当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
リブセンス(Livesense)という社名は、「生きる意味」という言葉に由来しています。
当社グループでは、「生きる意味」=「幸せになること」であるという考えのもと、お客様にサービスをご利用いただくことで、提供する私たち自身も幸せになることを目指しています。リブセンスでは、経営理念「幸せから生まれる幸せ」を最大化すべく、コーポレート・ビジョンとして「あたりまえを、発明しよう。」を掲げ、事業活動に取り組んでいます。私たちは、世の中の問題を解決し、社会をより良い方向へ導き発展させる事業に取り組み、社会が潜在的に必要としている、新しい“あたりまえ”を実現していきます。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」の記載をご参照ください。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、コーポレート・ビジョン「あたりまえを、発明しよう。」に基づき、誰もが“あたりまえ”に使うサービスを開発することを目指しています。
フリーキャッシュフローを持続的かつ効率的に増加させ、企業価値を向上させていくため、EBITDAとROICを重要な指標としています。
当期における結果およびその分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」の記載をご参照ください。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、持続的な成長を実現し、コーポレート・ビジョン「あたりまえを、発明しよう。」を追求し続ける会社となるべく、既存事業の収益基盤を強化しつつ新たな強みと収益源の獲得を目指しています。
そのため、既存のビジネスを拡大するとともに、ブランドの強化・新規収益源の創出といった新たな取り組みを進めていきます。また、新規収益源の創出においては社内における新サービス・新規事業開発に加え、M&Aも選択肢とします。
既存事業で収益を生み出しつつ、次の柱となる新規事業を獲得・創出するサイクルを回し続けることで、新しい“あたりまえ”を発明し続けることを目指しています。
(5)会社の対処すべき課題
当社グループの対処すべき課題は以下のとおりと認識しています。
①持続的な成長のための収益力強化及び継続的な事業投資
当社グループは、コーポレートビジョン「あたりまえを、発明しよう。」を実現し、誰もが“あたりまえ”に使うサービスを生み出すため、サービスの成長とともに収益力を強化し、継続的な事業投資が可能な利益水準を確保することが必要であると考えています。独自の提供価値や競争優位を確立することで収益力を強化し、得られた利益を積極的に再投資することで、持続的な成長を実現します。
②適切な事業ポートフォリオの管理
当社グループは、変化の速いIT産業において中長期における企業価値を最大化するため、変化への対応と持続的な成長を実現する事業ポートフォリオの管理が重要であると考えています。事業で得られた利益の積極投資により、新たな“あたりまえ”となる新規事業の創出を生み出すサイクルを確立するとともに、当社方針に合致しない事業や低採算事業については売却・撤退を含む運営方針の見直しを行うことで、最適な経営資源の配分を実現し、新しい“あたりまえ”を発明し続けることを目指します。
③組織の強化
当社グループが属するIT産業においては、知的成果物であるアイディアや仕組み、ソースコードが競争優位を創り、大きな価値を生み出します。それらの知的成果物を生み出すプロフェッショナル人材を獲得・育成すること、自社で働き続けてもらうことは企業価値を向上させる上できわめて重要です。採用及びリテンションの両面において競争力のあるサービス開発の原動力となる優秀な人材の確保に注力するとともに、自律的な成長を促進し個々の能力を最大化できる組織の構築に取り組んでいます。
④市場からの評価向上
当社グループは、2014年以降、株価が下降傾向にあり、2022年の業績回復による一時的な上昇はありましたが、直近では上場来安値圏で推移しています。こうした状況に対し、フリーキャッシュフローの増加および適切な水準での資本コストの維持・低減を推進し、市場からの評価向上に努めます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、経営理念「幸せから生まれる幸せ」に基づき、事業を通じて社会の課題を解決し、人々の幸せに貢献することを目指しています。併せて、社会や環境を含む多様なステークホルダーに配慮し利益を還元すること、事業で解決することが難しい課題に事業以外の形で協力することなどに取り組み、経済的にも社会的にも意義のある企業でありたいと考えています。そして、当社グループが持続的な事業成長・企業価値の向上を果たすことで、社会に提供する価値の総量を増やし、持続可能な社会へのより大きな貢献を目指します。
(2)サステナビリティに関する取組
①ガバナンス
当社グループのサステナビリティに関する重要な意思決定は、取締役会及び執行役員会にて行われています。執行役員会では、全社方針や人材戦略等を総合的に協議し、各部門において執行しています。また、特に重要な議案については、取締役会において社外取締役を含めて議論しています。中長期的な企業価値向上のため、当社グループの理念に沿った事業の成長とそれを推進する人材を重視した経営を推進しています。なお、当社グループのコーポレートガバナンスに関する詳細は「
②戦略
当社グループは持続的な企業価値の向上を果たすために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を策定しています。詳細な内容は以下のとおりです。
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分類 |
