文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。
当グループは、印字記録媒体、事務用消耗品等のメーカーとして「技術力と行動力で顧客の満足を得て国際社会に貢献し充実発展する」を基本理念としております。人間性の尊重、合理性の追求を柱とし、新技術に対する挑戦を通じて、独創的なアイデアを製品化し世に広めていくことで社会に貢献することを目指しております。
当グループは、新製品開発と既存事業の拡充により利益ならびに売上高を極大化することを経営方針の一つとしております。これらを反映する売上高および営業利益に加え、自己資本利益率(ROE)を主な経営指標とし、継続的な向上に努めております。
① 2024年12月期の業績について
当グループでは、経営環境がますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されるなか、それまでの中期経営計画の取り組みにおいて積み上げてきた成果を糧としつつ、持続的かつ飛躍的な成長を目指すという思いを込めて、2023年12月期から2025年12月期まで3ヶ年の中期経営計画を策定しました。
しかしながら、後記24ページ「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、販売面では新規取引先の開拓や既存取引先のシェアアップ・掘り起こしなどに注力しましたが、中国・欧州市場での低迷が顕著となり、力強さに欠ける状況が続きました。また、生産面では長期間におよぶ円安の影響も相俟って原材料・燃料価格の上昇・高止まりの影響などを受け厳しい状況が継続しました。その結果、2024年12月期の業績は、前年度対比で改善したものの、若干ながら営業赤字を計上するなど、厳しい結果となりました。
主たる製品群における売上高の主な増減要因は下表のとおりであります。
・製品群別売上高(2024年12月期と2023年12月期との比較)
(注1)「TTM」はサーマルトランスファーメディアの略称。以下同じ。
(注2)プラスチック成形は、子会社エフシー ベトナム コーポレーションにて事業展開。
・連結経営指標 推移
(注3)エクイティスプレッド=ROE-株主資本コスト(CAPM)
なお、株主資本コスト(CAPM)=リスクフリーレート+β(ベータ値)×リスクプレミアム
② 当社NEW VISIONについて
2024年12月期の結果を受け、これまでの考えを変え考動していくため、社員から「フジコピアンとして将来こうありたい、こうなりたい」という視点でのアイデアを募り、長期ビジョンの見直しを行いました。経済環境がますます先行き不透明に変化するなか、当社を取り巻く環境や市場ニーズは変化します。この環境変化にも柔軟にかつ敏速に対応するため、新たな気づきや新規ビジネスの足掛かりとなる取り組みとして「ありたい姿・志」を設定しました。
当社 NEW VISION
“コンバーティング技術”とは、「処方設計技術」「ブレンド技術」「塗工/表面処理技術」「加工技術」
“コア技術”とは、「接着・粘着・吸着」と「剥離」というトレードオフとなる機能を一つの製品の中でバランスよく両立する界面制御技術
コンバーティング技術とこれまで培ってきたコア技術を掛け合わせ、コピアンパッション(情熱+協力+挑戦)とコピアンプライド(プロフェッショナルであることに誇りを持ち、とことん楽しみながら“ものづくり”にチャレンジすること)でさらに磨き上げていく。
そして、社員同士、お客様、関係するすべての人と技術をつなぎ合わせることで新たな価値を共に創り、より良い未来へと塗りかえたいという願いが込められています。
2025年12月期につきましては、有望な「開発チャレンジテーマ」へ集中的にリソースを投入することによる早期立ち上げを推進いたします。加えて、機能性フィルムを「第三の柱」とすべく、コンサルタント等を活用し現在の開発テーマ以外の用途展開を図り、売上の拡大に繋げてまいります。
また、「コアビジネス」においても、従来積極的に販売展開してこなかった製品の掘り起こしに加え、TTM、テープ類分野での環境対応にかかる製品の提案を行うなど、「顧客基盤の強化」、「顧客満足度の向上」に注力することにより、トップラインの売上高を向上させ利益の回復・拡大を図ります。
④ 中期経営計画における重点課題の取り組み状況
中期経営計画の4つの重点課題にかかる取り組み状況は下表のとおりであります。
イ.新製品・新規事業の開発
ロ.ものづくり力・生産性の強化
ハ.人財育成
ニ.カーボンニュートラルへの取り組み
(注4)Scope1:自社での燃料の燃焼などによる直接排出
Scope2:他社から供給された電力・熱・蒸気の使用による間接排出
Scope3:Scope2以外の間接排出(自社事業の活動に関連する他社の排出)
⑤ サステナビリティに関する課題への取り組みについて
