第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、2023年12月期をスタートとする中期経営計画(2023年12月期-2025年12月期)の展望に沿い、主力事業セグメントである「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3軸の事業収益の改善、積極的な投資の実施による国内飲食店の開発、及び海外事業の拡大を進めてまいりました結果、過去10年の中においても最も高い、売上高181億円を計上しました。売上高の増加と共に事業スケールが拡大する一方で、不安定な国際情勢や円安の長期化、海産物・生鮮食品の物価上昇に伴う影響が事業全体に生じたことから、当連結会計年度におきましては、大幅な下方修正と共に、損失を計上しております。

当社グループを取り巻く外部環境が厳しさを増す中で、経営・事業・財務の戦略の集中化と精錬な本部機能の構築を目的として、2024年7月より、当社は持株会社体制に移行しました。この体制変更に伴う機能の集中化及び経営執行体制の確立を2024年度内に完了したことにより、2025年12月期の黒字転換、及び2025年12月期を基点とした更なる事業成長戦略を構築する体制を整え、その戦略の一環として、採算・不採算事業の選択と集中を行うことで、20店舗超の不採算店舗の撤退を決定しております。

来期におきましては、当社グループにおける不採算事業部門の更なる改善の推進、採算事業への資源・人的リソースの集中投下を行うことで、黒字転換を図ってまいります。各事業セグメント別の取組みは下記のとおりです。

 

[ 小売事業 ]

不採算店12店舗の閉鎖実施(2025年3月迄に実施予定)及び地方圏において「飛び地」となっている店舗に近接するドミナント出店を加速します。また、「小僧寿し」ブランドの新たな収益モデルの構築を目的として、ショッピングモール等へのストアイン型店舗の積極的な開発を推進してまいります。

[ 飲食事業 ]

当社グループの収益において中核事業会社であるアスラポートが展開する「とり鉄」「どさん子」「キムカツ」「ぢどり亭」「陳麻家」の5ブランドにおける新店出店、メキシカン・ファストフードの「TacoBell」の更なる新店出店等、当連結会計年度以上の新店出店を企図しております。

 

[ 流通事業 ]

フード・デリバリー店「Delis」における不採算店11店舗(一部の休業店舗を含む)の閉鎖実施(2025年3月迄に実施予定)、及びフードデリバリーサービスの多様性をもたらす自社システムの外販促進、加盟開発による新たな収益事業を創出します。

 

[ 海外事業 ]

2024年6月に連結子会社としたSUSHI BOY,INC.を中心とした、北米圏の更なる店舗開発、及び英国における日本食品会社であるJapan Centreとの協業による当社グループ食材の輸出販売、並びに英国圏における店舗の出店を進めることで、海外事業の拡大を図ります。

 

以上の施策を通じて、安定的な利益の確保と財務体質の改善を図ってまいります。従いまして、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは「食生活の未来を創造する企業へ」という経営理念のもと、多くのお客様においしい笑顔とおいしさをお届けするために努め、ステークホルダーの皆様とともに社会の課題に向き合い、当社グループの事業活動を通じ、社会と経済の双方の価値の両立を図ることで、持続可能な社会の実現と当社グループの持続可能な発展に繋げてまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関するリスクの監視及び管理を行う為のガバナンスの過程、統制手続き等について、コーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

 当社グループでは、サステナビリティの基本方針に基づき、「環境」「社会」「経済」のそれぞれの取り組みに対して、下記の点を重点項目としております。

 

① 食材の調達と廃棄物管理

 地域食材や季節の食材の活用を重視し、生産者をサポートしてまいります。また、食品ロスの削減や、廃棄物の分別処理を行い、リサイクルの促進へ繋げます。

 

② エネルギーの効率的使用

 当社が運営する各店舗、工場施設において、エネルギー効率の高い設備や機器の導入、LED照明等を積極的に活用し、エネルギ―の保全に努めます。

 

③ 地域社会への貢献

 当社が全国に展開する店舗や各施設を介して、地域コミュニティとの積極的な交流による地域社会への貢献を果たしてまいります。

 