マテリアリティ |
目指す姿 |
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社会の課題を解決し、価値を創造する |
利便性・効率性を向上させる、DX によるモデル刷新 |
アナログな運用や慣習といった旧来型のモデルをテクノロジーにより刷新し、日常生活やビジネスの利便性・効率性を向上させる |
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フェアな選択のための高い透明性 |
情報の非対称性を解消し、公正中立な情報に基づくフェアな取引を実現する |
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機械的な処理ではない、誠実で人間らしいマッチング |
過度な機械化やパターン化された処理に対して、個人の本質的な希望に適うマッチングの機会を提供する |
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社会の基盤創造に貢献する |
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強みにフォーカスし、一人ひとりのポテンシャルを最大限に発揮する |
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組織として選択と集中を適切に行い、大胆な変化を生み出す |
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多様な価値観を尊重しサポートすることで、一人ひとりが安心しながら最大限の挑戦ができる |
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社会・環境に対する責務の履行 |
社会の公器としての振る舞いや環境への配慮といった規範を常にアップデートし、求められる責務を積極的に果たす |
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持続的な成長を実現するための基盤を構築する |
コーポレートガバナンスの強化と充実 |
持続的な企業価値向上のための監督を行うとともに、あらゆるステークホルダーから継続的な信頼を獲得する |
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プライバシー保護とセキュリティ確保 |
重要なデータを守るための高い安全性と高度なデータ活用のための利便性を両立する |
③リスク管理
サステナビリティに関するリスクは、全社的なリスクマネジメントを統括している内部監査室及びコンプライアンス委員会と各部門が連携の上、個別のリスクの認識及び対応方針の策定を推進します。当該リスクは、全社的なリスクマネジメント・フローに沿って、定期的に取締役会及び執行役員会に報告します。
④指標及び目標
当社グループは、マテリアリティのうち「社会の基盤創造に貢献する」領域に関して、主な評価指標を定め、進捗をモニタリングしています。
・多様で高度なプロフェッショナル人材が新たな価値を創出し続ける組織文化の構築
当社グループは、競争優位に繋がるアイディアや仕組み、ソースコードといった知的成果物を生み出すプロフェッショナル人材を獲得・育成すること、自社で働き続けてもらうことが企業価値を向上させる上できわめて重要であると考えています。
当社では、一定の要件を満たした人材が全従業員に占める比率を「ミドル・ハイレイヤー人材比率」と定義し、採用・育成による比率の向上を目指しています。
また、従業員のエンゲージメントを数値化した指標であるeNPS(Employee Net Promoter Score)を計測・モニタリングすることで、優秀な人材から選ばれる会社となることを目指しています。
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単位 |
目標 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
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34.0 |
39.6 |
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± |
△53.6 |
△26.3 |
△ |
(注)1.ミドル・ハイレイヤー人材比率は事業環境や戦略によって適正な水準が変わることから、機動的に戦略を遂行するため目標値を設定していません。
2.eNPSはベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems,Inc.の役務商標です。
3.株式会社エモーションテック「会社が顧客志向であることが従業員エンゲージメントを高めている~15業界でのeNPS調査~」における「インターネットに関する情報通信業」のeNPS平均値は△70.7です。
4.人事制度が各社で異なること、子会社の規模が小さいことなどから、本指標は当社単体で算出しています。
・社会・環境に対する責務の履行
当社グループでは創業以来、「幸せから生まれる幸せ」の理念のもと、「社会の課題の解決」という目的に基づいた事業運営をしています。社会・環境等、様々なステークホルダーに配慮・貢献することは、当社グループが社会の善き一員として様々なステークホルダーから長期的な信頼を得るための大切な取り組みであると認識しています。
具体的な取り組みとして、非営利団体を対象にマッハバイトの利用料金を7割引とする「NPO割引」、従業員のボランティア活動を支援する「有給ボランティア休暇」等の制度を設けています。こうした取り組みを「社会への利益還元額」として、算出し公表しています。
(社会への利益還元額)
