(1) 経営の基本方針
”さらなる利益ある成長”を実現し、企業価値向上を継続的に創造し続ける、輝く企業を目指します。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、”さらなる利益ある成長”を実現するため、成長性、収益性及び現金収支の重要性を鑑み、売上収益、EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)、フリーキャッシュフロー(FCF)を重視する経営管理を行っております。
(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等
当社グループは、新しい経営陣のもと2025年12月期から2029年12月期までの5か年を対象期間とした中期経営計画を策定いたしました。当中期経営計画期間における当社グループを取り巻く事業環境は、存在感を増す中国及びインド系プレイヤーにより厳しい価格競争に直面することが予想されます。マクロ面では、欧州経済は引き続き弱含みであり回復に時間がかかることが見込まれます。また、米国新政権による更なる関税強化や米国内のインフレが加速する可能性が懸念され、マクロ経済環境の変化が加速することが予想されます。このような事業環境の中、当社グループが再び高収益体質を取り戻すためには、事業・コスト構造の大幅な変換とキャッシュの創出が不可欠であると認識しております。当中期経営計画では、グローバルフットプリントの見直しや生産性の改善を主軸にコスト競争力を強化し、成長セグメントの再定義と集中した経営資源投下により収益性を改善するとともに、債権・債務及び在庫水準の最適化を徹底し、キャッシュを創出する体質を構築します。当中期経営計画における2029年12月期の目標指標は売上収益870億円、営業利益100億円であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、3つの大陸(アジア、欧州及び米州)で事業を展開する製造企業であり、お客さまに役立つこと、そして従業員が仕事への意欲を感じ、利用可能な資源を大切にできる作業環境と、当社グループが本当の意味で持続可能な未来に寄与するために毎日自らの役割を果たす環境を創造することに強くコミットしております。
世界的に社会、産業、技術及びライフスタイルの変化が進む中で、当社グループはサステナビリティについて以下を企業価値実現の基礎と考えております。
・経済的繁栄と、全ての人が平等で公平な権利、義務、均等な機会を有する健康的、安全で、自然環境への負荷低減を同時に達成する。
・当社グループのビジョンの中で、全体的な意味でのゼロインパクトが全ての基本。
・私たちにとってのビジョンゼロとは、事故ゼロ、人や環境への被害ゼロだけでなく、不平等ゼロ、知識不足ゼロでもある。(すなわち、全ての従業員に平等な機会があることを意味する)
(1) ガバナンス
当社グループは、環境に責任を持ち、倫理に配慮した企業として成長し続けることを目指し、独自の統合コーポレート・ガバナンスシステム、組織、プロセス、製品、サービスを継続的に改善してまいります。また、当社グループは持続可能で収益性の高い成長、ステークホルダーへの配慮、及び当社グループのビジョンゼロのアプローチ(事故ゼロ、職業病ゼロ、廃棄物ゼロ、不平等ゼロ、知識不足ゼロ)をはじめ、透明性のある優れたガバナンスへのコミットメントを改めて誓います。
当社グループのビジョンは、お客さまと全てのステークホルダーのニーズに重点を置き、持続可能で管理された参加型プロセスを通じ高品質で高精度のコンポーネントのリーディングメーカーとしての地位を維持すること、及び全ての悪影響をグローバルに防止することです。ステークホルダーの期待の特定、要件とニーズの分析、達成可能な挑戦的で測定可能な目標の設定、明確な時間設定とリソースの設定を、継続的かつ持続可能な改善(人、地球、繁栄)に向けて当社グループを導く指針として、当社グループが社会に期待される役割を確実に果たす助けになるよう、従来のシステムを統合し、統合したコーポレート・ガバナンスシステムを国際的に認知されている基準と整合させていかなければなりません。特に当社グループは、法令、規制、組織及び顧客の要件に完全に準拠した安全で衛生的な労働条件の提供、環境の尊重、利用可能な天然資源の責任ある使用とともに、製品、サービス、環境、従業員に関連するリスクアセスメントの実施、目標設定とパフォーマンス測定、並びに従業員とその代表者の積極的な参加奨励にコミットしております。
サステナビリティコミッティは、当社グループの事業及び全てのステークホルダーとのエンゲージメント、当社グループのコーポレート・ガバナンス、並びに、中期経営戦略や事業計画を作成する際に想定されるシナリオのレビューに関連する環境、社会、ガバナンス上の課題のアセスメント及び意思決定のプロセスにおいて、長期的な価値の創出に関連する重要事項の分析もふまえ、準備、協議及び諮問の役割を果たすことにより、GLT(Global Leadership Team)を補佐する責任を負っています。GLT(Global Leadership Team)等を含めたコーポレートガバナンスの状況は、
サステナビリティコミッティは、原則として次の3つの方向について並行して取り組んでおります。

① Governance
・サステナビリティの方針、戦略、グローバル・サステナビリティ・システム、及び持続可能なビジネスの原則に基づいたプログラムを設計、更新、レビューします。これは、参照シナリオの進化や、倫理、気候変動問題を考慮した環境保護、事業を展開する地域の社会経済的進歩、人権の保護、全ての人の格差の拡大と待遇の平等等を考慮し、機会を特定し、長期的にも価値を創造します。