④ 迅速かつ適切な経営判断を可能とする経営基盤の構築

 事業機能を有する重要な連結子会社との適切かつ迅速な経営判断を行う為、各連結子会社の取締役会と親会社との取締役会の連携を強化し、かつ経営会議等の重要な会議への積極的な連携を図る事で、経営の透明性を確保しつつ、適切な経営判断を行える経営基盤を構築してまいります。

 

(人的資本に関する方針)

[人材育成方針]

 従業員の労働意欲の向上と多様性の尊重を図るため、時間的な柔軟性を持った働き方によるライフワークバランスの実現、継続的な教育や研修機会の提供によるスキルやキャリアの形成や成長の促進を元に、従業員の労働意欲と満足度を高め、多様性を尊重する企業文化を醸成してまいります。

 

[環境整備方針]

 当社グループは、年齢や性別、国籍にかかわらず、多様な人材が最大限力を発揮できるように多様な雇用形態や仕事内容を提供することで働きやすく、働きがいのある職場環境を整備してまいります。

 

(3)指標及び目標

 サステナビリティ全般に関する「指標と目標」の記載につきましては、上記サステナビリティの基本方針に基づき、重点項目の具体的な策定段階にあるため、今後の進捗状況に応じて、指標及び目標の記載を検討してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業、経営成績等において、業績に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなリスクがあります。なお、本項につきましては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 食品衛生管理

当社グループが運営する各店舗は「食品衛生法」により規制を受けております。

「食品衛生法」は、食品の安全性確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講じることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康の保護を図ることを目的とした法律であります。飲食店を営業するにあたっては、食品衛生責任者を置き、厚生労働省令の定めるところにより都道府県知事の許可を受ける必要があります。

食中毒等の事故を起こした場合は、この法的規制により食品などの廃棄処分、営業許可の取り消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等を命じられるリスクがあります。

 

② 食材調達

当社グループは外食産業として、食の安全を第一と考え、良質な食材の調達に努めております。しかし、食材調達にあたっては、次のようなリスクが発生する可能性があります。当社グループでは、在庫水準の見直しや産地および取引先の分散化を進める等、これらのリスクを出来る限り回避するように取り組んでおります。

イ)疾病の発生

主に海外から輸入している食材については鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)、口蹄疫等の疾病の発生により、発生国からの輸入が停止となり、調達が困難になるリスクがあります。

ロ)天候不順・異常気象について

異常気象や冷夏等の天候不順の影響で、米・野菜・穀物等が不作となり、需給バランスが崩れることによって、価格の上昇および調達自体の難航といったリスクが生じる可能性があります。

ハ)資源環境の変化および国際的な漁獲制限について

異常気象や冷夏等の天候不順、水産資源の枯渇化、漁獲状況等による影響の他、主に海外から輸入している水産物食材については漁獲地での国策や国際的な漁獲制限で魚介類等が不足し、市場価格ならびに需給バランスが崩れる事によって、価格の上昇および調達自体の難航といったリスクが生じる可能性があります。

ニ)為替相場

当社グループは、寿し商品の主力使用食材として、海外漁獲による水産原料および生鮮加工商材の輸入品を多く使用しているため、国際市場価格ならびに外国為替相場の動向により、食材価格を変動させ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

特に米の不作、魚介類の輸入禁止措置などが食材価格を変動させ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 食品事故

当社グループの店舗において食品事故が発生した場合、当社グループの社会的イメージの失墜や損害賠償金支払い等によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 労務

当社グループの店舗では、主に準社員が主力となって運営しておりますが、今後、短時間労働者に対する社会保険、労働条件などの諸制度に変更がある場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 減損会計

当社グループは減損会計を適用しており、店舗、本部、事業所において設備等を保有しているため、減損が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  ⑥ 個人情報の漏洩

当社グループは社員、準社員の個人情報およびデリバリー事業等においては顧客情報を保有しております。これらの個人情報が漏洩した場合、当社グループの信用が失墜し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ FC加盟者

イ)加盟契約

当社グループは小僧寿しチェーンのフランチャイザーとしての機能を有しており、FC加盟者に対し商品製造、商品販売等に関する指導等を行い、ロイヤリティを得ております。フランチャイズ契約の継続が何らかの要因により困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

