第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、下記の経営理念を掲げ、継続的な企業価値向上を図ってまいります。

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 当社グループは、企業活動の根幹となるコンプライアンス(法規や倫理の遵守)の基本を、グループ全体で共有し徹底するために、コンプライアンス・コードを定め、倫理観の醸成に取り組んでまいります。

 

(2)経営環境及び経営戦略等

 わが国経済は、雇用情勢や所得環境の改善を背景に緩やかな回復が続いておりますが、為替相場の変動、原材料の価格高騰、物価上昇に伴う節約志向、消費マインド冷え込みの懸念等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 

 携帯電話等販売市場の経営環境は、携帯電話端末の品質向上及び価格上昇等に伴い買い替えサイクルの長期化が進んでおります。また、オンライン販売の増加により販売チャネルの多様化が進むとともに、大手通信事業者各社による金融サービス等を軸とした経済圏への囲い込み競争が激化しております。キャリアショップでは、多種多様なサービスの中からお客様に最適なサービスをご提案するための高いレベルの接客スキルがより一層求められるようになることが予想されます。法人市場においては、大企業だけでなく中小企業においても、セキュリティ、テレワーク、働き方改革、DX関連商材等の需要が高まり、IT投資が拡大することが予想されます。

 当社グループは、このような環境下でお客様、株主、従業員、取引先等を含むすべてのステークホルダーからの期待に応えられるよう、中長期で安定した成長を継続するため、強みでもある人材育成力、店舗運営力及び強固な財務基盤を活かして「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している4つの経営課題に取り組み、中期定性目標を達成してまいります。なお、近年、モバイル市場の公正な競争環境を整備する等のために電気通信事業法の改正が行われ、この改正により通信事業者の施策内容が変更されることが多々あり、変更の内容によっては、当社の経営環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。このため、中期経営計画を公表したとしても、計画の前提条件が変化してしまい、必ずしも株主や投資家の皆様にとって適切な判断に資するものではないと考え、単年度ごとの目標達成に向けて取り組むこととしております。なお、上記理由から収益力・資本効率等に関する目標は設けておりません。

 

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(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、情報通信機器販売サービス事業の単一セグメントであり、情報通信機器販売サービス事業の着実な成長は、「売上高」、「営業利益」、「経常利益」、「親会社株主に帰属する当期純利益」の目標達成の成否により判断できることから、上記指標を目標として、その達成に向けて取り組んでおります。なお、株主還元に当たっては「連結配当性向」を重要な指標としております。

 次期(2025年12月期)の連結業績予想は、売上高114,000百万円(当連結会計年度比1.8%減)、営業利益4,500百万円(同5.5%増)、経常利益4,600百万円(同5.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,000百万円(同5.6%減)を目標としております。なお、2025年12月期の1株当たりの配当金は50円で連結配当性向32.1%を計画しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの対処すべき課題は、携帯電話等販売市場の急激な事業環境の変化に対応し、企業価値を継続的に高めることであり、以下の4つの経営課題に全力で取り組んでまいります。

 

①情報通信機器販売サービス事業の成長

 情報通信機器販売サービス事業には、キャリアショップ事業と法人ソリューション事業の2つの事業がございます。キャリアショップ事業で着実な成長を続けるとともに、将来大きな成長が見込める法人ソリューション事業の拡大によりバランスの良い事業ポートフォリオを構築してまいります。各事業における取り組みは下記のとおりです。

 

キャリアショップ事業

・既存店の収益性を向上させるため、顧客ニーズが高い新たな商材の取り扱いや対面での接客を強みとしたサービスを提供してまいります。

・新店及び移転改装につきましては、市場動向を見極めつつ、販売予測、投資採算性等を慎重に検討し決定することで収益性の高い店舗網を拡大してまいります。

・店舗における生産性を高めるため、店舗運営の効率化を推進し、店舗オペレーションの改善やお客様の待ち時間の短縮化を進めてまいります。

 

法人ソリューション事業

・営業拠点の拡大、営業人員の増員、WEBマーケティングの強化等により、新たな法人顧客を増加させてまいります。

・携帯電話及びPC機器等を軸とした新たな周辺サービスの構築及び販売により、収益の拡大を目指します。

 