当社では、サステナビリティに関する課題として、「気候変動問題への対応」、「人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)」および「知的財産への投資について」の3点に重要性(マテリアリティ)を置き、優先的に取り組んでおります。
イ.気候変動問題への対応
・課題の概要、取り組み実績および今後の課題については、前記14ページ「ニ.カーボンニュートラルへの取り組み」に記載のとおりです。
なお、2019年度から2024年度までの日本国内拠点におけるScope1、Scope2にかかるCO2排出量の推移は後記のとおりです。
工場における生産量に応じて変動する面はありますが、前記の取り組みによりCO2削減に努めてまいります。
・日本国内拠点におけるScope1およびScope2のCO2排出量実績推移(注5)
(注5)電力会社における年度の排出係数の公表時期が翌年の夏ごろとなるため、2023年度までは実績値を記載。2024年度は2023年の排出係数を使用した予測値を記載。
(注6)Scope2におけるマーケット基準:各拠点の契約電力会社の排出係数を用いて算定。
Scope2におけるロケーション基準:全国平均係数を用いて算定。
ロ.人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)
・課題の概要、取り組み実績および今後の課題については、前記13ページ「ハ.人財育成」に記載のとおりです。
ハ.知的財産への投資について
・当社は1950年の創立以来、画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓き、「開発志向型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。
・従いまして、当社にとって知的財産は何ものにも代えがたい重要な資産であります。
・現在、原則2ヶ月に1度、関係取締役・執行役員による「特許出願審査委員会」を開催しており、
新たな開発技術について特許出願の是非を議論したうえで特許を出願しております。
・その結果、この10年間、国内外の特許保有件数は常に200件程度をキープしており、研究開発費はもちろんのこと、特許につきましても相応の出願・維持コストをかけるなど、知的財産への投資を続けております。
今後も、質の高い特許を数多く出願できるよう開発技術力の向上に努めてまいります。
・当社における国内外の特許保有件数推移(単位:件)
経営環境につきましては、ウクライナや中東情勢等の長期化による資源化価格の高止まり、欧州や中国の景気減速懸念、米国での保護主義政策を掲げる第2次トランプ政権の発足など、国内外のいずれの環境とも、ますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されます。
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題につきましては、国内外の拠点を活用して、特長ある付加価値の高い新製品を積極的に市場投入していくほか、既存製品のコストダウン実現によるシェアアップなどにより、販売拡大を図るとともに、収益を確保するべく、「(3) 中長期的な会社の経営戦略」にも掲げております重点課題に優先的に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、サステナビリティに関する課題のうち、「気候変動問題への対応」、「人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)」および「知的財産への投資について」の3点に重要性(マテリアリティ)を置き、優先的に取り組んでおります。
① 気候変動問題への対応
前記14ページ「
② 人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)
「人財育成検討会」において、代表取締役以下の取締役・執行役員が、次世代役員候補者および次世代管理職候補者にかかる育成方針について、年1回以上、議論・検討しております。
また、半期ごとに、中期経営計画の重点課題である「人財育成」として、取締役会に進捗状況と今後の課題やリスクについて報告のうえ議論しております。
③ 知的財産への投資について
原則2ヶ月に1度、代表取締役ほか関係取締役・執行役員による「特許出願審査委員会」を開催しており、新たな開発技術について特許出願の是非を議論したうえで特許を出願しております。
① 気候変動問題への対応
イ.戦略
全社方針として「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げ、2030年度のCO2排出量削減目標の達成に向けた課題として以下の(イ)~(へ)の取り組みや検討を行っております。
