独立監査人の監査報告書

 

 

 

2025年3月26日

 

DIC株式会社

 

 

 

 

取締役会 御中

 

 

 

 

有限責任監査法人トーマツ

 

 

 

東京事務所

 

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

大竹 貴也

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

浅井 勇一

 

<財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているDIC株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの第127期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、DIC株式会社の2024年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

DICインベストメンツ・ジャパンに対する投資の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 【注記事項】(重要な会計上の見積り)の1.関係会社株式の評価に記載の通り、DIC株式会社(以下、「会社」という)の当事業年度の貸借対照表に計上されている関係会社株式492,464百万円のうち、400,696百万円は、合同会社DICインベストメンツ・ジャパンに係る投資原価であり量的に重要性がある。

同社は、グループ会社に対する投資及び効率的な資金の貸付を行うことを目的とする会社であり、その投資の評価は同社が投資又は貸付を行っているグループ会社の業績の影響を受ける。

会社は関係会社に対する投資の評価を、取得原価と実質価額とを比較することにより判定しており、原則として実質価額が取得原価に比べ著しく低下したときには、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、実質価額まで減損処理する方針としている。

同社の投資の評価については、貸借対照表における金額的重要性が高いこと、また、その投資の評価にあたっては、同社が投資又は貸付を行っているグループ会社の業績についても考慮する必要があることから、同社の投資の評価の妥当性は、当監査法人の監査上の主要な検討事項に該当すると判断している。

 当監査法人は、監査上の主要な検討事項を検討するにあたり、会社による関係会社投資の評価に係る内部統制の有効性を評価すると共に、主として以下の手続を実施した。

● 合同会社DICインベストメンツ・ジャパンに対する投資の実質価額が、同社の純資産を基礎として適切に算定されているかどうかについて、同社と同社が投資又は資金の貸付を行っているグループ会社の財務情報をもとに検討を行うと共に、取得原価と実質価額とを比較し、経営者による減損処理の要否の判断の妥当性を評価した。

● 主要な投資又は資金の貸付を行っているグループ会社の財務情報については、重要な勘定残高に対して監査手続を実施し、当該財務情報の信頼性を評価した。

 

 

繰延税金資産の回収可能性の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 【注記事項】(重要な会計上の見積り)の2.繰延税金資産の回収可能性及び(税効果会計関係)に記載されている通り、DIC株式会社(以下、「会社」という)の当事業年度の貸借対照表に計上されている繰延税金負債933百万円について、繰延税金負債と相殺されている繰延税金資産の金額は14,265百万円であり、将来減算一時差異等に係る繰延税金資産の総額18,318百万円から評価性引当額4,053百万円が控除されている。このうち、繰越欠損金に係る繰延税金資産の総額は2,800百万円であり、評価性引当額280百万円が控除されている。

会社はグループ通算制度を適用しており、法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産については、通算グループ全体を一つの納税主体として回収可能性を判断している。また、住民税及び事業税については、会社単体のみの将来課税所得に基づき回収可能性を判断している。なお、将来の一定期間において一時差異等加減算前課税所得が生じるため、将来の合理的な見積可能期間において繰延税金資産を回収可能と認められる範囲で計上しており、その範囲を超える額については控除している。

繰延税金資産の回収可能性の判断は、過去の課税所得水準に加え、将来減算一時差異及び繰越欠損金が控除可能な期間における事業計画を基礎とした将来課税所得の予測に基づいており、将来課税所得の見積りは取締役会によって承認された翌事業年度の予算を基礎としている。翌事業年度の予算は物価高騰に対応した販売価格の改善及び新規商材の実績化等を主要な仮定としているが、これらの予測には経営者の見積りが含まれており、不確実性を伴うものである。

繰延税金資産は金額的重要性が高く、その回収可能性の評価において重要となる一時差異等加減算前課税所得の見積りは、高い不確実性と経営者による判断を伴うことから、当監査法人の監査上の主要な検討事項に該当すると判断している。

 当監査法人は、監査上の主要な検討事項を検討するにあたり、会社による繰延税金資産の回収可能性の評価に係る内部統制の有効性を評価すると共に、主として以下の手続を実施した。

● 企業の分類

企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づき会社及び通算グループにおける過去の業績や課税所得の推移、経営環境等に照らして企業の分類が判定されているか検討した。

● 将来減算一時差異等、将来加算一時差異の残高

会社の将来減算一時差異等、将来加算一時差異の残高について当監査法人のネットワーク・ファームの税務の専門家を関与させて検証するとともに、その解消スケジュールを検討した。

● 見積りの不確実性への対応

・ 会社及び通算グループの事業計画策定の見積りプロセスの有効性を評価するため、過年度に策定された事業計画と実績値とを比較し、差異の要因を検討した。

・ 事業計画の策定方法及び事業計画に含まれる仮定について質問を行うことに加え、過年度の予算達成率、過年度から当期における損益推移等を勘案することにより、翌事業年度における売上高から税引前利益における見積りの合理性について検討した。

● 将来課税所得の見積り

・ 繰延税金資産の回収可能性を評価する際に用いた会社及び通算グループの一時差異等加減算前課税所得の見積りが、取締役会により承認された翌事業年度の事業計画及び合理的なタックス・プランニングを基礎としていることを事業計画との照合及び関連する資料の閲覧により検討した。

・ 将来減算一時差異等、将来加算一時差異のスケジューリングが合理的に行われていることを経営者への質問及び関連する証憑の閲覧により検討した。

・ 事業計画に基づき作成された課税所得の見積りに基づいて繰越欠損金の解消見込年度が計算されているかどうかを検討した。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。

 

利害関係

 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

(注)1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しています。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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