【連結財務諸表注記】
1.報告企業
株式会社資生堂(以下「当社」という。)は日本に所在する株式会社です。当社の連結財務諸表は、2024年12月31日を期末日とし、当社および当社連結子会社(以下「当社グループ」という。)ならびに関連会社に対する持分により構成されています。当社グループの事業内容および主要な活動は、注記「7.事業セグメント」に記載しています。
2.作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第312条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。
早期適用していないIFRSを除き、当社グループの会計方針は2024年12月31日に有効なIFRSに準拠しています。
本連結財務諸表は、2025年3月26日に代表執行役 社長 CEO 藤原憲太郎および代表執行役 CFO(最高財務責任者) 廣藤綾子によって承認されています。
当社グループの連結財務諸表は、注記「3.重要性がある会計方針」に記載のとおり、公正価値で測定されている特定の金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満を切り捨てて表示しています。
3.重要性がある会計方針
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しています。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めています。当社グループ間の債権債務残高および内部取引高、ならびに当社グループ間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しています。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されています。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失は純損益で認識しています。
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務および営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。通常、当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
関連会社については、原則として当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって会計処理しています。関連会社に対する投資には、取得に際して認識されたのれん(減損損失累計額控除後)が含まれています。
関連会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を加えています。
企業結合は取得法に基づき会計処理しています。非支配持分は、取得日における公正価値または被取得企業の識別可能純資産に対する比例的持分で当初測定しています。
支払対価の公正価値、被取得企業の非支配持分の金額および段階取得の場合には取得企業が以前より保有していた被取得企業の支配獲得日における資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産および引き受けた負債の公正価値を超過する場合は、その超過額を連結財政状態計算書においてのれんとして認識しています。一方、この対価の総額が識別可能な資産および引き受けた負債の公正価値を下回る場合には、直ちに連結損益計算書において純損益として認識しています。
企業結合に関連して発生した取得関連コストは、発生時に費用として認識しています。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合は、完了していない項目を暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しています。
外貨建取引は、取引日の為替レートで当社グループの各社の機能通貨に換算しています。
期末日における外貨建貨幣性資産および負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しています。
換算または決済により生じる換算差額は、純損益として認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産、およびキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段から生じた換算差額のうちヘッジが有効な部分については、その他の包括利益として認識しています。
在外営業活動体の資産および負債については期末日の為替レート、収益および費用については、為替レートが著しく変動していない限り、平均為替レートを用いて日本円に換算しています。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額はその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の資本の構成要素として認識しています。支配の喪失を伴う子会社の処分時には、当該在外営業活動体に関連した換算差額の累計額の全額を純損益に振り替えています。
金融資産のうち償却原価で測定する金融資産はそれらの発生日に当初認識します。その他のすべての金融資産は、金融商品の契約の当事者になった日に認識します。
金融資産は、当初認識時に以下のとおり分類しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
以下の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当社グループでは、売買目的で保有していないすべての資本性金融商品への投資について、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという選択を行っています。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
以下の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(d) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
金融資産は、原則として、公正価値に、当該金融資産に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しています。ただし、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、取引費用は発生時に純損益で認識しています。
また、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で測定しています。
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定し、利息は純損益として認識しています。必要な場合には実効金利法を適用した総額の帳簿価額から損失評価引当金を控除しています。
(b) 公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産については、公正価値の変動額および認識の中止に係る利得または損失はその他の包括利益として認識しています。なお、その他の包括利益として認識した額の累計額は、その他の資本の構成要素に認識後、直ちに利益剰余金に振り替えています。また、当該金融資産からの配当金については、当該配当金が明らかに投資の取得原価の回収を示している場合を除いて金融収益の一部として純損益として認識しています。
上記以外の公正価値で測定する金融資産については、公正価値の変動額は純損益に認識しています。
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、または当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。
償却原価で測定する金融資産等に係る減損については、当該資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しています。
当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を損失評価引当金として認識しています。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を損失評価引当金として認識しています。
なお、重大な金融要素を含んでいない営業債権およびリース債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で損失評価引当金を認識しています。
予想信用損失は、信用リスクの特徴が類似する資産ごとにグルーピングし、過去の貸倒実績に現在の状況および当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報(内部格付、外部格付等)を考慮し測定しています。
予想信用損失は、契約に従って当社グループに支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、当社グループが受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定しています。
発行者または債務者の重大な財政上の困難や期日経過を含む契約違反など、金融資産の全体または一部の回収が極めて困難であると判断した場合に債務不履行であると判断しています。債務不履行に該当した場合は信用減損の客観的な証拠が存在すると判断し、信用減損金融資産に分類しています。
また、ある金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しています。
金融資産に係る損失評価引当金の繰入額は、純損益で認識しています。損失評価引当金を減額する事象が生じた場合は、損失評価引当金戻入額を純損益で認識しています。
当社グループでは、金融負債を発生日に当初認識しており、償却原価で測定しています。当初認識時には公正価値からその発行に直接起因する取引コストを減算して測定しています。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しています。
金融負債は、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消しまたは失効となった時に認識を中止しています。
当社グループは、為替リスクや金利リスクをそれぞれヘッジするために、為替予約、金利スワップ契約等のデリバティブを利用しています。このうち、ヘッジ会計の要件を満たしているデリバティブ商品についてヘッジ手段として指定し、ヘッジ会計を適用しています。
当社グループは、ヘッジ会計を適用するにあたって、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際のヘッジ手段とヘッジ対象の関係、およびヘッジ関係の有効性の評価方法についてヘッジ開始時に正式に文書化しています。また、ヘッジ手段として指定したデリバティブがヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を相殺するために有効であるかどうかについて、ヘッジ開始時およびその後も継続的に評価を実施しています。
これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初認識され、その後も公正価値で再測定し、その事後的な変動は以下のとおり処理しています。
ヘッジ手段に係る利得または損失のうち有効部分は連結包括利益計算書においてその他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに連結損益計算書において純損益として認識しています。
