当社は、2024年1月31日開催の当社取締役会において、当社の普通株式(以下、「当社株式」といいます。)の併合(以下、「本株式併合」といいます。)を目的とする、2024年3月27日開催予定の臨時株主総会(以下、「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
今般当社は、当社の株主を、当社の支配株主である合同会社TKC(以下、「TKC」といいます。)のみとし、当社株式を非公開化するための手続として本株式併合を実施する予定です。なお、当社の代表取締役社長であり、TKCの代表社員である川路猛氏(以下、「川路氏」といいます。)は、本株式併合後も継続して当社の経営にあたることを予定しております。
本株式併合により、当社の株主はTKCのみとなり、TKC以外の株主の皆様の保有する株式の数は、全て1株未満の端数となる予定です。本株式併合により生ずる1株未満の端数については、会社法(2005年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第2項の準用する同法第234条第2項及び第4項の規定に基づき、裁判所の許可を得た上で、当社が買い取ることを予定しており、その買取りに係る代金を端数が生じた株主の皆様に対して交付する予定です。この場合の買取価格につきましては、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本株式併合の効力発生日の前日である2024年4月29日の最終の当社の株主名簿においてTKC以外の株主の皆様が保有する当社株式の数(以下、「基準株式数」といいます。)に1,150円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。詳しくは、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(1) 1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」をご参照ください。
なお、TKCによれば、TKCは当社株式3,316,050株(所有割合(注):56.4%)を所有する当社の支配株主でありますが、本臨時株主総会において本株式併合に係る議案に賛同する予定であるとのことです。
(注) 「所有割合」とは、当社が2024年1月31日付で公表した「2024年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された2023年12月31日現在の当社の発行済株式総数(5,876,331株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(34株)を除いた株式数(5,876,297株)に占める割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載において同じとします。
以下、TKCに関する記載については、TKCから受けた説明に基づいております。
当社は、2020年10月に単独株式移転の方式によりインヴァスト証券株式会社(以下、「インヴァスト証券」といいます。)の完全親会社として設立され、株式会社東京証券取引所(以下、「東京証券取引所」といいます。)JASDAQ(スタンダード)市場に当社株式をテクニカル上場し、その後、2022年4月4日の東京証券取引所の市場区分の再編を経て東京証券取引所スタンダード市場(以下、「スタンダード市場」といいます。)に当社株式を上場しております。
なお、当社の前身となるインヴァスト証券は、1960年8月に丸起証券株式会社として設立され、1996年3月にこうべ証券株式会社へ商号変更、2005年6月にKOBE証券株式会社へ商号変更した後、2006年3月に大阪証券取引所ニッポン・ニュー・マーケット「ヘラクレス」市場(以下、「大阪証券取引所ヘラクレス」といいます。)に株式を上場し、2007年4月にインヴァスト証券株式会社に商号変更を行いました。その後、各証券取引所の統合に伴い、2013年7月から東京証券取引所JASDAQ市場に株式を上場した後、上記単独株式移転に伴い2020年9月に上場廃止するまで、同市場に株式を上場しておりました。
当社の企業集団(以下、「当社グループ」といいます。)は、当社並びに当社の子会社であるインヴァスト証券、株式会社アルカド(以下、「アルカド」といいます。)、ファルク株式会社(以下、「ファルク」といいます。)、26 Degrees Global Markets Pty Ltd.(旧Invast Financial Services Pty Ltd.で以下、「26 Degrees」といいます。)、Invast Financial Services (EU) Ltd.、Invast Global (CY) Ltd.、Invast Financial Services (UK) Ltd.の計8社で構成されており、外国為替証拠金取引(以下、「FX」といいます。)及び証券その他の差金決済取引(以下、「CFD」といいます。)事業を主たる業務としております。国内金融事業については、当社、インヴァスト証券、アルカド及びファルクが担っております。当社は純粋持株会社であり、子会社のインヴァスト証券は、個人投資家向けに店頭FX、店頭CFD及び取引所FX事業を行っております。また、当社はアルカドを前連結会計年度、ファルクを当連結会計年度に設立し、本格的な事業開始に向けて準備を進めております。なお、インヴァストキャピタルマネジメント株式会社は、当社の連結子会社として貸金業(不動産業者向けファイナンス、中小企業向け事業資金ファイナンス等)を行っておりましたが、2023年4月に事業を廃止しており、2023年10月末に清算を結了しております。また、海外金融事業については、26 Degrees及びその子会社(当社の孫会社)が法人顧客向けに店頭FX及び店頭CFD事業を行っております。
当社グループは、投資家の皆様に「誠実」な金融サービスをご提供し、常にお客様の立場で物事を考え、お客様に「驚きと感動」を感じていただけるようなサービスをご提供することを目指し、そのような経営方針の徹底のためにMission(存在する目的)とVision(目指す姿)を定めております。当社グループは「世界をもっと、良い場所にする」というMissionと「2025年までに全世界で1,000万人の利用者を持つ金融ソリューションを生み出す」というVisionを実現するために、FX事業を中心とした高付加価値サービスの提供と変化する顧客ニーズに対応するほか、様々な人々のお金に関する課題解決を軸とした複数の金融ソリューションの提供を目指し、新規事業を立ち上げております。
また、当社グループは、経営上の指標として、FX・CFD事業における収益の源泉であり、「お客様からの信頼の証」である顧客口座数、預かり証拠金に加え、グループ全体の事業活動の成果を示す連結経常利益を重要視しています。2023年3月期における受入保証金残高は947億51百万円、連結経常利益は3億81百万円、2024年3月期第2四半期における受入保証金残高は915億85百万円、連結経常利益は1億90百万円となっております。また、当社グループは企業価値の向上を目指し、株主資本を有効活用することが重要であるという認識のもと、株主資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置づけています。2023年3月期の連結ベースのROEは1.7%、2024年3月期第2四半期のROE(注)は1.9%となっております。
(注) 「2024年3月期第2四半期のROE」は四半期純利益の平均値を年換算して算出しております。
上記のとおり、国内において、当社グループは個人投資家に対してFX及びCFD事業を展開しており、主な収益は店頭FX及びCFD取引によるトレーディング収益、取引所FX取引による受取手数料で構成されています。上記の各取引は顧客の売買回数や売買単位及び売買単価の増加によって、その収益機会も拡大します。そのため、外国為替その他の市場においてある程度ボラティリティが高まることで顧客による売買が活発になり、それに伴いFX及びCFD事業の収益も拡大します。また、海外において、当社グループはFX及びCFDを取り扱うリテールブローカーや新興ヘッジファンド等の法人顧客に対して、プライム・オブ・プライムサービス事業を展開しております。プライム・オブ・プライムサービスとは、Tier1と呼ばれる国際的な銀行など大手金融機関(プライムブローカー)に取引口座を持ち、その口座を通して、FXやCFDを取り扱うリテールブローカーや新興ヘッジファンドなどに市場へのアクセスを提供するサービスであり、国内と同様に店頭FX及びCFD取引によるトレーディング収益が収益の柱です。
従来、プライムブローカレッジ市場は、国際的な大手銀行の独壇場でしたが、それらの銀行はGFC後の規制改革(バーゼルⅢ/Ⅳ、ドッド・フランク法、MIFID)によって制約を受けることとなりました。具体的には、銀行に対する保有自己資本の厳格化、デリバティブ等のカウンターパーティ・リスクの補足強化、レバレッジの過大な積み増しを制限する「レバレッジ比率規制」などが挙げられます。
このような環境の中で、多くの大手銀行がプライムブローカレッジ事業において顧客の選別を含む事業の縮小を進め、あるいは市場からの撤退を進めていることから、新たに市場への参入余地が生まれており、当社グループにおいても、オーストラリアや欧州を中心に事業を拡大し、直近2年間で大きく収益を伸ばしております。その一方で、収益の源泉であるFXやCFDのデリバティブ事業では、外国為替その他の市場のボラティリティが低い時期が続いた場合は、一般的に顧客の売買回数や売買単位が低下する等、取引量は減少傾向となり、その結果、受取手数料やトレーディング収益も減少することになります。また、海外事業は、収益の構成比率は国内事業と異なるものの、為替、株価指数・個別株、コモディティなど各市場のボラティリティの低下が続く状態では、法人顧客の取引量が減少し、収益機会も減少することになります。
