第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、総合エネルギー事業の推進と世界的に稀少な資源であるヨウ素の販売を通じて、快適で豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指して事業を展開しております。
 
<グループ経営理念>
エネルギーとヨウ素の開発・生産・販売を通じ、快適で豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献します。
・環境と調和し、地域社会と共生する事業を展開することで、持続可能な社会の実現に貢献します。
・安全・安心とお客さま満足を追求し、多様なサービスを創出・提供することで、快適で豊かな生活の実現に貢献します。
・社員一人ひとりが積極的に能力を開発・発揮し、高い目標に向かって挑戦する企業風土を実現します。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

世界中でエネルギーセキュリティの確保が重要な課題となっているなか、各国ではエネルギーセキュリティを確保しながら温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みを経済成長へとつなげていくGX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた取り組みが加速しています。わが国においても、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を同時に実現していく必要があり、第7次エネルギー基本計画では2040年以降のカーボンニュートラル実現に向けたエネルギー需要構造を視野に入れつつ、「S+3E」の原則のもとエネルギー安定供給を将来にわたって確かなものとするための計画が示されています。

こうした状況下において、当社グループが操業する南関東ガス田における水溶性天然ガスは、貴重な国産エネルギー資源であるとともに、化石燃料の中で最も温室効果ガスの排出が少ないという特長を持つことから、脱炭素社会に向けたトランジション(移行)期における主力エネルギー源の一つとして引き続き重要な役割を担っており、さらにカーボンニュートラル実現後も重要なエネルギー源と位置付けられていることから、安定的な開発・生産を推進していく必要があります。また、ガス事業者は脱炭素燃料・技術の供給分野等でメインプレイヤーであり続けることが期待されているとともに、地域に根ざしたエネルギー事業者として、地域のお客さまが求めるエネルギーやサービスを提供することに加え、エネルギーの安定供給の確保や、自治体や地域企業との連携による地域創生やSDGsへの貢献、さらには再生可能エネルギー等の地域資源を活用した脱炭素化への貢献といった取り組みが期待されており、当社グループもこれらの期待に応えていく必要があります。さらに、ヨウ素は、医療分野から電子産業分野まで需要が拡大しており、今後も新興国を中心に安定的に市場が拡大していくことが見込まれております。加えて、再生可能エネルギーに関する次世代技術として、早期の社会実装を目指し技術開発が進められているペロブスカイト太陽電池の主要な原料として、注目を浴びています。ヨウ素資源は主にチリと日本に偏在しており、ヨウ素及びヨウ素化合物の需要の拡大に見合う供給が求められています。

また企業の役割として、多様な人材がさまざまな領域で活躍し、社員一人ひとりが積極的に能力を開発・発揮できるよう、活躍の領域を広げる環境整備・制度を推進することや、持続可能な企業グループとして成長するための経営基盤の強化やガバナンスの向上を実現することが求められています。

※S+3E… 安全性(Safety)、安定供給(Energy security)、経済性(Economic efficiency)、環境(Environment)の頭文字をとったもので、日本のエネルギー政策の原則となるもの。

 

こうした事業環境に鑑み、当社グループは、「2030年に向けた経営方針」と長期経営ビジョン「VISION2030」を踏まえ「中期経営計画(中計2027)」に取り組み、単年度実行計画を着実に達成していくことにより、マテリアリティ(重要な社会課題)を解決し、地域社会の発展及び持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業グループとしてさらなる成長を目指します。

 

~「2030年に向けた経営方針」~

(1) 国産資源開発のスペシャリストとして、環境と調和した開発を推進し、持続可能な社会の実現に貢献します。

(2) 地域社会に欠くことができない総合エネルギー事業者として、快適で豊かな生活の実現に貢献し、暮らしと経済を支えます。

(3) ステークホルダーの期待に応え、持続可能な企業グループとして成長します。

 