目標の削減対象範囲および排出対象を日本国内拠点(国内子会社を含む)におけるScope1、Scope2としていることから、まずは当社グループ最大の生産拠点である岡山工場での対応を中心として(イ)~(ニ)の取り組みを進めておりますが、並行的に、海外での生産拠点であるエフシー ベトナム コーポレーション(FCVN)での対応、および日本国内拠点におけるScope3にかかる対応として(ホ)~(ヘ)の取り組みも進めております。具体的な進捗状況は前記14ページ「
〔取り組み課題〕
(イ)岡山工場におけるLNGの優先使用
(ロ)岡山工場における高効率設備の導入
(ハ)各拠点における省電力機器・照明などの導入
(ニ)再生可能エネルギー導入の検討
(ホ)FCVNにおけるScope1、Scope2の削減
(ヘ)Scope3の算定および削減(日本国内拠点)
ロ.指標・目標
CO2排出量の削減目標につきましては、前記14ページ「
また、2019年度から2024年度までの日本国内拠点におけるScope1、Scope2にかかるCO2排出量の推移は前記15ページ「
売上高、ひいては工場における生産量に応じて変動する面はありますが、前記の課題への取り組みによりCO2削減に努めてまいります。
② 人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)
イ.戦略
本項目につきましては、中期経営計画の重点課題の一つである「人財育成」として取り組んでおります。
人財の育成に関する方針として「フォロワーシップ」を、社内環境整備に関する方針として「エンゲージメント」(注)を基本的考え方の2本柱としており、その考え方に則り、「中期経営方針 2023~2025」において、「自らが経営者目線で考え、チャレンジする人財の育成」を掲げるなど、「人財育成」を当社の中長期的成長と持続的な企業価値向上の要諦と位置づけております。
(注)フォロワーシップ
「部下が行う上司・リーダーへの支援姿勢・支援行動」から発展して、「所属する組織の目標達成に向けて主体的・能動的に行動し、影響力を及ぼすプロセス」をいう。当社では、高い提言力と高い率先力を兼ね備えた「模範的フォロワー」を「求める人財像」と位置づけている。
エンゲージメント
従業員は会社の成長のためにスキルや知識等を会社に投資し、会社は従業員に対して能力発揮と自己成長の機会を提供するという関係性に基づく、個人と会社の絆。
さらに、当社は、「フジコピアン ダイバーシティポリシー」において、「当社グループは、性別、年齢、人種・国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条などに関係なく、多様な人財がそれぞれの個性と能力を最大限発揮して自己成長できる機会を提供することにより、企業としての持続的成長やイノベーション創出による企業価値向上の実現を目指してまいります。」としており、人財の多様性(ダイバーシティ)を経営戦略の一つとして位置づけ、社内環境整備に関する方針に加えております。
働きやすい職場環境づくりの具体的な実績として、当社各拠点における子育て世代の女性たちへのヒアリング(座談会形式を含む)を通して、その要請を吸い上げ、「子の看護休暇」の上限日数を引き上げ(介護休暇も同じ)、「子の看護休暇」および「育児短時間勤務」における子の対象年齢を拡大するなど要件を緩和しております。
以上の考え方にもとづき、以下の(イ)~(ハ)の課題の取り組みや検討を行っております。具体的な進捗状況は前記13ページ「
〔取り組み課題〕
(イ)既往人事制度のモニタリング、PDCA機能発揮による高度化
・チャレンジする人財の育成とその風土の醸成
→ チャレンジを評価する人事評価制度の運用、管理職へのコーチング研修の実施とその充実(部下の主体的な考えを引き出す目的)
・処遇関係の見直し
・新卒採用、経験者採用の強化、非正規社員から正社員への積極登用
・中核人財の育成
→「人財育成検討会」における個別育成方針・登用方針の実行など
・女性活躍推進
→ 女性活躍推進法における目標達成に向けた取り組み、「人財育成検討会」における女性の個別育成方針・登用方針の実行など
(ロ)従業員エンゲージメントを高めるための施策
・従業員エンゲージメント水準の調査の実施と分析
・健康経営への取り組み
(ハ)経営課題(サステナビリティ)としての「人的資本」への投資
・自己啓発支援制度の利用推進(一定の範囲内で全額会社負担)
・当社独自のKPI(指標)の設定と具体的取り組み
ロ.指標・目標
現在のところ、人財の育成に関する方針と社内環境整備に関する方針について定量化された指標・目標は、下表のとおり人財の多様性に関するものに留まっております。(女性活躍推進法における目標に関する詳細は
一方で、2024年5月に、シンクタンクのコンサルティングを受けて従業員エンゲージメント調査を実施しております。その結果による従業員の目線も踏まえ、人的資本投資にかかるKPIとしてワークエンゲージメント(仕事に対する活力、熱意、没頭)の評点(平均点)4点以上(7点満点)としました。(2024年5月調査結果3.53点)
〔人財の多様性に関する指標・目標と実績〕(実績はいずれも2024年12月31日現在)
