文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
「独創と融合」を当社の経営理念としております。これは、個々の独自性と創造性を尊重し、それらをあらゆる次元で発展的に融合させることにより、新しい価値を継続的に生み出していく、という意味があります。当社に関わる全てのステークホルダーに価値を提供できるよう事業展開を行っております。
当社グループ理念としては、「環境に優しい空気のソリューションを届ける。」をパーパスとし、また「クライメイト・ニュートラルな未来実現のため、空気処理技術のイノベーション・リーダーであり続ける。」をビジョンに掲げ、世界各国で社会課題の解決の一助となり得る製品・サービスを提供しております。また、2024年12月にコアバリューを次のとおりにブラッシュアップし、パーパス及びビジョンの実現を目指す上でこれらの価値観を意識し、日々の業務に取り組んでおります。
達成 目標必達のため決めたことをやり遂げる
結束 永続的な成長を実現するためチームビルディングに努める
探究 社会のトレンドと独自技術を融合させ新たな価値を創造する
協働 多様性を尊重しアウトプットの最大化を図る
機敏 予測不能な変化や想定外の問題に対しスピーディーに行動する
当社グループのデシカント除湿機により、製薬、食品製造工程だけでなく、近年ではリチウムイオン電池等の製造に必要不可欠なドライ環境を提供することで、製造途中で発生するロスを削減し、製品自体の品質を維持することが可能であります。また、自動車製造、造船、半導体製造の工程で排出される有害なVOC(注1)のみを吸着・濃縮する当社のVOC濃縮装置(注2)により、排出ガスを効率的に浄化処理することが可能であるため、処理過程で排出されるCO2を抑えながらの大気汚染防止に貢献しております。さらに、電池製造工程で使われる溶剤を回収し再利用する用途にも使われており、顧客のサーキュラーエコノミー実現にも寄与しております。このように、当社グループは、顧客の抱える環境に関する課題、ひいては地球環境全体の課題を解決する一助となる製品・サービスを提供し、また当該製品・サービスの更なる改良や環境保全に貢献する新製品の開発を通して、クライメイト・ニュートラルの実現に寄与することを目指しております。
(注1)VOCとは、Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)の略語で、浮遊粒子状物質(SPM)、光化学オキシダント、悪臭等を発生する大気汚染物質の一つであります。
(注2)VOC濃縮装置は、塗装、印刷、コーティング等の過程や、VOCを含む化学物質や原材料を使用する製造工場から主に排出されるベンゼンやトルエンといった有害なVOCのみを吸着・濃縮し、効率的な処理を行い、排ガスを浄化させるための、環境保全に貢献する装置であります。
(2) 経営環境
当社グループが属する業界の市場データが存在しないため、「デシカント除湿機」及び「VOC濃縮装置」に絞って記載をしております。
(デシカント除湿機)
デシカント除湿機の用途は多岐にわたり、食品や医薬、倉庫や輸送を含むロジスティック関連、発電所、及び近年特にEV用リチウムイオン電池といった急進産業で必要とされております。
2024年の世界人口は約80億人であり、2030年には85億人、2050年には97億人にまで増加すると予測されております。また、それに占める65歳以上の高齢者の割合は2022年の10%から、2050年には16%にまで増加するとされております(注1)。これらの人口動態のトレンドにより、食品及び医薬品産業の安定的な伸びが見込まれます。また、リチウムイオン電池を含む蓄電池は、2019年の世界市場規模は約5兆円であり、2030年には約40兆円、さらに2050年までに約100兆円に成長(注2)することが見込まれております。これらの各産業において今後も積極的な設備投資が期待されており、各産業の成長とともに、当社グループのデシカント除湿機の需要増加が期待されております。これらの産業の中でも特に近年はEV用リチウムイオン電池産業におけるデシカント除湿機の採用が増えており、当社グループのデシカント除湿機販売においても最重要市場として位置付けております。EV自動車への移行とともに更なる投資が見込まれ、今後も当社グループにとって需要拡大の機会であると認識しております。
(VOC濃縮装置)
VOC濃縮装置の用途も多岐にわたっております。自動車や船の塗装、半導体の製造、及びグラビア印刷の工程等で発生する揮発性有機化合物(VOC)やVOCを含む原材料を扱う生産拠点等で必要とされております。近年市場が拡大している半導体については、2018年に54兆円であった半導体関連の世界市場規模は、2030年には約100兆円に成長する見込みとされております(注3)。日本国内ではVOC排出に関して厳格に規制されていないものの、近年では特に、厳格なVOC排出規制が施行された中国や韓国において、施行前の対策措置として需要が急増する傾向がありました。現在、中国が最大の市場であり、韓国、ヨーロッパ、台湾、アメリカがそれに続きます。今後もこれらの市場において、本装置に使われている主要部品であるローターの交換需要が継続して発生すると認識しております。また今後は、インドや東南アジア諸国等、大気汚染が問題視されているにもかかわらず、これらの法規制が制定されていない国での需要増加を見込んでおります。
