文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループはグローバル化する経済社会において、食品ストア、食品サービス、食品流通、食品加工の分野における陳列、貯蔵、流通、加工、調理等のニーズを満たす優秀で価値ある製品とサービスを提供し続けることを経営の基本方針としております。このことが、お客様から満足をいただける道であり、会社の繁栄とともに株主の皆様や社員にも利益を還元できる道であると考えております。
当社グループは、当期においては自己資本利益率(ROE)が8.4%でありましたが、株主資本の有効活用を示す代表的な指標であるROEの向上を目指してまいります。当社は、投資家と企業との対話における共通言語として提示されるROEの向上に努め、2025年度にはROE8.2%、2026年度に9%以上の水準達成を目標としております。
今後の経営にあたっては、かかる水準を意識し、中長期的に持続的かつ安定的な成長を実現するコーポレート・ガバナンス体制の構築に取り組んでまいります。
当社グループは、2026年度までの3年間を対象期間とする「中期経営計画N-ExT 2026」を2024年にスタートさせました。「豊かな食生活を世界へ ‒そして未来へ-」を長期ビジョンに見据え、「冷やす」技術をもとに最良の製品・サービスを生み出し、顧客と共に新しい課題に取り組むことで社会に貢献することを行動基準として本計画を実行しております。
長期ビジョン実現に向けた重点戦略を各年度の行動計画に落とし込み、その実行を通じて「中期経営計画N-ExT 2026」の達成を目指し、更にその先の‘長期ビジョンと10年後に目指す姿’の実現に向け、計画2年目の2025年度は以下の取り組みを実施してまいります。
(1)2025年度の主な取り組み
① ショーケース・倉庫事業
・顧客の環境変化に対する問題解決型の提案の強化、顧客の要望への対応力を高め、企業としての評価に繋げてシェア拡大・売上拡大を図ります。
・保有技術と新技術を融合させた環境・省エネ・省人化に対応した製品・サービスの開発を強化し、顧客の求める付加価値製品・サービスの提供を実現します。
② メンテナンス事業
・メンテナンス対象の拡大として提案メンテナンス、倉庫向けメンテナンス、空調メンテナンスの取り組みを強化します。
・メンテナンス品質の向上と効率化に向けた、メンテナンス業務のDX化の推進を図ります。
夜間修理受付業務の一元管理、遠隔メンテナンスシステムの活用範囲の拡大を図ります。
③ 海外事業
「中国」
社内体制を整備し、製品品質の向上、技術開発の強化を通じて顧客対応力を向上させ、既存顧客・新規顧客への営業活動を強化していきます。
「ベトナム」
日系・ベトナムの既存顧客の受注拡大に加え、新規顧客、倉庫物件受注に向けた活動を強化していきます。
④ 設備投資
計画に掲げる成長・戦略投資、基盤強化投資を継続するとともに、新たに発生している課題解決と将来に向けた投資を計画・実行していきます。
⑤ 持続可能な社会の実現に向けて
・2030環境行動で重点課題として掲げるグリーン冷媒への転換、冷媒ガスの漏洩防止、環境性能の高い製品の開発、環境負荷の低減に向けた取り組みを推進していきます。
・人事制度(等級制度、評価制度、報酬制度)の刷新や各種福利厚生制度の見直し等を通じて従業員一人ひとりが活き活きと働ける環境づくりと多様な人財が活躍できる社内風土を強化していきます。
<ご参考>



文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが合理的であると判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループはサスティナビリティに対して、持続的な成長を支える社内体制を盤石にし、成長により創出される価値の提供を通じて社会課題を解決すること、持続可能な地球環境・社会の実現に貢献し、すべての人々に幸福を提供することであると考えております。その実現のために、「脱炭素・資源循環型社会への貢献」、「幸福な社会への貢献」、「ステークホルダーから信頼される経営基盤の構築」を目指し、ESGへの取り組み強化によって、持続可能な社会の実現に貢献し、すべての人々に幸福を提供することを目的として、当社の長期ビジョン実現に向けた重点戦略である3つの柱の内の1つに位置付け、各種取り組みを進めてまいります。
当社グループでは、ステークホルダーから信頼される経営基盤の構築を目的に2019年より各種取り組みを実施してまいりました。今後についても長期的な企業価値向上に資するコーポレートガバナンス体制の整備及び実効性の向上を目指し、新たに策定した新中期経営計画「N-ExT 2026」で計画している各種取り組みをはじめとして、更なる取り組みの強化を図ってまいります。

