第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。なお、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「最適な市場情報をタイムリーに提供することにより、お客様の意思決定を支援し、各業界・産業界の活性化に“情報”というフェイズから貢献し、ひいては社会の発展に寄与する」ことを経営理念として、事業の運営と発展に努め、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

また、当社グループは、ブランド力の向上、取扱い商品レパートリーの充実、顧客サービス品質の向上等を通じて、当社グループのサービスをご利用いただくお客様にとっての利便性を高めることで、市場・技術動向調査を検討する際に、当社グループを第一に想起して選んでいただける存在となるべく、下記の経営戦略に従い、各施策の実行に努めてまいります。

 

(2) 経営環境及び経営戦略

当社グループの主要商品である市場調査レポートの市場は、国内においては日本企業の海外進出、技術革新、新規事業の開拓等に伴い、成長を続ける市場であると考えており、海外においても市場情報、技術動向に関する情報の需要が国内以上には堅調に伸びていく増加することが予想されます。また、昨今のビジネス環境は、インターネットを経由したコミュニケーションが急速に進んでおり、正確かつ迅速な市場情報が各企業の意思決定の成否を左右する重要な要素となっています。

一方で、当社グループの仕入先である海外調査出版会社の近年の動向としては、安価で豊富な労働力と最新のAI・ビッグデータ解析技術等を活用したインド・中国系の新興調査出版会社の著しい台頭や調査出版会社自身による直販部門の戦略的強化等の動きが見られます。

当社グループは、このような社会的要請と外部環境の変化に対応しつつ、引き続き収益の拡大、企業価値の最大化を図っていくため、必要な経営戦略を可視化し、2025年12月期を初年度とする3か年の中期経営計画『GII Vision 2027』を策定いたしました。中期経営計画の実践を通して、主力事業である市場調査レポート事業をさらに強化するとともに、多様化する顧客の情報ニーズに全方位的に対応できる「総合市場情報プロバイダーへの進化」を目指します。また、IoT関連事業については、引き続き当社の成長ドライバーとして位置づけ、IoTデバイスおよび展示会向けDXツールの拡販を通じて事業の拡大を図ってまいります。

中期経営計画においては、以下の重点施策を柱に、収益の拡大、企業価値の最大化に努めてまいります。

 

(重点施策)

① 委託調査事業への注力

ニッチ化・多様化する顧客ニーズに対応し、高単価案件の獲得を目指します。専任担当者が柔軟で迅速なサポートを提供するとともに、提携調査会社を新たに開拓することで、調査対応の範囲拡大にも努めてまいります。また、顧客企業の海外進出に係る実務を支援するサービスについても提供を検討しています。

 

② AI×市場調査商品の拡販

生成 AI を活用した市場調査商品の取り扱いを強化し、収益基盤の拡大を図ります。専任チームによる新商品の開拓や拡販を進め、必要に応じて顧客ニーズを踏まえたカスタマイズにも対応することで、新たな顧客体験の可能性を開拓します。

 

③ 集客・顧客開拓力強化

ウェブサイトや顧客データベースを活用し、効率的な顧客獲得を推進します。商品数の増加による検索エンジン経由の集客強化や、顧客データベースを活用したプロアクティブなプロモーションを実施します。また、セミナーや広告出稿を通じて新規顧客の拡大を目指します。

 

 

④ AI による社内データの活用促進

生成 AI を活用し、業務効率化と営業対応力の向上を目指します。AI 検索機能を通じて商品情報を迅速に活用できる体制を整え、提案力を向上させます。また、効率的なウェブページ作成を実現することで、生産性向上と製品ラインアップの拡充を図ります。

 

⑤ 新規事業への投資

手元資金を活用した戦略的な出資やM&Aを推進し、事業拡大と新たな成長機会の創出に努めます。これにより、資本効率を高めながら企業価値の向上を実現します。

 

⑥ 次世代を担う人材獲得・育成

次世代を担う人材の確保と育成に向け、採用制度や教育制度を引き続き改善してまいります。福利厚生の充実や職場環境の整備を進め、社員が安心して成長できる体制を構築することで、持続可能な企業成長を目指します。

 

⑦ 子会社の利益貢献

IoTデバイスおよび展示会DXツールの提供を通じ、子会社株式会社ギブテック単体での黒字化を2025年12月期に実現し、連結業績への利益貢献により当社グループ全体の成長を支えます。