その他の包括利益として認識されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象取引を実行し純損益に認識するまでその他の資本の構成要素として認識しています。その他の資本の構成要素に認識したヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えています。ヘッジ対象が非金融資産または非金融負債の認識を生じさせる予定取引である場合には、その他の包括利益として認識されている金額は、非金融資産または非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しています。
デリバティブの公正価値変動は、連結損益計算書において純損益として認識しています。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金、および容易に換金可能であり価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い価額で測定しています。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価および見積販売費用を控除した額です。原価は、主として総平均法に基づいて算定しており、購入原価、加工費、現在の場所および状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去および土地の原状回復費用、および資産計上すべき借入コストが含まれています。
土地および建設仮勘定以外の各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法により認識しています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 2~50年
・機械装置及び運搬具 2~15年
・工具、器具及び備品 2~15年
なお、見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
のれんは償却を行わず、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位に配分し、毎年および減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。
のれんの減損損失は連結損益計算書において認識され、その後の戻入れは行っていません。
また、のれんは連結財政状態計算書において、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
(9) 無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しています。企業結合により取得した無形資産は、当初認識時にのれんとは区分して認識し、支配獲得日の公正価値で測定しています。
内部発生の研究関連費用は、発生時に費用認識しています。内部発生の開発費用は、資産として認識するための要件がすべて満たされた場合に限り資産として認識しています。なお、研究関連費用と開発関連費用が明確に区分できない場合には、研究関連費用として発生時に費用認識しています。
内部利用を目的としたソフトウエアの取得および開発費用は、将来の経済的便益の流入が期待される場合には無形資産として認識しています。
耐用年数を確定できる無形資産は、当初認識後それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウエア 5~15年
耐用年数を確定できない無形資産、未だ使用可能ではない無形資産は償却を行わず、毎年かつ減損の兆候が存在する場合はその都度、個別にまたは各資金生成単位で減損テストを実施しています。
なお、見積耐用年数、残存価額および償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
契約がリースであるかまたはリースを含むかは、契約の開始時に評価します。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるかまたはリースを含んでいると判断します。
① 借手
借手としてのリースにおいては、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、リース負債の当初測定額に、開始日またはそれ以前に支払ったリース料を調整した額を当初測定額としています。リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しています。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を使用しています。
当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時またはリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却しています。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定しています。リース負債は、実効金利法による償却原価で測定しています。リース料は、利息法に基づき、金利費用とリース負債の返済額とに配分しています。金利費用は、連結損益計算書において、「金融費用」に含めて表示しています。
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内または少額資産のリースについて、使用権資産およびリース負債を認識しないことを選択しています。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法または他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しています。また、実務上の便法として、当社グループは非リース構成部分をリース構成部分と区別せず、リース構成部分および関連する非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理することを選択しています。
② 貸手
当社グループがリースの貸手である場合、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースに分類します。それぞれのリースを分類するにあたり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて移転するか否かを総合的に評価しています。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類しています。
当社グループが中間の貸手である場合、ヘッドリースとサブリースを別個に会計処理します。サブリースの分類は、原資産ではなくヘッドリースから生じる使用権資産を参照して判定します。
オペレーティング・リース取引によるリース料については、リース期間にわたって定額法により収益として認識し、連結損益計算書において、「その他の営業収益」に含めて表示しています。
棚卸資産および繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っています。のれんおよび耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず回収可能価額を毎年同じ時期に見積っています。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値および当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。減損テストにおいて個別にテストされない資産は、継続的な使用により他の資産または資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資金生成単位に統合しています。のれんの減損テストを行う際には、のれんが配分される資金生成単位を、のれんが関連する最小の単位を反映して減損がテストされるように統合しています。企業結合により取得したのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位に配分しています。
減損損失は、資産または資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合に純損益として認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しています。
過去に認識した減損損失は、のれんを除き、毎期末日において損失の減少または消滅を示す兆候の有無を評価し、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費および償却額を控除した後の帳簿価額を上限として戻入れています。
(12) 従業員給付
当社グループは、従業員の退職給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を運営しています。
当社グループは、確定給付制度債務の現在価値および関連する当期勤務費用ならびに過去勤務費用を、予測単位積増方式を用いて算定しています。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しています。
確定給付制度に係る負債または資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しています。
確定給付制度の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、その累計額は、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
過去勤務費用は、発生した期の純損益として処理しています。
確定拠出型の退職給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期に費用として認識しています。
当社グループは、持分決済型の株式に基づく報酬制度としてストックオプション制度、ならびに持分決済型および現金決済型の業績連動型株式報酬制度としてパフォーマンス・シェア・ユニット制度を採用しています。
ストックオプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストックオプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しています。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、Hull-White型の修正二項モデルを用いて算定しています。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しています。
パフォーマンス・シェア・ユニット制度のうち持分決済型の報酬取引に該当する部分については、付与する当社株式の公正価値を参照して測定しており、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。一方、現金決済型の報酬取引に該当する部分については、受領した役務を発生した負債の公正価値で測定し、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を負債の増加として認識しています。なお、報告日および決済日において当該負債の公正価値を再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しています。
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的または推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しています。貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いています。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しています。
当社グループは、スキンケア、メイクアップ、フレグランス等の化粧品の製造・販売およびレストランや美容室事業を展開しています。製商品販売については、製商品の引渡時点等において顧客が当該製商品に対する支配を獲得することから、当該製商品の引渡時点等で収益を認識しています。また、収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベートおよび返品等を控除した金額で測定しています。これらの顧客に返金すると見込んでいる対価を返金負債として連結財政状態計算書の「営業債務及びその他の債務」に計上しています。変動対価は、当該変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ取引価格に含めています。なお、これらの顧客との契約における対価には、重大な金融要素を含んでいません。