当社グループは、事業を通して温室効果ガスであるフロンガスを使用する企業として、持続可能な地球環境を次世代に引き渡すことを目的に、2050年までの「カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」に向け、「2050 環境ビジョン」を掲げ、それを実現するための具体的な行動と数値目標として「2030 環境行動」を策定しました。
「2030 環境行動」を推進し、2050年カーボンニュートラル実現に向けた目標の達成を目指していくことで、ステークホルダーからの期待、社会に対して責任を果たしてまいります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループは、企業の源泉は人財であるという考えのもと、更なる就業環境の向上を目指し、2019年より働きやすい・働きがいのある環境づくりの推進やダイバーシティに向けた各種取り組みを実施してまいりました。
これまでの取り組みや考え方は踏襲しつつ、「モチベーション高く活き活きと働ける環境づくり」や「多様な人財が活躍できる社内風土の醸成」に向けた取り組みの強化により、活気ある職場づくりと多様性を尊重し、個人と組織が成長することで幸福な社会へ貢献してまいります。
当社は、ISO14001のPDCAサイクルに沿った管理を通して、サプライチェーン、各プロセスを想定し、気候変動リスクの洗い出し、分析を実施し、重要な影響を及ぼす事象への対応を進めております。分析で洗い出されたリスクに対する対応策の進捗についてはマネジメントプログラムを使用した管理を行い、全社環境委員会で重要リスクを認識したうえで、審議し、リスク回避などの対応やリスク発生時の影響低減に向けて活動を推進しております。
「2030 環境行動」の項目ごとに指標と目標を設定しています。環境委員会をはじめとした社内会議体において各指標の進捗状況をモニタリングしてまいります。

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
「モチベーション高く活き活きと働ける環境づくり」と「多様な人財が活躍できる社内風土の醸成」に向けた取り組みとして、下記の目標を設定しております。

当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
個人消費は電気料金、食料品や日用品の相次ぐ値上げなどにより節約志向が高まっており、この動向が当社グループの主要顧客である食品流通業界の設備投資に大きな影響を与えるため、当社グループの売上高等の業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは厳しい品質管理のもとで製品の製造、工事の施工を行っておりますが、将来にわたり全く欠陥が発生しないという保証はありません。リコール又は製造物賠償責任が発生した場合、製造物賠償責任保険には加入しておりますが、これを超えるような事態にいたった場合、多額の賠償金により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの製品の製造及び工事の施工に必要な素材(亜鉛鋼板、ステンレス鋼板、銅管、樹脂等)の市況は円安などの為替変動の影響を受け、価格の高騰時、その上昇分を当社グループの販売価格に転嫁できない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) 原材料の調達
当社グループは、原材料および部品を安定的に入手するため、複数の供給元から調達しております。しかしながら、市況の変化による原材料および部品の価格高騰や品不足、供給元の生産能力不足や品質不良、または火災や地震などの自然災害、あるいは倒産その他の理由により、原材料および部品の調達が困難となり、顧客への製品供給に支障をきたすリスクがあります。かかる場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
大規模な地震、台風などの自然災害の発生により、当社グループ、当社グループの社員または取引先が被害を受け、業務・事業が停滞した場合、事業遂行が滞る可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症などの重大な感染症の発生及び感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、需要の悪化や国内外サプライチェーンの停滞、事業活動の停滞等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進んでいることに加え、雇用と所得環境が改善していることで景気は緩やかな回復傾向が続いております。一方で、物価やサービス料金の高騰が継続しており、地政学リスクの長期化や為替相場の変動に伴う日本経済への影響なども懸念されており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要顧客である食品流通業界におきましては、インバウンド消費の回復や賃上げ浸透による一部消費の回復が進む一方、物価上昇に伴う個人消費の抑制も顕在化しております。また、人件費や物流費の高騰に伴うコスト増加に加え、ネット販売を含めた他業態との競争も継続しており、厳しい経営環境が継続しております。