・非財務諸表(ESG レポート)の全体的なレイアウトとその内容の明確化、及び同文書で提供され、この評価の結果を伝える情報の完全性と透明性を確認します。サステナビリティコミッティは、GLT(Global Leadership Team)に対し、定期的な非財務情報がビジネスモデル、会社の戦略、活動の影響及び業績を正確に表していることを確認するよう求めております。
・GLT(Global Leadership Team)によって承認された、より広い意味での持続可能性のビジョン、使命、及び管理原則の実施を監視し、ステークホルダーとの関わり活動の一環として、会社が生み出すステークホルダーの価値を決定するために必要な行動を提案いたします。測定モデルの定義と採用に貢献します。
・ESG格付け機関との関係及びサステナビリティ指標への参加及び組み入れを考慮した当社グループの位置付けを監視します。
・当社及びグループのコーポレート・ガバナンスシステムが法律、企業倫理規定に含まれる推奨事項、及び国内外のベストプラクティスに準拠していることを確認します。
・当社グループが必要または適切と判断した場合、当社グループのコーポレート・ガバナンス体制及び当社グループの株式保有構造の改善案を策定します。
・長期価値の創造のための重要な課題の分析に基づいて、当社グループの中期計画を作成するためのシナリオとガイドラインを検討し、GLT(Global Leadership Team)に意見を表明します。
② ものづくり
・サステナビリティの哲学(地球、人々、利益)と当社グループのグローバル・サステナビリティ・システムを完全に受け入れ、責任を持って資源を使用し、コストを最適化し、環境への影響を削減する機会を特定します。
・当社グループの工場の環境への影響を削減するために、グローバル・サステナビリティ・システムに従って、グローバル目標及びT3/T4手順、指示、及びフォームの設定を通じて持続可能な開発計画を定義します。この計画は、2030年と2050年のカーボンニュートラル目標の達成に重点を置き、脱炭素化して工場の環境への影響を最小限に抑えるためのさまざまな機会を提供します。
・環境への影響を収益的に削減するための措置を開発及び監視します。
③ コミュニケーション
・ガイドラインを定義し、サステナビリティに関するコミュニケーション戦略、ツール、キャンペーンを準備します。
(2) リスク管理
リスク管理とは、当社グループに影響を与える可能性のあるあらゆる種類のリスク(財務、投資家関連、法律、戦略、安全、環境、サプライチェーン、市場、品質、製造、セキュリティなど)を特定、評価、制御するプロセスです。これらのリスクはさまざまな原因から発生する可能性があります。リスクを軽減するには、あらゆる組織と同様に、会社もリソースを適用して、ポジティブなイベントを最大化しながら、ネガティブなイベントの影響を最小限に抑え、監視し、制御する必要があります。
当社グループのリスク管理に対するアプローチは、一貫性があり、体系的で、統合されています。これは、重大なリスクを特定、管理、軽減する最適な方法を決定するのに有用なためです。国際規格ISO31000で報告されている原則とガイドラインに従っている統合管理システムの重要な部分です。
当社グループのリスク管理に対するアプローチは次のとおりです。
・トップダウン方式:「VUCA&リスク管理」により、主要リスクをGLT(Global Leadership Team)が直接特定し、管理する。
・ボトムアップ方式:グローバル・マネジメント・システムに基づき、リスクの深刻度と発生確率に応じたエスカレーションプロセスを採用する。
当社グループのリスク管理における主な目標は次のとおりです。
・重要な問題について、GLT(Global Leadership Team)、そして(最終的には)取締役会にタイムリーかつ透明性のある通知を提供する。
・潜在的な影響を最小限に抑え、全ての関連する内部及び外部の問題を公正かつ慎重に処理することを保証する。
・組織全体でリスク認識を高め、早期発見を促進する。
リスク管理プロセスでは、IAFT及びJ-SOXの要件に従って、リスク管理委員会(RMC)を招集し、また、リスク管理委員会に通知する必要がある詳細な基準(財務上の影響、潜在的な責任、企業の評判など)を定義します。
(3) 戦略
① 気候変動関連
当社グループは、自社製品のサステナブルな変化を常に留意して運営しております。また、サステナビリティの重要性を受け入れ、科学的根拠のある挑戦的な目標を設定することで、気候変動と向き合い、よりサステナブルな未来と成長に貢献することに積極的に取り組んでおります。GRIとTCFDが提供するガイドラインに従い、CDPにも参加しております。さらに、2024年には、温室効果ガス(GHG)排出削減目標がSBTi(Science Based Targets Initiative)から正式に承認されました。
SBTiによる承認内容は次の通りです。
・当社グループは、2022年を基準年として2030年までにScope1及びScope2のGHG排出量を42%削減することをコミット。また、2023年を基準年としてScope3のGHG排出量を25%削減することをコミットする。