ロ)債権リスク

「債権リスク」とは、FC加盟者の金銭上の債務不履行等により訴訟が提訴され、損失を被るリスクを指し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 新型コロナウイルス感染症等に類する疫病の拡大による事業継続への懸念

新型コロナウイルスの世界的感染拡大など、疫病の拡大等による影響を受け、今後未曾有の事態へと発展し、事業活動自体の継続性について疑義が生じるリスクがございます。新型コロナウイルス感染症等の対策は充分に行われており、営業店舗における最大限の衛生管理体制構築を遵守し、現時点で、運営停止等の営業上の問題は生じておりません。しかしながら、今後、疫病の拡大による店舗の運営並びに事業の停止等により、将来見通しが見定められない期間の事業への影響が生じた場合、飲食業に帰属した事業展開を行っている当社グループの売上高の大幅な減少が予想され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 連帯保証債務

2023年5月1日付で連結子会社と致しました東洋商事株式会社において、株式会社JFLAホールディングスの金銭債権に対する債務保証を行っており、当連結会見年度末の残高は、4,788,390千円となっております。

当該債務保証は複数社による連帯債務となっており、東洋商事株式会社が全額を負担する状況ではありませんが、株式会社JFLAホールディングスにおいて、業績が悪化するなど当該金銭債権の返済が不可能となった場合、東洋商事株式会社において当該連帯保証債務の一部の返済義務が生じる可能性があります。

 

⑩ 継続企業の前提に関する重要事象等

当連結会計年度の当社グループを取り巻く外部環境において、不安定な国際情勢や円安の長期化等の影響による物価の上昇が続いていることから、先行き不透明な景気動向が続いております。

当社グループにおきましては、この影響が生じる環境下において、前連結会計年度及び当連結会計年度において、重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社グループでは、2023年12月期をスタートとする中期経営計画(2023年12月期-2025年12月期)の展望に沿い、主力事業セグメントである「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3軸の事業収益の改善、積極的な投資の実施による国内飲食店の開発、及び、海外事業の拡大を進めて参りました結果、過去10年の中においても最も高い、売上高181億円を計上致しました。売上高の成長と共に事業スケールが拡大する一方で、不安定な国際情勢や円安の長期化、海産物・生鮮食品の物価上昇に伴う影響が事業全体に生じたことから、当連結会計年度におきましては、大幅な下方修正と共に、損失を計上しております。

当社グループを取り巻く外部環境が厳しさを増す中で、経営・事業・財務の戦略の集中化と筋質な本部機能の構築を目的として、2024年7月より、当社はホールディングス・カンパニーへと移行を致しました。当該体制変更に伴う機能の集中化及び経営執行体制の確立を2024年度内に完了したことにより、2025年12月期の黒字転換、及び、2025年12月期を基点とした更なる事業成長戦略を構築する体制を整え、その戦略の一環として、採算・不採算事業の選択と集中を行う事で、20店舗超の不採算店舗の撤退を決定しております。

次期におきましては、当社グループにおける不採算事業部門の更なる改善の推進、採算事業への資源・人的リソースの集中投下を行う事で、黒字転換を図ってまいります。各事業セグメント別の取組は下記となります。

 

[ 小売事業 ]

不採算店12店舗の閉鎖実施(2025年第1半期に実施予定)及び、地方圏において「飛び地」となっている店舗に近接するドミナント出店を加速します。また、「小僧寿し」ブランドの新たな収益モデルの構築を目的として、ショッピングモール等へのストアイン型店舗の積極的な開発を推進してまいります。

 

[ 飲食事業 ]

当社グループの収益において、中核事業会社であるアスラポートが展開する「とり鉄」「どさん子」「キムカツ」「ぢどり亭」「陳麻家」の5ブランドにおける新店出店の実施、メキシカン・ファストフードの「TacoBell」の更なる新店出店の実施等、当連結会計年度以上の新店出店を企図しております。

 

[ 流通事業 ]

フード・デリバリー店「Delis」における不採算店11店舗(一部の休業店舗を含む)の閉鎖実施(2025年第1四半期に実施予定)、及び、フードデリバリーサービスの多様性をもたらす自社システムの外販促進、加盟開発による新たな収益事業を創出致します。