このような中、当社は新たに2026年度を最終年度とする「中期経営計画N-ExT 2026」をスタートさせ、「豊かな 食生活を世界へ –そして未来へ-」を長期ビジョンに見据え、「冷やす」技術をもとに最良の製品・サービスを生み出し、顧客と共に新しい課題に取り組むことで社会に貢献することを行動基準として本計画を実行しております。
当連結会計年度の当社グループの業績は、小売り店向けの売上については、店舗改装や環境対策などによる改装投資が増加し、昨年の実績を上回りましたが、物流センター等の倉庫物件向け売上については、物件の一部後ろ倒しなどの影響により昨年の実績を下回りました。メンテナンス売上については、提案型のメンテナンス売上が堅調を維持し、昨年の実績を上回りました。
中国における売上については、昨年来の不動産不況や消費者・企業マインドの弱さを背景に商業施設や小売り店への投資抑制が継続しているため、売上が伸び悩んでおります。
ベトナムにおける売上については、昨年にベトナム現地法人を子会社化して以降、順調に売上を伸ばしております。
利益については、日本国内は原材料価格や光熱費の高騰が継続していることに加え、賃上げ等による人件費の増加によりコスト増加の状況となりましたが、改装需要の増加、コスト抑制活動の推進、生産性の改善などにより増益となりました。中国においては、小売り店の投資抑制が継続している影響などにより、昨年に引き続き営業損失となりましたが、ベトナムにおいては、順調に売上を伸ばしたことにより、わずかながらも利益を計上することができました。
その結果、売上高は338億61百万円(前年同期比8億70百万円、2.6%増)、経常利益は28億32百万円(前年同期比2億97百万円、11.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億53百万円(前年同期比2億49百万円、13.1%増)となりました。
「中期経営計画N-ExT 2026」に基づく事業分野別売上は次のとおりであります。
単位:百万円(百万円未満切捨て)
「ショーケース・倉庫事業」は、物流センター等の倉庫事業については、昨年の実績を下回りました。ショーケース事業売上においては小売り店の店舗改装投資が継続したこと、価格改定による効果などにより昨年の実績を上回りました。その結果、前年同期比1.0%増となりました。
「メンテナンス事業」は、継続的に提案メンテナンス等を実施しており、需要を掘り起こした結果、前年同期比6.9%増となりました。
「海外事業」は、中国においては、昨年来の不動産不況や消費者・企業マインドの弱さを背景に商業施設や小売り店への投資抑制が継続しているため、売上が伸び悩んでおりますが、ベトナムにおいては順調に売上を伸ばし、海外事業全体では前年同期比14.8%増となりました。
なお、当社グループの事業は食品店舗向けの冷凍・冷蔵ショーケース等の製造・販売並びにこれらの付随業務からなる単一セグメントであるため、セグメント情報の記載をしておりませんが、所在地別の業績の概況は次のとおりであります。
国内の売上高は、小売り店向けの売上については、店舗改装や環境対策などによる改装投資が増加し、昨年の実績を上回りましたが、物流センター等の倉庫物件向け売上については、物件の一部後ろ倒しなどが影響し昨年の実績を下回りました。メンテナンス売上については、提案型のメンテナンスと空調のメンテナンス売上が伸び、昨年の実績を上回りました。
その結果、319億24百万円(前年同期比6億20百万円、2.0%増)となり、営業利益は29億77百万円(前年同期比2億64百万円、9.8%増)となりました。
中国の売上高は、昨年来の不動産不況や消費者・企業マインドの弱さを背景に商業施設や小売り店への投資抑制が継続しているため、売上が伸び悩んでおります。
その結果、売上高は16億44百万円(前年同期比12百万円、0.8%減)となり、営業損失は2億66百万円(前年同期は2億71百万円の営業損失)となりました。
ベトナムの売上高は、順調に売上が推移し、2億91百万円(前年10~12月は28百万円)となり、営業利益は6百万円(前年同期は5百万円の営業損失)計上することができました。
