文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」ことを企業理念として掲げ、インターネットを最大限活用し、価値を生む人とそれを活かす人を最大多数結びつけ、世界中の才能をつなげるクリエイティブプラットフォームを創造することで、多様性に富む活気ある社会の実現に貢献していくことを目指しております。
(2)経営環境とそれに対応する経営戦略
当社グループにおけるサービスの売上のうち、インターネット広告を含む各種広告にかかる素材利用が一定の割合を占めております。
当社グループの主要な事業であるPIXTA事業において取り扱う写真・イラスト・動画等のデジタル素材は、主に、企業やメディア各社、広告制作会社そしてデザイナーによりさまざまな媒体での広告制作物において、ビジュアル効果を高めるために使用されております。
インターネット広告市場につきましては、2024年に、インターネット広告費で3兆6,517億円(前年比9.6%増)(※)と、1996年から一貫して成長を続けており、広告のインターネットメディアへのシフトが続いております。
従って、当社グループを取り巻く事業環境は、今後もインターネットメディア及び動画広告をはじめとするインターネット広告市場の拡大や、著作権等に関するコンプライアンス意識の高まりを受け、デジタル素材ニーズはさらに増加していくものと想定されます。また、主にSNSの普及を背景としたライフイベント時の撮影ニーズ増加・ライフイベントの多様化を受け、家族写真撮影の市場も拡大・多様化の傾向にあります。一方、画像認識に関する機械学習については、深層学習技術の発展等によりその精度は向上し続けており、自動運転・セキュリティ分野などの様々な分野での活用が加速していくなかで、学習データの重要性は高まっております。さらに、近年ではAIを用いた自動画像生成等の技術革新が進んでおります。
このような事業環境のもと、当社グループ中期の経営戦略としては、事業間のシナジーを活かし、顧客に応じて最適なサービスを提供することで、法人・個人の様々なビジュアルニーズを横断的に解決する「ビジュアルプラットフォーム」を目指します。これを実現するために、当面3年程度は一定の営業利益水準を維持したうえで、売上の再成長を目指すための投資を進めてまいります。セグメントごとの方針は、次のとおりであります。
PIXTA事業のうち、マーケットプレイスについては、人物コンテンツの販売開始点数の増加や品質のアップデートを通じてコンテンツの魅力を高めるとともに、UI・UXの改善や商品・価格体系の改善を進めることで既存の顧客層への訴求を図ります。さらに、イラストオーダーメイド等の新サービスの展開を通じて顧客のクリエイティブ領域での選択肢を増やすことができる取り組みを進めることで新たな顧客需要の開拓を図ります。機械学習向けデータ販売サービスについては、マーケットプレイスの素材以外のデータも扱うプラットフォームの立ち上げを通じて、市場や顧客に対する理解を深めることでデータ販売以外の機械学習周辺領域でもサービス展開をし、より大きな市場に対してサービスを提供することでPIXTA事業の再成長に寄与できるサービスとなることを目指します。
fotowa事業につきましては、2024年12月にマッチングサービス(仲介契約形態)から自社提供サービス(請負契約形態)へリニューアルをしました。これにより今まで以上に顧客に対する利便性の向上につながるサービスを提供することが可能となりました。今後はサービスの付加価値を高めることで、売上単価向上を図りセグメント利益の改善を目指します
その他の事業としては主にPIXTAオンデマンド事業及びPIXTAカスタム事業を展開しております。当社グループ中期の事業方針である法人・個人の様々なビジュアルニーズを横断的に解決する「ビジュアルプラットフォーム」を目指すうえでは、両事業で実施している撮影領域でのサービス提供が重要であると考えております。両事業を中心とした新規事業群への投資を通じて、中期的にはPIXTA事業、fotowa事業に続く新たなメイン事業の創出を目指します。
(※ 出典:株式会社電通「2024年 日本の広告費」)
(3)目標とする経営指標
当社グループは、中長期的な事業拡大と企業価値の増大を図っていくために、重要な経営指標として、売上高、営業利益及びそれらの成長率を重視しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、さらなる事業拡大と収益基盤の安定化のために、以下の項目を対処すべき課題と認識し、対応を推進しております。
① 収益基盤の強化
当社グループは、主力サービスであるPIXTA事業においてデジタル素材販売による収益基盤を構築し、PIXTA事業で得られる利益をもとに新規事業への投資を行っております。事業拡大による飛躍的な成長を遂げるために、収益基盤の強化は重要な課題であると認識しております。
今後もPIXTA事業を安定的に成長させていくため、長期的な収益基盤の軸となる定額制販売の強化及び販売素材の充実に努めてまいります。
また、fotowa事業及びその他の新規事業においても、顧客獲得施策を推進し、収益基盤の構築に取り組んでまいります。
② 新規サービス・新規事業の立ち上げ
現在、当社グループにおいては複数のクリエイティブ・プラットフォームを運営しておりますが、既存のプラットフォームの強みを活かした新規サービス・新規事業の開拓は課題の一つであると認識しております。
今後も、素材のジャンル拡大や販売方法・提供サービスの多様化等、ユーザーにとって価値のある新規サービス・新規事業を検討し展開していきたいと考えております。