以上のように当社グループは、世界的な経済や政治の動向、株式や金利の値動きといった様々な要因で影響を受ける外国為替その他の市場の相場変動にグループの業績や財務状態が大きく左右される状況にあります。急激な円安相場時等、顧客の想定を超える相場変動により顧客の資産が大きく毀損して、預り資産残高や顧客全体の建玉数が減少した場合、あるいは、コロナショック等の市場の急変動により投資心理が悪化している状態でボラティリティが著しく低い相場である時などは、顧客の取引機会が大きく減少し、取引高の低迷、預り資産残高の減少や建玉数の減少につながる可能性があります。
直近では、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰や、アフターコロナに向けた消費活動の活発化等の影響から世界的に物価上昇が起きており、それを背景とした米国での金利利上げの影響から我が国においては急激に円安が進むなど外国為替市場は大きく変動しております。また、台湾問題をめぐる米中対立の深刻化などの地政学リスクの高まりや中国の不動産大手である中国恒大集団の米国破産法適用申請にあるように中国経済の減速化が表面化しており、外国為替市場や世界の株式市場の先行きは不透明感を増しております。
また、近年の国内FX市場においては、FXサービスを取り扱う金融商品取引業者間において、金融サービスとしての対価であるスプレッド(レート提示銀行の売り値と買い値の価格差)の狭小化など、価格面でのサービス競争が激化しており、競合他社との競争は一層の厳しさを増している状況です。
このように外国為替市場の相場変動によって目まぐるしく変化する事業環境に加えて、国内FX市場の成熟化や同業他社とのスプレッド競争激化に伴う利益率の低下に直面している中で、当社グループは、自動売買を切り口に国内FX市場で独自のポジションを確立し、安定的かつ持続的な成長に注力しておりますが、当社グループの更なる成長・発展のためには国内金融事業の収益基盤強化に加え、海外市場への進出拡大が必要不可欠と考えております。当社グループの海外金融事業は、現状、子会社の26 Degrees及びその子会社を中心に、オーストラリアや欧州を中心にサービスを展開し、2023年4月には英国に新会社を設立する等、新たな地域への進出等により海外事業展開を加速しており、順調に進捗している状況と考えております。但し、海外市場においても、同業他社が増加・成長している中、地理的拠点の拡大、ライセンス取得、ブランドの浸透等の早期の先行投資や財務基盤の大幅な強化を急がなければ、競合他社にシェアが奪われる可能性、あるいは成長が鈍化する可能性があり、早急に抜本的な事業改革を推進していくことが不可欠であると考えております。
2024年3月期第3四半期の連結業績は、営業収益は49億76百万円(前年同期比111.5%)、純営業収益は44億17百万円(前年同期比107.5%)となりましたが、セグメントごとの経営成績としては、為替のボラティリティの減少を背景に、取引高が減少傾向となったこと等から、国内金融事業の純営業収益は19億7百万円(前年同期比83.7%)となり、セグメント損失は84百万円(前年同期はセグメント利益19百万円)となりました。海外金融事業の純営業収益は26億16百万円(前年同期比134.7%)となり、セグメント利益は4億86百万円(同157.1%)となりました。
TKCは、上記のような厳しい経営環境の下、そのような経営環境を克服し、当社グループの事業を成長・発展させるためには、現在の取組みだけでは不十分であり、抜本的な事業改革が必要であると考え、当社の株主の皆様に対して発生する可能性がある当該改革による悪影響を回避し、かつ中長期的な視点から抜本的かつ機動的な経営戦略を迅速かつ果敢に実践するために、2023年8月上旬、当社株式を非公開化することの検討を始めたとのことです。具体的には、以下のような施策を実施することが必要と考えているとのことです。
(ⅰ) オーストラリア子会社での取引量拡大への対応
上記のとおり、国内FX市場が成熟期にある中で、資本規制の強化に伴い大手投資銀行が撤退し、新たに参入余地が生まれているプライムブローカレッジ市場は当社グループが収益を拡大する上で不可欠です。
当社のオーストラリア子会社である26 Degrees及びその子会社は2023年3月期に既に当社の連結営業収益の約半分を占めている一方で、国内事業と比較しても過去数年間で大きな成長を遂げており、今後もFX・CFD取引において取引量の継続的な増大が見込まれると考えているとのことです。
潜在的な取引量の増大を収益機会とするためには、財務基盤を大幅に強化することで、カバー取引先である金融機関における与信枠を拡大することに加えて、リスク分散のためにより多くの金融機関をカウンターパーティーとしてカバー取引をする必要があります。また、一定以上の資産要件を取引条件としている法人顧客もあり、これらの顧客と取引を開始、継続するためにも財務基盤の強化は必須となります。したがって、潜在的な収益機会を捉え、さらなる成長を目指すためには、当社による子会社への継続的かつ十分な資本の拡充が必要となるとのことです。
(ⅱ) M&Aを含む地理的拠点の拡大
海外市場において同業他社が参入・成長している中で、当社グループが収益及びシェアを拡大していくためには、地理的拠点の拡大、海外におけるブランドの浸透等を早期に推進する必要があるとのことです。
各拠点におけるサービスの提供にあたっては、現地のライセンスが必要となる場合があります。当該ライセンスの取得のためには相応の期間を要し、資産要件や当該ライセンスに係る業務を適格に遂行するに足る人員の確保、コンプライアンス体制の整備等、一定の要件を満たす必要があります。また、競争優位性を確立するためには、金融人材の獲得、セールス機能の強化を早急に進める必要があります。したがって、M&Aは有効な手段であり、既存の人的資源の投入による拠点拡大とあわせて、積極的に推進するべきであると認識しているとのことです。
一方で、上記の各施策の実施により事業構造の改革を推進していくにあたっては、海外拠点での人材獲得及びシステム投資、広告・宣伝、海外現地法人の買収等に経営資源を短期集中的に投下する必要があり、相応の先行投資が発生するとのことです。また海外子会社の事業拡大のためには資本の拡充が求められ、継続的に資本投下を行う必要があることから、一時的に収益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性が否定できず、短期的には当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与えるリスクがあるとのことです。
TKCは、上記を踏まえると、当社が上場を維持したまま各施策を実施した場合には、資本市場から十分な評価を得ることができず、当社株式の株価が下落し、当社の一般株主の皆様に対して悪影響を与えてしまう可能性があると考えているとのことです。
また、TKCは、当社が2006年に大阪証券取引所ヘラクレスに株式を上場して以来、当社は知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきたものの、こうした知名度や社会的な信用力の向上等については、創業以来の事業活動の中で、FX事業者としての知名度や信用力を十分に獲得してきたものであり、株式の上場以外の方法によっても実現可能であることや、金融機関との間で良好な関係を築けており、間接金融を通じて必要に応じた資金調達が想定され、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性が当面見込まれていないこと、M&Aの候補となる会社は主として海外の同業他社であり、当社株式を対価とするM&Aスキームの活用は具体的に想定されていないこと、当社株式の上場を維持するために必要なコスト(有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する人的負担、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する金銭的負担、内部統制関連コスト等)を踏まえると、今後も継続して当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えているとのことです。
以上のような点を踏まえ、TKCは、当社が上記施策を実施するにあたっては、当社株式を非公開化することが、当社の株主の皆様に対して発生する可能性がある上記悪影響を回避し、かつ中長期的な視点から抜本的かつ機動的な経営戦略を迅速かつ果敢に実践するために最も適切な手段であるという結論に至ったとのことであり、2023年10月下旬、当社に本株式併合の実施に向けた協議・交渉の申し入れを行ったとのことです。