当連結会計年度末の総資産は368億71百万円となり、前連結会計年度末と比較して15億11百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の流動資産の残高は275億98百万円となり、前連結会計年度末と比較して5億73百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が前連結会計年度末と比較して14億86百万円増加したことに対して、受取手形、売掛金及び契約資産が3億65百万円減少、原材料及び貯蔵品が3億92百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産の残高は92億72百万円となり、前連結会計年度末と比較して9億38百万円の増加となりました。これは主に長期預金(投資その他の資産「その他」)が10億円増加したことに加えて、ソフトウエア仮勘定(無形固定資産「その他」)が2億13百万円増加したことなどによります。
当連結会計年度末の流動負債の残高は63億56百万円となり、前連結会計年度末と比較して11億86百万円の増加となりました。これは主に支払手形及び買掛金が15億73百万円増加したことに対して、契約負債が3億90百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定負債の残高は32億69百万円となり、前連結会計年度末と比較して1億42百万円の減少となりました。これは主に退職給付に係る負債が1億39百万円、役員退職慰労未払金が57百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の純資産の残高は272億45百万円(非支配株主持分14億86百万円を含む。)となり、前連結会計年度末と比較して4億68百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金が2億23百万円増加、為替換算調整勘定が1億40百万円増加したことなどによります。
この結果、自己資本比率は、69.9%(前連結会計年度末は71.5%)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して18億32百万円増加し、101億78百万円となりました。その内容の主なものは次のとおりであります。
当連結会計年度において営業活動による資金は、41億39百万円の増加(前年同期は22億19百万円の増加)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益31億75百万円及び減価償却費3億97百万円があったことなどによります。さらに、仕入債務の増加が15億10百万円あったのに対し、法人税等の支払額が11億10百万円あったことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金は、5億72百万円の減少(前年同期は1億91百万円の増加)となりました。この主な要因は、長期預金の預入による支出が10億円あったことに対し、投資有価証券の売却による収入が合計4億41百万円あったことなどによります。
当連結会計年度において財務活動による資金は、19億4百万円の減少(前年同期は8億90百万円の減少)となりました。この主な要因は、配当金の支払が19億26百万円あったことなどによります。
当社グループの事業は食品店舗向けの冷凍・冷蔵ショーケース等の製造、販売を事業内容とする単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を製品別に示すと、以下のとおりであります。
当社グループの生産のほとんどが見込生産であるため、受注状況の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績を製品別に示すと、以下のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積について過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
ア.工事請負契約におけるインプット法による売上高
ショーケースや冷凍機等の設置工事事業、物流センター等の冷凍・冷蔵設備設置工事事業に係る工事請負契約については、顧客との合意により定められた仕様等に基づき、設備工事を完成させ、引渡しを行う義務を負っており、当該履行義務は、一定の期間にわたり充足される取引であるため、履行義務の充足につれて進捗度を測定して収益を認識しております。なお、履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、工事原価総額に対する発生原価の割合によるインプット法を採用しております。