③ サービスの継続的改善及び技術革新への対応
当社グループが展開する事業は、技術革新や顧客ニーズの変化等の激しい業界であり、特に近年では、AIを用いた自動画像生成等の制作技術革新が進んでおり、運営サービスの継続的な改善は不可欠な課題であると認識しております。
この課題に対応するため、AI技術の積極的な活用により新たな顧客層の開拓やユーザビリティの向上に努めてまいります。また、サイト・サービスの安全性強化及び安定運用のための施策についても引き続き取り組んでまいります。
④ 人材の確保・育成
事業拡大及び経営体制の強化のために、優秀な人材の確保・育成は不可欠な課題であると認識しており、当社グループ理念に共感する優秀な人材を獲得するための採用施策及び企業理念や行動指針であるピクスタウェイの共有等に取り組んでおります。
また、当社では、既にリモートワーク体制を原則とした勤務体制を整備しておりますが、今後も、社員が生産性を最大化できる環境で業務に取り組めるような体制の整備を推進してまいります。
⑤ 経営管理体制の強化
企業価値の継続的な向上を図るにあたり、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するような仕組みを強化・維持していくことが不可欠であると認識しております。そのため、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいります。
当社グループは、多くの分野で才能が埋もれている現状に目を向け、「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」という企業理念を軸に、インターネットを通じて「世界中の才能をつなげるクリエイティブプラットフォームを創造していく」というグループビジョンを定めて、長期的に持続可能な企業価値向上を推進しております。
上記のビジョン及び企業価値向上の実現には、社員一人一人が継続的に成長し、自らの価値を高めることが必要であると考えており、人的資本を重要な経営課題と認識しております。そのため、社員の行動指針としてピクスタウェイを定め、一人一人が自律自走し継続的に成長できる環境づくりを大切にしています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、主にPIXTA、fotowa、PIXTAオンデマンドという3つのクリエイティブプラットフォームを運営しており、気候変動のリスクは限定的であると考えております。
一方で、当社を取り巻く環境にはサステナビリティ関連の以下のようなリスクが存在する可能性があると考えております。
①技術革新やライフスタイルの急激な変化への対応遅れにより、新たな価値提供ができなくなり、その結果、当社グループサービスの利用者数が減少するリスク
②少子高齢化に伴い、優秀な人材の確保が困難になるリスク
当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクを含むリスク管理が経営の重要課題であることを認識し、「リスク管理規程」に基づき、すべてのリスクを総括的に管理しております。具体的には、サステナビリティ関連のリスクを含めたすべてのリスクを統括的に管理するリスク管理委員会において、現在及び将来におけるリスクの状況及び当該リスクへの対応状況について議論を実施し、追加的な対応や対策の必要性等を検討しております。
(2)戦略
当社グループでは、企業理念およびグループビジョンの実現に向けて以下のような取り組みを行ってまいりたいと考えております。
主力サービスであるPIXTA事業を安定的に成長させ、そこで得られる利益を元に新規サービス・新規事業、サービスの継続的改善、技術革新への対応等へ取り組んでまいります。
詳細につきましては、
(3)リスク管理
(1)に記載のとおり、リスク管理委員会において、現在及び将来におけるリスクの発生又は顕在化の状況及び当該リスクへの対応状況について議論を実施し、追加的な対応や対策の必要性等を検討しております。
(4)指標及び目標
現在、当社では多様性に関する属性別の目標数値や具体的なサステナビリティ関連のリスク指標を設定しておらず、今後の人材戦略整備プロセスにおいて、必要に応じてこれらを検討する予定です。リスク管理委員会では、適宜情報を共有し、現状の分析と対応策について議論しています。
一方で、社内環境整備に関する指標の設定・可視化は重要視されており、具体的な数値は公開されていませんが、引き続き検討し、企業理念およびグループビジョンの実現に向けた施策の制定と実施を進めています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
また、本書提出日現在において、以下に記載したリスクが顕在化する可能性についてはいずれも低いと判断しておりますが、リスクが顕在化する可能性が発生した場合には、早期に財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響にかかる分析を行ったうえで、必要な対応を図ってまいります。
(1)事業環境に関わるリスクについて
① 広告市場の動向について
当社グループにおけるサービスの売上のうち、PIXTA事業においては、インターネット広告を含む各種広告にかかる素材利用が一定の割合を占めております。このため、常に広告市場の動向を注視し、幅広いニーズに対応するための素材の充実及び価格体系や提供プランの最適化に取り組んでおりますが、広告市場の変化や景気低迷による広告制作予算の削減等外部環境の変動により、当初想定していた収益を確保することができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 家族写真撮影市場の動向について