当社は、上記「② TKCによる本株式併合の提案の経緯・目的」に記載のとおり、2023年10月下旬にTKCから本株式併合の実施に向けた上記協議・交渉の申し入れを受け、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載のとおり、本株式併合においては、TKCは当社株式3,316,050株(所有割合:56.4%)を所有する支配株主であり、当社の代表取締役社長である川路氏がTKCの代表社員であるため、その構造上、当社の取締役会と当社の少数株主との間で利益相反の問題が生じる可能性があることから、本株式併合に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、複数の弁護士事務所から見積もりを取得し、役務内容、案件実績及び費用を比較検討した上で、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を2023年10月下旬に選任しました。その後、当社は、本株式併合の実現可能性等についてTMI総合法律事務所を含めて協議・検討を進め、2023年10月下旬、本株式併合を実施することについて本格的な検討を開始することとしました。なお、当社は、公開買付けを前置せずに本株式併合を実施する手法については、(ⅰ)TKCが当社の総議決権の56.4%を保有しており、また、川路氏の二親等以内の親族並びに光陽株式会社(川路氏及びその近親者が議決権の過半数を所有する会社の完全子会社)の議決権を含めると合計で67%超を保有しているため、本株式併合を実施するために公開買付けを前置する必要は必ずしもなく、(ⅱ)また、仮に公開買付けを前置する場合には、公開買付代理人への報酬を含む公開買付けに係るアドバイザー費用等が発生するところ、これらのコストは、買付者(買収目的で設立される会社)と当社との合併等を通じて結果的に当社が負担することになり、これらの当社の負担を考慮すると、公開買付けを前置する場合、少数株主に分配可能な金額が公開買付けを前置せずに株式併合を実施する場合に比べて限定的となり得るし、公開買付期間を含む追加的な時間が必要になるが、公開買付けを前置しない場合これらが不要となり、より低コストかつ短期間で当社株式の非公開化が可能となること、(ⅲ)少数株主の皆様が本株式併合に係る端数処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額に不満があるとして本株式併合に反対する場合には、法令上、一定の要件の下で株式買取請求権が認められており、少数株主の皆様は公正な株式買取価格の決定を求めて裁判所に申立てを行うことができること等、少数株主の皆様の利益保護に資する制度が設けられていること等から、不合理とはいえないとの考えに至り、上記の本格的な検討を開始したものです。
そして、当社は、TKCから独立した立場で当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本株式併合の提案に係る検討、交渉及び判断するための体制を整備いたしました。具体的には、当社取締役会は、2023年10月31日に、当社の社外取締役及び社外有識者から構成される特別委員会(以下、「本特別委員会」といいます。)を設置し、本特別委員会自らTKC及びその他の取引関係者と協議・交渉する権限を付与するとともに、本株式併合に関する決定を行うに際して本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本株式併合について妥当でないと判断した場合には、本株式併合を行う旨の意思決定を行わないことを決議いたしました(本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における特別委員会の設置」をご参照ください。)。また、本特別委員会は、株式価値算定を提供役務として含む複数の企業から見積りを取得し、案件実績及び費用を比較検討した上で、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立した第三者算定機関として山田コンサルティンググループ株式会社(以下、「山田コンサル」といいます。)を2023年11月下旬に選任しております。
その上で、本特別委員会は、2023年12月19日に、TKCから、本株式併合に係る端数処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額(以下、「本件端数処理交付見込額」といいます。)を1株当たり900円とする旨の提案を受領しました。これに対して、本特別委員会は、2023年12月20日に、TKCに対して、当該提案に係る金額は少数株主の皆様の期待に応えられる水準とは乖離があるとして、本件端数処理交付見込額の引上げを要請しました。その後、本特別委員会は、2024年1月5日に、TKCから、本件端数処理交付見込額を1株当たり1,148円とする提案を受領しました。これに対して、本特別委員会は、2024年1月9日に、TKCに対して、本件端数処理交付見込額の引上げを要請しました。その後、本特別委員会は、2024年1月12日に、TKCから、本件端数処理交付見込額を1株当たり1,149円とする提案を受領しました。これに対して、本特別委員会は、2024年1月17日に、少数株主の皆様に十分にご納得いただける金額とさせていただきたいとして、本件端数処理交付見込額の引上げを要請しました。その後、本特別委員会は2024年1月25日に、TKCから、本件端数処理交付見込額を1株当たり1,150円とする最終提案を受領しました。これに対して、本特別委員会は、2024年1月26日に、少数株主にとっての最大限の配慮を尽くした金額とするべく改めて本件端数処理交付見込額の引上げを要請しましたが、2024年1月29日に、TKCから、最終提案である1株当たり1,150円は限界値であり、改めて1株当たり1,150円にて検討をお願いしたいとの回答を受領しました。これを受けて、特別委員会は、2024年1月30日に川路氏との面談を実施した上で、本件端数処理交付見込額を1株当たり1,150円とすることで合意に至りました。
その後、本特別委員会は山田コンサルから2024年1月30日付で株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの提出を受け、当社に対して、2024年1月30日付で答申書(以下、「本答申書」といいます。)を提出しました(本答申書の概要等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における特別委員会の設置」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた法的助言、及び本特別委員会が独自に選任した第三者算定機関である山田コンサルから本特別委員会に提出された株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本株式併合により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本件端数処理交付見込額その他の条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行い、以下の結論に達しました。
当社の主要マーケットであるFX業界の経済情勢は、外国為替市場や世界の株式市場の先行きが不透明感を増している中で、FXサービスを取り扱う金融商品取引業者間において、金融サービスとしての対価であるスプレッド(レート提示銀行の売り値と買い値の価格差)の狭小化など、価格面でのサービス競争が激化し、依然として厳しい状況が続くものと思われます。
当社では、このような環境認識を踏まえ、様々な施策に取り組んでまいりましたが、上記の環境下では、今後、現状の延長線上では一段の飛躍は難しいと考えており、安定的かつ継続的に当社の企業価値を向上させるためには、上場会社である当社において求められる短期的な利益確保を重視する既存の戦略を推進するのではなく、中長期的な成長を阻害するあらゆる要因を検証し直し、新たな戦略を採用・推進することが必要であると考えております。そして、TKCは、当社の業績の回復、収益の向上を図ることとして、オーストラリア子会社での取引量拡大への対応、M&Aを含む地理的拠点の拡大といった施策を挙げておりますが、当社といたしましても、当該施策は、現状を打破するために、積極的に推進していくべき施策であり、かかる施策の実施には機動的かつ柔軟な経営体制の構築が望ましいと認識しております。しかしながら、当該施策の実施に当たっては、相応の先行投資が必要となり、短期的には利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化をもたらすリスクがあり、また必ずしも成功が保証されたものではないため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実行した場合には、当社の株主の皆様に対して多大なる悪影響を与えてしまう可能性は否定できません。また、当社が上場を維持した状態では、当社株式の株価への悪影響を回避するために、これまでと同様、短期的な業績や利益確保を重視する戦略を取らざるを得ない状況に置かれ、中長期的な企業価値の向上を十分に追求できないおそれもあると考えております。
このような状況下で、当社としては、短期的には利益水準の低下を招くリスクを認識しながらも、中長期的な視点から当該施策を推進するためには、株主と経営者が一体となって、迅速かつ果敢に意思決定できる経営体制を構築することが必要であると考えています。加えて、株式の非公開化を行った場合には、上場維持コストを削減することもでき、経営資源の更なる有効活用を図ることも可能になると考えております。
なお、当社が株式の非公開化を行った場合には、株式市場からの資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた知名度や信用力に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、現在の財務状況等から、当面は借入による資金調達によって必要資金を賄い、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込まれず、今後も継続して株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあります。加えて、当社は、創業以来の事業活動の中で、FX事業者としての知名度や信用力を十分に獲得してきたものと考えておりますので、非公開化により当社及び当社グループの知名度や信用力が下落することは考えにくいと判断しております。したがって、当社取締役会は、株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。
以上を踏まえ、当社取締役会は、本株式併合により当社株式を非公開化することが、当社グループの企業価値の向上に資するものであると判断いたしました。