当社グループは、グループ方針において、脱炭素社会に貢献し、2050年までにカーボン・フットプリント・ニュートラルの達成を明確に決意しております。また、高品質な製品を提供するだけでなく、環境への配慮も重要であり、製造及び商流における天然資源の使用は、バリューチェーン全体の環境への影響を軽減することに役立つと考えております。
そのため、当社グループではライフサイクルを考え、環境性能を備えた製品を提供することで、お客様の環境負荷を最小限に抑えるよう努めております。
当社グループでは、1.5℃シナリオを採用し、中長期の目標達成に向けた詳細な道筋を設計しました。当社グループのサステナビリティ戦略は、具体的で一貫した以下の5つの柱に基づいており、それらを工場操業に適合させております。
・工場のエネルギー効率を向上させる
・再生可能エネルギーシステムの導入
・グリーンエネルギー購入戦略
・工場操業度の維持による効率の向上
・工場の電化
当社グループは、当社グループとその事業に対する気候変動のリスク、機会や影響を理解し、特にサステナビリティ戦略の継続と対策を検討するためシナリオ分析を実施しました。期間としては、SBTiの短期目標を達成する2030年と、カーボンニュートラルの達成目標時期の2050年を前提としました。また、シナリオを考慮して、2つの異なる気候変動シナリオ、1.5℃シナリオ(パリ協定によって確立され当社グループ目標と一致するシナリオ)、4℃シナリオ(低炭素及び脱炭素化が促進されず、物理的リスクが増加する)を選択しました。
② 人的資本多様性
当社は現在、企業変革に取り組んでおり、その一環として、Purpose(存在意義)・Vision(ビジョン)・Mission(ミッション)・Values(価値観)の見直しを進めています。この見直しの結果については、2025年に改めて公表する予定です。
また、当社の中期経営計画に沿って、企業変革と改革を推進するための「人材・組織戦略(People and Organization Strategy)」を策定しました。この戦略は、以下の4つの主要な柱を中心に構成されており、これらの領域を横断する取り組みを進行中です。
1.グローバルスケールの活用(Mobilize Global Scale)
グローバルなプロセスの標準化、簡素化、最適化を図るとともに、コラボレーションを促進し、資金や人材リソースを適切に活用することにより、スピードと効率性を加速させます。
2.成長を支えるタレントパワーハウスの構築(Champion Growth as a Talent Powerhouse)
企業の持続的成長を確保するために、社内のリーダーシップパイプラインの育成に投資をしながら、企業ブランドの強化、そして採用力の強化を行います。
3.迅速かつ大規模なスキル向上(Upskill at Speed and Scale)
変化の激しいビジネス環境に対応するために、社員のスキル開発を標準化したり、規模を拡大しながら、従業員のスキル開発を加速させます。
4.高い成果を生む企業文化の醸成(Foster Success through High-Performing Culture)
従業員一人ひとりが、自身のパフォーマンスと潜在能力を最大限に発揮できる環境を整備し、卓越性と持続的な成功を促進する文化を醸成します。
当社は、これらの戦略に基づく各種施策を積極的に実施し、その進捗を測定することで、組織全体の競争力を高めてまいります。また、当社は、多様性・公平性・包括性(DE&I:Diversity, Equity & Inclusion)をビジネスの重要な優先事項として認識し、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境づくりを推進しています。異なる価値観や経験を尊重し、受け入れることで、イノベーションを推進し、組織全体のイノベーション創出と組織の成功を強化することを目指します。
(4) 指標及び目標
① 気候変動関連
当社グループは、下記KPIを設定し、日々監視することにより、自らによるサステナビリティパフォーマンスを測定評価しております。
・CO2排出量(CO2 tons)
GHG プロトコルとISO14064によって提供されるガイドラインを考慮に入れ、Scope1とScope2の総CO2排出量は月次ベースで監視し、算出します。2024年には、市場ベースの方法論を用いてCO2排出量を監視しました。さらに、2024年には、2023年のScope3の間接排出量を全カテゴリーにわたり分析・監視し、2023年に設定した間接排出量のスクリーニングを完了するという目標を達成しました。Scope3の各カテゴリーにおける排出量は、以下のグラフの通りです。
・カーボンフットプリント(CO2 tons/tons)
当社グループの二酸化炭素排出量は、Scope1及びScope2の排出量とトン単位で表される生産量を考慮して計算されます。このKPIは当社グループの工場のサステナビリティを反映するものであります。
・エネルギー消費原単位(MWh/tons)
このKPIはエネルギー消費量と生産量の比率をトン単位で表したもので、当社グループ工場のエネルギー効率を示す指標です。
・グリーンエネルギー比率
この指標は、工場が消費するグリーンエネルギーの量を監視し、グリーンエネルギーの購入と自家発電による電力使用量を適切に設定し、得られる結果を監視するのにも有効です。当社グループは、2040年までに消費電力を100%再生可能源にすることを計画しております。以下のグラフは、継続事業のみの数値です。

* CO2排出量は、Scope1及びScope2に基づき算定しております。上記グラフのCO2排出量は、市場ベースの方法論に基づいた排出量を表示しております。