当社グループにおけるサービスのうち、fotowa事業においては、子ども・家族写真の出張撮影が主な売上を占めております。お宮参りや七五三等の伝統的な子どもの記念日・行事等に加え、ニューボーン(新生児)撮影やハーフバースデー等の比較的新しい撮影ジャンルにおける顧客開拓を進めておりますが、これらの子どもの記念日・行事等に関する消費動向の変化等の外部環境の変動により、当初想定していた収益を確保することができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、子ども写真撮影市場は、少子化にも関わらず安定した成長を続けておりますが、既に写真館や出張撮影サービスの競合が複数社存在しております。fotowa事業では、カメラマンのクオリティやサービスサイトの使用感向上、周辺サービスの付加価値を高めることによる差別化に取り組んでおりますが、競合他社と比べ当社グループの競争力が低下した場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新等への対応について
当社グループが事業を展開するクリエイティブ業界においては、技術革新や顧客ニーズ等の変化の激しい業界であり、特に近年では、AIを用いた自動画像生成等の制作技術革新が進んでおります。
当社グループでは、業界の動向を注視しつつAI技術の積極的な活用により、サービス価値向上に取り組んでおりますが、当社が予期しない急激な変化が発生し、適時な対応が取れなかった場合には、当社グループの競争力の低下につながり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ システム・セキュリティ対応並びにシステム障害の発生による影響について
当社グループは、主にインターネットを媒介としてサービスを提供しており、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を推進し、トラブルが発生した場合においても、短時間で復旧できるよう努めております。
しかしながら、大規模なシステムの不具合や想定を大幅に上回るアクセスの集中、コンピュータウイルス・サイバー攻撃等当社が予期しない事象の発生によって、開発業務やシステム設備並びにバックアップデータ等に重大な被害が発生した場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業運営に関わるリスクについて
① 優良クリエイター・カメラマンの確保について
PIXTA事業においては、クラウドソーシングにより不特定多数のクリエイターから素材を受け入れ、販売しております。購入者のニーズに合う素材を提供するクリエイター増加のため、専属クリエイター・独占提供素材に関する制度を設け、また、クリエイター向けの情報発信やセミナー・撮影会等のイベントを開催する等の施策を継続的に実施しております。
また、fotowa事業においては、当社独自の審査を経て登録されたカメラマンが、ユーザーの予約申込に応じて指定された場所へ赴き撮影を行っております。
しかしながら、何らかの予期せぬ事象発生により、優良クリエイターやカメラマンが十分に確保できず、購入者やユーザーのニーズに対応できない状況となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 撮影時の事故・トラブル等について
fotowa事業においては、カメラマン登録に際し独自の審査を実施し、ユーザーと円滑にコミュニケーションを取りながら高品質な家族写真を撮影可能なカメラマンを厳選し登録しております。また、撮影が安全・円滑に行われるよう、カメラマン向けのガイドライン整備や情報提供を定期的に実施しております。
しかしながら、万が一、機材不良等による撮影遂行の不可、撮影中の怪我や器物破損等の事故、カメラマンとユーザー間のトラブルその他予期せぬトラブル等が発生した場合には、対応にかかる工数・経費発生や当社サービスの信用低下及びイメージ悪化につながる等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新規サービス・新規事業の開拓のための戦略的投資について
当社グループにおいては複数のクリエイティブ・プラットフォームを運営しておりますが、一層の事業拡大のために、既存のプラットフォームの強みを活かした新規サービス・新規事業の開拓及び育成に取り組んでいく方針でおります。
これらにより、システム投資やマーケティング等にかかる追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、予測とは異なる状況が発生し、新規サービス・新規事業の展開が計画通りに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制について
① 一般的なインターネットにおける法的規制について
当社グループが展開する事業分野においては、「特定商取引に関する法律」「資金決済に関する法律」等をはじめとする法規制が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からの議論等、インターネット利用の普及に伴う法的規制の在り方については引き続き検討が行われている状況にあります。
