第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの経営理念

 当社グループは「金融を通じて社会に貢献する企業でありつづける」を経営理念として掲げております。金融力を活用して、日本経済を支える中堅・中小企業の秘めた潜在力を引き出し、事業継続のサポートを行ってまいります。

 経営理念の実現に向けて、ステークホルダー(利害関係者)に対して下記のように取り組んでおります。

株主様へ

確実かつスピード感のある継続的な成長を目指し、企業価値の増大を通して株主様に貢献します。

お客様へ

お客様からの支持・信頼を原点とし、当社の提供する金融商品・サービスを通じて、企業、個人の繁栄に貢献するように努めます。

お客様・

ビジネスパートナー様へ

ビジネスパートナーの支持・信頼を得て、ともに社会的責任を果たし、成長することを目指します。

役職員へ

役職員一人ひとりがプロ意識を持ち、持てる力をフルに発揮出来る環境作りに取り組みます。

自由闊達、クリエイティブで新しいことにチャレンジすることを重視する組織・企業風土を大切にします。

 

(2)中期的な経営戦略

 当社グループは、2023年7月31日に、中期経営計画(2024年~2026年)を発表いたしました。2026年の未来図実現に向けて、コロナ禍で停滞した事業モデルの進化を進めてまいります。

 これまで、主力のオペレーティング・リース事業への高い依存度が続いておりました。2026年までに、高水準のオペレーティング・リース事業の増益を継続しながら、オペレーティング・リース事業以外の売上拡大を図り、事業ポートフォリオの拡充を図ってまいります。

その主力事業は、以下4事業です。

1.オペレーティング・リース事業

2.環境エネルギー事業

3.不動産事業

4.プライベート・エクイティ投資事業

 これら主力事業において、オペレーティング・リース事業(主に航空機リース)で培ったファンド管理のリソースや、顧客基盤を活用し、資産運用を目的とする多様な投資家を獲得(個人、事業法人、金融機関)し、顧客層を拡大してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

前述の中期経営経計画(2024年~2026年)において、以下の目標値を設定しております。

① 2026年当期純利益 ・・・ 250億円

② 親会社株主に帰属する当期純利益 ・・・ 36%の高収益率の実現

その実現のために、以下の指標を重要な指標として位置付けております。

重要な指標

2023年実績

2024年

2025年

2026年

実績

実績

~2026年中期経営計画

オペレーティング・リース事業以外の売上構成比

12%

9%

-上昇-

約30%

増益率

▲46.5%

+241.4%

毎期利益倍増

ROE

5.0%

14.0%

-上昇-

25%以上

配当性向

32円 41.0%(※1)

27円 20.3%

50%以上を目指す

(※2)

   ※1. 業績は停滞したものの、配当額を維持したことにより、配当性向が一時的に上昇しました。

   ※2. 2025年2月7日に「配当性向20%を目安」としていた従来の配当方針からの変更を発表しました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 日本が抱える主な社会課題の一つである少子高齢化問題は、生産年齢人口の減少、及び国内需要の減退といった、経済縮小スパイラルにつながりかねない大きな懸念要因となっております。また、それらの課題は、日本経済を支えてきた全国の中堅・中小企業にとって、経営環境の悪化要因、或いは円滑な事業承継の阻害要因として顕在化し、それらの企業が支える日本経済の将来像にも大きなリスク要因となっております。

 そのような中、当社グループは「金融を通じて社会に貢献する企業でありつづける」という経営理念の下、主に全国の中堅・中小企業の経営課題解決をサポートする多様なサービスを提供しております。これらサービスの提供により、社会課題解決と企業価値向上を両立させてまいります。そのために、以下の対処すべき課題に取り組んでまいります。

 

① コア事業の持続的な成長

当社グループは、航空機を中心としたオペレーティング・リース事業を主力事業としております。その売上高構成比は、90.8%(当連結会計年度実績)を占めております。これまでに本事業で培った当社グループの競争優位性の維持と、更なるイノベーションを両立すべく、以下の課題に取り組んでまいります。

・ 顧客ニーズに応える、商品組成力の向上

・ 組成を円滑に進める、資金調達力向上

・ キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮化

・ 取引先の与信管理等、ガバナンス体制の強化

・ 高度な事業運営を担う、専門性の高い人材の登用

 

② 事業ポートフォリオの拡充

当社グループは、主に全国の中堅・中小企業の経営課題解決をサポートする多様なサービスを提供しております。顧客本位の立場に立って、経営課題解決を支援すべく、以下の課題に取り組んでまいります。

・ ワンストップのサービス提供体制の強化

・ 専門性を向上させる情報連携ネットワーク拡充

・ 顧客本位のソリューション提供の徹底

・ 顧客ニーズの本質的な課題を見極める、専門性の高い人材の登用

 

③ サステナビリティ経営の推進

当社グループは、環境エネルギー事業、パーツアウト・コンバージョン事業のサービス提供、及び日常の事業活動等を通じて、持続可能な循環型社会の実現に貢献してまいります。そのために、以下の課題に取り組んでまいります。

・ 収益性向上を伴う再生可能エネルギー事業の取組拡大

・ 遊休資源の活用等、再生可能エネルギー事業普及による地方創生

・ 機齢を経た旅客機のリサイクル・リユースの拡大

  (パーツアウト・コンバージョン事業の拡大)

