第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

提出会社の状況

回次

第29期

第30期

第31期

第32期

第33期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

売上高

(千円)

2,458,957

2,416,536

2,955,470

3,640,002

3,072,417

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

206,787

153,686

381,371

533,438

122,937

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

173,204

114,200

247,541

363,695

50,671

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

782,671

782,671

787,529

807,609

817,533

発行済株式総数

(株)

5,291,400

5,291,400

5,320,700

5,503,600

5,597,700

純資産額

(千円)

2,085,861

2,200,061

2,457,320

2,861,174

2,901,740

総資産額

(千円)

3,784,063

3,808,237

4,332,013

4,980,604

4,701,386

1株当たり純資産額

(円)

394.22

415.80

461.87

519.90

524.30

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

32.75

21.58

46.66

67.87

9.08

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

20.66

44.66

65.29

9.03

自己資本比率

(%)

55.1

57.8

56.7

57.4

61.7

自己資本利益率

(%)

5.3

10.6

13.7

1.8

株価収益率

(倍)

21.7

14.9

17.5

48.6

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

28,803

456,368

600,410

389,555

529,055

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

249,339

111,689

629,120

717,953

212,097

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

201,675

260,489

29,009

325,079

200,489

現金及び現金同等物の

期末残高

(千円)

222,072

306,261

306,561

303,243

419,712

従業員数

(人)

140

128

129

148

142

(外、平均臨時雇用者数)

(16)

(16)

(30)

(29)

(27)

株主総利回り

(%)

68.5

42.0

62.0

106.6

39.5

(比較指標:TOPIX(配当無))

(%)

(104.8)

(115.7)

(109.9)

(137.5)

(161.8)

最高株価

(円)

1,304

958

988

1,536

1,351

最低株価

(円)

460

426

480

609

415

 

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

3.第29期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

4.第29期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

5.第29期の株価収益率については、当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

6.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

7.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所グロース市場におけるものであり、それ以前は東京証券取引所マザーズ市場におけるものであります。

8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第31期の期首から適用しており、第31期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

  当社設立以降、本書提出日現在までの沿革は次のとおりであります。

 

年月

概要

1992年12月

 

1996年11月

1999年9月

 

 

 

 

2006年1月

 

 

 

2008年11月

2011年7月

2011年7月

2013年1月

2014年5月

 

2015年4月

 

2015年6月

 

2015年8月

2016年11月

2017年1月

2017年4月

2018年1月

2018年11月

2019年7月

 

2020年2月

 

光造形の外部委託によるモデル作製と総合保険業を目的として、横浜市港北区に有限会社ジェイ・エム・シー設立(資本金3,000千円)

