当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「エンターテインメントを通じて、世界をワクワクさせる。」という経営ビジョンを掲げ、経営資源をグループIPビジネス(価値創造・価値拡大)へ集中方針のもと、企業実態を正確に表した3つの事業セグメント(①IP投資育成事業、②ライフスタイルIP事業、③デジタルIP事業)にて、企業価値の最大化を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループが重視している経営指標は、売上高及び営業利益であります。売上高及び営業利益を継続的に成長させ、企業価値向上を図ってまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「継続成長できる仕組みづくり、多様な資金調達ノウハウ、エンタメ・IT業界ネットワークの3つのソリューションを活用し、世界観・意義・ストーリーのあるコンテンツを才能資源と共に生み出し、グローバル市場に届ける」ことを重要な戦略と位置付けています。これらの才能資源やIPの価値最大化の手段として、動画マーケティング・D2C等デジタルコンテンツを軸としたマーケティング戦略を進めてまいりました。最近では、インターネットを介してコンテンツを届けるプラットフォームが乱立、プラットフォーマー同士の競争が激化することでコンテンツの獲得競争等が起こり、IPの需要がますます高まっております。また、ライセンスIPは権利元等の意向を受けやすいことから自社ではコントロールしづらいという事情もあり、IPの重要性を改めて確信し、経営資源をグループIPビジネス(価値創造・価値拡大)へ集中させてまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、今後の事業展開において、業容を拡大し、経営基盤を安定化させるために、以下の課題を認識しており、迅速に対処してまいります。
① 収益力の強化
当社グループは、当社設立後ソーシャルゲームへ特化したビジネスを続けておりましたが、その後IP創出を行うグループ企業へピボットし、クリエイターとの共同会社を複数設立してまいりました。そして、当連結会計年度より、共同会社の株式の一部を戦略的パートナーへ譲渡し収益化を開始しております。創業以来20年間クリエイターとコンテンツを作り続けてきた実績を強みに、クリエイターと共にIPを「共創し、拡大し、シナジーを生み、更なる仲間をつくる」という一連の流れを、グループ戦略「クリエイター共創経営」として推進し、現在、各ステップを様々なクリエイターと進行しております。
当社グループは、経営資源をグループIPビジネス(取得・開発・拡大)へ集中させる方針の下、IP投資育成事業、ライフスタイルIP事業、デジタルIP事業の3つの事業セグメントにおいて、以下のことを目指しております。
IP投資育成事業については、関連会社との共同事業やバックオフィス業務支援を通じて、投資先の価値を向上させ、戦略パートナーへの譲渡による投資リターンを目指してまいりましたが、当連結会計年度において、保有する営業投資有価証券(「米国法人エンハンス」株式)の一部を譲渡し、営業利益の計上を実現いたしました。また、急成長を遂げるD2C(Direct to Cunsumer)市場の波に乗り、当事業年度からグループ間シナジーを生み出す手段として当社グループにおけるライフスタイルIP事業のアパレル部門との隣接点が多いファッション事業を新たに開始いたしました。今後も引き続き保有する営業投資有価証券の譲渡を実現させ、また、新規事業であるファッション事業を進めることで更なる収益獲得を目指してまいります。
ライフスタイルIP事業については、株式会社ゆとりの空間は、当連結会計年度より掲げた①デジタルマーケティングの加速、②クリエイティブデザインの再活用、③データドリブンなアパレル受注販売の3つを意識した「販売戦略」、ユーザーデータを活用したマーケットイン型ものづくりを意識した「開発戦略」、そして、従来の案件に続くライセンスモデルの拡大を意識した「ライセンスビジネス」の3つの成長戦略の下、キッチン雑貨「share with Kurihara harumi」を全国の百貨店およびECサイト、アウトレット等で販売する他、料理家の栗原はるみ氏、栗原心平氏のブランドを活かしたロイヤリティ収入をそれぞれ拡大し、更なる収益獲得を目指してまいります。
デジタルIP事業については、株式会社X-VERSEはライセンスIPを使用したモバイルゲーム事業の他、エンターテインメントの潮流を見極め、多様なジャンルでの自社IP創出にチャレンジしてまいりましたが、開発費の高騰や人気ライセンスIPの獲得競争が激化するなど、売れるゲームの開発が困難になってきていることを背景に、成長戦略に沿わない既存事業であるライセンスIP事業を当連結会計年度のはじめに譲渡いたしました。そして、「デジタル分野でのリストラクチャリング(再構築)を完了させ、自社IP創出へのチャレンジの推進」を成長戦略として掲げ、その第一歩として競馬専用SNSと競馬ゲームの融合したコミュニティを開発する株式会社クラウドホースファームを吸収合併し、商号をNINJIN株式会社に変更いたしました。2024年10月には同社が開発運営する競馬ファン向け次世代型スマートフォンアプリ「オシウマチャンネル」の配信を開始し、デジタルIPにおける成長の加速化を目指してまいります。