(注1)United Nations『World Population Prospects 2022』
(注2)経済産業省『「次世代蓄電池・次世代モータの開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装の方向性 2021年7月』
(注3)経済産業省『半導体戦略(概略)2021年6月』
(3) 経営戦略
上記のような経営環境のもと、当社グループは2024年12月期を初年度とする3か年を対象とした中期経営計画を策定し、その実現に向けて取り組んでおります。中期経営計画の概要は以下のとおりであります。
① 基本方針
当社グループのパーパスの実現を通し、新たな価値を提供することで、企業価値と社会価値の両立を図ることを目指し、また、2030年の当社グループビジョンの実現に向けての第1フェーズとして、持続的成長の土台づくりを目的として、以下の3つを2024年~2026年中期経営計画の基本方針としております。
1. コア事業で市場シェア拡大
2. 成長事業の本格始動
3. グループガバナンスの強化
② 数値目標
中期経営計画の最終年度である2026年12月期には、売上高360億円、営業利益率12%、EBITDAマージン15%、及びROE 13%を達成することを目標としております。
③ 戦略的方向性
エナジーデバイス領域
1. 車載用電池等、エナジーデバイス製造の最適環境創出のトータルエンジニアリングを提供する
2. デシカント除湿機の安定供給継続とともに、海外サービス事業を拡充する
半導体、半導体材料領域
1. 半導体材料製造に最適なクリーン環境のソリューション提案
2. VOC濃縮ローターの交換により、海外サービス事業を拡充する
その他の市場領域
1. 既存事業:既存の販売網を通じて継続的に伸ばす
2. 新規事業:2027年に年間10億円の事業規模を目指す
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長を果たし、全てのステークホルダーの利益増大と企業価値の向上を目指し、営業利益率、EBITDAマージン、及びROE(自己資本利益率)を重要な経営指標としております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ウクライナ情勢等による原油価格をはじめとするエネルギー価格の高騰、米国による対中投資規制の影響等、複数の不確実要素が混在する中で、先行きは極めて不透明な状況であります。また、景気低迷に直面する中国市場をはじめ、企業間競争が激しくなることが予想されます。このような状況の中、当社グループを取り巻く状況も予断を許しませんが、引き続き、原材料価格や物流コスト上昇に対処すべく、生産効率化、業務効率化に注力、製品の安定供給を継続し、また、継続的に収益を確保できるサービス事業の海外展開により収益確保に繋げてまいります。
① 人材の育成
当社グループにとって、顧客の声に耳を傾け、顧客起点の製品開発を推進するための人材育成は最重要課題の一つと位置づけており、従業員のモチベーションの向上やスキルアップに取り組んでおります。さらに、世界各国で事業展開をしているため、グローバルに活躍できる人材の育成にも取り組んでおります。
また、全社的な労務管理を行うとともに、働き方の多様性を推進し、より良い労働環境の整備、運用に努めてまいります。
② 高品質、安全・安心な製品の安定供給
当社グループは、社会や業界を取り巻く法律や規制への対応に積極的に取り組むとともに、大規模な事故・災害等の発生に備えて、事業継続計画(以下「BCP」という。)を策定し、社員教育や災害訓練等によりBCPの周知徹底及び実効性の向上を図っております。
一方、経営環境に大きな影響を及ぼす、物流コストや原材料の価格と安定的な調達も大きな課題ととらえております。
③ 顧客ニーズに沿った製品開発と新しいマーケットの開拓
当社グループは、デシカント除湿機及びVOC濃縮装置を主力としております。
デシカント除湿機については、近年のEV普及に伴うリチウムイオン電池製造投資の増加により、売上は好調であります。特にEV用リチウムイオン電池製造投資が続く日本や米国で売上が伸長しております。一方、2023年上期まで当社グループの業績を売上・利益面で牽引してきた中国では、2023年度下期からの景気悪化や過剰な生産能力によるリチウムイオン電池製造投資の急減により売上が減少しております。
VOC濃縮装置については、当社がパイオニアということもあり世界市場でも認知度が高く、世界30か国以上の顧客に選ばれております。なお、排ガス規制が厳しく需要の大きい中国においては現地メーカーによる安価な製品が多く上市されており、競争が増しております。このような状況の中、当社グループは品質と性能で高く評価されており、現地の廉価な製品よりも高付加価値製品として市場でポジショニングが形成されております。また、EV用リチウムイオン電池の製造工程で使用されるVOCを回収して再利用する用途での使用が増えております。
当社グループにおいては、引き続き顧客ニーズを満たす製品を提供するとともに、海外主要拠点での24時間のサービス体制を構築し柔軟に対応することで、顧客と良好な関係を築き、当社グループのプレゼンスを高める取組を進めております。また、今後の成長機軸としましては、従来からの顧客の最適な製造環境と環境負荷低減に寄与する機器・装置販売を中心とするコア事業に加えて、顧客の製造工程における最適空間創出のためのシステムの提案、設計、製作、施工等のトータルエンジニアリングを成長事業として、コア事業及び成長事業をともに伸長させることで継続的な成長を目指してまいります。