工事原価総額は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容に基づいて算定しております。工事請負契約は、顧客からの契約仕様の変更要求や当初見積りに対する原価の増加や当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって工事原価総額が変動することがあります。その工事原価総額の変動により、収益認識時期が変わる可能性があります。
イ.工事損失引当金
当社グループは受注物件の損失発生に備えるため、手持物件のうち将来損失発生が見込まれ、かつ金額を合理的に見積ることができる物件について、その損失見込み額を工事損失引当金として計上しております。工事損失引当金は見積り特有の不確実性があるため、工事竣工までの仕様変更や原材料価格の高騰などのため見積りの前提が変わり、不採算工事が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績の分析は次のとおりであります。
わが国経済におきましては、社会経済活動の正常化が進んでいることに加え、雇用と所得環境が改善していることで景気は緩やかな回復傾向が続いております。一方で、物価やサービス料金の高騰が継続しており、地政学リスクの長期化や為替相場の変動に伴う日本経済への影響なども懸念されており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要顧客である食品流通業界におきましては、インバウンド消費の回復や賃上げ浸透による一部消費の回復が進む一方、物価上昇に伴う個人消費の抑制も顕在化しております。また、人件費や物流費の高騰に伴うコスト増加に加え、ネット販売を含めた他業態との競争も継続しており、厳しい経営環境が継続しております。
このような中、当社は新たに2026年度を最終年度とする「中期経営計画N-ExT 2026」をスタートさせ、「豊かな 食生活を世界へ –そして未来へ-」を長期ビジョンに見据え、「冷やす」技術をもとに最良の製品・サービスを生み出し、顧客と共に新しい課題に取り組むことで社会に貢献することを行動基準として本計画を実行しております。
当連結会計年度の当社グループの業績は、小売り店向けの売上については、店舗改装や環境対策などによる改装投資が増加し、昨年の実績を上回りましたが、物流センター等の倉庫物件向け売上については、物件の一部後ろ倒しなどの影響により昨年の実績を下回りました。メンテナンス売上については、提案型のメンテナンス売上が堅調を維持し、昨年の実績を上回りました。
中国における売上については、昨年来の不動産不況や消費者・企業マインドの弱さを背景に商業施設や小売り店への投資抑制が継続しているため、売上が伸び悩んでおります。
ベトナムにおける売上については、昨年にベトナム現地法人を子会社化して以降、順調に売上を伸ばしております。
利益については、日本国内は原材料価格や光熱費の高騰が継続していることに加え、賃上げ等による人件費の増加によりコスト増加の状況となりましたが、改装需要の増加、コスト抑制活動の推進、生産性の改善などにより増益となりました。中国においては、小売り店の投資抑制が継続している影響などにより、昨年に引き続き営業損失となりましたが、ベトナムにおいては、順調に売上を伸ばしたことにより、わずかながらも利益を計上することができました。
(売上高)
国内では、小売り店向けの売上については、店舗改装や環境対策などによる改装投資が増加し、昨年の実績を上回りましたが、物流センター等の倉庫物件向け売上については、物件の一部後ろ倒しなどが影響し昨年の実績を下回りました。メンテナンス売上については、提案型のメンテナンスと空調のメンテナンス売上が伸び、昨年の実績を上回りました。その結果、319億24百万円(前年同期比6億20百万円、2.0%増)となりました。
中国では、昨年来の不動産不況や消費者・企業マインドの弱さを背景に商業施設や小売り店への投資抑制が継続しているため、売上が伸び悩んでおります。その結果、売上高は16億44百万円(前年同期比12百万円、0.8%減)となりました。
ベトナムでは、順調に売上が推移し、2億91百万円(前年10~12月は28百万円)となり、営業利益は6百万円(前年同期は5百万円の営業損失)計上することができました。
売上原価率は、利益率の改善、原材料価格の抑制があった半面、人件費・経費の増加により、前連結会計年度より0.9ポイント悪化し83.8%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より1億48百万円増加して27億65百万円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上高が前年と比べて増収となったことにより、前連結会計年度より2億82百万円増加して27億17百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度より10百万円増加して1億23百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度より3百万円減少して8百万円となりました。