② サイトの安全性および健全性強化への対応
当社グループは、ユーザーが安心して利用できるサービス環境を提供することが、信頼性の向上、ひいては事業の発展に寄与するものと認識しております。当社グループは、ユーザーに対してインターネットを通して、コンテンツや各種サービスを提供する立場から、ユーザーが安心して利用できるようにサイト・各種サービスの安全性や健全性を継続的に強化していくことが必要であると考えております。個人情報保護や知的財産保護等に関するサイト・各種サービスの安全性の強化に加え、利用規約の徹底やサイトパトロール等の体制強化など、健全性維持の取り組みを継続的に実施してまいります。
③ システムの強化
当社グループの事業は、主にインターネット上で展開されていることから、サービス提供に係るシステム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、当社グループでは、ユーザー数増加やユーザー満足度の向上を目的とした新規サービス・機能の開発等に備え、設備への先行投資を継続的に行ってまいります。
④ 組織体制の強化
当社グループは、今後のさらなる成長を目指す上で、その時点時点において、優秀な人材の確保や人材の能力を最大限に引き出す人事制度の構築、最適な組織設計が重要な経営課題であると認識しております。そのために、経営理念に沿った人事ポリシーを構築し、成長フェーズに合った評価制度、人材育成制度、福利厚生や働きやすい社内環境整備に取り組んでおります。また稼げるクリエイターを育成すべく、グループ全体でのナレッジシェアとインセンティブ設計を専門的に担う人事部門へ戦略的投資を実施してまいります。また、組織設計においては、当社グループ事業および戦略に応じて、常に最適な組織を模索し、役員および従業員の自律性を高め、より階層の少ない透明性の高い組織設計を行っていく方針であります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制は、コーポレート・ガバナンス体制に基づいております。詳細は
また取締役をメンバーとする経営会議において、各本部およびグループ会社から報告されたサステナビリティ関連のリスクを含めたすべてのリスクに関してレビューを実施し、事業全般のリスク管理を行っております。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
<人材の育成及び社内環境整備に関する方針>
当社グループは、今後のさらなる成長を目指す上で、その時点時点において、優秀な人材の確保や人材の能力を最大限に引き出す人事制度の構築、最適な組織設計が重要であると認識しております。
そのために、経営理念に沿った人事ポリシーを構築し、成長フェーズに合った評価制度、人材育成制度、福利厚生や働きやすい社内環境整備に取り組んでおります。
具体的には、産休育休の取得促進や年次有給休暇の時間単位付与制度導入などによるワークタイムバランスの向上を図り、国籍、人種、年齢、性別、身体条件等によらず、全社員が活躍できる環境の整備に努めております。
また、組織設計においては、当社グループ事業および戦略に応じて、常に最適な組織を模索し、役員および従業員の自律性を高め、より階層の少ない透明性の高い組織設計を行っていく方針であります。
人材確保に関するリスク内容については、
当社グループでは人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標および目標について、上述の通り、国籍、性別、年齢、民族、宗教、身体条件等に関わらず、当社グループの事業活動に必要な人材を登用しておりますので、具体的な指標および目標は設定しておりません。
ただし、幅広い価値観や視野を持った人材の活躍が持続可能な企業価値向上につながっていくことを認識しておりますので、女性活躍を促すことに加え、今後、グループ全体でのナレッジシェアとインセンティブ設計を専門的に担う人事部門へ戦略的投資を実施してまいります。
当社グループの事業、その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
① IP投資育成事業
当社グループは、M&Aを含めた企業投資を促進し、投資したIP企業の価値を高めて最終的に株式を売却するまでの投資育成事業を重要な事業として位置づけ、投資したIP企業の価値を高めるべく支援等を行っております。投資育成事業は当社グループの事業成長には必要不可欠な要素であるものの、不確定な要素でもあります。計画どおりの効果が得られない場合、当社グループの事業展開、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅰ 商品開発・店舗運営について
当社グループは、キッチン周りを中心として暮らしを楽しむアイデアやライフスタイルを提案する生活雑貨の販売を行っております。