③ 知的財産への投資について
イ.戦略
当社は1950年の創立以来、画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓き、「開発志向型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。
従いまして、当社にとって知的財産は何ものにも代えがたい資産であります。
現在、以下のとおり、中期経営計画における重点課題「新製品・新規事業の開発」において、足元の新製品開発を通じた技術力強化、知的財産権等にかかる人財育成および将来も見据えた要素技術の拡充に取り組むなど開発技術力の向上を図っております。
なお、各課題の進捗状況は前記12ページ「
〔取り組み課題〕
(イ)新製品(開発チャレンジテーマ)を通じた開発技術力の強化
(ロ)開発技術調査能力の向上(若手開発者の人財育成)
・知財研修の実施、出願アイデア検討会の実施、技術勉強会の実施など
(ハ)要素技術の拡充
・産学連携(京都工芸繊維大学など大学3校)など
ロ.指標・目標
前記15ページ「
引き続き、200件程度の特許件数を維持するとともに、質の高い特許を数多く出願できるよう開発技術力の向上に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
また、以下のリスクに関する記載は、当グループに関するリスクのすべてを網羅しているものではございません。
当社は、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して的確な管理および対応を行うため「リスク管理規程」を制定しております。また、「リスクマネジメント委員会」を設置し、リスクの早期発見に努めるとともに、対応策を準備する一方、緊急時の対応を迅速に取ることができる体制を整えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
当グループの連結売上高に占める海外売上高比率は約3割であり、一定の重要性があるため、為替変動により当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当グループの製品は石油化学製品などを広く使用しており、これらは市場の状況により価格が変動するため、特に長期化するウクライナおよび中東情勢などの国際的な紛争が発生した場合、原材料価格やエネルギーコストが高騰するリスクがあります。これらの価格高騰により当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当グループは為替変動については為替予約および外貨建債権債務の両建てなどによるリスクヘッジを行っております。原材料価格の変動については調達先の複数化、分散化やグローバル化等によりサプライチェーンの強化を図ること、原材料の見直しや工程内ロスの削減、設備投資による生産性の向上を図るなどの対策を行っております。また、エネルギーコストの高騰に対して、岡山工場における高効率設備や全拠点における省電力機器・照明の導入などの対策を行い、リスク回避に努めております。
当グループの一部の事業については、競合他社の取扱う商品との差別化が困難であり各製品市場および地域市場における競争の激化が予想されます。価格競争が当グループの予想を超えて販売価格の下落をまねく可能性もあり、売上高の減少や単位当たりの利益および利益率の低下など、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当グループは技術力を活かした新製品の開発や独自のサービスによる差別化と競争力の向上を図っております。
当グループは、北米、欧州、アジアなどにおいて事業展開を図っております。これらの地域における予期しない法律または規制の変更、政治または経済要因の変動、テロや戦争などによる国際社会の混乱により材料の調達、製品の安定的供給に支障をきたし、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当グループは在外子会社や現地の専門家などから、迅速に正確な情報収集に努めることにしております。
当グループの生産活動は効率性の観点から、岡山工場を中核工場として主要な生産設備を集中させております。このため、岡山工場に自然災害その他による不測の事故などが発生した場合には、当グループの生産活動全体が制約を受け、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当グループは事業継続計画(BCP)の策定や訓練などにより被害を最小限に回避できるよう対策を講じております。
当グループは、新型コロナウイルス感染症等、大規模な感染症の流行により、経済活動が制限され、サプライチェーンの分断、工場の生産停止、急激な需要の減少等が発生した場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当グループでは、感染拡大防止への対策として、マスク、消毒液等必要な感染拡大防止用品の備蓄や、時差出勤、在宅勤務等の実施、リモートワークツール等の積極的な活用により、業務を継続できる環境を確保しております。