②多様な人材の採用と育成、働きがいのある職場環境の整備

 当社グループの成長の原動力は、何と言っても従業員です。

 新卒・中途ともに優秀な人材の確保に向けて多面的な採用活動を続けるとともに、一人ひとりの能力・キャリア開発を従業員のIT基礎知識や最先端の商品・サービスに関する知識等の習得により促進してまいります。

 さらに、従業員がより長く安心して働くことができる労働環境を整備するため、働き方の改革、ダイバーシティの推進、有給休暇の取得促進、残業時間の低減さらには新規事業等、様々な事業や業務にチャレンジできる環境の整備等、人材の中長期の成長を見越した人事戦略を推進してまいります。

 

③DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用

 当社グループは、DXの推進を重要な経営課題の一つとして位置づけています。特に、生成AIをはじめとする先進的なデジタル技術の活用は、業務効率の向上と新たなビジネス機会の創出に大きく貢献すると考えています。

 当社グループは、従業員が生成AIを実際に使用し、その可能性を探求し続けることで、お客様のニーズに的確に応える高品質なサービスを提供し、他社との差別化を図ってまいります。

 

④ESG(環境・社会・企業統治)等のサステナビリティへの取組み

 当社グループは、会社の持続的な成長とともに社会のサステナビリティ(持続可能性)への貢献の両立を推進するため、ESG(環境・社会・企業統治)に係る各分野への適切な対応を図るとともに、持続可能な社会の実現に向け努力してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、代表取締役社長を委員長としたサステナビリティ推進委員会を設置しております。同委員会は、常勤監査役及び全部門の責任者が参加し、サステナビリティに関する方針、目標及び関連するリスクの管理水準の決定を行い、目標に対する取組みの進捗管理等の機能を担っております。また、取締役会は、サステナビリティ推進委員会から取組状況、目標達成状況等の報告を年1回以上受けることで、サステナビリティに関する重要課題への取組みについて監督を行っております。

 

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(2)リスク管理

 サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティ関連のリスクを特定し、各リスクの重要性を評価しております。また、同委員会で特定・評価されたサステナビリティに関連するリスクは、全社リスクの一つとしてリスク管理部が取締役会に報告しております。

 

(3)戦略、指標及び目標

 気候変動関連に関する事項

当社は、政府の宣言に倣い2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指しております。当社は、CO2排出量の削減に向けた以下の取組みを進めており、その結果、2023年4月1日~2024年3月31日のScope1,2の合計値は3,949tとなり、前期比10.9%の削減となりました。

 

(取組内容)

・自社所有物件への太陽光発電の設置

・電気使用料の削減(LED照明への交換、節電ガイドラインの作成及び運用)

・携帯電話及びPCのリサイクル

・事務用品等のグリーン商品の購入

・社有車のエコカー割合を増加させる

・ペーパレス化による紙の使用枚数の削減

 

 

 

 

(指標)

 

2021年4月1日~
2022年3月31日

2022年4月1日~
2023年3月31日

2023年4月1日~
2024年3月31日

Scope1(t-CO2)

114

92

94

Scope2(t-CO2)

4,832

4,341

3,855

Scope1,2合計(t-CO2)

4,946

4,433

3,949

 

人的資本関連に関する事項

  当社グループは、従業員が成長の原動力と考え、一人ひとりの能力・キャリア開発の促進、ダイバーシティの推進、人材の育成、DE&Iの推進、働きやすい職場環境の整備、健康経営の推進等、人的資本への投資を行うことが当社グループ自らの持続的な成長につながると考えております。当社グループにおける「人材育成基本方針」及び「社内環境整備方針」は以下のとおりであります。

 

(人材育成基本方針)

①個人の成長 × 専門性の追求

 従業員一人ひとりが専門性を追求しながら自律的に成長できる環境を提供し、組織全体の成長に寄与する人材を育成します。

②マネジメントスキル × 人間力

 全従業員がマネジメントスキルを活かし、チームやプロジェクトの成功に貢献するとともに、思いやり、誠実さ、チャレンジ精神を備えた、豊かな人間力を持つ人材を育成します。

③デジタルスキル × 素敵な未来

 デジタルスキルを磨き、変化するビジネス環境に柔軟に対応する力と、新しい価値を創造する力を養います。従業員の自己成長を通じ、企業ミッションである「素敵な未来」に貢献できる人材を育成します。

 

(社内環境整備方針)