・ 自治体や教育機関など地域社会との共生の推進

・ SDGsが示す様々な社会課題の解決に貢献する、専門性の高い人材の登用

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みについては、当社ウェブサイトもご参照ください。

(https://www.jia-ltd.com/sustainability/)

なお記載事項のうち、将来に関する事項は、提出日現在において入手可能な情報等に基づいて判断したものであります。

 

(1)考え方・体制

 当社グループは、大きく変貌する地球環境や社会環境下において、すべての役職員が、目指すべき普遍的な事業活動の在り様を認識、及び行動するために、下記体制を整えております。

[ガバナンス]

 当社グループでは、サステナビリティに関連する重要課題について審議する「サステナビリティ委員会」を設置しております。

 「サステナビリティ委員会」は、代表取締役社長が委員長、社内取締役、執行役員、部門長等が委員として構成され、原則年2回開催とし、その結果は取締役会に報告されます。取締役会の監督の下、サステナビリティ経営の実現を図ってまいります。

 当社グループのコーポレート・ガバナンス全体については、当社ウェブサイトもご参照ください。

(https://www.jia-ltd.com/sustainability/governance/)

[戦略]

 当社グループは、「金融を通じて社会に貢献する企業でありつづける」という経営理念に基づいた事業活動を通じて、持続可能な社会の実現への貢献と、持続的な企業価値向上双方を両立してまいります。その実現のために、グループサステナビリティ基本方針において、以下の5つの方針を定めて持続可能社会実現に取組んでおります。

取組方針

取組内容

(1) 事業による価値創造

社会課題を解決するプロダクトやサービスを提供し、持続可能な社会の実現に貢献する。

(2) 環境課題の解決

事業活動において、気候変動への対応、資源の有効活用、および生物多様性の保全等、環境課題に配慮し、持続可能な社会の実現に貢献する。

(3) 人権尊重、多様な個性の尊重

あらゆる企業活動に関係するステークホルダーの人権を尊重する。また、職場においては、多様な個性を尊重し合い、その能力・経験を最大限に発揮できる、働きがいあふれる環境を実現する。

(4) 社会との共生

事業を通じた社会貢献の他、事業活動ではカバーしきれない社会課題、環境課題に対して、自治体や教育機関などとの連携によって社会との共生を図る。

(5) コンプライアンスの徹底

法令、諸規則、社会規範、並びに企業倫理に則った、適正な企業活動を通じて、様々なステークホルダーに最適な安心とサービスを提供し、社会から信頼される企業グループを目指す。

[リスク管理]

 当社グループは、リスクマネジメント体制確立に関する重要な方針の策定や、方針に基づく取組の徹底を目的として、「リスクマネジメント委員会」を設置しております。

 「リスクマネジメント委員会」は、代表取締役社長が委員長、社内取締役、執行役員、部門長等が委員として構成され、原則月1回開催とし、その結果は取締役会に報告されます。取締役会の監督の下、リスクマネジメントの徹底を図ってまいります。

当社グループは、リスクマネジメント活動を通じて、企業経営の目的達成を妨げるリスクの事前把握に努めております。その上で、リスクの重要度に応じた事前策を講じることにより、リスク低減に努めております。また、万が一リスクが顕在化した際には、迅速かつ適切な対応によって損害を回避または最小化することに努めてまいります。そのために、グループリスクマネジメント基本方針において、以下の4つの方針を定めてリスクマネジメントの徹底に取組んでおります。

 

 

取組方針

取組内容

(1) リスクの認識と評価

各組織単位でリスクの網羅的な認識・評価を継続的に更新し、リスク対応力の強化を図る。

(2) モニタリングと改善

リスク内容を継続的にモニタリングし、発見された問題点に対して、速やかに必要な改善策を実施する。

(3) リスク感度醸成

教育や研修により、役職員一人ひとりのリスクマネジメント意識、およびリスク感性の醸成に努める。

(4) リスク顕在時の対応

リスクが顕在化した際には、ステークホルダーの安全と健康を第一に位置づけた上で、関係機関や地域社会と連携し、事業の継続と資産の保全に努める。

 

(2)気候変動に関する取組

 当社グループは、気候変動による自社及び社会のリスクを認識し、シナリオ分析を行っております。その結果について、「物理的リスク」「移行リスク」に分けて記載いたしております。

[物理的リスクの分析と結果]

 当社グループでは、海外事業が占める比率が低い為、重要性の観点から国内事業所を分析対象としております。国内事業所のシナリオ分析を行った結果、主なリスク及びその対応は以下のとおりです。

① 物理的リスク分析前提

対象資産

国内全事業所

参照シナリオ

(気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書 SSP5-8.5)

気候政策がほとんど導入されず、急速な経済発展が優先されるシナリオ。2100年までに地球の平均気温が産業革命前に比べて4度前後上昇することが見込まれる。

時間軸

短期:2026年末まで、中期:2030年頃まで、長期:2050年頃まで

 