(6) 法的リスクについて
当グループは、事業の特性上、環境、化学物質、安全衛生などの法規制を受けております。昨今の環境問題などに対する意識の高まりなどから、各種規制はますます強まる傾向にあり、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当グループはこれら法規制に対し、規制を順守するとともに、ISO14001の認証を取得するなど環境に配慮した事業活動に取り組んでおります。
当グループは事業戦略上重要な製品または技術に関しては、知的財産権を取得しておりますが、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟の提起、あるいは当グループが所有する知的財産を第三者に侵害される可能性があり、このような場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当グループでは、開発および製品化に際して、新たに第三者の知的財産権を侵害しないように特許事務所を通じて特許調査を随時行っております。
当グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報および機密情報を入手することがあり、また、当グループ自身の経営上、技術上の機密情報を有しております。サイバー攻撃や不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入などにより、万一、これらの情報が流出した場合や、重要なデータの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、事業活動の停止や、当グループの社会的信用が失墜すること等により、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当グループでは、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報管理に関する規程の整備・充実や訓練を通じた従業員等への周知、徹底、また、ウイルス撃退ソフトを最新のものに適宜更新するなど、情報セキュリティを強化しております。
(9) 資金調達について
当グループは、金融機関からの借入により資金調達を行っておりますが、金融市場環境に変化があった場合、当グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当グループの業績悪化等により、資金調達コストが上昇した場合、当グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当グループは緊急時の流動性確保に備えて、取引金融機関との間に借入枠を確保するとともに、有利子負債の削減を中心に財務体質の強化に努めております。
当グループの従業員退職給付費用および債務は、主として、割引率、長期期待運用収益率等数理計算上で設定される前提条件にもとづいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なり、割引率や運用利回りの変動は、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当グループは退職給付債務や運用状況などの定期的なモニタリングに努めております。
当グループは、主に岡山工場の生産性向上のため、設備投資を継続的に行っており、多額の固定資産を保有しております。固定資産減損会計の適用にともない、固定資産について時価の著しい下落や事業の収益性低下により、投資額の回収が見込めないと判断された場合、将来の収益計画等に関する予測にもとづき、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額する固定資産の減損処理が必要になります。減損損失が発生した場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復、企業の堅調な設備投資を背景に緩やかな回復基調となり、日銀は政策金利の引き上げを実施しました。一方で、ウクライナ情勢や中東情勢の長期化を受けて原材料・エネルギーコストが高止まるなか、欧州や中国などを中心に全般的に需要回復が停滞し、景気減速の懸念が強まっていることに加え、米国では保護主義政策を掲げる第2次トランプ政権が発足する影響など先行きは不透明な状況となっております。
このような状況のもと、当グループの強みである、創造型企業としての技術をもとに、新製品の開発および市場の開拓を重点課題とし、多様化・高度化する顧客のニーズに対応する開発に努めてまいりました。