横浜市港北区から横浜市港南区に本店を移転

光造形によるモデル作製での業容拡大を目的として、株式会社ジェイ・エム・シーへ組織変更

手術シミュレーション用頭蓋骨モデルの作製受託から作製工程を内製化し、3Dプリンター事業を開始

横浜市港南区から横浜市南区に本店を移転

試作品の受託範囲の拡大を目的として金属モデル作製を行う有限会社エス・ケー・イーを吸収合併し、砂型鋳造(注1)法による鋳造事業を開始

鋳造事業で燃料電池自動車向けドア部品の試作品を受注し、自動車部品作製分野に進出

横浜市南区から横浜市神奈川区に本店を移転

鋳造事業において、長野県飯田市にコンセプトセンター(注2)(鋳造棟)を新設

横浜市神奈川区から横浜市港北区に本店を移転

コンセプトセンターに木型棟を新設

コンセプトセンターに仕上棟を新設

コーポレート・アイデンティティの構築とブランド戦略の導入を開始し、株式会社JMCに商号変更

大学及び医療機関向けに心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」(注3)発売開始

金属製品の非破壊検査(注4)による品質検査強化を目的として産業用CT(注5)を導入

コンセプトセンターに機械加工・検査棟を新設

東京証券取引所マザーズ上場

産業用CTによる検査・測定サービス(注6)を鋳造事業から分離しCT事業を開始

産業用CT及び関連サービスの販売を開始

コンセプトセンターに鋳造棟を増設

フルカラー3Dプリンター及び関連サービスの販売を開始

コンセプトセンターに、自動車分野や航空分野における高付加価値製品の製造に特化した工場棟を増設

鋳造事業における機械加工工程の生産能力強化のため、静岡県浜松市浜名区にミーリングセンター(注7)を新設

2020年8月

3Dプリンター事業において、横浜市港北区にAMセンター(注8)を開設し、AM(Additive Manufacturing)サービスの提供を開始

2021年4月

コンセプトセンターに熱処理棟を新設

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズからグロース市場に移行

2023年9月

コンセプトセンターに鋳造棟を増設

大型鋳造品の試作需要の受注促進のため、大型低圧鋳造設備を導入

2024年9月

マグネシウムを中心としたダイカスト法領域で事業拡張に向け、株式会社STG(大阪府八尾市)との業務提携契約を締結

 

  (注)1.砂型鋳造

溶かした金属を砂で作った鋳型(砂型)に流し込んで鋳造品を作る工法です。砂型に流し込み作ることにより、形状が複雑な鋳造品の作製に向いています。

 

2.コンセプトセンター

長野県飯田市内の3ヶ所に位置し、鋳造品を作製する施設であり、鋳造事業のすべての工程を行っております。

 

3.HEARTROID(ハートロイド)

当社が国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科及びフヨー株式会社と共同で開発した心臓カテーテルシミュレーターです。X線透視下の実践に即した本格的なトレーニングから、机上でのイメージトレーニングまで環境を選ばずに手軽にカテーテル操作を練習することができます。オペに臨む医師や医学生が使用するほか、医療機器メーカーの研究開発や販売促進ツールとして利用されています。なお、同システムは、薬機法(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)上の「医療機器」に該当いたしません。

 

4.非破壊検査

部品や構造物の傷を、対象物を破壊することなく検出する検査技術のことです。

 

5.産業用CT

X線を利用して物体を走査しコンピュータを用いて処理することで、物体の内部画像を構成する技術、あるいはそれを行うための機器のことです。

 

6.検査・測定サービス

産業用CTによる非破壊検査や三次元測定などを提供するサービスのことです。

 

7.ミーリングセンター

静岡県浜松市浜名区に位置し、鋳造品を加工する施設であり、鋳造事業の機械加工・仕上・検査工程を行っております。

 

8.AMセンター

EOS Electo Optical Systems製ナイロン造形機を保有し、試作品から少量量産品までを製造する工程を行っております。

 

3【事業の内容】

 製造業におけるJMCという強固なブランドを確立するため、「MADE BY JMC」という企業理念及び「ものづくりに知性を。」というビジョンのもと、3次元CADデータ技術を用いて「樹脂を素材とする3Dプリンター」と「金属を素材とする砂型鋳造」の両成型法を利用、発展させながら、製造業を中心に幅広い業種の「試作品」から「最終製品」までの「ものづくり」をトータルサポートすることを主たる事業としております。

 当社の事業は、3Dプリンター事業、鋳造事業及びCT事業から構成されており、報告セグメントの区分も当該事業によっております。3つの事業を持つことで、3次元CADデータのノウハウを共有するだけでなく、人員のローテーションや設備の共同利用など社内のハード・ソフト資源を有効に活用することが可能になります。

 

 3Dプリンター事業につきましては、製品開発を行っている顧客からの試作の依頼を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。製造だけではなく、3次元CADデータの特殊な処理や装置のメンテナンスも自社で行うことで、メーカーと受託サービス会社が持つノウハウを一貫して有しております。

 なお、当該事業は年中無休の稼働体制で顧客のニーズに合わせてサービスを提供しております。

 また、3Dプリンターの技術を用いて開発された心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」は、国内外で心臓カテーテル治療に携わる医師やデバイスメーカー向けに、「HEARTROID PROJECT」(国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科、フヨー株式会社及び当社)を通じて自社製品としてラインアップの増強を進めております。