なお、中長期的な視点から、将来的にリチウムイオン電池産業の伸びが緩やかになる可能性、又は、VOCを含まない代替塗料等が普及する可能性に備え、次世代製品の開発についても取組を進めております。
④ 生産性の向上
世界的なEVシフト加速に伴い、高まるデシカント除湿機への需要に応えるために、経営資源を最適活用し、組織・業務・生産活動の効率化に努めてまいります。欧米での今後の需要増加を見込み、Seibu Giken DST Poland SP. ZO.O.(グディニャ)の既存工場を増設し、Seibu Giken America,Inc.の工場を新設しました。また、福岡県宗像市に除湿ローターを生産する新工場の建設を予定しております。生産能力を上げることで収益力の向上に繋げてまいります。
⑤ グループ経営における社会的責任
当社グループの経営につきましては、社会的責任を果たすために、環境保全に積極的に取り組んでおります。当社グループの製品を使っていただくことで大気汚染防止に繋がり、顧客の製造過程で排出されるロスを削減し、また顧客におけるCO2排出量の削減にも繋がることから、当社グループの事業そのものが、2015年9月に国連持続可能な開発サミットで採択された「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」の「12 つくる責任 つかう責任」及び「13 気候変動に具体的な対策を」等を達成することに繋がると考えております。
また、当社では2018年より企業主導型保育施設として「はにかむほいくえん」を運営しております。従業員の福利厚生としての側面だけでなく、地域の皆様の仕事と育児の両立をサポートできるよう、また、子どもたちの未来を地域で育むことを目標にしております。
さらに、科学技術に関する分野を専攻する大学院生や日本文芸の伝統等の活動を行う団体等に対する支援を行っている「公益財団法人隈科学技術・文化振興会」おります。意欲ある若手研究者の独創的、先駆的な研究開発、実用化に対する助成及び起業家の育成、また日本文化の発展と伝承に寄与することは、持続可能な社会の発展に繋がると考えております。
今後も事業活動を通じ、SDGsを始めとする社会課題の解決に貢献できるよう努めてまいります。また、適切な企業情報の開示やコンプライアンスを一層推進するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び内部統制の充実に全力を投入いたします。
⑥ 収益力の向上
グループ各社をあげて、高付加価値製品の受注拡大を図り、製造時間の短縮や製造経費の更なる削減を継続して進め、利益確保に努めてまいります。また、利益率の高いサービス事業の海外展開を推進することで収益力の向上を目指してまいります。
さらに、Seibu Giken DST East Africaの早期黒字化及び債務超過の解消に向けて取り組んでまいります。
⑦ グローバルなグループ経営
国内外拠点の自立と連携を図り、各製造拠点の生産技術力の向上に努め、顧客に満足いただける品質、価格、納期及び製品開発をも含めた生産競争力の強化・充実に努めてまいります。
また、グループガバナンスの向上に向けた強固なグループ体制の構築に努めてまいります。海外のグループ子会社については、現地トップと当社経営陣が日常的に電話やWeb会議等で頻繁に情報交換することで、課題やトラブル等に対して協議しながら解決に当たっております。それに加えて2023年より、グループ会社の経営陣によるGlobal Management Councilを開催することとし、グループとしての方針や戦略の策定と進捗管理、予算管理、共有課題の抽出と解決を図っております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、グループの経営理念に基づく事業活動により、環境及び社会の課題を解決し、社会や環境との融合を図りながら、サステナブルな社会の実現に寄与することを目指しております。
サステナビリティに関する基本的な考え方
・事業活動を通し、クライメイト・ニュートラルな未来実現に向けて貢献します。
・独創的な空気処理技術のイノベーションによりステークホルダーそして社会に向けての価値創造を目指します。
・世界中のステークホルダーと連携し、公正・誠実に業務を遂行します。
環境方針
当社では、日々の業務で環境負荷を低減し、クライメイト・ニュートラルな未来実現を目指しております。
① 環境配慮型製品・ソリューションのグローバル展開
地球規模での環境負荷低減に向けて、独自の技術や多様なイノベーションを活かした製品開発を行い、お客様の環境負荷低減に貢献できるソリューションをグローバルに提供します。
② バリューチェーン全体で環境負荷を低減
循環型社会の形成に向けて、責任ある調達をはじめ、資源や製品の3R (Reduce, Reuse, Recycle)及び有効利用を通し、バリューチェーン全体での環境負荷の低減に努めます。
③ 社会とのコミュニケーション
持続可能な社会の実現に向けて、環境関連の各国法規制やグローバルな社会的規範を遵守するとともに、社会とのコミュニケーションや連携を推進します。
④ 生物多様性保全
生物多様性を育む社会づくりに向けて、社内外の意識向上のための自主的な活動に取り組みます。
人権に関する基本方針