当連結会計年度における販売面につきましては、中期経営計画における重点課題「新製品・新規事業の開発」に注力するなかで、主力のサーマルトランスファーメディアでは受注が増加する分野も増えてきており、テープ類では国内市場での需要回復の動きがみられましたが、中国市場での低迷が顕著となり、力強さの欠ける状況が続きました。
また、生産面では、「ものづくり力・生産性の強化」を目指し、グループ全体でのコスト削減を推進し、収益改善に取り組んでまいりましたが、原燃料価格の高止まりの影響などもあり、厳しい状況が続きました。
この結果、連結売上高は、89億8千4百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
利益面におきましては、グループを挙げた生産の効率化や販売費及び一般管理費の聖域なき削減に努めるなどコスト削減に取り組んでまいりましたが、営業損失は1千5百万円(前年同期 営業損失7億7千4百万円)となり、経常利益は9千4百万円(前年同期 経常損失6億6千8百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券の売却益や法人税等の計上などにより、3億9千7百万円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純損失8億5千6百万円)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を除いた売上高で表示しております。
印字記録媒体および事務用消耗品関連事業は、売上高86億1千6百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益(売上総利益)は20億4千2百万円(前年同期比71.7%増)となりました。
プラスチック成形関連事業は、売上高3億6千7百万円(前年同期比37.6%減)、セグメント利益(売上総利益)は6千4百万円(前年同期比62.5%減)となりました
また、財政状態については次のとおりです。
当連結会計年度末の総資産は、164億4千2百万円(前連結会計年度末比1.7%増)と、前連結会計年度末に比べ2億7千7百万円の増加となりました。これは、主に受取手形及び売掛金と電子記録債権の増加などによるものであります。
負債は、58億7千6百万円(前連結会計年度末比1.0%増)と、前連結会計年度末に比べ5千5百万円の増加となりました。これは、主に電子記録債務の増加などによるものであります。
純資産は、105億6千5百万円(前連結会計年度末比2.1%増)と、前連結会計年度末に比べ2億2千2百万円の増加となりました。これは、主に利益剰余金の増加などによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、期首残高に比べ3億7千6百万円減少し、28億5千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより、2億9千9百万円の収入となり、前年同期比では3億4千6百万円の収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、2億4千8百万円の支出となり、前年同期比では5億3千万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより、4億2千2百万円の支出となり、前年同期比では1億5千4百万円の支出の増加となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当グループでは、経営環境がますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されるなか、それまでの中期経営計画の取り組みにおいて積み上げてきた成果を糧としつつ、持続的かつ飛躍的な成長を目指すという思いを込めて、2023年12月期から2025年12月期までの中期経営計画を策定し、新たなスタートを切りました。この計画目標を達成するべく、重点経営課題として、「新製品・新規事業の開発」、「ものづくり力・生産性の強化」、「人財育成」および「カーボンニュートラルへの取り組み」の4つに取り組みました。
しかしながら、前記24ページ「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、国内外の経済環境に加え、原燃料価格が高止まりするなど、2024年12月期は前年度対比では改善したものの、若干ながら営業赤字を計上する結果となりました。
こうした状況のもと、当グループの強みである創造型企業としての技術基盤をもとに、新製品の開発および新市場の開拓を重点課題とし、多様化・高度化する顧客のニーズに対応する開発に努めてまいりました。なお、研究開発費の総額は4億2千3百万円と前年同期に比べて3百万円減少となりましたが、引き続き将来の成長に向けた投資を継続してまいります。