** カーボンフットプリントは、Scope1及びScope2に基づき算定しております。上記グラフのScope2のカーボンフットプリントは、市場ベースの方法論に基づいた排出量を表示しております。
***グリーンエネルギー比率は、電力供給会社から外部購入したグリーンエネルギー比率(日本/中国)、及び自家発電による電力使用量に基づき算定しております。
以下のグラフは、2023年のScope3におけるCO2排出量を示しています。
2024年の排出量については、各サプライヤー及び顧客からの具体的なデータを収集する必要があるため、2025年第2四半期(Q2 2025)に算出・公表する予定です。なお、以下のグラフには当社グループに直接関係のないScope3の排出カテゴリー(上流リース資産、下流リース資産、フランチャイズ、投資、販売済み製品の使用)は含まれていません。

② 人的資本多様性
当社グループでは、上記の戦略において記載した当社グループのビジョン及びミッションの達成のため、下記の具体的な取り組みやKPIを設定し、進捗を管理しております。
・マネジメント
性別や世代などによる差別を排した組織運営をコミット。当社は、報酬や福利厚生について明確な規程等を定めています。透明性の高い経営を徹底するため、四半期に一度、全従業員とのタウンホール会議を開催し、重要な事業アップデートや戦略的なインサイトを共有しています。当グループの目標は、オープンなコミュニケーションを促進し、従業員エンゲージメントを高め、組織全体で公平に情報が共有される環境を作ることです。
・ダイバーシティ推進のKPI(※日本のみ)
管理職に占める女性労働者の割合(%) 目標 10% (2023年 7.7%)
・研修
人材育成のため、教育研修制度を設け、年々内容を充実させています。
・評価
評価基準を設定し、目標の達成状況、行動や能力に基づいて公正に評価を実施しています。
・従業員満足度調査
2024年度は経営陣の交代を含む変革過渡期にあったため、従業員満足度調査の実施を見送りました。しかし、当社は従業員からのフィードバックを非常に重要視しており、2025年度以降は定期的な調査を再開する予定です。収集された知見・意見は、より魅力的で協力的な働きがいのある職場環境の構築のために役立ててまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
事業展開をしている国内外において、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、製造物責任法、独占禁止法、知的財産権法、外国為替及び外国貿易法等、様々な法規制下にあります。当社グループは、法令遵守を基本としておりますが、万が一当社グループがかかる法的規制に違反した場合には、罰金、業務停止その他の制裁が課され、当社グループの社会的評価及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後さらにその規制が強化された場合、事業活動における影響が懸念され、費用負担増も予想されます。このような規制が行われた場合には、業績などに影響を与える可能性があります。
当社グループは、有利子負債の元利金支払のために、追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の資産の売却先の有無等様々な要因に依存しております。さらに、金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、複数のローン契約を締結しており、当該契約には一定の財務制限条項が付されております。これらの条項に抵触した場合には、借入金の期限前返済義務を負うことがあり、当社グループの財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 原材料の価格の上昇、調達等に伴うリスク
当社グループの事業活動には、原材料及び部品等が適時、適切に納入されることが必要であります。その一部については、原材料及び部品等の特殊性から購入先が限定され、代替品を入手することが困難なものがあります。かかる原材料及び部品等について供給遅延等が生じた場合、又はそれらの購入先との間で取引関係の終了や生産能力の問題が生じた場合、必要な原材料及び部品等が不足すること、又は購入するための費用負担が増加することにより、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。また、世界的な景気や経済情勢の変動等により原材料価格が上昇した場合、製品価格への反映やコストダウンによる吸収を図っておりますが、想定以上の上昇により、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業活動、事業展開に有用なノウハウや製造技術及び特許権、商標権などの知的財産権の取得及び保護に努めております。また、他社の知的財産権に対しても問題が発生しないよう細心の注意を払っております。しかしながら、当社グループのノウハウや製造技術が漏洩したり、他社が当社グループの知的財産権を侵害したりする場合、又は当社グループが意図せず他社の知的財産権を侵害した場合、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、米国、イタリア、ポーランド、スロバキア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イギリス、中国、タイ、インド及び台湾に海外製造拠点を有しております。また、将来において上記以外の海外市場に進出する可能性もあります。しかしながら、これらの海外市場における事業展開には、投下資本の回収が当初の事業計画どおり進まないリスク、生産拠点の統廃合や撤退に伴うリスクのほかに、次のような海外事業展開に共通のリスクがあります。