このため、今後インターネット関連分野において新たな法律の制定や既存法令の改正による規制強化等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報取扱事業者であることについて
当社グループは、サービス利用者に関する個人情報の取扱事業者であり、これらの個人情報を電磁的方法により記録し、管理しております。このため、当社グループでは社内規程やルールの整備、社内管理体制の強化、社員教育の徹底、情報システムのセキュリティ強化等により、個人情報を保護するための管理機能の向上を図り、「個人情報の保護に関する法律」の遵守、個人情報の漏洩防止に努めております。
しかしながら、これらの個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権、肖像権等について
当社グループのサービスにおいてはいずれも、デジタル素材に係る著作権等の知的財産権を適切に管理し、その利用許諾をすることが事業の根幹であると認識しております。例えばPIXTA事業については、クリエイターに対し、デジタル素材のアップロード時に権利に関する確認を行う、また特定の個人を識別することが可能な人物素材に関しては肖像権使用同意の取得を必須とするなどの対応を行っております。fotowa事業についても、サービスの性質に合わせて適宜必要な措置を講じております。
また、新規事業・新規サービスの開発にあたっても、弁護士等専門家と協議検討の上、権利侵害が発生しないよう、細心の注意を払ってサービスの設計にあたっております。
しかしながら、そうした対応にも関わらず、権利侵害が発生し、訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ デジタル素材の不正使用等について
PIXTA事業においては、利用規約及び関連するサイト内の表示により、デジタル素材の利用可能範囲及び禁止行為を明確に購入者に提示しております。万一不正使用が発生した場合、速やかな通報が可能なように不正使用報告専用フォームをサイト内に設置し、各案件について、迅速かつ適切な対応にあたるよう努めております。
しかしながら、不正使用による訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
① 人材確保・育成について
事業拡大及び経営体制の強化のため、優秀な人材の確保及び育成を継続していくことが必要であると考えており、特に、当社グループ理念に共感する優秀な人材を獲得するための採用施策及び企業理念や行動指針であるピクスタウェイの共有等に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループの求める人材が必要な時期に十分確保・育成できなかった場合や想定外の人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 自然災害等の影響について
地震、風水害等の自然災害によりシステム等の設備、社員等への被害が発生し、事業運営に支障をきたした場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症の流行等については、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内拠点を対象にリモートワークを原則とした勤務制度を速やかに導入し、緊急事態宣言発令等オフィスでの事業活動が困難な状況となった場合にも通常通りの事業活動を継続できる体制を整備してまいりました。
しかしながら、このような感染症拡大等により経済状況が著しく悪化し、(1)に記載した事業環境が影響を受けた場合、当社グループの事業及び業績へも影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、インバウンド需要の高まりや雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調となっているものの、世界的な金融引き締め局面からの転換期を迎える中、米中対立やウクライナ紛争の長期化といった地政学リスクを抱えており依然として先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループを取り巻く環境としましては、スマートデバイス、スマートフォン(以下、スマホ)アプリやインターネット広告(動画広告を含む)の普及に伴い、これまで以上にインターネットでのデジタル素材の活用機会が増えております。また、近年、スマホに付属するカメラ機能の高機能化やアプリの加工技術の向上により誰もが手軽に高品質の写真撮影ができるようになり、さらに撮影したスマホ写真をソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNS)に投稿・共有するスタイルが若年層を中心に定着してきました。加えて、ライフイベントごとの撮影機会の増加やSNSでの写真共有の増加に伴い、個人の撮影サービス市場は拡大するとともに、顧客ニーズは多様化しております。また、画像認識に関する機械学習については、深層学習技術の発展等によりその精度は向上し続けており、自動運転・セキュリティ分野などの様々な分野での活用が加速していくなかで、学習データの重要性は高まっております。さらに、近年ではAIを用いた自動画像生成等の技術革新が進んでおります。