② 物理的リスク分析前提

分類

気候変動がもたらすリスクとして想定される事項

時間軸

対応

急性

自然災害の激甚化により事業継続が困難な状況となった場合、短期的な収益の減少や、中長期的な事業収益力の弱体化につながる可能性が考えられます。

短期~長期

当社グループの事業運営上の機能は、首都圏に集中しております。したがって、首都圏における、甚大な被害を伴う自然災害や感染症発生等による事業継続(BCP)リスクを重要リスクのひとつと位置付けております。こうしたリスクに対応するため、「事業継続計画」および具体的な運用を定めた、「BCPマニュアル」を策定しております。なお、首都圏のインフラが長期にわたって機能不全となる場合に備えて、西日本支社におけるバックアップ体制を整えております。

慢性

感染症等の慢性的な蔓延などにより通常の業務執行が停滞することが常態化する状況となった場合、中長期的な事業収益力の弱体化につながる可能性が考えられます。

長期

業務プロセスのデジタル化等を通じて、リモートワーク環境の整備を進めおります。従業員の健康と安全を最優先に考え、健康経営の推進を心がけております。

 

③ 物理的リスク分析結果

上記前提のもとでは、現時点で気候変動の物理的リスクとして想定されるものについて、当社グループの事業継続、戦略や財務への影響は軽微と考えております。

 

[移行リスク・機会の分析と結果]

 当社グループでは、海外事業が占める比率が低い為、重要性の観点から国内事業を分析対象としております。国内事業のシナリオ分析を行った結果、主なリスク、財務影響、並びに対策と評価は以下のとおりです。

① 移行リスクの分析前提

対象事業

国内事業

参照シナリオ

(気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書 SSP1-1.9)

強力な気候政策と技術革新により、温室効果ガスの排出が大幅に削減されるシナリオ。これにより、地球の平均気温が産業革命前に比べて1.5度以下の上昇に抑制されることが見込まれる。

(気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書 SSP5-8.5)

気候政策がほとんど導入されず、急速な経済発展が優先されるシナリオ。2100年までに地球の平均気温が産業革命前に比べて4度前後上昇することが見込まれる。

時間軸

短期:2026年末まで、中期:2030年頃まで、長期:2050年頃まで

 

② 移行リスクの特定と対応

シナリオ

気候変動

による影響

リスク

財務影響

対策と評価

4℃前後

シナリオ

気候変動加速に伴う、自然災害の激甚化、及び頻度の増加。

自然災害により、当社グループがアレンジする航空機・船舶などのリース資産に損傷が生じる可能性があります。

リース先の航空・船舶会社等において売上機会損失や、修繕コストが発生し、当社グループが運営する「日本型オペレーティング・リース投資商品」の投資家の収益に影響が生じ、投資家の投資意欲が減退する可能性があります。

各種リース資産は、移動が可能であるため、自然災害における損傷リスクは、限定的であり、顧客、及び当社グループへの影響は軽微と考えます。

1.5℃以下

シナリオ

GHG排出量削減に係る政策・規制の強化。

当社グループがアレンジした航空機・船舶などのリース先企業において、炭素税や罰金等の導入等に伴うコストが増加する可能性があります。

リース先の航空・船舶会社等におけるコストの増加に伴い、当社グループが運営する「日本型オペレーティング・リース投資商品」の投資家の収益に影響が生じ、投資家の投資意欲が減退する可能性があります。

短期的には、当該コスト増は、概ね運賃に転嫁されると思われる為、顧客、及び当社グループへの影響は軽微と考えます。

一方、中・長期的な影響として、リース先の航空・船舶会社等によるリース需要が減退し、市場規模が縮小する可能性があります。

当社グループがアレンジした航空機のリース先企業において、航空機の燃料としてSAF利用が進むことに伴うコストが増加する可能性があります。

 

③ 機会

シナリオ

気候変動

による影響

機会

財務影響

対策と評価

1.5℃以下

シナリオ

GHG排出量削減への需要が高まる

省エネルギー、低炭素使用の航空機・船舶などへの移行が進む可能性があります。

リース先の航空・船舶会社等の新たなリース需要が拡大し、当社グループが運営する「日本型オペレーティング・リース投資商品」が拡大する可能性があります。

オペレーティング・リース事業の体制強化により対応します。

 

 

 

④ 分析結果

上記前提のもとでは、現時点で気候変動の移行リスクとして想定されるものについては、当社グループの事業継続、戦略や財務への影響は軽微と考えております。

 

[指標及び目標]

当社グループにおける事業活動の大きな割合を占める、当社及び主力のオペレーティング・リース事業を展開する子会社、JPリースプロダクツ&サービシイズにおいて、以下の目標を設定しております。

項目

目標

評価指標

環境負荷の低減

Scope1、2、3 温室効果ガス排出量削減

従業員一人当たり、

自社温室効果ガス排出量 5%削減

(2024年~2026年の中期3か年計画の期間において)

従業員一人当たり、

自社温室効果ガス排出削減率

 

(3)人的資本に関する取組

当社グループは、持続的な成長を支える人材の育成に向けて、役職に応じた研修、資格取得支援制度、表彰制度などを実施しております。また、これらの状況を社内報にて広く告知することで、積極的に取り組む風土を醸成しております。

他にも、産学連携による共同研究、業務提携、及びM&Aによる投資に積極的に取組み、多方面における人材交流機会を創出しております。

[戦略]

当社グループは、人材育成、社内環境整備に関して、以下の方針を定めております。

人材育成に関する

方針

 

