文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針について
当社は「全ての会員様に利便性を提供すること」を基本理念に、自動車流通支援サービスをコアビジネスと位置づけ、中古車流通に関わる総合的なサービス・情報を取り扱う「ASNET」の運営を行ってまいりました。今後も「顧客満足度向上並びに中古車流通に関わる全ての企業・ユーザーに使いやすく頼られる企業」であり続けることを信念に、新規サービスの事業化に積極的に取組み、ステークホルダーの皆様のご期待に沿える事業成長・企業価値向上の実現に努めてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、中古車取扱事業者がインターネット上で中古車を売買することのできる会員制サービスプラットフォーム 「ASNET」を運営する事業を営んでおります。当社は経営上の目標達成状況を判断するための指標として「ASNET」における「取引台数」を用いております。その理由は、当社はASNET事業において顧客による車両の落札、出品若しくは成約の都度、手数料を受領しており、これが売上の大部分を構成しているためです。
(なお、ASNETにおける取引台数の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。)
(3)経営戦略について
当社は、ASNET事業拡大のための経営戦略として、主に①ASNET会員数の拡大及び②ASNET取引台数の拡大を図ることとしております。うち①については中古車販売店、新車ディーラー、整備板金工場、ガソリンスタンド、輸出事業者等、あらゆる中古車取扱事業者を対象に、当社の営業リソース及び代理店を用いて取り組むこととしております。また②についてはASNETの機能改良及びASNETに掲載されるデータの活用や連携による利用拡大を図ることとしております。
(4)経営環境について
以下に事業セグメントに関連する業界動向について記載いたします。なおASNET事業は、インターネット上で、ASNETの会員である中古車取扱事業者が国内で中古車を出品・落札することを代行又は仲介するサービスを提供しており、当社の属する業界の市場規模及び市況は、(i)中古車全体の流通数及び(ii)中古車売買におけるインターネットを介した取引動向によって左右されます。
(i)は新車・中古車の保有者から中古車流通市場に流入する台数の動向が影響を及ぼしますので、自動車市場規模及び中古車流通市場に関する動向及び見通しを記載します。なお中古車については、自動車の名義変更等の諸登録手続きが行われた台数が発表されていることから、一部においてこの数値も用いて説明いたします。また、(ii)に関しては、オートオークション取引におけるインターネット等を介して場外からオークションに参加できるサービスや、店頭取引の動向が重要となるため、それぞれの動向に関する見通しを記載します。
①自動車市場規模
我が国の自動車業界について、(一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会の発表統計によりますと、2024年の登録車及び軽自動車の新車販売台数合計は、一部メーカーにおける生産停止等の影響を受け、前年同期比7.5%減の442.1万台と大きく減少しました。一方、軽自動車を含む中古自動車登録(届出)台数については前年同期比1.0%増の649.8万台と、ほぼ前年並みとなりましたが、月別では、前年対比が落ち込む月も見られる等、不安定な状況が続きました。また、(一財)自動車検査登録情報協会によりますと、2024年3月末時点での軽自動車を含む自動車保有台数は、8,257万台(前年同期比11.7万台増)と引き続き増加傾向で推移しました。
このように、新車の販売台数や中古車の登録台数は経済情勢等に応じて増減する傾向にありますが、保有台数については引き続き安定的な状況で推移していくと見込んでおります。
(注)矢野経済研究所「2023年版 自動車アフターマーケット総覧」
②中古車流通市場
中古車流通市場においては、消費者が新車ないし中古車を購入する際に下取もしくは買取された車両が主な供給源となり、買取事業者・新車ディーラー・リース会社・中古車販売店等を介して業販市場・小売市場(輸出市場を含む)に流入し、最終的な需要者(消費者、解体業者、輸出業者)に流出するという構成となっていることが一般的です。
中古車流通市場のうち業販市場においては、オークション取引が主要な取引形態であり、2020年から続くコロナ禍による新車供給・販売の停滞等を背景とした中古車供給量の減少や、一部の新車メーカーにおける生産停止等の影響で出品台数は増減いたしますが、我が国の中古車流通を代表する取引形態であることには変わりありません。ただし、近年、大手中古車販売店が仕入元を業販市場(オークションでの落札)から消費者からの買取にシフトする動きや、大手買取業者等が買い取った中古車をオークションでの売却から自社店舗での小売にシフトする動きが見られるほか、新車ディーラーが販売拠点において中古車の取り扱いを強化する動きも見られております。またオークションを介さない取引も徐々に増加傾向にあり、今後、オークション取引のシェアが変動することも考えられます。
(注)矢野経済研究所「2023年版 自動車アフターマーケット総覧」
③ASNET事業を取り巻く環境
自動車の市場規模は、長期的には少子高齢化や人口減少といった構造的な変化等を背景に、緩やかに縮小することも見込まれておりますが、前述のように自動車保有台数は安定的かつ漸増傾向にあり、中古車流通市場が直ちに縮小するような状況にはありません。ただし、シェアリングビジネスの普及により自動車に対する一部の消費者のイメージが「保有」から「利用」へシフトすること、国際的な環境規制の強化に対応するため各自動車メーカーでEV(電気自動車)をはじめとする次世代車の普及が計画されていること等により、自動車を取り巻くビジネスモデルが大きく変化することも考えられます。