 

(数値計画)

 

2025年12月期
計画

 2026年12月期
 計画

 2027年12月期
 計画

売上高

3,025百万円

3,253百万円

3,524百万円

市場・技術動向に関する情報提供事業売上高

2,951百万円

3,137百万円

3,348百万円

その他事業売上高(IoT関連事業売上高)

74百万円

116百万円

176百万円

営業利益

479百万円

514百万円

580百万円

営業利益率

15.8%

15.8%

16.4%

DOE

6%以上

配当性向

55%

50%

43%

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、業容の拡大と適正利益の確保を最優先事項として掲げ、新規取引先の開拓、新規調査出版会社、会議開催会社の開拓等に努めてまいりました。そのため、事業規模を示す「売上高」及び利益の源泉である「売上総利益」を重視しており、中でも「売上総利益」の増加率を経営の最重要指標と位置付けております。

また、資本コストを意識した経営の実現の観点から、事業規模の拡大に合わせた収益性の維持・向上に努めており、当連結会計年度においては、営業利益率15.9%、ROE13.2%となりました。今後、具体的な方針及び目標値等の策定・開示に向けた取り組みを推進してまいります。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、対処すべき課題として以下の施策に取り組んでまいります。

① 『GII Vision 2027』の実践

『GII Vision 2024』で定めた取り組むべき中期的経営戦略から、各部門のアクションプランにブレークダウンし、経営目標と各部門のベクトルを一致させながら、月次単位で進捗管理を行い、経営目標達成に向けて取り組んでまいります。

 

② ESGを意識したSDGs経営の推進

持続的な企業価値の向上に加え、環境、社会、ガバナンスに配慮した経営に努めてまいります。また、事業活動を通じて社会全体の発展に寄与することを目指し、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立していくため、サステナビリティに関する課題への取り組みを継続的かつ組織的に推進・協議することを目的としたサステナビリティ委員会を定期的に開催し、必要に応じて取締役会に上程・報告することで、グループ全体のマネジメントを行っております。

 

③ コーポレート・ガバナンス、内部管理体制の強化

当社グループは、環境変化へ迅速に対応しつつ持続的な成長を維持していくためには、コーポレート・ガバナンスと内部管理体制の強化が重要な課題の一つと認識しております。

そのために、内部監査による定期的なモニタリングの実施等により内部統制の実効性を高め、リスクマネジメント、コンプライアンスを含めたコーポレート・ガバナンス体制の構築と運用を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する基本方針

当社グループでは、以下のサステナビリティに関する基本方針を策定しております。

【サステナビリティに関する基本方針】

 当社グループは、最適な市場情報をタイムリーに提供することにより産業界の意義ある活性化、ひいては社会の発展に寄与することを経営理念とし、社員ひとりひとりが個々の能力を最大限に発揮できる職場環境の下、企業価値の向上に努めています。同時に、環境、社会、ガバナンスに配慮したESG経営の視点を当社グループの経営方針に取り入れ、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立していくことを目指し、継続的にサステナビリティ課題への取組みを推進していきます。

 

 

(2)ガバナンス

当社グループは、社会全体の発展に寄与することを目指し、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立していくため、サステナビリティに関する課題への取り組みを継続的かつ組織的に推進・協議することを目的とした「サステナビリティ委員会」を2024年5月に設置し、サステナビリティ領域全般に関する課題の審議とグループ全体のマネジメントを行っております。

同委員会は、四半期ごとの開催を基本とし、サステナビリティに関する方針の決定や関連目標の進捗管理・施策の審議等を行い、審議内容については必要に応じて取締役会に上程・報告します。当社の取締役会はサステナビリティ課題の審議内容、進捗状況に関する報告を受け、定期的に監督することで、経営レベルでサステナビリティへの取り組みに関する意思決定を行い、当社グループの持続的な成長と社会課題の解決に努めております

 

(3)リスク管理

サステナビリティ課題に関するリスクと機会については、毎年見直しを行い、サステナビリティ委員会で審議を行います。また、同委員会において、社内各部門の業務に関連するリスクの抽出・評価を行い、リスクの特性や優先度を考慮したリスク管理活動を推進しております

 