「働きやすい職場づくりで一人ひとりが自分らしく活躍できる素敵な職場環境へ」

①仕事、育児、介護等を両立する社員が安心して働き続けられる環境を整備します。

②最先端のAI・ICTを積極的に活用し、従業員が健全な状態で、イキイキと働ける職場環境を整備します。

③DE&Iを実践することで、多様な人材を受け入れ、誰もが公平に機会を得られ、一人ひとりが積極的に参加する機会を創出し、個々の能力を最大限に発揮できる環境を整備します。

 

(健康経営)

当社グループでは、社員一人ひとりがココロもカラダも健康で、充実した日々を送れるように社員の健康維持・増進を積極的に支援しております。なお、当社は、経済産業省及び日本健康会議が選定する健康経営優良法人認定制度において、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」を2022年度から4年連続で認定を受けております。

 

(指標及び目標)

指標(連結)

2024年実績

2027年目標

取組み内容

女性店長比率

26.5

25%以上

女性管理職の育成を管理職の目標に設定、女性育成プロジェクト、女性向け自信創出研修、管理職向けダイバーシティー研修、子育て支援

女性管理職比率

14.8

17.7%以上

育児休業取得率

男性 95.1%
女性 95.5%

男女100%

に近づける

育児休業を取得しやすい風土を醸成する

男女の賃金の格差

全労働者83.4

前年実績より改善する

女性店長比率及び女性管理職比率を増加させることで、男女の賃金の格差が縮まるように努める

正社員定着率

89.0

90%以上

従業員が働きがいを持ちつつ成長できる環境を整備する

有給休暇取得日数

※有給付与0日の従業員除く

12.1

12

毎月シフトに有給休暇1日を加えるように推奨する

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを次のとおり重要性が高い順に記載しております。なお、当連結会計年度末現在において、これらのリスクが顕在化する可能性は認識しておりません。

文中の将来に関する記載は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、以下の記載は必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。

(1)携帯電話販売市場の環境変化について

携帯電話販売市場では、インターネット販売の普及等販売方法や販路の多様化等の変化が生じる可能性があります。この変化により販売規模が著しく縮小する等当社グループの業績及び事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の4つの経営課題に全力で取り組むことで対応してまいります。

 

(2)ソフトバンクグループ(ソフトバンク株式会社及びソフトバンク株式会社の関係会社、以下(2)において同じ)への依存について

①主要な事業活動の前提となる契約について

当社グループの主要な事業である情報通信機器販売サービス事業において、ソフトバンク株式会社が認定するキャリアショップ(「ソフトバンクショップ」及び「ワイモバイルショップ」)の売上高及び仕入金額が全体の約9割を占めております。このため、ソフトバンク株式会社と当社との間で締結されている「代理店委託契約」は当社グループの主要な事業活動の前提となっております。

同契約は、1年毎に自動更新されますが、契約上は、ソフトバンク株式会社及び当社の双方とも、2ヵ月前までに事前告知の上解除することが可能となっているほか、以下のような事由が生じた場合には、契約を解除できるものと定めております。

イ.双方が第三者からの差押・仮差押・仮処分を受けた時、破産・民事再生・会社更生・解散した場合

ロ.支払不能・手形の不渡り・契約違反に該当した場合等

ハ.ソフトバンク株式会社又は同社の顧客に対して虚偽の請求、報告を行う等、背信的行為を行った場合、ソフトバンク株式会社の信用名誉及び信頼関係を毀損する行為を行った場合

ニ.当社の経営主体に重大な変更が生じた場合

ホ.当社及び当社の関係者等に反社会的勢力等が含まれていること等が判明した場合

ヘ.当社の代理店業務の実績が一定の期間を通じて不振である場合

なお、提出日現在において、解除事由について該当する事項がないため、代理店委託契約が解除となる可能性は低く、当社事業の継続に支障を来たす要因は発生していないものと認識しております。しかしながら、これらの解除事由に抵触する事由が生じた場合には、当社グループの業績及び事業計画に重大な影響を与える可能性があります。

 

②ソフトバンクグループの提供するサービスへの依存について

当社グループの売上高及び仕入金額のうち、ソフトバンクグループの提供するサービスが占める割合は約9割となっております。このため、ソフトバンクグループの新商品の投入時期、料金プラン等の新サービスの動向、広告宣伝方針の他、法令違反等によるイメージの悪化等により重大な影響を受ける可能性があります。

 