商品の販売に応じて顧客に将来の製商品購入時の支払い等が可能なポイントプログラムを提供しており、将来顧客が行使することが見込まれるポイント分をポイントプログラムの履行義務として識別しています。取引価格はこれらの履行義務に対して、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベートおよび返品等を控除した独立販売価格の比率に基づいて配分しています。ポイントプログラムの履行義務に配分された額は、契約負債として連結財政状態計算書の「その他の流動負債」として繰延べ、失効率を考慮の上、ポイントの使用に応じて収益を認識しています。
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られたときに公正価値で認識しています。
政府補助金が費用項目に関連する場合は、補助金で補償することが意図されている関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に収益として認識しています。資産に関する補助金は、繰延収益として認識し、関連資産の耐用年数にわたり規則的に純損益で認識しています。
法人所得税費用は、当期税金および繰延税金から構成されています。これらは、その他の包括利益または資本に直接認識される項目から生じる場合、および企業結合から生じる場合を除き、純損益として認識しています。
当期税金は、税務当局に対する納付または税務当局からの還付が予想される金額で測定しています。税額の算定に使用する税率および税法は、期末日までに制定または実質的に制定されているものです。
繰延税金は、期末日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との差額である一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除に対して認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産および負債を認識していません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・企業結合取引を除く、取引時に、会計上の利益にも税務上の課税所得(欠損金)にも影響を与えず、かつ、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引によって発生する資産および負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消する時期をコントロールすることができ、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異について認識しています。
繰延税金資産および負債は、期末日において制定されている、または実質的に制定されている税率および税法に基づいて、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予想される税率および税法によって測定しています。
繰延税金資産および負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しています。
当社グループは、IAS第12号「法人所得税」の一時的な例外規定を適用し、経済開発協力機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産および負債に関して、認識および開示を行っていません。
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しています。
非流動資産(または処分グループ)の帳簿価額が、継続的使用ではなく主に売却取引により回収される場合には、当該非流動資産(または処分グループ)を売却目的保有に分類しています。売却目的保有へ分類するためには、売却の可能性が非常に高く、現状で直ちに売却が可能なことを条件としており、当社グループの経営者が当該資産の売却計画の実行を確約し、1年以内で売却が完了する予定である場合に限られています。
売却目的保有に分類された非流動資産(または処分グループ)は、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しており、売却目的保有に分類された後は減価償却または償却を行っていません。
普通株式は、発行価額を資本金および資本剰余金に認識しています。また、株式発行費用は発行価額から控除しています。
自己株式は取得原価で評価され、資本から控除しています。当社の自己株式の購入、売却または消却において、利得または損失は認識されません。帳簿価額と売却時の対価との差額は、資本として認識しています。
当社の株主に対する配当のうち、期末配当は当社の株主総会により決議された日、中間配当は取締役会により決議された日の属する期間の負債として認識しています。
当社および一部の国内連結子会社は、グループ通算制度を適用しています。
4.重要な会計上の見積りおよび判断
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の金額に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定を行うことが要求されています。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間およびそれ以降の将来の会計期間において認識されます。
なお、会計上の見積りにより、翌連結会計年度に係る連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のあるものは次のとおりです。
各事業セグメント資金生成単位に関するのれんの評価
当社グループは、各事業セグメント資金生成単位に関するのれんの評価について重要な見積りのリスクを識別しています。
なお、当連結会計年度よりDrunk Elephantの販売が全世界に拡大し、経営資源の配分の決定および業績評価がブランド単位からセグメント単位に変更したことにより、資金生成単位の変更をしています。従来の資生堂アメリカズCorp.資金生成単位は米州事業資金生成単位に名称を変更し、米州以外の各セグメントのDrunk Elephant資金生成単位は各事業セグメント資金生成単位に変更しています。
各事業セグメント資金生成単位の回収可能価額は使用価値により算定しています。使用価値の見積りは、割引キャッシュ・フロー方式により行いますが、この方式では、将来キャッシュ・フロー、割引率および長期市場成長率など、多くの見積り・前提を使用しており、将来キャッシュ・フローの基礎となる将来計画は過去の実績、現在および見込まれる経済状況、市場データなどを考慮しています。これらの見積り・前提は、減損テストや認識される減損損失計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、使用価値の見積りや減損テストにあたっては、外部専門家などによる評価を活用しています。
当連結会計年度において、年次の減損テストを実施した結果、各事業セグメント資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失を認識していません。使用価値の算定に用いられた将来キャッシュ・フローは、各資金生成単位の将来事業計画および長期市場成長率を基礎として見積っており、化粧品市場の長期市場成長率や販売拡大計画に基づく売上や利益率などの各要素の改善を主要な仮定として織り込んでいます。また、割引率は各国のリスクフリーレートにリスクプレミアムを加味した利率を使用しています。
経営者は、当該テストにおける使用価値の見積りは合理的であると判断していますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が下落し、減損損失が発生する可能性があります。
のれんの各資金生成単位の帳簿価額および回収可能価額の算定方法については、注記「15.のれん及び無形資産」に記載しています。
5.会計上の見積りの変更
(無形資産の耐用年数の変更)
当社グループは、当連結会計年度より、一部のソフトウエアの耐用年数をより実態に即した経済的使用可能予測期間に基づく耐用年数に変更しています。
この変更により、「営業利益」は当連結会計年度で2,368百万円増加し、「税引前当期損失」は当連結会計年度で2,368百万円減少しました。
なお、セグメントに与える影響については、注記「7.事業セグメント」に記載しています。
6.未適用の公表済み基準書および解釈指針
連結財務諸表の公表の承認日までに新設または改訂が行われた新基準書および新解釈指針のうち、当社グループが早期適用していない主なものは以下のとおりです。連結財務諸表に与える影響は現在評価中です。
7.事業セグメント
当社グループの事業セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、主に化粧品を製造・販売しており、お客さまの購買接点タイプ別に区分したブランドカテゴリーと、6つの地域(日本、中国、アジアパシフィック、米州、欧州、トラベルリテール)を掛け合わせたマトリクス型の体制のもと、事業活動を展開しています。その上で、各地域の責任者が、地域ごとに幅広い権限と、売上・利益への責任を持ち、機動的な意思決定を行っていることから、当社のセグメントは地域を主として、「日本事業」「中国事業」「アジアパシフィック事業」「米州事業」「欧州事業」および「トラベルリテール事業」の6つを報告セグメントとしています。
「日本事業」は、国内におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、プレミアム等)およびヘルスケア事業(一般用医薬品の販売)を包括しています。
「中国事業」は、中国におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス等)を包括しています。
「アジアパシフィック事業」は、日本、中国を除くアジア・オセアニア地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス等)を包括しています。
「米州事業」は、アメリカ地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス等)を包括しています。
「欧州事業」は、ヨーロッパ、中東およびアフリカ地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス等)を包括しています。
「トラベルリテール事業」は、全世界の免税店エリアにおけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス等)を包括しています。
「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業、飲食業およびヘルスケア事業(美容食品の販売)等を包括しています。
(報告セグメントの変更等に関する事項)
当連結会計年度より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「日本事業」に計上していた一部業績を「その他」に計上しています。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。
報告セグメントの会計方針は、注記「3.重要性がある会計方針」で記載している会計方針と同一です。
報告セグメントの利益は営業利益(または損失)から構造改革に伴う費用・減損損失・買収関連費用等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出したコア営業利益で表示しています。
なお、セグメント間の取引価格および振替価格は市場実勢を勘案して決定しています。
当社グループの報告セグメントによる収益および業績は以下のとおりです。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) 1 「欧州事業」は、中東およびアフリカ地域を含みます。