中短期的には、我が国の家計部門における可処分所得が伸び悩む中、新車の高機能化に伴う価格高騰が進み、今後は自動車保有台数に占める中古車の割合が高まることが見込まれます。さらに、中古車業販市場に目を向ければ、燃料価格の高騰による輸送費の上昇や、人手不足や働き方改革等を背景とした自動車輸送能力の縮小が進む中、売り手から買い手へダイレクトに輸送するといったシンプルな流通構造が求められると見込んでおります。このほか、自動車の検査規格の整備や検査機器の高度化等により中古車の取引に対する不安が抑制され、インターネットを介した流通が拡大すると見込んでおり、当社ASNET事業のうちASワンプラサービスに対するニーズは今後拡大するものと見込まれます。
また、新車の供給不足等により中古車の需要は高まっておりますが、供給量の減少に伴って流通量の減少及び価格の高騰傾向が見られます。しかし、インターネットを介した中古車流通については、オートオークション会場外からインターネットを介して取引に参加するためのシステム整備が進んでおり、主要オートオークションにおける会場外からの取引参加率は概ね50~60%に達する等、そのニーズは今後も堅調に推移するものと見込んでいることに加え、インターネットでの取引がベースとなっている業者間取引の拡大により、当社ASNET事業の属するインターネットを介した中古車流通市場の需要は拡大する見込みです。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、以下の事項を「優先的に対処すべき課題」として認識しております。
①会員数の増加と利用頻度の向上
当社が手がけるASNET事業を成長させ収益力を強化するには 、「新規会員の獲得」と「既存会員の利用促進」が重要であると考えております。当事業年度においては新車の供給制約の緩和等により新車代替が進んだことで中古車の流通台数が増加した結果、ASNETの総流通台数は前年を上回る結果となり、また、新規会員獲得のための営業施策を引き続き実施した結果、2024年12月末の会員数は80,613、うち新規入会件数4,342件、前年同期比3,252会員の増加、(ただし当該入会会員がASNETで取引を行わないこともあるため、会員数の増加が業績の拡大に繋がるとは限りません。)となりました。
2025年度においても、新たな顧客開拓に注力し、新規会員の獲得においては、中古車取扱事業者のほか、自動車関連事業者を含めた幅広い事業者を対象に営業活動を展開するほか、各種広告媒体を通じてASNETの知名度向上を図ります。一方、既存会員の利用促進においては、定期的な営業活動や代理店施策の実施、ANSETの機能強化及び既存サービスの内容拡充を図ることで顧客満足度の向上と稼働会員の増大へと繋げてまいります。
(ASNET会員の推移については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 に記載しております。)
(注)稼働会員とは、当該年においてASNETで1台以上の車両売買を行ったASNET会員をいいます。
②中古車情報の取扱車両台数の増加
ASNETの特徴は、全国各地のオートオークション会場にある車両や中古車販売店に展示されている在庫車両をASNET 上で横断的に検索・落札ができることです。この利点を伸ばすためには、提携するオートオークション会場数とASワンプラの出品台数を増やしていくことが重要であると考えます。そのために当社は大手オートオークション会場をはじめとする全国各地のオートオークション会場や大手中古車販売店等と引き続き提携関係を維持しつつ、中古車販売整備システム会社との提携や、新たなオークション会場との提携並びに店頭在庫の出品会員の獲得に努めます。
(なお、ASNETにおける掲載台数の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。)
③人材の採用と教育
優れた人材の確保と育成は、企業の成長には欠かせないと考えております。会員獲得のための営業部門やASNETの保守や機能拡充を図るためのシステム部門を中心に、優秀な人材の採用とその育成を図ります。
④システム機能の向上・刷新
将来に向けたASNET事業の発展・拡大のためには、システム機能の向上が必要不可欠であると考えます。そこで当社は、子会社であるAUTOSERVER VIETNAM CO.,LTD.とともにASNETの開発体制を強化し、機能の拡充やアプリ版の開発等に取組むことでさらなる利便性向上を実現していきます。
⑤経営組織力の強化と内部統制
経済環境の変化や競争の激化が予想される今後に向けて、的確な内部統制制度の整備運用に努め、スピードと正確性・適正性を両立する強固な経営組織力の構築を目指します。
なお、当社では2024年12月末時点で、取引銀行8行と極度額72億円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要にも耐えられる体制を構築しているため、当社としては現状財務体質に重要な課題はないと考えており、財務上の課題は記載しておりません。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、「すべての会員様に利便性を提供すること」を基本理念に、中古車流通の活性化を目指し、中古車流通総合サービス「ASNET」を運営しております。
当社は、自社のビジネスを通じて、サステナビリティの観点から、環境負荷の低減や、循環型社会の実現に貢献してまいります。
当社では、サステナビリティに対するガバナンスとして、取締役会の監督のもと、コンプライアンス委員会を設け、コンプライアンスやリスクマネジメント、及びサステナビリティ全般に関する議論や報告がなされております。
コンプライアンス委員会は四半期ごとに開催されており、当社のサステナビリティに関する課題などについての議論や、サステナビリティに関するトピックスなどについての報告がなされており、必要に応じて従業員に対して理解を促すための周知を行っております。
取締役会では、サステナビリティに関するリスクや機会を踏まえた、経営戦略・事業計画の立案や、取締役の業務執行状況などについて、監督がなされております。毎年、取締役会の実効性評価を行い、取締役会の運営等における課題について洗い出し、改善を図っております。