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単位 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
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社会への利益還元額 |
百万円 |
4 |
1 |
また、当社グループの事業特性上、気候変動に関する事業上のリスクは小さいものと認識しています。一方で、気候変動への取り組みは社会の一員としての責務であるとの認識から、サーバーのクラウドシフト、全社でのリモートワーク、ペーパーレス化の推進等、CO2排出量の削減に取り組んでいます。こうした気候変動に関する情報開示については、TCFD提言に基づき、適切に開示していきます。
(CO2排出量実績)
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単位 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
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scope1 |
t-co2 |
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scope2 |
t-co2 |
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(注)2025年2月末時点において環境省より2024年の温室効果ガスの排出係数が発表されていないため、2024年12月期においても2023年の排出係数を用いて算出しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)事業環境に関するリスクについて
①インターネット関連市場について
当社グループは、インターネットメディア事業を主たる事業領域としていることから、インターネットの利用環境向上や市場拡大が事業展開の基本条件であると考えています。インターネットは、より安価で快適に利用できる環境が整い、関連技術の進歩やサービス拡充等によって、個人及び企業の利用増加が見込まれることから、市場は拡大を続けるものと想定しています。しかしながら、今後、新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改定を含む通信事業者の動向等、予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②インターネット広告市場の動向による業績推移について
インターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネット広告はテレビを超える規模の広告媒体へと成長しており、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。
しかしながら、インターネット広告市場は企業の景気動向に敏感であるため、今後急激な景気の変化等によって広告の需要に影響が及ぶ可能性があります。そのような事態が生じた場合や、求人並びに不動産領域の顧客企業における戦略上の予算方針やその配分方針に変更が生じた場合には、掲載案件数の減少や単価の低下等を要因として、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③検索エンジンをはじめとする集客経路について
当社グループが運営するサイトでは、特定の検索エンジンから多くの利用者を集客しています。当社グループでは、SEO(検索エンジン最適化)による集客力強化に加え、Web広告をはじめとする多様な集客施策によりリスク分散を図っています。しかしながら、検索エンジンが検索結果を表示するロジックを変更したりユーザーの集客経路が大きく変わったりするなど、何らかの要因によりこれまでのSEOが有効に機能しなくなった場合、サイトへの集客力が低下し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④インターネット関連企業との競合について
当社グループは、インターネットメディア事業を主たる事業領域としていますが、当該分野においては大手企業を含む多くの企業が事業展開していることに加え、参入障壁も低く、競争が激しい状況にあります。今後において十分な差別化や機能向上等が図られなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当該事業及び当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤技術革新について
インターネット業界は、技術革新や顧客ニーズの変化のサイクルが極めて早いのが特徴であり、新たなテクノロジーを基盤としたサービスの新規参入が相次いで行われています。当社グループは、このような急速に変化する環境に柔軟に対応すべく、先端テクノロジーの知見やノウハウの蓄積、さらには高度な技能を習得した優秀な技術者の採用を積極的に推進していく予定です。しかしながら、先端テクノロジーの知見やノウハウの獲得又は蓄積に何らかの困難が生じ、技術革新に対する適切な対応が遅れ、技術投資及び人材獲得・育成等に多くの費用を要する場合があります。このような場合には、技術的優位性やサービス競争力の低下を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥自然災害等について
地震、台風、津波等の自然災害、感染症の拡大、国際紛争等が発生した場合やこれに伴う地域経済の悪化等により、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。これらの災害等が発生した場合、当社グループは速やかに全社的な危機管理や復旧対応を行うよう努めてまいりますが、各種災害や国際紛争等による物的、人的損害が甚大である場合には、事業の継続自体が困難となる可能性があります。