~中計2027の重点戦略~

  1.コア事業戦略

  (1) 資源開発

水溶性天然ガス開発のリーディングカンパニーとして、環境に配慮しながら開発を進めるとともに、S+3Eにすぐれた千葉県産天然ガスを千葉県内に供給し、千産千消を推進します。

  (2) エネルギー事業

 お客さまに対して最適なエネルギーサービスを提供します。

  (3) ヨウ素事業

 ヨウ素サプライヤーとして需要拡大に応え、世界的に希少な資源であるヨウ素の増産に取り組みます。

  2.未来事業戦略

  (1) 再エネ事業

   再エネ事業に30億円以上投資し、地熱・洋上風力などの再エネ関連事業に挑戦します。

  (2) CCS事業

   CCSの適用に向けた検討を推進します。

  (3) 森林保全事業

   2030年頃までに国内外の森林保全事業への参画を目指した取り組みを推進します。

  3.経営基盤戦略

  (1) 人材

「社員一人ひとりが積極的に能力を開発・発揮し、高い目標に向かって挑戦する企業風土」の実現のため、人材力強化に取り組みます。

  (2) DX

   2030年を見据えたDXの基盤を整え、施策を推進します。

  (3) ガバナンス

   持続可能な企業グループとして成長するため、経営基盤の強化やガバナンスの向上に取り組みます。

 

~「中計2027」において目標とする経営指標~

<財務目標>

 指標

2027年目標

経常利益

75億円

 

 

<非財務目標>

 指標

2027年目標

国産天然ガス生産量

1.8億㎥/年

脱炭素関連開発件数

12件

ガス販売獲得量

累計540万㎥

ヨウ素販売量(ヨウ化カリウムを含む)

1,900t/年

お客さまアカウント数

21万件

重大事故件数

0件

継続的な災害対策の向上、地域社会への防災貢献

多様な人材の確保と活躍推進、社員教育への投資拡大、能力開発/発揮・活躍領域拡大の推進

業務効率化を伴う生産性向上やレジリエンス強化、AI導入などに向けた7件の取り組み

コーポレートガバナンスの強化、ステークホルダーとの対話の充実

 

※為替145円/$を想定

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティに関する基本的な考え方

当社グループにとっての重要な社会課題(マテリアリティ)として、「気候変動対策への貢献」、「自然環境の保全」などを特定しました。これらの課題にどのように取り組むかを議論、検討のうえ、「環境と調和し、地域社会と共生する事業を展開することで、持続可能な社会の実現に貢献」することを経営理念のひとつとしています。

 

(2) ガバナンス・リスク管理

当社は上記の経営理念に基づき、グループ会社社長ほかをメンバーとするグループ経営執行会議、及び当社取締役会での議論を経て、気候変動リスクへの対策を含めた中期経営計画(中計)を策定しています。その進捗状況は、四半期ごとに当社取締役会に報告され、管理されています。また、毎年の具体的な実行計画をグループ経営執行会議、当社取締役会で議論のうえ策定し、状況の変化にも的確に対応しています。

これに加え、サステナビリティ課題に対する取り組みについての評価・提言を行う機関として、当社及び子会社の社長・役付取締役で構成されるサステナビリティ委員会を設置し、グループ横断的な視点でサステナビリティに係わる方針や方向性を検討し、グループ各社・各部門へ提案を行っています。

 

(3) 戦略

 ① 気候変動対応に関する戦略

 ・大気汚染・温暖化の抑制

 当社グループが生産する千葉県産の天然ガスは、メタンが約99%を占め、一酸化炭素や公害のもととなる硫黄分等をほとんど含まず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素や大気汚染の原因となる窒素酸化物の燃焼時排出量も石炭や石油に比べて圧倒的に少ない、クリーンなエネルギーです。こうした特徴をもつ持続的に安定した天然ガスの生産・供給を推進することで大気汚染・温暖化の抑制を図ります。