また、監査等委員会は、独立社外役員3名で構成されており、執行側から独立した立場での監査を行っております。監査等委員会においても、実効性評価を行い、課題の洗い出しと改善を図っております。
ガバナンス体制の詳細については、「
(2)戦略
当社は、その基本理念に沿って、サステナビリティに関わる経営戦略について立案・実行しております。
(人材育成方針)
当社は、より利便性のあるサービスを提供するため、人材の採用・育成を行ってまいります。
ベトナムに子会社を設け、現地でシステムエンジニアを採用し、システム開発を行っております。他にも多様性の観点から、中途採用や、女性の採用を積極的に行っております。
また、年に2回人事考課を行っており、上長との面談を通じて、従業員のキャリア形成と、公正な人事評価が行われる仕組みを構築しております。
(社内環境整備方針)
当社は、採用した人材が、より成果を発揮できるよう、安心して働くことのできる労働環境を整備してまいります。
従業員の通勤の利便性等を勘案し、当事業年度に東京本社を移転し、豊橋本部の新社屋についても、翌事業年度中の稼働に向けて建設を行っております。
また、ワークライフバランス向上のため、残業を抑制し、健康管理のため、年1回ストレスチェックや、定期健康診断を行っており、男女の育児休業制度を設け、福利厚生として、年1回の社員旅行を実施しております。
加えて、ハラスメント撲滅のため、「ハラスメント防止規程」を定め、社内及び社外に相談・通報窓口を設け、コンプライアンス委員会を通じて、従業員に定期的に周知がなされております。
当社は、コンプライアンス委員会を設け、リスクマネジメントについて議論し、サステナビリティ全般に関するリスクと機会についても、検討しております。
リスク評価については、少なくとも年1回定期的に、リスクの発生の可能性と、リスクが顕在化した場合における影響度の両面から見直しを行い、識別したリスクに対しては、リスク軽減などのための施策や、それを機会と捉えた経営戦略が立案・実行されております。
気候変動に関するリスクについては、気候変動がもたらす移行リスクや物理的リスク、及びそれらに係る機会について検討し、リスク評価を行っております。
リスクマネジメントの状況については、取締役会において報告され、監視・監督がなされております。また、毎月執行役員会、月2回経営戦略会議を行っており、識別されたリスクへの対応状況などについて、都度報告されております。
なお、有事の際の対応については、「リスク管理規程」で定めており、迅速な対応と再発防止がなされる仕組みを構築しております。
当社が識別しているリスクの詳細については、「
(4)指標及び目標
当社は、サステナビリティ全般に関する「指標及び目標」の記載につきましては、現段階では個別の指標や目標 を設定しておりませんが、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関して、男性の育児休業の取得率50%という目標を掲げております。
男性の育児休業取得率の当事業年度の実績については、「
記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、提出日現在において当社が判断した投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項としては、以下のようなものがあります。当社はこれらリスク事項の分析のためリスクの影響度及びリスクの発生度合の2つの観点からリスクレベルを算出する評価方法を用いており、リスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)中古車流通市場の混乱
当社が扱う中古車の販売動向は消費者の需要動向の影響を受けやすく、経済情勢や政治情勢、輸出需要や為替の変動等によって中古車の価値や価格も大きく変動します。これらの外部要因により中古車の需要が減退した場合、あるいは過度な価格変動等により中古車の流通市場や輸出市場が混乱して取引が低迷した場合、会社業績に影響が及ぶ可能性があります。
新車販売台数の減少による影響・リスクについては、半導体不足や部品不足、ロックダウン等による労働力供給不足等による新車生産台数の減少や、生産される新車の日本向け供給の減少等、何らかの理由により国内への新車供給が減少する、あるいは新車供給体制が不透明(納期の見通しが立たない等)となると、消費者の自動車乗り換え需要が消化されず、下取り車両の中古車流通市場への供給が細ることとなり、流通量の減少及び中古車価格の高騰等に繋がり、ひいてはASNET事業にマイナスの影響を及ぼすものと思われます。
為替動向による影響・リスクについては、円安により中古車の輸出需要が増加し、中古車流通市場の活性化に繋がってASNET事業にプラスの影響を及ぼすと思われますが、その度合いについては、輸出動向が仕向地や車種、輸出に係る物流状況等に影響を受けるため変化し、かつASNET会員のうち輸出事業を営んでいる会員数が限定的(その理由は、当社がASNET会員に対し一律的な利用可能額の設定をしていること、及び取引1台あたりの手数料額がオークション会場で直接取引を行うことに比べ高いこと、落札前に車両を実際に確認することができない等が考えられます)であることから、当社がメリットを享受できる度合いは限られます。また、円安が続き物価や燃料費等の高騰が長引くこととなれば、消費者における中古車需要の減退に繋がり、中古車の流通が停滞してASNET事業にマイナスの影響を及ぼす恐れがあります。一方、円高になれば、中古車輸出台数が減少しマイナスの影響となりますが、輸出需要が抑制されることで輸出業者による仕入れが減少して中古車価格の相場も下落し、国内向け流通が活性化するため、プラスの影響を及ぼすと思われます。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は中程度、顕在化した場合の影響度については中程度であると判断しております。
(2)天災等による物流の混乱