このような状況の下で、当社グループは「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」という企業理念の下、主にデジタル素材マーケットプレイス「PIXTA(ピクスタ)」、出張撮影プラットフォーム「fotowa(フォトワ)」を運営してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,882,381千円(前期比9.9%増)、営業利益は574,196千円(前期比71.3%増)、経常利益は566,766千円(前期比87.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は393,051千円(前期比50.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.PIXTA事業
PIXTA事業において、定額制の月間購入者数累計は、少量ダウンロードプランの利用ユーザーが増加したこと等により、143,713人(前期比0.7%増)となりました。一方、単品の月間購入者数累計は、大口案件の発生等により売上は増加したものの年賀状用途で購入ユーザーの減少等により、106,967人(前期比10.2%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は2,564,820千円(前期比10.2%増)、うち定額制売上高は、1,341,588千円(前期比0.1%増)となりました。また、セグメント利益は、1,090,154千円(前期比22.8%増)となりました。
b.fotowa事業
fotowa事業において、新生児撮影の増加が寄与し、累計撮影件数は30,111件(前期比3.1%増)となりました。また、当連結会計年度におけるギフト券の失効に伴う売上の計上額は4,240千円と前年同期の8,874千円から減少しました。これは、前連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症による行動制限に伴い有効期限を延長していたギフト券について、延長後の有効期限が到来し失効したことにより増加していたためです。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は211,299千円(前期比2.2%増)となりました。
また、セグメント損失は、広告宣伝費を抑制させたこと等により、58,438千円(前期はセグメント損失90,540千円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,845,154千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は586,009千円(前期は285,603千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が570,285千円となった一方、広告宣伝費の支払減少に伴い未払金の増減額が22,418千円の減少、法人税等の支払額が55,060千円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により獲得した資金は17,473千円(前期は33千円の収入)となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入が37,330千円となった一方、無形固定資産の取得による支出が14,743千円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は268,764千円(前期は246,889千円の支出)となりました。主な支出要因は、長期借入金の返済による支出40,008千円、自己株式の取得による支出230,052千円となったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)の事業は、提供するサービスの性質上、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
PIXTA事業 |
2,564,820 |
10.2% |
|
fotowa事業 |
211,299 |
2.2% |
|
報告セグメント計 |
2,776,119 |
9.5% |
|
その他 |
106,262 |
22.6% |
|
合計 |
2,882,381 |
9.9% |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Amazon.com Services LLC |
- |
- |
331,821 |
11.5 |
前連結会計年度において、Amazon.com Services LLCは販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであり、将来生じる実際の結果とは異なる可能性があります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ304,588千円増加し、2,609,660千円となりました。これは主に、現金及び預金が340,020千円増加した一方で、敷金及び保証金が37,125千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ133,451千円増加し、1,449,996千円となりました。これは主に、未払法人税等が125,468千円、買掛金が63,309千円増加した一方で、1年内返済予定長期借入金が20,044千円、長期借入金が19,964千円、未払金が19,489千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ171,136千円増加し1,159,664千円となりました。これは主に、利益剰余金が392,659千円増加した一方で、自己株式の取得に伴う自己株式の増加228,365千円により減少したことによるものであります。