 

 鋳造事業につきましては、多品種少量生産に適した砂型鋳造法を採用しております。また、多くの鋳造業者が鋳造以外の工程の外注化を図っているのに対し、当社では木型、鋳造、熱処理、機械加工、検査まで一貫した製造工程を内製化したことにより、顧客メーカーの要求に応える安定した製品品質と短納期化を実現しております。従来の「伝統の職人技」と言える部分を精緻な3次元CADデータの取り込みなどを通して、砂型鋳造の精度をダイカスト法(注1)と同等レベルまで向上させたことで、試作品のみならず最終製品の受託も手掛けており、最終製品と同素材の試作品を顧客に販売することで、製品に対する需要を把握するテストマーケティングにも利用されております。

 さらに、砂型3Dプリンター(注2)を導入し、益々大型化・複雑化する設計に対して、これまで手作業で造型することのできなかった複雑な砂型にも対応可能となり、付加価値の拡大に寄与しております。

 また、製造部門では、トヨタ生産方式(注3)を導入し、設備増強と併せて製造工程の効率化を進めております。

 品質検査体制ではベーカーヒューズ製の産業用CTを複数機種導入し、自動車や航空宇宙分野で求められる品質水準を確保しております。

 このように品質検査体制と短納期、さらにはトヨタ生産方式の導入を強みとして、一部の完成車メーカーからTier1(注4)企業として選定されています。

 また、クラシックカーやバイクのレストア(旧型車両等の老朽化した部品を供給する)用パーツの製造販売を行うプロジェクトでは、当社の高い鋳造技術や産業用CTでの検査技術を活かして、メーカーで生産終了となった部品を製造販売しております。

 

 CT事業につきましては、製品評価やリバースエンジニアリング(注5)等の高度な検査・測定サービスの受託に加え、顧客製品の不具合を検出する「全数検査・選別サービス」を提案しております。また、ベーカーヒューズ製の産業用CT、関連サービス及びボリュームグラフィックス株式会社製の産業用CT/ボクセルデータ用ソフトウエアの販売業務を行っております。

 

[事業系統図]

 

0101010_001.jpg

 

(注)1.ダイカスト法

金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳造品を短時間で大量に生産する鋳造方式のことです。

 

2.砂型3Dプリンター

CADデータから直接鋳造用の砂型を造形する装置で、経済産業省が推進する「次世代型産業用3Dプリンターの造形技術開発・実用化事業」でも開発が進められており、今後の国内製造業における基盤となりうる技術の一つとして期待されております。砂型3Dプリンターの導入は、マシニングセンタでマスターモデルとなる木型を削り出し、職人の手込めによって行われていた従来の作業工程を短縮し、特に数多くの砂型を組み合わせて構成する自動車のシリンダーヘッドやインテークマニホールドの中子製作において、飛躍的な工期短縮を実現します。

 

3.トヨタ生産方式

「ジャストインタイム」と「自働化」の2つの理念でムダを排除し、生産を合理化する生産方式のことで、その実現には「1.カイゼン」、「2.問題の見える化」、「3.なぜなぜ分析」、「4.7つのムダとり」の手法を用います。

 

4.Tier1(ティア・ワン)

メーカーに部品を直接納入する一次サプライヤーのことです。一次請負とも言われています。

 

5.リバースエンジニアリング

物体を産業用CTでスキャンし、データをコンピュータに取り込み、そのデータから物体形状のCADデータを再構築することです。

 

[事業フロー]

0101010_002.jpg

 

(1)3Dプリンター事業

 3Dプリンター事業では、製品開発を行っている顧客に対して試作品を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。当社が保有する3Dプリンターは、光造形方式、粉末焼結(ナイロン造形)方式を中心に、現在業界で採用されている主要な工法を備えております。工法が多岐にわたることに加えて、当社では顧客への短納期化を実現するために、自社による見積データの解析・補正サービスや年中無休の稼働体制を敷いております。また、3Dプリンターでの作製後の各種後加工(塗装・染色・ネジ加工・アルミ真空蒸着(注6)・真空注型(注7))も行っております。