ライフスタイル商品は流行や嗜好が短期的に大きく変化することがあり、当社グループの開発商品が消費者の嗜好に合致しない場合や新商品の開発に遅れが生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ 在庫管理について
当社グループの商品は流行や嗜好の変化、または気候の変動等に影響されることから、需要予測が不調であった時には、在庫が増加することとなります。このため商品仕入にあたっては、発注数量の最小化を促進するなど、在庫水準の適正化に努めております。しかしながら、当社グループの対応にも関わらず過剰在庫が発生する可能性があります。
また、当社グループは、滞留在庫について滞留期間や販売可能価額を基準として評価減を実施しているため、滞留在庫が増加するような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅲ 食の安心、安全について
当社グループでは一部の店舗において食品の提供を行なっておりますが、近年、食品業界におきましては、製品の規格や産地の偽装問題、消費または賞味期限についての虚偽表示や誤表示など、食の安心、安全を揺るがす問題が発生しております。消費者の食の安心、安全に対する関心はますます高まっており、この対応を誤れば危機的状況を招く社会情勢にあります。
このリスク回避のために当社では全社に及ぶ品質保証体制と各種品質関連マニュアルの徹底による事前防止システムを確立し、食の安心、安全について万全の備えで臨むとともに、万一発生した場合には損失を最小限に抑えるための対応マニュアルの整備に加え、生産物賠償責任保険へ加入しております。
しかしながら、予期せぬ製品の欠陥の発生や、仕入原料に不適切な物質の使用・混入あるいはその他の原因により、大規模な製品回収や製造物責任が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅳ 原材料について
当社グループの使用する原料は、主に農産物であり、天候不順、自然災害による収穫量の増減、需給状況などにより仕入価格が変動する可能性があります。輸入原料の場合には、為替変動によっても仕入価格が変動する可能性があります。
また、原油価格の変動により、石油製品である容器類、包装材料の仕入価格が変動する可能性があります。
こうしたリスクについては、安定供給先の確保、事前の価格交渉、適切なタイミングでの価格決定等によりリスクを回避する努力を行っております。
しかし、予期せぬ突発的事情により原材料の安定的調達ができなくなった場合や仕入価格が高騰した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅴ 法的規制
当社グループは、食品衛生法、PL法(製造物責任法)、不当景品類及び不当表示防止法や環境・リサイクル関連法規など、各種の法的規制を受けております。これらの規制を遵守できない場合には、当社の活動が制限される可能性や、コストの増加を招く可能性があります。
当社グループとしては、各種規程の整備によるほか、各主管部門と管理部門が連携しすべての法的規制を遵守するように取り組んでおります。
しかし、予測外の法的規制の強化や新たな規制が発生し、当社グループの事業活動の制限やコスト増加が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ⅵ 小売事業について
当社グループは、生活雑貨ならびに衣類、レシピ本の百貨店や専門店による店頭販売に加え、消費者ニーズをより的確に捉えることが必要と判断し、直営店による小売事業ならびにオンラインショップによる通販を行っております。
今後も店舗開発ならびにウェブサイト改修への投資をしてまいりますが、計画に沿った成長ができなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ デジタルIP事業
当社グループは、エンターテインメントの潮流を見極め、多様なジャンルでの自社IP創出にチャレンジしております。自社IPにおいては、他社の知的財産権を侵害するリスク、不適切な管理によりIPのイメージダウンを招くリスク、海外展開時に文化や風習の違いでコンテンツが受け入れられないリスクなどが考えられます。また、デジタルIP事業において創出した自社IPがユーザーを惹きつけることができなかった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.財務リスク
① 事業投資の回収可能性に関するリスク
当社グループは、M&Aを含めた企業投資を促進し、投資したIP企業の価値を高めて最終的に株式を売却するまでの投資育成事業を重要な事業として位置づけ、投資したIP企業の価値を高めるべく支援等を行っております。投資育成事業は当社グループの事業成長には必要不可欠な要素であるものの、不確定な要素でもあります。計画どおりの効果が得られない場合、当社グループの事業展開、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 減損リスク