また、当社グループの事業は、パソコンやコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等によって通信ネットワークに大規模な障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容及びサービスに係わるリスクについて
①求人関連事業への依存について
当社グループの主たる収益は、求人関連事業による収入です。2024年12月期の売上高に占める求人関連事業の売上高比率は88%であり、求人関連事業への依存度が高い状況にあります。従って、求人広告市場における他の媒体との競争激化などにより、求人関連事業の売上高が減少した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、事業ポートフォリオの分散によってより安定的な収益基盤を確立すべく、新規事業の立ち上げに取り組んでいますが、新規事業の立ち上げが当初の計画どおりに進まず、求人関連事業に対する売上高の依存が低下しなかった場合、当事業の売上高の変動が当社グループの業績に大きく影響を与える可能性があります。
②データの活用について
当社グループでは、インターネット上の様々なデータを収集・解析・活用したサービスの開発・提供や、サービスを通じて得られたデータを活用した事業運営を推進しています。しかしながら、今後、ソフトウェアによるデータの自動収集に対する制限やデータの利用に関する法的規制、プラットフォーマー及びユーザーの動向等によりサービス提供に必要な情報収集が困難となった場合、或いはデータ解析結果がユーザー等の期待するレベルに届かなかった場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③他社との業務提携等について
当社グループでは、他社との業務提携・協業及び出資・M&A等を通じた事業拡大並びに新領域の開拓に取り組んでいます。提携・協業・出資・M&A等の際は、各対象企業又は事業とのシナジー効果やリスク・リターン、対象企業の財務内容や契約関係等に関する慎重な検討及びデューデリジェンスを経て実施しています。しかしながら、出資先の経営に対して十分なコントロールやモニタリングができず当初見込んだシナジー効果が発揮されない場合、様々な事由から契約が変更又は解消された場合、業績変動等によりのれんの減損損失の計上等が必要となった場合、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④新規事業の開発について
当社グループでは、積極的に新サービス及び新規事業の開発に取り組んでいますが、これによりシステム投資、広告宣伝費、人件費などの追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、予測とは異なる状況が発生し新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤成果報酬型ビジネスモデルの事業における不正行為について
当社グループの成功報酬型ビジネスモデルの事業においては、サービス利用者からの適切な申告を受けることによりサービスが成立しています。当該事業は、サイト利用を無料とし成功報酬型で費用を頂戴する課金形態を提供していますが、成功報酬として費用発生する基準に達しても事実を隠ぺいする等の不正行為が発生する可能性があります。当社グループでは、このような不正行為に対してシステム面での防止策の設定、利用規約での禁止やユーザーへの啓蒙活動等を積極的に行うとともに、違反者には厳正な措置を行う等の対策を講じています。しかしながら、万一、不正行為の方法が当社グループの想定を超えて悪質であった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥サイト内の書き込みについて
当社グループでは、不特定多数の個人ユーザーを対象とした各種コミュニケーション機能を有するサイトを運営しています。これらのサービスにおいては、各ユーザー若しくは登録会員が、企業等に関する表面的には得にくい有用な情報を閲覧できる一方で、好意的な内容だけではなく、改良を要する点や主観的な意見等についても書き込みが行われます。また、他人の所有権や知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等の侵害行為や法令違反行為等、不適切な行為が生じる可能性があります。当社グループでは、サイト内の情報等について何ら責任を負わない旨をサイト内で明示するとともに、投稿内容の監視を行い、明らかに各種法令違反や誹謗中傷等に該当する内容を発見した場合には、速やかに当該部分を削除するよう努めています。しかしながら、各ユーザー若しくは登録会員の不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合、また当社グループが不適切な投稿を発見できなかった場合、或いは発見が遅れた場合には、当該サイトに対するユーザー等の支持が低下したり、サイト運営者としての責任が問われたりすることにより、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(3)事業運営体制に係わるリスクについて
①組織体制及び人材の確保・育成について
当社グループは、未だ成長過程にあることから、今後の事業展開に伴い人材の確保・育成を行うとともに、規模に応じた業務執行体制の整備や内部管理の強化を図る必要があります。しかしながら、人材の確保・育成が計画通りに進まない場合や、既存人材の社外流出等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②特定人物への依存について