 

[ 海外事業 ]

2024年6月に連結子会社としたSUSHI BOY,INC.を中心とした、北米圏の更なる店舗開発、及び、英国における日本食品会社であるJapan Centreとの協業による、当社グループ食材の輸出販売、並びに、英国圏における店舗の出店を進める事で、海外事業の拡大化を図ります。

 

当社グループは上記の取組みを進めると共に、不採算事業の選択と集中によるキャッシュ・フローの改善進め、また、臨機応変な財務戦略の遂行により、当社グループの経営に安定性をもたらす適正なキャッシュ・フローの確立に努めてまいります。

 

以上の施策を通じて、安定的な利益の確保と財務体質の改善を図ることで、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の復調など、景気は緩やかな回復基調で推移する中で、不安定な国際情勢や円安の長期化等の影響による物価の上昇が生じており、先行き不透明な景気動向が続いております。当社が属する中食・外食産業におきましては、新型コロナウイルス感染症の収束以降、インバウンド需要の高まりと共に来店客数が回復しておりますが、物価上昇を背景とした消費マインドの減退や労働者不足が解消していない問題も含め、依然として厳しい状況が続いております。物価上昇の側面においては、円安による輸入食材の価格高騰、2023年、2024年の記録的な猛暑による米や生鮮食品の価格高騰は、当社グループの購買に大きな影響を与えております。

このような環境下において、当社グループは「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3軸の事業の収益改善、海外事業の拡大を軸とした中期経営計画を推進し、当社グループの基本方針である「多様な食を、多様な形で、多様な顧客へ」のもと、食と顧客を繋ぐ「トータル・フード・プロバイダー」として、各事業セグメントの取組みを進める一方で、各事業セグメント間のクロスオーバーによる新たな事業の創出、既存事業の収益改善への取組みを進めております。

現時点における当社グループの取組みは下記となります。

 

[ 小売事業 ]

当セグメントの中核事業会社である株式会社小僧寿し(以下「小僧寿し」といいます。)において、持ち帰り寿し店「小僧寿し」の収益改善に向けて、収益性の減退する店舗の撤退、及び地方圏におけるドミナント出店を事業戦略の骨子としております。この事業戦略に基づき、2024年10月4日付「当社連結子会社による事業譲受に関するお知らせ」のとおり、2024年11月1日付で、「兵庫県」「徳島県」「香川県」において18店舗のFC事業を譲受け、直営化しました。これにより、西日本エリアの直営店との仕入・流通網を形成し、コスト効率の高い事業体制の構築を図ります。また、同社の更なる収益改善を目指し、直営店95店舗のうち、不採算となっていた12店舗の撤退を決定しました。これにより、当連結会計年度からの大幅な収益改善と2025年度の黒字化を目指します。

 

[ 飲食事業 ]

当セグメントの中核事業会社であるアスラポート株式会社(以下「アスラポート」といいます。)においては、来店客数の回復に伴う堅調な事業推進のもと、鶏料理の居酒屋「とり鉄」、本格四川中華料理を提供する「陳麻家」の新店出店により、収益拡大へ向けた取組みを進めております。また、メキシカン・ファストフードの「TacoBell」を運営する株式会社TBJ(以下「TBJ」といいます。)においては、「中目黒」「有明」「幕張」といった首都圏に集中して新店を出店し、運営店舗数を拡大すると共に、同ブランドの主要顧客層に認知度の高いインフルエンサーやYouTuberとのコラボレーションの実施により、ターゲット層へのブランド認知、ファンの獲得へ向けたマーケティング活動を強化しております。

 

[ 流通事業 ]

流通事業の中核事業会社である東洋商事株式会社(以下「東洋商事」といいます。)においては、同社が行う食材の卸売事業の強化の一環として、新たに一般貨物自動車運送業の認可を取得し、また配送車の増車も同時並行して実施することで、当社グループの物流インフラとしての機能強化を図っております。一方、フード・デリバリーサービスを展開する株式会社デリズ(以下「デリズ」といいます。)においては、フード・デリバリー業界の競争激化に伴い、収益性の減退した不採算店舗11店舗(一部の休業店を含む)の撤退を決定しました。これにより、当連結会計年度からの大幅な収益改善を図ります。