(4)人的資本(人材の多様性を含む)に関する考え方、及び取組状況

当社グループは、人的資本を最も重要な経営資本と捉えており、年齢・性別・国籍を問わず、多様な背景や専門性を持つ人材がひとりひとり責任と誇りを持ちながら、満足して働く環境を創出していくことを経営理念の一つとして掲げております。従業員の個性を尊重し、活き活きと各自の持つ能力を最大限発揮できる環境づくりを推進するとともに、柔軟な働き方を提供できるよう、人材育成及び社内環境整備方針を定めてまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

(1) 経営環境の変化について

当社グループの事業は、企業を主要顧客としており、これまで、顧客企業の海外市場、新製品市場への参入意欲の高まりを背景として、業容を拡大してまいりました。しかし、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の原因により、顧客企業の海外市場、新製品市場への参入意欲が減退する様な場合には、新規顧客の開拓の低迷、既存顧客からの受注の減少等から、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合他社について

当社グループが属する市場・技術動向に関する情報提供事業の業界においては、近年、国内外両方で多くの同業他社が出現しており、価格競争が激しくなっております。また、当社グループの仕入先である調査出版会社自らが当社グループの販売テリトリーで営業行為を行うことで、当社グループと競合し、価格面での競争となる場合もあります。当社グループは、仕入先、顧客企業との人的交流による関係強化を図ることで同業他社又は仕入先調査出版会社との直接の競合、価格面での競争を回避し、事業基盤の強化及び維持に努めておりますが、意図せず、これら競合他社との価格競争に晒された場合には、売上や収益の低減により、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 検索エンジンへの集客依存について

当社グループの事業においては、当社WEBサイトで商品に関するWEBページを閲覧した顧客の問合せから商談に発展するケースが大半であります。顧客が当社WEBサイトへアクセスする流入経路としては、インターネット上の検索エンジンで特定の市場・技術について検索した結果、表示された当社WEBページへアクセスするという経路が最も多くなっております。そのため、検索エンジンでの検索結果の表示が集客及び新規顧客の獲得に影響を及ぼす可能性があります。当社では、検索エンジンからの集客数を確保するため、検索エンジン経由のWEBサイト流入者数のモニタリング、WEBサイト掲載内容の整備等を行い、検索エンジン対策に努めておりますが、検索エンジンに使用されるアルゴリズムに大幅な変更が生じた場合には、当社グループの検索エンジン対策が有効に機能せず、WEBサイトへの流入顧客数が減ることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 単一商品類(市場調査レポート)への依存

当社グループの事業の大部分は、市場調査レポートの販売が占めており、2024年12月期において、売上額全体に占める割合は84.4%となっております。その他商品類のレパートリーの拡大や新たな商品類の取扱いの開始等により、市場調査レポートへの依存度を下げる努力を続ける一方で、新規仕入先の開拓、既存仕入先との関係維持、顧客企業との関係維持等に努めた結果、直近5期間においても同商品の販売による売上額、売上高総利益額は、安定的に推移しており、今後も当社グループの事業基盤の柱であり続けると考えております。しかしながら、競合商品の出現による商品価値の低下等によって、市場調査レポートに対する顧客企業の需要の減退等の予期し得ない事態が起きた場合、本商品類の販売における売上額が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 業績の季節変動について

当社グループの主要な顧客である日本の国内企業の多くは、顧客企業内での会計年度末となる第4四半期(1月~3月)に市場・技術動向に関する調査報告書類を購入する傾向があるため、当社グループの売上高には一定の季節変動があります。顧客の購入時期に依らず、開催日が決定している会議商品の取扱い数の増加、年間を通じた継続的な販売促進活動等により年間を通じた売上高、利益額の平準化は図っておりますが、今後も同様の傾向が続く可能性があります。

なお、2024年12月期における四半期ごとの業績は次の通りです。

 

 

 

2024年12月

(2024年1月1日2024年12月31日)

第1四半期

 (1~3月期)

第2四半期

(4~6月期)

第3四半期

(7~9月期)

第4四半期

(10~12月期)

合計

(通期)

売上高(千円)

1,029,290

448,221

508,989

715,884

2,702,385

構成比(%)

38.1

16.6

18.8

26.5

100.0

営業利益(千円)

300,400

222

44,757

110,233

455,612

構成比(%)

65.9

0.0

9.8

24.2

100.0

 