当社グループは、最も重要な資本である従業員の育成と、身に着けた能力を最大限発揮できる職場を実現してまいります。役職に応じた研修により、向上心を持ち、主体性のある人材を育成してまいります。

社内環境整備に関する

方針

 

当社グループは、ダイバーシティー&インクルージョンをバランスよく推進してまいります。それにより、多様な個性を尊重し合い、その能力・経験を最大限に発揮できる、働きがいあふれる職場を実現してまいります。

 

[指標及び目標]

 人材の育成、社内環境整備に関する方針に関連して、女性管理職比率、男性社員の育児休暇取得率(いずれも当社単体)の指標を設定しております。

 

目標年

目標値

2024年12月期

実績

女性管理職比率

(当社単体)

2026年3月

20.0

7.7

男性社員の育児休業

取得率(当社単体)

2026年3月

30.0

100.0

女性取締役比率

(当社単体)

中期

30.0

12.5

離職率

(当社単体)

2025年12月期

2023年12月期と比較して2%引き下げ

9.1%

障がい者雇用率

(当社単体)

中期

法定雇用率

1.0%

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループにおける有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク要因につきましては、以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来発生しうる全ての事業リスクを網羅するものではありません。

 

(オペレーティング・リース事業に対する依存度に係るリスクについて)

当社グループは、オペレーティング・リース事業における「日本型オペレーティング・リース投資商品」のアレンジメントフィー等を売上高として計上しております。設立時からオペレーティング・リース事業を主要事業として業容拡大を図ってきたため、当該事業の売上高は当社グループ売上高の大半を占めております。また、オペレーティング・リース事業の主な対象資産は、航空機、船舶及び海上輸送用コンテナであり、とりわけ航空機が大きな割合を占めております。

したがって、航空業界の経営環境や航空機オペレーティング・リース事業の競合環境の変化が、航空機のリース需要、及び「日本型オペレーティング・リース投資商品」の需要に影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(オペレーティング・リース事業におけるリスクについて)

当社グループのオペレーティング・リース事業におけるリスクには以下のものがあります。

① 世界各地における紛争や感染症の流行等が及ぼすリスクについて

当社グループのオペレーティング・リース事業における「日本型オペレーティング・リース投資商品」の主な対象資産は航空機、船舶及び海上輸送用コンテナであり、世界各国の主要な航空会社、船会社及び海運会社等が主な賃借人です。

これらの賃借人の活動範囲は、世界各地に及んでおり、世界各地における紛争や感染症の流行等が生じた場合には、賃借人のリース需要の減退、投資家の投資需要の減退を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 賃借人(航空会社等)の倒産等が及ぼすリスクについて

当社グループは「日本型オペレーティング・リース投資商品」の組成、及び販売に際して、投資家が出資する匿名組合事業の営業者であるSpecial Purpose Company(以下、「SPC」という。)から組成、販売、管理、出口管理といったオペレーティング・リース事業の運営、並びに事業運営に係る匿名組合契約に基づく報告、営業者の会社運営上必要とされる記帳、税務申告等の一切の管理業務を受託することで、手数料を得ております。

当社グループが組成した、オペレーティング・リース事業において、賃借人である航空会社等が法的倒産手続開始等の理由により、リース料を滞納した場合には、匿名組合事業の収益が悪化して、当該事業に投資している投資家が損失を被る可能性があります。このような事象が生じた場合には、投資家の投資需要減退を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 残存価額(将来のリース物件売却価格)の変動が及ぼすリスクについて

「日本型オペレーティング・リース投資商品」に係る資産のリース期間終了後、賃借人がリース資産を購入しない場合には、匿名組合事業の営業者であるSPCは、保有するリース資産を市場にて第三者に売却します。

その際、当初の想定より低価格でしか売却できない場合には、匿名組合事業の収益が悪化して、当該事業に投資している投資家の分配額が減少し、損失を被る可能性があります。このような事象が生じた場合には、投資家の投資需要減退を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

④ 商品出資金に計上している匿名組合契約に基づく権利等に関するリスクについて

当社グループは、投資家に地位譲渡することを前提に、SPCに係る匿名組合契約に基づく権利を一時的に取得することを原則としており、当該匿名組合契約に基づく権利を連結貸借対照表の「資産の部」に「商品出資金」として取得価格で計上しております。また、投資家に地位譲渡することを前提に、商品組成前に一時的に航空機等の資産を保有する場合があり、これらの資産は連結貸借対照表の「資産の部」に「前渡金」として計上する場合があります。

当社グループが保有する「商品出資金」及び「前渡金」について、何らかの理由により当社グループが継続保有せざるを得ない場合には、当該出資金の地位譲渡に伴い見込んでいたアレンジメントフィーの収受、当該出資金の回収が困難となる場合があります。また、これにより、SPCではなく当社グループがオペレーティング・リース事業の資産を保有することとなります。さらに、リース物件価格の下落等が生じた場合には、当該持分の出資金全部又は一部を回収できなくなる可能性があります。このような事象が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 為替変動に関するリスクについて

ⅰ)新規オペレーティング・リース事業に対する為替影響について

オペレーティング・リース事業では、リース期間満了時のリース物件売却は、主に外貨建てで行っているため、当該オペレーティング・リース事業組成時点の為替レートよりも円高で売却された場合、円換算後の損益が悪化し、当該事業に投資している投資家が損失を被る可能性があります。