2 「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業および飲食業等を含んでいます。
3 セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去の金額です。
4 「その他」に計上しているパーソナルケア製品生産事業に係る売上高は、資生堂久喜工場の譲渡に伴い、2023年4月1日以降、一部を除き発生していません。
5 セグメント資産および負債の金額は、経営資源の配分の決定および業績を評価するための定期的な検討の対象となっていないため記載していません。
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 1 「欧州事業」は、中東およびアフリカ地域を含みます。
2 「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業、飲食業およびヘルスケア事業(美容食品の販売)等を含んでいます。
3 セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去の金額です。
4 注記「5. 会計上の見積りの変更」に記載のとおり、当社グループは、当連結会計年度より、一部のソフトウエアの耐用年数をより実態に即した経済的使用可能予測期間に基づく耐用年数に変更しています。
この変更により、当連結会計年度のセグメント利益が「日本事業」で115百万円、「中国事業」で77百万円、「アジアパシフィック事業」で215百万円、「米州事業」で228百万円、「トラベルリテール事業」で221百万円、「その他」で1,509百万円、それぞれ増加しました。
5 セグメント資産および負債の金額は、経営資源の配分の決定および業績を評価するための定期的な検討の対象となっていないため記載していません。
セグメント利益から、営業利益への調整は、以下のとおりです。
前連結会計年度における事業譲渡益は、アジアでプロフェッショナル事業を展開する当社子会社3社(台湾資生堂股份有限公司、法徠麗國際股份有限公司および資生堂マレーシアSdn. Bhd.)が当該事業の資産をHenkel AG & Co. KGaAグループ会社に譲渡したことによる対象資産の譲渡益です。連結損益計算書上、当該譲渡益は「その他の営業収益」に含まれています。
前連結会計年度における事業譲渡損は、パーソナルケア製品の生産事業を営む資生堂久喜工場および資生堂ベトナムInc.を㈱ファイントゥデイホールディングスへ譲渡したことによる譲渡損です。連結損益計算書上、当該譲渡損は「その他の営業費用」に含まれています。
前連結会計年度における構造改革費用は、主に資生堂久喜工場および資生堂ベトナム工場におけるパーソナルケア製品の生産事業譲渡の契約締結に付随する費用です。連結損益計算書上、当該費用は「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「その他の営業費用」に含まれています。
当連結会計年度における構造改革費用は、主に資生堂ジャパン㈱のビジネストランスフォーメーションの一環としての早期退職支援プランに伴う費用および関連する退職給付債務の清算益です。連結損益計算書上、当該費用は「売上原価」、「販売費及び一般管理費」、「その他の営業収益」および「その他の営業費用」に含まれています。
前連結会計年度における減損損失は、資生堂久喜工場および資生堂ベトナム工場におけるパーソナルケア製品の生産事業譲渡の契約締結に伴う資産グループの減損損失、資生堂アメリカズCorp.が賃借しているオフィスのサブリースによる収益性低下に伴う減損損失、および資生堂大阪工場の生産を資生堂大阪茨木工場に統合することに伴う資産グループの減損損失です。連結損益計算書上、当該費用は「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含まれています。
当連結会計年度における減損損失戻入は、前連結会計年度に減損損失を認識した資生堂大阪工場の製造設備のうち、収益性が回復した設備から生じた減損損失戻入です。連結損益計算書上、当該収益は「その他の営業収益」に含まれています。
前連結会計年度における固定資産売却益は、当社および当社子会社所有の不動産売却に伴い発生した収益です。連結損益計算書上、当該収益は「その他の営業収益」に含まれています。
当連結会計年度における固定資産売却益は主に当社子会社所有の不動産売却に伴い発生した収益です。連結損益計算書上、当該収益は「その他の営業収益」に含まれています。
当連結会計年度における買収関連費用は、DDG Skincare Holdings LLCの買収に伴う直接的な費用です。なお、従来構造改革費用に含めていましたが、当連結会計年度より区分掲記しています。連結損益計算書上、当該費用は「販売費及び一般管理費」に含まれています
当連結会計年度における社内制度変更に伴う一時費用は、連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」に含まれています。
化粧品事業の外部顧客への売上高が連結損益計算書上の「売上高」のほとんどを占めているため、記載を省略します。
売上高および非流動資産の地域別内訳は以下のとおりです。
売上高
(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しています。
非流動資産
(注) 非流動資産は、資産の所在地を基礎とし、国または地域に分類しています。また、金融商品、繰延税金資産および退職給付に係る資産を含んでいません。
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める特定の外部顧客への売上高がないため、記載を省略しています。
8.企業結合
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(1) 企業結合の概要
当社は、2023年12月22日、連結子会社の資生堂アメリカズCorp.(以下「資生堂アメリカ」という。)を通じて、皮膚科学をベースとしたプレステージスキンケアブランド「Dr. Dennis Gross Skincare」を所有するDDG Skincare Holdings LLC(以下「買収対象企業」という。)を買収することにつき、資生堂アメリカ、買収対象企業および同社株主との間で合意し、持分売買契約を締結しました。2024年2月5日、本契約に基づき買収対象企業の株式取得の手続きを完了しました。
(2) 被取得企業の名称および事業の概要
被取得企業の名称 DDG Skincare Holdings LLC
事業の内容 化粧品の販売
(3) 企業結合を行った主な理由
グローバルで大きな成長が期待される「皮膚科医などの専門家などが開発に関わっている、または監修した化粧品」の市場の中でも、さらに大きな需要ポテンシャルが見込まれる米国で同ブランドをポートフォリオに加えることにより、主力であるプレステージスキンケアの強化を加速させていくためです。また、高い収益性を持つ同ブランドが加わることにより、成長性・収益性の拡大が期待され、その結果として適正な地域ポートフォリオへの転換を目指します。当社の研究開発力およびグローバルに展開するプラットフォーム・経営資源を活かし、同ブランドを当社のプレステージスキンケアブランドの主力を担うブランドへと成長させていきます。
(4) 被取得企業の支配獲得方法
現金を対価とする株式取得
(5) 取得日
2024年2月5日
(6) 取得した持分比率
100%
(注) 取得日時点では間接保有していましたが、有価証券報告書提出日現在では直接保有しています。
(7) 譲渡対価の公正価値
現金 65,321百万円(正味運転資本等の調整後)
譲渡対価は当初の暫定的な金額から708百万円の修正をしています。なお取得日における対価の支払いのため、当社は2024年2月2日に、48,000百万円の短期借入を実施しています。
(8) 企業結合とは別個に認識した取引
当該企業結合に係る取得関連費用として当連結会計年度に392百万円を「販売費及び一般管理費」にて費用処理しています。
また、企業結合後に一定の要件のもと支払われるボーナス16百万米ドル(2,423百万円)を企業結合とは別個に認識し、当連結会計年度以降、一定の期間にわたり「販売費及び一般管理費」にて費用処理していきます。
(9) 取得日における取得資産および引受負債の公正価値
取得日時点の取得資産および引受負債の公正価値について、取得価額の配分が完了していないため暫定的な金額で開示していましたが、当連結会計年度に当該配分が完了しました。配分完了後の取得日時点の取得資産および引受負債の公正価値は次のとおりです。当初の暫定的な金額からの主な修正内容は、流動負債の増加65百万円、非流動負債の減少61百万円です。
(注) 取得した営業債権及びその他の債権の公正価値1,148百万円について、契約金額の総額は公正価値と同額であり、回収不能見込額は34百万円です。
(10) 子会社の取得による支出
(11) 認識するのれんの金額、発生原因
当該企業結合により生じたのれんの主な内容は、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力で、37,048百万円です。また、税務上損金算入を見込んでいる金額は29,294百万円です。当初の暫定的な金額から、以下のように修正しています。
(12) 業績に与える影響
当該企業結合に係る取得日以降に生じた売上高および当期損失はそれぞれ15,899百万円および△279百万円です。また、当該企業結合が期首に行われたと仮定した場合の当連結会計年度の売上高および当期損失は、それぞれ991,949百万円および△9,213百万円であったと算定されます。なお、当該プロフォーマ情報は監査を受けていません。
9.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は以下のとおりです。
現金及び現金同等物は、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
連結財政状態計算書における現金及び現金同等物の残高と、連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物の残高は一致しています。
10.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は以下のとおりであり、損失評価引当金控除後の金額で表示しています。
営業債権及びその他の債権は、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
11.その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は以下のとおりであり、損失評価引当金控除後の金額で表示しています。
当社グループでは、持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資すると判断し保有する株式および出資金について、その保有目的に鑑み、株式および出資金を主に政策投資目的で保有しているため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の主な銘柄および公正価値等は以下のとおりです。
(注) 取引所に上場したため、当連結会計年度にレベル3からレベル1へ振り替えています。前連結会計年度における公正価値は0百万円です。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産から認識された受取配当金の内訳は以下のとおりです。
当社グループは、資産の効率化や取引関係の見直し等を目的として、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の一部を売却することにより、認識を中止しています。
各連結会計年度における売却時の公正価値および売却に係る利得または損失の累計額は以下のとおりです。
当社グループは、当初認識後の公正価値の変動および認識の中止に係る利得または損失はその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の資本の構成要素に認識後、直ちに利益剰余金に振り替えています。その他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えた金額(税引後)は、前連結会計年度△706百万円、当連結会計年度△245百万円です。