なお、本件端数処理交付見込額である1,150円は、(a)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(2) 当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠等」の「(ⅱ) 算定に関する事項」に記載されている山田コンサルによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定の結果を上回るものであり、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下、「DCF法」といいます。)による算定結果の中央値を上回る値であること、(b)本株式併合の公表日の前営業日である2024年1月30日のスタンダード市場における当社株式の終値836円に対して37.56%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、2024年1月30日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値825円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して39.39%、過去3ヶ月間の終値単純平均値802円に対して43.39%、過去6ヶ月間の終値単純平均値797円に対して44.29%のプレミアムが加算されており、過去の類似取引事例におけるプレミアムの水準に照らして必ずしも遜色なく、合理的な水準であると考えられること(注)、(c)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、本特別委員会及びTKCの間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、(e)当社が本特別委員会から2024年1月30日付で取得した本答申書においても、本件端数処理交付見込額を含む本株式併合の取引条件は妥当であり、当社の少数株主にとって不利益なものではない旨判断されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本件端数処理交付見込額及び本株式併合に係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であると判断いたしました。
なお、本件端数処理交付見込額は、当社の2023年12月31日現在の簿価純資産額である11,799百万円を当社の2023年12月31日現在の自己株式控除後の発行済株式数(5,876,297株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である2,008円(本件端数処理交付見込額は当該金額との比較で42.73%のディスカウント)を下回っておりますが、当社の資産の中には、自社開発利用のソフトウェアをはじめとした流動性の低い事業用資産や顧客からの預り資産で当社の都合により清算することが困難な預託金等の資産が含まれております。これらの資産売却等の困難性や清算に伴う追加コストを考慮すると、仮に当社が清算する場合にも、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、相当程度棄損することが見込まれます。また、純資産額は、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではないと考えております。
(注) 経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2023年12月31日までに公表されたマネジメント・バイアウト(MBO)による非公開化を目的とした公開買付けの事例及び支配株主による従属会社の非公開化を目的とした公開買付けの事例合計115件における、公表日前営業日の終値、並びに過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアムの平均値は、順に41.53%、44.72%、46.90%、47.17%となっています。
以上より、当社は2024年1月31日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(当社の代表取締役社長である川路氏を除いた取締役5名)の全員一致での賛同により、本株式併合を当社株主総会に付議することを決議いたしました。
なお、当社の取締役のうち、代表取締役社長である川路氏はTKCの代表社員であり、本株式併合に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、特別利害関係人として、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において、本株式併合における取引関係者(川路氏自身を含むが、これに限られない。)との間で本株式併合の取引条件等に関する協議・交渉にも一切参加しておりません。
川路氏は、本株式併合の効力発生後も継続して、当社の代表取締役社長として経営にあたることを予定しており、上記「③ 当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由」に記載のオーストラリア子会社での取引量拡大への対応、M&Aを含む地理的拠点の拡大といった施策を推進するとのことですが、各施策については当社の担当部門と協議・調整の上、適切な時期に実施する予定とのことです。なお、TKCと当社のその他の取締役との間では、本株式併合後の役員就任について何らの合意も行っておりませんが、本株式併合後の当社の役員構成を含む経営体制の詳細については、本株式併合の効力発生後、当社と協議しながら決定していく予定とのことです。また、本株式併合後の当社の従業員については、原則として現在の処遇を維持することを予定しているとのことです。
当社株式について、1,105,350株を1株に併合いたします。
上記「1.株式併合の目的」の「(1) 株式併合の概要」に記載のとおり、本株式併合により、当社の株主はTKCのみとなり、TKC以外の株主の皆様の保有する当社株式の数は、1株未満の端数となる予定です。
当該1株未満の端数に相当する数の株式については、当社株式が2024年4月25日をもって上場廃止となり、市場株価のない株式となる予定であることから、競売によって買付人が現れる可能性が期待できないこと等を踏まえ、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項及び同条第4項の規定に基づき、裁判所の許可を得た上で、当社が買い取ることを予定しており、その買取りに係る代金を、1株未満の端数が生じた株主の皆様に対して交付する予定です。
この場合の買取価格につきましては、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、基準株式数に1,150円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。但し、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合等においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあり得ます。
① 親会社等がある場合における当該親会社等以外の当社の株主の利益を害さないように留意した事項
本株式併合が支配株主等との取引にあたる取引であり、構造的な利益相反の問題が存し得ることから、当社は、1株未満の端数が生じる場合の処理の方法並びに当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額の公正性の担保、本株式併合の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本株式併合の公正性を担保し、当社の支配株主であるTKC以外の株主の皆様の利益を害さないよう、下記「(3) 本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」記載の措置を講じております。
② 端数処理の方法に関する事項
(a) 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
上記「(1) 1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」をご参照ください。
(b) 売却に係る株式を買い取る者となると見込まれる者の氏名又は名称
インヴァスト株式会社
(c) 当該者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
当社グループは、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払のための資金に相当する額を当社グループが本日現在保有する現預金及び金融機関からの借入れにより賄うことを予定しております。また、当社において、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も認識しておりません。したがって、当社は、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払のための資金を確保する方法については相当であると判断しております。
(d) 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、2024年5月中旬を目途に、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を当社が買い取ることについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当社は、当該裁判所の許可を得て、2024年6月中旬を目途に、当該当社株式を当社が買い取り、その後、当該売却により得られた代金を株主の皆様に交付するために必要な準備を行った上で、2024年8月の中旬から下旬を目途に、当該代金を株主の皆様に対して交付することを見込んでおります。
