に加えて、実際の営業現場にオンライン上で同行するなどの実践研修も実施しました。
M&A及び事業承継で合流した「パートナー社員」並びに「勤務型代理店」の育成も行っております。「パートナー社員」並びに「勤務型代理店」の方々に向けて、勉強会の開催のほか、E-Learningを活用した研修支援等で継続的にサポートしております。また、社内横断型プロジェクト「Project of Partner(PJP)」では、「パートナー社員」「勤務型代理店」の方を「業務品質」と「営業推進」の2軸で支援しており、当社の収益の多くを占める「パートナー社員」「勤務型代理店」のマーケットの深耕にも寄与しております。
(3)海外事業について
当社連結子会社であるAgent America, Inc.は世界最大の保険マーケットである米国に4つの拠点(カリフォルニア州に2拠点、テキサス州に1拠点、アトランタに1拠点)を構え、日系企業、米国駐在員のお客様を中心に保険代理店及び保険ブローカー事業を行っております(海外事業営業収益:327百万円、経常利益31百万円(2024年12月期))。
米国では、各州で固有の法律において、保険事業を行う上で州ごとにライセンスを取得しなければならない中、Agent America, Inc.は50州中38州(他1特別区)で保険販売を行うことができる強みがあります。そのため、州をまたぐビジネスを行うお客様のニーズにも対応することが可能です。
米国における当社グループのライセンス取得州(2024年12月31日現在)
なお、海外事業においては、損害保険による手数料収入が海外事業全体の収入のうち87.7%を占めております(2024年12月期実績)。海外事業においてはストック型ビジネスの収益構造であり、契約更新率を高く維持することによる継続的な手数料収入を見込むことができます。
また、米国における日系保険代理店においても保険ブローカーの高齢化及び後継人不足が課題となっており、M&A
及び事業承継のビジネスモデルを展開開始しております。具体的には、対象とする保険ブローカーと完全歩合制の独立請負人契約を結ぶことで(当社グループでは「External Producer」と称しています。2024年12月31日現在、該当者1名)、個人及び法人のお客様へ様々な保険コンサルティングサービスを提供・支援しております。
[事業系統図]
当社グループの事業系統図は次のとおりであります。
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名称 |
住所 |
資本金 (千円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
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(連結子会社) ファイナンシャル・ジャパン株式会社 (注)2、3 |
東京都千代田区 |
30,000 |
保険代理店事業 |
100 |
役員の兼任、従業員の兼務・出向等 経営指導、債務保証 |
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(連結子会社) 株式会社保険ショップエージェント
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熊本県熊本市 |
10,000 |
保険代理店事業 |
100 |
役員の兼任、従業員の兼務・出向等 経営指導 経営管理、運営管理に係る業務委託契約 |
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(連結子会社) Agent America, Inc.
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米国 カリフォルニア州 |
2千US$ |
保険ブローカー事業 |
100 |
役員の兼任、従業員の兼務・出向等 経営指導 |
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(その他の関係会社) 住友生命保険相互会社
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大阪府大阪市 |
689,000,000 |
生命保険事業 |
被所有 34.09 |
重要事項の報告に関する経営管理契約 |
(注)1.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2.ファイナンシャル・ジャパン株式会社は特定子会社に該当しております。
3.ファイナンシャル・ジャパン株式会社については、営業収益(連結相互間の内部営業収益を除く)の連結営業収益に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 ① 営業収益 4,331,899千円
② 経常利益 18,195千円
③ 当期純利益 2,345千円
④ 純資産額 207,625千円
⑤ 総資産額 2,285,724千円
4.住友生命保険相互会社については、基金及び基金償却積立金の合計値を記載しています。
(1)連結会社の状況
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2024年12月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
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国内事業 |
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( |
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海外事業 |
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( |
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合計 |
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( |
(注)従業員数は就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。委任型・雇用型の執行役員を含む)であり、臨時雇用者数(嘱託社員、パートタイマー社員、パートナー社員、契約社員)は年間の平均人員を( )に外数で記載しております。
(2)提出会社の状況
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2024年12月31日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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( |
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(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。委任型・雇用型の執行役員を含む)であり、臨時雇用者数(嘱託社員、パートタイマー社員、パートナー社員)は年間の平均人員を( )に外数で記載しております。
2.平均年間給与は、時間外賃金及び各種手当を含んでおります。
3.平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与には社外から当社への出向者及び臨時雇用者(嘱託社員、パートタイマー社員、パートナー社員)を含んでおりません。
4.当社の事業は国内事業のみであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(3)労働組合の状況
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
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当事業年度 |
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会社名 |
管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)2 |
男性労働者の育児休業取得率 (%) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)2 |
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全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
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㈱エージェント・インシュアランス・グループ |
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ファイナンシャル・ジャパン㈱ |
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(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象である当社及びファイナンシャル・ジャパン株式会社の状況を記載しております。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。