 ・地熱井掘削の拡大や再生可能エネルギー開発を中心とした新規事業による成長

 当社グループは、地熱井掘削工事のさらなる受注増加や地域特性に合った再生可能エネルギー開発を推進し、第3の事業として成長を図ります。当社グループで長年培ってきた地下資源開発力と掘削技術力を活かして、地熱資源開発・地熱発電事業をはじめとする様々な再生可能エネルギー事業の開発を推進します。

 ・カーボンニュートラルに向けた取り組み

 当社グループは、再生可能エネルギー発電の開発、エネルギーの脱炭素化、森林保全、GHG回収、メタネーションやCCS等に関する研究・開発を含む多様なアプローチを複合的に組み合わせ、カーボンニュートラルに向けた取り組みを推進します。

 

 ② 人的資本に関する戦略

当社グループでは、性別・本籍・出身地などの属性によらずに、各人の能力などに応じた人物本位の採用・評価・登用を徹底しており、それを担保する公平かつ公正な人事処遇制度を整備しております。また、誰もが輝けるための全社的な教育体系や、仕事と家庭の両立支援制度その他の働きやすい労働環境を整備しております。

 

(4) 指標及び目標

 ① サステナビリティ関連

中長期的な企業価値向上及び持続的な成長において、財務のみならず非財務における指標の達成は重要であり、今後も当社グループ全体で活動してまいります。

当社グループのサステナビリティに関する主な指標及び目標は次のとおりであります。

 

 

指標

2027年目標

 

国産天然ガス生産量

1.8億㎥/年

 

脱炭素関連開発件数

12件

 

 

また、当社グループは、2030年までの再エネ投資額について100~150億円を目標としており、地熱・風力・太陽光など再生可能エネルギー開発への投資を拡大していきます。

 

 ② 人的資本に関する目標

当社は、人的資本に関する戦略に基づき、次のとおり指標及び目標を設定しております。

 

 

指標

2027年目標

2024年実績

 

 採用に占める女性割合

30以上

15.8

 

・多様な人材の確保と活躍推進

・社員教育への投資拡大

・能力開発/発揮・活躍領域拡大の推進

・シニア層の活躍推進として定年延長の段階的実施

・人材力強化に向けた制度の再構築として職場ニー
 ズに応じた人材強化策の実施

 

※本項目については、各連結子会社の規模・制度の違いから一律記載は困難であるため、提出会社単体の記載といたします。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、本項における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 事故・災害等の発生

当社グループにおきまして、事故や災害等によるガス・ヨウ素設備への損害や、操業トラブルが発生した場合には、ガスの生産・供給及びヨウ素の生産の支障になるほか、設備復旧等のために費用が発生する可能性があります。特にガス設備に大規模な漏洩・爆発事故等が発生した場合には、その直接的損害に加えて、信用失墜や損害賠償責任等が生じる可能性があります。

また、ガス・ヨウ素の調達先や販売先での事故や災害等による稼働停止等が生じた場合には、調達支障や販売量減少の可能性があるほか、不測の停電や電力使用制限等が生じた場合には、同様の影響に加え、当社グループにおけるガス生産量やヨウ素生産量が減少する可能性があります。

そのため、当社グループは、ガス導管設備の耐震化や、各設備の継続的な修繕、主要設備の受電の予備電源化等の予防対策を行うとともに、事故や災害等の発生時には速やかな復旧対策を講じることで、リスクの軽減を図っております。

(2) 経済状況

当社グループにおきまして、事業地域における経済活動の影響を受け、ガス販売量及び受注工事・器具販売等の売上高が減少する可能性があります。

そのため、当社グループは、事業地域における新規拡販や営業力の強化、並びにコスト削減等による生産ガスの競争力強化を推進してまいります。

(3) 天候の変動

当社グループにおきまして、冷暖房及び給湯にかかる需要を中心として、ガス需要が気温・水温の影響を受けることから、天候の変動によって、家庭向けを主としたガス販売量が減少する可能性があります。