当社は、本株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に要する期間を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主への交付が行われるものと判断しております。
③ 端数処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の相当性に関する事項
上記の「(1) 1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」に記載のとおり、本件端数処理交付見込額は、各株主の皆様の基準株式数に1,150円を乗じた金額となる予定です。
本件端数処理交付見込額については、上記「1.株式併合の目的」の「(2) 本株式併合を実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本株式併合後の経営方針」の「③ 当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由」のとおり、(a)下記「(ⅱ) 算定に関する事項」に記載されている山田コンサルによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定の結果の上限値を上回るものであり、かつ、DCF法による算定結果の中央値を上回る値であること、(b)本株式併合の公表日の前営業日である2024年1月30日のスタンダード市場における当社株式の終値836円に対して37.56%、2024年1月30日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値825円に対して39.39%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値802円に対して43.39%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値797円に対して44.29%のプレミアムが加算されており、過去の類似取引事例におけるプレミアムの水準に照らして必ずしも不合理ではない水準のプレミアムが付されていると考えられること、(c)下記「(3) 本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、本特別委員会及びTKCの間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、(e)当社が本特別委員会から2024年1月30日付で取得した本答申書においても、本件端数処理交付見込額を含む本株式併合の取引条件は妥当であり、当社の少数株主にとって不利益なものではない旨判断されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本件端数処理交付見込額及び本株式併合に係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であると判断いたしました。
以上のことから、当社は、本件端数処理交付見込額について、相当と判断しております。
④ 当社において最終事業年度の末日後に生じた重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象
当社は、2024年1月31日開催の取締役会において、2024年4月26日付で自己株式34株(2024年1月31日時点で当社が所有する自己株式の全部に相当)を消却することを決議いたしました。なお、当該自己株式の消却は、本臨時株主総会において、本株式併合に関する議案が原案どおり承認可決されることを条件としており、消却後の当社の発行済株式総数は、5,876,297株となります。
① 算定機関の名称並びに上場会社及びTKCとの関係
本特別委員会は、本株式併合に伴う本件端数処理交付見込額の決定に関する意思決定の過程における公正性を担保するため、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立した第三者算定機関であり、かつ関連当事者に該当しない山田コンサルに当社の株式価値の算定を依頼し、2024年1月30日付で、山田コンサルより当該算定結果に関する株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンを取得いたしました。なお、本株式併合に係る山田コンサルの報酬は、本株式併合の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本株式併合の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
② 算定の概要
山田コンサルは、当社株式がスタンダード市場に上場しており市場株価が存在することから市場株価法を用い、また、当社の将来の事業活動の状況を評価に反映させる目的からDCF法を用いて、当社株式の株式価値の算定を行いました。上記各手法を用いて算定された当社の普通株式1株当たりの価値の範囲は、以下のとおりです。
市場株価法: 797円から836円
DCF法: 1,021円から1,345円
市場株価法では、基準日を2024年1月30日として、スタンダード市場における当社株式の基準日終値836円、直近1ヶ月間の終値単純平均値825円、直近3ヶ月間の終値単純平均値802円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値797円を基に、当社株式の1株当たりの価値を797円から836円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した2024年3月期から2027年3月期までの事業計画、当社の2023年9月末日における財務情報、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2024年3月期第3四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの価値を1,021円から1,345円までと算定しております。なお、割引率は6.23%から8.23%を採用しており、また、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率は-0.50%から0.50%として算定しております。
山田コンサルがDCF法の算定の前提とした当社の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、当該事業計画においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2024年3月期において営業利益の大幅な減益の予測となっておりますが、これは国内金融事業において、円安及び米国金利上昇の影響で取引コストが増加したことによりETFの収益力の低下が見込まれること、また2022年12月に新規設立したアルカドにおいて営業損失が見込まれていることによるものです。また、2026年3月期においては営業利益の大幅な増益となっておりますが、これは国内金融事業において、近年のFXの預り証拠金拡大の傾向から受取手数料の増加が見込まれていることによるものです。また2027年3月期においても営業利益の大幅な増益の予測となっておりますが、これは主に、海外金融事業において先行して行われる人員の拡大及びインセンティブ報酬の拡大の結果として増収が見込まれていることによるものです。また、当該事業計画においては、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期においてフリー・キャッシュ・フローの大幅な減少の予測となっておりますが、これは2025年3月期において運転資本の金額が増加すると見込んでいることに加え、設備投資額においても増加が見込まれていることによるものです。2026年3月期においては、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加の予測となっておりますが、これは主に営業利益の増益が見込まれていることによるものです。
本株式併合の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、以下の財務予測には加味しておりません。
山田コンサルは、本特別委員会への株式価値算定書の提出に際して、当社から提供を受けた情報、一般に公開された情報等を使用し、それらの資料、情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測については、当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立した、当社の事業計画を担当する部門の従業員による作成及び川路氏を除く担当取締役(以下、当該従業員及び当該取締役を併せて「事業計画作成者」といいます。)の監督により当該時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。なお、山田コンサルは、株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報、一般に公開された情報等を使用し、それらの資料、情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産又は負債(偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、財務デュー・ディリジェンス、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。
また、山田コンサルは、本特別委員会からの依頼に基づき、本件端数処理交付見込額が、一定の条件(注)のもとに、当社の株主にとって財務的見地から妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)(以下、「本フェアネス・オピニオン」といいます。)を、2024年1月30日付で本特別委員会に対して提供しております。