 

[ 海外事業の拡充 ]

飲食事業セグメントの中核事業会社であるアスラポートにおいて、2024年5月に、北米圏にイートイン型の飲食店・持ち帰り寿し店を8店舗展開するSUSHI BOY,INC.を子会社とするASRAPPORT DINING USA,INC.を連結子会社といたしました。また、2024年6月には、英国の日本食品会社であるJapan Centre Group Limited(以下「Japan Centre」といいます。)及び当社グループの英国における事業展開を企図して設立された英国法人Kozosushi UK Limited(以下「Kozosushi UK」といいます。)との間で、3社間の資本業務提携を締結し、両社を持分法適用関連会社といたしました。Japan Centreにおいては、1976年の設立以来、英国における「小売事業」「飲食事業」を介した「日本の食と文化の発信源」として、スーパーマーケット「JAPAN CENTRE」、日本食の飲食・物販・デモンストレーション・プロモーションが一体となった日本食ホール「Ichiba」、ロンドンのへドン・ストリートに出店するラーメンBar「ラーメン横丁」など、多角的に事業を展開しております。当社グループは、Japan Centreとの協業を主体として、当社グループの小売・飲食事業のブランド展開や、日本食材の輸入、海外において販売する商品の企画・販売・製造の協業などによる、新たな事業展開を企図するなど、欧米における事業領域の拡大へ向けて推進しております。

 

[ 持株会社化による組織再編 ]

上記に記載する事業の取組みを進める一方で、「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3事業セグメント及び海外事業、18の事業ブランドを展開する当社グループの事業ポートフォリオの最適な運営体制を構築するため、2024年7月1日付で、当社は「KOZOホールディングス株式会社」に商号を変更し、持株会社に移行しました。この持株会社化に伴い、当社は、事業領域が拡大する当社グループの中枢機能として、

1)本部機能の統合を図り、グループ各社の事業生産性と本部コストの最適化を図る。

2)持続可能な社会の実現に向けて、SDGsへの積極的な取組みを進め、社会・経済発展のバランスを保ち、次代へ向けた成長を続ける。

3)事業価値並びに株式価値を高めると共に、株主還元策を重要な指針とする。

といった方針を掲げ、この取組みを進めております。

 

上記の事業推進による取組み、及び2023年5月付で連結子会社とした東洋商事等の流通事業の拡充、並びに2024年6月付で連結子会社とした海外事業のSUSHI BOY,INC.の収益連結の影響により、当連結会計年度における売上高は、181億9百万円(前期比38.7%増加)となりました。

営業利益及び経常利益に関しましては、各事業セグメントの概況を含めてご説明いたします。

 

セグメント別の状況

1)小売事業

小売事業は、小僧寿し及び株式会社だいまる(以下「だいまる」といいます。)によって構成されており、「小僧寿し」等の持ち帰り寿し店の店舗数は、152店舗(直営92店舗、FC60店舗)(前期は直営74店舗、FC89店舗)、だいまるにおいては、スーパーマーケット「だいまるストアー」を1店舗(同前期)展開しており、小売事業の店舗数は153店舗(前期比9店舗減少)となりました。

同事業セグメントの中核事業会社である小僧寿しにおいては、店舗収益性の改善、並びに2024年11月に18店舗のFC店を直営化した影響に伴い、前期と比較して売上高が増加しております。一方で、人材不足に伴う採用コストの増加、主力仕入商材である米及び海産物の高騰による仕入価格の増加、不採算店舗の閉鎖に時間を要したことなどが収益を圧迫したことから、小売事業のセグメント損失は2億6百万円(前期は1億56百万円のセグメント損失)となりました。

 

2)飲食事業

 飲食事業は、アスラポート及び4社の海外事業会社、TBJ、株式会社スパイシークリエイトにおいて、外食・居酒屋業態のチェーン展開を行っております。(直営26店舗、FC239店舗)(前期は直営35店舗、FC270店舗)また、北米においてイートイン型の飲食店・持ち帰り寿し店を展開するSUSHI BOY,INC.が8店舗、欧州においては、ラーメン店等を展開するASRAPPORT FRANCE等において2店舗を展開しております。(海外10店舗)