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損の測定等を実施しております。今後、保有資産から得られるキャッシュ・フローの状況等によっては当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、サービス及びそれを支えるシステム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。
従って、常時データバックアップやセキュリティ強化を実施しているほか、サーバそのものをセキュリティが、厳しく安定的なシステム運用が可能な外部事業者が提供するデータセンターに設置するほか、運用効率が良く、且つ、セキュリティが堅牢な外部事業者のクラウドサービスを選定して利用する等の体制の構築に努めております。
また、事業活動において顧客等の個人情報や技術情報及び他社の機密情報などを受け取ることがありますが、機密情報に関して適切なセキュリティ対策等、必要な措置を講じております。
2021年4月26日提出の臨時報告書のとおり、当社グループ内で発生しました外部からの不正アクセスによる情報漏えいに対しては、徹底した事実調査及び原因究明を実施し、被害の拡散防止に努めるとともに、再発防止策を実施するなど必要な措置を継続しております。
しかしながら、デジタル技術の浸透や、情報セキュリティシステムへの攻撃の高度化かつ巧妙化により、当社グループの対策が十分に機能せず外部からの不正アクセスを防止できなかった場合や、従業員の故意又は過失等によって、新たな情報漏えい事故やサービス停止が発生した場合には、当社グループの信用やブランド価値が毀損され、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
4.法的規制・制度動向によるリスク
個人情報保護に関連する法的規制について
当社グループでは、インターネットサービスの提供を通じ、利用者本人を識別することが出来る一定数の個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。
当社グループは、個人情報の外部漏洩・改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、個人情報を取り扱う際の業務フローや権限体制を明確化し、個人情報保護規程をはじめとした個人情報管理に関連する規程や規則等を制定しております。
5.人員体制に関するリスク
当社グループは、安定した事業継続及び更なる事業拡大のためには、各分野における適切な人材確保及び人材配置が必須であると考えております。特に、IPの創出およびコンテンツ企画、ライフスタイル商品企画・開発に携わる優秀な人材確保が重要だと考えておりますが、技術革新が著しく、豊富な経験を保有する人材の絶対数が少ないことから、優秀な人材確保は容易ではないと認識しております。従って、適切な人材確保及び人員配置ができなかった場合、または人材が流出した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
6.自然災害等に関するリスク
地震・台風等の自然災害やその他の事業活動の継続に支障をきたす事象が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。こうした事態が発生した場合に備え、事業継続プランを検討しており、状況に応じ事前の対策を実施する予定でありますが、災害等による物的・人的被害が予想を大きく超える規模になった場合には、事業の継続が困難になる可能性があります。
7.継続企業の前提に関する重要事象等
継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策等
当社グループは2015年12月期より、9期連続して営業損失、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当連結会計年度においても、営業損失、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
当社グループは、足元の業績改善を進めることにより当該状況を解消するために、以下の対応策を講じることにより、事業面については収益の確保および費用の削減を進めるとともに、財務基盤の一層の安定化に取り組んでおります。
事業・経営基盤の安定化
当社グループは、新たなIP(知的財産)をクリエイターと共につくりだし、持続的なグループ循環を実現する「クリエイター共創経営」を推進する中、前連結会計年度からIP投資育成事業、ライフスタイルIP事業、デジタルIP事業の3つの事業セグメントにおいて、それぞれ以下のことを目指しております。また、当連結会計年度から、投資先の企業価値の管理およびグループ経営基盤の強化を目的に、経営管理室の人員の増強、管掌取締役を新たに就任させることでガバナンスの強化を図っております。
IP投資育成事業