当社では「リスク・コンプライアンス規程」及び「コンプライアンス・マニュアル」を定めております。その中で、職場指針として、「人権尊重・差別禁止」及び「ハラスメントの禁止」を掲げております。あらゆる差別及びハラスメントを禁止し、個人の人権を尊重することで、一人ひとりの個性を尊重する企業風土の確立を目指します。
ダイバーシティに関する基本方針
多様な人材が相互理解と尊重に基づいて組織力を最大化することにより、経営理念である「独創と融合」の実現を目指します。そのため、当社では、社員一人一人がそれぞれの働き方やライフステージ、性別や国籍などの属性やコンディションにかかわらず、誰もが最大限にパフォーマンスを発揮できる状態を作ることに取り組んでおります。
当社では、ステークホルダーの皆さまに提供する価値の向上に資する経営資源の配分や戦略の実行が適正になされているか、サステナビリティに関する事項を含め経営会議等で確認した内容を取締役会へ報告し、審議することで監督をしております。
(2) リスク管理
当社運営に関する全社的・総括的なリスク管理の報告及び対応策検討の場としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。各事業部長は担当部門のリスク管理責任者として日常の業務活動におけるリスク管理を行うとともに、関係する法令等の内容及び改廃動向を部員に伝達し、不測の事態が発生した場合にはリスク・コンプライアンス委員会へ報告することになっております。
なお、気候変動をはじめとした環境配慮を行うことは事業においてのリスクを低減するとともに新たなビジネス機会や経営体力の強靭化にも繋がると考えております。当社ではリスクの最小化と機会の最大化を目指して取組を推進してまいります。
① 戦略
当社では「西部技研『環境アクション2030』」として、2050年のクライメイト・ニュートラル実現に向け、当社の重点項目として3つの活動目標を定めております。これらの活動を通し、 2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)のうち、「目標12:持続可能な生産消費形態を確保する」のターゲット「12.5: 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」、及び「目標13:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」のターゲット「13.3: 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。」の実現に寄与することを目指しております。
a.アクション1. 電力消費由来CO2排出量の削減
b.アクション2. 当社製品・サービスの開発及び提供による環境貢献量の拡大
c.アクション3.バリューチェーン全体での環境負荷把握と削減
また、上記の直接的なエネルギー対策以外にも、PRTR対象物質の把握・削減の取組や、使用溶剤をより低負荷な物質に切り替えるといった取組も進めております。
② 指標及び目標
西部技研『環境アクション2030』に基づき、各アクションにおいて以下の指標及び目標を掲げております。なお、当社においては活動目標の達成を目指し具体的な取組が行われているものの、連結グループに関する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標及び目標は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
a アクション1.電力消費由来CO2排出量の削減
(a) 中長期的な温室効果ガス排出量の削減目標
脱炭素社会の要請が高まる中、当社としての中長期的な目標を設定しました。2030年までは再生可能エネルギーの導入と省エネ活動を進めることで電力由来の排出量の削減に取り組んでまいります。その後、技術発展と歩調を合わせて2050年に向けて燃料由来の削減に取り組んでまいります。
●中期的対策活動
- 再生可能エネルギー導入
- 省エネルギー設備活動推進
●長期的対策活動
- 電化推進
- 水素等最新技術への適合
- 工場レイアウト等を含めた効率化
(b) 現状のCO2排出量とその構成
当社の2023年の温室効果ガス排出量は約4,797tです。そのうちの約半分は化石燃料利用由来に伴うもの、残り半分は電力利用に伴う排出であります。短期的には電力由来の排出削減に対してのアプローチを推進してまいります。一部で導入を決定している太陽光発電設備などの再生可能エネルギーの活用、工場における断熱や運用改善によるエネルギー効率向上に向けた取組をより一層進めることが必要であると考え、当社ではGXリーグ(注)に参加しております。
(注)GXリーグ:2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据え、グリーン・トランスフォーメーションヘの挑戦を行い、持続的な成長実現を目指す企業が、同様の企業群・官・学と協働する場
温室効果ガス排出量の内訳(2023年1月~2023年12月)
(c) 2030年までの温室効果ガス排出量削減計画
まず自社での直接的な排出削減活動を進めることでエネルギーコストの低減や安定化を目指します。
当社では国内に5つの工場を稼動しております。これらの工場及び研究開発を行うイノベーションセンターにおける排出削減に向け、各拠点で日々の省エネ活動を推進するだけでなく、一部の拠点では再生可能エネルギーの導入を決定しております。また、社会の要請に応じて非化石証書等を活用した再生可能エネルギー電力の調達やカーボンニュートラルガスの導入についても検討してまいります。