 同事業においては、医療分野でも3Dプリンターによる製品の作製サービスを行っております。脳外科、口腔外科分野において、患者のCT・MRIデータから頭蓋骨や下顎骨のデータを作成し、3Dプリンターで実体モデルを作製しております。実体モデルは、手術前のシミュレーションや手術方式の説明等に利用されております。また、3Dプリンターと真空注型を組み合わせた独自の技術(特許番号5236103号)を保有しております。これは、臓器の複雑な形状を忠実に再現するため、型を3Dプリンターで作製し、シリコーンゴムなどの軟質材料を注入することで、軟質の臓器モデルを作製するものです。臓器モデルは医療機器の機能評価やカテーテル、内視鏡手術のトレーニングに利用されております。

 

 3Dプリンターのそれぞれの方式の特徴は以下のとおりであります。

 

a. 光造形方式

 工業製品の高速試作に用いられる3Dプリンターであります。液体樹脂にレーザーをあて、硬化させながら層を積み重ねていくことで作製します。他の3Dプリンターに比べて高精度な製品を作製することができる一方、導入コストが高額であり、運用には高度なノウハウが必要なため、ハイクラスなサービスビューロー(注8)や大企業の研究開発部等が導入するプロユースの装置であります。用途の例としては、医療機器の試作品、部品の接続の機能検証用のモデル、可視化用の透明モデル等になります。

 

b. 粉末焼結(ナイロン造形)方式

 ナイロン粉末をCO2レーザーで焼き固め、積み重ねていくことで、モデルを作製する3Dプリンターであり、強度や耐熱性が求められるモデルの作製に用いられます。装置は3Dプリンターの中で高額な部類に属し、また、材料費も高価なため導入に対する障壁が高い方式であります。用途の例としては、自動車の動作確認用部品モデルや内装部品の試作品等になります。

 

(注)6.アルミ真空蒸着

真空内でアルミニウムを加熱して、気化・昇華させ、離れた位置に置かれた基材・基板の表面に付着・堆積させて薄膜を形成する技術のことです。

 

7.真空注型

光造形品や切削加工品をマスターモデルにして、シリコーンゴム等の複製用の型を作製します。その型に樹脂を流し込み固化させた後、型を外して複製品を作製する工法のことです。

 

8.サービスビューロー

商用印刷やデスクトップパブリッシングに関連するサービスを行う業者のことで、出力センターとも呼ばれています。ページレイアウトソフトで作成したデータの出力や、スキャニングなど様々なサービスを行います。

 

(2)鋳造事業

 鋳造は、製品の形状を反転させた型に、鉄・銅・アルミニウム・マグネシウム等の溶かした金属を流し込み、製品を作製する工法になります。この時に用いる型を“鋳型(いがた)”と呼び、素材により金型・砂型・石膏型等、数種類に分けられます。

 鋳造工法は、複数の工程から成っており、顧客から受領したCAD(注9)データから型データの作成、木型の作製、砂型の作製、鋳込(注10)、仕上、熱処理、機械加工、検査を経て、製品が完成いたします。これまでの鋳造業界では、その各工程をそれぞれ別会社が営んでおり、工程間のデリバリー時間が発生することや、工程間の情報共有不足による不良品発生が問題となっております。当社も事業開始時は砂型の作製、鋳込、仕上工程のみ自社で行っており、それ以外の工程を外部委託しておりましたが、顧客からの短納期や品質向上の要求に応えるためには、完全素加一貫(注11)の生産体制を構築する必要があり、1工程ずつ着実に内製化してきました。3Dプリンター事業と同様に、顧客からはコストよりも短納期が重視される傾向があるため、当社のスピードが付加価値となり、価格競争面で有利に働く要素となっております。