当社はASNETにおいて取引された中古車が安定的に輸送されるよう、提携輸送業者との情報共有や提携輸送会社の拡大等の対策を講じておりますが、万が一、大規模な災害が発生し、物流の遅延により取引が低迷した場合、会社業績に影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、当社の事業に影響が及ぶほどのリスク顕在化の可能性の程度は低く、顕在化した場合の影響度については中程度と判断しております。
(3)中古車流通構造の変化及び競合他社の出現
国内の中古車流通市場は成熟しており、安定的に推移するものと見込んでおりますが、成熟した市場環境下において異業種の参入等により競争が激化した場合、あるいは新たな中古車流通の出現等によってASNETの価値が相対的に低下し、当社が競合他社を凌ぎ市場シェアの維持拡大をすることができなかった場合は、会社業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は低いものの、顕在化した場合の影響度については大きいと判断しております。
(4)サイバー攻撃
当社の運営するASNETは、中古車情報を取り扱う会員制のインターネットサービスであり、会員登録時に取得する個人情報を含め、適切な情報管理が求められる事業です。これらの情報管理にあたってはISO27001/ISMS(認証番号J0322)とプライバシーマーク(認証番号10825169)の認証を受けるとともに、情報セキュリティ確保体制の構築を行うことで適切な取扱いに努めておりますが、サイバー攻撃による外部からの不正アクセスにより情報が流出し、業務遂行に支障が出た場合、会社業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は低いものの、顕在化した場合の影響度については大きいと判断しております。
(5)特定の外部委託先への依存
当社は経済性や専門性を考慮して、一部のシステム開発業務を社外に委託しております。委託に際しては、委託先事業者の選定を厳密化し、また、特定の事業者に依存しないよう委託先を分散しておりますが、委託先事業者の経営環境などに問題が発生し業務委託が継続できなくなった場合、会社業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は中程度、顕在化した場合の影響度については中程度であると判断しております。
(6)システム・通信回線の障害/不具合の発生
当社はコンピュータシステム及びネットワークの活用により事業を展開しており、安定的なサービス運営を行うため、システムの複合化・多重化やIT統制による内部統制・管理体制の構築等の対策を講じておりますが、当社もしくはASNET会員のいずれかが利用するコンピュータシステムもしくはネットワークに予期せぬ障害によりサービスの提供や業務遂行に支障が出た場合、会社業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は中程度、顕在化した場合の影響度については中程度であると判断しております。
(7)経営者の交代
当社は代表取締役2名体制を構築しておりますが、代表取締役が、何らかの理由により予期せずその職務を遂行することができなくなることなどにより経営体制が大幅に変更となった場合、当社業績にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は低いものの、顕在化した場合の影響度については大きいと判断しております。なお当社では今後、指名委員会や取締役会での十分な審議を経ながらサクセッションプランを策定していく方針であります。
(8)不正行為の発生
当社は法令並びに各種ガイドラインに準拠した内部統制の整備を行っており、内部通報制度や代表取締役2名による相互牽制体制の構築、電子稟議システムや業務支援システム(ERP)の構築による業務の電子化等の対策を講じておりますが、万が一、故意又は過失による法令違反行為が発生した場合、賠償責任の発生や取引の停止、社会的信用の失墜等によって会社業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は低いものの、顕在化した場合の影響度については大きいと判断しております。
(9)新事業や新サービスの展開の失敗
新規事業を展開する際には入念な市場調査等を実施した上で行う方針ですが、新規事業や新サービスに対する先行投資を行い、想定していた利益が得られなかった場合には、会社業績へ大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は低いものの、顕在化した場合の影響度については大きいと判断しております。なお提出日現在において、新事業の展開予定はありません。
(10)人材の確保・育成
当社では定期的に採用活動や派遣社員の正社員登用を実施しておりますが、今後、少子高齢化が進み人材獲得競争が激化する中で、優秀な人材の確保・育成が計画どおりに進まない場合や、優秀な人材の社外流出が生じた場合、会社業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は中程度、顕在化した場合の影響度については中程度であると判断しております。
(11)当社株式の流動性について
当社は、代表取締役である萩原外志仁氏及び萩原外志仁氏の資産管理会社である朝日ホールディングス株式会社により、議決権の過半数を所有されており、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は、当事業年度末(2024年12月31日)時点において31.24%となっております。
今後は、既存株主への一部売出しの要請、新株予約権の行使による流通株式数の増加等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は中程度、顕在化した場合の影響度については中程度であると判断しております。
(12) 特定の事業、業務提携先への依存
①特定事業への依存
当社はASNETの運営を主たる事業としており、当該事業に経営資源を集中させております。当社としては積極的な営業活動の展開による会員獲得やASNETの機能強化、提携先各社との関係強化によってASNET事業の優位性を堅持していく方針ですが、万が一、当社が競合他社を凌ぎ市場シェアを維持拡大することができず、ASNET事業の優位性が損なわれた場合は、会社業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は低いものの、顕在化した場合の影響度については大きいと判断しております。