① 各国の予期しない法律や規制の変更
② 社会・政治及び経済状況の変化又は治安の悪化
③ 輸送の遅延及び電力等のインフラの障害
④ 各種税制の不利な変更又は課税
⑤ 保護貿易諸規制の発動
⑥ 異なる商習慣による取引先の信用リスク等
⑦ 雇用制度及び社会保険制度の違い
⑧ 労働環境の変化や人材確保・教育の困難性
⑨ 知的財産保護の困難性
⑩ 疫病の発生
⑪ 為替リスク
当社グループは、国内外で行う事業活動において、製品の欠陥により第三者が損害を被った場合、当該製品のリコール対応に多大な費用負担を余儀なくされ、又は製造物責任法に基づく民事賠償責任を負う可能性があります。当社グループは、高品質で安全な製品を供給しておりますが、予期しない問題が発生した場合、当社グループの社会的評価が低下するなど、業績などに影響を与える可能性があります。
当社グループの製品の需要は、自動車、電子機器、消費財及び工作機械等の最終製品の需要に左右され、工業生産量の全体的な落ち込み及びこれに伴う最終製品市場の悪化の影響を受ける傾向があり、特に当社の製品は自動車産業の市場悪化の影響を強く受ける傾向があります。また、世界的な経済環境の悪化に起因する各産業セクターにおける生産の減少も、当社グループの製品の需要を減少させ、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
当社グループの製品の大半は、比較的少数の大規模製造業者(特に、精密ボール及び精密ローラーについてはベアリングの製造業者)を主要な顧客としており、当社グループとこれらの主要な顧客との関係が悪化した等の理由により主要な顧客を失った場合には、当社グループの業績などに影響が生じる可能性があります。
セラミック球の製造及び販売は、当社グループの重要な事業戦略の一つでありますが、品質の確保、原材料の入手、素球の生産能力の十分な確保及びセラミック球の採用に関する顧客の承諾・認証プロセス等が当社の想定どおりに進まない場合や、競合製品が登場・拡大した場合又は当社がセラミック球に関する知的財産権を十分に保護できない場合には、当社グループの将来的な業績などに影響が生じる可能性があります。
当社グループは、顧客や市場ニーズに対応した高品質で安全な商品、サービスを提供することに全力を挙げて取り組んでおります。しかしながら、当社グループは他社との競合に晒されており、今後において、技術、品質、価格、在庫量及びマーケティング等に関連して競合他社に対して十分な競争力を確保できない場合には、当社グループの売上が減少する可能性があり、その場合業績などに影響を与える可能性があります。
当社グループは、環境保全活動を重要な経営方針の一つとして、その充実を図っておりますが、環境問題を引き起こし、損害の賠償、生産の停止、社会的評価の低下等の可能性、又は新しい規制への対応による費用負担の増加等により、業績などに影響を与える可能性があります。
当社グループでは、財務報告の信頼性に係る内部統制の構築及び運用を重要な経営課題の一つとして位置づけ、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでおりますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性があります。また、将来にわたって常に有効な内部統制を構築及び運用できる絶対的な保証はなく、さらに、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や、財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
のれんの減損テストについては各資金生成単位で行っており、プレシジョン・コンポーネントビジネスについては主に世界の自動車需要や産業機械需要の動向により影響を受け、ブロア・リアルエステイトビジネスについては主に設備投資関連需要の影響を受ける事となります。プレシジョン・コンポーネントビジネスは比較的広いエンドユーザーを持っており、個々の需要動向の影響が薄まる傾向にありますが、ブロア・リアルエステイトビジネスについては設備投資関連需要への依存度が高い傾向にあります。当社グループが保有しているのれんについて、収益性の低下等に伴い資産価値が減少した場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
当社グループの生産拠点において、地震、風水害、火災等の災害又は事故が発生した場合は、当該事業所を中心に対応組織を稼働させ、被害を最小限にとどめるべく努力をいたしますが、被害状況によっては、又は社会インフラの損壊など予想を超える事態が生じた場合には、当該事業所における生産活動が停止し、製品の出荷が停止若しくは遅延し、又は設備の修理、代替等のため多大な損失・費用を被る可能性があります。また、グローバル規模の感染症及び国内外の電力供給問題等の発生により当社グループの生産能力が悪影響を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