代表取締役社長である村上太一は、当社の創業者であり、創業以来取締役を務めています。同氏は、インターネット関連事業及びWebマーケティング等に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしています。当社グループは、取締役会・執行役員会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めていますが、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4)システムに関するリスクについて
①クラウドサービスの利用について
当社グループの事業や業務は、多くがクラウドサービスを利用しています。クラウドサービスに災害・事故等によるネットワーク障害やサーバーダウン等のシステム障害、第三者による不正アクセスが生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)法的規制及び知的財産等に関するリスクについて
①個人情報保護について
当社グループは、求職者の応募情報等の個人情報を取得利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されています。当社グループは、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、個人情報保護基本規程等を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理するとともに、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社グループに適用される関連ガイドラインを遵守するとともに、個人情報の保護に積極的に取り組んでいます。しかしながら、当社グループが保有する個人情報等につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえません。従いまして、これらの事態が起こった場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社グループへの損害賠償請求、当社グループの信用の低下等によって、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②知的財産権について
当社グループは、第三者の知的財産権侵害の可能性については調査可能な範囲で対応を行っていますが、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たに当社グループの事業分野で第三者により著作権等が成立する可能性があります。このような場合においては、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害したことによる損害賠償請求や差止請求等、又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③法的規制等について
当社グループの事業は、「電気通信事業法」「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下「プロバイダ責任制限法」)「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下、「不正アクセス禁止法」)「職業安定法」「宅地建物取引業法」「不当景品類及び不当表示防止法」「公正競争規約」「特定商取引に関する法律」等による法的規制を受けています。
電気通信事業法については、通信の秘密の保護等の義務が課されています。また、プロバイダ責任制限法における「特定電気通信役務提供者」に該当し、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通において他人の権利の侵害があった場合に、権利を侵害された者に対して、権利を侵害した情報を発信した者に関する情報の開示義務を課されています。権利を侵害した情報を当社グループが媒介したことを理由として、民法の不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性もあり、これらの点に関し訴訟等の紛争が発生する可能性があります。不正アクセス禁止法については、「アクセス管理者」として、努力義務ながら不正アクセス行為からの一定の防御措置を講じる義務が課されています。今後、インターネット関連事業や求人・不動産をはじめとする事業領域を対象として、新たな規制や法令等の制定、既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社は、職業安定法に基づく有料職業紹介事業者等の許認可を受けています。何らかの理由により許認可を失った場合には、対象事業を営むことができなくなる可能性があり、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④その他紛争の可能性について
当社グループは、取締役会、コンプライアンス委員会及び法務部門等において、当社グループの事業展開に係わる紛争可能性について調査及び検討を行っています。しかしながら、今後において、当社グループに対して予測を超える分野及び権利等について訴訟が行われる可能性があります。該当する紛争について、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性は低いものと認識していますが、将来において当社グループの事業展開に係わる内容について侵害しているものと判断される可能性は否定できず、その場合には事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
[当連結会計年度の業績に関する状況]