(注) 本フェアネス・オピニオンは、上記の市場株価法・DCF法による株式価値算定結果に照らして、本件端数処理交付見込額である1株当たり1,150円が、当社の株主にとって財務的見地から妥当であることを意見表明するものです。なお、上記のとおり、DCF法の算定の前提とした当社の事業計画に基づく財務予測において、本株式併合の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、加味されておりません。
山田コンサルは、公開されている情報、当社より提供を受けた情報等を本フェアネス・オピニオンの意見表明にあたり、正確かつ完全なものとして採用しており、その正確性及び完全性につき独自の検証は行っておりません。また、山田コンサルは、当社の事業計画作成者がこれらの情報を重要な点で不正確又は誤解を招くものとする事実又は状況を認識していないことを前提としております。当社の事業計画については、当社の事業計画作成者によって現時点で入手可能な最善の見積り及び判断に基づき、合理的に準備、作成されていることを前提としております。山田コンサルは、当社の事業計画作成者が作成した事業計画の実現可能性について独自に検証は行わず、これらの事業計画に依拠しており、その内容及び基礎となる仮定に関して何らの意見を表明するものではありません。
本フェアネス・オピニオンにおける意見表明は、本フェアネス・オピニオンの日付までに入手可能な情報に基づいており、入手した情報を重大な誤りとする事実があった場合、又は今後の状況の変化により本フェアネス・オピニオンで表明される意見に影響を及ぼす可能性があります。山田コンサルは、当社の資産・負債(偶発債務を含む。)について独自に評価・鑑定を行っておりません。山田コンサルは、当社の資産又は施設の物理的検査を行う義務を負っておらず、また、破産手続、会社更生手続、民事再生手続、会社法の特別清算手続その他の倒産処理手続に適用される法律に基づいて当社の支払能力又は公正価値を評価しておりません。
本フェアネス・オピニオンの作成に当たって山田コンサルが当社に要求した情報のうち、当社から情報の提供又は開示を受けられず、その他の方法によっても山田コンサルが評価の基礎として使用できなかったものについては、山田コンサルは、当社の同意のもとで、山田コンサルが合理的かつ適切と考える仮定を用いております。山田コンサルのかかる仮定が重要な点において事実と異なることが明らかになった場合に、それが当社の将来の財務状況にどのような影響を及ぼすかについて、山田コンサルは独自の検証を行っておりません。
山田コンサルは、本株式併合が重要な条件の変更を伴うことなく適時に完了すること、当社又は本株式併合で想定される利益に悪影響を与える可能性のある遅延、制限又は条件が課されずに必要な政府及び規制当局の承認又は同意を得ることができること、またかかる承認及び同意の内容が、本件端数処理交付見込額に影響を及ぼさないことを前提としており、独自の検証を行っておりません。また、当社は、本件端数処理交付見込額に重大な影響を及ぼす契約書、合意書その他の文書を過去に取り交わしておらず、また、将来も取り交わさないことを前提としております。山田コンサルは、当社より提供又は開示を受けた情報のほか、本件端数処理交付見込額に重大な影響を及ぼす偶発債務又は簿外債務は存在しないことを、当社に確認の上、前提としております。
本フェアネス・オピニオンは、本株式併合の承認の是非について、本特別委員会に対して助言することを意図するものではなく、またかかる助言を構成するものでもありません。更に、本フェアネス・オピニオンは、本株式併合について、当社が利用又は実行できる可能性のある他の戦略又は取引と比較した場合の相対的な利点、あるいは当社が本株式併合を実行又は継続するにあたっての基礎となる事業決定について、意見又は見解を表明するものではありません。また、本フェアネス・オピニオンは、本株式併合又はそれに関連する事項に関し、株主の議決権行使や行動について、いかなる意見や提言を表明するものでもありません。山田コンサルは、当社の株式が本株式併合完了前に取引される価格、又は取引されるべき価格に関して意見を表明するものではありません。
山田コンサルの意見は、本フェアネス・オピニオンの日付時点で有効な財務、経済、市場その他の条件、及び山田コンサルが入手可能な情報に基づいております。本フェアネス・オピニオンの日付以降に発生した事実は、本フェアネス・オピニオンの意見及びそれを準備する際に使用した仮定に影響を及ぼす場合がありますが、山田コンサルは本フェアネス・オピニオンを更新、改訂又は再確認する義務を負わないものとします。
本株式併合においては、TKCは当社株式3,316,050株(所有割合:56.4%)を所有する支配株主であり、当社の代表取締役である川路氏がTKCの代表社員であるため、その構造上、当社の取締役会と当社の少数株主との間で利益相反の問題が生じる可能性があることから、本株式併合に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、以下の措置を講じております。
上記「(2) 当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠等」の「(ⅱ) 算定に関する事項」に記載のとおり、本特別委員会は、本株式併合の決定に関する意思決定の過程における公正性を担保するため、当社、TKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立した第三者算定機関として独自に起用した山田コンサルから株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンを取得しています。当該株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの概要については、上記「(2) 当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠等」の「(ⅱ) 算定に関する事項」の「② 算定の概要」をご参照ください。また、山田コンサルは、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏の関連当事者には該当せず、本株式併合に関して記載すべき重要な利害関係を有していません。
当社は、本株式併合に係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、当社、TKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、同事務所から、本株式併合に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、TMI総合法律事務所は、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏の関連当事者には該当せず、本株式併合に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。本株式併合に係るTMI総合法律事務所の報酬は、本株式併合の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本株式併合の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
当社は、本株式併合に係る意思決定に慎重を期し、また、当社の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2023年10月31日、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立した、外部の有識者を含む委員によって構成される本特別委員会(本特別委員会の委員としては、小久保崇氏(弁護士 小久保法律事務所)、当社の独立役員であり社外取締役である淡輪敬三氏及び、同じく当社社外取締役である安藤まこと氏(公認会計士 安藤公認会計士共同事務所)を選定しております。)を設置しました。なお、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏からの独立性を考慮した上で、淡輪敬三氏及び安藤まこと氏は、当社の監査等委員である社外取締役であり、当社の事業に一定の知見を有しており、安藤まこと氏は公認会計士資格を有していることから、特別委員会の委員として当社の事業に知見を持ちつつ、分野の専門性を活かして適切に諮問事項の検討等を行うことが可能であると判断し、小久保崇氏については、弁護士としての専門性に加え本株式併合と同種の案件の特別委員会の委員としての経験を有しており、特別委員会の委員として適切であると判断しました。また、当社は、当初からこの3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。更に、本特別委員会の委員の報酬は、答申内容にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本株式併合の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていません。なお、当社取締役会は、本株式併合に関する決定を行うに際して本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本株式併合について妥当でないと判断した場合には、本株式併合を行う旨の意思決定を行わないことを併せて決議しました。また、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(ⅰ)当社の費用負担の下、本株式併合に係る調査を行うことができる権限、(ⅱ)本特別委員会自らTKC及びその他の取引関係者と協議・交渉する権限、(ⅲ)当社の費用負担の下、本特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができる権限、及び(iv)本株式併合に係る当社のアドバイザーを指名し、又は変更を求めることができるほか、当社のアドバイザーに対して必要な指示を行うことができる権限等を与えることを決定しました。