③取引条件について

当社グループの収益構造は、情報通信機器を販売する商品売上高、情報通信機器の販売及び移動体通信事業者が提供する各種サービスの契約取次等の対価である受取手数料から構成されております。このうち商品売上高は、事業の特徴上、仕入原価以下の価格で顧客に販売する場合が多く赤字傾向にあり、これを移動体通信事業者からの受取手数料で補填することにより利益を生む収益構造となっております。

このため、受取手数料の金額、支払対象期間、支払対象となるサービス業務の内容、通信料金に対する割合、仕入価格等のソフトバンク株式会社と当社との間における取引条件は、ソフトバンク株式会社の事業方針等により変更されますので、大幅な取引条件の変更等が生じた場合には、当社グループの業績及び事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

④出店計画について

ソフトバンク株式会社の認定ショップ(「ソフトバンクショップ」及び「ワイモバイルショップ」)の出店は同社の戦略に基づいて決定されるため、当社の出店計画もソフトバンク株式会社の戦略に左右されます。ソフトバンク株式会社の戦略に大幅な変更等が生じた場合には、当社グループの業績及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、上記①から④の対応策として、電気通信事業法等の各種関連法令を遵守し、かつお客様及びソフトバンクグループからの評価を高めるために役職員への教育研修及び管理体制の強化等に努めてまいります。

 

(3)大規模な自然災害、重大な感染症、地政学リスクの発生について

①大規模な自然災害

ここ数年、気候変動等がもたらす自然災害の発生リスクが年々高まっております。火災、地震、風水害等の大規模な自然災害等の緊急事態が発生した場合には、当社グループの事業活動が停滞し、業績及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。また、取引先からの商品供給不足や仕入価格の高騰、特定商品の欠品による機会損失が発生し、売上高及び利益が減少する等、当社グループの業績、財政状態及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、これら自然災害に対する備えとして、危機管理マニュアル及び事業継続計画(BCP)を役員・従業員に周知するとともに、災害対策用の備蓄品を各店舗、事務所に配備し、商品及び店舗設備等に損害保険を付保し、自然災害の影響を低減させる対策を講じております。

 

②重大な感染症

当社グループでは新型コロナウイルス等重大な感染症が長期間にわたり拡大・蔓延した場合には、出店施設の臨時休業、時短営業、外出自粛による来店客数の減少、取扱い業務の制限、取引先からの商品供給不足等が生じる恐れがあり、当社グループの業績及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、重大な感染症が流行又は発生した場合には、監督官庁及び関連する行政機関の指針に従うとともに、キャリアショップにおいては通信事業者と適切な連携を図り、お客様、取引先及び従業員の安全を最優先に考え、関係機関と連携しながら感染症拡大防止に努めてまいります。

 

③地政学リスク

 米中対立やロシア・ウクライナ情勢等、近年国際関係の緊張が高まっております。各国の経済安全保障政策や様々な法規制の実施、戦争や暴動、テロ事件等が発生した場合、サプライチェーンの混乱、商品価格の高騰、商品の調達が困難になる等、当社グループの業績、財政状態及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、商品等を前倒しで確保する等、当該影響を軽減させる等の対策を講じております。

 

(4)法的規制等について

当社グループは、電気通信事業法等の事業固有の法令はもとより、企業活動に関わる各種法令等(環境、公正な競争、消費者保護、個人情報保護、労務、租税に関するものを含みますが、これらに限りません。)の規制を受けております。

当社グループ及びその役職員がこれらの法令等に違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関から行政処分や行政指導(登録・免許の取消や罰金を含みますが、これらに限りません。)を受けたり、損害賠償請求や代理店契約の解除、営業停止等の処分を受ける可能性があり、当社グループの業績及び事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、将来、当社グループの事業に不利な影響を与える法令等の導入又は改正がされた場合についても、当社グループの業績及び事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、企業活動の根幹となるコンプライアンス(法規や倫理の遵守)の基本として「コンプライアンス・コード」を定め、役職員に対し、これらの周知・浸透に努めております。また、企業活動に関わる各種法令等の遵守を徹底するため教育研修を継続してまいります。

 