2)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、2,882,381千円(前期比9.9%増)となり、そのうちPIXTA事業の定額制売上は1,341,588千円(前期比0.1%増)となりました。主な要因は、PIXTA事業の単品売上が大口案件の発生等により堅調に推移したためであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は978,352千円(前期比7.7%増)となりました。主な要因は、売上原価で計上している賃借料(サーバー代)が主に米国ドル建て決済のため、当年度の為替レートが円安となったことに伴い円建て金額が増加したこと及びPIXTA事業の単品売上の増加に伴い素材仕入が増加したこと等によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,329,832千円(前期比3.5%減)となりました。主な要因は、前連結会計年度に実施した本社移転に伴って地代家賃及び減価償却費が減少したことによるものであります。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は6,939千円(前期比36.0%減)となりました。主な内訳は、受取手数料3,477千円、受取補償金1,142千円であります。
当連結会計年度の営業外費用は14,369千円(前期比67.2%減)となりました。主な内訳は、支払手数料10,336千円、為替差損3,765千円であります。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は3,519千円(前期比94.4%減)となりました。内訳は、新株予約権戻入益3,519千円であります。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は177,233千円(前期比108.7%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は574,196千円(前期比71.3%増)、経常利益は566,766千円(前期比87.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は393,051千円(前期比50.3%増)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況の分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
②重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。
当社グループが採用している重要な会計方針及び重要な見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 会計方針に関する事項」、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載をしております。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、システム、事業運営体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場ニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。
④経営戦略の現状と見通し
当社グループを取り巻く事業環境においては、今後もインターネットメディア及び動画広告をはじめとするインターネット広告市場の拡大に伴い、デジタル素材ニーズはさらに増加していくものと想定されます。また、主にSNSの普及を背景としたライフイベント時の撮影ニーズ増加・ライフイベントの多様化を受け、家族写真撮影の市場も拡大・多様化の傾向にあります。一方、画像認識に関する機械学習については、深層学習技術の発展等によりその精度は向上し続けており、自動運転・セキュリティ分野などの様々な分野での活用が加速していくなかで、学習データの重要性は高まっております。さらに、近年ではAIを用いた自動画像生成等の技術革新が進んでおります。
このような事業環境のもと、当社グループ中期の事業方針としては、事業間のシナジーを活かし、顧客に応じて最適なサービスを提供することで、法人・個人の様々なビジュアルニーズを横断的に解決する「ビジュアルプラットフォーム」を目指します。これを実現するために、当面3年程度は一定の営業利益水準を維持したうえで、売上の再成長を目指すための投資を進めてまいります。セグメントごとの方針は、次のとおりであります。
PIXTA事業のうち、マーケットプレイスについては、人物コンテンツの販売開始点数の増加や品質のアップデートを通じてコンテンツの魅力を高めるとともに、UI・UXの改善や商品・価格体系の改善を進めることで既存の顧客層への訴求を図ります。さらに、イラストオーダーメイド等の新サービスの展開を通じて顧客のクリエイティブ領域での選択肢を増やすことができる取り組みを進めることで新たな顧客需要の開拓を図ります。機械学習向けデータ販売サービスについては、マーケットプレイスの素材以外のデータも扱うプラットフォームの立ち上げを通じて、市場や顧客に対する理解を深めることでデータ販売以外の機械学習周辺領域でもサービス展開をし、より大きな市場に対してサービスを提供することでPIXTA事業の再成長に寄与できるサービスとなることを目指します。