②特定の業務提携先への依存
当社が提供するオークション代行サービスにおける取引のうち、株式会社ユー・エス・エス(以下本項において「USS」といいます。)が運営するオークション会場における取引が、取引台数に占める割合において56.2%(2024年12月期)を占めております。そのため、USSとの契約が解消となった場合、会社業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。当社はその対策として、USSに対し、業務提携によるメリット(中小事業者のオートオークションへの参入機会の提供等)を提供し、双方に利点のある業務提携関係を維持しております。従って、本書提出日現在において、当社としてはUSSとの契約が解消されるリスクは低いものと考えております。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は契約更新時、リスクが顕在化する可能性の程度は前述のとおり低いものの、顕在化した場合の影響度については大きいと判断しております。
また、これとは別に、契約条件が変更となり当社の収益に影響を及ぼす可能性もあります。ただしその場合には、当社はASNETにおける手数料の変更等によって一定の収益を確保することとしており、本書提出日現在において、リスクは低いものと考えております。当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は中程度であるものの、顕在化した場合の影響度は小さいと判断しております。
(13) 特有の取引慣行に基づく取引に関する損害に係るもの
①立替金の回収不能による損害
当社はASNET事業において立替金が発生(例えば、オークション代行サービスにおいてASNET会員が中古車を落札した場合、当社は当該ASNET会員のために落札車両代金をオークション会場に立て替えて支払い、後に当該ASNET会員より支払いを受けることがあります。)し、この回収が不能となった場合、当該立替金が発生する原因となった取引に係る中古車を、取引規約に基づいて回収して売却し、差損が生じる場合には改めて債権回収に努めるものの、なお回収不可となった場合には貸倒処理をしております。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性の時期については、ASNETの利用に伴って立替金が発生するため常時あり、またリスクが顕在化する可能性の程度も中程度であるものの、顕在化した場合の影響度については極めて小さいと判断しております。なお当社は2024年12月期において立替金の回収不可による貸倒損失として302千円を計上しております。
②車両と書類の授受の分離
中古車の売買においては、売買後陸運支局における登録手続き(一時抹消、移転登録、新規登録)を行う際、車両だけでは手続きが行えず、「譲渡書類」と呼ばれる車検証や名義人の印鑑証明書及び譲渡証等が必要となります。業者間売買においては、売買成立後、車両は直ちに買い手に引き渡される一方、譲渡書類については代金支払い後の授受となることが一般的です。そのため、書類の授受が適切に行われない場合(例えば輸送中の紛失、取り扱い中の破汚損)、クレームが発生し、場合により書類の再発行費用等の金銭的負担が発生することがあります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性の時期については、ASNETの利用に伴って書類の授受が発生するため常時あり、またリスクが顕在化する可能性の程度も中程度であるものの、顕在化した場合の影響度については極めて小さいと判断しております。なお当社では書類輸送中の紛失汚損等に備え貨物保険に加入しております。
③現金決済による運転資金の増加
中古車の業者間売買においては、決済代金は取引後概ね数日~1週間以内に現金で行われることが一般的であり、ASNET事業における決済手段も現金のみとなっております。そのため、ASNETにおける取引量の増加に伴い、一時的な立替えが増加し、運転資金が増加することがあります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性の時期については、ASNETの利用に伴って現金決済が発生するため常時ではあるものの、リスクが顕在化する可能性の程度は低く、また顕在化した場合の影響度についても小さいと判断しております。
(14) 新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク
当社における新型コロナウイルス感染症拡大による影響・リスクについて、短期的には、自動車に対する需要増加及び新車の供給不足に伴う中古車の需要増大や、非接触により仕入販売を行うことができるEC取引への需要が増加したこと等により、ASNETの利用が拡大し、当社ASNET事業にプラスの影響を及ぼしましたが、影響が長期化することで半導体不足や部品不足等による新車の供給の停滞が長引き、消費者における自動車の乗り換えが進まず、使用期間の短い高年式車両等を中心とした下取り車両等の中古車流通市場への供給が細ることとなり、中古車価格の高騰や流通量の減少に繋がっております。また、価格の高騰等によって消費者の需要が減退することで中古車の流通が停滞し、ASNET事業にマイナスの影響を及ぼしております。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は中程度、顕在化した場合の影響度については小さいと判断しております。
(15) 資産の減損
当社は固定資産の保有を圧縮することでリスクを低減する等の対策を講じておりますが、実際にのれんを含む固定資産に減損が生じ、財政状態が毀損した場合には会社業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