(5)事業買収等による今後の事業拡大について

当社グループは、情報通信機器販売サービス事業の拡大及び新たな収益の柱の構築のために、企業買収、事業譲受け及び新規事業への投資等を行う可能性があり、将来において当該企業買収等を行った場合に、事前調査で把握できなかった問題が生じた場合や、事業環境の変化等により当初想定した効果が得られない場合、有形固定資産又は無形固定資産の減損処理等によって当社グループの業績、財政状態及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらの意思決定に際しては、詳細な調査、分析を行い、その結果を基に取締役会において十分な検討を図り意思決定を行うことでリスクを低減するように努めております。

 

(6)人材の確保及び育成について

当社グループの主要な事業である情報通信機器販売サービス事業には、キャリア認定ショップの販売員及び法人営業部門の営業要員の確保が必要不可欠であります。しかしながら、通信事業者の提供する商品・サービスの進化に伴う業務の高度化、採用環境の変化等により、退職者が増加し、予定どおりの人材の確保及び育成を行えなかった場合には、当社グループの業績及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、新卒者の定期採用及び中途の通年採用により人材を確保するとともに、専門部署による教育研修やOJT等により人材育成に努めてまいります。また、育児等と仕事の両立を図れるよう、従業員が安心して働き続けることができる職場環境づくりを進めてまいります。

 

(7)情報セキュリティについて

当社グループは、事業上の機密情報や事業活動の過程で入手した個人情報及び取引先情報等を保有しております。当社グループでは、情報セキュリティに関する基本方針を定め、管理体制を整備し、運用しております。しかしながら、巧妙化・複雑化するサイバー攻撃や役職員の意図的な不正行為により、業務システムの停止やデータの改ざん、漏えい、破壊等の事象が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合には、信用の低下やビジネス機会の喪失、重要な業務の停滞、損害賠償請求及び重要な契約の解除等により、当社グループの業績及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、このようなサイバー攻撃等に対応できるよう情報システム部門の体制を強化するとともに、各種のセキュリティ対策を講じる等情報セキュリティの強化に努めてまいります。

 

(8)訴訟等について

当社グループが事業活動を行うに当たっては、偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受ける可能性があります。このような訴訟等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、役職員に対しコンプライアンス意識の醸成のために定期的に啓蒙活動を行うと同時に、訴訟等の当事者となる可能性のある案件の発生を適切なモニタリングにより未然に防げるよう努めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢や所得環境の改善を背景に緩やかな回復が続いておりますが、為替相場の変動、原材料の価格高騰、物価上昇に伴う節約志向、消費マインド冷え込みの懸念等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループの主な事業領域であります携帯電話等販売市場におきましては、端末値引き規制の強化等により端末購入価格が上昇し、買い替えサイクルが長期化しております。また、各通信事業者は販路の見直しを進め、全国のキャリアショップ数は減少傾向にあります。

 このような事業環境の中、キャリアショップ事業では、代理店間で遠隔地や飛び地の店舗交換を行う等、通信事業者の戦略に対応しながら店舗網の統廃合を進めました。また、ショッピングモール等の商業施設で販促イベントを実施し、新規契約の獲得に注力しました。さらに、スマートフォンの設定等に不安のあるお客様向けに、サブスクリプション型の有償サポートをご案内する等、お客様のご利用状況やリテラシーに合わせた多様なサービスの提供に注力しました。法人ソリューション事業では、規模拡大に向けた組織体制の強化に加え、販路の拡大及びキッティング業務代行等のサービスの提供に注力しました。

 これらの取り組みにより、前連結会計年度と比較して、携帯電話等販売件数、ストック収益及び付属品の売上が増加しました。一方で販売費及び一般管理費は、人件費及び販売促進費を中心に前連結会計年度と比較して増加しました。

 以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高116,038百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益4,263百万円(同20.7%増)、経常利益4,352百万円(同21.9%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、店舗撤退に伴う受取補償金の増加及び賃上げ促進税制の適用による税金費用の減少等により3,177百万円(同33.4%増)となりました。

 

[ご参考:キャリアショップ数]

 当社グループが運営するキャリアショップ数は、2024年12月末時点で333店舗となりました。

(2024年12月末時点)

 