 アスラポートにおきましては、新型コロナウイルス感染症の収束以降、インバウンド需要や消費活動の活発化を背景とした来店客数の増加により、売上高は堅調に推移いたしました。一方で、「TacoBell」を運営するTBJにおきましては、当連結会計年度に「TacoBell」を3店舗新規出店いたしましたが、長期に渡る円安の影響に伴う輸入食材の仕入コストが増加しております。

 これらの影響に伴い、飲食事業のセグメント損失は87百万円(前期は4百万円のセグメント利益)となりました。

 

3)流通事業

 流通事業は、業務用食材の卸売事業を主業とする東洋商事、和惣菜の製造販売を主業とするモリヨシ、フード・デリバリー店「DELIS」を運営するデリズによって構成しております。(総拠点数91店舗)(前年同期は90拠点)

 東洋商事におきましては、消費活動の活発化を背景とした飲食店の来店客数の増加に伴い、飲食店への卸売食材の販売が増加し、売上高は堅調に推移しております。一方で、モリヨシ及びデリズにおきましては、原材料価格の高騰の影響、並びにフード・デリバリー事業の競争激化に伴う不採算店舗の損失が拡大しております。

 これらの影響が生じたことから、流通事業のセグメント損失は、1億33百万円(前期は85百万円のセグメント損失)となりました。

 

4)海外事業

 当社グループの海外事業は、飲食事業セグメントの中核事業会社であるアスラポートを主体として、欧米に合計15店舗(うち5店舗がハワイ州における持ち帰り寿し店)の飲食店を展開しております。また、2024年6月には、英国の日本食品会社であるJapan Centre Group Limited及び当社グループの英国における事業展開を企図して設立された英国法人Kozosushi UK Limitedとの間で資本業務提携を締結し、持分法適用関連会社とするなど、年々事業領域を拡大しております。同海外事業におきましては、SUSHI BOY,INC.が北米において展開する飲食店が堅調に推移する一方で、欧州において展開する飲食店2店舗においては、未だ収益改善の途上にあり、当連結会計年度の同事業は損失を計上しております。

 

5)本部(KOZOホールディングス株式会社)

2024年7月1日付にて、当社はKOZOホールディングス株式会社に商号を変更し、持株会社体制に移行しました。この持株会社体制への移行に伴う手続き費用の発生、及び持株会社体制への移行記念株主優待の実施等によるコストが当連結会計年度において発生しております。

 

以上の結果、当連結会計年度の営業損失は4億27百万円(前期は2億37百万円の営業損失)となりました。また、営業外費用として、持分法関連会社に対する金銭債権の回収可能性を鑑み一部債権の引当金として5百万円を計上した点、海外事業会社に対する金銭債権において為替差損を9百万円計上した点、2024年度内に実施したファイナンス関連の支払手数料を8百万円計上した点などが影響したため、経常損失は4億59百万円(前期は2億13百万円の経常損失)となりました。

当連結会計年度の業績を踏まえ、各事業会社において回収可能性が低下した資産の減損損失の計上、及び不採算店の閉鎖決定に伴う店舗閉鎖損失引当金の計上等を店舗閉鎖損失として特別損失に計上しております。各事業セグメント単位の特別損失計上額は下記となります。

① 小売事業

  減損損失      5百万円

  店舗閉鎖損失    26百万円

② 飲食事業(海外事業を含む)

  減損損失      73百万円

  店舗閉鎖損失    13百万円

③ 流通事業

  減損損失      92百万円

  店舗閉鎖損失    23百万円

  その他特別損失   8百万円

④ 本部(KOZOホールディングス株式会社)

  その他特別損失   20百万円

 

上記に記載する特別損失2億62百万円を特別損失として計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は7億82百万円(前期は3億38百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 

 