のれんは、MBOにより、旧オートサーバーが2016年3月にGTSM市場への上場を廃止し、2016年6月に当社を存続会社とする旧オートサーバーとの合併に伴い計上しております。
当該のれんについては、毎期、のれんを含むより大きな単位で減損の兆候有無を判定しております。本書提出日現在において、のれんに減損の兆候は発生しておらず、また、経営成績や収益性の著しい悪化により、のれんに減損の兆候が発生する見込みもございません。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は極めて低いものの、顕在化した場合の影響度については大きいと判断しております。
(16)調達資金使途
上場時の公募増資により調達した資金の用途につきましては、当社のサービスの品質向上並びに新サービスを立ち上げるための設備投資に充当する予定です。しかしながら、計画どおりに資金調達ができたとしても、事業環境の変化等により期待した成果が得られない場合には、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は低く、また顕在化した場合の影響度も小さいと判断しております。
(17)法的規制
当社は、古物営業法の法的規制の適用を受けておりますが、当該リスクについてリスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度も低く、顕在化した場合の影響度も小さいと判断しております。
当社は、法的手続きによる権利の保全には万全を期しており、今後も法令等の遵守を徹底し、法令違反の抑制をするとともに社内情報共有の迅速化を行ってまいります。しかしながら、将来において、予測し得ない新たな法令の制定や既存法令の規制が強化され、当社の事業が制約される事態が発生した場合、会社業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(18)特定の個人に株式の保有が集中していることについて
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は、7,145,900株であり、このうち4,736,800株(発行済株式総数に対する所有割合66.29%)を当社代表取締役である萩原外志仁氏及び萩原外志仁氏の資産管理会社である朝日ホールディングス株式会社が保有しております。朝日ホールディングス株式会社及び萩原外志仁氏は継続的に当社株式の保有を行う意向であるとしておりますが、何らかの理由により朝日ホールディングス株式会社及び萩原外志仁氏が保有する株式を売却した場合、当社株式の需給バランス及び株価に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性のある時期は不明、リスクが顕在化する可能性の程度は低く、また顕在化した場合の影響度も小さいと判断しております。
(19)取引の健全性
当社の運営するASNET上で車両の不具合が秘匿されたまま中古車が売買される等することで、取引の健全性が毀損し、当社に風評被害が発生する可能性があります。ただし、そのような車両が取引された場合には、取引規約に則り取引が取り消されるため、当社が金銭的補償を行うわけではありません。当社では、取引の健全性を確保するための施策として、出品車両の品質基準とクレーム制度を取引規約により確立し、取引規約に基づく運用を行うことや、出品車両の品質に問題のあった会員に対する指導の実施及び著しく出品車両の品質に問題のある会員の排除を行うことで取引の健全性の維持に努めております。
当該リスクについて、リスクが顕在化する可能性の時期については、ASNETの利用に伴って発生するため常時であるものの、リスクが顕在化する可能性の程度は低く、顕在化した場合の影響度も小さいと判断しております。なお本書提出日現在において、当社として認識している取引の健全性の毀損ないし風評被害は発生しておりません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況の概要
当事業年度における日本経済は、一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、海外においては、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響に加え、物価上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢、ロシア・ウクライナ情勢、金融資本市場の変更等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社をとりまく経営環境としては、我が国の中古車業界について、(一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会の発表統計によりますと、2024年の登録車及び軽自動車の新車販売台数合計は、一部メーカーにおける生産停止等の影響を受け、前年同期比7.5%減の442.1万台と大きく減少しました。一方、軽自動車を含む中古自動車登録(届出)台数については前年同期比1.0%増の649.8万台と、ほぼ前年並みとなりましたが、月別では、前年対比が落ち込む月も見られる等、不安定な状況が続きました。また、(一財)自動車検査登録情報協会によりますと、2024年3月末時点での軽自動車を含む自動車保有台数は、8,257万台(前年同期比11.7万台増)と引き続き増加傾向で推移しました。当社のASNET事業は中古車登録台数等に影響を受け、中古車登録台数は新車販売台数に影響を受けることから、当社は今後も新車販売台数並びに中古車登録台数の動向については注視することとしております。
このような状況のもと、当社は我が国の中古車流通市場において確固たる地位を築くべく、下記のように積極的な営業施策の展開による顧客拡大とASNET各種機能のリニューアル、新機能の追加、一部機能のスマホアプリ化等によるASNETサービスの利便性の向上を図りました。
ⅰ)営業施策について