IP投資育成事業については、関連会社との共同事業やバックオフィス業務支援を通じて、投資先の価値を向上させ、戦略パートナーへの譲渡による投資リターンを目指すというIP投資育成事業の拡大を目指すにあたり、当連結会計年度から投資先の戦略的パートナー開拓を目的とする専門の部署を新たに設けました。そして、当連結会計年度において保有する営業投資有価証券(「米国法人エンハンス」株式)の一部を譲渡し、営業利益の計上を実現することができました。また、急成長を遂げるD2C(Direct to Consumer)市場の波に乗り、2024年10月からグループ間シナジーを生み出す手段として当社グループにおけるライフスタイルIP事業のアパレル部門との隣接点が多いファッション事業を新たに開始いたしました。今後も引き続き保有する営業投資有価証券の譲渡と新たに開始したファッション事業により、更なる収益獲得を目指してまいります。
ライフスタイルIP事業
ライフスタイルIP事業については、株式会社ゆとりの空間は、当連結会計年度より掲げた①デジタルマーケティ ングの加速、②クリエイティブデザインの再活用、③データドリブンなアパレル受注販売の3つを意識した「販売戦略」、ユーザーデータを活用したマーケットイン型ものづくりを意識した「開発戦略」、そして、従来の案件に続くライセンスモデルの拡大を意識した「ライセンスビジネス」の3つの成長戦略の下、キッチン雑貨「share with Kurihara harumi」を全国の百貨店およびECサイト、アウトレット等で販売する他、料理家の栗原はるみ氏、栗原心平氏による企業様へのオリジナルレシピの提供や共同開発等のプロデュース事業および出版物のIPコンテンツ事業に力を入れてまいりました。当連結会計年度においても、従来から進めてきたお客様に買い物を楽しんでもらえるような店舗づくりおよび商品開発、自社ECサイトの新規会員獲得等を継続し、売上伸長に努めてまいりました。また、商品に関するプロデュース事業および出版物IPコンテンツ事業におけるロイヤリティ収入も引き続き好調で、全体の売上高に寄与しております。加えて、購買、在庫管理の徹底を継続することにより売上原価、販売費及び一般管理費における主要コスト削減の効果の持続を目指し、今後も3つの成長戦略の下、更なる収益獲得を目指してまいります。
デジタルIP事業
デジタルIP事業については、株式会社X-VERSEは、従来はグループ戦略を基にライセンスIPを使用したモバイルゲーム事業の他、エンターテインメントの潮流を見極め、多様なジャンルでの自社IP創出にチャレンジしてまいりました。近年は開発費の高騰や人気ライセンスIPの獲得競争が激化するなど、売れるゲームの開発が困難になってきていることもあり、今後の成長戦略を追求していく中で戦略に沿わない既存事業であるライセンスIP事業については経営資源の投入を制限するという戦略的判断の下、当連結会計年度はじめにおいてライセンスIP事業を譲渡いたしました。そして、当連結会計年度において「デジタル分野でのリストラクチャリング(再構築)を完了させ、自社IP創出へのチャレンジの推進」を成長戦略として掲げ、その第一歩として競馬専用SNSと競馬ゲームの融合したコミュニティを開発する株式会社クラウドホースファームを吸収合併、商号をNINJIN株式会社に変更しデジタルIP事業における成長の加速化を目指しております。その中で、2024年10月には同社が開発運営する競馬ファン向け次世代型スマートフォンアプリ「オシウマチャンネル」の配信を開始しました。
財務基盤の安定化
財務基盤の安定化については、当連結会計年度において、従来から実現を目指していた保有する営業投資有価証券(「米国法人エンハンス」株式)の一部譲渡を実現することができ、約250百万円の収入を得ることができました。この他、連結子会社である株式会社X-VERSE(現NINJIN株式会社)の既存ライセンス事業の一部を新設分割により設立した会社に移管し、その会社の株式を株式会社テンダへ譲渡したことによる譲渡代金50百万円の収入がありました。今後においては、2024年10月4日付適時開示「第三者割当による第35回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第1回無担保社債(私募債)の発行並びに新株予約権の買取契約(コミット・イシュー)の締結に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、EVO FUNDを割当予定先とする新株予約権および社債の発行並びに買取契約を締結し、200百万円の社債の発行並びに689百万円の新株予約権の発行および行使による資金調達が見込まれ、財務基盤の安定化を維持することができております。しかしながら、今後の経済情勢等がこれらの施策に影響を及ぼし収益が計画どおり改善しない可能性があり、資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があるため、現時点では継続企業の前提に関する不確実性が認められます。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。
当社グループは、経営資源をグループIPビジネス(価値創造・価値拡大)へ集中させる方針の下、企業実態を正確に表した3つの事業セグメント(①IP投資育成事業、②ライフスタイルIP事業、③デジタルIP事業)にて、企業価値の最大化を目指しております。