また、リース期間満了時に投資家が受け取る出資金も主に外貨建てで行われるため、円換算時に出資時と比較して円高となった場合には、受取額が当初出資額よりも減少することにより、当該事業に投資している投資家が損失を被る可能性があります。

このように、投資家が将来、円高となってオペレーティング・リース事業の損益又は収支が悪化し、損失を被ると予測した場合には、投資家の投資意欲が減退し、当社グループが組成する新規のオペレーティング・リース事業への投資を募ることが困難となる可能性があります。その結果、匿名組合契約に基づく権利の販売減少等により、当社グループが受け取る業務受託手数料が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

ⅱ)商品出資金の譲渡に関する為替影響について

当社グループは、外貨建てで取得した商品出資金を円建てで投資家に譲渡する際、オペレーティング・リース事業組成時点の為替レートに基づき、譲渡価格を決定しております。

このため、当該商品出資金の取得後に為替相場が急激に円高となった場合、当該オペレーティング・リース事業の組成時点での為替レート水準で算定される商品出資金の価格に比して割高となるため、投資家の投資意欲の減退を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

ⅲ)当社グループ保有資産に関する為替影響について

オペレーティング・リース事業において、関連する市場取引は主に外貨建てで行われております。したがって、当社グループがリースアレンジメントに関連する取引を行う過程で、一時的に外貨建て資産或いは外貨建て負債が発生いたします。当該外貨建て資産或いは負債残高が膨らむ場合には、リスクヘッジの対策を講じますが、為替変動のタイミングによっては、当該外貨建て資産或いは負債を決済する際、若しくは当該外貨建て資産或いは負債残高の為替評価を四半期末毎に洗替える際に、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(リース資産のトレーディング事業、パーツアウト・コンバージョン事業等におけるリスクについて)

当社グループは、リース付き機体の売却(トレーディング)、航空機エンジン等の部品売却(パーツアウト)、及び旅客機を貨物機に改造して売却(コンバージョン)等、主に航空機に関連する資産のトレーディング事業を行っております。

当該事業においては、主に航空会社やリース会社等に売却することを目的に一時的に在庫を保有する場合があります。保有期間の航空業界の経営環境や競合環境の変化により、想定した売却価格よりも低価格でしか売却できない場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(環境エネルギー事業におけるリスクについて)

当社グループにおける環境エネルギー事業の主な内容は、主に太陽光発電所の運営業務受託、投資商品の組成・販売のアレンジメント、及び自社保有発電所の売電に係る収益を得るものです。

当該事業においては、発電設備、土木、構造、事業用地の法令手続き等の瑕疵が発覚し、土地の権利、発電設備の安全性、発電事業の収益性、地域との共生等に問題が生じた場合、発電事業の収益が悪化して、当該事業に投資している投資家が損失を被る可能性があります。また、当社グループで保有する発電所においては、当社グループが損失を被る可能性があります。他にも、当該事業は「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」等の法的規制を受けており、関係する法令の改正や新設等によって、事業上の制約を受ける可能性があります。このような事象が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(プライベート・エクイティ投資事業におけるリスクについて)

当社グループは、プライベート・エクイティ投資事業として、主にバリューアップ等によるキャピタルゲインを得ること等を目的として、投資先企業の選定及び支援を行っております。

投資にあたっては、対象企業についてデューデリジェンスを行うことにより、リスクを極力低減させることに努めておりますが、投資前に発見できなかった又は投資後に発生した法令違反、未認識債務等が顕在化した場合や、投資先の将来の業績が当社想定を下回る場合には、投資資金の回収が困難となるだけでなく、当社営業投資有価証券への減損会計の適用等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(不動産事業におけるリスクについて)

当社グループは、不動産事業として、国内不動産を対象とした不動産小口化商品の組成・販売のアレンジメントを行っております。主に、連結子会社のJIA信託株式会社(以下、「JIA信託」という。)を受託者とする信託受益権の形で組成し、同じく連結子会社のJPリースプロダクツ&サービシイズ株式会社(以下、「JLPS」という。)、及びJIA証券株式会社(以下、「JIA証券」という。)が当該信託受益権を投資家に販売しております。

これらの不動産小口化商品の販売が停滞し、不動産市況や対象物件の周辺環境等の急激な変化により、不動産小口化商品の価値が大きく下落した場合には、評価損が発生する等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(法的規制に係るリスクについて)

① 金融商品取引法について

オペレーティング・リース事業において締結される匿名組合契約等に基づく投資家の権利、不動産信託受益権は、金融商品取引法第2条第2項の「みなし有価証券」として位置づけられるため、当社グループは金融商品取引法及び金融サービスの提供に関する法律に基づき業務を行っております。

JLPSは、オペレーティング・リース事業において、匿名組合契約に基づく権利を含む匿名組合出資持分等の私募の取扱等の業務を行っているため、金融商品取引法第29条に基づく第二種金融商品取引業者の登録を受けております。また、JIA証券は、第一種金融商品取引業者、及び第二種金融商品取引業者の登録を受けております。金融商品取引法第52条にて登録取消、業務停止等となる要件を定めており、これに該当した場合、JLPS及びJIA証券は登録の取消或いは業務の停止命令を受ける可能性があります。