そのため、当社グループは、気温・水温の影響を受けにくい工業用のお客さまへのガスの拡販や、一年を通じて平均的にご利用いただける家庭用燃料電池コージェネレーションシステムであるエネファームの拡販等を推進することで、リスクの軽減を図っております。

(4) 需要環境等の変化

「2050年カーボンニュートラル」に向けた社会状況の変化に伴い、当社グループにおきまして、他エネルギー企業との競合の激化や、大口販売先の需要減少、既存需要の他燃料への転換等によって、ガス販売量が減少する可能性があります。また、ガス需要の大幅な伸びに対応する必要等が生じた場合には、設備の新設・増強や新規ガス源の確保等にかかる設備投資が発生するため、減価償却費等の増加の影響を受けて、一時的に利益が減少する可能性があります。

そのため、当社グループは、「S+3E」のバランスに優れた国産天然ガスを活用しながら、長期的には、ガスに限らず、再生可能エネルギーの開発やカーボンオフセットに関する研究・開発を進めることで、カーボンニュートラルへの道筋を確立し、多様化するお客さまニーズへ応えていくことを目指し、短期的には、国産天然ガスの高度利用やカーボンオフセットにする各取り組みを検討・実施してまいります。また、中期経営計画に基づいた設備投資を行うことでコストの平準化と価格競争力の維持を図っております。

(5) ガスの調達

当社グループは、天然ガスを開発・生産しており、生産設備の老朽化や新規開発の不調等によるガス生産量の減少、老朽更新投資等によるガス生産コストの上昇が発生する可能性があります。また、当社グループが仕入れているガスの一部は、輸入エネルギー価格の影響を受けるため、利益が減少する可能性があります。

そのため、当社グループは、中期経営計画に基づいた適時適切な設備投資を行うことで生産量の維持拡大とコストの平準化を図るとともに、調達ガス源を分散化することで、リスクの軽減を図っております。

 

(6) 法令・制度の変更等

当社グループは、鉱業法及び鉱山保安法、ガス事業法、その他の法令に従って事業を行っているため、法令・制度の改正が事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループは、法令・制度の改正の早期把握に努め、法令・制度の変更に適切に対応してまいります。

(7) 環境規制の動向

当社グループは、天然ガス・ヨウ素を含有したかん水を地下から汲み上げて、天然ガス及びヨウ素の生産を行っているため、排水にかかる水質規制や、開発地域である千葉県との排水限度量について定めた地盤沈下防止協定の動向等により、天然ガス及びヨウ素の生産量が減少する可能性があります。

そのため、当社グループは、水溶性天然ガス環境技術研究組合※の組合員として他組合員と共に環境負荷低減のための試験研究等を行うとともに、かん水の地下還元等による排水量の管理を行い、併せて適切な水質管理を行うことにより、排水全般に対して適切な管理を行っております。

※水溶性天然ガス環境技術研究組合…地盤変動及び窒素排水等の環境負荷低減技術を確立する試験研究を行うことを目的として設立された組合

(8) 個人情報の取り扱い

当社グループは事業の性格上、多くのお客さま情報をはじめとする個人情報をお預かりしており、その社会的責任は極めて重いものと認識しております。個人情報漏洩等の事態が発生した場合には、信用失墜や損害賠償責任等が生じる可能性があります。

そのため、当社グループは、業態に応じた個人情報取扱要領を定めて、関係者に対してルールの徹底、システム的な管理体制の整備を行う等、その取り扱いに万全を期しております。

(9) 基幹情報システムの支障

当社グループにおきまして、ガスの生産・供給や料金計算等に関する基幹的な情報システムに重大な支障が発生した場合には、ガス生産量の減少やお客さまへの安定供給や円滑なサービスの提供が損なわれることにより、ガス販売量の減少や信用失墜が生じる可能性があります。