当連結会計年度(2024年1月1日〜2024年12月31日)の連結業績及び主要事業の売上高、主な費用及び経営指標は、次のとおりです。なお、原則として業績の金額については累計期間、比較については前期比で記載しています。
(単位:千円、%)
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|
2023年12月期 |
2024年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
5,654,162 |
6,320,314 |
+666,152 |
+11.8 |
|
マッハバイト |
3,776,959 |
3,938,900 |
+161,940 |
+4.3 |
|
転職会議 |
1,034,055 |
1,049,373 |
+15,317 |
+1.5 |
|
転職ドラフト |
608,818 |
567,865 |
△40,953 |
△6.7 |
|
売上原価、販売費及び一般管理費 |
5,169,070 |
6,210,869 |
+1,041,798 |
+20.2 |
|
広告宣伝費 |
1,885,868 |
1,933,358 |
+47,489 |
+2.5 |
|
人件費 |
1,649,051 |
1,898,990 |
+249,939 |
+15.2 |
|
EBITDA |
488,416 |
112,423 |
△375,992 |
△77.0 |
|
営業利益 |
485,092 |
109,445 |
△375,646 |
△77.4 |
|
(営業利益率) |
(8.6%) |
(1.7%) |
- |
- |
|
経常利益 |
649,385 |
260,622 |
△388,762 |
△59.9 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
716,229 |
197,342 |
△518,886 |
△72.4 |
|
(ROIC) |
(13.0%) |
(2.4%) |
- |
- |
※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
なお、2024年12月期末時点におけるのれん償却費は0円です。
※ROIC=税引後営業利益(営業利益-法人税等)÷投下資本(有利子負債+株主資本)の期首・期末平均
○売上高
主にアルバイト求人サイト「マッハバイト」の事業成長及び不動産情報サイト「IESHIL(以下、「イエシル」)」の買取再販事業における売上により、増収となりました。「マッハバイト」は増収となったものの、下期において事業環境が下記のとおり大きく変化したことから、成長率は期初の見通しを下回りました。
・大手顧客のうち1社において採用方針の変更があり、同社への売上が急減したこと、それに合わせて広告出稿の調整を行ったことで、全体の売上にも影響が及んだこと
・競合他社が広告出稿を大幅に強化したために市場全体の広告単価が上昇し、集客広告の収益性が悪化し出稿量も減少したこと
ITエンジニア向け転職サービス「転職ドラフト」は、エンジニア転職市場における競争が激化したことから減収となりました。
○売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度においては、通常の事業運営・管理等の支出に加え、組織体制の強化・事業投資等の成長投資を積極的に行いました。
事業運営・管理費用は、主に「マッハバイト」及び「イエシル」の増収に伴う原価増などにより、増加しました。加えて、組織体制の強化・事業投資として、積極的な採用による人員数の増加、ブランド認知向上、集客の強化及び新たな手法の検証等による費用が増加しました。なお、「マッハバイト」の事業環境の変化を受け、第4四半期に一部の投資を延期・中止しました。
○営業利益
売上高の増加に伴い原価が増加したこと、積極的な採用により人件費が増加したこと、「マッハバイト」の事業環境の変化により、同事業の売上が想定を下回ったことなどから、減益となりました。
○経常利益
2020年に行った新卒就活サービス「就活会議」譲渡に伴うライセンス収入を計上しています。本営業外収益は2025年12月期中間連結会計期間まで計上される予定です。
○親会社株主に帰属する当期純利益
営業利益の減益に加え、2023年12月期に計上した投資有価証券売却益による一時収益の反動等により大きく減益となりました。
○EBITDA及びROIC
営業利益の減益により、ともに大きく減少しました。
なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
[当期の方針に関する状況]
当期方針:持続成長実現のための基盤強化と新たな収益源の創出への投資
○マッハバイトの成長加速に向けた投資強化
「マッハバイト」においては、営業体制の拡充による大手顧客との一層の取引拡大及び新規顧客群の開拓を推進しました。
営業体制の拡充は想定より遅延したものの、一部顧客を除く大手顧客の取引拡大及び新規顧客群の開拓が進捗し、掲載案件数も増加しました。前述のとおり当連結会計年度において事業環境に大きな変化があったものの、本戦略は概ね想定の範囲内で進捗しており、基本的な方針に変更はありません。
また、システム基盤のフルクラウド化を完了し、サービス開発の高速化と今後の成長加速に備えたシステム基盤の整備が進展しました。
○新たな収益源の創出
既存ビジネスと連動した新商品及び新規サービスの開発に加え、事業検証中の紹介型マッチングサービス「knew」、面接最適化クラウド「batonn」におけるPMF(注1)の実現を目指した取り組みを進めました。
転職口コミサイト「転職会議」においては、提携企業から求職者に対しスカウトを送信できる新サービス「転職会議スカウト」をリリースしました。
「batonn」においては、UX向上のための機能拡充や顧客開拓の強化を推進し、受注率が大幅に向上しました。
「knew」においては、持続的に規模を拡大していくことが困難と判断し、サービスの終了を決定しました。