(2)当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、税金等調整前純損益が7億21百万円の損失でありますが、現預金が前連結会計年度末に比べ1億28百万円増加し、11億23百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の減少は49百万円(前期は2億3百万円の増加)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が7億21百万円の損失を計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は1億69百万円(前期は3億2百万円の増加)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出2億7百万円が生じたことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は3億59百万円(前期は50百万円の増加)となりました。これは主として、長期借入金の支出2億14百万円が生じた一方で、株式の発行による収入5億91百万円が生じたことによるものです。

 

 

 

生産、受注及び販売の実績

(1)商品仕入実績

 当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は「生産」を行っておりませんので、「生産実績」に代えて「商品仕入実績」を記載いたします。

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

小売事業

持ち帰り寿し

2,395,850

42.2

流通事業

卸売・デリバリー

8,253,648

93.7

飲食事業

飲食店運営

2,644,548

39.4

合計

13,294,047

 

   (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

該当事項はありません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

小売事業

商品販売

3,547,355

8.0

食材販売

471,436

△21.9

ロイヤリティ収入等

61,878

△33.6

流通事業

商品販売

8,681,172

80.1

ロイヤリティ収入等

3,898

142.8

飲食事業

商品販売

5,344,035

25.8

合計

18,109,777

 

   (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、過去の実績や状況に応じてその時点で合理的と考えられる要因を考慮したうえで継続的な評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 [注記事項] 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 [注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末からの3億69百万円増加し、60億円となりました。

 

(流動資産)

 流動資産は、前連結会計年度末より91百万円増加し、34億92百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1億27百万円、売掛債権が1億29百万円増加した一方で、短期貸付金その他の債権が1億88百万円減少したことなどによるものです。

 

(固定資産)

 固定資産は、前連結会計年度末より2億77百万円増加し、25億7百万円となりました。これは主に、海外事業会社の株式取得に伴いのれんが2億60百万円増加したことによるものです。

 

(流動負債)

 流動負債は、前連結会計年度末より、4億15百万円増加し、39億88百万円となりました。これは主に、仕入価格の増加により、支払手形及び買掛金が1億84百万円、未払金が1億86百万円増加したことなどによるものです。

 

(固定負債)

 固定負債は、前連結会計年度より、1億16百万円増加し、18億82百万円となりました。これは主に、新規出店等に伴い店舗の将来解体費用を見積ったことによる長期資産除去債務が1億95百万円増加したことによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末より1億62百万円減少し、1億29百万円となりました。

 

(3)経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、181億9百万円(前期比50億55百万円増加)となりました。これは主に連結子会社とした東洋商事等の流通事業の拡充、並びに海外事業のSUSHI BOY,INC.の売上が起因しております。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は68億9百万円(前期比16億35万円増加)となりました。これは主に上記売上増加に起因しております。

 

(営業損益)

 当連結会計年度における営業損失は4億27百万円(前期は2億37百万円の営業損失)となりました。これは主に、小売事業及び流通事業の不振が起因しております。

 

(経常損益)

 当連結会計年度における経常損失は4億59百万円(前期は2億13百万円の経常損失)となりました。これは主に、営業外費用として、持分法関連会社に対する金銭債権の回収可能性を鑑み一部債権の引当金の計上、海外事業会社に対する金銭債権において為替差損の計上、2024年度内に実施したファイナンス関連の支払手数料の計上が起因しております。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は7億82百万円(前期は3億38百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。これは主に、各事業会社において回収可能性が低下した資産の有形減損損失の計上、及び不採算店の閉鎖決定に伴う店舗閉鎖損失引当金の計上等を特別損失の発生に起因しております。

 

(4)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、税金等調整前純損益が7億21百万円の損失でありますが、現預金が前連結会計年度末に比べ1億28百万円増加し、11億23百万円となりました。

キャッシュ・フローの増減要因の分析は、「第2 事業の状況 3 業績等の概要」に記載しております。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、食材等仕入高、給与手当を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店や店舗改装等に係る設備投資などであります。財務を目的とした資金需要は、主に有利子負債の返済であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保する事を基本方針としております。現状、事業運営上必要な運転資金は、主に自己資金及び第三者割当による新株発行等のエクイティファイナンスにより賄っております。

今後も、引き続き、安定した資金確保を努めてまいります。

 

(5)経営戦略の現状と見通し

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。