当社グループでは、かかる業務を行うにあたり、法令規則の遵守を徹底しており、本書提出日現在において、かかる登録の取消事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、今後、何らかの事由によりJLPS及びJIA証券が登録の取消や業務の停止命令の行政処分を受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 信託業法について

当社グループは、投資家に譲渡することを前提に、航空機や不動産等の資産を、信託受益権として販売しております。信託受益権の取り扱いにおいては、JIA信託が運用型信託会社の免許を有し、信託業法に基づき業務を行っております。信託業法第44条にて、運用型信託会社に対する監督上の処分の要件を定めており、これに該当した場合、JIA信託は、免許の取消或いは業務の停止命令を受ける可能性があります。

JIA信託は、かかる業務を行うにあたり、法令規則の遵守を徹底しており、本書提出日現在において、かかる免許の取消事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、今後、何らかの事由によりJIA信託が免許の取消や業務の停止命令の行政処分を受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 税務その他関連する法令

オペレーティング・リース事業は、現行の税務、会計その他当該事業に関する法令等に基づいて案件組成を行っております。

当社グループは、個々の案件を組成する際に、税理士、弁護士等から意見を聴取すること等により、関連する法令等の内容及びその法解釈について確認を行っております。しかしながら、将来、当該法令等が改正されるか、若しくは新たに制定されることにより課税の取り扱いに変更が生じた場合には、オペレーティング・リース事業に対する投資家の投資意欲が減退し、匿名組合契約に基づく地位譲渡が減少する等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(資金調達に関するリスクについて)

当社グループは、オペレーティング・リース事業におけるSPCに係る匿名組合契約に基づく権利を、投資家に地位譲渡することを前提に一時的に取得しており、その取得資金は自己資金によるほか、金融機関から調達しております。

そのため、経済情勢及び当社グループの業績悪化等の理由により、金融機関からの調達ができず、円滑な案件組成が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(財務制限条項に係るリスクについて)

オペレーティング・リース事業におけるSPCに係る匿名組合契約に基づく権利を引き受けるための資金は、自己資金、金融機関からの個別借入金によるほか、当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結し、必要に応じて借入を実行することで調達しております。

これらの契約には、各年度の連結決算及び中間連結決算における連結貸借対照表の純資産の部の金額を直前期の基準となる決算期の75%以上に維持することや、連結損益計算書、中間連結損益計算書の経常利益(金融機関によっては営業利益)を損失としないこと等、財政状態及び経営成績に関して一定の数値以上を維持することを取り決めた財務制限条項が含まれているものがあります。

そのため、当社グループの業績が悪化し、財務制限条項に抵触した場合には、借入金の返済義務の発生等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(重要な訴訟事件等に関わるリスクについて)

当社グループは、オペレーティング・リース事業等の業務を展開しておりますが、これらに関連して、投資家や紹介者等より法的手続等を受ける可能性があります。当社グループが今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の発生や結果を予測することは困難ではありますが、当社グループに不利な結果が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(当社グループの非連結子会社が連結の範囲に含まれるリスクについて)

当社グループが組成する案件にて営業者となるSPCは、連結の範囲に含めることにより利害関係者の判断を大きく誤らせるおそれがあることから、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第5号第1項第2号に基づき当社グループの連結の範囲に含めておりません。

今後、従来規則とは異なる新たな規則が制定される等、何らかの理由により、当社グループが組成する案件にて営業者となるSPCを連結の範囲に含めた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(会社組織に関するリスクについて)

① 創業者への依存について

当社グループの創業者は代表取締役社長である白岩直人であります。同氏は、当社グループ設立以来の最高経営責任者であり、経営方針や経営戦略の決定をはじめ会社の事業推進及び営業施策とその推進において重要な役割を果たしております。

当社グループでは、各業務担当取締役、執行役員及び部門長を配置し、各々が参加する定期的な会議体にて、意見等の吸い上げや情報共有等を積極的に進めております。また、取締役会の諮問機関である指名報酬諮問委員会において、後継者計画の策定に向けた議論を行っております。適宜権限の移譲も行い、同氏に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏に不測の事態が生じた場合、又は同氏が退任するような事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の確保及び育成について

当社グループでは、事業を拡大していく上で、高度なビジネススキルとセンスを持つ人材確保、及び人材育成が重要な課題であると認識しております。

しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保できない場合、或いは現在在職している人材が流出し必要な人材が確保できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(情報セキュリティに関するリスクについて)

当社グループは、規程の整備や安全管理措置の実施により、情報セキュリティリスクの低減を図っております。

しかしながら、このような施策を講じたものの、情報セキュリティリスクの脅威は絶えず進化しており、完全に回避できない可能性があります。情報セキュリティリスクが顕在化し、情報漏えいや情報システムの稼働停止等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用や信用棄損により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(自然災害等の大規模災害に関するリスクについて)

当社グループは、国内複数拠点及び海外の複数のグループ会社とともに、グローバルに事業展開を行っております。

 各拠点においては、緊急時の対応を定めた各種規程の整備、及び安否確認システムの導入等、適切な対応を図っておりますが、地震、津波、台風等の自然災害、及び通信ネットワーク等の障害、並びに感染症の拡大等により、当社グループの事業活動が停滞或いは停止するような被害が長期間に及んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(2)経営成績等の状況