b アクション2. 当社製品・サービスの開発及び提供による環境貢献量の拡大
当社は、当社製品利用顧客企業の環境負荷削減に寄与する製品をご提供しております。これは顧客企業のScope1又はScope2の削減の貢献に繋がるものであり、当社ではScope3の中で評価される項目となります。
VOC濃縮装置は、工場等の大風量の排ガスに含まれる低濃度のVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)を小風量化かつ高濃縮化することによって、大幅な酸化分解燃焼装置の小型化、燃料の削減が可能となり、CO2削減に貢献いたします。当社のVOC濃縮装置の利用によって顧客が削減しているCO2は、年間約200万トン(内燃機関自動車約10,000台分の年間CO2排出量に相当)と推計しております。
また、全熱交換器は、空調換気時の排気からの熱回収によるエネルギー削減、CO2削減に貢献いたします。当社の全熱交換器の利用によって顧客が削減しているCO2は、年間約20万トン(5~10階建て中規模ビル10棟の年間CO2排出量に相当)と推計しております。
c アクション3.バリューチェーン全体での環境負荷把握と削減
環境配慮は様々な領域にわたり、当社の事業活動のバリューチェーン全体を通して様々な側面で環境への影響があると考えております。当社は製品の機能や便益を損なうことのない無理のない形で低減を図ることの重要性や製造業者としての社会的な要請として求められるであろうことを考え、以下のような取組について推進や検討を進めております。
当社においては活動目標の達成を目指し具体的な取組や関連する指標のデータ管理が行われているものの、連結グループに関する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の戦略、指標及び目標は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
① 戦略
当社の人材活躍方針は、経営理念「独創と融合」を体現し、パーパス及びビジョンを実現することを目的としています。即ち、個を活かす=個人の独自性と創造性の尊重、チームワーク重視=組織としての成果をあげる、という相反するこの二つの視点を高次元でバランスすることにより、ダイバーシティ&インクルージョンを実践し、付加価値の向上を図っております。
当社の成長戦略として、当社のコア事業である装置・機器販売事業の着実な進化とともに、今後の成長事業としてのトータルエンジニアリング事業の強化を行うことを掲げています。この戦略の実現に当たっては、多様な価値観やスキルを持つ人材を確保すること、既存技術の深耕と新規技術の獲得を両立しながら、共通の目標達成に向けて行動する人材を育成すること、そしてこれらの多様な人材の働く土台を支える社内環境を整備することが最も重要であり、独創と融合を実現するための人的資本戦略となります。
a 人材の多様性の確保に関する戦略及び取組
事業の変化に応じて、年齢・性別・国籍等を問わない多様な人材の採用を積極的に行うとともに、それぞれの特性や能力を最大限に活かせる職場環境の整備を行っています。
・中途入社人材の採用
今後の事業戦略の実現に必要な知見・技術を持つ人材を中途採用として積極的かつ計画的に採用しています。2024年度の入社者のうち88%を中途入社人材が占めています。なお、これらの中途入社人材が定着し活躍するための導入としての入社時教育及びフォローアップ面談・研修の機会を随時充実させています。
・女性の採用
当社は事業特性により技術系人材の需要が高く、当社の女性社員比率は2024年度に21.4%と、産業分野においても比率がやや低いという課題を抱えております。この課題を解決するため、特に新卒採用において、女性の採用割合を5割以上とする目標を掲げ、女性採用を積極的に推進しております。
・外国籍人材の採用
海外市場における事業展開及び当社グループ会社との連携において、国籍を問わない人材の活躍は非常に重要となります。新卒採用における留学生ネットワーク形成を重視するとともに、中途採用においても外国籍人材の採用を積極的に推進しております。
b 人材育成に関する戦略及び取組
人材育成は職場でのOJT及び部門内教育が中心にありながらも、全社教育において、各階層のステージに合わせた階層別研修に加え、新たな技術や知識の習得についての自律的な学びを支援しています。また、西部技研のビジョンを達成するために重視する行動指針の策定により、共通の目標達成に向けて行動する人材の育成に努めています。
・自律的な学びの支援
事業戦略上必要な資格の取得を推奨するため、資格取得支援金制度を設けて自律的な学びと資格取得を促しています。また、資格取得に直結しないビジネスリテラシー向上のため、手挙げ式研修の社内開催及び自ら受講項目・受講方法・受講日を選択して申し込むことのできる個人別の自己啓発研修申込機会を全社員に付与し、業務や勤務地を問わず自律的に学ぶ人材の育成に努めています。
また、上記自己啓発研修に加え、グローバル事業展開のために必須となる英会話講座の受講支援も行っています。
・改善提案活動
飽くなき挑戦や改善を創出し、生産性の向上を図るため、改善提案活動に力を入れています。個人を中心に行う「P-UP提案制度」と、チーム単位や部門横断で行う「QC活動・VC活動」が存在し、月間及び年間表彰を行っています。