当事業年度において、引き続きASNET会員の獲得に努めました。その結果、会員総数は80,613会員、うち新規入会件数4,342件、前年同期末比3,252会員の増加(ただし、当該入会会員がASNETで取引を行わないこともあるため、会員数の増加が業績の拡大に繋がるとは限りません。)となりました。また業容拡大のための営業施策を講じ、オークション代行サービスにおいて提携するオートオークション会場の拡大を行ったほか、ASワンプラサービスにおいては同サービスへ中古車情報を掲載していただくための営業活動を行いました。その結果、オークション代行サービスにおいては接続会場数は146会場(前年同期末比1会場増)となり、ASNETへ掲載した年間取扱情報台数は約1,098万台(前年同期比81万台減)となりました。
(注)ASワンプラサービスの掲載台数は、当社及び当社が業務提携契約を締結して受信したASワンプラサービスと同種のサービスを行っている他社の掲載台数の、1月から12月各月の平均出品台数(毎日の出品台数の平均値)の合計値です。
ⅱ)ASNET機能の開発・改良について
増大するASNETへのトランザクションへの対応やBCP対策の一環として、データセンターに設置するシステム機器の更新・拡張や情報セキュリティ対策の強化を引き続き行ったほか、新たな金融支援サービスの提供、電子車検証の活用による決済処理業務の電子化、ASNETスマホアプリへの自社開発AI機能の導入等も行いました。
ⅲ)ASNET取引台数について
当社は中古車取扱事業者がインターネット上で中古車を売買することのできる会員制サービスプラットフォーム「ASNET」を運営する事業を営んでおり、経営上の目標達成状況を判断するための指標として「ASNET」における「取引台数」を用いております。
その理由は、当社はASNET事業において顧客による車両の落札、出品もしくは成約の都度、手数料を受領しており、これが売上の大部分を構成しているためです。
ASNET取引台数の推移は、以下のとおりです。
ⅳ)ASNET会員数について
当社はASNET事業を成長させ、収益力を強化するには、「新規会員の獲得」と「既存会員の利用促進」が重要であると考えております。
当事業年度においても、新たな顧客開拓に注力し、新規会員の獲得においては、中古車取扱事業者のほか、自動車関連事業者を含めた幅広い事業者を対象に営業活動を展開しております。
また、既存会員の利用促進のための定期的な営業活動や代理店施策の実施、ASNETの機能強化及び既存サービスの内容拡充を図っております。
ASNET会員の推移は、以下のとおりです。
(注)稼働会員とは、当該年においてASNETで1台以上の車両売買を行ったASNET会員をいいます。
これらを踏まえた結果、当事業年度の業績につきましては、売上高は6,287,105千円(前年同期比7.5%増)、経常利益は2,485,417千円(前年同期比19.2%増)、当期純利益は1,562,679千円(前年同期比20.0%増)となりました。
なお、当社はASNET運営事業のみの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
②財政状態の状況の概要
(資産)
当事業年度末における総資産は18,154,779千円となり、前事業年度末に比べ1,416,600千円増加しました。これは主にオークション代行サービス及びASワンプラサービスに係る未収入金が434,108千円、サーバー室及びオフィスの用地購入、建築に伴い土地及び建設仮勘定がそれぞれ381,481千円、761,390千円増加したことによります。
(負債)
当事業年度末における負債は6,174,543千円となり、前事業年度末に比べ227,708千円増加しました。これは主にオークション代行サービス及びASワンプラサービスに係る未払金が633,332千円、預り金が26,913千円、獲得利益の増加に伴う課税所得の増加等により未払法人税等が135,015千円増加した一方で、短期借入金が返済により630,000千円減少したことによります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は11,980,236千円となり、前事業年度末に比べ1,188,892千円増加しました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ27,700千円増加したこと、利益剰余金が、当期純利益計上による1,562,679千円増加と、配当金429,141千円の支払による減少の結果、1,133,538千円増加したことによります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は11,920,791千円と前年同期と比べて44,331千円(0.4%)の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は2,333,665千円(前年同期は2,144,789千円の資金の獲得)となりました。これは減少要因として、法人税等の支払額779,474千円、未収入金の増加406,758千円等があった一方で、増加要因として、税引前当期純利益2,486,695千円、未払金の増加604,021千円、のれん償却額235,718千円、減価償却費175,672千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は1,375,263千円(前年同期は196,859千円の資金の支出)となりました。これは、サーバー室及びオフィスの用地購入、建築等有形固定資産の取得による支出1,244,664千円、無形固定資産の取得による支出92,850千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は1,002,919千円(前年同期は432,288千円の資金の獲得)となりました。これは返済による短期借入金の純増減額の減少630,000千円、配当金の支払額427,429千円等あった一方で、増加要因として、新株予約権の行使による株式の発行による収入54,556千円があったことによるものであります。
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績(千円)