前記11ページ「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略③2025年12月期について」に記載のとおり、中期経営計画の重点課題「新製品・新規事業の開発」の主要分野である「開発チャレンジテーマ」について、2024年12月期は前年度比売上高を伸ばしておりますが、一部立ち上げ遅れのテーマがありました。
また、「コアビジネス」において、一部大手取引先の販売の伸び悩みにより取引先の在庫調整が長期化し、売上高や利益に影響しました。
2025年12月期につきましては、有望な「開発チャレンジテーマ」へ集中的にリソースを投入することによる早期立ち上げを推進いたします。加えて、機能性フィルムを「第三の柱」とすべく、コンサルタント等を活用し現在の開発テーマ以外の用途展開を図り、売上の拡大に繋げてまいります。
また、「コアビジネス」においても、従来積極的に販売展開してこなかった製品の掘り起こしに加え、TTM、テープ類分野での環境対応にかかる製品の提案を行うことなど、「顧客基盤の強化」、「顧客満足度の向上」に注力することにより、トップラインの売上高を向上させ利益の回復・拡大を図ります。
2025年12月期の連結業績目標としましては、連結売上高91億円、連結営業利益8千万円としております。
次に、当連結会計年度における当グループの経営成績の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の売上高は、89億8千4百万円(前年同期比9.2%増)と、前連結会計年度に比べ7億5千9百万円の増収となりました。これは主として、主力製品を中心に販売が増加したことによるものであります。
印字記録媒体および事務用消耗品関連事業は、売上高86億1千6百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益(売上総利益)は20億4千2百万円(前年同期比71.7%増)となりました。
品目別売上高としましては、サーマルトランスファーメディアは、販売分野ごとに好不調があるものの主力のバーコード用リボンを中心に拡販に努めました結果、概ね底堅く推移し、51億7千4百万円(前年同期比7.8%増)となりました。
インパクトリボンは、市場の縮小傾向が続くなか、選択と集中にもとづく営業活動を展開し、7億3千8百万円(前年同期比11.0%増)となりました。
テープ類は、中国市場での景気低迷に伴う個人消費の落ち込みの影響などが見られましたが、新規取引先の開拓や既存取引先シェアアップに努め、在庫調整の影響が長引いていた国内取引先の受注回復の動きもあり、20億4千3百万円(前年同期比29.9%増)となりました。
機能性フィルムは、新規開発品の立ち上げ遅れと欧州を中心とした自動車生産調整に伴う車載用販売回復の足取りが依然として重いものの、半導体関連製品に対する需要増加および既存顧客の掘り起こしにより、3億7千万円(前年同期比15.0%増)となりました。
その他は、2億8千9百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
プラスチック成形関連事業は、長引く円安を背景として日系企業を中心とする取引先各社の需要の落ち込みから、売上高3億6千7百万円(前年同期比37.6%減)、セグメント利益(売上総利益)は6千4百万円(前年同期比62.5%減)となりました。
売上原価は、生産面において、グループを挙げた生産の効率化によるコスト削減に取り組んでまいりました。その結果、68億7千7百万円(前年同期比0.2%増)と、前連結会計年度に比べ1千2百万円の増加となりました。
販売費及び一般管理費は、21億2千1百万円(前年同期比0.6%減)と、前連結会計年度に比べ1千1百万円の減少となりました。
営業損失は、売上高の増加などの結果、1千5百万円(前年同期は営業損失7億7千4百万円)となりました。
営業外損益は、前年同期に比べ受取配当金が増加したことなどにより1億9百万円の利益(純額)となり、前連結会計年度に比べ4百万円の増加となりました。
この結果、経常利益は9千4百万円(前年同期は経常損失6億6千8百万円)となりました。
特別損益は、投資有価証券売却益および受取保険金の計上により、3億6千3百万円の利益(純額)となり、前連結会計年度に比べ4億6千7百万円の利益の増加となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は4億5千7百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失7億7千2百万円)となりました。
法人税等(法人税等調整額を含む)は6千万円と、前連結会計年度に比べ2千3百万円の減少となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益3億9千7百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失8億5千6百万円)となりました。
当グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、次のとおりです。
営業活動による資金の増加は、税金等調整前当期純利益の計上などによるものです。
投資活動による資金の減少は、有形固定資産の取得による支出などによるものです。
財務活動による資金の減少は、長期借入金の返済などによるものです。
これらの影響により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、期首残高に比べ3億7千6百万円減少し、28億5千7百万円となりました。
当グループにおける運転資金需要の主なものは、製品を製造するための原材料および部品の購入のほか、製造費用や販売費及び一般管理費(研究開発費を含みます。)の営業費用によるものです。また、当グループの投資資金需要の主なものは、国内の製造拠点である岡山工場での生産性向上のための設備投資であります。
また、株主への配当金については、将来の成長に必要なキャッシュ・フローや内部留保等を勘案しつつ、経営成績に応じ安定した配当を実施し、株主還元の一層の強化により企業価値の向上を図るため、2024年12月期決算にかかる配当より、連結配当性向30%以上、ただし、配当の下限を連結DOE(株主資本配当率)1.0%とすることを基本方針としております。
続いて、当グループの資金調達は、主として営業活動によるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入となります。
流動性につきましては、ウクライナや中東情勢の長期化等により先行きが不透明な中、不測の事態に備え、金融機関からの長期借入金を行うなど、事業活動を行う上で十分な運転資金を有するとともに、金融機関からの借入金につきましては、引き続き今後の成長に必要となる資金を適切に調達することが可能であると考えております。また、緊急時の流動性確保に備えて、金融機関との間に借入枠を確保しており、機動的な資金調達に備えております。
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって見積りが必要な事項につきましては合理的な基準にもとづき会計上の見積りを行っております。当グループは、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
(1) 当グループの研究開発は、コア技術である処方設計・精密塗工・転写技術を強化し、顧客の企画に最も適した機能性材料の開発を共同して行うことおよび当グループ独自の企画・開発による機能性材料を提案することを基本としております。
熱転写分野において、印字の高速化・高感度化・高堅牢化を目指し、印字条件の研究や各種リボンの開発を行っております。とりわけバーコードや軽包装の印字に用いられるリボンは市場からのニーズも大きく、積極的に開発を行っております。また、金属等の機能性材料を転写することが可能な熱転写技術の特長を生かし、産業用途へのオンデマンド印刷システムの提案およびそれに使用する各種機能を有するリボン等の開発を行っております。
文具分野では、修正テープ、テープのりのさらなる高品質化を推進するとともに、市場ニーズに合わせた新製品の企画提案を行っております。また、本分野で培った粘着剤技術を利用し、その高機能化や各種基材との組み合わせにより工業用粘着フィルムをはじめとする製品の各種産業分野への応用展開を推進しております。
その他分野では、機能性フィルムを統一ブランドである「FIXFILM」として展開し、特長ある付加価値の高い製品を開発推進しており、各種産業向けに生産工程内のプロセスで使用される消耗品分野をはじめとする様々な独自製品の開発を行っております。また、注目されている環境・エネルギー分野やエレクトロニクス分野へも当社のコア技術を活かした受託塗工を含めて積極的に展開し、開発を推進しております。
このほか、新たな事業を生み出す市場創造型の製品づくりのため、各大学と新素材に関する共同研究も行っております。
なお、当連結会計年度の主な研究開発は、次のとおりであります。
<サーマルトランスファーメディア>
高品質なバーコード用、軽包装用、およびラベル用リボンの開発
装飾性の高い印字が可能なシステム提案およびリボンの開発
環境配慮型リボンの開発
熱転写技術の新たな用途展開
<テープ類>
環境配慮型修正テープの開発
強粘着テープのりの開発
<機能性フィルム「FIXFILM」>
粘着・接着機能や光学機能を有する材料の開発
ディスプレイや各種産業分野に使用される各種機能を有するフィルムおよびシートの開発
機能性フィルムの統一ブランドである「FIXFILM」として、各種機能を付与した製品の開発
生産工程内のプロセスで使用される消耗品フィルムの開発
各種機能を有する材料を転写するフィルムおよびシートの開発
(2) 当連結会計年度の研究開発費は、