・人材育成会議
2024年度より、当社経営層が社員の人材育成について認識を共有し、中長期目線での戦略策定と実践に繋げるため、「人材育成会議」を組織し、定期的な議論を行っています。
当該事業年度は、当社グループPVVを基に、当社が目指す姿や社員のあるべき姿の解像度を高め、共通の目標達成に向けてより主体的に行動する人材育成に繋げるため、2024年12月にコアバリューのブラッシュアップを行いました。2025年度以降、このコアバリューを全社に浸透すべく、研修及び人事評価におけるコアバリュー評価の導入を進めていきます。
c 社内環境整備に関する戦略及び取組
当社では、ワークライフバランス(仕事とプライベートの適切な調和)から、ワークライフシナジー(仕事とプライベートの相乗効果の最大化)へと働き方をシフトしていくことを目指しています。
一人一人が働きやすさと働きがいを高めていくため、直近では以下の内容を重点施策として取り組んでおります。
・多様な働き方
生産性向上のため、企画部門等導入可能な部門におけるテレワーク制度に加え、育児・介護等の事情に応じて利用できるフレックス勤務制度を導入しています。また、男性育児休業の推進やポジティブオフ休暇(有給休暇連続5日間取得)の推奨により、仕事を離れたプライベートの活動充実によるシナジーを期待しています。
・労働安全衛生
月1回の安全衛生委員会活動による議論及び職場巡視を中心に、各職場の安全衛生向上に努めるとともに、年間表彰を通じた職場環境づくりのモチベーションアップに努めています。
・健康経営
当社はこれまでも長時間労働者へのフォローや健診の充実を通じ、社員の健康維持に努めてきましたが、健康な社員がより生き生きと活躍し、現場の生産性や品質・技術力向上に繋げるために、2025年1月に健康経営推進委員会を設立し、西部技研健康経営宣言を策定しました。
今後は健康経営に関する各種課題に対し、委員会による定期的なモニタリングを行いながら施策を実践してまいります。
d 各種モニタリング
上記a~c及びその他の人材活躍に関する施策の効果や、職場環境の実態を把握し改善に努めるため、定期的なエンゲージメントサーベイ及びストレスチェック時のサーベイ・集団分析を行っております。
2024年度よりエンゲージメントサーベイを導入し、年2回実施いたしました。全社及び職場単位の傾向と変化を分析し、課題の抽出及び優先順位を付けた対応を随時実施しています。
年に1回のストレスチェック時においては、集団分析を実施するとともに、2024年度よりハラスメントに関するサーベイを実施しました。これにより、個人・組織の心身の健康状態とこれに影響する職場ハラスメントの実態を把握し、職場単位での改善や、ハラスメント研修による啓蒙活動を実施いたしました。
② 指標及び目標
上記戦略及び取組に関する主な指標と目標は以下のとおりです。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下の事項は、当社グループに係る全ての事業等のリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測し難い事業等のリスクが存在するものと考えます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な開示の観点から記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境の変化に関するリスク
(2)当社グループの事業活動に関わるリスク
(3)法的規制・訴訟等に関するリスク
(4)自然災害等に関するリスク
(5)財務状況に関わるリスク
(6)代表者への依存のリスク
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は30,710百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,333百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加(11,638百万円から14,442百万円へ2,804百万円の増加)、売上債権の回収に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の減少(8,309百万円から6,883百万円へ1,425百万円の減少)及び受注増加に伴う商品及び製品の増加(1,007百万円から2,509百万円へ1,501百万円の増加)等によるものです。固定資産は12,085百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,127百万円増加いたしました。これは主に在外子会社の新工場稼動に伴い建物及び構築物(純額)が1,770百万円増加し建設仮勘定が735百万円減少したこと、KUMYOUNG ENG CO., LTD.との業務提携により投資有価証券が484百万円増加したこと等によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は11,667百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,037百万円増加いたしました。これは主に、受注高の増加に伴い契約負債が1,407百万円増加したこと、返済に伴い一年内長期借入金が377百万円減少したことによるものです。