fotowa事業につきましては、2024年12月にマッチングサービス(仲介契約形態)から自社提供サービス(請負契約形態)へリニューアルをしました。これにより今まで以上に顧客に対する利便性の向上につながるサービスを提供することが可能となりました。今後はサービスの付加価値を高めることで、売上単価向上を図りセグメント利益の改善を目指します。
その他の事業としては主にPIXTAオンデマンド事業及びPIXTAカスタム事業を展開しております。当社グループ中期の事業方針である法人・個人の様々なビジュアルニーズを横断的に解決する「ビジュアルプラットフォーム」を目指すうえでは、両事業で実施している撮影領域でのサービス提供が重要であると考えております。両事業を中心とした新規事業群への投資を通じて、中期的にはPIXTA事業、fotowa事業に続く新たなメイン事業の創出を目指します。
⑤経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、当社グループの企業価値を最大限に高めるべく努めてまいります。経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりですが、特に既存事業において新規購入者及び継続的な購入者の増加施策やサービスの継続的改善を通じて収益基盤の安定化を図ると共に、さらなる成長のため新規事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、PIXTA事業及びfotowa事業における人件費、広告宣伝費があります。
これらの資金需要に対応するための財源は、営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金により調達することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入等により調達していく考えであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,845,154千円となり、当社グループの事業を推進していく上で充分な流動性を確保しております。
⑦経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社の経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、中長期的な事業拡大と企業価値の増大を図っていくために、重要な経営指標として売上高、営業利益及びそれらの成長率を重視しており、当連結会計年度における売上高は2,882,381千円(前期比9.9%増)、営業利益は574,196千円(前期比71.3%増)となりました。
引き続き、これらの改善に向け取り組んでまいります。
⑧セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)PIXTA事業
PIXTA事業において、定額制の月間購入者数累計は、少量ダウンロードプランの利用ユーザーが増加したこと等により、143,713人(前期比0.7%増)となりました。一方、単品の月間購入者数累計は、大口案件の発生等により売上は増加したものの年賀状用途で購入ユーザーの減少等により、106,967人(前期比10.2%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は2,564,820千円(前期比10.2%増)、うち定額制売上高は、1,341,588千円(前期比0.1%増)となりました。また、セグメント利益は、1,090,154千円(前期比22.8%増)となりました。
2)fotowa事業
fotowa事業において、新生児撮影の増加が寄与し、累計撮影件数は30,111件(前期比3.1%増)となりました。また、当連結会計年度におけるギフト券の失効に伴う売上の計上額は4,240千円と前年同期の8,874千円から減少しました。これは、前連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症による行動制限に伴い有効期限を延長していたギフト券について、延長後の有効期限が到来し失効したことにより増加していたためです。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は211,299千円(前期比2.2%増)となりました。
また、セグメント損失は、広告宣伝費を抑制させたこと等により、58,438千円(前期はセグメント損失90,540千円)となりました。
該当事項はありません。
当社グループは、新規事業及び既存事業に競争力をもたらすことを目標に研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は
研究開発活動の概略を示すと次のとおりであります。なお、当社グループでは、研究開発活動はセグメントに関連付けた費用はなく、全社費用として管理していることから、セグメント毎の研究開発費の記載を省略しております。
当連結会計年度において、主にAI機能を用いたテキスト生成の技術調査等を行いました。