IP投資育成事業
当社は2018年にIP創出を行うグループ企業へ転換し、複数の共同会社の設立を含むクリエイター投資を本格化させました。前連結会計年度からはIP投資育成事業として、関連会社との共同事業やバックオフィス業務支援を通じて、投資先の価値を向上させ、戦略パートナーへの譲渡による投資リターンを目指しております。当連結会計年度においては、保有する営業投資有価証券(「米国法人エンハンス」株式)の一部を約250百万円で譲渡し、グループIP創出からの投資収益化を開始しました。また、急成長を遂げるD2C(Direct to Consumer)市場の波に乗り、2024年10月からグループ間シナジーを生み出す手段として当社グループにおけるライフスタイルIP事業のアパレル部門との隣接点が多いファッション事業を新たに開始いたしました。当連結会計年度の売上高は256,133千円(前連結会計年度は3,976千円)となり、営業利益166,216千円(前連結会計年度は営業損失162,528千円)を達成することができました。
ライフスタイルIP事業
ライフスタイルIP事業である株式会社ゆとりの空間は、雑誌やテレビ等のメディアでなじみ深い料理家の栗原はるみ氏が「暮らしを楽しむコツ」や「ライフスタイル」をオリジナルの食器やキッチン雑貨、調味料、エプロン、ウェア等にて提案する生活雑貨ショップ「share with Kurihara harumi」を全国の百貨店で展開、加えてECサイト、アウトレット等で同製品を販売してまいりました。また、同じく料理家である栗原心平氏によるこだわりの商品、厳選した地方の食品を販売するオンラインショップ等の「ごちそうさまブランド」事業にて新規顧客の獲得を推進。加えて、栗原はるみ氏、栗原心平氏による企業様へのオリジナルレシピの提供や共同開発等のプロデュース事業や出版物のIPコンテンツ事業に力を入れております。当連結会計年度においては、従来から引き続きお客様に買い物を楽しんでもらえるような店舗づくりおよび商品開発、自社ECサイトの新規会員獲得など、売上の伸長に努めております。その中で、栗原はるみ氏がテレビ番組に出演したことがきっかけとなり、ファンや新規のお客様からの注目を集め、自社ECサイトの新規会員登録数は20万人を突破しました。また、商品に関するプロデュース事業および出版物IPコンテンツ事業におけるロイヤリティ収入も引き続き好調で、全体の売上高に寄与しております。その他「ゆとりの空間」らしさを伝えるInstagramアカウントを複数運用し、その合計フォロワー数が139万人となる等デジタルマーケティングにも注力してまいりました。その結果、当連結会計年度の売上高は2,773,465千円(前連結会計年度は2,817,681千円)、営業利益は22,614千円(前連結会計年度は42,406千円)を達成することができました。
デジタルIP事業
デジタルIP事業である株式会社X-VERSEは、2024年5月31日付で株式会社クラウドホースファームを吸収合併し、同日付でNINJIN株式会社に変更いたしました。株式会社X-VERSEは、厳選したアニメ等のライセンスIPを使用してゲーム等のデジタルコンテンツのプロデュースを行ってまいりましたが、開発費の高騰や人気ライセンスIPの獲得競争激化等、売れるゲームの開発がますます困難になってきている中、グループ戦略に基づきライセンスIPを使用したモバイルゲームだけではなく、多様なジャンルでの自社IP創出にチャレンジしてまいりました。その中で、自社の成長戦略を追求し、戦略に沿わないライセンスIP事業に対しては経営資源の投入を制約していくという戦略的判断により、ライセンスIP事業を譲渡いたしました。そして、当連結会計年度において「デジタル分野でのリストラクチャリング(再構築)を完了させ、自社IP創出へのチャレンジの推進」を成長戦略として掲げ、その第一歩として競馬専用SNSと競馬ゲームの融合したコミュニティを開発する株式会社クラウドホースファームを吸収合併し、同社が開発運営する競馬ファン向け次世代型スマートフォンアプリ「オシウマチャンネル」をリリース、デジタルIP事業における成長の加速化を目指してまいります。また、YouTubeチャンネル「yossyのオシウマチャンネル」も登録者数が3万人を超え順調に増加しております。その結果、当連結会計年度の売上高は33,092千円(前連結会計年度は545,460千円)、営業損失は54,787千円(前連結会計年度は営業損失48,927千円)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、3,071,142千円(前連結会計年度は3,372,189千円)となりました。また、営業損失については、157,614千円(前連結会計年度は営業損失428,236千円)となりました。その他、営業外収益として「その他」2,214千円、「受取賃貸料」7,200千円等を計上、営業外費用として「支払利息」24,127千円、「その他」3,903千円等を計上したことにより、経常損失は189,338千円(前連結会計年度は経常損失436,856千円)となりました。さらに、特別利益として「事業譲渡益」40,000千円を計上、特別損失として「減損損失」9,623千円を計上した結果、税金等調整前当期純損失は159,493千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失374,211千円)、当期純損失は181,489千円(前連結会計年度は当期純損失360,837千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は169,027千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失380,798千円)となりました。