[その他]
○譲渡制限付株式制度の導入
従業員向け譲渡制限付株式制度「リブシェア」を導入しました。
これは、譲渡制限付株式(以下、「RS」)の付与を通じて社員とのエンゲージメントを高め、社員とともに会社が成長することを目的として導入したもので、主な特徴は下記の通りです。
・退職後も継続してRSを保有可能
・入社時には全社員(注2)にRSを一律付与
・会社の利益の一部を毎年社員に還元
詳細は2024年2月20日付「従業員に対する譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に関するお知らせ」をご参照ください。
○「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の公表及び主要経営指標の変更
東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を受け、当社グループの方針を公表しました。
詳細は2025年2月12日付「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」をご参照ください。また、本件を踏まえ、当社グループの主要な経営指標を「EBITDA」「ROIC」の2点に変更しています。
(注1)PMF(プロダクトマーケットフィット):サービスが特定の市場において、顧客から受け入れられている状態
(注2)勤務地、職務内容、勤務時間を限定しない無限定正社員が該当します。
②財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、210,187千円増加し、4,765,858千円となりました。主な内訳は、現金及び預金278,449千円増加、売掛金15,721千円増加及び販売用不動産99,801千円減少等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ76,752千円減少し、175,882千円となりました。主な内訳は、繰延税金資産49,020千円減少及び投資有価証券25,165千円減少等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ、82,569千円減少し、720,636千円となりました。主な内訳は、賞与引当金12,996千円増加、前受収益135,101千円減少、未払金27,693千円増加及び未払法人税等6,307千円増加等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ、9,800千円減少し、13,897千円となりました。これは、長期借入金9,800千円減少によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、225,804千円増加し、4,207,207千円となりました。これは、利益剰余金191,534千円増加、自己株式の処分28,707千円及びその他有価証券評価差額金13,001千円減少等によるものであります。
③キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は前連結会計年度末より278,449千円増加し、3,925,678千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、264,488千円(前年同期は3,292千円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益283,699千円、株式譲渡に伴うライセンス収入153,216千円、投資有価証券売却益23,076千円、賞与引当金の増加12,996千円、販売用不動産の減少99,801千円、未払金の増加27,693千円、売上債権の増加16,835千円及び法人税等の支払額7,323千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により得られた資金は23,760千円(前年同期は88,785千円の収入)となりました。
これは、投資有価証券の売却による収入23,760千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により支出した資金は9,800千円(前年同期は4,900千円の支出)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出9,800千円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を広告宣伝費及びサービス運営に係る人件費等に充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は3,925,678千円であり、将来の資金需要に対して十分な手許流動性を確保しております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
⑤生産、受注及び販売の実績
生産及び受注の実績については、該当する情報がないため記載しておりません。また、販売の実績については、「①経営成績の状況」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②財政状態の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの分析」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの分析」に記載のとおりであります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
「(1)経営成績等の状況の概要 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。