 当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)における世界経済の状況は、欧米では個人消費は概ね堅調に推移していますが、企業の景況感は二極化が進んでおり、サービス業が好調を維持しているのに対し、製造業は財需要の落ち込みから生産活動は低迷しております。一方、中国では政府主導による景気刺激策による効果で、景気は一部持ち直しの動きが見られましたが、個人消費の勢いに陰りが見られる等、景気刺激策による効果が持続するかは不透明な状況にあると言えます。

 日本経済の状況は、景気は一部足踏みする動きも見られましたが、旺盛なインバウンド需要や所得環境の改善により、景気は緩やかに回復すると考えられます。一方、米国におけるインフレ再燃の兆しや、政権交代後の関税強化等により、為替レートのボラティリティ拡大や、国内企業における業績影響等が生じる可能性があり、国内景気の回復基調が続いていくか、より注視していく必要があると言えます。

 

 このような経済情勢の中、当社グループは、「金融を通じて社会に貢献する企業でありつづける」を経営理念として、主力4事業(オペレーティング・リース事業、環境エネルギー事業、不動産事業及びプライベート・エクイティ投資事業)を中心に企業価値向上に努めてまいりました。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度と前連結会計年度との増減額、増減率は下表のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率(%)

売上高

21,818

31,129

9,310

42.7

営業利益

5,492

12,110

6,618

120.5

経常利益

3,668

11,635

7,966

217.1

親会社株主に帰属する

当期純利益

2,359

8,055

5,695

241.4

 

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は31,129百万円となり、前連結会計年度に比べて9,310百万円、42.7%増収となりました。

 オペレーティング・リース事業の売上高は、28,255百万円(前期比47.5%増)となりました。投資家の需要が底堅く、日本型オペレーティング・リース投資商品(JOL/JOLCO)市場の年末の需要期に、十分な品揃えが用意できていたこと等により、商品出資金販売額は、112,929百万円(前期比46.0%増)と好調に推移しました。一方、商品組成額は、298,928百万円(前期比15.1%増)と組成環境も引き続き良好であり、過去最高額の商品出資金残高を確保しております。

 環境エネルギー事業の売上高は、1,054百万円(前期比39.6%増)となりました。主に、太陽光発電所のマネジメント収入や発電設備賃料収入の他、当社が保有する太陽光発電所の一部をファンド化し、商品出資金177百万円を販売したことに伴う収入を計上したことによるものです。

 不動産事業の売上高は、276百万円(前期比237.5%増)となりました。主に、不動産小口化商品として信託受益権を販売したことに伴う収入を計上しております。

 プライベート・エクイティ投資事業の売上高は、114百万円(前期比84.3%減)となりました。当社グループが運営するファンドの投資先のうち、IPOを実現した投資先の株式を一部売却したことによる収入を計上しております。

 

 その他事業の売上高は、1,428百万円(前期比31.0%増)となりました。グループ子会社の証券事業をはじめとした総合金融ソリューションサービスにかかる手数料収入等を計上しております。

 

(売上総利益)

 売上原価は、商品出資金等の評価を含めて10,296百万円となり、前連結会計年度に比べて665百万円、6.9%増となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上総利益は20,833百万円となり、前連結会計年度に比べて8,645百万円、70.9%増となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は12,110百万円となり、前連結会計年度に比べて6,618百万円、120.5%増となりました。

 販売費及び一般管理費は、人件費4,156百万円(前連結会計年度比27.1%増)、その他の費用4,565百万円(前連結会計年度比33.3%増)等を計上したことにより8,722百万円となり、前連結会計年度に比べて2,027百万円、30.3%増となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は11,635百万円となり、前連結会計年度に比べて7,966百万円、217.1%増となりました。

 営業外収益は、為替差益1,267百万円(前連結会計年度は為替差損)、商品出資金売却益787百万円(前連結会計年度比89.6%増)、持分法による投資利益391百万円(前連結会計年度比5.5%増)、受取利息118百万円(前連結会計年度比85.8%減)等を計上したことにより2,933百万円となり、前連結会計年度に比べて1,006百万円、52.2%増となりました。

 営業外費用は、支払利息1,872百万円(前連結会計年度比6.9%減)、支払手数料1,318百万円(前連結会計年度比24.0%増)等の計上及び為替差損601百万円が減少したこと等により3,409百万円となり、前連結会計年度に比べて△341百万円、9.1%減となりました。

 

(特別利益)

 当連結会計年度において、関係会社株式売却益10百万円を計上した結果、特別利益10百万円となりました。

 

(特別損失)

 当連結会計年度において、投資有価証券評価損29百万円を計上した結果、特別損失29百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は8,055百万円となり、前連結会計年度に比べて5,695百万円、241.4%増となりました。

 法人税、住民税及び事業税は4,355百万円、法人税等調整額が△715百万円となりました。

 

 

②財政状態の分析

 当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末と比較して総資産が33,155百万円増加し、負債が14,271百万円増加しました。また、純資産は18,883百万円増加いたしました。その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、27.3%となりました。