そして、当社は、本特別委員会に対し、(a)本株式併合の目的の合理性(本株式併合が当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項、(b)本株式併合の取引条件の妥当性(本株式併合の実施方法や対価の妥当性を含む。)に関する事項、(c)本株式併合の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項、(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、当社取締役会が本株式併合の実施を決定することが少数株主に不利益か否かの検討を行い(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)、これらの点についての答申を当社取締役会に提出することを2023年10月31日に委嘱しました。
これを受けて、本特別委員会は、2023年11月15日開催の初回の本特別委員会において、TMI総合法律事務所について、その専門性及び独立性を確認の上、本株式併合に関する当社のリーガル・アドバイザーとして承認するとともに、本特別委員会としてもTMI総合法律事務所から必要な助言を受けることができることを確認しました。また、本特別委員会は、2023年11月28日開催の第2回の本特別委員会において、本株式併合の是非及び条件の妥当性を検討するにあたり、その透明性・合理性を確保するため、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立し、かつ関連当事者に該当しない山田コンサルを本特別委員会の第三者算定機関に選任しました。
本特別委員会は、2023年11月15日より2024年1月30日まで合計9回開催されたほか、2024年1月30日まで相互に連絡を行い、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、当社から事業環境、事業計画、経営課題、本株式併合の提案を受けた経緯、本株式併合の目的に関する説明を受け、質疑応答を行いました。また、TKCから本株式併合を提案するに至った経緯及び理由、本株式併合の目的、本株式併合により実現が期待される効果、本株式併合の諸条件等に関する説明を受け、質疑応答を行いました。更に、本株式併合における本件端数処理交付見込額の評価を行うにあたり、その公正性を担保すべく、自ら、当社及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立した第三者算定機関であり、かつ関連当事者に該当しない山田コンサルに当社の株式価値の算定を依頼し、2024年1月30日付で、山田コンサルより当該算定結果に関する株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンを取得するとともに山田コンサルから当社株式の株式価値の算定方法及び結果に関して、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、事業計画作成者に対して、事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受け、質疑応答を行った上で、事業計画に一定の合理性があることを確認し、当該事業計画を承認しました。これらの内容を踏まえ、本特別委員会は、山田コンサルの算定結果を参考に、かつTMI総合法律事務所と議論を重ね、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行いました。また、本特別委員会は、当社の支配株主であるTKCとの間で本件端数処理交付見込額を含む本株式併合の諸条件について交渉を実施し、その結果についても本諮問事項の協議・検討において踏まえております。
本特別委員会は、このように本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、2024年1月30日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しました。
(a)本株式併合の目的の合理性(本株式併合が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項
について
(ア)本株式併合の目的等
本特別委員会は、上記「1.株式併合の目的」の「(2)本株式併合を実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本株式併合後の経営方針」の「① 本株式併合の背景等」、「② TKCによる本株式併合の提案の経緯・目的」及び「③ 当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由」に記載の事項の具体的な内容の当否・合理性、本株式併合が当社グループの従業員やお客様・取引先等に与える影響、及びこれらを踏まえた当社の企業価値向上の可能性等について、当社の役職員並びにTKC及び川路氏に対する質疑等を通じ、詳細な検討を実施した。即ち、現在当社グループの置かれた経営環境の中、当社やTKCがいかなる企業価値向上の施策案を構想し、それがどの程度具体的で実践的か、それを実現に移すために本株式併合を実施する必要性はあるのか、本株式併合の実施が当社の事業上どのようなメリットをもたらし、他方でデメリットの有無、程度はどのように想定されるか等を含めて、総合的に検証を行った。
その結果、本特別委員会としては、当社及びTKCは、当社の非公開化を経て、当社が想定している各施策を機動的に実現する必要性について、当社を取り巻く経営環境に照らして具体的な検討を進めた結果、本株式併合が当社の企業価値向上にもたらすメリットがより大きいとの判断に至っており、当社及びTKCが想定している本株式併合の意義及び目的には著しく不合理な点はなく、本株式併合は当社の企業価値向上を目的として行われるものといえ、当社の上記判断に特段不合理な点は認められないと考えるに至った。
(イ)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本株式併合の目的は合理的であると判断するに至った。
(b)本株式併合の取引条件の妥当性(本株式併合の実施方法や対価の妥当性を含む。)に関する事項
(ア)山田コンサルによる株式価値算定書及びフェアネス・オピニオン
本特別委員会が、当社、及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立し、かつ関連当事者に該当しない第三者算定機関である山田コンサルから取得した株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると797円から836円、DCF法によると1,021円から1,345円、とされているところ、本件端数処理交付見込額は、市場株価法による算定レンジの上限を上回り、DCF法による算定レンジの中央値を上回る金額である。
そして、本特別委員会は、山田コンサルから株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、山田コンサルに対して評価手法の選択理由、割引率の算定根拠、永久成長率の算定根拠等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
また、本特別委員会は、当社からDCF法による算定の基礎となる当社の事業計画の内容について詳細な説明を受けるとともに、当社に対して事業計画作成のプロセス、各費目の内訳等に関する質疑応答を行い、また算定の基礎となる事業計画の内容の合理性に関して山田コンサルにコメントを求めた上で検討した結果、不合理な点は認められなかった。
加えて、本件端数処理交付見込額(1,150円)は、本株式併合の公表日の前営業日である2024年1月30日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値836円に対して37.56%、2024年1月30日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値825円に対して39.39%、過去3ヶ月間の終値単純平均値802円に対して43.39%、過去6ヶ月間の終値単純平均値797円に対して44.29%のプレミアムが加算されており、過去の類似取引事例におけるプレミアムの水準に照らして遜色ない水準のプレミアムが付されていると考えられることを確認した。
また、本特別委員会が山田コンサルから取得したフェアネス・オピニオンによれば、本件端数処理交付見込額は当社株主にとって財務的見地から公正であるとされている。
なお、本件端数処理交付見込額は、当社の2023年12月31日現在の簿価純資産額である11,799百万円を当社の2023年12月31日現在の自己株式控除後の発行済株式数(5,876,297株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である2,008円(本件端数処理交付見込額は当該金額との比較で約43%のディスカウント)を下回っているものの、(i)当社の資産の中には、自社開発利用のソフトウェアをはじめとした流動性の低い事業用資産や顧客からの預り資産で当社の都合により清算することが困難な預託金等の資産が含まれており、これらの資産売却等の困難性や清算に伴う追加コストを考慮すると、仮に当社を清算する場合にも、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、相当程度棄損することが見込まれること、また、(ii)純資産額は、将来の収益性を反映するものではないことを踏まえると、継続企業である当社の企業価値の算定において重視すべきものではなく、これをもって価格が不合理であるとはいえない。