経常利益は、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上高が前年と比べて増収となったことにより、前連結会計年度より2億97百万円増加して28億32百万円となりました。
特別利益及び損失は、投資有価証券の売却益3億66百万円及び固定資産の除却損21百万円あったことなどにより、利益純額として3億42百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より2億49百万円増加して21億53百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、生産活動に必要な運転資金(材料費、外注費、人件費、諸経費)、販売費及び一般管理費等の営業活動費用によるもののほか、2024年度から2026年度までの3か年を対象期間とする中期経営計画の実行によるものを予定しております。当該中期経営計画では成長・戦略投資として80億円、事業基盤強化に向けた投資として20億円を予定しております。これらの資金需要に対しては、取引金融機関からの調達は行わず、自己資金で賄う予定にしております。
なお、当連結会計年度末における借入金及び有利子負債の残高は6億49百万円になっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は101億78百万円になっております。
該当事項はありません。
当連結会計年度は研究開発費として
<主な研究開発>
日本
(1) スーパーマーケット向けショーケースの開発
温暖化係数が高い冷媒R404Aを使用していた内蔵ショーケース全機種をマイナーチェンジし、温暖化係数が低い冷媒R448Aへ切替えました。
連結子会社である上海海立中野冷機有限公司と共同開発した自然冷媒R290採用の内蔵型冷凍ショーケース(プラグインショーケース)を、縦引戸、横引戸のどちらにも対応可能にし、顧客要望に対応しました。
(2) コンビニエンス・ストア向けのショーケースの開発
ウォークイン冷蔵庫内に設置する陳列ラックの開発を実施しました。スライド式ブラケット機構により、棚段調整が容易になります。
自然冷媒CO2を採用した冷凍機内蔵型デザートケースの開発を実施しました。フロン冷媒使用ショーケースよりも省エネになります。
その他、コンビニエンス・ストア向けショーケースは、顧客と共同で新製品開発を進めています。
(3) 新冷媒と冷凍機システム
温暖化係数の低い低GWP冷媒や自然冷媒への転換を進めています。
スーパーマーケット向けでは、自然冷媒CO2システムの導入を継続して進めているとともに、新たな低GWP冷媒システム導入への対応準備を進めています。
コンビニエンス・ストア向けでは、別置式ショーケース、内蔵ショーケースともに自然冷媒CO2を採用し、フロン冷媒使用店舗よりも省エネになっています。
物流センター向けでも、自然冷媒CO2やアンモニアを使用した冷却システムを導入しています。
(4) 店補監視システムによる異常予知システムの構築
集中制御盤(センサムセイバー)、クラウドサービスによる店舗監視システムの機能を拡充。AIによる霜付き、冷媒ガス漏れの異常予知機能により、顧客の販売チャンスロスを低減するとともに、保守サービスの品質向上を図ります。
中国
(1) スーパーマーケット向けショーケースの開発
衛生的にセルフ販売が可能なサラダバーショーケースという顧客からの要望に対し、リフトアップ開閉式のガラス扉を備えたサラダバーショーケースを開発しました。ガラス扉のサイズとリフトアップ機構の跳上げ強さを最適化し、買物客が容易に開閉できる構造としました。陳列面はホテルパンを前面傾斜陳列することで、前方からの視認性を向上しています。
顧客からの要望に対する受注開発として、前面ガラス扉付きローデッキ冷蔵多段ショーケースを開発しました。
ガラス扉は、スリムな外観と結露防止に配慮したヒーター入り薄型合わせガラス扉を採用しました。また、前高を下げたローデッキ仕様とすることで商品の陳列量と見易さを改善しました。
(2) コンビニエンス・ストア向けのショーケースの開発
施工コスト削減を目的として、左右3尺ずつを個別に温度制御可能な6尺多段ショーケースを開発しました。
左右3尺ずつに独立した冷却機構とし、棚間をアクリル仕切板を設置することで別々の温度帯に対応します。
中国のコンビニエンス・ストアは陳列商品により温度帯を細かく設定するため、比較的3尺ケースを多用します。
ショーケースの施工コストは一般的に1台当たりの単価×台数としているため、台数の減少により施工コストの削減に繋がります。