 当社の砂型鋳造は、金型を使用するダイカスト工法に近い品質を実現しております。それは、切削機械で木型を作製し、同業の砂型鋳造業者よりも細かい粒径の鋳物砂(注12)を使用しているからであります。また、組織の密度等鋳造品の物性において、ダイカスト工法よりも砂型鋳造が優れており、表面粗さと寸法精度が担保されれば、品質は砂型鋳造品が優ると考えております。

 なお、当社では、主にアルミニウム合金及びマグネシウム合金による鋳造を行っております。

 

(注)9.CAD(Computer Aided Design)

コンピュータ支援設計とも訳され、コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツール(CADシステム)のことです。

 

10.鋳込

溶かした金属を鋳型に流し入れることです。

 

11.素加一貫

素材(鋳造品)の作製から後加工まで一貫するという意味で、型作製から検査まですべて自社内で完結させることです。

 

12.鋳物砂

鋳造品用の鋳型(砂型)を作製するために用いる砂のことです。耐火性・通気性・伸縮性などが良いものを使います。

 

(3)CT事業

① 検査・測定サービス

 産業用CTによる非破壊検査や三次元測定などを提供するサービスです。

 当社では、ベーカーヒューズ製の産業用CT「phoenix v|tome|x c450」(ミリフォーカスCT)、「phoenix nanotom m」(ナノフォーカスCT)及び「phoenix v|tome|x m」(マイクロフォーカスCT)を導入しております。これらの装置は、自動車、航空宇宙、電力等の幅広い分野において品質検査を行う用途に最適化されており、非破壊検査や三次元測定に活かされます。また当社で保有する産業用CTで検査・測定が困難なサイズのスキャン対象物は、業務提携先の大型産業用CT装置を用いて測定したデータを当社で解析し提供しております。産業用CTによるスキャン技術は製品現品の品質検査が求められる分野においては不可欠であり、製造規格やメーカー独自の品質検査レベルをクリアするために有効なものであります。当社の主なサービスは下記のとおりであります。

 

a. 鋳造品の内部品質評価

 鋳巣欠陥(注13)は、様々な要因によって発生します。産業用CTは素材内部の欠陥を簡単に検出することができるため、より質の高い製品開発をサポートできます。

 

b. リバースエンジニアリング

 産業用CTは品質検査だけではなく、図面のない製品や自然物のデータ化にも活用できます。更に当社では3Dプリンター事業の豊富な実績から、3Dプリンター出力用のデータの編集も可能であり、リバースエンジニアリングによるものづくりをサポートすることができます。

 

c. 素形材の解析

 カーボンの素材強度に影響するカーボン繊維の配向の解析サービスを行っております。

 

d. 放射線照射

 産業用CTにて放射線を物体に照射し続けることで、物体がどのように変化、変質していくのかを確認するサービスを行っております。

 

e. 文化・教育用途での研究用資料提供

 産業用CTにてスキャン対象物の内部を透過することで、希少生物の骨格や文化財の内部構造の確認を非破壊で行うことができます。この特性を活かし、教養・教育研究を目的とした3Dデータの提供を行なっております。

 

② 産業用CT販売

 ベーカーヒューズ製の産業用CT及び関連サービスの販売を行っております。

 

(注)13.鋳巣欠陥

鋳巣欠陥とは、鋳造品の内部に空洞が発生するという不良のことです。

 

 

4【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

142

(27)

37.5

5.1

5,277,291

 

セグメントの名称

従業員数(人)

3Dプリンター事業

16

(8)

鋳造事業

97

(16)

CT事業

8

(-)

報告セグメント計

121

(24)

全社(共通)

21

(3)

合計

142

(27)

(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、平均臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金(通勤手当を除く。)を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定の事業に区分できない管理部門及び企画部門に所属しているものであります。

 

(2)労働組合の状況

 当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好であり、特に記載すべき事項はありません。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)3.

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

5.6

100.0

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。