(注) 各数値は当社単体の数値を示しております。

 

 

 

(6) 為替レートの変動について

当社グループは、多くの商品を海外の調査出版会社からUSドル、ユーロ、ポンド等の現地通貨建てで仕入れており、また顧客に対しては、調査出版会社の提示価格を、販売を行う国の現地通貨に当日の為替レートで換算した価格で販売しております。急激で極端な為替レートの変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは前述の通り、顧客からは顧客が所在する現地通貨で代金を受け取り、その後円通貨に換金しているため、円換金時の為替変動の影響を受けます。そのため、円高局面では、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外での事業展開について

当社グループは、日本本社以外に海外4か所(韓国、台湾、米国、ベルギー)に拠点を設置し、事業展開を行っています。各拠点には、人員等の経営資源を適切に投下し、事業の拡大を図っておりますが、当社グループの想定通りに事業展開が進まなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 情報サービス産業における技術革新について

情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められます。当社グループは、新たな情報技術に関する調査、顧客との面談を通じた情報ニーズの聞き取り等を行い、技術革新への対応を強化しております。しかしながら、予期せず、技術革新が急速に進展し、当社グループの対応が適切でなかった場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 新規事業について

当社グループでは、持続的な成長を実現するために、新規事業の創出と拡大への積極的な取り組みに努めております。本書提出日現在において、子会社である株式会社ギブテックで開始した事業のほかに具体的に計画している新規事業はございませんが、新規事業開拓を遂行していく過程において、急激な経営環境の変化をはじめとした様々な予測困難なリスクが生じる可能性があり、その結果、当初計画した以上の損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)特定仕入先への依存について

当社グループの市場・技術動向に関する情報提供事業においては、2024年12月期における仕入先上位5社による売上高は総売上高の38.3%を占めており、当該仕入先への依存度が高くなっております。当社グループは、代表取締役社長を中心とした人的交流を行う等して、当該仕入先との長期的に良好な関係を築くと同時に、特定の仕入先への依存度が極端に高くなることを避けるため、新規仕入先の開拓にも努めておりますが、何らかの理由により、重要仕入先との取引が継続できなくなった場合には、当社グループの商品供給体制に重要な支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)知的財産権について

当社グループは、事業活動を行うに当たり、第三者が保有する商標権、著作権等の知的財産権を侵害しないよう、細心の注意を払っております。本書提出日現在において、他者との訴訟等はございませんが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者からの損害賠償請求、使用差止請求等に伴う損失が発生する可能性があり、その場合には当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)個人情報保護について

当社グループは、個人情報を含む顧客企業の情報を保有及び管理しております。これらの情報を適法かつ適切に取扱い、保護することは事業を遂行する上での最重要事項として認識しており、個人情報保護法に即した社内規程類の整備、定期的な社員教育の実施、個人情報を取扱う従業員の制限等、個人情報の漏えい防止策を講じております。しかしながら、外部からの不正な手段によるサーバーへの侵入等の犯罪行為や従業員の過失等により、個人情報を含む重要な情報が流出、消去される可能性は否定できず、このような事態が生じた場合には、社会的な信用を失うこととなるほか、損害賠償負担等によって、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)法令遵守について

当社グループは、法令を遵守することは上場企業の重要な責任であると認識しており、役員・社員への教育啓発活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)システム障害について

当社グループは、集客の多くをインターネット上のWEBサイトで行っており、自然災害、事故、不正アクセス等によって通信ネットワークの遮断、サーバー等ネットワーク機器に作動不能等のシステム障害が発生する可能性があります。当社グループでは、システム障害発生防止のため、システムの冗長化、不正アクセス防御等の対策を講じておりますが、これらの対策を講じているにも関わらず、上記のシステム障害が発生した場合には、取引の停止等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)人材の確保及び育成について

当社グループでは、人材を最も重要な経営資源の一つであると捉え、業容の拡大に対応して、優秀な人材を適時に確保し、当社グループの経営理念を共有できる人材を育成していくことが重要であると考えております。しかしながら、雇用環境の変化等により、当社グループの事業遂行に必要な知識、経験、能力を備える人材の確保が計画通りに進まない場合や、何らかの理由により人材の社外流出があった場合には、業容拡大の制約要因となり、将来的に当社の事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)小規模組織であることについて