一方で、固定負債は1,170百万円となり、前連結会計年度末に比べ739百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が325百万円、中国子会社でのリース条件変更によりリース債務が354百万円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度における純資産は29,957百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,162百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払により利益剰余金が2,106百万円、円安の進行により為替換算調整勘定が1,048百万円増加したこと等によるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢や中東情勢の地政学的リスク、エネルギー価格や原材料価格の高止まり、各国経済の減速見通しや不安定な為替相場等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。加えて、脱炭素化に向けた世界的な流れは、欧州の政情不安や米国新政権動向等により、一部の国や市場において停滞が懸念されております。このような中、当社グループは、EV普及に伴うリチウムイオン電池業界での設備投資需要の高まりを背景に、特に日本や北米向けを中心にデシカント除湿機のシェア拡大に繋げるべく受注活動の強化を進めました。
その結果、当連結会計年度におきましては、中国経済の停滞が引き続き影響し、中国向けのデシカント除湿機の売上は大幅に減少しましたが、国内を中心に欧州、アジア及び北米におけるデシカント除湿機の売上が増加したことにより、売上高は32,069百万円(前連結会計年度比11.6%増)となりました。一方、利益面につきましては、国内、欧州及びアジアはデシカント除湿機の売上増により利益増となりましたが、中国向けのデシカント除湿機の売上減の影響等に伴い売上総利益が減少したことにより、営業利益は4,030百万円(同6.2%減)となりました。受取利息及び受取配当金を120百万円計上したこと等により、経常利益は4,190百万円(同3.9%減)、税金等調整前当期純利益は4,221百万円(同2.2%減)となりました。法人税等合計で887百万円、非支配株主に帰属する当期純損失2百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,336百万円(同2.8%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、14,012百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,594百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ4,568百万円増加し、6,568百万円となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益4,221百万円、売上債権の増減額1,354百万円、契約負債の増減額1,269百万円、減価償却費962百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増減額398百万円、法人税等の支払額692百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出したキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ157百万円増加し、2,498百万円となりました。これは有形固定資産の取得による支出が1,705百万円、投資有価証券の取得による支出が537百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出したキャッシュ・フローは、2,058百万円(前連結会計年度は1,801百万円の収入)となりました。これは配当金の支払いが1,230百万円、長期借入金の返済による支出が902百万円あったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは空調事業の単一の報告セグメントであるため、製品別に記載しております。
(a)生産実績
(注)生産金額は販売価格により表示しております。
(b)受注実績
(c)販売実績
(注) 総販売額に対する割合が10%以上の主要な販売先がないため、相手先別の記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 財務状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況 ②経営成績の状況」に記載しておりますが、その主な要因は以下のとおりとなります。