(イ)交渉過程の手続の公正性
下記「(c) 本株式併合の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項について」記載のとおり、本株式併合に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本件端数処理交付見込額は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認められる。
(ウ)公開買付けを前置せずに本株式併合を行うことの妥当性
本特別委員会は、TKC及び川路氏に対して、本件において公開買付けを前置せずに本株式併合を行う理由について質疑を行ったところ、TKCが当社の総議決権の56.4%超を保有しており、また、川路氏の二親等以内の親族並びに光陽株式会社(川路氏及びその近親者が議決権の過半数を所有する会社の完全子会社)の議決権を含めると合計で67%超を保有しているため、スクイーズアウトを実施するために公開買付けを前置する必要は必ずしもなく、また、仮に公開買付けを前置する場合、アドバイザー費用等の公開買付けの実施に係るコストが生じるところ、これらのコストは、買付者(買収目的で設立される会社)と当社との合併等を通じて結果的に当社が負担することになり、これらの当社の負担を考慮すると、公開買付けを前置する場合、少数株主に分配可能な金額が公開買付けを前置せずに株式併合を実施する場合に比べて限定的となり得るため、公開買付けを前置せずに本株式併合を実施することは合理的であると考えている旨の回答を得た。TKC及び川路氏による上記回答に特段不合理な点は認められない。
また、本件においては公開買付けを前置しないものの、本株式併合においては、株主が本株式併合に反対する場合(本件端数処理交付見込額に不満がある場合)には、法令上、一定の要件のもとで株式買取請求が認められており、買取価格について当事者間の協議が調わない場合には、株主は株式の価格の決定を求めて裁判所に申立てを行うことが法制度上認められている。
(エ)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、公開買付けを前置せずに本株式併合を行うことを含め、本株式併合の取引条件は妥当であると判断するに至った。
(c)本株式併合の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関
する事項について
(ア)当社による検討方法
本株式併合においては、TKCは当社の支配株主であり、当社の代表取締役である川路氏がTKCの代表社員であるため、その構造上、当社の少数株主との間で利益相反の問題が生じる可能性があることから、本株式併合に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、当社、及び当社の支配株主であるTKC並びに同社の代表社員である川路氏から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任している。また、当社はTMI総合法律事務所の助言に従い、本特別委員会を組成するとともに、TKC及び同社の代表社員である川路氏は、当社における本株式併合に係る検討過程に関与させないこととしている。
また、本特別委員会は、TMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社のリーガル・アドバイザーとして承認している。
(イ)第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
本特別委員会は、2024年1月30日付で山田コンサルから当社株式に係る株式価値算定書及び本件端数処理交付見込額は当社株主にとって財務的見地から公正である旨のフェアネス・オピニオンを取得している。
(ウ)本特別委員会による協議・交渉
本特別委員会は、本件端数処理交付見込額について自らTKC及び川路氏との間で複数回にわたり協議・交渉を実施した。具体的には、本特別委員会は、TMI総合法律事務所を通じた交渉及び川路氏との面談による直接交渉を含めて延べ5回にわたり真摯な価格交渉を、TKC及び川路氏との間で実施した。
そして、その交渉の結果として、1,150円という本件端数処理交付見込額の決定に至るまでには、900円とするTKC及び川路氏の当初の提案より、250円の価格引上げを引き出している。
(エ)本株式併合の交渉過程及び意思決定過程における特別利害関係人の不関与等
本株式併合の取引条件の協議・交渉は、上記「(ウ)本特別委員会による協議・交渉」に記載のとおり、本特別委員会が自ら行うこととした。
また、当社の取締役のうち、代表取締役社長である川路氏は当社の支配株主であるTKCの代表社員であり、本株式併合に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、特別利害関係人として、当社側において本株式併合に係る協議、検討及び交渉に関与していない。
その他、本株式併合に係る協議、検討及び交渉の過程で、TKC及び川路氏その他の本株式併合に特別な利害関係を有する者が交渉過程及び意思決定過程に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。
(オ)マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)条件
本株式併合において、当社は、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を本株式併合成立の条件とはしていないものの、TKC及び川路氏とその二親等以内の親族並びに光陽株式会社が当社の総議決権の67%超を保有していることを踏まえると、このような状況下においてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定すると、本株式併合の公表後に当社の株式を買い集める等により、少ない株式取得によって本株式併合を妨害することができ、企業価値の向上に資する本株式併合に対しても阻害効果を及ぼす懸念が高まることから、かえって少数株主の利益に資さない可能性もあること、及び本株式併合においては、当社の少数株主の利益に十分な配慮をすべく他に適切な公正性担保措置が実施されていると考えられることから、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる。
(カ)本特別委員会の位置づけ
当社は、本特別委員会を当社取締役会から独立した合議体として位置付け、本株式併合に係る決定を行うに際して本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本株式併合について妥当でないと判断した場合には、本株式併合を行う旨の意思決定を行わないこととしている。また、当社は、本特別委員会に対して、TKCその他の取引関係者との間で本株式併合の取引条件等に関する協議・交渉を行う権限を付与している。
(キ)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本株式併合においては適切な公正性担保措置が講じられており、本株式併合に係る手続は公正であると判断するに至った。
(d)当社の取締役会が本株式併合の実施を決定することが少数株主に不利益か否かについて
上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ慎重に検討した結果、当社の取締役会が本株式併合の実施を決定することは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと判断するに至った。
当社は、本特別委員会が山田コンサルより取得した株式価値算定書及びフェアネス・オピニオン、TMI総合法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本特別委員会(本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、上記「③ 当社における特別委員会の設置」をご参照ください。)から提出を受けた本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本株式併合の諸条件について慎重に検討しました。
その結果、上記「1.株式併合の目的」の「(2) 本株式併合を実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本株式併合後の経営方針」の「③ 当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由」に記載のとおり、当社取締役会は、本株式併合について、(ⅰ)本株式併合により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、(ⅱ)本件端数処理交付見込額及び本株式併合に係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であると判断し、2024年1月31日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(当社の代表取締役社長である川路氏を除いた取締役5名)の全員一致で、本臨時株主総会に本株式併合を付議する旨を決議いたしました。
なお、当社の取締役のうち、代表取締役社長であり、TKCの代表社員である川路氏は、本株式併合に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、特別利害関係人として、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において、本株式併合における取引関係者(川路氏自身を含みますが、これらに限られません。)との間で本株式併合の取引条件等に関する協議・交渉にも一切参加しておりません。
2024年4月30日
以上