当社グループの組織体制は小規模であり、内部管理体制や業務執行体制はこの規模に応じたものとなっております。このため、業容拡大に応じた人員を確保できず役職員による業務遂行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、規模に応じた充分な内部管理体制や業務執行体制が構築できず、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)自然災害について

当社グループは神奈川県川崎市に本社事務所を構え、その他、海外4か所に支店を設けております。当社グループの事業所において、大地震や津波、台風、洪水等の自然災害及び事故、火災等の発生により、設備の損壊や電力供給の制限等の事業活動に支障を来す事象が発生し、業務の遂行が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)大株主について

当社の取締役会長である小野悟は、当社グループの大株主であり、本書提出日現在において自身が発行済株式総数の17.6%を保有するとともに、その同族関係者及び同族関係者の資産管理会社の所有株式数を含めると発行済株式総数の64.0%を所有しております。同人は安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社グループといたしましては、同人及びその同族関係者は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人及びその同族関係者の株式の多くが減少した場合等には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)における世界経済は、米国経済が堅調に推移する一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の悪化等、地政学リスクが燻る状況にあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。日本国内においては、景気が緩やかに回復しつつある一方、物価の上昇や為替変動等が国内経済に与える影響も懸念され、依然として注視が必要な状況となっております。

そうした中、当社グループが属する市場調査レポート出版業界においては、最新の市場動向調査レポートに対するニーズが益々高まっております。一方で、インド、中国系の調査出版会社の台頭や調査出版会社自身による直販部門のシェア拡大等が見られ、事業環境は常に変化しております。

このような状況の下、当社グループは幅広い顧客ニーズに対応するため、当社WEBサイトにおいてレポートをはじめとする商品ラインナップの拡大に努めており、当連結会計年度からAIプラットフォーム型コンテンツの取扱いを開始しました。この他、定期的に調査会社との共催セミナーを開催し、関心の高いテーマに関する情報発信に注力しております。販売面では、AI翻訳ツールの提供や顧客の要望に対応したレポートのカスタマイズ提案、及び購買後のアフターフォロー強化等により、顧客満足度の向上に努めました。同時に、各種WEBマーケティング施策や広告媒体への出稿を行い、GIIブランドの認知度向上による顧客基盤の拡大を図っております。また、国際会議・展示会事業においては、実地開催を中心に徐々に取扱いを増やしております。

株式会社ギブテックにおいては、ZETA通信の基本デバイス(基地局、中継器)及びセンサー類を含む自社ブランド製品「JAZE」シリーズの製品ラインナップを拡充し、スマートビルディングをはじめ様々な分野での用途拡大に向け、事業展開しております。また、展示会等のイベントにおいて、非接触にて名刺情報の入手や資料データの提供を行うことができる非接触型情報受け渡しツール「AiMeet(アイミート)」の販売にも取り組んでおります。

この結果、当連結会計年度の売上高は2,749,260千円(前年同期比5.8%減)、営業利益は437,788千円(前年同期比16.8%減)、経常利益は465,476千円(前年同期比17.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は315,061千円(前年同期比17.7%減)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

(市場・技術動向に関する情報提供事業)

当セグメントは、取扱商品・サービスの違いにより、市場調査レポート事業、年間情報サービス事業、委託調査事業及び国際会議・展示会事業の4つに区分されております。以下には事業区分別の業績について記載いたします。

 

(a) 市場調査レポート事業

当社の主力である市場調査レポート事業は、検索エンジン対策(SEO)や購買後のアフターフォロー強化等の各種集客施策に取り組んでまいりました。本社部門においては、当連結会計年度の下半期から、市場調査レポートの受注が伸び悩んでおり、売上高は前年同期を下回りました。海外部門においては、韓国支店が低調に推移し、売上高は前年同期を下回りました。

この結果、市場調査レポート事業全体では、前年同期比7.8%減2,319,789千円となりました。

 

(b) 年間情報サービス事業

年間情報サービス事業は、本社部門においては、売上高は前年同期を下回りました。海外部門においては、台湾支店が好調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。

この結果、年間情報サービス事業全体では、前年同期比1.8%減183,621千円となりました。

 

 

(c) 委託調査事業

委託調査事業は、本社部門においては、売上高は前年同期を下回りました。海外部門においては、韓国支店が好調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。

この結果、委託調査事業全体では、前年同期比10.2%増162,426千円となりました。

 