12.棚卸資産
棚卸資産の内訳は以下のとおりです。
費用として認識された棚卸資産の金額は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ243,932百万円および228,748百万円であり、売上原価に含まれています。
また、費用として認識された棚卸資産の評価減の金額は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ30,584百万円および16,923百万円です。なお、前連結会計年度および当連結会計年度において重要な評価減の戻入はありません。
負債の担保に差し入れた棚卸資産はありません。
13.その他の資産
その他の資産の内訳は以下のとおりです。
14.有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額および減損損失累計額の増減ならびに帳簿価額は以下のとおりです。
取得原価
減価償却累計額および減損損失累計額
(注) 1 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含まれています。
2 有形固定資産の減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に、減損損失戻入は「その他の営業収益」に含まれています。
3 負債の担保に供されている有形固定資産はありません
4 有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントについては、注記「39.コミットメント」に記載しています。
帳簿価額
前連結会計年度および当連結会計年度において有形固定資産の取得原価に含めた重要な借入費用はありません。
15.のれん及び無形資産
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額および減損損失累計額の増減ならびに帳簿価額は以下のとおりです。
取得原価
償却累計額および減損損失累計額
(注) 1 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含まれています。
2 無形資産の減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含まれています。
3 負債の担保に供されている無形資産はありません。
4 無形資産の取得に関する契約上のコミットメントについては、注記「39.コミットメント」に記載しています。
帳簿価額
前連結会計年度および当連結会計年度において無形資産の取得原価に含めた重要な借入費用はありません。
前連結会計年度および当連結会計年度における期中に費用として認識された研究開発活動による支出は27,557百万円および27,185百万円です。
のれん及び無形資産のうち、重要なのれん及び無形資産は企業結合またはライセンス契約により取得した以下のものです。
(注) 1 当連結会計年度において資金生成単位の変更をしています。詳細は注記「4.重要な会計上の見積りおよび判断」を参照ください。
2 当連結会計年度においてDDG Skincare Holdings LLCとの企業結合により、のれんが増加しています。詳細は注記「8.企業結合」を参照ください。
3 Drunk ElephantおよびDr. Dennis Gross Skincareの商標権は米州事業資金生成単位に含めて減損テストを実施しています。
各資金生成単位へ配分した主なのれん及び耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額は、(2)重要なのれん及び無形資産に記載したとおりです。耐用年数を確定できない無形資産の主な内容はブランド等の商標権であり、事業が継続する限り存続することを見込んでいるため、耐用年数を確定できないと判断し償却を行っていません。
なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産のうち、個別に重要でないものの帳簿価額は前連結会計年度および当連結会計年度でそれぞれ14,570百万円、19,845百万円です。
各事業セグメント資金生成単位の回収可能価額は、割引キャッシュ・フローを用いて見積った使用価値で算定しています。使用価値は、経営者によって承認された5年間の事業計画を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率で現在価値に割り引いて算定しています。事業計画は、業界の将来の趨勢に関する経営者の評価と過去のデータを反映し、販売拡大計画に基づく売上や利益率などの各要素を算定の基礎として、外部情報および内部情報に基づき作成しています。事業計画が対象としている期間を超える期間については、資金生成単位または資金生成単位グループの属する国、産業の状況を勘案して決定した長期市場成長率を用いて予測した税引前キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて、継続価値を算定しています。
重要なのれん及び耐用年数を確定できない無形資産が配分された各資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額の算定に利用した主要な仮定は以下のとおりです。なお、公正価値測定において、当該公正価値ヒエラルキーはレベル3に区分しています。
減損テストに使用した主要な仮定が変更された場合には減損が発生するリスクがあります。
前連結会計年度および当連結会計年度において、各資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額は帳簿価額を十分に上回っており、減損テストに使用した主要な仮定が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、回収可能価額が帳簿価額を下回る可能性は低いと判断しています。
16.非金融資産の減損
当社グループは、減損損失の算定にあたって概ね独立したキャッシュ・インフローを生成させるものとして識別される資産グループの最小単位を基礎としてグルーピングを行っており、事業用資産のうち店舗資産については店舗単位で資産のグルーピングを行っています。
(1)減損損失
当社グループは以下の資産グループについて減損損失を計上しています。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
資生堂アメリカズCorp.が賃借しているオフィスのサブリースによる収益性低下に伴い、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。回収可能価額は使用価値を使用しています。認識した当該減損損失は、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれています。
また、国内子会社において、撤退の意思決定をした店舗の資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、回収可能価額は割引率を6.1%として算出した使用価値を使用しており、零と評価しています。認識した当該減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含まれています。
また、資生堂久喜工場および資生堂ベトナム工場において営むパーソナルケア製品の生産事業譲渡の契約締結に伴い帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しています。認識した当該減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含まれています。
さらに、当社が操業している資生堂大阪工場の生産を資生堂大阪茨木工場に統合することに伴い、一部の事業用資産について資金生成単位を変更し、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、回収可能価額は割引率6.1%として算出した使用価値により測定しています。認識した当該減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」に含まれています。
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
当社が操業している資生堂大阪工場の生産を資生堂大阪茨木工場に統合することに伴い、一部の事業用資産について資金生成単位を変更し、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、回収可能価額は割引率4.7%として算出した使用価値により測定しています。認識した当該減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」に含まれています。
(2)減損損失戻入
当社グループは以下の資産グループについて減損損失戻入を計上しています。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
資生堂大阪工場において、過去に減損損失を認識した製造設備の一部について収益性が回復したため、減損損失を計上しなかった場合の帳簿価額を上限に、減損損失戻入1,145百万円を計上しています。なお、回収可能価額は割引率4.7%として算出した使用価値により測定しています。認識した当該減損損失戻入は、連結損益計算書の「その他の営業収益」に含まれています。
17.持分法で会計処理されている投資
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当社グループにとって重要性がある関連会社は、㈱ファイントゥデイホールディングス(以下「FTH」という。)(所在地:東京都港区)であり、主としてパーソナルケア事業を行っています。
所有持分割合は、20.1%です。
FTHの要約連結財務情報および同社に対する当社グループの持分の帳簿価額との調整表は以下のとおりです。
上記の他、前連結会計年度においては、株式の一部譲渡等により発生した利益738百万円を認識しており、連結損益計算書上の「持分法による投資利益」に含めて表示しています。
前連結会計年度において、FTHから受け取った配当金はありません。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
中間連結会計期間において、FTHの全株式を譲渡したことにより、持分法適用の範囲から除外しています。そのため、当社グループにとって、個々に重要性がある関連会社に対する投資はありません。なお、当社は、当該譲渡に先立ちFTHより別途配当金を受領し、同社に対する投資の帳簿価額を減額しています。
当社グループにとって、個々には重要性のない関連会社に対する投資の帳簿価額は以下のとおりです。
個々には重要性のない関連会社の当期利益、その他の包括利益および当期包括利益に対する持分は以下のとおりです。
(注) 中間連結会計期間にFTHの全株式を譲渡したことにより、当連結会計年度においては、FTHの全株式譲渡直前までの当期利益およびその他の包括利益を個々には重要性のない関連会社に含めています。
18.法人所得税
繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳および増減は以下のとおりです。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除の金額は以下のとおりです。なお、税額ベースで表示しています。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金および繰越税額控除の失効予定は以下のとおりです。なお、税額ベースで表示しています。
繰延税金負債を認識していない子会社等に対する投資に係る将来加算一時差異の合計額は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ98,458百万円および111,401百万円です。これらは当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高いことから、繰延税金負債を認識していません。