当社グループの事業においては、国内外において専門性の高い熟練した従業員を確保する必要があり、かかる従業員を確保できない場合、当社グループの事業に影響が生じる可能性があります。また、当社グループの経営陣及び幹部従業員が大量に流出した場合にも、当社グループの事業及び業績などに影響が生じる可能性があります。
当社グループは、新しい経営陣のもと2025年12月期から2029年12月期までの5か年を対象期間とした中期経営計画を策定いたしました。当中期経営計画期間における当社グループを取り巻く事業環境は、存在感を増す中国及びインド系プレイヤーにより厳しい価格競争に直面することが予想されます。当該中期経営計画は当社グループのコントロールが及ばない事項を含む、多くの前提に基づいたものとなっております。したがって、当社グループが中期経営計画戦略を成功裏に実施し又は成長目標を達成できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
(19) M&A等に関するリスク
当社グループは、事業における買収、他社への投資、ジョイントベンチャー又はこれらに類似する取引を継続的に検討しており、適切な条件が満たされた場合にはかかる取引を実行します。買収又は類似の投資が当社グループの見込んだ業績及び財務成績を生み出さない場合、当社グループは、追加で財務資源又は経営資源を投入することが必要となる可能性があります。当社グループが買収又は類似の投資について期待された効果を実現することができるか否かは、多数の要素及び仮定に依拠しており、当社グループの拡大戦略が期待された結果を出す保証はなく、また、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼさないという保証はありません。
(20) リニア事業における一部製品の品質検査に関する不適切行為についてのリスク
2024年10月2日、ボールねじ事業(リニア事業)の売却に向けた多岐にわたる調査を実施する過程で、郡山工場で製造しているボールねじの品質検査項目の一部において、測定された数値の改ざんをしている事実が発覚しました。同年10月16日に本件不適切行為に関する事実関係の調査、その他の品質に関わる不正の有無の調査、判明した事実に関する原因分析等を目的として、外部弁護士から構成される特別調査委員会を設置し、2025年2月14日付で「調査報告書」を受領いたしました。これを受け、同年2月17日付で「特別調査委員会からの提言を受けた再発防止策の策定等について」を開示しております。本件不適切行為により、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
(業績等の概要)
当連結会計年度における経済環境は、米国が底堅い個人消費や設備投資により堅調に推移した一方で、欧州はインフレが落ち着きつつあるものの、製造業を取り巻く環境の厳しさに改善は見られず、ユーロ圏経済の停滞につながりました。中国においては、輸出は堅調に推移しましたが、不動産不況が長引き景気の改善に足踏み感が見られます。国内経済は、台風や地震等の自然災害による工場停止や深刻な人手不足、一部自動車メーカーの減産等により一時的に停滞感を強めたものの、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などにより緩やかな回復の動きがみられました。
当社グループの当期の業績は、ボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業を非継続事業に分類したことに伴い、非継続事業を除いた継続事業の数値を中心に報告いたします。
当期の売上収益は、欧州経済の停滞、国内における一部自動車メーカーの減産や、一般産業機器、工作機械の需要回復の遅れ、米国テネシー州で発生したハリケーンの影響による一時的な生産停止等が影響し、円安による増加要因があったものの、前期比1.5%減の75,921百万円となりました。
利益面につきましては、売上の減少や、在庫管理見直しに伴う棚卸評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、コスト改善活動を継続し効果はみられるものの、営業利益は前期比83.8%減の814百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は転換社債及び新株予約権の時価評価額によるデリバティブ評価益及び為替差益により金融収益が前期より1,976百万円増加し、912百万円となりました。
セグメント区分につきましては、従来「プレシジョン・コンポーネントビジネス」「リニアビジネス」を報告セグメントとしておりましたが、リニアビジネスのボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業を非継続事業に分類したことに伴い当期より「プレシジョン・コンポーネントビジネス」「ブロア・リアルエステイトビジネス」を報告セグメントに変更しております。なお、「ブロア・リアルエステイトビジネス」は従来「リニアビジネス」及び「その他」に分類しておりましたが、量的な重要性が増したため当期より報告セグメントとしております。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
プレシジョン・コンポーネントビジネス
プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、欧州経済の停滞、国内における一部自動車メーカーの減産や、一般産業機器、工作機械の需要回復の遅れ、米国テネシー州で発生したハリケーンの影響による一時的な生産停止等が影響し、円安による増加要因があったものの、前期比1.1%減の75,102百万円となりました。セグメント利益は、コスト改善活動を継続し効果はみられるものの、売上の減少や、在庫管理見直しに伴う棚卸評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、前期比86.8%減の632百万円となりました。
ブロア・リアルエステイトビジネス
ブロア・リアルエステイトビジネスの売上収益は、大型の受注が少なかったこと等により、前期比29.1%減の819百万円となりました。セグメント利益は、売上の減少等により、前期比15.4%減の181百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ8,643百万円増加し174,721百万円となりました。これは、営業債権及びその他の債権が1,904百万円減少したものの、ボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の譲渡に関する株式譲渡契約が締結されたことに伴い譲渡が見込まれる資産3,450百万円を売却目的で保有する資産に計上したことにより、流動資産が738百万円増加しました。また、設備投資により有形固定資産が2,469百万円増加、無形固定資産及びのれんが1,880百万円増加、その他の非流動資産が3,157百万円増加し、非流動資産が7,905百万円増加したことによります。
負債につきましては、前期末に比べ1,277百万円増加し113,213百万円となりました。これは、営業債務及びその他の債務が583百万円減少したものの、為替の影響等により社債及び借入金が2,293百万円増加したことによります。
資本につきましては、前期末に比べ7,366百万円増加し61,508百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定等のその他の資本の構成要素が6,831百万円増加したことによります。
当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、4,873百万円の増加となりました。主な要因としては、税引前当期利益1,747百万円、減価償却費及び償却費3,257百万円、営業債権及びその他の債権の減少3,286百万円の資金の増加要因があった一方で、営業債務及びその他の債務の減少1,039百万円、為替差益1,783百万円、法人所得税等の支払額2,030百万円などの資金減少要因がありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出を主な要因とし、3,800百万円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出5,000百万円がありましたが、長期借入れによる収入3,960百万円により、1,906百万円の減少となりました。
これらに当連結会計年度中のUSドル高及びユーロ高を主な要因とする、1,164百万円の換算差額等を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は23,334百万円と前連結会計年度末と比べ331百万円の増加となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息
(注) 1 IFRS会計基準に基づく連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、平均販売価格で表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、平均仕入価格で表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 プレシジョン・コンポーネントビジネスの生産方式は、見込生産のため該当事項はありません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) 上記の金額には当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRS会計基準に基づき作成しております。重要性のある会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要性のある会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」及び「4.重要性のある会計方針」に記載しております。
当連結会計年度における経済環境は、米国が底堅い個人消費や設備投資により堅調に推移した一方で、欧州はインフレが落ち着きつつあるものの、製造業を取り巻く環境の厳しさに改善は見られず、ユーロ圏経済の停滞につながりました。中国においては、輸出は堅調に推移しましたが、不動産不況が長引き景気の改善に足踏み感が見られます。国内経済は、台風や地震等の自然災害による工場停止や深刻な人手不足、一部自動車メーカーの減産等により一時的に停滞感を強めたものの、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などにより緩やかな回復の動きがみられました。