そのため、当社グループは、サーバーのセキュリティ対策や定期的なメンテナンス等の確実な実施のほか、障害時対応体制の整備を行っております。

(10) 海外市況・為替の動向

当社グループにおきまして、大部分を海外に輸出しているヨウ素は、海外市況や為替の影響により、販売量の減少や販売価格の低下が生じる可能性があります。

そのため、当社グループは、海外に輸出しているヨウ素の販売先の多様化等を図っております。

(11) 資産価値・金利等の変動

当社グループが所有する金融資産・不動産等は、市況や金利、投資先の財政状態等の変動により利益の減少や損失が発生する可能性があります。

そのため、当社グループは、これらの管理に関する規則を定め、安全性の高い資産への分散投資等によりリスクの軽減を図るとともに、定期的な状況の確認・評価を行っております。

(12) コンプライアンス違反の発生

当社グループにおきまして、万一法令・規則違反や企業倫理に反する行為等が発生した場合には、その直接的損害に加えて、信用失墜や損害賠償責任等が生じる可能性があります。

そのため、当社グループは、子会社等も含めたコンプライアンス体制の整備を行っております。具体的には、グループ各社の社長等で構成するコンプライアンス委員会を設置し、遵法精神と企業倫理に基づく事業活動の徹底に取り組み、コンプライアンスに関する講演会や研修等を実施しております。

(13) 新型コロナウイルス感染症の拡大等

当社グループにおきまして、新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴い、業務用や工業用のお客さまの事業活動停止や縮減等により、ガス販売量が減少する可能性があります。

そのため、当社グループは、ガスの機動的な供給計画の検討・実施、及びお客さまからの早期の情報収集や新規開拓営業等により多様な需要を獲得することで、リスクの軽減を図っております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。) の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、緩やかな回復がみられました。一方、欧米における金融引締めの継続に加え、物価上昇の影響もあり、依然として先行き不透明な状況が続きました。
 こうしたなか、当連結会計年度の売上高については、主に販売価格の低下によってガス事業の売上高が減少したことなどにより、4.0%減少の92,421百万円となりました。また、地熱調査費等が増加したことなどにより、営業利益については8.8%減少の8,820百万円、経常利益については5.6%減少の9,830百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については4.6%減少の6,167百万円となりました。
 なお、増減の比較については、全て「前連結会計年度」との比較であります。
 セグメントごとの業績は次のとおりであります。

<ガス事業>

輸入エネルギー価格の影響でガス販売価格が低下したことなどにより、売上高については4.9%減少の72,147百万円となりました。また、営業利益についてはガス仕入れ費用の減少等により、前連結会計年度並みの5,091百万円となりました。

<ヨウ素事業>

為替相場が円安で推移したことなどに伴いヨウ素販売価格が上昇したことやヨウ素販売量が増加したことなどにより、売上高については10.7%増加の13,520百万円、営業利益については8.7%増加の7,556百万円となりました。<その他>

建設事業の受注高が減少したことなどにより、売上高については17.7%減少の6,752百万円、営業利益については58.9%減少の450百万円となりました。

 

(2) 財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は、次のとおりであります。

 増減の比較については、全て「前連結会計年度末」との比較であります。

<資産の部>
 流動資産は現金及び預金の増加などにより、10.8%増加の49,178百万円となりました。また、固定資産は投資有価証券の増加などにより、4.8%増加の70,268百万円となりました。以上の結果、資産合計は7.2%増加の119,447百万円となりました。

<負債の部>
 流動負債は未払金の増加などにより、8.7%増加の13,728百万円となりました。また、固定負債は繰延税金負債の増加などにより、7.3%増加の6,312百万円となりました。以上の結果、負債合計は8.2%増加の20,040百万円となりました。

<純資産の部>
 純資産合計は利益剰余金の増加などにより、7.0%増加の99,406百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
 増減比較については、現金及び現金同等物の期末残高は「期首」との比較、キャッシュ・フローは「前連結会計年度」との比較であります。