法人所得税費用の内訳は以下のとおりです。
当期税金費用には第2の柱モデルルールに関連して見積り計上した上乗せ課税が含まれています。上乗せ課税は当連結会計年度において193百万円です。
法定実効税率と平均実際負担税率との差異要因は以下のとおりです。
当社グループは、主に法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎として計算した法定実効税率は前連結会計年度および当連結会計年度ともに31.0%です。ただし、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されています。
19.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は以下のとおりです。
営業債務及びその他の債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
20.社債及び借入金
社債及び借入金の内訳は以下のとおりです。
(注) 1 平均利率については、当連結会計年度の期末残高に対する加重平均利率を記載しています。
2 社債及び借入金は償却原価で測定する金融負債に分類しています。
社債の発行条件の要約は以下のとおりです。
(注) ( )内書は、1年以内の償還予定額です。
21.その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は以下のとおりです。
22.リース
当社グループは、主としてオフィスビルおよび小売店舗等の土地、建物等の不動産や金型等の工具、器具及び備品をリースにより賃借しています。
使用権資産の内訳は、以下のとおりです。
使用権資産の増加は、前連結会計年度11,271百万円、当連結会計年度26,823百万円です。
リース負債の満期分析については、注記「36.金融商品 (2) 財務上のリスク管理 ② 流動性リスク管理」に記載しています。
使用権資産に関連する損益は以下のとおりです。
使用権資産の減価償却費、短期リース費用、少額資産リース費用および変動リース料は連結損益計算書上、「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に、リース負債に係る支払利息は「金融費用」に含まれています。
リースに係るキャッシュ・アウトフローは以下のとおりです。
当社グループは、主として建物、土地等を賃貸しています。
23.従業員給付
当社および国内連結子会社は、確定給付制度として企業年金基金制度を、確定拠出制度として確定拠出年金制度または退職金前払制度を設けています。なお、従業員の退職等に際して、支払時に退職給付費用として処理する割増退職金等を支払う場合があります。また、一部の海外連結子会社は、確定給付企業年金制度、退職一時金制度および確定拠出型制度を設けています。なお、確定給付制度は、一般的な投資リスク、利率リスク、インフレリスク等の数理計算上のリスクに晒されています。
積立型の確定給付制度は、当社グループと法的に分離された年金基金により運用されています。この制度は法律に従って最低積立基準額を満たすことが要求されており、積立不足が存在する場合は、定められた期間内に掛金の追加拠出を行うことが要求されています。
同年金基金は当社の指定した所定の方針に基づき制度資産を運用する責任を有しています。
経営改革プラン「ミライシフトNIPPON 2025」に伴い、当連結会計年度において確定給付制度債務が8,039百万円、制度資産が6,866百万円、それぞれ減少し、その差額を清算益として純損益に認識しています。当連結会計年度において純損益に認識された清算益は1,173百万円であり、連結損益計算書において、「その他の営業収益」に含めて表示しています。
確定給付制度債務および制度資産と連結財政状態計算書に計上された確定給付負債および資産の純額との関係は以下のとおりです。
確定給付制度債務の現在価値の増減は以下のとおりです。
当社グループの確定給付制度債務の主要な部分を占める当社および主な国内子会社の給付制度について、確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、前連結会計年度および当連結会計年度においてそれぞれ13.8年および13.3年です。
制度資産の公正価値の増減は以下のとおりです。
当社グループは、翌連結会計年度に5,983百万円の掛金を拠出する予定です。
制度資産の主な項目ごとの内訳は以下のとおりです。
(注) 資本性金融商品の合同運用信託は、前連結会計年度において約10%を国内株式、約90%を外国株式に、当連結会計年度において約10%を国内株式、約90%を外国株式に投資しています。
負債性金融商品の合同運用信託は、前連結会計年度において約10%を国内債券、約90%を外国債券に、当連結会計年度において約10%を国内債券、約90%を外国債券に投資しています。
オルタナティブには、ヘッジファンド等が含まれています。
当社グループの制度資産の運用方針は、社内規定に従い、将来にわたる確定給付制度債務の支払を確実に行うために、中長期的に安定的な収益を確保することを目的としています。具体的には、毎年度定める許容リスクの範囲内で目標収益率および投資資産別の資産構成割合を設定し、その割合を維持することにより運用を行います。また、資産構成割合は必要に応じて見直すものとしています。
当社グループの確定給付制度債務の主要な部分を占める当社および主な国内子会社の給付制度について、数理計算に用いた主な仮定は以下のとおりです。
死亡率は、数理計算上の仮定に一般的に使用される、公表された生命表や死亡率等を基礎として決定しています。
当社グループの確定給付制度債務の主要な部分を占める当社および主な国内子会社の給付制度について、数理計算に用いた割引率が0.5%変動した場合に、確定給付制度債務の現在価値に与える影響は以下のとおりです。この分析は、他のすべての変数が一定であると仮定していますが、実際には他の仮定の変化が感応度分析に影響する可能性があります。
確定拠出制度に関して費用として認識した金額は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ4,789百万円および5,568百万円です。
24.引当金
引当金の内訳および増減は以下のとおりです。
引当金の連結財政状態計算書における内訳は以下のとおりです。
資産除去債務には、当社グループが使用する賃借事務所・建物等に対する原状回復義務に備え、過去の原状回復実績に基づき将来支払うと見込まれる金額を計上しています。これらの費用は、事務所等に施した内部造作の耐用年数を考慮して決定した使用見込期間経過後に支払われると見込んでいますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
構造改革引当金には、事業ポートフォリオの再構築を中心とした構造改革によって生じた将来支払うと見込まれる金額を計上しています。これらの費用の支払時期は、将来の事業計画等により影響を受けます。
その他の引当金は、主に訴訟リスク、製品保証リスク等に関わる費用の発生による損失に備えるための引当金が含まれています。これらの費用の支払時期は、主に連結会計年度末から1年以内と見込まれます。
25.その他の負債
その他の負債の内訳は以下のとおりです。
26.資本及びその他の資本項目
授権株式数および発行済株式総数の増減は以下のとおりです。
(注) 当社の発行する株式は、すべて権利内容に何ら限定のない無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済みとなっています。
自己株式数の増減は以下のとおりです。
(注) 期中増減の主な要因は、ストックオプションの権利行使、長期インセンティブ型報酬としての業績連動型株式報酬制度に基づく処分、取締役会決議による取得および単元未満株式の買取または買増請求によるものです。
日本における会社法(以下「会社法」という。)では、株式の発行に対しての払込みまたは給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されています。また、会社法では、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
また、当社はストックオプション制度およびパフォーマンス・シェア・ユニット制度を採用しており、持分決済型の株式に基づく報酬として会計処理される部分を資本剰余金として認識しています。契約条件および金額等は、注記「35.株式に基づく報酬」に記載しています。
外貨建で作成された在外営業活動体の換算から生じる換算差額です。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の評価差額です。
キャッシュ・フロー・ヘッジに係るヘッジ手段の公正価値の変動から生じた利得または損失のうち、ヘッジ有効部分の累計額です。
期首時点の数理計算上の仮定と実際の結果との差異による影響額、数理計算上の仮定の変更による影響額および制度資産に係る収益の変動額です。
会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金および利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金または利益準備金として積み立てることが規定されています。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
27.配当金
配当金の支払額は以下のとおりです。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) 2023年3月24日 定時株主総会決議による1株当たり配当額には創業150周年記念配当50円が含まれています。
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは以下のとおりです。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
28.売上高
(1) 契約残高
当社グループにおける契約残高の内訳は以下のとおりです。
契約負債は、主に顧客へポイントを付与するカスタマー・ロイヤリティ・プログラムに関連する前受価格を認識したものです。
連結財政状態計算書において、受取手形および売掛金は「営業債権及びその他の債権」、「その他の金融資産(非流動)」に、契約負債は「その他の流動負債」に含まれています。
前連結会計年度および当連結会計年度の期首現在の契約負債残高は、それぞれ概ね前連結会計年度および当連結会計年度の収益として認識しています。
なお、前連結会計年度および当連結会計年度において、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
当社グループにおいては、個別の予想契約期間が1年を超える重要な取引がないため、実務上の便法を使用し、残存履行義務に関する情報の記載を省略しています。また、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
前連結会計年度および当連結会計年度において、顧客との契約の獲得または履行のためのコストから認識した資産の額に重要性はありません。なお、認識すべき資産の償却期間が1年以内である場合には、実務上の便法を使用し、契約の獲得の増分コストを発生時に費用として認識しています。
29.費用の性質別内訳
売上原価および販売費及び一般管理費の性質別内訳は、以下のとおりです。
30.その他の営業収益および営業費用
その他の営業収益の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度および当連結会計年度における固定資産売却益は主に不動産売却に係るものです。
当連結会計年度における減損損失戻入の詳細は、注記「7. 事業セグメント (3) セグメント収益および業績」および「16. 非金融資産の減損 (2) 減損損失戻入」に記載しています。
前連結会計年度における事業譲渡益の詳細は、注記「7. 事業セグメント (3) セグメント収益および業績」および「37. 主要な子会社」に記載しています。
当連結会計年度における退職給付制度清算益の詳細は、注記「23. 従業員給付」に記載しています。