第9期、第10期における販売実績は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
のれんの評価については、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
なお、のれんの評価については、翌々事業年度以降も、償却が完了するまで毎期、減損の兆候の有無の検討を行います。減損の兆候の有無の検討にあたっては、のれん取得時に作成された事業計画(以下、「事業計画」といいます。)を用いておりますが、事業計画は経営環境、市場における競合状況等を織込んだ収益計画など不確実性や見積りの要素が内在しております。将来の経済状況の著しい変動等により、業績が大幅に悪化した場合、翌々事業年度以降の財務諸表におけるのれんの金額に重要な影響を与える可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ)経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は6,287,105千円(前年同期比7.5%増)となりました。サービス別では、オークション代行サービス2,944,659千円(前年同期比1.8%減)、ASワンプラサービス2,903,582千円(前年同期比17.6%増)となりました。これは、中古車登録台数の増加や積極的な営業施策の展開による顧客拡大等の結果、主にASワンプラサービスで車両取扱高が増加したことによります。
(売上総利益)
当事業年度における売上原価は1,694,562千円(前年同期比1.4%増)となりました。これは、主にオークション会場へ支払う落札手数料の単価が上昇したこと、ASワンプラサービス(同業他社との業務提携取引)の落札台数が増加したことによります。
これにより、売上総利益は、4,592,543千円(前年同期比10.0%増)となりました。
(営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、2,098,695千円(前年同期比1.6%増)となりました。これは主に給与手当581,036千円(前年同期比5.2%減)、減価償却費175,672千円(前年同期比36.8%増)があったことによります。
これにより、営業利益は2,493,847千円(前年同期比18.2%増)となりました。
(経常利益)
当事業年度における営業外収益は、9,642千円(前年同期比29.4%増)となりました。これは主に違約金収入6,442千円(前年同期比2.0%増)、受取利息981千円(前年同期比1,144.2%増)によるものであります。また、営業外費用は、18,072千円(前年同期比45.3%減)となりました。これは主に支払利息17,177千円(前年同期比6.0%増)、株式交付費509千円(前年同期比96.8%減)によるものであります。
これにより、経常利益は2,485,417千円(前年同期比19.2%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における法人税、住民税及び事業税は944,953千円、法人税等調整額は、△20,937千円となりました。
これにより、当期純利益は1,562,679千円(前年同期比20.0%増)となりました。
(ⅱ)財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、前記「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況の概要」をご参照ください。
(ⅲ)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(ⅳ)資本の財源及び資金の流動性
当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金需要の主な要因は、車両代金等の立替金の支払いであります。当社は、営業キャッシュ・フロー以外に必要な資金を金融機関からの借入を利用しています。
また、成長投資への支出については、営業キャッシュ・フローを財源として、主としてIT投資を行っています。配当についても、営業キャッシュ・フローを財源として、前年度実績以上を維持しつつ、期末発行済株式数を基礎として計算した配当性向30%を目安に行っています。
エクイティファイナンスを行う場合には、成長投資への支出や運転資金への充当、借入金の返済等に使用いたします。
(ⅴ)経営成績に影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業活動、法規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保及び育成し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分析・低減し、適切に対応を行ってまいります。
(ⅵ)経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(ⅶ)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、中古車取扱事業者がインターネット上で中古車を売買することのできる会員制サービスプラットフォーム「ASNET」を運営する事業を営んでおります。当社は経営上の目標達成状況を判断するための指標として「ASNET」における「取引台数」を用いております。その理由は、当社はASNET事業において顧客による車両の落札、出品若しくは成約の都度、手数料を受領しており、これが売上の大部分を構成しているためです。
(参考情報)
当社は、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出された調整後経常利益及び調整後当期純利益を重要な財務指標として位置づけております。当事業年度及び前事業年度の当社の調整後経常利益、調整後当期純利益は以下のとおりであります。
(注)1.調整後経常利益=経常利益+のれん償却額
2.調整後当期純利益=当期純利益+のれん償却額
(1) 業務提携契約
(注)対価として契約に基づく手数料を支払っております。
該当事項はありません。