(d) 国際会議・展示会事業

国際会議・展示会事業は、国内の新型コロナウイルス感染症の規制緩和に伴い、国際会議の取り扱い商品数を拡大しております。国際会議・展示会参加者数は年間通じて増加しており、本社部門、海外部門合計の売上高は前年同期を大きく上回りました。

この結果、国際会議・展示会事業全体では、前年同期比54.9%増36,547千円となりました。

 

以上より、当セグメントの売上高は2,702,385千円となり、セグメント利益(営業利益)は455,612千円となりました。

 

(その他事業)

当セグメントにおきましては、株式会社ギブテックにおけるIoT向け無線通信方式であるLPWA通信に関する製品の販売、受託開発等を主な事業にしております。自社ブランド製品「JAZE」シリーズ及び展示会DXツール「AiMeet」の販売促進に取り組んでおり、売上高は前年同期比7.3%増46,874千円となりました。セグメント損失(営業損失)は在庫評価減の影響もあり、19,144千円となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ、241,290千円増加の3,164,745千円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ、226,663千円増加の3,067,076千円となりました。この主な要因は、現金及び預金の269,287千円増加、売掛金の62,061千円減少等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ、14,627千円増加の97,668千円となりました。この主な要因は、車両運搬具の4,658千円増加、繰延税金資産の1,225千円増加等によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、61,980千円増加の695,292千円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ、46,180千円増加の390,094千円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の32,336千円増加、未払金の15,526千円増加等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ、15,800千円増加の305,198千円となりました。この主な要因は、役員退職慰労引当金の15,045千円増加等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、179,309千円増加の2,469,453千円となりました。

この主な要因は、利益剰余金の161,413千円増加等によるものであります。

なお、自己資本比率は78.0%となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、530,718千円減少し、当連結会計年度末には1,869,696千円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は396,520千円(前連結会計年度は290,651千円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益465,476千円、役員退職慰労引当金の増加15,045千円、売上債権の減少72,672千円、仕入債務の増加5,713千円、法人税等の支払額161,716千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は811,031千円(前連結会計年度は4,671千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出11,010千円、定期預金の預入による支出1,600,006千円、定期預金の払戻による収入800,000千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は152,984千円(前連結会計年度は142,789千円の減少)となりました。これは、株式の発行による収入499千円、配当金の支払額153,484千円があったことによるものであります。

 

④ 仕入、受注及び販売の実績
(a) 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

市場・技術動向に関する情報提供事業

1,415,069

91.87

その他事業

29,266

99.80

合計

1,444,335

92.02

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

(b) 受注実績

当社グループは受注活動を行っておりますが、受注実績は販売実績と近似しているため、記載を省略しております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

市場・技術動向に関する情報提供事業

2,702,385

94.03

その他事業

46,874

107.27

合計

2,749,260

94.22

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 会計方針に関する事項」に記載しております。

 

② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

③ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について

資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの主要な資金需要は、運転資金、法人税等の支払い等であり、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー等により、必要とする資金を調達しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

当社グループは、売上高、売上総利益及び営業利益を重要な経営指標と位置付けております。

当連結会計年度において、売上高は2,749,260千円、売上総利益は1,304,924千円、営業利益は437,788千円となりました。

売上高については、市場調査レポートの受注が当初予算を下回る結果となり、前年同期比94.2%となりました。

売上総利益については、上記売上高の減少に伴い、前年同期比96.8%となりました。

営業利益については、人件費を中心とした販管費の増加により、前年同期比83.2%となりました。

 

当連結会計年度の各経営指標は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(自 2023年1月1日 

   至 2023年12月31日

当連結会計年度

(自 2024年1月1日 

   至 2024年12月31日

金額(千円)

前年同期比

(%)

金額(千円)

前年同期比

(%)

売上高

2,917,792

97.8%

2,749,260

94.2%

売上総利益

1,348,119

96.9%

1,304,924

96.8%

営業利益

526,367

84.0%

437,788

83.2%

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、株式会社ギブテックにおいて、ZETA通信用基本デバイスの開発及びZETA通信モジュールを搭載したスマートセンサーの開発等に係る研究開発活動を行っております。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は3,813千円であります。

なお、市場・技術動向に関する情報提供事業セグメントにおいては、研究開発活動を行っておりません。