① 資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ248,637千円減少し、2,247,239千円となりました。これは主に、商品及び製品が43,798千円、のれんが27,151千円増加、現金及び預金が131,964千円、前払費用が138,186千円、建物及び構築物が28,932千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ235,497千円減少し、1,868,455千円となりました。これは主に、1年内償還予定の社債が45,000千円増加、1年内返済予定の長期借入金が24,148千円、未払金が27,914千円、前受金が50,000千円、契約負債が133,474千円、その他のうち未払消費税等が25,422千円、長期借入金が25,758千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末より13,139千円減少し、378,783千円となりました。これは主に、資本金が79,706千円、資本準備金が79,706千円増加、利益剰余金が169,027千円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ131,964千円減少し、342,224千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の減少は、192,547千円(前連結会計年度は204,834千円の減少)となりました。これは主に、売上債権の減少額19,687千円等による資金の増加、税金等調整前当期純損失159,493千円、棚卸資産の増加額43,981千円、未払金の減少額24,511千円、未払消費税等の増減額19,477千円等により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、49,562千円(前連結会計年度は53,711千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出22,252千円、無形固定資産の取得による支出13,246千円、敷金及び保証金の差入による支出14,447千円等により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は、102,394千円(前連結会計年度は123,559千円の減少)となりました。これは主に、株式の発行による収入158,929千円、長期借入金の借入による収入167,000千円、社債の発行による収入200,000千円などにより資金が増加したことと、長期借入金の返済による支出238,614千円、社債の償還による支出155,000千円などにより資金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
財政状態の状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2) 財政状態」に記載しております。
経営成績の状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1) 業績」に記載しております。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
また、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、業務提携、M&A等の新たな事業・サービスへの提携・出資及び設備投資等によるものであります。
当社グループの運転資金は、営業活動によって獲得した自己資金の充当を基本とし、資金需要等を考慮した上で外部資金調達手段として金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等により負債と資本のバランスに配慮しつつ調達することとしております。
資金の流動性管理にあたっては、適宜、資金繰り計画を作成して手元流動性等をモニタリングするとともに、取引金融機関との当座貸越契約の締結、長期借入の実施等により、将来に渡り必要な資金流動性を確保できるよう計画しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。
なお、固定資産の減損については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。