その他の営業費用の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度における事業譲渡損の詳細は、注記「7. 事業セグメント (3) セグメント収益および業績」および「37. 主要な子会社」に記載しています。
31.金融収益及び金融費用
金融収益の内訳は以下のとおりです。
金融費用の内訳は以下のとおりです。
支払利息のうち償却原価で測定する金融負債の金額は、デリバティブから生じるキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金から純損益に振り替えた金額を含みます(注記「36.金融商品」参照)。
32.その他の包括利益
その他の包括利益の各項目別の当期発生額および純損益への組替調整額、ならびに税効果の影響は以下のとおりです。
33.1株当たり利益
当連結会計年度において、希薄化性潜在的普通株式が195千株相当ありますが、逆希薄化効果を有するため、希薄化後1株当たり当期損失の計算から除外しています。
34.キャッシュ・フロー情報
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) リース負債における「その他」の金額は、主に条件変更による対価の見直しに伴う減少額です。
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) リース負債における「その他」の金額は、主に条件変更による対価の見直しに伴う減少額です。
新たに計上したリース取引に係る資産の額は次のとおりです。
(3) 子会社に対する支配の喪失
子会社に対する支配の喪失の詳細は、注記「37.主要な子会社」に記載しています。
35.株式に基づく報酬
当社は、ストックオプション制度を採用しています。ストックオプションは、企業価値向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、当社または当社の子会社の取締役、執行役員に対して付与されています。当社が発行するストックオプションは、すべて持分決済型株式報酬です。行使期間は割当契約に定められており、その期間内に行使されない場合は、当該オプションは失効いたします。なお、当社は2019年12月期より業績連動型報酬を導入したことにより、ストックオプションの新たな発行は行わないこととしています。
当社が発行しているストックオプションの内容は、以下のとおりです。
・権利確定条件:付与日以降権利確定日(権利行使期間開始日の前日)までの継続勤務(権利行使時においても当社の取締役または執行役員の地位にあることを要す。ただし、任期満了による退任、定年退職その他正当な理由のある場合にはこの限りでない。)
・権利行使期間:付与日から3年経過した日の属する月の1日から12年間(2011年度~2014年度付与分)または、2年6ヶ月経過した日の属する月の1日から12年6ヶ月間(2015年度~2018年度付与分)
(注) ストックオプション制度の詳細な内容は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況、(2) 新株予約権等の状況、① ストックオプション制度の内容」において記載しています。
(注) 1 期中に行使されたストックオプションの権利行使時点の加重平均株価は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ6,091円および4,096円です。
2 期末時点で未行使のストックオプションの行使価格は、前連結会計年度および当連結会計年度において、ともに1円です。
3 期末時点で未行使のストックオプションの加重平均残存契約年数は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ7.0年および6.2年です。
当社は2019年12月期よりストックオプションの新たな発行は行っておらず、また発行済みのストックオプションについても2021年12月期までに権利確定が終了しているため、前連結会計年度、当連結会計年度ともに費用は発生していません。
当社は、予め定めた複数の評価指標の達成率等に応じて当社株式または金銭を支給するパフォーマンス・シェア・ユニット制度を採用しています。当該制度は、長期的な企業価値の創造と維持に対する効果的なインセンティブの設定と、株主との持続的な利益意識の共有を目的としたものです。
当社は、年度ごとに各支給対象者(執行役、エグゼクティブオフィサー、従業員)に基準となる株式ユニット(1ユニット=1株)を付与し、予め支給対象年度を含む3事業年度を評価対象期間とする複数の評価指標を定めています。また、評価対象期間終了後に各評価指標の達成率に応じて変動幅50%~150%の範囲で支給率を算出します。この支給率に応じて株式ユニット数を増減させたうえで、当該株式ユニット数に応じた数の当社の普通株式交付のための金銭報酬債権と金銭を支給対象者に支給し、このうち当該金銭報酬債権の全部を現物出資させることで、各支給対象者に当社普通株式を交付します。
期中に付与された当社株式の公正価値は、付与日の株価を基礎として算定しています。
期中に付与された株式ユニット数および公正価値は次のとおりです。
連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれている株式報酬費用計上額は、以下のとおりです。
株式に基づく報酬取引から生じた負債の総額は以下のとおりです。
36.金融商品
当社グループは、持続的な成長と企業価値を最大化することを実現するために、株主資本の水準保持に努めるとともに資本効率を向上させることを資本管理の基本方針としています。
当社グループが資本管理において用いる主な指標はネットデット・EBITDA・レシオ、ネットデット・エクイティ・レシオ、ROE(親会社所有者帰属持分利益率)、ROIC(投下資本利益率)です。
当社グループのネットデット・EBITDA・レシオ、ネットデット・エクイティ・レシオ、ROE(親会社所有者帰属持分利益率)、ROIC(投下資本利益率)は以下のとおりです。
(注) 1 (有利子負債(リース負債を除く)-現金及び現金同等物-3ヶ月超の預金)/EBITDA
EBITDA=コア営業利益+減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)及び償却費
2 (有利子負債(リース負債を除く)-現金及び現金同等物-3ヶ月超の預金)/親会社の所有者に帰属する持分
3 親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均)
4 前連結会計年度については旧定義、当連結会計年度については新定義にて計算しています。
旧定義:コア営業利益×(1-税率)/(有利子負債(リース負債を除く期首・期末平均)+親会社の所有者に帰属する持分
(期首・期末平均))
新定義:営業利益×(1-税率※)/(有利子負債(リース負債を含む期首・期末平均)+親会社の所有者に帰属する持分
(期首・期末平均))
※当連結会計年度は法定実効税率を使用
なお、当社グループが適用を受ける重要な自己資本規制(会社法等の一般的な規制を除く)はありません。
当社グループは、経営活動を行う過程において、財務上のリスク(信用リスク・流動性リスク・市場リスク)に晒されており、当該財務上のリスクを軽減するために、一定の方針に基づきリスク管理を行っています。資金運用については短期的な預金や有価証券等に限定し、また、資金調達については銀行借入、コマーシャル・ペーパーおよび社債等による方針です。デリバティブは、外貨建債権債務の為替変動リスクや借入金の金利変動リスクを回避するために、債権債務残高および実需の範囲内でのみ利用することとしており、投機的な取引は行わない方針です。デリバティブ取引の執行管理については、取引権限を定めた社内規程に従って行っています。
信用リスクは、保有する金融資産の相手先が契約上の債務に関して債務不履行になり、当社グループに財務上の損失を発生させるリスクです。信用リスクは、主に当社グループの顧客に対する債権、貸付金、およびデリバティブから生じます。
当社グループは、取引先ごとの期日管理および残高管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制としています。なお、当社グループは、特定の相手先またはその相手先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクを有していません。
デリバティブ取引の利用にあたっては、カウンター・パーティー・リスクがありますが、当該リスクを軽減するために、信用度の高い金融機関等とのみ取引を行っています。
連結財務諸表に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額は、獲得した担保の評価額を考慮に入れない、当社グループの金融資産の信用リスクに係るエクスポージャーの最大値です。
営業債権および長期貸付金に係る損失評価引当金の増減は以下のとおりです。
当連結会計年度において直接償却した金融資産のうち、回収活動を継続しているものはありません。長期貸付金はプレステージメイクアップ3ブランドの譲渡に伴い取得したセラーノートであり、償却原価で測定する金融資産に分類しています。当連結会計年度において信用リスクが増大したことから損失評価引当金を計上しています。
営業債権の帳簿価額、これらに対する損失評価引当金の期日別分析は以下のとおりです。なお、営業債権以外の金融資産については重要な期日経過はなく、営業債権および長期貸付金以外の金融資産については重要な信用リスク・エクスポージャーを有するものはありません。
前連結会計年度 (2023年12月31日)
当連結会計年度 (2024年12月31日)
流動性リスクは、当社グループが期限の到来した金融負債の返済義務を履行するにあたり、支払期日にその支払を実行できなくなるリスクです。
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めています。資金運用については、短期的な預金や有価証券等に限定して行っています。
また、当社グループでは、月次に資金繰り計画表を作成・更新することなどにより、流動性リスクを管理しています。
金融負債(デリバティブ金融商品を含む)の期日別残高は以下のとおりです。なお、下記以外の流動負債に含まれる金融負債の支払期日は、すべて1年以内であり、帳簿残高と契約上のキャッシュ・フローが一致しているため下表に含めていません。
前連結会計年度 (2023年12月31日)
(注) 1 デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しています。
2 上記負債金額は、流動負債と非流動負債の合計金額で表示しています。
当連結会計年度 (2024年12月31日)
(注) 1 デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しています。
2 上記負債金額は、流動負債と非流動負債の合計金額で表示しています。
当社グループは、事業活動を行う上で為替変動、金利変動等の市場の変動に伴うリスクに晒されており、当該市場リスクを適切に管理する目的で主に為替予約、通貨スワップ、金利スワップ等のデリバティブ取引を利用することがあります。デリバティブ取引の執行・管理については、取引権限を定めた社内規程に従っています。当社グループでは投機目的でのデリバティブ利用は行わない方針です。したがって、当社が保有するデリバティブの公正価値の変動は原則として、対応する取引の公正価値の変動またはキャッシュ・フローの変動を相殺する効果を有しています。
当社グループは、グローバルに事業展開を行っており、主に外貨建取引より発生する外貨建の債権債務について、為替相場の変動によるリスクに晒されています。外貨建の取引については、デリバティブ取引(為替予約や通貨オプション取引)により為替変動リスクをヘッジすることにしており、経営成績に与える影響を軽減しています。
当社グループが各連結年度末において保有する外貨建債権債務において、主要な外貨である米ドル、ユーロおよび中国元に係る為替変動リスクのエクスポージャー(純額)は、以下のとおりです。なお、デリバティブ取引により為替変動リスクがヘッジされている金額は除いています。
当社グループが各連結会計年度末において保有する外貨建債権債務において、日本円が10%円高になった場合の連結損益計算書の税引前利益に与える影響は、以下のとおりです。