<現金及び現金同等物の期末残高>
 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、28,829百万円(28.1%増加)となりました。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>
 税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより、13,842百万円(17.0%増加)の収入となりました。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>
 有価証券及び投資有価証券の取得や有形固定資産の取得などにより、6,028百万円(32.9%減少)の支出となりました。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>
 配当金の支払いなどにより、1,493百万円(18.5%増加)の支出となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な資金需要は、営業活動における運転資金及び投資活動における設備投資資金であります。運転資金は自己資金により、設備投資資金は自己資金のほか金融機関からの借入により調達しております。また、当社グループはグループファイナンスを導入しており、グループファイナンスを通じてグループ各社との間で必要な資金の融通を行っております。

なお、キャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりであります。

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

自己資本比率(%)

80.9

80.6

 

時価ベースの自己資本比率(%)

53.0

84.3

 

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.1

0.1

 

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1,111.8

1,285.1

 

  (注)各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値を用いて、以下の方法により算出しております。
    ①自己資本比率:自己資本/総資産
    ②時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
     ※株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
    ③キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
     ※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象と
      しております。
    ④インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

(6) 生産・受注及び販売の実績

<生産実績>

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ガス事業

8,905

+5.6

ヨウ素事業

13,715

+9.4

合計

22,620

+7.9

 

(注) 1.上記の金額は、販売価格によっております。

2.ヨウ素事業に含まれているかん水の生産高については、グループ外への販売用のもののみであり、原料用のものを含んでおりません。

 

<受注実績>

当連結会計年度における受注実績については、受注高の販売高に対する割合が僅少であることから、記載を省略しております。

なお、当社グループの主たる事業であるガス事業においては、受注生産を行っておりません。

 

<販売実績>

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ガス事業

72,147

△4.9

ヨウ素事業

13,520

+10.7

その他

6,752

△17.7

合計

92,421

△4.0

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日本ファシリティ・ソリューション㈱

11,264

11.7

10,272

11.1

出光興産㈱

9,965

10.8

五井コーストエナジー㈱

11,332

11.8

 

(注) 1.前連結会計年度において、総販売実績に占める出光興産㈱の割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.当連結会計年度において、総販売実績に占める五井コーストエナジー㈱の割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

 

(7) 目標とする経営指標

当社グループは、「中計2027」において、財務目標と非財務目標を経営指標として定めております。

 

<財務目標>

 指標

2027年目標

経常利益

75億円

 

 

<非財務目標>

 指標

2027年目標

国産天然ガス生産量

1.8億㎥/年

脱炭素関連開発件数

12件

ガス販売獲得量

累計540万㎥

ヨウ素販売量(ヨウ化カリウムを含む)

1,900t/年

お客さまアカウント数

21万件

重大事故件数

0件

継続的な災害対策の向上、地域社会への防災貢献

多様な人材の確保と活躍推進、社員教育への投資拡大、能力開発/発揮・活躍領域拡大の推進

業務効率化を伴う生産性向上やレジリエンス強化、AI導入などに向けた7件の取り組み

コーポレートガバナンスの強化、ステークホルダーとの対話の充実

 

※為替145円/$を想定

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は2014年1月6日付で、連結子会社である関東天然瓦斯開発㈱、大多喜ガス㈱との間で、経営管理・指導に関する「経営指導契約」を締結しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、主にガス事業及びヨウ素事業に関するものを中心として、次のとおり実施いたしました。

なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は182百万円であり、特定のセグメントに帰属しない全社費用としております。

(1) ガス事業

環境に配慮した水溶性天然ガス適正採取技術の研究を行うほか、生産効率化・増産のための研究等を実施しております。

(2) ヨウ素事業

生産効率化・増産のための研究等を実施しております。

(3) その他

新規事業の開拓を図るための研究開発等を実施しております。