直営店

フランチャイズ

ソフトバンクショップ

236

50

286

ドコモショップ

9

-

9

auショップ

6

-

6

ワイモバイルショップ

29

3

32

合計

280

53

333

 ※2023年12月末時点に比べ、直営店は13店舗減少、フランチャイズは3店舗減少しております。

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて3,128百万円増加し50,663百万円(前連結会計年度末47,535百万円)となりました。これは主に、現金及び預金が484百万円、売掛金が947百万円、投資有価証券が1,849百万円増加したことによるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債につきましては、前連結会計年度末に比べて885百万円増加し16,496百万円(前連結会計年度末15,611百万円)となりました。これは主に、未払金が318百万円、未払法人税等が373百万円、賞与引当金が197百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて2,243百万円増加し34,166百万円(前連結会計年度末31,923百万円)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加3,177百万円、その他有価証券評価差額金の減少97百万円、前連結会計年度決算に係る期末配当及び当連結会計年度の中間配当の実施による利益剰余金の減少836百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は67.4%(前連結会計年度末67.2%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末(19,722百万円)と比べて484百万円増加し、20,207百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は3,411百万円(前年同期は5,151百万円の資金の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上4,463百万円等による増加要因があった一方で、売上債権の増加による支出947百万円等の減少要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は2,069百万円(前年同期は2,327百万円の資金の減少)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出2,048百万円等の減少要因があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は857百万円(前年同期は718百万円の資金の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出20百万円、配当金の支払額837百万円等の減少要因があったことによるものであります。

 

(2)仕入及び販売の実績

 当連結会計年度における仕入及び販売の実績は次のとおりであります。

 なお、当社グループは情報通信機器販売サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

①仕入実績

    当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

自 2024年1月1日

至 2024年12月31日

前年同期比

情報通信機器販売サービス事業

83,903百万円

△0.2%

 

②販売実績

    当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

事業部門の名称

品目

当連結会計年度

自 2024年1月1日

至 2024年12月31日

前年同期比

情報通信機器販売サービス事業

商品売上高

70,973百万円

2.3%

受取手数料

45,065百万円

△2.3%

合計

116,038百万円

0.5%

(注)最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

自 2023年1月1日

至 2023年12月31日

当連結会計年度

自 2024年1月1日

至 2024年12月31日

金額

割合

金額

割合

ソフトバンク株式会社

42,972百万円

37.2%

41,653百万円

35.9%

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。

 固定資産の減損

当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分に基づき資産のグルーピングを行っております。このうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ. 財政状態

「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

ロ. 経営成績

「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

ハ. 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

ニ. キャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの資金需要の主なものは、携帯電話端末等の仕入並びに販売費及び一般管理費の営業費用の他、店舗等の設備投資であります。これらの資金需要に対する資金財源は、自己資金により十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

ホ. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2024年12月期における当社グループの重要な経営指標の達成状況は次のとおりであります。

 

2024年12月期

計画

(百万円)

2024年12月期

実績

(百万円)

達成率

2023年12月期

実績

(百万円)

前期比

売上高

110,000

116,038

105.5%

115,485

+0.5%

営業利益

3,650

4,263

116.8%

3,531

+20.7%

経常利益

3,750

4,352

116.1%

3,571

+21.9%

親会社株主に帰属する
当期純利益

2,500

3,177

127.1%

2,381

+33.4%

連結配当性向

33.9%

30.3%

 

34.7%

 

(注)1.2024年12月期の計画は、2024年2月13日に公表した数値を記載しております。

 2.上記経営指標の利用理由につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。

 

 2024年12月期の売上高及び各段階利益が計画値を上回った要因は、商業施設等での積極的な販売促進活動により携帯電話等の回線獲得件数が増加したことによるものであります。なお、2024年12月期の連結配当性向につきましては、中期定性目標どおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社グループは、移動体通信事業者等とキャリア認定ショップにおける業務の委託契約又は再委託契約を締結しております。

 

契約会社名

相手方の名称

契約の名称

契約品目

契約期間

株式会社

ベルパーク

ソフトバンク株式会社

代理店委託契約書

携帯電話等通信サービスの加入取次

(ソフトバンクショップ)

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

(自動更新)

携帯電話等通信サービスの加入取次

(ワイモバイルショップ)

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

(自動更新)

KDDI株式会社

代理店業務委託基本契約書

携帯電話等通信サービスの加入取次

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

(自動更新)

株式会社

ベルパークネクスト

株式会社NTTドコモ

株式会社ティーガイア

業務再委託に関する覚書

携帯電話等通信サービスの加入取次

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

(自動更新)

株式会社ティーガイア

代理店契約書

携帯電話等通信サービスの加入取次

自 2024年6月1日

至 2025年5月31日

(自動更新)

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。