本分析は、機能通貨建の金融商品、および在外営業活動体の資産及び負債、収益及び費用を円貨に換算する際の影響は含んでいません。また、算定に使用した各通貨以外の通貨は変動しないことを前提としています。
当社グループは、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されています。有利子負債のうち、短期借入金およびコマーシャル・ペーパーは主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金、社債およびリース負債は主に投融資、設備投資および営業取引に係る資金調達です。変動金利の借入金は金利の変動リスクに晒されていますが、必要に応じて個別契約ごとに金利スワップ取引等のデリバティブ取引を用いて金利変動リスクをヘッジしています。そのため、当社グループにおける金利変動リスクに対するエクスポージャーは限定的であり、金利変動に対する影響は軽微であると判断しています。
公正価値で測定する金融商品について、測定に用いたインプットの観察可能性および重要性に応じた公正価値測定額を、レベル1からレベル3まで分類しています。
レベル1:活発な市場における同一の資産又は負債の市場価格(無調整)
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接又は間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法から算出された公正価値
金融商品の公正価値の算定方法は以下のとおりです。
(現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務)
短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額に基づいています。
(その他の金融資産、その他の金融負債)
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産および純損益を通じて公正価値で測定する金融資産のうち、上場株式は、期末日の市場価格により算定しています。非上場株式および出資金は、割引将来キャッシュ・フロー法等により算定しています。
償却原価で測定するその他の金融資産は、主に長期貸付金、敷金及び差入保証金です。また、償却原価で測定するその他の金融負債は、主に長期未払金です。長期貸付金の公正価値については、信用リスクが増大したため、当連結会計年度において将来キャッシュ・フローを現在の市場利子等で割り引いた現在価値からエクイティボラティリティ、リスクフリーレート等をインプットとしたオプションプライシングモデルを用いた測定へ評価技法を変更しています。敷金及び差入保証金ならびに長期未払金の公正価値については将来キャッシュ・フローを現在の市場利子等で割り引いた現在価値により算定しています。なお、短期間で決済される償却原価で測定する金融資産、金融負債については、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額に基づいています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産または金融負債であるデリバティブのうち、為替予約および金利スワップについては、取引先金融機関から提示された先物為替相場または会計期間末日の金利スワップの利率等に基づいて算定しています。持分法で会計処理されている投資に係る売建コール・オプション負債は、対象となる株式の公正価値や満期までの期間、ボラティリティ等に基づき、二項モデルによって算定しています。
(社債及び借入金)
短期借入金は、短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額に基づいています。
長期借入金のうち変動金利によるものは、短期間で市場金利が反映されるため、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額に基づいています。
長期借入金のうち固定金利によるものは、将来キャッシュ・フローを新規に同様の契約を実行した場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しています。
社債は、市場価格等に基づいて算定しています。
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額と公正価値は以下のとおりです。なお、公正価値と帳簿価額が極めて近似している金融商品については、以下の表に含めていません。
(注) 敷金及び差入保証金の公正価値ヒエラルキーのレベルは2に区分しています。長期貸付金の公正価値ヒエラルキーのレベルは3に区分しています。
公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは以下のとおりです。
前連結会計年度 (2023年12月31日)
当連結会計年度 (2024年12月31日)
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、振替を生じさせた事象または状況の変化が生じた日に認識しています。前連結会計年度および当連結会計年度において、公正価値レベル1とレベル2の間の振替は行っていません。
レベル3に分類された金融商品は主に非上場株式、出資金および持分法で会計処理されている投資に係る売建コール・オプション負債です。非上場株式と出資金については割引将来キャッシュ・フロー法等を用いて算定しています。持分法で会計処理されている投資に係る売建コール・オプション負債は、対象となる株式の公正価値や満期までの期間、ボラティリティ等のインプットを用いて、二項モデルに基づき算定しています。
レベル3に分類された金融商品については、グループ会計方針および会計指針に従い、対象となる金融商品の性質、特徴およびリスクを適切に反映できる評価技法およびキャッシュ・フロー等のインプットを用いて測定し、担当部門の担当者が評価および評価結果の分析を実施しています。評価結果は担当部門の責任者によりレビューされ承認されています。
レベル3に分類した金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合に著しい公正価値の増減は見込まれていません。
レベル3に分類された金融商品の期首から期末までの変動は以下のとおりです。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 1 連結損益計算書の「金融収益」および「金融費用」に含まれています。各期末日現在で保有している純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関連する未実現損益の変動に起因する額は、前連結会計年度408百万円、当連結会計年度△64百万円です。前連結会計年度末現在で保有していた純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に関連する未実現損益の変動に起因する額は、515百万円です。
2 連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に含まれています。
3 当連結会計年度に認識されたレベル3からの振替は、投資先が取引所に上場したことによるものです。
当社グループでは、デリバティブとして外貨建債権債務や確実に発生すると見込まれる予定取引による外貨建債権債務に係る為替の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした為替予約取引や通貨オプション取引、借入金に係る支払金利の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした金利スワップ取引、ならびに外貨建借入金に係る為替の変動リスクおよび支払金利の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした金利通貨スワップ取引を実施しています。このうち、ヘッジ会計の要件を満たしている金利スワップ取引をキャッシュ・フロー・ヘッジに指定してヘッジ会計を適用しています。
ヘッジ会計の適用にあたっては、ヘッジ期間にわたりヘッジ関係の高い有効性を保つため、原則としてヘッジ手段とヘッジ対象の想定元本、期間(満期)および金利基礎数値は一致させています。また、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係に基づいて適切なヘッジ比率を設定しており、原則として1対1の関係となるよう設定しています。
ヘッジ手段およびヘッジ対象として指定した項目に関して、前連結会計年度末および当連結会計年度末において、該当事項はありません。
ヘッジ会計の適用による連結損益計算書およびその他の包括利益への影響(税効果考慮前)は以下のとおりです。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
該当事項はありません。
37.主要な子会社
当連結会計年度末の主要な子会社の状況は、「第1 企業の概況 4.関係会社の状況」において記載のとおりです。
前連結会計年度末と比べ、子会社は4社増加、2社減少しています。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(パーソナルケア製品の生産事業譲渡に伴う会社分割および承継会社の株式譲渡、出資持分の譲渡)
当社は、2023年4月1日付けで資生堂久喜工場において営むパーソナルケア製品の生産事業を、当社から会社分割(吸収分割)により㈱ファイントゥデイインダストリーズ(以下「FTI」という。)に承継させ、FTIの全株式をFTHに譲渡しました。
また、2023年12月1日付けで当社の子会社でベトナム工場を運営する資生堂ベトナムInc.(以下「SVI」という。)の出資持分のすべてをFTHに譲渡しました。
これらの会社分割および株式譲渡は、2022年8月1日に当社および㈱Asian Personal Care Holding(現、FTH)との間で締結された譲渡契約書に基づき行われています。
以下、2023年に実行した対象事業の譲渡の内容となります。
(注) 正味運転資本の減少等を調整した後の金額です。未収入金は受取対価のうち前連結会計年度末日時点で未入金の金額です。
前連結会計年度においてFTI株式およびSVI出資持分の支配の喪失に伴い認識した損失は7,767百万円であり、連結損益計算書上、「その他の営業費用」に含まれています。当該譲渡は持分法で会計処理する投資先に対するものですが、支配の喪失であるため事業譲渡損は全額を認識しています。
また、前連結会計年度において計上している「持分法による投資利益」には、当該事業譲渡から生じた金額1,730百万円が含まれています。
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
該当事項はありません。
38.関連当事者
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
中間連結会計期間まで持分法適用会社であったFTHより当社グループが受け取った配当金は3,616百万円であり、同社に対する投資の帳簿価額を減額しています。本取引に係る未決済残高はありません。なお、同社の保有株式のすべてを売却したことで、当連結会計年度末において、同社は関連当事者に該当しなくなりました。当該株式譲渡の取引の詳細については、注記「17. 持分法で会計処理されている投資」に記載しています。
主要な経営幹部に対する報酬は、以下のとおりです。
(注)主要な経営幹部は、当社の取締役、執行役、各リージョンCEOおよび当社グループの重要な意思決定に常に関与するエグゼクティブオフィサーです。
39.コミットメント
決算日以降の支出に関するコミットメントは以下のとおりです。
上記のほか、前連結会計年度末および当連結会計年度において、まだ使用を開始していない契約済みのリース取引はありません。
(注) 当社グループでは、各期末日時点において、契約総額が確定しているシステム開発、運用・保守の一括契約のうち一部は、具体的な支出の対価が未確定であるため、契約残高を開示しています。
そのため、当該金額には、将来の期間において費用として認識される金額が含まれています。
40.後発事象
該当事項はありません。