 当連結会計年度末における財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(総資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して33,155百万円増加の244,906百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末と比較して44,521百万円増加の221,643百万円となりました。これは主に、現金及び預金23,308百万円、商品出資金22,616百万円及びリース債権9,445百万円がそれぞれ増加し、商品9,896百万円が減少したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末と比較して11,347百万円減少の23,155百万円となりました。これは主に、投資有価証券8,410百万円及び長期貸付金4,223百万円がそれぞれ減少し、繰延税金資産718百万円及び建物(純額)555百万円がそれぞれ増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して14,271百万円増加の177,211百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末と比較して11,137百万円増加の160,498百万円となりました。これは主に、短期借入金6,206百万円、1年内償還予定の社債3,192百万円及び1年内返済予定の長期ノンリコースローン1,218百万円がそれぞれ増加し、1年内返済予定の長期借入金1,108百万円が減少したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末と比較して3,134百万円増加の16,712百万円となりました。これは主に、長期ノンリコースローン4,358百万円が増加し、社債1,776百万円が減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末と比較して18,883百万円増加の67,695百万円となりました。これは主に、資本金5,171百万円及び資本剰余金5,171百万円がそれぞれ増加し、当連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純利益8,055百万円を計上したことによるものであります。

 この結果自己資本比率は前期末の22.6%から27.3%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は前連結会計年度末に比べて23,308百万円増加し、51,494百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、使用した資金は10,114百万円(前連結会計年度は18,101百万円の使用)となりました。主な使用要因は、商品出資金の増加25,753百万円及び売上債権の増加10,984百万円によるものであります。一方、主な獲得要因は、税金等調整前当期純利益の計上11,616百万円及び棚卸資産の減少10,783百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、獲得した資金は13,492百万円(前連結会計年度は3,940百万円の獲得)となりました。主な獲得要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入16,888百万円及び貸付金の回収による収入5,096百万円によるものであります。一方、主な使用要因は、投資有価証券の取得による支出6,458百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は19,419百万円(前連結会計年度は21,262百万円の獲得)となりました。主な獲得要因は、短期借入による収入190,937百万円及び長期借入による収入19,793百万円によるものであります。一方、主な使用要因は、短期借入金の返済による支出184,811百万円によるものであります。

 

④組成及び販売の実績

(ⅰ)組成実績

 当社グループにおけるオペレーティング・リース事業及び環境エネルギー事業の当連結会計年度の組成金額は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前期比(増減率)%

オペレーティング・リース組成金額(百万円)

298,928

15.1

オペレーティング・リース組成件数(件)

42

△2.3

環境エネルギー組成金額(百万円)

693

環境エネルギー組成件数(件)

1

(注)1.金額は、事業開始日時点におけるSPCの金融機関からの借入額と匿名組合出資金の合計額であり、物件価額、専門家費用及び支払手数料の合計額であります。

2.外貨建のオペレーティング・リース事業の組成金額の本邦通貨への換算は、組成時の為替レートを採用しております。

 

(ⅱ)販売実績

 当連結会計年度の販売(売上)実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前期比(増減率)%

オペレーティング・リース事業(百万円)

28,255

47.5

環境エネルギー事業(百万円)

1,054

39.6

不動産事業(百万円)

276

237.5

プライベート・エクイティ投資事業(百万円)

114

△84.3

その他事業(百万円)

1,428

31.0

合計(百万円)

31,129

42.7

 

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営成績等の状況 ①経営成績の状況、②財政状態の分析」に記載のとおりであります。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況)

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営成績等の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(資金調達及び流動性)

 当社グループは、オペレーティング・リース事業を展開する上で、当該事業に係る出資(匿名組合契約に基づく権利)を、投資家に地位譲渡することを前提に一時的に当該出資金(匿名組合契約に基づく権利)を引き受けます。当社グループは、その引き受けた出資金を「商品出資金」として貸借対照表に計上し、投資家の需要を勘案しながら販売(地位譲渡)しております。

 環境エネルギー事業においては、発電施設の設備や権利を取得するため、事業開始以前に立替金として資金拠出が必要となります。

 また、航空機を対象としたパーツアウト・コンバージョン事業においては、機体や部品の購入資金及び機体の改造費用が必要となります。

 当該出資金(匿名組合契約に基づく権利)を引き受けるための資金及び発電施設の設備・権利を立替取得するための資金並びにパーツアウト・コンバージョン事業における機体や部品の購入及び機体の改造費用に要する資金は、自己資金のほか、金融機関からの借入により資金調達を行っております。

 当社グループの資金調達につきましては、金融機関より短期借入金125,644百万円、長期借入金9,009百万円、長期ノンリコースローン5,577百万円及び総額10,502百万円の社債の発行により構成されております。その結果、当連結会計年度末の当社グループの借入金及び社債の残高は、150,733百万円となりました。

 当社グループは、投資家のニーズに対応して幅広い金融サービスを提供するため、資金調達については安定性の確保とコストの抑制を図るよう努めております。

 

 また、運転資金の流動性の確保及び効率的な調達を行うため、取引銀行58行と極度額156,430百万円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約(シンジケート方式含む)を締結しており、当連結会計年度末における未使用借入枠は57,260百万円であり、資金の流動性は十分に確保されております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

④経営指標の実績

 当連結会計年度における経営指標の実績につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。