このような状況の下、当期の継続事業における売上収益は、前連結会計年度に比べ1.5%減の75,921百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、欧州経済の停滞、国内における一部自動車メーカーの減産や、一般産業機器、工作機械の需要回復の遅れ、米国テネシー州で発生したハリケーンの影響による一時的な生産停止等が影響し、円安による増加要因があったものの、前連結会計年度に比べ1.1%減の75,102百万円となりました。ブロア・リアルエステイトビジネスの売上収益は、大型の受注が少なかったこと等により、前連結会計年度に比べ29.1%減の819百万円となりました。
② 売上原価、売上総利益
売上原価は、前連結会計年度に比べ、4.1%増の65,403百万円、売上総利益は前連結会計年度に比べ26.3%減の10,518百万円となりました。売上原価率は、前連結会計年度に比べ4.7%増加し、86.1%となりました。売上原価増加の主な要因は、コスト改善活動を継続し効果はみられるものの、在庫管理見直しに伴う棚卸評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ等によるものです。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、前連結会計年度に比べ24.7%増の9,354百万円となりました。
④ 営業損益
営業損益は、為替影響を除いた売上の減少や、在庫管理見直しに伴う棚卸評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、前連結会計年度に比べ83.8%減の814百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは前連結会計年度に比べ86.8%減の632百万円となり、ブロア・リアルエステイトビジネスで前連結会計年度に比べ15.4%減の181百万円となりました。
⑤ 法人所得税費用
法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ54.1%減の647百万円となりました。
⑥ 親会社の所有者に帰属する当期損益
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、912百万円となりました。
⑦ EBITDA
EBITDA(営業利益+減価償却費及び償却費+減損損失)は、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減などにより、前連結会計年度に比べ49.2%減少の4,058百万円となりました。
⑧ フリーキャッシュフロー(FCF)
FCF(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、営業債権及びその他の債権の減少と有形固定資産の取得が少なかったことにより、前連結会計年度から4,563百万円改善し1,073百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、継続的に企業価値を向上させることを経営の指針とし、①設備投資、②株主還元、③借入金の返済のバランスをとりながら、資金の使途を決定しています。当社グループの資金の源泉は、内部資金及びツバキ・ナカシマ本体の社債及び銀行借入金により調達したものであり、グローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを活用し、グループ内の資金をタイムリーに把握すると共に、グループ会社間親子ローンやグループ会社間配当を実施する等し、資金効率の向上に努めております。キャッシュ創出力が当社の強みであり、利益の向上と共に運転資本の最適化を図っています。
なお、現金及び現金同等物の残高は23,334百万円となっております。
当社グループの資金需要は主に設備投資及び運転資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金または社債及び銀行借入金により資金調達をすることとしております。また、今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。
「資本提携終了日」とは、第17回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債又はこれらを転換若しくは行使して取得する当社株式のいずれも保有しないこととなる日を言います。
当社グループは、精密ボール、精密ローラー、直動軸受システム、送風機の専門メーカーとして、ユーザーの多様化するニーズに適応した製品を供給するため、各事業部において研究開発に取り組んでおり、それぞれの事業の中心となる製品についての研究開発を進めております。
現在の研究開発は当社グループの各技術部門において、プレシジョン・コンポーネントビジネス及びブロア・リアルエステイトビジネスを中心に推進しております。当連結会計年度の研究開発費は
セグメントごとの研究の目的、主要な課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
サステナブルな社会に貢献するため、高効率軸受けのベースとなる精密ボール、精密ローラー及びEV対応のセラミックボールを超高精度で安価に生産する加工技術の確立に向けて、自動化を含む研究開発を行っております。当連結会計年度の研究開発費は
送風機においては2024年に続き高効率ファン開発に向けて有限要素法による解析を基に実機検証を行い製品化に向けて取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は