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度における売上高は、32,069百万円(前連結会計年度比11.6%増)となりました。これは、前連結会計年度に引き続き、EV普及に伴うリチウムイオン電池業界での設備投資需要の高まりを背景に、特に日本や欧州、北米向けを中心に当社グループの経営戦略であるデシカント除湿機の販売注力による主力市場でのシェア拡大に繋げるべく受注活動の強化を進めたことによるものであります。当連結会計年度における売上原価は、21,165百万円(前連結会計年度比20.6%増)となりました。これは主に、売上高の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は10,904百万円(前連結会計年度比2.4%減)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、6,873百万円(前連結会計年度比0.1%増)と前年同期並みとなりました。
この結果、営業利益は4,030百万円(前連結会計年度比6.2%減)となりました。
(売上高営業利益率)
当社グループでは売上と売上を獲得するために費やしたコストを管理するために売上高営業利益率を主要なKPIとして管理しております。
前年度に引き続きデシカント除湿機販売注力による主力市場での売上拡大戦略等が奏功し、売上高が11.6%(前連結会計年度は15.4%)増加した一方、中国向けのデシカント除湿機の売上減の影響等に伴い売上原価が20.6%(前連結会計年度は18.3%)増加したため、当連結会計年度における売上高営業利益率は、12.6%(前連結会計年度は15.0%)となりました。
(営業外損益、経常利益及び経常利益率)
当連結会計年度の営業外損益の主な内訳は、営業外収益として主に受取利息及び配当金が120百万円あり、経常利益は4,190百万円(前連結会計年度比3.9%減)となりました。売上高経常利益率は13.1%(前連結会計年度は15.2%)となりました。
(特別損益及び当期純利益)
当連結会計年度の特別損益の主な内訳は、特別利益としてリース条件変更利益が45百万円、特別損失として固定資産除却損が14百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税は920百万円、法人税等調整額は△33百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純損失は2百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,336百万円(前連結会計年度比2.8%減)となりました。
(EBITDAマージン及びROE)
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、当社グループでは、EBITDAに対する売上高の比率であるEBITDAマージン及びROE(自己資本利益率)を重要な経営指標としております。当連結会計年度におけるEBITDAマージンは前連結会計年度の18.1%から2.5ポイント下降し15.6%に、ROEは前連結会計年度の15.4%から3.6ポイント下降し11.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(b) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための費用、販売費及び一般管理費等の営業費用や、生産能力拡大のための生産設備や生産性を向上させるための情報処理システム等への設備投資であります。
これらの資金需要に対応するための財源は、営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金により調達することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入等により調達していく考えであります。
なお、現金及び現金同等物の残高は、当連結会計年度末において14,012百万円であり、当社グループの事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、長期的なクライメイト・ニュートラルの実現を目指し、環境保全や省エネルギーを目的とした顧客に信頼される製品開発、及び産官学連携による新技術開発を中心に進めております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
①グリーンハウス向け全熱交換装置「Green-SAVE」製品化
グリーンハウスと全熱交換装置を組み合わせたクローズドグリーンハウスの実現を進めております。これにより、病害虫の外気からの侵入低減や、雨風による収穫量の変動低減が期待されます。また、C-SAVE Greenと組み合わせることで施工の簡素化や収穫量の向上も見込まれます。さらに、年間を通した空調の可能性も新たに見い出されており、特許出願も並行して進めております。2024年は冬から春にかけてクローズドグリーンハウスの実現可能性を確認いたしました。2025年は春から秋にかけてクローズドグリーンハウスの実現可能性を検討し、年間を通じた費用対効果を算出いたします。中期的な実用化・製品化を目指しております。
②燃焼排ガスからのCO2回収装置「C-SAVE」の開発
2023年から大学等と連携した実証試験を継続中です。CO2濃度10%程度の実際の燃焼排ガスからCO2を分離回収する装置開発をオンサイトで進めており、2030年の製品化を目指しております。
③酸素濃縮装置の開発
空気中に含まれる酸素をハニカムローターを用いて直接濃縮する先導研究を、産学官連携で実施しております。酸素濃度の高い空気を燃焼器に導入することで、燃焼効率を向上させ、燃料投入量を減らすことで、CO2の削減を目的としています。次世代技術開発として、産学官連携で研究開発を続けております。